JP6501702B2 - マイクロ波誘電加熱溶着体及びそれによる溶着方法 - Google Patents

マイクロ波誘電加熱溶着体及びそれによる溶着方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波を照射して熱可塑性樹脂成型体を発熱させ、溶着するマイクロ波誘電加熱溶着体に関するものであり、特に、合成樹脂相互間、金属と合成樹脂との接合を可能としたマイクロ波誘電加熱溶着体及びそれによる溶着方法に関するものである。
図1のように、熱可塑性の合成樹脂板1の内部にマイクロ波発熱体2をセットし、熱可塑性の合成樹脂板1に配設したマイクロ波発熱体2の配設面側に他の合成樹脂板3を重ね合わせ、所定の加圧力をかけ、マイクロ波を照射するだけでは、異なった合成樹脂を溶かすことができない。即ち、マイクロ波発熱体2の熱量が低温で溶融する合成樹脂板3側から逃げ、溶着すべき合成樹脂1の温度が上昇しないから、樹脂溶着できず、結果、合成樹脂に金属板3を重ね合わせた溶着ができない。そこで、これらの対策について特許公報をみてみるとする。
まず、特許文献1は、金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体の製造方法であって、前記金属成形体の前記樹脂成形体との接合面の開口部の平均直径(Ds)が、0.01〜50μmの凹部、または開口部の平均幅(Ws)が0.01〜50μmの溝を形成する第1工程、前記凹部または溝が形成された接合面に対して、開口部の平均直径(Db)が1.0〜1000μm、最大深さが10〜1000μmの凹部、または開口部の平均幅(Wb)が1.0〜1000μm、最大深さが10〜1000μmの溝を形成する第2工程、その後、金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、樹脂成形体となる樹脂を使用してインサート成形して複合成形体を得る第3工程を有する複合成形体の製造方法を開示している。
しかし、この特許文献1は、金属成形体と樹脂成形体とが接合される複合成形体の製造方法であり、金属面に微細加工がされているものの、金属をインサート成形してできた複合体であり、マイクロ波を利用した溶着体とすることができない。
特許文献2は、融点が80〜200℃の範囲にあるポリオレフィン系樹脂と、体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である導電物質とを含有し、樹脂組成物全体に対する当該導電物質の含有量が1〜30容量%の範囲にあり、40MHzの周波数において23℃条件下のtanδ(誘電正接)が0.03以上であり、非常に短時間の高周波電圧の印加により加熱溶融させることができ、比較的高温でも優れた接着強度を有する誘電加熱接着用樹脂組成物の発明を開示している。
しかし、特許文献2は、誘電加熱接着用樹脂組成物、ホットメルト接着剤等の接着剤、接着方法に関する発明であり、短時間で加熱溶融させることができ、同種、異種材の接着の場合、比較的高温での接着性に優れた誘電加熱接着用樹脂組成物に関する技術で、接着剤の中に導電物質を含有させて接着剤を塗布するか、接着剤プレートを作る等して、接着剤を介した接合方法であり、溶融樹脂と金属とが直接溶着している溶着方法とは異なる。
特許文献3は、成形接着剤またはホットメルト形接着剤中に高周波誘導発熱材を内在させた発明であり、高周波誘導発熱材を成形接着剤またはホットメルト形接着剤内に内在させた高周波誘導加熱によって発熱材を加温し、この温度によって前記各接着剤を溶融すると共に、この溶融物を介して接着剤の接合面を溶融させ、これによって接着剤と接合物間の溶融化が均一化され、この接合部を冷却固化することで極めて接着力の強い接合物を形成できる発明を開示している。
しかし、特許文献3は、IH樹脂ヒーターに関する発明であり、接着剤の中に高周波誘導発熱材を内在させて、同種、異種材の接合をさせるというホットメルト接着剤の発明であり、接着剤の中に発熱材を入れて、接着剤を加熱・溶融化して、接着剤を介した接合方法であり、合成樹脂と金属とが直接接合している溶着方法とは異なる。
特許文献4は、本体底面部及び蓋体の食品収容部側の各表面に発熱体を配置した電子レンジ加熱調理用容器であり、蓋体が折畳み用折線を設けた1枚のブランクシートを組み立てて形成され、ブランクシートは、天面部と、天面部の周辺に連接する蓋側面部と、蓋側面部と天面部との境界にそれぞれ設けた天面部側に凸の切込部とを有し、切込部の凸深さはすべて同じであり、蓋体を組み立てるときに、蓋側面部を食品収容部側とは反対側に起こすとともに、切込部が食品収容部側に突出して蓋脚片を形成することにより、使用前は折畳んで小型化ができ、使用時には複数個の食品を均一な厚さに仕上げることができる電子レンジ加熱調理用容器及びそのブランクシートを開示しています。
しかし、特許文献4は、電子レンジ加熱調理用のシ一トで、プラスチックフィルム層、金属蒸着層、剥離紙層の3層構造を取っており、食品加熱用のシ一トであり、それぞれの金属蒸着層の厚みは5〜10nmと非常に薄く、金属蒸着層の厚さが10nmより厚い場合にはスパークしてしまうという問題点を有している。
特開2014−51040号公報 特開2003−193009号公報 特開平10−47580号公報 特開2014−200481号公報
しかしながら、特許文献1は、金属面に微細加工をしているが金属をインサート成形してできた複合体でありマイクロ波による誘電加熱はできない。また、特許文献2は、接着剤を介した溶着方法であり、発熱体によって周囲の樹脂を過熱溶融した溶融樹脂と金属とが直接溶着する技術とは異なる。
また、特許文献3は、接着剤を過熱材による加熱・溶融化して接合する技術であるが、溶融樹脂と金属とを溶着させる技術については開示も示唆もされていない。特許文献4は、金属蒸着層の厚みが10nmより厚い場合にはスパークしてしまい、工業的に使用するとなると実用的でない。
そして、大気圧プラズマによる金属と合成樹脂の表面処理とレーザーによる異種材料接合によるアンカー効果と化学結合を同時に発現させ、金属と合成樹脂を直接溶着する技術も想定されるが、合成樹脂面をレーザー透過樹脂にする必要があり、レーザー透過樹脂でないと使用できない。
そこで、本発明は、上記問題点を解消すべくなされたもので、熱伝導の良い材料と熱伝導の悪い材料に対しても、マイクロ波の誘電加熱により、直接、熱可塑性合成樹脂と溶着自在なマイクロ波誘電加熱溶着体及びマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明のマイクロ波誘電加熱溶着体は、マイクロ波によって発熱する発熱粒子と、樹脂バインダーとを配合したマイクロ波誘電発熱体と、前記マイクロ波誘電発熱体の熱伝導性の高い基材を覆う熱伝導遮断樹脂体とを具備するものである。
ここで、上記マイクロ波誘電発熱体は、例えば、好ましくは、フェライト粉を70〜90重量%と、耐熱性エポキシ樹脂を30〜10重量%とを混合したものであり、フェライト粉70重量%以下としたとき、耐熱性エポキシ樹脂を30重量%以上となる。即ち、フェライト粉を70〜90重量%であると、キュリー点により昇温停止温度が特定され易く、昇温停止温度のバラツキが少ないので、この範囲が好適である。フェライト粉を70重量%以下とすると昇温停止温度のバラツキが大きくなり、フェライト粉を90重量%以上とすると昇温停止温度のバラツキが少なくなるが、耐熱性エポキシ樹脂の機械的強度が低下する。
したがって、フェライト粉を70〜90重量%と、耐熱性エポキシ樹脂を30〜10重量%とを配合したものが好適である。しかし、本発明を実施する場合には、フェライト粉に限定されるものではなく、鉄、アルミニウム等の金属粉を混入してもよい。
なお、フェライト粉はキュリー点により昇温停止温度が決定されるから、溶着しようとする材料(例えば、合成樹脂及び金属の断面積(体積))によって、昇温停止温度を決定しておく必要がある。この使途からすれば、正の温度係数を有するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタと同様の特性を有する粉体の使用が望ましい。
また、マイクロ波誘電発熱体を所定の圧縮荷重を所定時間加えて硬化させるのは、密度を上げることと、変質させないためである。
そして、上記熱伝導遮断樹脂体は、前記マイクロ波誘電発熱体の一面以上の面を包むもので、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂からなるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂の粉体、流体等の固形タイプ、液体、粘土状に軟化した液状タイプ、接着性が確保できる1mm以下の厚みの樹脂バインダーと共に成形し、例えば、金属等との間に熱的絶縁を持たせるものである。
請求項の発明のマイクロ波誘電加熱溶着体のマイクロ波によって発熱する発熱粒子としては、上昇温度を特定するためにフェライト粉を使用している。しかし、本発明を実施する場合には、フェライト粉に限定されるものではなく、鉄粉等の金属粉でもよいが、フェライト粉を使用すると、フェライト粉はキュリー点により昇温停止温度が決定されるから、溶着しようとする合成樹脂及び金属の断面積(体積)によって、昇温停止温度を決定しておく必要がある。特に、マイクロ波誘電発熱体は、樹脂バインダーを配合したものであり一体化が容易である。
請求項の発明のマイクロ波誘電加熱溶着体の前記熱伝導遮断樹脂体は、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂を樹脂バインダーと共に成形したものである。
ここで、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂は、その使用可能性から、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂とするのが望ましい。しかし、他の異なった樹脂の使用を否定するものではない。
請求項の発明のマイクロ波誘電加熱溶着体による融着方法は、マイクロ波によって発熱する発熱粒子と樹脂バインダーを配合したマイクロ波誘電発熱体の成型工程と、前記マイクロ波誘電発熱体の熱伝導性の高い基材を覆う熱伝導遮断樹脂体の成型工程と、溶着しようとする一方の側には前記熱伝導遮断樹脂体を、その反対側には前記マイクロ波による誘電加熱を行う圧縮成形する成型工程とを具備する。
ここで、例えば、上記マイクロ波誘電発熱体の成型工程は、好ましくは、フェライト粉を70〜90重量%と、耐熱性エポキシ樹脂を30〜10重量%とを混合したものであり、フェライト粉70重量%以下としたとき、耐熱性エポキシ樹脂を30重量%以上となる。即ち、フェライト粉を70〜90重量%であると、キュリー点により昇温停止温度が特定され易く、昇温停止温度のバラツキが少ないので、この範囲が好適である。フェライト粉を70重量%以下とすると昇温停止温度のバラツキが大きくなり、フェライト粉を90重量%以上とすると昇温停止温度のバラツキが少なくなるが、耐熱性エポキシ樹脂の機械的強度が低下する。
したがって、フェライト粉を70〜90重量%と、耐熱性エポキシ樹脂を30〜10重量%とを配合したものが好適である。しかし、本発明を実施する場合には、フェライト粉に限定されるものではなく、鉄、アルミニウム等の金属粉を混入してもよい。
なお、フェライト粉はキュリー点により昇温停止温度が決定されるから、溶着しようとする合成樹脂及び金属の断面積(体積)によって、昇温停止温度を決定しておく必要がある。この使途からすれば、正の温度係数を有するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタと同様の特性を有する粉体の使用が望ましい。
また、マイクロ波誘電発熱体を所定の圧縮荷重を所定時間加えて硬化させているのは、密度を上げることと、変質させないためである。
そして、上記熱伝導遮断樹脂体の成形工程は、前記マイクロ波誘電発熱体の一面以上の面を包むもので、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂からなるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を樹脂バインダーと共に成形し、金属との間に熱的絶縁を持たせるものである。
更に、上記成型工程は、圧縮冶具に前記マイクロ波誘電発熱体及び前記熱伝導遮断樹脂体を入れ誘電発熱を行うと共に、圧縮成形するものであるから、前記圧縮冶具の形態を問うものではない。
請求項の発明のマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着方法は、マイクロ波によって発熱する発熱粒子として、上昇温度を特定するためにフェライト粉を使用している。しかし、本発明を実施する場合には、フェライト粉に限定されるものではなく、鉄粉等の金属粉でもよい。しかし、フェライト粉を使用すると、フェライト粉はキュリー点により昇温停止温度が決定されるから、溶着しようとする合成樹脂及び金属の断面積(体積)によって、昇温停止温度を決定しておく必要がある。特に、マイクロ波誘電発熱体は、樹脂バインダーを配合したものであるから、一体化が容易である。
請求項の発明のマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着方法の前記熱伝導遮断樹脂体は、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂を樹脂バインダーと共に成形したものである。
上記熱伝導遮断樹脂体は、マイクロ波誘電発熱体の熱伝導性の高い基材を覆うものであり、熱伝導を遮断できる機能を有する絶縁物であればよい。
請求項1のマイクロ波誘電加熱溶着体は、マイクロ波によって発熱する発熱粒子と、樹脂バインダーとを配合したマイクロ波誘電発熱体と、前記マイクロ波誘電発熱体の熱伝導性の高い基材を覆う熱伝導遮断樹脂体とから構成され、前記熱伝導遮断樹脂体によって、譬え、マイクロ波誘電発熱体の発熱が異なった特性の合成樹脂を伝って伝導しようとしたときでも、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂及び樹脂バインダーからなる熱伝導遮断樹脂体の断熱機構によって熱エネルギが伝わらないから、マイクロ波誘電発熱体の温度上昇が高くなり、周囲の合成樹脂との間に溶着が行われ、熱伝導の大きい部分等を介して熱エネルギが逃げることがない。
熱エネルギが熱伝導が良好な材料、例えば、金属に伝わらない熱伝導遮断樹脂体を有していても、マイクロ波誘電発熱体の温度上昇が高く、その時間が継続されると、熱伝導が良好な材料、例えば、金属の温度も上昇するが、その金属の温度は時間と共に広がるものの、金属に伝わった熱量が僅かであるから溶着完了するまでの金属の温度上昇は僅かである。マイクロ波のエネルギは殆どがマイクロ波誘電発熱体の温度を上昇させるから、金属に伝わる熱エネルギは無視できる程度である。熱伝導が良好な金属等の材料でなくても、このような現象が生じる。
勿論、金属の溶着面は、適度な凹凸形状が金属と樹脂とが溶着する表面積を大きくするので望ましい。
また、一般に、アルミ箔等の金属箔、或いは角のある形状は、マイクロ波の照射によりスパークする現象がみられるが、今回の実施例のテストピースにマイクロ波を照射したところ、スパークは発生しなかった。
請求項のマイクロ波誘電加熱溶着体の前記マイクロ波によって発熱する発熱粒子と樹脂バインダーは、フェライト粉と耐熱性エポキシ樹脂としたものである。
したがって、本発明を実施する場合には、キュリー点により昇温停止温度が決定されるフェライト粉を使用するから溶着しようとする合成樹脂及び金属の断面積(体積)によって、昇温停止温度を決定でき、特定の温度上昇とすることができる。
請求項の発明のマイクロ波誘電加熱溶着体の前記熱伝導遮断樹脂体は、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂を樹脂バインダーと共に成形したものであるから、請求項1の効果に加えて、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂は、相手材の選択可能性が広範になる。特に、その使用可能性から判断すると、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂とするのが望ましい。
請求項のマイクロ波誘電加熱溶着体による融着方法は、まず、マイクロ波誘電発熱体の成型工程で、マイクロ波によって発熱する発熱粒子と樹脂バインダーとを配合し、硬化させる。そして、マイクロ波によって発熱する発熱粒子と樹脂バインダーとを配合したマイクロ波誘電発熱体と共に成形する。更に、成型工程では、溶着しようとする一方の側には前記熱伝導遮断樹脂体を、その反対側には前記マイクロ波による誘電加熱を行う圧縮成形する。
このとき、前記熱伝導遮断樹脂体によって、譬え、マイクロ波誘電発熱体の発熱が熱伝導の良好な材料を熱伝導しようとしたときでも、熱可塑性樹脂及び樹脂バインダーからなる熱伝導遮断樹脂体の断熱機構によって熱エネルギが伝わらないから、マイクロ波誘電発熱体の温度上昇が高くなり、周囲の合成樹脂との間に溶着が行われ、金属部分を介して熱エネルギが逃げることがない。
熱エネルギが伝わらない熱伝導遮断樹脂体を有していても、マイクロ波誘電発熱体の温度上昇が高く、その時間が継続されると、温度も上昇するが、その熱伝導の良好な材料、即ち、金属等の温度は時間と共に広がるものの、熱伝導の良好な材料に伝わった熱量が僅かであるから溶着完了するまでの金属の温度上昇は僅かである。マイクロ波のエネルギは殆どがマイクロ波誘電発熱体の温度を上昇させるから、金属等の熱伝導の良好な材料に伝わる熱エネルギは無視できる程度である。勿論、金属の溶着面は、適度な凹凸形状とすると、前記金属と合成樹脂とが溶着する表面積を大きくするので望ましい。
また、一般に、アルミ箔等の金属箔、或いは角のある形状は、マイクロ波の照射によりスパークする現象がみられるが、今回の実施例のテストピースにマイクロ波を照射したところ、スパークは発生しなかった。
請求項のマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着方法における前記マイクロ波によって発熱する発熱粒子と樹脂バインダーは、フェライト粉と耐熱性エポキシ樹脂としたものであるから、本発明を実施する場合には、キュリー点により昇温停止温度が決定されるフェライト粉を使用するから、溶着しようとする合成樹脂及び金属の断面積(体積)によって、昇温停止温度を決定でき、特定の温度上昇とすることができる。
請求項のマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着方法における前記熱伝導遮断樹脂体は、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂を樹脂バインダーと共に成形したものであるから、請求項に記載の効果に加えて、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂は、相手材の選択可能性が広範になる。特に、その使用可能性から判断すると、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂とするのが選択自由度が高くなる。
図1は従来の金属体と合成樹脂との接着を行う場合の要部断面を示す斜視図である。 図2は本発明の実施の形態に係るマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着部の要部断面の説明図である。 図3は本発明の実施の形態に係るマイクロ波誘電加熱溶着体の製造過程の要部断面で、(a)は金型の説明図、(b)はマイクロ波誘電発熱体を示す説明図である。 図4は本発明の実施の形態に係るマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着部の要部断面で、(a)は溶着対象を示す説明図、(b)はマイクロ波誘電加熱溶着体の配置状態の説明図、(c)は溶着状態を示す説明図である。 図5は本発明の実施の形態に係るマイクロ波誘電加熱溶着体の要部断面を示すもので、(a)はマイクロ波誘電発熱体の2面を包み込む実施例の断面図、(b)はマイクロ波誘電発熱体の3面を包み込む実施例の断面図、(c)はマイクロ波誘電発熱体の全面を包み込む実施例の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分を意味するから、ここではその重複する詳細な説明を省略する。
[実施の形態]
まず、本発明の実施の形態のマイクロ波誘電加熱溶着体について、図2乃至図5を参照して説明する。
溶着樹脂40は、熱可塑性合成樹脂で、本実施の形態のマイクロ波誘電加熱溶着体20を用いて溶着可能な樹脂成型体としては、例えば、汎用プラスチック、エンジニアリング・プラスチック、スーパー・エンジニアリング・プラスチック等の一般の熱可塑性樹脂からなる成型体である。
例えば、汎用プラスチックとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等がある。また、エンプラとしては、ポリアミド(ナイロン、芳香族ポリアミド等)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン等がある。
更に、スーパーエンプラとしては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミドイミド(PAI)等がある。
また、溶着樹脂40と一体に接続しようとする熱伝導率の大きい材料30を、ここでは、説明のし易さから金属体として説明する。鉄、ステンレス、アルミニウム等の特定の形状をした金属或いは金属体が熱伝導率の大きな材料30に相当する。しかし、材料30は金属に限定され者ではなく、溶着樹脂40よりも熱伝導率の大きい材料であればよい。
特に、熱伝導率の大きい材料30とは、実施の形態に記載されていない銅、真鍮、チタン、ニッケル、亜鉛等の鉄以外の金属であってもよいが、基本的には熱伝導の良い合成樹脂を対象とするものである。
図2においては、溶着樹脂40と接続する熱伝導率の大きい材料30は、材料30の接続面を広くするために、凹凸状態の表面積としたり、或いは凹部孔とすることもできる。何れにせよ、薄い熱伝導遮断膜25が形成されればよく、特別に接合しろを確保する必要はない。
マイクロ波誘電発熱体21は、フェライト粉と、耐熱性エポキシ樹脂とを配合し、所定の圧縮荷重を所定時間加えて硬化させたものである。
具体的には、実施例1として、キュリー点により昇温停止温度が400℃のフェライト粉(JFEケミカル(株)製ニッケルフェライト粉)を用いた。
また、実施例2として、昇温停止温度が300℃のフェライト粉(JFEケミカル(株)製ニッケルフェライト粉)を用いた。
これらの各材料のそれぞれに、樹脂バインダーとしての液状エポキシ樹脂をフェライト粉84重量%とエポキシ樹脂16重量%の配合割合となるように混合して、2種類の材料を準備した。そして、この2種類の複合材料を所定形状の金型に充填して、室温で500Nの圧力で圧縮成形した後脱型した。そして、1日以上自然硬化させることによって所定形状のマイクロ波誘電発熱体21を形成した。
また、熱伝導遮断樹脂体22は、溶着する樹脂、例えば、図2では、特定の形状に成形された溶着樹脂40と同種の特性の熱可塑性樹脂からなるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂と樹脂バインダーと共に成形し、前記マイクロ波誘電発熱体21の1面以上を包むものである。
ここで、本発明で使用できる樹脂バインダーとしては、マイクロ波吸収材を分散させて圧縮成形自在とする材料であればよく、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が使用され、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂(EP)、フェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)、ジリアルフタレート樹脂(PDAP)等の使用が可能である。
特に、エポキシ樹脂やフェノール樹脂は、接着性に優れるためマイクロ波吸収材と樹脂バインダーとの結合力を良好なものとすることができ、また、樹脂バインダーとしての熱硬化性樹脂は、固形タイプ、液状タイプが使用できるが、液状タイプを使用すると、マイクロ波吸収材を均一に配しやすくなり形状形成も容易となる。
また、この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド(ナイロン、芳香族ポリアミド等)、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン等のエンプラや、スーパーエンプラとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアレート、液晶ポリマー、ポリアミドイミド等がある。
マイクロ波誘電発熱体21を固める樹脂バインダーとしての耐熱性エポキシ樹脂(EP)は、溶着性に影響を与えない限り、溶着樹脂40を形成する樹脂と同種の樹脂材料であるのが好ましいが、異種の樹脂材料であってもよく、更に、溶着樹脂40と同一の樹脂バインダーを用いてもよいし、異なる樹脂バインダーであってもよい。樹脂バインダーを異にする場合には相互に結合できるものであることが条件となる。
また、樹脂バインダーは、通常、マイクロ波吸収材の総量に対して0.1〜50重量%混合されるが、それらの混合比は、発熱特性(熱容量、内部抵抗、発熱効率等)や、マイクロ波誘電発熱体21の配置箇所や、厚さ・面積等によって決定される。
したがって、ここで耐熱性エポキシ樹脂16重量%とは、発熱特性によって変化させる総量に対して0.1〜50重量%混合される樹脂バインダーを含むものである。
即ち、本実施の形態のマイクロ波誘電加熱溶着体20を形成する場合、実施例1では、キュリー点により昇温停止温度が400℃のフェライト粉(JFEケミカル(株)製ニッケルフェライト粉)を84重量%と、そこに、耐熱性エポキシ樹脂を16重量%とを配合し、また、実施例2として、昇温停止温度が300℃のフェライト粉(JFEケミカル(株)製ニッケルフェライト粉)を84重量%と、耐熱性エポキシ樹脂を16重量%とを配合した。そして、それを所定の金型等の部品圧縮冶具に入れ、所定の圧縮荷重500Nを所定時間、24時間加えて硬化させたマイクロ波誘電発熱体21を得た。昇温停止温度は汎用性から昇温停止温度が300℃、400℃のデータを示しますが、200℃、500℃でも格別問題は生じなかった。しかし、金属体30との溶着を期待するものであるから、昇温停止温度が高い方が好適である。
次に、図3乃至図5を用いて、実施例1及び実施例2のマイクロ波誘電加熱溶着体20の製造について説明する。
マイクロ波誘電発熱体21の材料、即ち、実施例1であれば、キュリー点により昇温停止温度が400℃のフェライト粉と、耐熱性エポキシ樹脂とを配合し、また、実施例2であれば、昇温停止温度が300℃のフェライト粉と、耐熱性エポキシ樹脂とを配合し、図3(a)に示すように、所定の金型からなる部品圧縮金型50の下型51の凹部52に入れ、図3(b)に示すように、部品圧縮金型50の上型61の凸部62を挿入し、圧縮荷重500Nを24時間加えて硬化させ、マイクロ波誘電発熱体21を形成した。
特定の形状に成形された図4(a)の溶着樹脂40は、これから金属体または金属体に似た熱伝導率の大きい材料30を接合するものであり、溶着樹脂40には、マイクロ波誘電発熱体21を装着する嵌合孔41が形成されている。嵌合孔41にマイクロ波誘電発熱体21を挿入している。
図4(b)はマイクロ波誘電発熱体21の上面を包む熱伝導遮断樹脂体22を形成する材料を供給している。例えば、図2に示す溶着する溶着樹脂40と同種の熱可塑性樹脂からなるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂の粉体と必要量の樹脂バインダーとを配合し、それをマイクロ波誘電発熱体21の上面に供給している。
勿論、マイクロ波誘電発熱体21の上面に熱伝導遮断樹脂体22を一体に成形したものでもよい。
このときの溶着樹脂40と同種の熱可塑性樹脂からなるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂の粉体と樹脂バインダーは、図2のように、マイクロ波誘電発熱体21の上面に熱伝導遮断樹脂体22を形成する材料を供給してもよいし、図5(a)のように、マイクロ波誘電発熱体21の2面を形成する熱伝導遮断樹脂体22の材料の供給としてもよい。また、図5(b)のように、マイクロ波誘電発熱体21の3面を形成する熱伝導遮断樹脂体22の材料の供給としてもよいし、図5(c)のように、マイクロ波誘電発熱体21の全面を形成する熱伝導遮断樹脂体22の材料の供給としてもよい。
溶着樹脂40の嵌合孔41は、溶着樹脂40と熱伝導率の大きい材料30とを溶着するとき、熱源となるマイクロ波誘電発熱体21を挿入するものである。このとき、溶着樹脂40の嵌合孔41とマイクロ波誘電発熱体21の全周囲との間に隙間を生じさせる必要性はないが、作業性から隙間を設けた方が好適な場合もある。本実施の形態では、少なくともマイクロ波誘電発熱体21の上面を嵌合孔41内に入れ、マイクロ波誘電発熱体21の上面を形成する熱伝導遮断樹脂体22の材料の供給とし、それによって嵌合孔41とマイクロ波誘電発熱体21との隙間をなくすものである。
したがって、マイクロ波誘電発熱体21のサイズによって、図2、図5(a)、図5(b)、図5(c)の形態となる。
ここでは、実施例1及び実施例2のマイクロ波誘電発熱体21を離型して溶着樹脂40に形成した嵌合孔41に挿入し、マイクロ波誘電発熱体21の上面を包む熱伝導遮断樹脂体22を形成する材料を供給するものとしている。
例えば、図2に示す溶着する溶着樹脂40と同種の熱可塑性樹脂からなるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂と樹脂バインダーとを配合し、それをマイクロ波誘電発熱体21の上面に供給し、下側のマイクロ波誘電発熱体21、上側の熱伝導遮断樹脂体22を形成したものである。
次に、マイクロ波誘電発熱体21の上面に熱伝導遮断樹脂体22の材料を入れ、極論すると金属体のような熱伝導率の大きい材料30と、溶着樹脂40とを溶着する金型または挟持する部材間に加圧力1MPaで加圧し、そして、金属体のような熱伝導率の大きい材料30を押圧する圧縮上型70と、溶着樹脂40を保持する圧縮下型80に装着された状態で、マイクロ波出力1900W、溶着時間30〜90秒継続する。
このとき、溶着樹脂40と熱伝導遮断樹脂体22は、熱伝導率の大きい材料30に対して熱伝導率が悪いから、マイクロ波誘電発熱体21の加熱温度は、その殆どが溶着樹脂40と熱伝導遮断樹脂体22に伝わり、熱伝導率の大きい材料30に伝わる熱量は僅かである。
溶着樹脂40は、マイクロ波誘電発熱体21により熱伝導遮断樹脂体22が温度上昇し、マイクロ波誘電発熱体21を中心に軟化し、図4(c)のように、溶融ライン24に示すように溶融し、熱伝導率の大きい材料30に対し熱伝導遮断膜25が形成され、金属体等の熱伝導率の大きい材料30の表面に付着する。
その僅かな温度上昇が生じても、熱伝導が良好であるため、三次元に拡散される。しかし、マイクロ波誘電発熱体21の加熱温度は、マイクロ波出力1900Wの出力及び加圧継続温度により決定され、通常、マイクロ波誘電発熱体21の中心から過熱され、過熱距離が順次広がっていくが、熱伝導率の大きい材料30側では、その溶着樹脂40と接触する熱伝導遮断膜25の表面で熱伝導の良好な熱伝導率の大きい材料30との接触により急激に温度が低下し、薄い膜状の接触面が生じる。したがって、溶着樹脂40と熱伝導率の大きい材料30の溶着を熱伝導遮断膜25で行うことができる。
このように、本実施の形態のマイクロ波誘電加熱溶着体は、所定の単一の部品圧縮金型50でマイクロ波誘電発熱体21と熱伝導遮断樹脂体22からなるマイクロ波誘電加熱溶着体20を形成してもよいし、マイクロ波誘電発熱体21と熱伝導遮断樹脂体22を、別々の部品圧縮金型50で形成してもよい。
いずにせよ、溶着樹脂40を溶着する金型(圧縮下型)80にセットし、その溶着凹部23に脱型した熱伝導遮断樹脂体22を装着し、そして、熱伝導率の大きい材料30を有する金型(圧縮上型)70に装着された状態で、マイクロ波出力1900W、溶着時間30〜90秒、加圧力1MPaで加圧、脱型する金型70、80は、製品の成型用である。また、マイクロ波誘電加熱溶着体20は、本発明の熱伝導率の大きい材料30と溶着樹脂40との溶着用である。
上記実施の形態のマイクロ波誘電加熱溶着体20は、フェライト粉及び樹脂バインダーを70〜90重量%と、耐熱性エポキシ樹脂及び樹脂バインダーを30〜10重量%とを配合し、所定の圧縮荷重を所定時間加えて硬化させたマイクロ波誘電発熱体21と、溶着樹脂40と同種の熱可塑性樹脂からなるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂の粉体を樹脂バインダーと共にマイクロ波誘電発熱体21の1面以上を包む熱伝導遮断樹脂体22とを具備するものである。
即ち、フェライト粉を70〜90重量%であると、キュリー点により昇温停止温度が特定され易く、昇温停止温度のバラツキが少ないので、この範囲が好適である。フェライト粉を70重量%以下とすると昇温停止温度のバラツキが大きくなり、フェライト粉を90重量%以上とすると昇温停止温度のバラツキが少なくなるが、耐熱性エポキシ樹脂の機械的強度が低下する。
したがって、フェライト粉を70〜90重量%と、耐熱性エポキシ樹脂を30〜10重量%とを配合したものが好適である。
また、実施例1、実施例2のように、キュリー点により昇温停止温度が400℃のフェライト粉、また、実施例2であれば、昇温停止温度が300℃のフェライト粉を使用したが、キュリー点により昇温停止温度を変化しても基本的に溶着に与える影響は確認されなかった。但し、昇温停止温度が低下すると溶着温度に影響するから、200℃から500℃が好適である。特に、200℃以下では、良好な接合が得られない場合がある。
また、熱伝導遮断樹脂体22は、溶着する樹脂、例えば、図2では、溶着樹脂40と同種の熱可塑性樹脂からなるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂と樹脂バインダーによりマイクロ波誘電発熱体21の1面以上を包む合成樹脂であり、特に、エポキシ樹脂やフェノール樹脂は、接着性に優れるためマイクロ波吸収材と樹脂バインダーとの結合力を良好なものとすることができる。
溶着樹脂40としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等のように樹脂バインダーと共に、接着性及び断熱性を発揮できるものであればよい。
本実施の形態のマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着方法は、フェライト粉及び樹脂バインダーを84重量%と、耐熱性エポキシ樹脂及び樹脂バインダーを16重量%とを配合し、所定の圧縮荷重を所定時間加えて硬化させたマイクロ波誘電発熱体21の成型工程と、溶着樹脂40と同種の熱可塑性樹脂からなるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を樹脂バインダーと共に成形し、マイクロ波誘電発熱体21の一面以上を包む熱伝導遮断樹脂体22の成型工程と、圧縮冶具の溶着しようとする熱伝導率の大きい材料30側には熱伝導遮断樹脂体22を、その反対側にはマイクロ波誘電発熱体21を入れ、マイクロ波による誘電加熱を行うと共に、前記圧縮冶具により圧縮成形する成型工程とを具備するものである。
したがって、まず、マイクロ波誘電発熱体21の成型工程で、フェライト粉と耐熱性エポキシ樹脂とを配合し、所定の圧縮荷重を所定時間加えて硬化させる。そして、マイクロ波誘電発熱体21の一面以上を包み込むように、熱伝導遮断樹脂体22の成型工程で溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂からなるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を樹脂バインダーと共に成形する。そして、成型工程では、圧縮冶具の溶着しようとする金属側には熱伝導遮断樹脂体22を、その反対側にはマイクロ波誘電発熱体21を入れ、マイクロ波による誘電加熱を行うと共に、前記圧縮冶具により圧縮成形する。
このとき、熱伝導遮断樹脂体22によって、譬え、マイクロ波誘電発熱体21の発熱が熱伝導率の大きい材料30を伝って伝導しようとしたときでも、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂及び樹脂バインダーからなる熱伝導遮断樹脂体22の断熱構造によって熱エネルギが金属に伝わらないから、マイクロ波誘電発熱体21の温度上昇が高くなり、周囲の合成樹脂との間に溶着が行われ、熱伝導率の大きい材料30を介して熱エネルギが逃げることがない。
熱エネルギが熱伝導率の大きい材料30に伝わらない熱伝導遮断樹脂体22を有していても、マイクロ波誘電発熱体21の温度上昇が高く、その時間が継続されると、金属の温度も上昇するが、その金属の温度は時間と共に広がる。このとき、熱伝導率の大きい材料30に伝わった熱量が僅かであるから溶着完了するまでの金属の温度上昇は僅かである。マイクロ波のエネルギは殆どがマイクロ波誘電発熱体21の温度を上昇させるから、金属に伝わる熱エネルギは無視できる程度である。
上記実施の形態によれば、熱伝導率の大きい材料30の表面へ微細凹凸形状の前処理をすることで、更に、接合強度を向上できる。また、熱伝導率の大きい材料30の表面粗さ、凹凸形状、表面処理剤の塗布等を最適化することで、高い接合強度を得ることもできる。
また、従来からある接着剤では、その構成材料から、耐薬品性、耐熱性の高い接合体を得ることはできないが、本発明のように、合成樹脂と金属を直接接合させることで、ATF、エンジンオイル等の耐薬品性を有し、耐熱性の高い接合ができる。
そして、上記実施の形態によれば、熱伝導率の大きい材料30の表面を合成樹脂で溶着するものであるから、インサート成形では困難な内部形状における金属と樹脂との接合が可能となる。また、複数の部品、複数の箇所の金属と樹脂接合が、同時に可能となる。
更に、上記実施の形態によれば、特定の金型で成形している溶着樹脂40に対し、溶着する凹部を形成しておけば、そこにマイクロ波誘電発熱体21を配置し、マイクロ波誘電加熱溶着体20を形成しても製品化できるから、圧縮する金型を必要とすることなく溶着できる。
一般に、アルミ箔等の金属箔、或いは角のある形状は、マイクロ波の照射によりスパークする現象がみられる。即ち、金属箔或いは角のある形状の電界密度が高くなり放電、沿面放電が生じる。波長λ=30mm以下で、λ/4(7.5mm)以下の単体形状であれば、スパークが発生しないが、全体形状(積分値)が30mmを超えるとスパークが生じると云われている。発明者らは、周波数2.45GHz、λ=12.24、λ/4(3mm)、出力750Wで、今回の実施例のテストピースにマイクロ波を照射したところ、スパークは発生しなかった。
上記実施の形態では、マイクロ波誘電発熱体21を形成した部品圧縮金型50から脱型しないで、そのマイクロ波誘電発熱体21の上に熱伝導遮断樹脂体22を成形し、それをマイクロ波誘電加熱溶着体20としている。
しかし、本実施の形態のマイクロ波誘電加熱溶着体20は、部品圧縮金型50から脱型し、他の金型を使用して、マイクロ波誘電発熱体21の1面以上を包む熱伝導遮断樹脂体を一体に形成し、マイクロ波誘電加熱溶着体20を構成してもよい。このとき、耐熱性エポキシ樹脂を粉状樹脂としてもよいし、粉体に代えて液状の合成樹脂、接着性が確保できる1mm以下の厚みのフィルムの何れか1つとすることができる。
上記発明の実施の形態では、インサート成形やレーザー照射、接着剤塗布では困難な内部溶着が可能となる。また、熱伝導遮断樹脂体22の機能により複数個の部品を同時に溶着が可能となる。
また、熱伝導率の大きい材料30側に熱伝導遮断樹脂体22のフィルム等を貼付けたり、インサート成形することにより、その断熱機能により、マイクロ波誘電発熱体21は通常の1層構造とすることも可能である。
そして、上記発明の実施の形態は、熱伝導率の大きい材料30で形成した缶、容器に、マイクロ波誘電発熱体21及び熱伝導遮断樹脂体22を蓋として溶着することができる。
上記実施の形態のマイクロ波誘電加熱溶着体の耐熱性エポキシ樹脂は、粉状樹脂、液状樹脂の何れか1つであればよく、その使用は粉体に限定されるものではなく、液体であってもよい。
上記実施の形態のマイクロ波誘電加熱溶着体の前記耐熱性エポキシ樹脂は、粉状樹脂、液状樹脂の何れかとするものであるから、フェライト粉と配合する耐熱性エポキシ樹脂は粉体または液体でもよく、用途によって何れを選択してもよい。
上記実施の形態のマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着方法の耐熱性エポキシ樹脂は、粉状樹脂、液状樹脂の何れか1つであればよく、その使用は粉状樹脂、液状樹脂に限定されるものではない。
20 マイクロ波誘電加熱溶着体
21 マイクロ波誘電発熱体
22 熱伝導遮断樹脂体
24 溶融ライン
25 熱伝導遮断膜
30 熱伝導率の大きい材料
40 溶着樹脂
50 部品圧縮金型
51 下型
52 凹部
61 上型
62 凸部
70 圧縮上型
80 圧縮下型

Claims (4)

  1. マイクロ波によって発熱する発熱粒子及び樹脂バインダーを配合したマイクロ波誘電発熱体と、
    前記マイクロ波誘電発熱体の一面以上を覆う熱伝導遮断樹脂体と
    を具備し、
    前記マイクロ波によって発熱する発熱粒子及び樹脂バインダーは、フェライト粉及び耐熱性エポキシ樹脂としたことを特徴とするマイクロ波誘電加熱溶着体。
  2. 前記熱伝導遮断樹脂体は、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂を樹脂バインダーと共に成形したことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波誘電加熱溶着体。
  3. マイクロ波によって発熱する発熱粒子及び樹脂バインダーを配合したマイクロ波誘電発熱体の成型工程と、
    前記マイクロ波誘電発熱体の一面以上を覆う熱伝導遮断樹脂体の成型工程と、
    圧縮冶具の溶着しようとする一方の側には前記熱伝導遮断樹脂体を、その反対側には前記マイクロ波誘電発熱体を入れ、前記マイクロ波による誘電加熱を行うと共に、前記圧縮冶具により圧縮成形する成型工程と
    を具備し、
    前記マイクロ波によって発熱する発熱粒子及び樹脂バインダーは、フェライト粉及び耐熱性エポキシ樹脂としたことを特徴とするマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着方法。
  4. 前記熱伝導遮断樹脂体は、溶着する樹脂と同種の熱可塑性樹脂を樹脂バインダーと共に成形したことを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波誘電加熱溶着体による溶着方法。
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