JP6499903B2 - 電気ブレーキ倍力装置 - Google Patents

Description

本発明は、ブレーキペダルによって操作されるコントロールピンと結合されているブレーキ回路マスターシリンダを制御する電気ブレーキ倍力装置であって、
操作ピストンを受容しているブレーキ倍力装置本体であって、前記操作ピストンが電動機によって並進駆動されてマスターシリンダピストンを補助ピストンを用いて送りピストンによって変位させる、前記ブレーキ倍力装置本体と、
前記補助ピストン内で滑動し、前記ブレーキペダルと結合されている前記コントロールピンと結合されているプランジャーと、
を含み、
前記プランジャーが、通常のブレーキ操作の開始時に、前記送りピンと接触することなく、作用ばねの反力に抗してわずかな距離を自由に前進運動し、前記ブレーキペダルの非常に迅速で力強い操作の場合に、または、前記電気ブレーキ倍力装置の故障の場合に、前記送りピンをダイレクトに変位させ、
前記作用ばねが前記補助ピストンに関して戻されることで、該作用ばねがブレーキ操作の終了時に前記プランジャーを無負荷ブレーキペダル位置へ復帰させる、
ようにした前記電気ブレーキ倍力装置に関するものである。

このような電気サーボブレーキ１００Ａ（図３Ａ、図３Ｂ）は公知であり、本体１Ａから形成され、本体はブレーキマスターシリンダと結合され、且つ操作ピン１０２Ａを介してブレーキペダルと結合されている。全体は軸線ＸＸに対し指向しており、マスターシリンダは車輪ブレーキ回路と結合されている。本体１Ａは電動機を備え、電動機は互いに連結されている２つのまっすぐなピニオン２Ａ，２’Ａを駆動し、これらのピニオンはそれぞれラック３Ａ，３’Ａと噛み合い、これらのラックはブレーキ倍力装置の本体１Ａの筒状受容座１１Ａ内を滑動する操作ピストン４によって担持される。操作ピストン４Ａは補助ピストン６Ａを有し、補助ピストンはマスターシリンダに作用する送りピン７Ａを受容している。ピン７Ａのヘッド７１Ａは補助ピストン６Ａの手前の中空空間６１Ａ内にあり、その後面で反応円板７２Ａを担持している。補助ピストン６Ａは、反応円板７２Ａで支持されることで送りピン７Ａを変位させる。補助ピストン６Ａは操作ピストン４Ａ内を滑動し、プランジャー８Ａを受容し、プランジャーは軸線に沿って可動であり、その前端８１Ａは、反応円板７２Ａの、軸線ＸＸに隣接している部分に対向して設けられている、中間ピストン８２Ａで支持される。プランジャー８Ａは、補助ピストン６Ａの後部中空空間６２Ａの底部で支持されている作用ばね９Ａによって、後方へ戻される。補助ピストン６Ａはカラー６３Ａを有し、カラーは操作ピストン４Ａの手前にあり、補助ピストンの復帰ばね４１Ａで支持されている。

通常の作動条件のもとでは（図３Ａ）、ブレーキペダルの操作はコントロールピン１０２Ａの前進運動（矢印Ｆ１）へ移行され、この前進運動は図示していない変位センサによって検出され、変位センサは電気ブレーキ倍力装置１００Ａを操作し、電気ブレーキ倍力装置はラック３Ａ，３’Ａを介して操作ピストン４Ａを駆動し、操作ピストンは、カラー６３Ａで支持されていることにより補助ピストン６Ａを駆動し、補助ピストンは反応円板７２Ａを介して送りピン７Ａを、よってマスターシリンダを変位させる。この運動は復帰ばね４１Ａの圧縮のもとに行なわれる。

緊急モードでの異常な作動条件のもとでは（図３Ｂ）、電気ブレーキ倍力装置１００Ａが故障し、それ故不動状態に留まっていることが想定され、すなわちブレーキペダルを介して作用する機械的作用のみが以下の条件のもとで緊急ブレーキを可能にするように、不動状態に留まる。すなわちコントロールピン１０２Ａは前進移動して、プランジャー８Ａを反応円板７２Ａのほうへ、よって送りピン７Ａのほうへ変位させ、送りピンはマスターブレーキシリンダを操作して、ブレーキ回路のブレーキ液に圧力を生じさせる。

プランジャー８Ａの後端８３Ａは補助ピストン６Ａで支持されているが、補助ピストンは復帰ばね４１Ａを圧縮させる必要がある。それ故、上記緊急ブレーキ運動のためには、ブレーキペダルに生成される力が支持ばね４１Ａによって生成される力よりも大きくなるようにして、送りピン７Ａを前進させねばならない。

本発明の課題は、ブレーキ倍力装置とは独立に緊急ブレーキを実施するために作用すべき力を小さくさせるために、緊急モード時および電気ブレーキ倍力装置の故障時のブレーキ倍力装置の機能態様を改善することができる電気ブレーキ倍力装置を開発することである。

このため、本発明は、上で定義したタイプの電気ブレーキ倍力装置を対象として以下の点を特徴とし、すなわち、
操作ピストンの復帰ばねとピストンとの間に差し込まれている支持スリーブを含み、該スリーブが、送りピンの後端の前面に対し作用してこれを補助ピストンの前部中空空間の底部のほうへ押し戻すばねのための支持部を形成し、
補助ピストンが、ブレーキ倍力装置の操作方向における操作ピストンによる該補助ピストンの駆動結合を介して操作ピストンと結合され、しかしプランジャーの操作の初期段階においては、復帰ばねと結合することなく、コントロールピンによって自由に前進移動するができる、
ことを特徴とするものである。

このブレーキ倍力装置には、動力伝達部をその静止位置へ戻すために必要な力と、電気ブレーキ倍力装置のモータの故障の場合にペダルを踏むドライバーの作用に反作用する抵抗力とを互いに切り離すという利点がある。

ブレーキ倍力装置の故障の場合に、または、緊急ブレーキ操作を極めて迅速に行なわねばならない場合には、コントロールピン１０２から滑動ピストン８へ作用する送りはダイレクトに反応円板７２へ伝達され、従ってコントロールピンの端部７１へ伝達される。この運動は送りピンの前進運動の最初の段階の間に中間ばね５３を簡単に圧縮させ、しかもこの初期段階の間に、復帰ばね４１によって生成される比較的大きな力を克服する必要がない。すなわち復帰ばねは、通常の作動条件のもとで且つブレーキ倍力装置の機械要素の制動段階の後にはその静止位置または初期位置へ復帰せざるをえない。操作ピストンのみが重要なばかりでなく、ピニオンを備えたラックが設けられているために、モータまでの機械的動力伝達も重要である。

従って初期の力は比較的小さいので、敏速であり、その結果ブレーキを非常に迅速に開始することができる。本発明によるブレーキ倍力装置によって可能になるこの緊急機能は、安全性に対する付加的な要因を形成するとともに、さらにドライバーの疲労の軽減および復帰ばねを直接圧縮させるために必要な力を迅速且つ力強く作用させることのできない人のための簡単な緊急介入自体に対する要因を形成する。

他の有利な構成要件によれば、中間スリーブは、復帰ばねと操作ピストンとの間に差し込まれている後部カラーと、中間ばねのための支持部として用いられる前部カラーとを含んでいる。

中間スリーブのこの実施態様は、電気ブレーキ倍力装置の構造の完全な改変を必要としないので、有利である。

更なる有利な構成要件によれば、中間スリーブは、送りピンによる前記ばねの圧縮を制限するストッパーを含んでいる。

特に、ストッパーはスリーブであり、該スリーブは、中間スリーブの前部カラーによって担持され、且つ中間ばねを受容する周囲受容座を形成している。

このストッパーは中間ばねの保護部であり、第２の機能段階で復帰ばねを変位させるために送りピンに作用する力によって中間ばねが拡大するのを回避させる。

次に本発明を電気ブレーキ倍力装置を用いてより詳細に説明するが、この電気ブレーキ倍力装置は、添付の図面に非常に概略的に図示されており、同様に非常に概略的に図示した公知の電気ブレーキ倍力装置との比較によって図示されている。

本発明によるブレーキ倍力装置を静止位置で示した図である。 緊急操作開始時のブレーキ倍力装置を示す図である。 ブレーキ倍力装置を緊急ブレーキの主要段階で示した図である。 公知の電気ブレーキ倍力装置を静止位置で示した図である。 公知の電気ブレーキ倍力装置を緊急操作位置で示した図である。

本発明の対象である電気ブレーキ倍力装置１００は本体１から形成され、本体は、詳細に示していないブレーキマスターシリンダ１０１と、操作ピン１０２を介してブレーキペダル１０３とに結合されている。

全体は軸線ＸＸに対し指向している。マスターシリンダ１０１は車輪のブレーキ回路と結合されている。

本体１は電動機を担持しており、電動機は、（図示していない）機械的動力伝達部を介して、互いに連結されている２つのまっすぐなピニオン２，２’を駆動し、これらピニオンはそれぞれラック３，３’と噛み合い、これらラックは操作ピストン４によって担持され、操作ピストンはブレーキ倍力装置の本体１の筒状受容座１１内を滑動する。これら全体が、電気ブレーキ倍力装置１００とマスターシリンダ１０１とコントロールピン１０２とによって形成されているシステムの軸線ＸＸに沿って可動である。通常どおり、ブレーキ倍力装置の正面ＡＶはマスターシリンダ１０１の側にあり、背面ＡＲはブレーキペダル１０３の側にある。

ブレーキ倍力装置は、液圧作動液を加圧して車両の車輪ブレーキ回路へ提供するマスターシリンダ１０１のピストンを制御するために、矢印ＦＡＶに沿って作用する。逆方向での運動ＦＡＲは、ブレーキ倍力装置１００およびコントロールピン１０２の構成要素がその静止位置または「ブレーキペダルによって無負荷にされる位置」１０３へ運動することを示している。

ペダル１０３は、ブレーキ操作のために新たに操作された場合、コントロールピン１０２を前記静止位置から、すなわちブレーキペダル１０３によって無負荷にされる位置から変位させる。この運動は、操作ピストン４の前進運動を制御するセンサによって検出され、後述するようにマスターシリンダ１０１のピストンに作用する。コントロールピン１０２と結合されているプランジャー８は、該プランジャー８が反応円板７２と接触することなく、ブレーキペダル１０３の操作の作用で前進移動する。

ペダル１０３がコントロールピン１０２を操作したときのブレーキ操作の開始から、電気ブレーキ倍力装置１００の操作までの自由な軌道は、「作用軌道」と呼ばれる。

操作ピストン４は、本体１の前壁１２で支持されている復帰ばね４１の作用のもとにある。

すなわち操作ピストン４は、本体１の筒状受容座１１内を滑動し且つ直径方向に対向しあっている２つの位置で軸線ＸＸに平行な２つのラック３，３’（前述したようにそれぞれピニオン２，２’の１つと噛み合っている）を担持している筒状形状の１つの構成要素により形成されている。

操作ピストン４は補助ピストン６を受容しており、補助ピストンは送りピン７を受容し、送りピンは、システムの軸線ＸＸに沿ってマスターシリンダ１０１のピストンに対し作用し、該送りピンには、送り方向に作用する駆動ストッパー（図示せず）を介してマスターシリンダのピストンが結合されている。送りピン７はヘッド７１を有し、ヘッドは筒状の中空空間６１内で補助ピストン６の前方を滑動し、その後面に反応円板７２を担持している。補助ピストン６は、反応円板７２Ａで支持されていることで、送りピン７を押している。操作ピストン４内で滑動する補助ピストン６はプランジャー８を受容し、プランジャーは軸線ＸＸに沿って可動であり、その前端８１は、反応円板７２の、軸線ＸＸに隣接している部分に対向している、中間ピストン８２で支持されている。

プランジャー８の後端８３（拡大して図示してある）は、自在継ぎ手結合部を介して、コントロールピン１０２の前端と結合されている。拡大して図示したこの端部８３は、特に補助ピストン６の後部中空空間６２の底部６２１で支持されている作用ばね９により、後方へ押し戻される。図１に示した静止位置では、補助ピストン６は、プランジャー８の後端８３と同様に、本体１の受容座１１の底部１３上で支持されている。

支持スリーブ５は、復帰ばね４１と操作ピストン４との間に差し込まれている。この支持スリーブ５は、操作ピストン４に当接して復帰ばね４１の後端のための支持部として用いられる後部カラー５１と、中間ばね５３のための支持部として用いられる前部カラー５２とを含んでいる。

中間ばね５３はその他端でもって送りピン７のヘッド７１の前面で支持されている。中間ばね５３は復帰ばね４１の力よりも小さな力を生じさせ、すなわちブレーキ倍力装置１００が故障した場合に、および／または、ブレーキペダル１０３の迅速で力強い操作の場合に、プランジャー８が作用ばね９を圧縮させて中間ピストン８２を介して反応円板７２で支持され、従って中間ピストンが送りピン７を変位させ、その際に中間ばね５３を支持スリーブ５内で使用可能なすべての軌道上で圧縮させるように力を生じさせる。この軌道は、ばね５３の拡大を回避するために、たとえば凹部の形態の、または、送りピン７を取り囲むスリーブの形態の支持スリーブの内側ストッパー５４によって画成されている。このスリーブはたとえば中間スリーブの前部カラーと固定結合されて、中間スリーブ内部に周囲受容座を形成し、中間ばね５３を受容する。前記軌道は、ばね５３の圧縮の際にマスターシリンダ１０１によって特定のブレーキ液圧をブレーキ回路内に生成させる（図２Ａ）。この運動の経過中に復帰ばね４１は使用しない。

ブレーキペダル１０３に対する圧力がそのまま持続して、復帰ばね４１によって生成される力を越えると、復帰ばねは、支持スリーブ５での送りピン７のヘッド７２の支持によって変位せしめられるスリーブ５の後部カラー５１の前進運動により圧縮され、これはより強いブレーキ作用に移行する（図２Ｂ）。

本出願の意味での送りピン（７）は、ブレーキ倍力装置の出力要素と考えることもできる。同様にコントロールピンは、ブレーキ倍力装置の入力要素と考えられる。

１００ 電気ブレーキ倍力装置
１０１ マスターシリンダ
１０２ コントロールピン
１０３ ブレーキペダル
１ 電気ブレーキ倍力装置の本体
１１ 筒状受容座
１２ 前壁
１３ 底部
２，２’ 互いに連結されるピニオン
３，３’ ラック
４ 操作ピストン
４１ 復帰ばね
５ 支持スリーブ
５１ 後部カラー
５２ 前部カラー
５３ 中間ばね
５４ 内側ストッパー
６ 補助ピストン
６１ 前部筒状中空空間
６２ 後部筒状中空空間
６２１ 底部
７０ 送りピン
７１ ヘッド
７２ 反応円板
８ プランジャー
８１ 前端
８２ 中間ピストン
８３ 後端
９ 作用ばね
１００Ａ 電気ブレーキ倍力装置
１０１Ａ マスターシリンダ
１０２Ａ コントロールピン
１０３Ａ ブレーキペダル
１Ａ 電気ブレーキ倍力装置の本体
１１Ａ 筒状受容座
１２Ａ 前壁
１３Ａ 底部
２，２’Ａ 互いに連結されるピニオン
３，３’Ａ ラック
４Ａ 操作ピストン
４１Ａ 復帰ばね
６Ａ 補助ピストン
６１Ａ 前部筒状中空空間
６２Ａ 後部筒状中空空間
７Ａ 送りピン
７１Ａ ヘッド
７２Ａ 反応円板
８Ａ プランジャー
８１Ａ 前端
８２Ａ 中間ピストン
８３Ａ 後端
９Ａ 作用ばね

Claims (4)

1. ブレーキペダルによって操作されるコントロールピンと結合されているブレーキ回路マスターシリンダを制御する電気ブレーキ倍力装置であって、
   操作ピストンを受容しているブレーキ倍力装置本体であって、前記操作ピストンが電動機によって並進駆動されてマスターシリンダピストンを補助ピストンを用いて変位させ、該補助ピストンが前記マスターシリンダピストンと結合されている送りピンに作用する、前記電気ブレーキ倍力装置本体と、
   前記補助ピストン内に滑動するように収納され、前記ブレーキペダルと結合されている前記コントロールピンと結合されているプランジャーと、
   を含み、
   前記プランジャーが、ブレーキ操作の開始時に、前記送りピンと接触することなく、作用ばねの作用に反してわずかな距離を自由に前進運動し、前記ブレーキペダルの非常に迅速で力強い操作の場合に、または、前記電気ブレーキ倍力装置の故障の場合に、前記送りピンをダイレクトに変位させ、
   前記作用ばねが前記補助ピストンに関して戻されることで、該作用ばねがブレーキ操作の終了時に前記プランジャーを無負荷ペダル位置へ復帰させる、
   ようにした前記電気ブレーキ倍力装置において、
   前記電気ブレーキ倍力装置が、前記操作ピストン（４）の復帰ばね（４１）と前記操作ピストン（４）との間に差し込まれている支持スリーブ（５）を含み、該支持スリーブ（５）が、前記送りピン（７）の後端（７１）の前面に対し作用してこれを前記補助ピストン（６）の前部中空空間（６１）の底部のほうへ押し戻す中間ばね（５３）のための支持部（５２）を形成し、
   前記補助ピストン（６）が、前記電気ブレーキ倍力装置（１００）の操作方向（ＦＡＶ）における前記操作ピストン（４）による該補助ピストン（６）の駆動結合によって前記操作ピストン（４）と結合され、しかし前記プランジャー（８）の操作の初期段階においては、前記復帰ばね（４１）と結合することなく、前記コントロールピン（１０２）によって自由に前進移動する、
   ことを特徴とする電気ブレーキ倍力装置。
2. 前記支持スリーブ（５）が、前記復帰ばね（４１）と前記操作ピストン（４）との間に差し込まれている後部カラー（５１）と、前記中間ばね（５３）のための支持部として用いられる前部カラー（５２）とを含んでいることを特徴とする、請求項１に記載の電気ブレーキ倍力装置。
3. 前記支持スリーブ（５）が、前記送りピン（７）による前記中間ばね（５３）の圧縮を制限するストッパー（５４）を含んでいることを特徴とする、請求項２に記載の電気ブレーキ倍力装置。
4. 前記ストッパー（５４）が凹状のスリーブであり、該凹状のスリーブが、前記スリーブ（５）の前記前部カラー（５２）によって担持され、且つ前記中間ばね（５３）を受容する周囲受容座を形成していることを特徴とする、請求項３に記載の電気ブレーキ倍力装置。

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