JP6502204B2 - 回路基板とその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、基板の主平面にビーム加工により形成された溝に導電材料を充填して回路パターンを形成する回路基板の製造方法の発明が記載されている。基板としてアルミナ基板が記載され(段落番号0030)、ビーム加工として、レーザ光や電子ビームなどが例示され(段落番号0021)、導電材料として導電ペーストを塗布することが記載されている(段落番号0037)。
基板としてフッ素樹脂などの樹脂基板を使用することが記載され、溝パターンがパルス幅10ps以下のレーザー光を使用して形成することが記載され、導体層がめっきを使用することが記載されている(特許請求の範囲)。
表面が絶縁層であるプリント基板は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂で形成されていること(段落番号0014)、導体パターンは電解銅めっきにより形成されることが記載されている(段落番号0018)。
前記基板が結晶性樹脂からなる成形体であり、
前記回路パターンが、前記基板の表面に形成され、内部に黒色層を有している溝と、前記溝内部に充填された導体からなるものである、回路基板を提供する。
結晶性樹脂からなる基板に波長2μm以上のレーザー光をパルス幅0.05〜1.0μsecで照射して回路パターンとなる黒色層を有する溝を形成する工程、
前記溝内部に導体形成材料を充填する工程、
加熱して前記導体形成材料を硬化させることで回路パターンを形成する工程を有している、回路基板の製造方法を提供する。
図1(a)の回路基板1は、基板2上に回路パターン6を有している。
基板2は、結晶性樹脂からなるものである。
結晶性樹脂は、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミド(TPI)、芳香族ポリアミド(PA6T、PA9T)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリアミドMXD6から選ばれるものを使用することができる。
図1(a)では、回路パターン6は、面3a、面3b、面3cの三面にまたがって形成されているが、さらに他の面にも形成されていてもよい。
面3a、面3b、面3cは、必要に応じて凹凸を有していてもよい。
面3aと面3cは、いずれも厚さ方向に反対側の面4からの高さ(厚さ)が同一であり、かつ面4と平行になっている。
面3bは、面3aと面3cの面4からの高さ(厚さ)の違いにより傾斜面(段差面)になっている。
面3bと面3cの間の角度(仰角)α1は特に制限されないが、例えば30〜90°の範囲になるようにすることができる。
溝7の内部の一部表面は黒色層7aを有しており、黒色層7aがある部分は、黒色層7aの上に導体8が存在している。黒色層7aは、光学顕微鏡による観察で黒色に見える層であり、基板2を構成する結晶性樹脂に由来する炭化物を含む層であると考えられる。
溝7の深さは、0.05〜1mmが好ましく、0.1〜0.5mmがより好ましい。
溝7の内部の表面粗さ(Ra)は1〜50μmが好ましく、1〜25μmがより好ましく、3〜10μmがさらに好ましい。
表面粗さ(Ra)は、溝7に黒色層7aが形成されている部分は、黒色層7aの表面粗さ(Ra)である。
導体8は、銀、銀合金、金、金合金、はんだなどを使用することができる。
基板12は、図1の回路基板1と同じ結晶性樹脂から選ばれるものを使用することができる。
図2(a)では、回路パターン16は、隣接する面13と面14の二面にまたがって形成されているが、さらに他の面にも形成されていてもよい。
面13と面14は、必要に応じて凹凸を有していてもよい。
溝17の内部の一部表面は黒色層17aを有しており、黒色層17aがある部分は、黒色層17aの上に導体18が存在している。黒色層17aは、光学顕微鏡による観察で黒色に見える層であり、基板2を構成する結晶性樹脂に由来する炭化物を含む層であると考えられる。
溝17の深さは、0.05〜1mmが好ましく、0.1〜0.5mmがより好ましい。
溝17の内部の表面粗さ(Ra)は1〜50μmが好ましく、1〜25μmがより好ましく、3〜10μmがさらに好ましい。
表面粗さ(Ra)は、溝17に黒色層17aが形成されている部分は、黒色層17aの表面粗さ(Ra)である。
導体18は、銀、銀合金、金、金合金、はんだなどを使用することができる。
基板22は、図1の回路基板1と同じ結晶性樹脂から選ばれるものを使用することができる。
第1端面22aから第2端面22bまで貫通孔28が形成されている。
中間筒部24の外表面は、第1筒部23と第2筒部25の外径の差により傾斜面になっている。
図3(a)では、回路パターン26は、第1端面22a、第1筒部23、中間筒部24、第2筒部25にまたがって形成されているが、さらに第2端面22bにも形成されていてもよい。
第1筒部23、中間筒部24、第2筒部25は、必要に応じて凹凸を有していてもよい。
溝27の内部の一部表面は黒色層27aを有しており、黒色層27aがある部分は、黒色層27aの上に導体28が存在している。黒色層27aは、光学顕微鏡による観察で黒色に見える層であり、基板22を構成する結晶性樹脂に由来する炭化物を含む層であると考えられる。
溝27の深さは、0.05〜1mmが好ましく、0.1〜0.5mmがより好ましい。
溝27の内部の表面粗さ(Ra)は1〜50μmが好ましく、1〜25μmがより好ましく、3〜10μmがさらに好ましい。
表面粗さ(Ra)は、溝27に、黒色層27aが形成されている部分は、黒色層27aの表面粗さ(Ra)である。
導体28は、銀、銀合金、金、金合金、はんだなどを使用することができる。
本発明の回路基板は、LED、抵抗、コネクタなどの各種部品を実装して電気回路を構成することで、電子回路基板として使用することができる。
図1の回路基板1の製造方法により説明する。
図4(a)の基板2は、図1(a)の基板2と同形状のものである(α1=60°)。
基板2は、平面3a、傾斜面3b、平面3cを有している。
溝7の幅と深さは、図1の説明において記載されている数値範囲である。
第1工程のレーザー照射によって、溝7の内部に黒色層7aが形成される。
図7(b)は、2本の溝7が幅方向に重なるように形成されて全体として一本の溝が形成されており、図7(c)は、4本の溝7が幅方向に重なるように形成されて全体として一本の溝が形成されている。
出力(平均出力)は10〜100Wが好ましい。
波長は2μm以上であり、好ましくは2〜20μmである。
1スキャンのパルス幅(1スキャンのレーザー光の照射時間)は、0.05〜1.0μsecが好ましく、0.1〜0.5μsecがより好ましい。
周波数は300〜700Hzが好ましい。
パルスエナジーは50〜200mJが好ましく、100〜160mJがより好ましい。
レーザー光は、平面3a、傾斜面面3b、平面3cのそれぞれに対して垂直方向から照射する。
導体形成材料としては、導体となる金属、溶剤および樹脂などを含むインクを使用することができる。
導体形成材料のインクとしては、(株)ダイセル製の銀ナノインク「Picosil(登録商標)」のHight Viscosity-Type(銀濃度65〜90質量%)、Low Viscosity-Type(銀濃度30〜50質量%)、大研化学工業(株)製の加熱硬化型AgペーストCA-6178Bなどを使用することができる。
導体形成材料として前記インクを使用するときは、ディスペンサー、インクジェット、スクリーン印刷、オフセット印刷などの方法により溝7内部に充填することができるが、図4(a)に示すような段差面のある基板2を使用するときは、ディスペンサー、インクジェットが好ましい。
第3工程の加熱は、前記インク中の溶剤を蒸発され、樹脂を揮発除去させるための処理である。
加熱条件は、基板2の材質(耐熱性)、インクに使用している溶剤や樹脂の種類により調整することができる。
第3工程の加熱処理によって、溝7内部の導体形成材料(インク)中の導体となる金属が残り、導体8からなる回路パターン6が形成される。
溝7内部に黒色層7aが形成されている部分は、黒色層7aを導体8が覆った状態になっている。
なお、第2工程において基板12の溝17内部(黒色層17a上)に導体形成材料(上記インク)を充填するときは、図8に示すように、保持具50を使用して、辺13aを上にして基板12を保持した状態にて、面13と面14にインクを充填する方法を適用することが好ましい。
図8の状態にすることで、面13と面14の水平面に対する角度α1が45°に維持できるため、インク充填時の液だれが防止できるので好ましい。
なお、図3の基板22に対して第1工程および第2工程を実施するときは、貫通孔28内に支持棒を差し込んだ状態にて、回転させながら実施する方法を適用することができる。
図9(a)は、結晶性樹脂からなる基板102の平面図であり、部品装着用の穴103、凹部104a、104bを有している。
図9(b)では、所定波長のパルス波のレーザー光を照射して、溝107が形成されている。
図9(c)では、部品用の穴103にLED、凹部104aに抵抗114a、凹部104bにコネクタ114bが実装されている。
図9(d)では、溝107(溝内部の黒色層上)に導体形成材料であるインクが充填されている。その後、加熱処理することで導体108が形成されている。
PPS樹脂製の基板(平板)(縦40mm、横120mm、厚さ4mm)を使用して、一面(40×120mm)のみに図7(c)のようにCO2レーザー照射することで、幅0.5mmの溝を合計で20本形成して、10mm×10mmの溝7を形成した。
図10(a)に基板の厚さ方向断面の光学顕微鏡写真(500倍)を示し、図10(b)に(a)をもとに作成した図面(矢印はレーザー光の照射方向)を示す。溝内部の底面部分には、黒色層7aが形成されていることが確認できた。
また溝内部の黒色層7aとPPS基板2の間には、透明層(但し、光の加減により緑色に着色して見える層)7bが存在していた。透明層7bは、それだけを切り出すことで透明であること(すなわち、結晶化していないこと)を確認した。
黒色層7aは、結晶化しているPPS樹脂、結晶化度の低いPPS樹脂、PPS樹脂が炭化したものなどが混合されている層と考えられる。
溝7の表面粗さは、レーザー変位計(キーエンス ブルーレーザフォーカス変位計 LT-9500V)により測定した。
波長:10.6μm
パルス幅:0.2μsec
パルスエナジー:130mJ
周波数:500Hz
平均出力:65W
(溝7)
幅:580μm
深さ:360μm
表面粗さ(Ra):6μm
次に、オーブン中にて150℃で30分間加熱処理して、回路基板を得た。
回路基板の導体の3cmの範囲の抵抗値をデジタルマルチメーター(三和電気計器製CD770)で測定したところ、4Ω/cm未満であった。
10mm×10mmの溝を2×2mmの格子状(計25)にカットして、セロテープ(登録商標)(ニチバン(株))を貼り付けた。貼り付けた前記テープを剥がしたところ全く剥離しなかった。
レーザー照射しないほかは同様にして、基板表面に導体(10×10mm)を形成した。
同様にして剥離試験をしたところ、25個中16個が剥がれた。
2、12、22 基板
7、17、27 溝
7a、17a、27a 黒色層
8、18、28 導体
6、16、26 回路パターン
Claims (5)
- 基板表面に回路パターンを有している回路基板であって、
前記基板が結晶性樹脂からなる成形体であり、
前記回路パターンが、前記基板の表面に形成され、内部に黒色層を有している溝と、前記溝内部に充填された導体からなるものであり、
前記溝の幅が0.1〜1.5mm、前記溝の深さが0.1〜0.5mmであり、前記溝内部の黒色層を含む表面粗さ(Ra)が6〜10μmであり、
前記黒色層が、結晶化した結晶性樹脂、結晶化度の低い結晶性樹脂、結晶性樹脂に由来する炭化物を含む混合物である、回路基板。 - 前記基板が結晶性樹脂からなる、複数の平面、または平面と曲面からなる複数面を有している成形体であり、
前記回路パターンが、前記基板の複数面にまたがって形成されているものであり、
前記複数面の隣接する面同士の間の角度が20°〜90°の範囲である、請求項1記載の回路基板。 - 前記結晶性樹脂が、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミド(TPI)、芳香族ポリアミド(PA6T、PA9T)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリアミドMXD6から選ばれるものである、請求項1または2に記載の回路基板。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法であって、
結晶性樹脂からなる基板に波長2μm以上のレーザー光を、出力(平均出力)10〜100W、周波数300〜700Hz、パルスエナジー50〜200mJ、パルス幅0.05〜1.0μsecで照射して回路パターンとなる黒色層を有する溝を形成する工程、
前記溝内部に導体形成材料を充填する工程、
加熱して前記導体形成材料を硬化させることで回路パターンを形成する工程を有している、回路基板の製造方法。 - 前記溝内部に導体形成材料を充填する工程が、導体形成材料として、導体、溶剤および樹脂を含むインクを使用する、請求項4記載の回路基板の製造方法。
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