JP6499867B2 - 回転コネクタ、回転ストップ機構及び回転体ストッパ - Google Patents

回転コネクタ、回転ストップ機構及び回転体ストッパ Download PDF

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Description

本発明は、回転体と固定体との間で電気信号を伝送するための回転コネクタ、及び回転体と固定体とを中立位置に仮固定するための回転体ストッパに関するものである。
回転コネクタは、例えば、自動車の操舵装置としてのステアリング軸(回転体)と車体側(固定体)との間で電気信号を伝送するための接続装置である。ステアリングは繰り返し操舵されるため、何度操舵を繰り返してもステアリング信号やエアバッグ信号の伝送を維持する必要があり、回転体と固定体との間で電気的導通を確保するために回転コネクタが用いられる。
また、回転コネクタは、製品出荷時にフラットケーブルの正規位置(中立位置)において、回転体と固定体とを仮固定するための回転体ストッパを有する。
特許文献1には、上記回転体ストッパに関連する技術として、フラットケーブルの中立位置において、回転体と固定体とを仮固定するための中立固定ピンの構成が開示されている。
中立固定ピンの先端部は、スナップイン構造で回転コネクタに装着され、回転体と固定体とを中立位置に仮固定する。回転コネクタの仮固定を解除する際には、回転コネクタの中間部に形成された脆弱部から基端部側を折り取って、先端部を回転コネクタに残留させるようになっている。
回転コネクタに中立固定ピンの先端部を残留させることで、回転コネクタが中立位置に固定されたていたという履歴が残るようになっている。
特開2004−362974号公報
ところで、特許文献1に記載された中立固定ピンは、樹脂の弾性変形を利用して、当該中立固定ピンの先端側を歪ませて挿入するスナップイン構造を有する。従来の中立固定ピンのスナップイン構造は一方向のみの撓み力を利用していたので、保持力が弱かった。
そのため、回転コネクタに残留させた中立固定ピンの先端部が外部からの衝撃で外れてしまうおそれがあった。他方、中立固定ピンの残留部が外れに難いようにスナップイン部の剛性を高めて撓み難く構成すると、回転コネクタへ中立固定ピンを組み込む際に、当該中立固定ピンが挿入し難くなるという問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転体を固定体に小さな力で仮固定でき、かつ仮固定を解除するために切断部を切断した後に回転ストップ機構の残存部が外部からの衝撃を受けても外れない回転コネクタ、回転ストップ機構及び回転体ストッパを提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明に係る回転コネクタは、環状の固定体と、前記固定体の内側もしくは外側に配され、当該固定体に対して相対的に回転操作される環状の回転体と、前記回転体と前記固定体との間で電気的導通を確保すると共に、前記回転体の回転に従って所定の中立位置からの回転ずれが許容されるケーブルと、前記ケーブルの中立位置において前記回転体と前記固定体とを連結して前記回転体を回転不能に仮固定し、当該仮固定を解除するために切断可能な切断部を備えた回転ストップ機構とを有し、前記回転ストップ機構は、係合部と、前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で弾性変形して第1の弾性力に抗して前記係合部を移動させる変形許容部と、前記係合部を係止するための係止部と、前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で前記係合部と係合して前記変形許容部を第1の弾性力に抗して弾性変形させ、前記係合部が前記係止部で係止される位置に達すると前記変形許容部による弾性変形を解除する変形付与部と、前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で、前記変形許容部または前記係止部と係合して第2の弾性力に抗して変形することで前記係合部の移動を許容し、前記変形許容部の弾性変形が前記解除されると、前記第1の弾性力に抗する向きの前記係合部の移動を規制するように前記第2の弾性力に応じて変形して、前記係止部から前記係合部が外れることを不能とする変形規制部とを有する。
この構成によれば、前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で、前記変形許容部が弾性変形して第1の弾性力に抗して前記係合部を移動させる。このとき、変形規制部が、前記変形許容部または前記係止部と係合して第2の弾性力に抗して変形することで前記係合部の移動を許容する。
そして、前記係合部が前記係止部で係止される位置に達すると、前記変形付与部が前記変形付与部による弾性変形を解除し、前記係合部が前記係止部で係止される。
前記変形許容部の弾性変形が前記解除されると、変形規制部は、前記第1の弾性力に抗する向きの前記係合部の移動を規制するように前記第2の弾性力に応じて変形して、前記係止部から前記係合部が外れることを不能とする。
従って、本発明に係る回転コネクタは、前記係止部を前記係合部に装着するのに大きな力を必要とせず、かつ装着完了後には外部からの衝撃を受けても前記係合部が前記係止部から外れない。
好適には、本発明の回転コネクタの前記回転ストップ機構は、前記固定体および前記回転体とは独立した回転体ストッパと、前記固定体および前記回転体の一方に形成され前記回転体ストッパを離脱不能に装着する回転ストッパ装着部とを有し、前記係合部および前記変形許容部は、前記回転ストッパおよび前記回転ストッパ装着部の一方に形成され、前記係止部、前記変形付与部および前記変形規制部は、前記回転ストッパおよび前記回転ストッパ装着部の他方に形成されている。
この構成によれば、前記回転体ストッパと前記回転ストッパ装着部とが離脱不能に装着される。
好適には、本発明の回転コネクタは、前記回転体を前記固定体に仮固定する際の移動方向と直交する方向で対向して位置する2つの前記係合部と、前記2つの係合部にそれぞれ対応して設けられた2つの前記変形許容部と、前記直交する方向で対向して位置する2つの前記係止部と、前記2つの係止部にそれぞれ対応して設けられた2つの前記変形付与部とを有し、前記2つの変形付与部は、前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で、前記2つの係合部と係合して、当該2つの係合部の前記直交する方向の距離が狭まる向きに、前記2つの変形許容部を弾性変形させ、前記変形規制部は、前記係合部が前記係止部に係止された場合に、前記2つの係止部の間、あるいは前記2つの変形付与部の間に位置して、前記2つの係合部が前記直交する方向の距離が狭まる向きに移動することを規制する。
この構成によれば、比較的簡単な構成で、仮固定を解除するために切断部を切断した後に回転ストップ機構の残存部が外部からの衝撃を受けても外れ難くすることができる。
好適には、前記変形付与部は、前記係合部を案内するための案内部を有する。この構成によれば、変形付与部が案内部を有することにより、前記回転体を前記固定体に仮固定する際に、前記変形付与部が前記係合部を案内して変形許容部を容易に弾性変形させることができる。
好適には、前記変形規制部は、前記回転体の回転方向と直交する方向に進出して、前記変形許容部の前記弾性変形を規制する。
この構成によれば、前記変形規制部が前記回転体の回転方向と直交する方向に進出するので、前記変形規制部は前記係合部が前記係止部から外れることを防止機能のみならず、回転体の回転止めの補強機能を兼ね備えている。
好適には、前記変形規制部は、前記係合部が前記係止部に係止された場合に、前記2つの係止部の間及び前記2つの変形付与部の間の略全域を埋めるように位置して、前記回転体を前記固定体に仮固定する際の移動方向と直交する方向の距離が狭まる向きに前記2つの係合部が移動することを規制する。
この構成によれば、前記変形規制部によって、回転ストップ機構の強度を高めることができる。
本発明の回転ストップ機構は、環状の固定体と、前記固定体の内側もしくは外側に配され該固定体に対して相対的に回転操作される環状の回転体とを、所定の中立位置において連結して前記回転体を回転不能に仮固定する回転ストップ機構であって、係合部と、前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で弾性変形して第1の弾性力に抗して前記係合部を移動させる変形許容部と、前記係合部を係止するための係止部と、前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で前記係合部と係合して前記変形許容部を第1の弾性力に抗して弾性変形させ、前記係合部が前記係止部で係止される位置に達すると前記変形付与部による弾性変形を解除する変形付与部と、前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で、前記変形許容部または前記係止部と係合して第2の弾性力に抗して変形することで前記係合部の移動を許容し、前記変形許容部の弾性変形が前記解除されると、前記第1の弾性力に抗する向きの前記係合部の移動を規制するように前記第2の弾性力に応じて変形して、前記係止部から前記係合部が外れることを不能とする変形規制部とを有する。
本発明の回転ストッパは、回転体と固定体とを連結して、前記回転体を回転不能に仮固定するための回転体ストッパであって、前記回転体を支持するための支持部と、前記固定体に形成された回転体ストッパ装着部への装着方向の先端部側に設けられ、弾性変形可能な変形許容部と係合部とを有し、前記回転体ストッパ装着部への装着過程で前記変形許容部を弾性変形させて装着方向に移動するスナップイン部と、前記装着方向の基端側を折り取るための切り欠き部と、前記スナップイン部を前記回転体ストッパ装着部に装着した後に前記変形許容部が前記弾性変形しないように規制する変形規制部とを有する。
本発明によれば、回転体を固定体に小さな力で仮固定でき、かつ仮固定を解除するために切断部を切断した後に回転ストップ機構の残存部が外部からの衝撃を受けても外れない回転コネクタ、回転ストップ機構及び回転体ストッパを提供できる。
本発明の一実施形態に係る回転コネクタの外観を示す斜視図である。 本実施形態に係る回転コネクタの要部を拡大して示す部分斜視図である。 本実施形態の回転体ストッパを内側から観た斜視図である。 本実施形態の回転体ストッパを外側から観た裏面図である。 本実施形態に係る回転コネクタの回転体ストッパ挿入前における要部を拡大して示す部分斜視図である。 本実施形態における固定体の挿入部の上面側から観た斜視図である。 本実施形態における固定体の挿入部の下面側から観た斜視図である。 本実施形態における固定体の挿入部の幅方向の縦断面図である。 本実施形態の回転体ストッパの挿入途中の状態を示す一部破断図である。 本実施形態の回転体ストッパの挿入途中の状態を示す幅方向の縦破断図である。 図9のX−X線断面図である。 本実施形態の回転体ストッパの挿入完了状態を示す一部破断図である。 本実施形態の回転体ストッパの挿入完了状態を外側から観た斜視図である。 図13のY−Y線断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る回転コネクタを説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る回転コネクタの外観を示す斜視図である。図2は本実施形態に係る回転コネクタの要部を拡大して示す部分斜視図である。
本実施形態に係る回転コネクタは、例えば、自動車の操舵装置としてのステアリング軸(回転体)と車体側(固定体)との間で電気信号を伝送するための接続装置である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る回転コネクタ1は、ケーブルケーシング10を備えている。
ケーブルケーシング10は、環状の固定体12及び環状の回転体14を有する。本実施形態では、環状の固定体12としての外側固定ケーシングの内側に、環状の回転体14としての内側回転ケーシングが配されている。
内側回転ケーシングは、外側固定ケーシングに対して相対的に軸芯線を中心に正逆両方向に回転操作される。
これら外側固定ケーシングと内側回転ケーシングとの間には、環状空間13が形成されている。環状空間13内には、回転体14と固定体12との間で電気的導通を確保するためのケーブル20が収容されている。
本実施形態のケーブル20としては、例えば、可撓性を有するフラットケーブルが採用される。フラットケーブル20は、環状空間13に渦巻状に巻回されて収容され、回転体14の回転に従って初期の中立位置からの巻締め又は巻戻しの回転ずれが許容される。
回転体14の上には、フラットケーブル20の一端が電気的に接続された回転コネクタ部21が設けられ、固定体14には、フラットケーブル20の他端が電気的に接続された不図示の固定コネクタ部が設けられている。
本実施形態に係る回転コネクタ1は、フラットケーブル20の初期の正規位置(中立位置)において回転体14と固定体12とを連結して、回転体14を回転不能に仮固定するための回転体ストッパ30を備えている。
回転体ストッパ30は、回転体14を凹凸構造により回転不能に仮固定すると共に、固定体12に形成された回転ストッパ装着部40に挿入固定される。
本実施形態の回転体ストッパ30と回転ストッパ装着部40とで、回転ストップ機構60が構成される。
次に、図3及び図4を参照して、回転体ストッパ30について詳しく説明する。
図3は本実施形態の回転体ストッパを内側から観た斜視図である。図4は本実施形態の回転体ストッパを外側から観た裏面図である。
図3及び図4に示すように、回転体ストッパ30は、当該回転体ストッパ30の挿入方向(長手方向)の先端側にスナップイン部31を有すると共に、湾曲した指掛け部39を有し、これらの中間部が概ね平板状の部材である。
回転体ストッパ30は、例えば、合成樹脂等の弾性変形可能な材質によって形成される。
スナップイン部31は、上記挿入方向に延びる一対の脚部32A,32Bを有する。
脚部32A,32Bの先端部には、係合部としての片鏃状のフック部33A,33Bが設けられている。
脚部32A,32Bのフック部33A,33Bよりも基端側には、弾性変形可能な変形許容部34A,34Bが設けられている。
変形許容部34A,34Bは、一対の脚部32A,32Bの先端側の間隔を狭める方向に、第1の弾性力Pに抗して弾性変形する。
フック部33A,33Bは、それぞれ回転体ストッパ30の幅方向外方へ張り出している。フック部33A,33Bは、後述する係止部42に係合する。フック部33A,33Bが係止部42A,42Bに係止されることにより、回転体ストッパ30の長手方向移動が規制される(図12参照)。
回転体ストッパ30の中間部には、回転体ストッパ30の幅方向移動を規制するための保持部材35が設けられている。保持部材35は、回転体ストッパ30の中間部において、スナップイン部31の上部に設けられている。
保持部材35は側面視が鍵状もしくは逆L字状の部材であって、上記挿入方向へ突出している。保持部材35は、固定体14の回転ストッパ装着部40内において、後述する内側壁側の凹部41に上方から嵌り込む(図14参照)。
回転体ストッパ30の中間部には、当該回転体ストッパ30を固定体14の回転ストッパ装着部40に挿入したときに、固定体(外側固定ケーシング)14及び回転体(内側回転ケイシング)12の径方向内方へと延出される延出部材36が設けられている。
延出部材36は、回転体ストッパ30と一体形成された平板状の部材である。延出部材36は、固定体(外側固定ケーシング)14及び回転体(内側回転ケーシング)12の上面に沿って延出される。
延出部材36は、先端側下部に回転体12を支持するための支持部37を備える。支持部37は上記挿入方向と平行に突設され、先端側厚みが順次減少するようにテーパ部37Aが形成されている。支持部37は、(内側回転ケーシング)12の上面に形成された矩形の支持孔15内に挿入支持される(図2、図5及び図14参照)。
また、回転体ストッパ30は、当該回転体ストッパ30の挿入方向の基端側を折り取るための切り欠き部(切断部)38を備える。
切り欠き部38は、回転体ストッパ30の中間部において、保持部材35と延出部材36との間に形成されている。切り欠き部38は、固定体(外側固定ケーシング)14及び回転体(内側回転ケーシング)12の上面よりも下方に位置し、固定体14に形成された回転ストッパ装着部40よりも上方に位置する(図14参照)。
切り欠き部38は楔状を呈しており、回転体ストッパ30の内側面及び両側面に形成されている。指掛け部39は、回転体ストッパ30の内側へ向けて湾曲している。内側へ湾曲した指掛け部39に指を掛けて、回転体ストッパ30の基端側を裏面側(外側)へ力を加えることにより、回転体ストッパ30の基端側を折り取ることができる。
次に、図5から図8を参照して、固定体14の回転ストッパ装着部40について詳しく説明する。
図5は本実施形態に係る回転コネクタの回転体ストッパ挿入前における要部を拡大して示す部分斜視図である。図6は本実施形態における固定体の挿入部の上面側から観た斜視図である。図7は本実施形態における固定体の挿入部の下面側から観た斜視図である。図8は本実施形態における固定体の挿入部の幅方向の縦断面図である。
図5に示すように、固定体14の回転ストッパ装着部40は、固定体(外側固定ケーシング)14の外部壁16に設けられた矩形筒体状のスロット部材41によって区画形成されている。
スロット部材41は、例えば、合成樹脂等の弾性変形可能な材質によって形成される。スロット部材41内には、図8に示すように、スナップイン部31のフック部33A,33Bを係止するための係止部42A,42Bが形成されている。
係止部42A,42Bは、スロット部材41の両側壁41A,41Bが幅方向内方へ張り出した段差部として形成されている。
また、スロット部材41の両側壁41A,41Bが幅方向内方へ張り出した段差部の上方には、下方内側へ傾斜した案内部43A,43Bを有する。案内部43A,43Bと係止部42A,42Bとの間には、張出し直線部44A,44Bが形成されている。
案内部43A,43Bと張り出し直線部44A,44Bとは、回転体ストッパ30の挿入時に案内部43A,43Bがスナップイン部31のフック部33A,33Bを張り出し直線部44A,44Bに案内して、各変形許容部34A,34Bを内側へ弾性変形させる変形付与部81としての機能を有する。
さらに、図6から図8に示すように、スロット部材41の内側壁41Cには、スナップイン部31の外れ方向への変形を規制するための変形規制部45が形成されている。
変形規制部45は、回転体ストッパ30のスナップイン部31を回転ストッパ装着部40に挿入する途中で、スナップイン部31と係合して第2の弾性力Qに抗して変形することで回転体ストッパ30の移動を許容する。
また、変形規制部45は、回転体ストッパ30のフック部33A,33Bが係止部42A,42Bで係止される位置に達して張出し直線部44A,44Bによる変形許容部34A,34Bの弾性変形が解除されると、フック部33A,33Bの幅方向の距離を狭める向き(上記第1の弾性力Pに抗する向き)の移動を規制するように、上記第2の弾性力Qに応じて変形しスナップイン部31の間に位置する。これにより、スナップイン部31の外れ方向への変形を規制される。
変形規制部45は、上方基端部が上記内側壁41Cと連続し、下方外側へと傾斜した可撓性を有する舌片状部材である。変形規制部45は、固定体14の回転ストッパ装着部40への回転体ストッパ30の挿入途中には、上記内側壁41C側へ撓んでスナップイン部31を回避する。
他方、変形規制部45は、回転体ストッパ30の挿入完了時には、スナップイン部31の間に位置して、当該スナップイン部31の外れ方向への変形を規制する。
変形規制部45は、スナップイン部31の間において、回転体12の回転方向と交差する方向に進出(移動)して、回転体12の回転を規制する機能も兼ね備える。
変形規制部45の幅は、スナップイン部31の脚部32A,32B間の全間隔を埋めるように設定されているので、外れ防止機能及び回転体12の回転止め機能を更に補強することができる。
図2及び図5を参照して、固定体14の回転ストッパ装着部40を区画するスロット部材41は、固定体(外側固定ケーシング)14の外部壁16に設けられており、その径方向内側の回転体12上に、回転体ストッパ30の支持部材37を挿入するための支持孔15が開口されている。
次に、図1、図2、図9から図14を参照して、本実施形態に係る回転コネクタ1の作用について説明する。
図9は本実施形態の回転体ストッパの挿入途中の状態を示す一部破断図である。図10は本実施形態の回転体ストッパの挿入途中の状態を示す幅方向の縦破断図である。図11は図9のX−X線断面図である。図12は本実施形態の回転体ストッパの挿入完了状態を示す一部破断図である。図13は本実施形態の回転体ストッパの挿入完了状態を外側から観た斜視図である。図14は図13のY−Y線断面図である。
図1及び図2に示すように、製品出荷時において、本実施形態に係る回転コネクタ1の回転体12と固定体14とは、回転体ストッパ30で連結されてフラットケーブル20の初期の中立位置で仮固定される。
具体的には、回転体ストッパ30の延出部材36の先端側下部に設けられた支持部材37を回転体(内側回転ケーシング)12の上面に開口された支持孔15に挿入支持すると共に、当該回転体ストッパ30のスナップイン部31を固定体(外側固定ケーシング)の外側壁16に設けられたスロット部材41の回転ストッパ装着部40へ挿入固定する。
図9から図11に示すように、スロット部材41の回転ストッパ装着部40へ回転体ストッパ30のスナップイン部31を挿入すると、片鏃状のフック部33A,33Bがスロット部材41内の案内部43A,43Bによって案内される。案内部43A,43Bの下方内側へ臨んだ傾斜と、フック部33A,33Bの幅方向外側の傾斜部とが同方向に傾斜しているので、案内部43A,43Bに案内されて、一対の脚部32A,32Bの先端間隔が上記第1の弾性力Pに抗して徐々に狭まっていき、変形許容部34A,34Bが弾性変形する。
回転体ストッパ30の挿入途中において、フック部33A,33Bが案内部43A,43Bを通過し、案内部43A,43Bと係止部42A,42Bとの間の張出し直線部44A,44Bに到達すると、脚部32A,32Bの上記第1の弾性力Pに抗した状態で先端間隔が狭まったまま挿入されるので、当該脚部32A,32Bの先端部が徐々に舌片状の変形規制部45の上記第2の弾性力Qに抗して、当該変形規制部45を固定体14側(一方向)へ撓ませてスナップイン部31を回避する。
そして、図12から図14に示すように、フック部33A,33Bが張出し直線部44A,44Bを通過すると、上記第1の弾性力Pに応じて再び脚部32A,32Bの先端間隔が拡がり、フック部33A,33Bがスロット部材41内の係止部42A,42Bに係止される。
これと共に、脚部32A,32Bの先端間隔が拡がると、スナップイン部31の脚部32A,32Bの間に舌片状の変形規制部45が上記第2の弾性力Qに応じて進出して、脚部32A,32B間を支持する。スナップイン部31の間には変形規制部45が位置するので、外部から衝撃を受けてもスナップイン部31の脚部32A,32Bは狭まることができず、回転体ストッパ30が外れるのを防止することができる。
さらに、変形規制部45が回転体12の回転方向と直交(交差)する方向に進出するので、変形規制部45は回転体ストッパ30の外れ防止機能を、回転体12の回転方向の位置決め精度を保ち流ながら、安定して発揮できる。また、変形規制部45は、回転体12の回転止めの補強機能を兼ね備える。加えて、変形規制部45はスナップイン部31の脚部32A,32B間の全間隔を埋めているため、外れ防止機能及び回転止めの機能を更に補強している。
図14に示すように、本実施形態では、鍵状もしくは逆L字状の保持部材35が回転ストッパ装着部40内において、スロット部材41の内側壁側の凹部41Cに上方から嵌り込む。このようにして、スロット部材41の回転ストッパ装着部40への回転体ストッパ30の挿入が完了し、当該回転体ストッパ30によって回転体12と固定体14とが連結されて、フラットケーブル20の中立位置で回転不能に仮固定される。
製品使用時には、回転体ストッパ30の仮固定を解除する。即ち、回転体ストッパ30の湾曲した指掛け部39に指を掛けて、回転体ストッパ30の基端側を裏面側(外側)へ力を加えることにより、回転体ストッパ30の基端側を折り取る。
回転体ストッパ30の中間部には、切り欠き部38が形成されている。切り欠き部38は、図14に示すように、固定体(外側固定ケーシング)14及び回転体(内側回転ケーシング)12の上面よりも下方に位置し、スロット部材41よりも上方に位置する。切り欠き部38は楔状を呈しており、回転体ストッパ30の内側面及び両側面に形成されているので、容易に回転体ストッパ30の基端側を折り取ることができる。
また、本実施形態では、スナップイン部31の間には変形規制部45が位置し、スロット部材41内において回転体ストッパ30の先端側が強固に保持され、安定しているので、回転体ストッパ30の基端側に力を加えやすい。さらに、回転体ストッパ30の基端側を折り取る方向と、当該回転体ストッパ30のスナップイン部31の変形方向は直交しているため、回転体12の回転方向の位置決め精度を低下させることはない。
回転体ストッパ30の基端側を折り取っても、当該回転体ストッパ30のスナップイン部31を含む先端側はスロット部材41内に残留する。スロット部材41内に残留した回転体ストッパ30の先端側は、回転体ストッパ30の挿入完了後の状態を維持する。
残留したスナップイン部31の間には変形規制部45が位置するので、外部から衝撃を受けてもスナップイン部31の脚部32A,32Bは狭まることができず、回転体ストッパ30が外れるのを防止することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る回転コネクタ1によれば、固定体14の外側壁16に設けられたスロット部材41の回転ストッパ装着部40に、回転体ストッパ30のスナップイン部31の弾性変形を規制するための変形規制部45を設けている。
当該変形規制部45は、回転体ストッパ30の挿入途中には撓んで当該回転体ストッパ30のスナップイン部31を回避し、挿入完了時にはスナップイン部31の間に位置して当該スナップイン部31の外れ方向への変形を規制する。
したがって、本実施形態に係る回転コネクタ1は、従来の構造に比して、回転体ストッパ30の挿入時には余分な力を必要とせず、かつ挿入完了後には外部からの衝撃を受けても回転体ストッパ30が外れ難くなる。
そのため、回転ストッパ30により回転体14を安定して固定できると共に、回転ストッパ30の基端部を折りきった後に、当該基端部側を固定体14に確実に残留させることができ、履歴機能の信頼性を高めることができる。
また、スロット部材41の回転ストッパ装着部40が案内部43A,43Bを有することにより、回転体ストッパ30のスナップイン部31を上記回転ストッパ装着部40に挿入する際に、スナップイン部31の変形許容部34A,34Bが弾性変形しやすくなり、スナップイン部31のフック部33A,33Bを容易に回転ストッパ装着部40の係止部42A,42Bに係止することができる。
さらに、変形規制部45は可撓性を有する舌片状部材であるので、回転体ストッパ30の挿入途中には撓んでスナップイン部31の移動経路から外れることができる。これにより、スナップイン部13を回転ストッパ装着部40に滑らかに挿入できる。
回転体ストッパ30の挿入完了後には、スナップイン部31の間において、変形規制部45が回転体12の回転方向と直交する方向に進出するので、変形規制部45は回転体ストッパ30の外れ防止機能のみならず、回転体12の回転止めの補強機能を兼ね備える。
そして、変形規制部45の幅は、スナップイン部31の間の全間隔を埋めるように設定されるので、外れ防止機能及び回転体の回転止め機能を更に補強することができる。
また、本実施形態の回転体ストッパ30は、弾性変形可能な変形許容部45と係合部33A,33Bとを有するスナップイン部31を備えるので、変形許容部45を弾性変形させてスロット部材41の回転ストッパ装着部40に容易に挿入固定することができる。
さらに、回転体ストッパ30は切り欠き部38を備えるので、回転体ストッパ30の解除時には、容易に回転体ストッパ30の基端側を折り取ることができる。
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
すなわち、上記の実施形態では、環状の固定体12としての外側固定ケーシングの内側に、環状の回転体14としての内側回転ケーシングが配されているが、これに限定されず、環状の固定体12としての内側固定ケーシングの外側に、環状の回転体14としての外側回転ケーシングが配されていてもよい。
また、上述した実施形態では、回転ストッパ30にスナップイン部31を設け、固定体12に回転ストッパ装着部40を設けた場合を例示したが、回転ストッパ30に回転ストッパ装着部40を設け、固定体12にスナップイン部31を設ける構成にしてもよい。
また、上述した実施形態では、回転ストッパ装着部40を固定体12に設け、支持孔15を回転体14に設けた場合を例示したが、回転ストッパ装着部40を回転体14に設け、支持孔15を固定体12に設けた構成にしてもよい。
また、上記の実施形態では、回転体12に回転体ストッパ30の支持部37を支持するための支持孔15を形成し、固定体14に回転体ストッパ30のスナップイン部31を挿入するための回転ストッパ装着部40を形成しているが、これに限定されず、固定体14に回転体ストッパ30の支持部37を支持するための支持孔15を形成し、回転体12回転体ストッパ30のスナップイン部31を挿入するための回転ストッパ装着部40を形成してもよい。
また、上述した実施形態では、脚部32A,32Bのフック部33A,33Bの間及び変形許容部34A,34Bの間の全域に変形規制部45が進出する場合を例示したが、当該全域のうち一部の領域にのみに変形規制部45が進出するようにしてもよい。
さらに、上記の実施形態では、スナップイン部31が一対の脚部32A,32Bで構成されているが、脚部は一方のみであっても構わない。このように、上記以外の様々な形態も本発明のバリエーションを構成し得る。
1…回転コネクタ、12…回転体、14…固定体、20…ケーブル、60…回転ストップ機構、30…回転体ストッパ、31…スナップイン部、33A,33B…係合部、34A,34B…変形許容部、37…支持部、38…切り欠き部(切断部)、40…回転ストッパ装着部、42A,42B…係止部、81…変形付与部、45…変形規制部、43A,43B…案内部、P…第1の弾性力、Q…第2の弾性力、D…変形規制部の幅、W…スナップイン部の間隔。

Claims (8)

  1. 環状の固定体と、
    前記固定体の内側もしくは外側に配され、当該固定体に対して相対的に回転操作される環状の回転体と、
    前記回転体と前記固定体との間で電気的導通を確保すると共に、前記回転体の回転に従って所定の中立位置からの回転ずれが許容されるケーブルと、
    前記ケーブルの中立位置において前記回転体と前記固定体とを連結して前記回転体を回転不能に仮固定し、当該仮固定を解除するために切断可能な切断部を備えた回転ストップ機構と
    を有し、
    前記回転ストップ機構は、
    係合部と、
    前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で弾性変形して第1の弾性力に抗して前記係合部を移動させる変形許容部と、
    前記係合部を係止するための係止部と、
    前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で前記係合部と係合して前記変形許容部を第1の弾性力に抗して弾性変形させ、前記係合部が前記係止部で係止される位置に達すると前記変形許容部による弾性変形を解除する変形付与部と、
    前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で、前記変形許容部または前記係止部と係合して第2の弾性力に抗して変形することで前記係合部の移動を許容し、前記変形許容部の弾性変形が前記解除されると、前記第1の弾性力に抗する向きの前記係合部の移動を規制するように前記第2の弾性力に応じて変形して、前記係止部から前記係合部が外れることを不能とする変形規制部と
    を有する
    回転コネクタ。
  2. 前記回転ストップ機構は、前記固定体および前記回転体とは独立した回転体ストッパと、前記固定体および前記回転体の一方に形成され前記回転体ストッパを離脱不能に装着する回転ストッパ装着部とを有し、
    前記係合部および前記変形許容部は、前記回転ストッパおよび前記回転ストッパ装着部の一方に形成され、
    前記係止部、前記変形付与部および前記変形規制部は、前記回転ストッパおよび前記回転ストッパ装着部の他方に形成されている
    請求項1に記載の回転コネクタ。
  3. 前記回転体を前記固定体に仮固定する際の移動方向と直交する方向で対向して位置する2つの前記係合部と、
    前記2つの係合部にそれぞれ対応して設けられた2つの前記変形許容部と、
    前記直交する方向で対向して位置する2つの前記係止部と、
    前記2つの係止部にそれぞれ対応して設けられた2つの前記変形付与部と
    を有し、
    前記2つの変形付与部は、前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で、前記2つの係合部と係合して、当該2つの係合部の前記直交する方向の距離が狭まる向きに、前記2つの変形許容部を弾性変形させ、
    前記変形規制部は、
    前記係合部が前記係止部に係止された場合に、前記2つの係止部の間、あるいは前記2つの変形付与部の間に位置して、前記2つの係合部が前記直交する方向の距離が狭まる向きに移動することを規制する
    請求項1または請求項2に記載の回転コネクタ。
  4. 前記変形規制部は、前記係合部が前記係止部に係止された場合に、前記2つの係止部の間及び前記2つの変形付与部の間の略全域を埋めるように位置して、前記回転体を前記固定体に仮固定する際の移動方向と直交する方向の距離が狭まる向きに前記2つの係合部が移動することを規制する
    請求項3に記載の回転コネクタ。
  5. 前記変形付与部は、前記係合部を案内するための案内部を有する
    請求項1〜のいずれかに記載の回転コネクタ。
  6. 前記変形規制部は、前記回転体の回転方向と直交する方向に進出して、前記変形許容部の前記弾性変形を規制する
    請求項1〜のいずれかに記載の回転コネクタ。
  7. 前記切断部は、前記回転体の回転方向と直交する方向に向けて折り取り可能な切り欠き部である
    請求項1〜6のいずれかに記載の回転コネクタ。
  8. 環状の固定体と、前記固定体の内側もしくは外側に配され該固定体に対して相対的に回転操作される環状の回転体とを、所定の中立位置において連結して前記回転体を回転不能に仮固定する回転ストップ機構であって、
    係合部と、
    前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で弾性変形して第1の弾性力に抗して前記係合部を移動させる変形許容部と、
    前記係合部を係止するための係止部と、
    前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で前記係合部と係合して前記変形許容部を第1の弾性力に抗して弾性変形させ、前記係合部が前記係止部で係止される位置に達すると前記変形許容部による弾性変形を解除する変形付与部と、
    前記回転体を前記固定体に仮固定する途中で、前記変形許容部または前記係止部と係合して第2の弾性力に抗して変形することで前記係合部の移動を許容し、前記変形許容部の弾性変形が前記解除されると、前記第1の弾性力に抗する向きの前記係合部の移動を規制するように前記第2の弾性力に応じて変形して、前記係止部から前記係合部が外れることを不能とする変形規制部と
    を有する
    回転ストップ機構。
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