JP5988902B2 - マイクロ波誘電溶着体及びマイクロ波誘電溶着体による溶着方法 - Google Patents

マイクロ波誘電溶着体及びマイクロ波誘電溶着体による溶着方法 Download PDF

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本発明は合成樹脂製の成型体相互間を溶着できるマイクロ波誘電溶着体に関するものであり、特に、複数の合成樹脂製成型体相互間を均一に溶着するのに使用可能なマイクロ波誘電溶着体及びマイクロ波誘電溶着体による溶着方法に関するものである。
2つの合成樹脂成型体を溶着させるのは公知の技術であり、その加熱源としては、例えば、レーザ、超音波、マイクロ波等の熱源による溶着面の加熱手段が採用されてきた。しかし、このような方法は2つの合成樹脂成型体を溶着させる手段として採用することができても、3つ以上の合成樹脂成型体を一度に溶着することはできない。特に、マイクロ波等で誘電加熱すると形、大きさ、位置によって溶融及び溶着制御できないのが普通であり、均一な溶着を期待できない。
例えば、特許文献1には、合成樹脂成型体にマイクロ波を照射することによって熱可塑性樹脂を溶着する溶着方法において、マイクロ波発熱体として耐熱性樹脂でコーティングしたものを用いて熱可塑性樹脂を融着する技術が開示されている。
また、特許文献2では、マイクロ波を照射して誘電加熱するマイクロ波発熱体を加熱するとき、誘電加熱するマイクロ波発熱体を薄くし、発熱温度を一様に高く設定することができ、安定した溶着が可能となる技術が開示されている。
特開平9−136357号公報 特開2012−84438号公報
このように、特許文献1は、熱可塑性樹脂中に耐熱性樹脂でコーティングしたマイクロ波発熱体を分散してできた合成樹脂成型体に、マイクロ波を照射させ、マイクロ波発熱体同士を融着するという技術であるが、マイクロ波発熱体を耐熱性樹脂でコーティングしているため、発熱体を間に挟んで溶着させる場合、例えば、30〜50秒で300℃という発熱効率は得られにくいから短時間での溶着には適さない。また、溶着したい部分の温度を確保しようとすると、溶着したい部分以外までが加熱されてしまい合成樹脂成型体としての形状が維持できなくなる可能性がある。
また、特許文献2は、導電体粉末、金属薄膜、金属箔等を発熱体として溶着された溶着体の技術を開示するものであるが、形状によっては発熱のバラツキが生じ、形状の複雑な成型体の溶着には使用できない場合がある。
このように、特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、マイクロ波を吸収し、金属部の表面に電気が流れることによる抵抗発熱を利用したものであり、発熱体の大きさや形状、位置によって発熱効率が大きく変化し、また、複数の異なる形状部を同時に溶着しようとすると、溶着できる場所と溶着できない場所が発生し易く、多部品の同時溶着を行うのに困難が伴う。
そこで、本発明は、上記問題点を解消すべくなされたもので、形や大きさ、溶着位置によって溶着性能が左右されることがなく、均一に同質の溶着ができるマイクロ波誘電溶着体及びマイクロ波誘電溶着体による溶着方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかるマイクロ波誘電溶着体は、マイクロ波の照射により接合される成型体接合部の母材となる熱可塑性樹脂を溶融させる特定の温度まで昇温すると当該昇温が停止する材料からなる発熱粒子と、前記成型体接合部の母材と同一の熱可塑性樹脂からなり、前記成型体接合部の母材と溶け合うことにより溶着する溶着接合材と、前記発熱粒子及び前記溶着接合材を結合する熱硬化性樹脂からなるバインダーとを具備する。
ここで、上記発熱粒子は、前記マイクロ波の照射により特定の温度まで昇温すると当該昇温が停止される材料である。この特定の温度とは、特定の一点の昇温停止温度のみを意味するものではなく、前記マイクロ波の照射量の変化に対して昇温が停止される前であっても、温度変化の目安としては、例えば、常温からの変化が略1/10以下に減少した温度変化の状態が得られれば、それをもって「昇温が停止」と見做すことができる。
つまり、前記発熱粒子としては、前記マイクロ波の照射により特定の温度まで温度上昇し、マイクロ波の照射を継続しても当該昇温が停止したと見做すことができる材料としたものである。
また、上記溶着接合材は、溶着する成型体接合部の母材と同一材料からなり溶着時に成型体接合部と溶け合うことにより溶着し、成型体接合部との密着性、シール性を得る熱可塑性樹脂からなるものである。
そして、上記バインダーは、前記発熱粒子及び前記溶着接合材を結合し、所望形状のマイクロ波誘電溶着体として一体化する熱硬化性樹脂からなるものである。
本発明にかかるマイクロ波誘電溶着体は、前記発熱粒子及び前記溶着接合材に前記バインダーを配し、圧縮成形して一体化した後にアニールしたものである。
ここで、前記バインダーは、前記発熱粒子及び前記溶着接合材を結合してマイクロ波誘電溶着体の形状を形成するものである。そして溶着の際には、前記バインダーは前記発熱粒子によって加熱され、外力により圧縮変形されるがアニールが施された熱硬化性樹脂をバインダーに使用しているため、マイクロ波誘電溶着体の形状はその原型が保持される。
請求項2の発明にかかるマイクロ波誘電溶着体の前記発熱粒子は、前記マイクロ波の照射により温度が上昇すると抵抗値が増大するという、温度と抵抗値との関係が正の温度係数を有する、いわゆるPTC特性を有するフェライト材料としたものである。
請求項3の発明にかかるマイクロ波誘電溶着体の前記発熱粒子は、PTC特性を有し、マイクロ波の照射により特定の温度まで温度上昇するNi−Zn系フェライトまたはMg系フェライトの粉末材料としたものである。
ここで、Ni−Zn系フェライトまたはMg系フェライト(Mg−Cu−Zn系フェライト)の粉体は配合、粒子の中位径によって昇温が停止する温度、詳しくは昇温が停止したと見做せる温度が設定でき、しかも、当該温度に到達すると、それ以上の電力消費を伴わないから、当該温度以上に温度が上昇することがなく、安定した溶融状態での溶着が可能となる。
なお、ここで、JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の本文及び解説の用語の定義によれば、中位径とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数(または質量)が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径(直径)、即ち、オーバサイズ50%の粒径であり、通常、メディアン径または50%粒子径といいD50と表わされる。
請求項4の発明にかかるマイクロ波誘電溶着体による溶着方法は、マイクロ波の照射により、接合される成型体接合部の母材となる熱可塑性樹脂を溶融させる特定の温度まで昇温すると当該昇温が停止する材料からなる発熱粒子と、前記成型体接合部の母材と同一の熱可塑性樹脂からなり、前記成型体接合部の母材と溶け合うことにより溶着する熱可塑性樹脂からなる溶着接合材と、前記発熱粒子及び前記溶着接合材を結合する熱硬化性樹脂からなるバインダーを具備し、前記発熱粒子及び前記溶着接合材に前記バインダーを混合し圧縮成形して一体化した後にアニールしたマイクロ波誘電溶着体を前記成型体接合部間に配し、前記マイクロ波の照射により前記マイクロ波誘電溶着体の誘電加熱を行うと共に前記成型体接合部相互間を圧縮する圧力を加えて溶着するものである。
ここで、特定の温度とは、特定の一点の昇温停止温度のみを意味するものではなく、前記マイクロ波の照射量の変化に対して昇温が停止される前であっても、温度変化の目安としては、例えば、常温からの変化が略1/10以下に減少した温度変化の状態が得られれば、それをもって「昇温が停止」と見做すことができる。
請求項1のマイクロ波誘電溶着体は、マイクロ波誘電溶着体中の発熱粒子に対してマイクロ波を照射し、それにより成型体接合部の母材となる熱可塑性樹脂を溶融させる特定の限られた温度までマイクロ波誘電溶着体を温度上昇させる。そして特定の温度になると、マイクロ波を継続照射してもこれ以上の昇温が停止する。このため、マイクロ波誘電溶着体に部分的であっても特定の温度以下の部分があると、そこにマイクロ波のエネルギが集中的に供給されて温度が上昇するため、マイクロ波誘電溶着体全体の温度の変化は殆どなくなる。ここで、溶着接合材が溶着する母材と同一材料からなることで、マイクロ波誘電溶着体に接していて溶着される成型体接合部及びマイクロ波誘電溶着体中の溶着接合材の溶融状態に違いがなくなり、母材と溶け合うことにより接合し、成型体接合部間の一体性及び密着性、シール性を得る。つまり、マイクロ波の誘電加熱によりマイクロ波誘電溶着体中の発熱粒子の温度を上昇させることで、溶着して接合させる成型体相互間の接合部を溶融するが、溶融温度に近似した温度に発熱粒子が加熱し、かつ、その加熱温度が特定の到達温度で、それ以上の昇温が停止することから、マイクロ波誘電溶着体全域の前記発熱粒子及び前記溶着接合材及びバインダーの温度が均一化されてマイクロ波誘電溶着体全体が所定の到達温度範囲に定まる。したがって、マイクロ波誘電溶着体によって溶着される母材は、形や大きさ、溶着位置によって溶着性能が左右されずに良好な溶着が行われる。
また、前記熱硬化性樹脂からなるバインダーによって、前記発熱粒子及び前記溶着接合材を一体化してマイクロ波誘電溶着体としているから、温度上昇によって前記溶着接合材が溶融してもそれだけではマイクロ波誘電溶着体の形状が変化しにくく、外力としての圧縮力によってのみ圧縮されるものであるから、前記成型体相互間の接合部に接する形状変化が少ないことから、前記成型体相互間の接合部全体に均等な圧縮力を伝えることができ、溶着が均一となる。そして、溶着後の寸法精度を確保し易くなる。
更に、前記溶着接合材は、母材と同じ材料に設定されているから、前記溶着接合材は溶着時に母材と溶け合うことにより接合密着性を得るものである。したがって、成型体の接合部の母材となる熱可塑性樹脂が、溶着後はマイクロ波誘電溶着体の前記溶着接合材と一体となるから、論理的にも、機械的強度が母材としての最大の強度にできる。このように、溶着接合材は、母材と同じ材質にし、溶着時に母材と溶け合うことで溶着強度を向上させるためにマイクロ波誘電溶着体に配される。特に、一度に複数のシール部を有する多層構造品に対し、マイクロ波誘電溶着体を挟んでマイクロ波を照射させるだけで、1回で溶着、シールを行うことができる。例えば、箱の外周面のみならず、箱の内部まで均一に溶着することができる。
加えて、本発明を実施する場合に使用する発熱粒子は、マイクロ波の照射により特定の温度まで昇温し、その昇温が停止する材料であるため電磁界の集中が起き難く、クラック、コーナー部、シャープエッジ等が存在しても、スパークの発生が抑えられ、均一で複数個を同時に加熱、溶着できる。
請求項1のマイクロ波誘電溶着体の前記発熱粒子は、前記発熱粒子及び前記溶着接合材に前記バインダーを配し圧縮成形して一体化した後にアニールしたものであるから、マイクロ波誘電溶着体は熱可塑性樹脂を母材とする成型体の熱的変化に比べて安定性が良く、溶着後も接続強度が維持でき、所望の機械的強度を有した成型体接合部間の接続ができる。
請求項2のマイクロ波誘電溶着体の前記発熱粒子は、PTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するフェライト材料としたものである。したがって、マイクロ波誘電溶着体がPTC特性を有することから、請求項1に記載の効果に加えて、前記マイクロ波の誘電加熱によって特定の温度に到達すると、それ以上の前記マイクロ波のエネルギを誘電体損失として吸収しなくなるので、特定の温度に到達するときの温度誤差が少なく、形や大きさ、溶着位置によって溶着性能が左右されなくなる。
請求項3のマイクロ波誘電溶着体の前記発熱粒子は、前記マイクロ波の照射により特定の温度まで温度上昇すると温度上昇が停止するPTC特性を有したNi−ZnフェライトまたはMg系フェライトの粉末材料としたものであるから、請求項2に記載の効果に加えて、簡単に温度特性を設定できる。例えば、温度特性は、粉末の成分、配合量、粒子の中位径の大きさによって変化させることができる。
請求項4のマイクロ波誘電溶着体による溶着方法は、接合される成型体接合部の母材となる熱可塑性樹脂を溶融させる特定の温度まで昇温すると当該昇温が停止する材料からなる発熱粒子と、前記成型体接合部の母材と同一の熱可塑性樹脂からなり、前記成型体接合部の母材と溶け合うことにより溶着する熱可塑性樹脂からなる溶着接合材と、前記発熱粒子及び前記溶着接合材を結合する熱硬化性樹脂からなるバインダーを具備し、前記発熱粒子及び前記溶着接合材に前記バインダーを混合し圧縮成形して一体化した後にアニールしたマイクロ波誘電溶着体を前記成型体接合部間に配し、前記マイクロ波の照射により前記マイクロ波誘電溶着体の誘電加熱を行うと共に、前記成型体接合部相互間を圧縮する圧力を加えて溶着する方法である。
したがって、バインダーによって一体化されている発熱粒子に対してマイクロ波を照射すると、成型体接合部の母材となる熱可塑性樹脂を溶融させる特定の限られた温度までマイクロ波誘電溶着体の温度が上昇し、特定の温度以上で昇温が停止する。このため、マイクロ波誘電溶着体中に部分的であっても特定の温度以下の部分があると、そこにマイクロ波のエネルギが集中的に供給されて昇温するため、マイクロ波誘電溶着体全体の温度の変化は殆どなくなる。
故に、成型体接合部及びマイクロ波誘電溶着体中の溶着接合材との溶融状態に違いがなくなる。また、溶着接合材が、溶着する母材と同一材料からなり、かつ、バインダーによってそれが一体化されているから、成型体接合部とマイクロ波誘電溶着体が容易に溶融接合し、成型体接合部間は一体性及び密着性、シール性を得る。そして、マイクロ波誘電溶着体はマイクロ波の誘電加熱により前記発熱粒子の温度を上昇させて、前記成型体相互間の接合部を溶融することになるが、母材及び溶着接合材の溶融温度に近似した温度に発熱粒子が加熱され、かつ、その加熱温度が特定の到達温度以上に昇温せず、溶着しようとする箇所の温度が均一化される。よって、マイクロ波誘電溶着体は、形や大きさ、溶着位置によって溶着性能が左右されない。
更に、前記マイクロ波の照射により前記マイクロ波誘電溶着体の誘電加熱を行うと共に、前記成型体接合部相互間を圧縮する圧力を加えているため、溶着時に前記成型体接合部と前記マイクロ波誘電溶着体がより密接されて良好な溶着状態が得られる。ここで、前記熱硬化性樹脂からなるバインダーによって、前記発熱粒子及び前記溶着接合材を一体化した後アニールしているから、マイクロ波誘電溶着体は温度が上昇しても溶融せずに複雑な形状変化することがない。また、溶着時に圧縮されるものであるが、変形しにくい特性を有していることから前記成型体相互間の接合部の形状変化が少なく、全体に圧縮力を伝えることができ、溶着が均一となり、溶着後の寸法精度を確保が容易になる。
そして、母材と溶け合うことで成型体の接合部と一体となる前記溶着接合材が母材と同じ材料であるから、前記溶着接合材が前記成型体接合部と溶け合うことで、より接合密着性が得られやすくなる。
このように、成型体の母材が、溶着後はマイクロ波誘電溶着体の前記溶着接合材と一体となるから、溶着される接合部の溶着強度は異種の材料を用いたときより強くできる。特に、一度に複数のシール部を有する多層構造品をマイクロ波誘電溶着体2を挟んでマイクロ波を照射させるだけで、1回で溶着、シールを行うことができる。例えば、箱の外周面のみならず、箱の内部まで均一に溶着することができる。
図1は本発明の実施の形態のマイクロ波誘電溶着体の溶着接合材配合量と母材破壊割合との関係を示す特性図である。 図2は本発明の実施の形態のマイクロ波誘電溶着体を合成樹脂成型体の溶着に使用する事例の平面図(a)及びそのA−A切断線による断面図(b)及びその接着状態を示す説明図(c)である。 図3は本発明の実施の形態のマイクロ波誘電溶着体の平面図(a)及びそのB−B切断線による断面図(b)を示す説明図である。 図4は本発明の実施の形態のマイクロ波誘電溶着体の圧縮成形時の圧縮荷重と母材の高温破壊強度との関係を示す特性図である。 図5は本発明の実施の形態のマイクロ波誘電溶着体のアニール処理温度と母材の高温破壊強度との関係を示す特性図である。 図6は本発明の実施の形態のマイクロ波誘電溶着体のアニール処理温度と溶着強度との関係を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態]
まず、成型体の母材としては、一般の熱可塑性樹脂が使用できる。例えば、エンジニアリング・プラスチック、スーパー・エンジニアリング・プラスチックを用いることができる。具体的には、ポリアミド(ナイロン、芳香族ポリアミド等)、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン等がある。そして、スーパーエンプラとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアレート、液晶ポリマー、ポリアミドイミド等が使用できる。
ここで、本発明の実施の形態としては、金属、熱硬化性樹脂からの代替として選択されている融点が約280℃の高い耐熱性及び優れた耐薬品性と難燃剤を何ら添加せずに自己消火性を実現する高機能樹脂材料として知られているポリフェニレンサルファイド(以下、単に、『PPS』という)樹脂を選択した。また、機械強度、耐熱性、耐薬品性、難燃性を維持しながら、耐衝撃性とウエルド強度を高める材料であることからもこの材料を特定したものである。
次に、本発明のマイクロ波誘電溶着体の発熱粒子としては、接合される成型体接合部の母材となる熱可塑性樹脂を溶融させる特定の温度まで昇温すると昇温が停止する材料を使用する。このような材料にはPTC特性を有する材料を用いることができる。PTC特性とは温度の上昇に伴って抵抗が上昇する正の温度係数を有する特性を指し、このPTC特性を有することによって発熱粒子は昇温と共に抵抗が上昇するため、マイクロ波の照射によって発熱粒子が昇温しても、温度が高くなると昇温し難くなり所望の温度で停止することが可能となる。
このようなPTC特性は、特定のフェライト材料や、PTCサーミスタ等が有している。このような材料を発熱粒子として用いることで特定の所望温度まで昇温させて、所望の溶着温度を維持できるマイクロ波誘電溶着体が得られる。
本発明の実施の形態では発熱粒子として特定のフェライト材料として、Ni−Zn系フェライト粉を用いている。なお、特定の温度まで昇温すると昇温が停止する材料には、PTC特性を有する材料以外にも、発熱粒子の種類、大きさ等によって、マイクロ波の照射による粒子の発熱量と粒子からの放熱量によって制御する材料も有り得る。
本発明のマイクロ波誘電溶着体には溶着時の成型体接合部と同じ熱可塑性樹脂の溶着接合材が配されている。成型体接合部の母材と同種の熱可塑性樹脂を溶着接合材として配することで成型体接合部とマイクロ波誘電溶着体が溶け合いやすくなり良好な溶着が得られやすくなる。本発明の実施の形態では母材にPPS樹脂を選択していることから溶着接合材も同種のPPS樹脂を選択している。
前述したように、発熱粒子及び溶着接合材は、粉末または粒子状等の固体であり、このままではマイクロ波誘電溶着体として所望の形状に形成することが困難である。このため、本発明のマイクロ波誘電溶着体は、発熱粒子と溶着接合材を所望の形状に形成すべく、熱硬化性樹脂をバインダーとして発熱粒子及び溶着接合材に添加している。この際、バインダーに熱硬化性樹脂を選定している理由は、熱硬化性樹脂は硬化後加熱によって溶融することがないためである。これによって溶着時にマイクロ波誘電溶着体が昇温しても形状保持ができ良好な溶着と、溶着後の形状確保が容易になる。本発明の実施の形態では発熱粒子や溶着接合材との結合力が良好となるように接着性に優れたエポキシ樹脂を選定した。ここでバインダーとしての熱硬化性樹脂として固形タイプ、液状タイプが使用できるが、液状タイプを使用すると、マイクロ波誘電溶着体中に発熱粒子や溶着接合材を均一に配しやすくなり形状形成も容易になる。
このようなバインダーが添加された発熱粒子及び溶着接合材の成形材料を圧縮成形することで、一体化したマイクロ波誘電溶着体が形成される。その後にマイクロ波誘電溶着体をアニールすることでマイクロ波誘電溶着体の形状がより強固なものとなる。したがって、バインダーは、マイクロ波誘電溶着体としての原型を維持するものであり、アニールの結果、発熱粒子及び溶着接合材を結合した形状を加熱時も保持できるようにしたものである。
即ち、マイクロ波誘電溶着体のバインダーは、直接成型体接合部間を接着するものではなく、溶着接合材が溶融し、それによって成型体接合部間を母材と同一樹脂である溶着接合材が溶着するとき、その溶着した成型体接合部間を加熱によって溶融しない熱硬化性樹脂であるバインダーで機械的に補強することができ、成型体接合部間が加熱状態にあっても機械的強度を得ることができるものである。
なお、このマイクロ波誘電溶着体として形状維持ができる熱硬化性樹脂からなるバインダーとしては、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)、ジリアルフタレート樹脂(PDAP)等の使用が可能である。
次に、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
Ni−Zn系フェライト粉からなる発熱粒子、熱可塑性樹脂のPPS粉末からなる溶着接合材、熱硬化性樹脂の液状エポキシ樹脂からなるバインダーを、所定の配合割合で混合し、所定の金型に入れて板状の長円環として圧縮成形した後に熱処理であるアニールをしてマイクロ波誘電溶着体を得た。他のマイクロ波誘電溶着体の試験片として円形、楕円形、三角形の各種サイズの異なったものも圧縮成形し、その後に熱処理して試験片として使用したが、その違いがなかったので、一般的な説明とする。
発明者らは、熱源となる発熱粒子としてNi−Zn系フェライト粉、母材と一体化できることを前提として母材と同じ種類のPPS樹脂、マイクロ波誘電溶着体として形状形成と形状維持ができる材料として熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂をバインダーとし、これらの材料を所定の配合割合で混合した成形材料を圧縮成形したものを300℃でアニールし、マイクロ波誘電溶着体としている。
発明者らが実験に使用したフェライト粉末は、Ni−Znフェライト仮焼粉(JFEケミカル(株))を使用した。このフェライト粉末の粒径は中位径(≒平均粒子径(レーザ回折・散乱法による測定))2.4μmであり、昇温停止温度は350℃である。
更に詳しくは、その配合比は、Feが64〜69wt%、CuOが7〜22wt%、ZnOが10〜22wt%、NiOが0〜4wt%である。
なお、発明者らの実験により、Ni−Zn系フェライト粉の量は、PPS粉末、エポキシ樹脂の配合割合に比較して、多いほど高効率で温度上昇でき、良好な溶着状態が得られることが判明した。
ここで、JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の本文及び解説の用語の定義によれば、中位径とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数(または質量)が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径(直径)、即ち、オーバサイズ50%の粒径であり、通常、メディアン径または50%粒子径といいD50と表わされる。定義的には、平均粒子径と中位径で粒子群のサイズを表現されるが、ここでは、商品説明の表示、レーザ回折・散乱法によって測定した値である。
そして、この「レーザ回折・散乱法によって測定した中位径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いてレーザ回折・散乱法によって得られた粒度分布において積算重量部が50%となる粒子径(D50)をいう。
また、上記数値は、厳格なものでなく概ねであり、当然、測定等による誤差を含む概略値であり、数割の誤差を否定するものではない。この誤差の観点から見ると、平均粒子径との差も僅少であり、平均粒子径=中位径と見做すこともできる。
PPS樹脂粉末は、フォートロン(ポリプラスチックス(株);W−214A)を使用した。PPS樹脂粉末は、成型体の母材がPPS樹脂とするものであるから、両者が溶融状態で一体に溶着するには母材と同じ材料となる。したがって、本実施例では、成型体接合部の母材であるPPS樹脂とマイクロ波誘電溶着体のPPS樹脂が、溶着後は一体となるから論理的にも、その母材における機械的強度が最大に接合できる。
溶着接合材であるPPS樹脂粉末は、マイクロ波誘電溶着体中の配合量によって成型体の溶着状態に差が生じることが判明した。図1はPPS樹脂からなる成型体を上記記載のマイクロ波誘電溶着体にて溶着させた後、溶着させた成型体を引っ張り、接合した成型体の接合部以外での破壊割合を示したものである。図1から分かるように、PPS樹脂の配合量が7wt%を超えると、接合した溶着部分で破断することがなくなり、全て接合部以外で破断した。また、PPS樹脂の配合量が6wt%を下回ると、溶着部分で破断する割合が多くなり、PPS樹脂の配合量が5wt%を下回ると、接合部以外の破壊が急激に減少し、接合部の溶着部分での破壊が多くなることから、配合量が5wt%を下回らないのが必要であり、溶着後の破壊形態が接合部以外の母材破壊となる最低の配合量は6wt%が好ましく、より好適には7wt%となる。
発明者らの実験により、Ni−Zn系フェライト粉の量は、PPS粉末、エポキシ樹脂の配合割合に比較して、多いほど高効率で温度上昇でき、良好な溶着状態が得られるが、発熱粒子が多くなると溶着接合材量、バインダー量が相対的に少なくなり、溶着接合材量が少なくなると接合部との接合強度が低下するため、溶着接合材の最小配合量は6wt%を確保することが望ましい。
また、バインダー量が少なくなるとマイクロ波誘電溶着体の形成が困難となるためバインダー量についても最小配合量が存在する。
マイクロ波誘電溶着体として形状維持ができる材料として用いる熱硬化性樹脂からなるバインダーは、液状の耐熱性エポキシ樹脂((株)サンライズ)を使用した。このエポキシ樹脂は、20wt%以上配合すると混合時に液状化してしまい圧縮成形不可能で使用できなくなる。また、配合量が12wt%以下となると、バインダーとしての接着力不足で成形が困難となる。したがって、バインダー量は12〜20wt%であることが必要であり、最小配合量は12wt%となる。更に望ましい範囲は14〜18wt%である。
これらのことから、本実施例のマイクロ波誘電溶着体は、PPS粉末最小配合量6wt%、エポキシ樹脂14〜18wt%、Ni−Zn系フェライト粉が74〜80wt%の配合割合で混合することが望ましい。本実施の形態からすれば、発熱粒子としてのNi−Zn系フェライト粉が74〜80wt%と、熱可塑性樹脂からなる溶着接合材最小配合量6wt%と、熱硬化性樹脂からなるバインダー14〜18wt%とを配合することになる。
ここで、Ni−Znフェライト粉以外にもMg系フェライト(Mg−Cu−Zn系フェライト)の粉体についてもその配合、粒子径によって200〜300℃に昇温停止温度が設定でき、当該昇温停止温度以上の温度に上昇しないので、当該温度に到達すると、それ以上の電力消費を行わなくなり、接合する母材に挟まれているマイクロ波誘電溶着体2の温度が均一温度となるから、一度の圧縮で安定した溶着が可能となる。また、シール性も高い溶着状態となる。
更に、PTCサーミスタにもNi−Znフェライト粉やMg系フェライト粉同様PTCの効果を有している。
即ち、PTCサーミスタに通電すると、所定の温度に到達するまでに急激に温度上昇が行なわれ、キュリー温度を超えると、温度上昇によって抵抗値が大きくなり、所定の抵抗値で平衡するから、所定以上の誘電体損失の増加が生じない。
このPTCサーミスタにおいては、希土類の配合のみではなく、例えば、Sr、Pbの配合量を制御することにより、昇温停止温度を変化させることができる。したがって、PTCサーミスタを発熱粒子10として使用することも有り得る。
このように、本発明を実施する場合の発熱粒子10は、マイクロ波の照射により特定の温度まで温度上昇するNi−ZnフェライトまたはMg系フェライトの粉末材料、またはPTCサーミスタの材料等、温度が上昇すると抵抗値が増大するという温度と抵抗値との関係が正の温度係数を有するPTC特性を有する材料が使用できる。
次に、本実施の形態におけるマイクロ波誘電溶着体の成形条件について試験した結果について説明する。試験には、PPS粉末配合量7wt%、エポキシ樹脂16wt%、Ni−Zn系フェライト粉が77wt%の配合割合で混合した成形材料を用いた。
まず、圧縮成形時の圧縮荷重によってマイクロ波誘電溶着体の物性に差が生じることが分かった。図4は圧縮成形して300℃でアニールしたマイクロ波誘電溶着体を300℃の高温中で圧縮したときのマイクロ波誘電溶着体の破壊強度と圧縮成形時の圧縮荷重の関係を示した図であり、圧縮荷重は1分間加えている。図4に示すように、圧縮荷重を15MPa、8MPa、4MPaの3段階に印加したとき、圧縮荷重の増加によって破壊強度の増加が確認された。また、4MPaから8MPaへの圧縮荷重の増加による破壊強度の増加に比べて、8MPaから15MPaへの圧縮荷重の増加による破壊強度の増加は少なくなっている。このことから、圧縮荷重の増加によって破壊強度は増加するが8MPa以上ではその効果は小さいといえる。この結果から、圧縮荷重を8MPa以上であることが望ましいと確認された。
アニール処理温度に関して、図5に処理温度を150℃、200℃、250℃、300℃としたとき、300℃の高温中でマイクロ波誘電溶着体を圧縮したときのマイクロ波誘電溶着体の破壊強度を示し、図6に、成型体を溶着して接合した後のアニールを200℃、250℃、300℃の処理温度で行ったときの150℃の温度雰囲気中での成型体接合部の溶着強度を示した。図5及び図6とも、処理温度は高温で処理するほど破壊強度、溶着強度が高くなることが分かる。また、250℃以上では破壊強度、溶着強度とも差は小さいことも判明し、アニールの処理温度は250℃以上が好適であることから最低温度は250℃であることが判明した。なお、本アニールの処理温度の試験は、処理時間は3時間であり、圧縮荷重は15MPaで行った。
次に、本実施の形態の溶着について説明する。
本実施例のマイクロ波誘電溶着体の形状は、熱可塑性樹脂の成型体接合部の形状に合わせた適宜形状とすることができ、本実施の形態ではその形状として図2(a)に示すように長円のマイクロ波誘電溶着体2とした。
そして、マイクロ波誘電溶着体2の実施例の構成は、図3(a)の長円のマイクロ波誘電溶着体2をB−B切断線で切断すると、図3(b)に示すように、マイクロ波の照射により特定の温度まで昇温すると当該昇温が停止する灰色で示した発熱粒子10、及び溶着する母材の熱可塑性樹脂と同一材料からなり、母材の熱可塑性樹脂と溶け合うことにより溶着する熱可塑性樹脂からなる白色で示した溶着接合材20と、それら発熱粒子10及び溶着接合材20を混合して一体化する熱硬化性樹脂からなるバインダー30によって構成されている。このような構成を有するマイクロ波誘電溶着体2は、発熱粒子10と溶着接合材20にバインダー30を添加して混合した成形材料を長円形の金型に充填させた後圧縮成形することで成形品とし、そして圧縮成形で得られた成形品をアニールすることでマイクロ波誘電溶着体2となる。
PPS樹脂の成型体1は、図2(b)に示すように、円筒形の空隙3を上下に分割したアッパー4とロア5から構成されており、溶着する箇所はロア5側が断面凹溝5aとし、アッパー4側が断面凸条4aとし、空隙3の周囲に形成した。ロア5側が断面凹溝5aの溝幅と、アッパー4側の凸条4aの幅は、嵌め合い嵌合する寸法差に形成されている。
そして、マイクロ波誘電溶着体2はロア5側の凹溝5aに配置され、アッパー4側の凸条4aが凹溝5aに挿着される構成となり、マイクロ波誘電溶着体2によって凸条4aのマイクロ波誘電溶着体2との接触面と凹溝5aのマイクロ波誘電溶着体2との接触面の間には隙間が生じている。そして、マイクロ波誘電溶着体2にマイクロ波が照射されるとマイクロ波誘電溶着体2は、成型体1及び溶着接合材の材料である熱可塑性樹脂の溶融温度まで昇温し、凸条4aのマイクロ波誘電溶着体2に接触している接触部及びこの接触部近傍はマイクロ波誘電溶着体2の加熱によって溶融する。また、凹溝5aのマイクロ波誘電溶着体2に接触している接触部及びこの接触部近傍もマイクロ波誘電溶着体2の加熱によって溶融する。このとき、アッパー4とロア5には成型体接合部相互間を圧縮する圧力が加わるため凸条4aと凹溝5a間のマイクロ波誘電溶着体2との接触面の隙間は減少すると共に、この隙間に溶融した熱可塑性樹脂が充填され、マイクロ波誘電溶着体2とアッパー4、マイクロ波誘電溶着体2とロア5、及びアッパー4とロア5の溶着が行われる。
このように、マイクロ波誘電溶着体2の溶着接合材20は、溶着する母材のPPS樹脂からなり、かつ、溶着時に母材のPPS樹脂と溶け合う構造が、その断面構造の一方が凹、他方が凸の噛み合わせ形状としたものであり、溶着接合材20が溶融しても、成型体の接合部から外にマイクロ波誘電溶着体2が流れ出ることがない。また、成型体相互間の接合部の溶着に所定温度域にあるマイクロ波誘電溶着体2の全体が使用されるので、場所によって接合部間の間隔が異なるということはない。
このようなメカニズムによって溶着が行われることから、マイクロ波誘電溶着体2の厚み方向の断面積は、マイクロ波誘電溶着体2が凸条4aと凹溝5aを溶融させた後に生ずるマイクロ波誘電溶着体2との接触面の隙間と嵌め合い嵌合時の隙間を合わせた凸条4aと凹溝5a間の隙間の断面積より小さくする。つまりマイクロ波誘電溶着体2の厚み方向の断面積は、マイクロ波誘電溶着体2が凸条4aと凹溝5a内に凸条4aと凹溝5aを溶融させて入り込んだ断面積となり、この断面積に相当する量が凸条4aと凹溝5aの隙間に充填される溶融樹脂量となる。したがって、アッパー4とロア5が溶着したときに生じる凸条4aと凹溝5a間の隙間の断面積より小さくなるようにマイクロ波誘電溶着体2の厚み方向の断面積を設定することで、溶融樹脂がアッパー4とロア5間の隙間から漏れ出してバリとして発生することが防げられて寸法精度が向上する。なお、マイクロ波誘電溶着体2の厚み方向の断面積は上記範囲内で溶着強度が要求性能を満足する限り小さくすることができる
以上説明してきたように、本実施の形態におけるマイクロ波誘電溶着体2は、その中に、接合される成型体接合部の母材となる熱可塑性樹脂を溶融させる特定の温度まで昇温すると当該昇温が停止する材料からなる発熱粒子を含有している。この発熱粒子10の昇温が停止される特定の温度は、一定時間内における昇温変化が、昇温が生じていても、その昇温の変化が略一定とみなすことができる温度としたものである。つまり、この特定の温度とは、特定の一点の昇温停止温度を意味するものではなく、前記マイクロ波の照射対して、温度変化の目安として、例えば、常温からの変化が略1/10以下に減少した温度変化の状態が得られれば、それをもって昇温停止と見做すことができる。即ち、昇温誤差は、それまでに供給した誘電体損失に供給したエネルギからすれば、僅かな誤差に過ぎないので、溶着に影響を与えるものではない。
このとき、外乱或いは測定方法によって誤差が入ったとしても、温度が高い個所よりも低い個所にマイクロ波のエネルギが供給されるから、温度上昇中に生ずる熱可塑性樹脂の軟化状態に影響を与えるものではなく、マイクロ波誘電溶着体2全体及びマイクロ波誘電溶着体2に接する成型体1の接合部は同じ温度となることで同じ溶融状態とすることができることから容易に均一な溶着状態での接合が得られる。このような発熱粒子10はPTC特性を有する材料が使用できる。
そして、上記実施の形態のマイクロ波誘電溶着体は、マイクロ波の照射時間と温度上昇との関係が、前記マイクロ波の照射により特定の温度まで昇温すると当該昇温が停止される材料からなる発熱粒子10と、接合する成型体の母材と同一材料からなり、前記母材と溶け合うことにより溶着する熱可塑性樹脂からなる溶着接合材20と、発熱粒子10及び溶着接合材20を混合して結合することでマイクロ波誘電溶着体2として一体化する熱硬化性樹脂からなるバインダー30とを具備するものである。
したがって、バインダー30によって一体化されている発熱粒子10に対してマイクロ波を照射し、それにより母材を溶融させる特定の限られた温度、つまり母材の溶融温度まで温度上昇させると、特定の温度で発熱粒子10自体の誘電体損失が減少しているので、発熱粒子10ではエネルギの吸収が殆ど行われなくなり温度の上昇が抑制される。このとき、マイクロ波誘電溶着体2に含有させた発熱粒子10の間に温度の差が生じてマイクロ波誘電溶着体2に温度が低い箇所が発生したとしても、温度が低い個所の発熱粒子10にエネルギが集中して消費されるから、マイクロ波誘電溶着体2全体として温度の変化は殆どなくなり、母材及び溶着接合材20との溶融状態に違いがなくなる。ここで、溶着接合材20が溶着する母材と同一材料からなり、かつ、バインダー30によって一体化されているから、母材と溶け合い混ざり合うことで溶着するため、マイクロ波誘電溶着体2と成型体1相互間の一体性及び接合部の密着性、シール性を得る。
このように、マイクロ波誘電溶着体2はマイクロ波の誘電加熱により発熱粒子10の温度を上昇させて、成形体相互間の接合したい箇所を特定の所望温度にすることができ、しかも、マイクロ波誘電溶着体2に配されている発熱粒子10は、その配置位置によって発熱粒子10の間に温度差があっても、所望の特定温度に達した発熱粒子10はそれ以上の温度上昇はなく、所望の特定温度に達しない発熱粒子10にマイクロ波が吸収して昇温が成されることから、マイクロ波誘電溶着体2全体は均一な所望温度となり、マイクロの照射中この温度が維持される。
したがって、前記マイクロ波の誘電加熱による特定の到達温度誤差が少なく、マイクロ波誘電溶着体2は、形や大きさ、溶着位置によって溶着性能が左右されない。
さらに、上記実施の形態のマイクロ波誘電溶着体2は、成型体1の接合部の断面構造の一方が凹、他方が凸の噛み合わせ形状とした溶着構造の凹断面構造の窪みの中央にマイクロ波誘電溶着体2を配置したものである。そのため、機械的強度の高い接合部間の接続ができ、溶着によって成型体1の接合部から溶融樹脂が成型体1の外面にはみ出しにくく見栄えもよいし、密閉性も容易に得ることができる。
また、上述したように、上記実施の形態のマイクロ波誘電溶着体2の発熱粒子10は、マイクロ波の照射により特定温度まで温度上昇し、特定温度を維持するものである。
そして、上記実施の形態のマイクロ波誘電溶着体の発熱粒子10は、マイクロ波の照射により特定の温度まで温度上昇するNi−ZnフェライトまたはMg系フェライトの粉末材料としたものであり、これらはPTC特性を持っている。このため簡単に温度特性を設定でき、例えば、温度特性は、粉末の成分、配合量、粒子の中位径の大きさによって制御することができる。
なお、PTC特性はNi−ZnフェライトまたはMg系フェライトの粉末材料以外にもPTCサーミスタがあり、これの粉末材料の、成分、配合量、粒子の中位径の大きさを制御して用いることも有り得る。このように、特定温度を維持するためにはPTC特性を持った材料が適している。
上記実施の形態のマイクロ波誘電溶着体のバインダー30は、発熱粒子10及び溶着接合材20を混合して圧縮成形した後にアニールして一体化したマイクロ波誘電溶着体2を形成させるものである。このため、熱硬化性樹脂からなるバインダー30は、アニール後は熱可塑性樹脂からなる母材とは異なり、熱的安定性が優れていることから、温度を上昇させても溶融によって形状が複雑に変化することがなく、また、圧縮に際しては、成型体1の接合部全体に圧縮力を伝えることができることから、成型体1の接合部の形状変化が少なく、溶着が均一となる。更に、溶着後も大きな変形がなく使用でき、機械的強度を有する接合部間の接続ができる。
そして、接合部の母材と一体となって成型体を形成させるための溶着接合材20は、接合する母材と同一材料とすることで溶着時に母材と容易に溶け合うことができ、この溶融結合によって一体性及び密着性を得るものである。したがって、成型体の母材となる熱可塑性樹脂が、溶着後はマイクロ波誘電溶着体2の溶着接合材20と一体となるから、論理的にも、機械的強度が溶着接合材20においては最大に溶着できる。
本発明の実施の形態のマイクロ波誘電溶着体による溶着方法は、マイクロ波の照射により発熱粒子10が特定の温度まで昇温すると当該昇温が停止することで、マイクロ波誘電溶着体2の温度が母材の溶融温度域に維持される。ここで、バインダー30によってマイクロ波誘電溶着体2として発熱粒子10と一体に形成している成型体1の母材と同一材料からなる溶着接合材20は、溶着時に母材と溶け合うことにより成型体1とマイクロ波誘電溶着体2が一体化され、密着性、シール性を得るように、成型体1の接合部相互間に圧力を加えて溶着するものである。
したがって、マイクロ波誘電溶着体2中の発熱粒子10に対してマイクロ波を照射し、それにより母材を溶融させる特定の限られた温度までマイクロ波誘電溶着体2を温度上昇させる。このとき発熱粒子10がPTC特性を有していると、特定の温度で発熱粒子10自体の誘電体損失が減少しているので、エネルギの吸収が行われなくなるが、マイクロ波誘電溶着体2中の発熱粒子10間に温度の差が生じていても特定温度に達した発熱粒子10はそれ以上のマイクロ波のエネルギを受けなくなり、特定温度に達しない発熱粒子10がエネルギ吸収されて特定温度まで上昇することになる。このように、発熱粒子10は形や大きさ、マイクロ波誘電溶着体2中の位置によって発熱性能が左右されない。
よって、発熱粒子10の発熱温度の変化は殆どなくなるからマイクロ波誘電溶着体2は一定温度範囲内の温度を継続して維持できる。また、マイクロ波誘電溶着体2が所定の一定温度範囲内にあることで、溶着接合材20は、その形や大きさ、位置による溶融状態に違いがなくなる。そして溶融状態に関しては接合する母材と同一材料からなることで成型体1の接合部とマイクロ波誘電溶着体2中の溶着接合材20は同じ溶融状態とすることができる。これによって母材と容易に溶け合い、良好な密着性を得ることができる。
また、熱硬化性樹脂からなるバインダー30によって、発熱粒子10及び溶着接合材20を混合してマイクロ波誘電溶着体2として一体化しているから、発熱粒子10及び溶着接合材20の形状を、接合される成型体の必要とされる溶着部位となる接合部の形状に合わせて形成することができ、さらに、温度を上昇させてもマイクロ波誘電溶着体2が溶融して変形することがなく、圧縮されるものであるから、成型体1の接合部全体に圧縮力を伝えることができ、溶着が均一となる。そして、溶着接合材20は、接合する母材と同一材料からなり溶着時に母材と溶け合うことによりマイクロ波誘電溶着体2と成型体1を一体化し接合部間の密着性を得るものであり、溶着強度を向上させるものである。よって、成型体の母材となる熱可塑性樹脂が、溶着後はマイクロ波誘電溶着体2の溶着接合材20と一体となるから、論理的にも、機械的強度が溶着接合材20において最大に接合できる。ここで、溶着接合材20が溶着に寄与するものであるから、少なくともその一部はマイクロ波誘電溶着体2の最外層に存在する必要がある。
また、本発明の実施の形態のマイクロ波誘電溶着体2は主に環状で、アッパー4側の凸条4aの下端とロア5側の凹溝5aの底面との間にマイクロ波誘電溶着体2の多くが収容される事例で説明したが、本発明を実施する場合には、線状、円状等、ループ形状でなくてもよく、複数の複雑な樹脂製成型体1を溶着する場合には、溶着する接合部の形状に合わせて適宜異なった形状のマイクロ波誘電溶着体2の形状を使用することができる。
このようなマイクロ波誘電溶着体2を使用することで、一度に複数のシール部を有する多層構造品をマイクロ波誘電溶着体2を挟んでマイクロ波を照射させるだけで、1回で溶着、シールを行うことができる。例えば、箱の外周面のみならず、箱の内部まで均一に溶着することができる。
更に、本発明を実施する場合に使用する前記マイクロ波の照射により特定の温度まで昇温する材料は、単なる抵抗体による誘電加熱ではなく、前記マイクロ波の照射により特定の温度まで昇温し、当該昇温が停止されるフェライト等の材料であるから、クラック、コーナー部、シャープエッジ等が存在しても、スパークが発生することなく、均一で複数個を同時に加熱、溶着できる。
加えて、上記実施の形態のマイクロ波誘電溶着体のバインダー30は、部品寸法のバラツキを吸収することで、溶着後の寸法精度を確保できる。
上記実施の形態のマイクロ波誘電溶着体は、自動車部品、自動車外部品の油圧制御が必要な部品の油圧制御ブロック、燃料電池のセパレータ等、多層の樹脂部品を固定して組み立てる成形品、インテークマニホールド、リザーバタンク等のように多数回の繰り返し溶着をしている成形品、複数の配管やホースをまとめてインテークマニホールドのように分岐させ、分割・接合する成形品、異種材料の接合が必要な部品の溶着に使用できる。
2 マイクロ波誘電溶着体
3 空隙
4 アッパー
4a 凸条
5 ロア
5a 凹溝
10 発熱粒子
20 溶着接合材
30 バインダー

Claims (4)

  1. マイクロ波の照射により、接合される成型体接合部の母材となる熱可塑性樹脂を溶融させる特定の温度まで昇温すると当該昇温が停止する材料からなる発熱粒子と、
    前記成型体接合部の母材と同一の熱可塑性樹脂からなり、前記成型体接合部の母材と溶け合うことにより溶着する溶着接合材と、
    前記発熱粒子及び前記溶着接合材を結合する熱硬化性樹脂からなるバインダーと
    を具備し、
    前記発熱粒子及び前記溶着接合材に前記バインダーが配された成形材料を圧縮成形により一体化した成形品がアニールされてなることを特徴とするマイクロ波誘電溶着体。
  2. 前記発熱粒子は、PTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するフェライト材料としたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波誘電溶着体。
  3. 前記発熱粒子は、Ni−ZnフェライトまたはMg系フェライトの粉末材料としたことを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波誘電溶着体。
  4. マイクロ波の照射により、接合される成型体接合部の母材となる熱可塑性樹脂を溶融させる特定の温度まで昇温すると当該昇温が停止する材料からなる発熱粒子と、
    前記成型体接合部の母材と同一の熱可塑性樹脂からなり、前記成型体接合部の母材と溶け合うことにより溶着する熱可塑性樹脂からなる溶着接合材と、
    前記発熱粒子及び前記溶着接合材を結合する熱硬化性樹脂からなるバインダーを具備し、
    前記発熱粒子及び前記溶着接合材に前記バインダーを混合し圧縮成形して一体化した後にアニールしたマイクロ波誘電溶着体を前記成型体接合部間に配し、
    前記マイクロ波の照射により前記マイクロ波誘電溶着体の誘電加熱を行うと共に、前記成型体接合部相互間を圧縮する圧力を加えて溶着することを特徴とするマイクロ波誘電溶着体による溶着方法。
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