JP6499832B2 - 構造物安全性検証システム、構造物安全性検証方法及びプログラム - Google Patents

構造物安全性検証システム、構造物安全性検証方法及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP6499832B2
JP6499832B2 JP2014140777A JP2014140777A JP6499832B2 JP 6499832 B2 JP6499832 B2 JP 6499832B2 JP 2014140777 A JP2014140777 A JP 2014140777A JP 2014140777 A JP2014140777 A JP 2014140777A JP 6499832 B2 JP6499832 B2 JP 6499832B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
natural period
interlayer displacement
wind
vibration
sensor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014140777A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016017846A (ja
Inventor
献一 吉田
献一 吉田
剛史 松下
剛史 松下
宏安 西井
宏安 西井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTT Facilities Inc
Original Assignee
NTT Facilities Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTT Facilities Inc filed Critical NTT Facilities Inc
Priority to JP2014140777A priority Critical patent/JP6499832B2/ja
Publication of JP2016017846A publication Critical patent/JP2016017846A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6499832B2 publication Critical patent/JP6499832B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、構造物安全性検証システム、構造物安全性検証方法及びプログラムに関する。
近年、構造物(建築物)の地震に対する耐震性能についての関心が高まってきている。このため、地震時の構造物の健全性は、加速度計やひずみゲージおよび変位計等の構造物の変形に関わる情報を計測する計測手段を設けることにより、監視されていることがある。
そして、これらの計測手段で計測されたデータは、現場から離れたデータ監視室等に送られ、データ解析コンピュータ等によって収集される。データ解析コンピュータはこの構造物(建物)の層間変形を算出し、設定値と比較することにより、構造物の損傷の有無を判定し、地震発生後の健全性評価や安全性の確認等に使用している(例えば、特許文献1参照)。
また、地震や強風等の外力若しくは構造材料の経年劣化によって発生する構造物(建物)の損傷を常時微動計測に基づいて判定する方法も使用されている(例えば、特許文献2参照)。ここで、特許文献2においては、健全時の固有振動数と評価時の固有振動数とを振動特性の次数毎に比較して固有振動数の数値が低下している振動特性の次数が明らかになるので、固有振動数と固有モードとの間の関係に基づいて構造物の何れの部分において損傷が発生しているのかを判定している。
上記のように地震や強風等の外力は、構造物に振動をもたらし、構造物(建物)を損傷させることがある。さらに、構造物(建物)を損傷させるほどの規模でない振動であっても、居住性を低下させる要因となることが知られている。
特開2008−281435号公報 特開2010−276518号公報
しかしながら、上述した特許文献1においては、竣工後の構造物(建物)が設計通りの強度に建設されたか否かが実際には判らない。すなわち、設計時に設定した設計基準値、例えば建設時に打たれたコンクリートの梁の強度が層間変形1/100で梁に損傷が生じるとの設計基準値であっても、実際に建設された構造物が層間変形2/100で損傷が生じる強度となっている場合がある。この場合、地震において1/100の変形が発生したとしても、コンクリートの梁が損傷しているか否かは厳密には不明であり、損傷していない可能性もある。
また、特許文献2においては、構造物(建物)の健全時の固有振動数と評価時の固有振動数とを振動特性の次数毎に比較し、固有振動数の数値が低下している振動特性により損傷の発生を判定している。しかしながら、固有振動数は、構造物を支える構造躯体の損傷だけでなく、構造躯体ではない雑壁や天井などの非構造部材の損傷によっても変化する。このため、構造躯体あるいは非構造部材(雑壁や天井など)のいずれがどの程度損傷したかの判定を行うことが困難であり、構造物の継続使用を判定することが困難である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、構造物に掛かる外力による損傷程度を推定する構造物安全性検証システム、構造物安全性検証方法及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を求める層間変位計測部と、前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を求める固有周期計測部と、前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価する構造物安全性評価部と、前記構造物に振動を与える風の到来を検出する計測制御部とを備え、前記計測制御部は、瞬間風速の大きさに応じて前記構造物に振動を与える風の到来を検出し、前記構造物安全性評価部は、前記瞬間風速の大きさに基づいて前記構造物の健全性を評価することを特徴とする構造物安全性検証システムである。
また、本発明の一態様は、複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を求める層間変位計測部と、前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を求める固有周期計測部と、前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価する構造物安全性評価部と、前記構造物に振動を与える風の到来を検出する計測制御部とを備え、前記計測制御部が前記構造物の近傍の所定値を超える瞬間風速を検出すると、前記層間変位計測部は、前記構造物に振動を与える風がおさまるまで前記構造物の変形量を検出し、前記固有周期計測部は、前記風がおさまった後に前記固有周期を算出し、前記構造物安全性評価部は、前記構造物の前記変形量と前記固有周期とに基づいて前記構造物の健全性を評価することを特徴とする構造物安全性検証システム。
また、本発明の一態様は、複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を求める層間変位計測部と、前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を求める固有周期計測部と、前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価する構造物安全性評価部と、前記構造物に振動を与える風の到来を検出する計測制御部とを備え、前記構造物安全性評価部は、緊急地震速報を受信したとき、前記センサで地震を検出したとき、所定の大きさの風を検出したとき、及び長周期地震動を検出したときに応じて、前記構造物の健全性の評価に関する解析の手法を調整することを特徴とする構造物安全性検証システム。
また、本発明の一態様の構造物安全性検証システムにおいて、前記構造物安全性評価部は、前記風の到来を最大瞬間風速の大きさに応じて検出し、前記構造物の健全性を評価することを特徴とする。
また、本発明の一態様の構造物安全性検証システムは、前記構造物の近傍の瞬間風速を検出して、前記風力値の情報を出力する風力検出部を備え、前記構造物安全性評価部は、前記検出した瞬間風速から抽出した前記最大瞬間風速の大きさに応じて、前記構造物の健全性を評価することを特徴とする。
また、本発明の一態様の構造物安全性検証システムにおいて、前記計測制御部は、前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報を取得し、前記センサは、前記取得した地震の到来を予測する情報が示す震度の大きさに応じて前記構造物の前記層の振動を計測することを特徴とする。
また、本発明の一態様の構造物安全性検証システムにおいて、前記構造物安全性評価部が、前記層間変位が予め設定された層間変位閾値を超えるか否かを判定した第1の判定結果と、また前記固有周期が予め設定した固有周期閾値を超えるか否かを判定した第2の判定結果との組み合わせにより、前記構造物の健全性を評価することを特徴とする。
また、本発明の一態様の構造物安全性検証システムにおいて、前記構造物の最上層あるいは最上層近傍に配置され、当該構造物の傾斜角を計測する傾斜角計測部をさらに有し、前記構造物安全性評価部が、前記層間変位、前記固有周期及び前記傾斜角により、前記構造物の健全性を評価することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の構造物安全性検証システムにおいて、前記構造物安全性評価部が、前記層間変位が予め設定された層間変位閾値を超えるか否かを判定した第1の判定結果と、また前記固有周期が予め設定した固有周期閾値を超えるか否かを判定した第2の判定結果と、前記傾斜角が予め設定した傾斜角閾値を超えるか否かを判定した第3の判定結果との組み合わせにより、前記構造物の健全性を評価することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の構造物安全性検証システムにおいて、前記構造物安全性評価部の評価結果に基づいて、前記構造物における免震構造の免震特性を調整することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと、瞬間風速の大きさに応じて前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、前記構造物の健全性を評価するステップにおいて、前記瞬間風速の大きさに基づいて前記構造物の健全性を評価するステップとを含むことを特徴とする構造物安全性検証方法である。
また、本発明の一態様は、複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと、前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップにおいて、前記構造物の近傍の所定値を超える瞬間風速を検出すると、前記構造物に振動を与える風がおさまるまで前記構造物の変形量を検出し、前記風がおさまった後に前記固有周期を算出し、前記構造物の前記変形量と前記固有周期とに基づいて前記構造物の健全性を評価するステップとを含むことを特徴とする構造物安全性検証方法である。
また、本発明の一態様は、複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと、前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、前記構造物の健全性を評価するステップにおいて、緊急地震速報を受信したとき、前記センサで地震を検出したとき、所定の大きさの風を検出したとき、及び長周期地震動を検出したときに応じて、前記構造物の健全性の評価に関する解析の手法を調整するステップとを含むことを特徴とする構造物安全性検証方法である。
また、本発明の一態様は、複数の層からなる構造物の安全性を評価する構造物安全性検証システムのコンピュータに、複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと、瞬間風速の大きさに応じて前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、前記構造物の健全性を評価するステップにおいて、前記瞬間風速の大きさに基づいて前記構造物の健全性を評価するステップとを実行させるためのプログラムである。
また、本発明の一態様は、複数の層からなる構造物の安全性を評価する構造物安全性検証システムのコンピュータに、複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップにおいて、前記構造物の近傍の所定値を超える瞬間風速を検出すると、前記構造物に振動を与える風がおさまるまで前記構造物の変形量を検出し、前記風がおさまった後に前記固有周期を算出し、前記構造物の前記変形量と前記固有周期とに基づいて前記構造物の健全性を評価するステップとを実行させるためのプログラムである。
また、本発明の一態様は、複数の層からなる構造物の安全性を評価する構造物安全性検証システムのコンピュータに、複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと、前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、前記構造物の健全性を評価するステップにおいて、緊急地震速報を受信したとき、前記センサで地震を検出したとき、所定の大きさの風を検出したとき、及び長周期地震動を検出したときに応じて、前記構造物の健全性の評価に関する解析の手法を調整するステップとを実行させるためのプログラムである。
以上説明したように、本発明によれば、構造物に掛かる外力による損傷程度を推定する構造物安全性検証システム、構造物安全性検証方法及びプログラムを提供することができる。
本発明の第1の実施形態による構造物安全性検証システムの構成例と、評価対象の構造物に設けた加速度センサ及び微振動センサとが接続された構成を表す概念図である。 構造物の固有周期の変化を示す図である。 図1のデータベース14に記憶されている判定テーブルの構成を示す図である。 データベース14に記憶されている判定結果テーブルの構成例を示す図である。 本実施形態による構造物安全性検証システム1の構造物の安全性を検証する処理の流れを示すフローチャートである。 本実施形態による構造物安全性検証システム1により地震時における構造物の安全性を検証する処理の流れを示すフローチャートである。 本実施形態による構造物安全性検証システム1のより強風時における構造物の安全性を検証する処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態による構造物安全性検証システムの構成例と、評価対象の構造物に設けた加速度センサ、微振動センサ及び傾斜角センサとが接続された構成を表す概念図である。 図1のデータベース14に記憶されている判定テーブルにおけるパラメータパターンの組み合わせの構成例を示す図である。 本実施形態による構造物安全性検証システム2の構造物の安全性を検証する処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態による建物安全性検証システムの構成例と、評価対象の構造物に設けた加速度センサ、微振動センサ、傾斜角センサ及び免震制御部とが接続された構成を表す概念図である。
本発明の構造物安全性検証システムは、複数の層からなる構造物の全層の各々、あるいはいくつかの層に、層の振動を計測するセンサを設けて、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報との少なくとも何れかの情報に応じて、センサの計測データからセンサを設けた各層の層間変位を求める層間変位計測部を設置し、また、構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する固有周期計測部を設け、この固有周期計測部により当該構造物の常時微動から構造物の固有周期を計測する。また、本発明の構造物安全性検証システムは、構造物安全性評価部が、層間変位計測部が計測した層間変位と、固有周期計測部が計測した固有周期とにより、構造物の健全性を評価する。これにより、本発明の構造物安全性検証システムは、構造物に掛かる外力により生じ得る構造物の損傷を、外力がかかる際における構造物の相間変位と外力がかかる前後における固有周期の差分とにより、複合的な構造物の継続使用の可否などに対応する判定を行うことができる。
<第1の実施形態>
以下、図を用いて本発明の第1の実施形態の構造物安全性検証システムの説明を行う。図1は、本発明の第1の実施形態による構造物安全性検証システムの構成例と、評価対象の構造物に設けた加速度センサ及び微振動センサとが接続された構成を表す概念図である。
図1において、構造物安全性検証システム1は、インターネットや構造物内に設けられたLANなどからなる情報通信網を介して、構造物100に設けられている各種センサから、それぞれのセンサが検出したデータが供給される。例えば、構造物100のそれぞれの階の振動を検出するセンサとして加速度センサが設けられている。加速度センサSからS(0は基礎、1からnまでは構造物の階数)の各々から地震の振動データとして加速度データが供給される。加速度センサSは、構造物の基礎部分における加速度を計測するために設けられており、耐震評価の対象の構造物の最下層部分(例えば、地下が無い場合、1階100の下の地盤上に設けられた基礎)に印加される地動加速度を計測し、加速度データとして情報通信網を介して構造物安全性検証システム1に対して出力する。
また、加速度センサSからSの各々は、それぞれ1階からn階における自身に印加される加速度値を計測して加速度データとして、情報通信網を介して構造物安全性検証システム1に対して送信している。ここで、加速度センサは、図1に示すように、構造物のそれぞれの階に配置されている。図1の構造物100が6階立ての構造物(建物)である場合、1階100に加速度センサSが配置され、2階100に加速度センサSが配置され3階100に加速度センサSが配置され、4階100に加速度センサSが配置され、5階100に加速度センサSが配置され、6階100に加速度センサSが配置され、屋上100に加速度センサSが配置されている。また、構造物100の基礎部100には加速度センサSが配置されている。また、構造物100の屋上100には、微振動センサSBが配置されている。また、この微振動センサSBは、屋上100でなくとも、屋上100近傍の最上階に配置しても良い。さらに、構造物100の屋上100には、風力計SW(風力検出部)が配置されている。また、この風力計SWは、屋上100でなくとも、屋上100近傍の最上階に配置しても良い。
構造物安全性検証システム1は、層間変位計測部11、固有周期計測部12、構造物安全性評価部13及びデータベース14を備えている。
層間変位計測部11は、例えば、加速度センサSから加速度センサSの各々から供給される加速度データを2回積分して、基礎100、1階100からn階100までの加速度方向の変位を求め、隣接する階同士の変位の差分を算出し、構造物100のそれぞれの階の層間変位δを求める。このとき、層間変位計測部11は、各加速度センサから供給される地震における加速度データから、各階毎に最大加速度を抽出して、この最大加速度を2回積分して距離を求め、この距離を各階毎の変位とする。また、層間変位計測部11は、得られた各階の層間変位δの各々を、それぞれの階の高さで除算し、各階の層間変形角Δ(ラジアン)を算出する。なお、加速度データから変位を求める方法は、本実施形態に記載されているもの以外の他の方法を用いても良い。また、層間変位計測部11は、例えば、加速度センサSから加速度センサSの各々から供給される加速度データに基づいて、地震の到来を検出してもよい。層間変位計測部11は、上記の加速度データの値が予め定めた閾値を超える加速度を検出した場合に、地震の到来を検出し、検出結果を計測制御部16に通知する。
固有周期計測部12は、微振動センサSBから供給される微少振動データの周波数解析を行う。そして、固有周期計測部12は、パワースペクトルにおけるピーク(最も高いパワースペクトル値)となる周波数を固有周波数(固有振動数)として選択し、この固有周波数の周期を固有周期として出力する。
図2は、構造物の固有周期の変化を示す図である。図2において、縦軸は固有周期を示しており、横軸は時間を示している。固有周期は、構造物の剛性に対応するものであり、剛性が低い場合に長くなり、剛性が高い場合に短くなる。すなわち、図2に示すように、地震による強い地震により応力が与えられることにより、構造物の構造躯体の部材(建物の主要な構造体や骨組みなど)あるいは非構造躯体の部材(雑壁、天井など)に損傷が発生し、構造物の剛性が低下し、固有振動数が低くなる。本実施形態においては、層間変形角Δ及び固有周期Tは絶対値にて示される。
また、上述した微振動センサSBの他に、構造物の最下層に他の微振動センサを設け、固有周期計測部12がこの他の微振動センサの微少振動データに基づいて、微振動センサSBの出力する微少振動データに重畳しているノイズ成分を除去し、より正確な固有周波数を求め、より正確な固有周期を求める構成としても良い。
構造物安全性評価部13は、層間変位計測部11の求めた層間変形角Δと、固有周期計測部12の求めた構造物の固有周期とにより、構造躯体の損傷度合いを判定している。すなわち、構造物安全性評価部13は、層間変形角Δと予め設定されている設計層間変形角(層間変位閾値)とを比較し、層間変形角Δが設計層間変形角を超えているか否かの判定を行う。このとき、構造物安全性評価部13は、固有周期Tと固有周期の初期値(例えば、構造物を建設した直後の固有周期あるいは地震発生直前の固有周期)とを比較し、固有周期Tが固有周期の初期値以下であるか否かの判定を行う。
また、固有周期の初期値に対して経時変化のマージンを加えて、固有周期の初期値の代わりに固有周期閾値を生成し、この固有周期閾値と固有周期Tとを比較するようにしても良い。ここで、固有周期の初期値<固有周期閾値である。この固有周期の初期値または固有周期閾値と、設計層間変形角とは、予め構造物安全性評価部13内の記憶部に記憶されており、構造物安全性評価部13が判定を行う際、自身内部の上記記憶部から読み出して用いる。なお、上記の固有周期に基づいた判定は、上記のように地震に起因する構造物100の損傷度を判定する用途に用いる他にも、他の外的要因に起因する構造物100の損傷度を判定する際に有効である。例えば、他の外的要因として、強風等が挙げられる。
図3は、図1のデータベース14に記憶されている判定テーブルの構成を示す図である。この判定テーブルは、層間変形角Δ及び設計層間変形角の比較結果と、固有周期T及び固有周期の初期値の比較結果との組み合わせによる構造物の健全性の判定結果が示されている。設計層間変形角は、この値を超える層間変位が発生した場合、構造躯体の部材が変形などの損傷を受ける大きさ(破断などを含め、構造躯体の部材が変形した状態から元に戻らない状態となる塑性変形の限界を示す大きさ)に設定されている。以下、固有周期Tと層間変形角Δとの判定のパターンを示すパラメータパターンに対応する構造物の安全性(健全性)の判定を示す。
・パラメータパターンA
層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、かつ固有周期閾値に比較して固有周期が長くなり剛性が低下していると判断される場合には、建物の損傷の程度は以下に示すように推定される。建物の状況は、構造躯体の損傷は想定以上であり、建物の損傷の大きさが想定以上であると推定される。これにより、判定結果は、「建物の損傷の早急な調査が必要である」とされている。
・パラメータパターンB
層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、一方、固有周期閾値に比較して固有周期Tに変化がなく剛性が維持されていると判断される場合には、建物の損傷の程度は以下に示すように推定される。固有周期Tの変化がないため、建物の構造躯体が設計における設計層間変形角より高い層間変形角として実際に建造されたとして、設計層間変形角を超えても損傷は想定以下と推定することができる。これにより、判定結果は、「継続使用可能であるが、注意して利用する必要がある」とされている。
・パラメータパターンC
層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、一方、固有周期閾値に比較して固有周期Tが長くなり剛性が低下していると判断される場合には、建物の損傷の程度は以下に示すように推定される。固有周期Tが長くなっているが、層間変形角Δが設計層間変形以下であるため、構造躯体ではなく建物の非構造躯体が損傷を受けており、構造躯体の損傷は想定以下と推定することができる。これにより、判定結果は、「継続使用可能であるが、注意して利用する必要がある」とされている。
・パラメータパターンD
層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、かつ固有周期閾値に比較して固有周期Tに変化がなく剛性が維持されていると判断される場合には、建物の損傷の程度は以下に示すように推定される。層間変形角Δが設計層間変形以下であり、かつ固有周期Tに変化がなく剛性が維持されているため、建物の構造躯体及び建物の非構造躯体のいずれも損傷を受けおらず、構造躯体の損傷は想定以下と推定することができる。これにより、判定結果は、「継続使用可能」とされている。
本実施形態において、建物安全性評価部13は、上述した判定を、建物100の階毎に、建物100の固有周期Tと各階の層間変形角Δとを用いて、階毎に図3に示す判定テーブルによる判定を行う。そして、建物安全性評価部13は、建物100の階毎に判定結果を、データベース14の判定結果テーブルに書き込んで記憶させる。この判定結果テーブルは、建物毎に、各建物を識別する建物識別情報が付加されて、データベースに書き込まれる。なお、建物安全性評価部13は、上述した判定を計測制御部16の制御の基で実施する。
計測制御部16は、予め定めた所定の大きさより大きな振動を建物100に生じさせ得る外的要因を検出して、当該外的要因の検出に応じて、建物安全性検証システム1の各部が機能し得る状態にする。
例えば、予め定めた所定の大きさより大きな振動を建物100に生じさせ得る要因として、地震と強風とを例示して説明する。地震の場合、計測制御部16は、通報サーバ9から、地震の到来を予測する情報の通報を受ける。例えば、地震の到来を予測する情報の通知とは、数秒後に地震が到来すること予測する「緊急地震速報」などの予測情報である。
一方、強風の場合、計測制御部16は、風力計SWによって検出された最大瞬間風速を、風速計SWから受ける。最大瞬間風速は、逐次検出された瞬間風速の最大値であり、時間平均して算出される「風速」より、強風が発生し始めたタイミングを検出する際に適している。1回の風であっても建物100は加振されることから、建物100の振動を解析するうえでは「最大瞬間風速」を利用する方が適している。また、本実施形態では、強風状態が収束したタイミングを判定する場合も、「最大瞬間風速」を利用する。
なお、風速計が無い場合など、実際に測定した風から最大瞬間風速を得ることができない場合がある。このような場合には、実際に測定した風の最大瞬間風速を用いて強風が発生し始めたタイミングを検出する上記の方法を下記の方法に代えてもよい。例えば、「緊急地震速報」を用いる場合のように、計測制御部16は、通報サーバ9から気象予報などの情報の通知を受け、その通知された情報から予測される最大瞬間風速を定め、定めた最大瞬間風速を用いて判定するようにしてもよい。
このように、計測制御部16は、建物安全性評価部13を制御して、外的要因による振動が発生する前後の建物100の状態を検証することにより建物100の安全性評価を実施する。
図4は、データベース14に記憶されている判定結果テーブルの構成例を示す図である。この図4において、建物100の階毎に、その階の階数と、判定結果と、対応とについて記載されている。対応については、本実施形態においては、例えば、地震後の避難の緊急度が設定されている。この対応の項目については、使用者が適時設定する。
図4のように、1階100が「継続使用可能」と判定され、2階100が「継続使用可能だが、注意して利用する必要がある」と判定され、2階100が「早急な調査が必要」と判定され、4階100が「継続使用可能だが、注意して利用する必要がある」と判定されている。
この場合、3階100が危険な状態にあるため、例えば余震がくる前に、3階100より上の階の人間を非難させる必要があり、対応としては「緊急避難」となる。避難する人間が集中すると危険なため、「早急な調査が必要」と判定された階より、下層の階、この場合、2階100及び1階100の人間は避難指示を受けるまで待機する「指示まで待機」と対応する。建物安全性評価部13は、この判定結果に対する対応を予め設定されたルール(各階の損傷程度のパターンの組み合わせと、この組み合わせに対する対応とを関連づけたルール)により決定し、データベース14の図4に示す判定結果テーブルの対応の欄に書き込んで記憶させる。
なお、上記は地震時に用いる判定結果テーブルを例示したものであるが、強風時などの外的要因の場合においても同様の判定結果テーブルを用いた判定を行うようにしてもよい。
次に、本実施形態による建物安全性検証システム1の建物の安全性を検証する処理を、図5Aから5Cを参照して説明する。図5Aは、本実施形態による建物安全性検証システム1による建物の安全性を検証する処理の流れを示すフローチャートである。
ステップSm1:
計測制御部16は、地震の到来を検出したか否かを判定する。例えば、地震の到来を検出したか否かの判定では、計測制御部16が通報サーバ9から地震の到来を予測する情報の通知を受けたか否か、又は、層間変位計測部11により加速度センサSから供給される加速度センサSが計測した加速度が所定の地震判定閾値以上か否かを判定する。
ステップSm2:
ステップSm1における判定により、地震の到来を検出したと判定した場合(ステップSm1:Yes)、計測制御部16は、地震時の建物安全性評価モードの処理を開始させる。建物安全性評価部13は、地震時の建物安全性評価モードの処理を実施して評価結果を出力し、構造物安全性評価の処理を終える。
ステップSm3:
一方、ステップSm1における判定により、地震の到来を検出しなかったと判定した場合(ステップSm1:No)、計測制御部16は、強風を検出したか否かを判定する。
ステップSm4:
ステップSm3における判定により、強風を検出したと判定した場合(ステップSm3:Yes)、計測制御部16は、強風時の建物安全性評価モードの処理を開始させる。建物安全性評価部13は、強風時の建物安全性評価モードの処理を実施して評価結果を出力し、構造物安全性評価の処理を終える。
以下、上記の地震時における建物安全性評価モードの処理と、強風時における建物安全性評価モードの処理のより具体的な手順についての一実施例を示し、それぞれについて順に説明する。
まず、地震時における建物安全性評価モードの処理の一実施例について説明する。
図5Bは、本実施形態による建物安全性検証システム1により地震時における建物の安全性を検証する処理(地震時の建物安全性評価モードの処理)の流れを示すフローチャートである。建物安全性検証システム1は、地震が発生した後、各階毎に図5Bのフローチャートの動作を行い、建物100の階毎の安全性の判定を行う。建物100がn階建てであれば、1階100からn階100まで順番にフローチャートによる判定処理を行う。計測制御部16が通報サーバ9から地震の到来を予測する情報の通知を受けた場合、又は、層間変位計測部11が、加速度センサSから供給される加速度センサSが計測した加速度が所定の地震判定閾値以上の場合、地震発生として以下のフローチャートの処理を実行する。
ステップS1:
層間変位計測部11は、供給される加速度センサSが計測した加速度データから加速度を抽出する。そして、層間変位計測部11は、この抽出した加速度を2回積分し、基礎部分の変位を算出する。
ステップS2:
層間変位計測部11は、建物100のk階100(1≦k≦n)に配置された加速度センサSから供給される、それぞれの加速度センサSkに計測した加速度から、加速度センサSの加速度を抽出する。そして、層間変位計測部11は、この抽出した加速度を2回積分し、各階の変位を算出し、それぞれ隣接する階の変位の差分を算出し、各階の層間変位δを算出する。ここで、建物100の1階100の層間変位δは、1階100の変位から基礎100の変位を減算して求められる。
ステップS3:
層間変位計測部11は、算出したk階100の層間変位δの各々を、k階100の高さでそれぞれ除算し、k階100の層間変形角Δを算出する。
ステップS4:
固有周期計測部12は、屋上100に配置された微振動センサSBから、地震発生後に供給される微振動データに対し、信号処理を行う。すなわち、固有周期計測部12は、微振動データのフーリエ解析を行い、最も高いパワースペクトルを有する周波数を抽出し、この周波数を固有周波数とする。そして、固有周期計測部12は、抽出した固有周波数の周期を求め、この周期を固有周期Tとする。
ステップS5:
建物安全性評価部13は、建物100における1階100からn階100までの全ての階における損傷程度の判定が行われたか否かの判定を行う。
このとき、建物安全性評価部13は、建物100における全ての階に対する判定が終了した場合、処理を終了し、建物100における全ての階に対する判定が終了していない場合、処理をステップS4へ進める。
ステップS6:
建物安全性評価部13は、建物100の判定の終了していない階の層間変形角Δを層間変位計測部11から読み込み、この読み込んだ判定対象のk階100の層間変形角Δと設計層間変形角との比較を行い、層間変形角Δが設計層間変形角を超えているかを判定する(第1の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部13は、層間変形角Δが設計層間変形角を超えている場合、処理をステップS7へ進め、一方層間変形角Δが設計層間変形角を超えていない場合、処理をステップS6へ進める。
ステップS7:
建物安全性評価部13は、固有周期計測部12から供給される固有周期Tと固有周期閾値とを比較し、固有周期Tが固有周期閾値以下であるか否かの判定を行う(第2の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部13は、固有周期Tが固有周期閾値を超える場合、処理をステップS9へ進め、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、処理をステップS10へ進める。ここで、説明においては、建物100の固有周期の初期値ではなく、この固有周期の初期値に対してマージンを持たせた固有周期閾値を用いている。
ステップS8:
建物安全性評価部13は、固有周期計測部12から供給される固有周期Tと固有周期閾値とを比較し、固有周期Tが固有周期閾値以下であるか否かの判定を行う(第2の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部13は、固有周期Tが固有周期閾値を超える場合、処理をステップS11へ進め、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、処理をステップS12へ進める。
ステップS9:
建物安全性評価部13は、データベース14の判定テーブルを参照し、層間変形角Δが設計層間変形角を超え、かつ固有周期Tが固有周期閾値を超えている場合、パラメータパターンが状態Aであることを検出する。
次に、建物安全性評価部13は、パラメータパターンが状態Aの判定である「早急な調査が必要である(A)」を、データベース14の判定結果テーブルにおける対応する評価対象のk階100の判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS5へ進める。
ステップS10:
建物安全性評価部13は、データベース14の判定テーブルを参照し、層間変形角Δが設計層間変形角を超え、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、パラメータパターンが状態Bであることを検出する。
次に、建物安全性評価部13は、パラメータパターンが状態Bの判定である「継続使用可能だが、注意して利用する必要がある(B)」を、データベース14の判定結果テーブルにおける対応するk階100の判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS5へ進める。
ステップS11:
建物安全性評価部13は、データベース14の判定テーブルを参照し、層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下でない場合、パラメータパターンが状態Cであることを検出する。
次に、建物安全性評価部13は、パラメータパターンが状態Cの判定である「継続使用可能だが、注意して利用する必要がある(C)」を、データベース14の判定結果テーブルにおける対応するk階100の判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS5へ進める。
ステップS12:
建物安全性評価部13は、データベース14の判定テーブルを参照し、層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、かつ固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、パラメータパターンが状態Dであることを検出する。
次に、建物安全性評価部13は、パラメータパターンが状態Dの判定である「継続使用可能(D)」を、データベース14の判定結果テーブルにおける対応するk階100の判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS5へ進める。
上述した処理を行うことにより、本実施形態の建物安全性検証システム1は、地震到来時に、建物100の固有周期Tと建物100におけるk階100kの層間変形角Δとの組み合わせにより、建物100の各々の階の損傷程度を判定する。
次に、強風時の建物安全性評価モードの処理の一実施例について説明する。
図5Cは、本実施形態による建物安全性検証システム1により強風時における建物の安全性を検証する処理(強風時の建物安全性評価モードの処理)の流れを示すフローチャートである。建物安全性検証システム1は、強風の発生を予測した後、各階毎に図5Cのフローチャートの動作を行い、建物100の階毎の安全性の判定を行う。建物100がn階建てであれば、1階1001からn階100nまで順番にフローチャートによる判定処理を行う。例えば、計測制御部16は、風力計SWが検出した最大瞬間風速が所定の最大風力判定閾値以上の場合、さらなる強風が発生し得ることを予測して以下のフローチャートの処理を実行する。
ステップSa1:
計測制御部16は、予め定めた所定の期間ごとに風力計SWが検出したデータから、その所定の期間ごとに風力計SWが検出した最大瞬間風速を抽出し、抽出した最大瞬間風速の値を構造物安全性評価部13に送りる。構造物安全性評価部13は、最大瞬間風速の値を14に時系列情報としてデータベース14に記憶させる。
ステップSa2:
層間変位計測部11は、建物100のk階100k(1≦k≦n)に配置された加速度センサSkから供給される、それぞれの加速度センサSkが計測した加速度から、加速度センサS0の加速度を抽出する。そして、層間変位計測部11は、この抽出した加速度を2回積分し、各階の変位を算出し、それぞれ隣接する階の変位の差分を算出し、各階の層間変位δを算出する。ここで、建物100の1階1001の層間変位δは、1階1001の変位から基礎1000の変位を減算して求められる。
ステップSa3:
層間変位計測部11は、算出したk階100kの層間変位δの各々を、k階100kの高さでそれぞれ除算し、k階100kの層間変形角Δを算出する。
ステップSa13:
ここで、計測制御部16は、風力計SWにより検出された最大瞬間風速の値が、予め定めた最大風力判定停止閾値以下になったか否かを判定する(ステップSa13)。ステップSa13における判定により、風力計SWにより検出された最大瞬間風速の値が、予め定めた最大風力判定停止閾値以下になったと判定された場合、ステップSa4の処理へ進める。一方、ステップSa13における判定により、風力計SWにより検出された最大瞬間風速の値が、予め定めた最大風力判定停止閾値以下になっていないと判定された場合、ステップSa1の処理へ進める。
ステップSa4:
固有周期計測部12は、屋上100Rに配置された微振動センサSBから、強風発生後に供給される微振動データに対し、信号処理を行う。すなわち、固有周期計測部12は、微振動データのフーリエ解析を行い、最も高いパワースペクトルを有する周波数を抽出し、この周波数を固有周波数とする。そして、固有周期計測部12は、抽出した固有周波数の周期を求め、この周期を固有周期Tとする。
ステップS5からステップS12までの処理は、前述の図5Bに示す地震時における建物安全性評価モードの処理と同様であり、ここでは説明を省略する。
上述した処理を行うことにより、本実施形態の建物安全性検証システム1は、強風到来時に建物100の固有周期Tと建物100におけるk階100kの層間変形角Δとの組み合わせにより、建物100の各々の階の損傷程度を判定することができる。
これにより、本実施形態の建物安全性検証システム1は、建物100が設計基準値である設計層間変形角と異なる数値で建設されていても、建物100の固有周期と組み合わせて判定することにより、建設された実際の建物の設計層間変形角に対応して、各階の個別の損傷程度を従来に比較して高い精度にて推定して判定することができる。また、本実施形態の建物安全性検証システム1は、施工誤差、経年劣化、什器など建物内部設置物の重量変動、構造躯体や非構造部材の剛性などの条件が変化しても対応し、建物100における各階の個別の損傷程度を従来に比較して高い精度にて推定し、建物の安全性を判定することができる。
また、本実施形態の建物安全性検証システム1によれば、データベース14における判定結果テーブルに対して、各階(加速度センサを設けた階)の判定結果を書き込むことにより、その判定結果によってすでに述べたように、建物100における各階の地震後の避難の優先度などを判定することができ、避難誘導を効率的に行うことができる。
また、本実施形態においては、建物100の全層に加速度センサを設けたが、例えば1階おきなど、複数階(複数層)のいくつかの層に加速度センサを設け、加速度センサを設けた階の損傷を判定するようにしても良い。
<第2の実施形態>
以下、図を用いて本発明の第2の実施形態の建物安全性検証システムの説明を行う。図6は、本発明の第2の実施形態による建物安全性検証システムの構成例と、評価対象の建物に設けた加速度センサ、微振動センサ及び傾斜角センサとが接続された構成を表す概念図である。
図6において、建物安全性検証システム2は、インターネットや建物内に設けられたLANなどからなる情報通信網Iを介して、第1の実施形態と同様に、建物100に設けられている各種センサから、それぞれのセンサが検出したデータが供給される。例えば、建物100のそれぞれの階の振動を検出するセンサとして加速度センサが設けられている。加速度センサSからS(0は基礎、1からnまでは建物の階数)の各々から地震の振動データとして加速度データが供給される。加速度センサS、加速度センサSからSについては配置箇所が第1の実施形態と同様である。また、第2の実施形態においては、建物100の屋上100には、微振動センサSB、風力計SWに加え、傾斜角センサSJが配置されている。この傾斜角センサSJは、微振動センサSBと同様に、屋上100でなくとも、屋上100近傍の最上階の上部(例えば、n階建てであればn階の天井など)に配置しても良い。
建物安全性検証システム2は、層間変位計測部11、固有周期計測部12、計測制御部16、建物安全性評価部23、データベース24及び傾斜角計測部25を備えている。層間変位計測部11、固有周期計測部12及び計測制御部16の各々は、第1の実施形態における層間変位計測部11、固有周期計測部12及び計測制御部16のそれぞれと同様の構成である。
傾斜角計測部25は、建物100の屋上100Rに配置された傾斜角センサSJから供給される傾斜データによって、地平に対して垂直方向の軸に対する建物100の傾斜角θを算出する。本実施形態においては、層間変形角Δ、固有周期T及び傾斜角θは絶対値にて示される。
建物安全性評価部23は、層間変位計測部11の求めた層間変形角Δと、固有周期計測部12の求めた建物の固有周期Tと、傾斜角計測部25が求めた傾斜角θとにより、構造躯体の損傷度合いを判定している。すなわち、建物安全性評価部23は、層間変形角Δと予め設定されている設計層間変形角とを比較し、層間変形角Δが設計層間変形角を超えているか否かの場合分けを行う。また、建物安全性評価部23は、固有周期Tと固有周期の初期値とを比較し、固有周期Tが固有周期の初期値以下であるか否かの判定を行う。また、建物安全性評価部23は、傾斜角θと傾斜角の初期値(例えば、建物の建設直後に計測された傾斜角)とを比較し、傾斜角θが初期値以下であるか否かの判定を行う。
また、固有周期の初期値に対して経時変化のマージンを加えて、固有周期の初期値の代わりに、この固有周期の初期値に対してマージンを加えて固有周期閾値を生成し、この固有周期閾値と固有周期Tとを比較するようにしても良い。ここで、固有周期の初期値<固有周期閾値である。
図7は、図1のデータベース14に記憶されている判定テーブルにおけるパラメータパターンの組み合わせの構成例を示す図である。この判定テーブルは、層間変形角Δ及び設計層間変形角の比較結果と、固有周期T及び固有周期の初期値の比較結果と、傾斜角θ及び傾斜角の初期値(傾斜角閾値)の比較結果の組み合わせによる建物の健全性の判定結果が示されている。設計層間変形角は、この値を超える層間変位が発生した場合、構造躯体の部材が変形などの損傷を受ける大きさに設定されている。以下、固有周期Tと層間変形角Δと傾斜角θとの判定のパターンを示すパラメータパターンに対応する建物の健全性の判定を示す。この図7において、3次元の判定空間がパターンP1からパターンP8の8個の領域に分割されている。
・パターンP1 層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるパターン
・パターンP2 層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるパターン
・パターンP3 層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるパターン
・パターンP4 層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるパターン
・パターンP5 層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えているパターン
・パターンP6 層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えているパターン
・パターンP7 層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えているパターン
・パターンP8 層間変形角Δが設計層間変形角を超えており、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えているパターン
本実施形態においては、上述したパターンP1からパターンP8を以下に示すように、5個の判定グループ(状態)に分類されている。データベース24には、この判定グループに対応した判定結果が判定テーブルとして予め書き込まれて記憶されている。
・判定グループD:パターンP1、パターンP2
判定結果:継続使用可能。
判定理由:パターンP1については、層間変形角Δが設計層間変形角以下であり、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるため、建物100に対する損傷がないと判定される。また、パターンP2については、層間変形角Δが設計層間変形角を超えているが、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であるため、建物100に対する損傷がないと判定される。ここで、層間変形角Δが設計層間変形角を超えているのに、固有周期Tが固有周期閾値以下であり、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であることから、建物100の実際の耐震性能が設計時より高く建設されているためと推定される。
・判定グループE:パターンP5、パターンP6
判定結果:応急復旧時には使用可能と判断できるが、通常時に使用できるかどうかは調査が必要。
判定理由:固有周期Tが固有周期閾値以下であり、建物100の傾斜角θが傾斜角の閾値を超えている場合、建物100の立っている地盤が損傷していると推定される。
・判定グループF:パターンP7
判定結果:非構造部材が損傷している可能性があり、応急復旧時に使用するとしても調査が必要。
判定理由:固有周期Tが固有周期閾値を超えており、建物100の傾斜角θが傾斜角の閾値を超えており、層間変形角Δが設計層間変形角以下である場合、建物100の非構造部材及び建物100の立っている地盤が損傷していると推定される。
・判定グループG:パターンP3、パターンP4
判定結果:非構造部材が損傷している可能性があり、応急復旧時に使用するとしても調査が必要であるが、通常時の使用に関しては非構造部材を補修すれば継続使用可能。
判定理由:建物100の傾斜角θが傾斜角の閾値以下であるが、固有周期Tが固有周期閾値を超えているため、建物100の構造躯体に損傷が無く、非構造躯体に損傷の可能性があると推定される。
・判定グループH:パターンP8
判定結果:継続使用不可。
判定理由:建物100の傾斜角θが傾斜角の閾値を超え、かつ固有周期Tが固有周期閾値を超え、かつ層間変形角Δが設計層間変形角を超えているため、建物100の構造躯体、非構造躯体及び地盤に損傷の可能性があると推定される。
次に、本実施形態による建物安全性検証システム2の建物の安全性を検証する処理を、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態による建物安全性検証システム2の建物の安全性を検証する処理の流れを示すフローチャートである。建物安全性検証システム2は、地震が発生した後、各階毎に図8のフローチャートの動作を行い、建物100の階毎の安全性の判定を行う。建物100がn階建てであれば、1階100からn階100まで順番にフローチャートによる判定処理を行う。層間変位計測部11は、供給される加速度センサSから地動加速度が所定の地震判定閾値以上の場合、地震発生として以下のフローチャートの処理を実行する。
ステップS21:
層間変位計測部11は、供給される加速度センサSが計測した加速度データから加速度を抽出する。そして、層間変位計測部11は、この抽出した加速度を2回積分し、基礎部分の変位を算出する。
ステップS22:
層間変位計測部11は、建物100のk階100(1≦k≦n)に配置された加速度センサSから供給される、それぞれの加速度センサSkが計測した加速度から、加速度センサSの加速度を抽出する。そして、層間変位計測部11は、この抽出した加速度を2回積分し、各階の変位を算出し、それぞれ隣接する階の変位の差分を算出し、各階の層間変位δを算出する。ここで、建物100の1階100の層間変位δは、1階100の変位から基礎100の変位を減算して求められる。
なお、全体曲げ変形やロッキングが支配的な建物などに対しては、層間変位を算出する際に、傾斜角θの計測データを用いることでせん断変形成分をより精緻に算出する。
ステップS23:
層間変位計測部11は、算出したk階100の層間変位δの各々を、k階100の高さでそれぞれ除算し、k階100の層間変形角Δを算出する。なお、加速度データから変位を求める方法は、本実施形態に記載されているもの以外の他の方法を用いても良い。
ステップS24:
固有周期計測部12は、屋上100に配置された微振動センサSBから、地震発生後に供給される微振動データに対し、信号処理を行う。すなわち、固有周期計測部12は、微振動データのフーリエ解析を行い、最も高いパワースペクトルを有する周波数を抽出し、この周波数を固有周波数とする。そして、固有周期計測部12は、抽出した固有周波数の周期を求め、この周期を固有周期Tとする。
ステップS25:
傾斜角計測部25は、建物100の屋上100に配置されている傾斜角センサSJから供給される傾斜角データにより、建物100の傾斜角θを求める。
ステップS26:
建物安全性評価部23は、建物100における1階100からn階100までの全ての階における損傷程度の判定が行われたか否かの判定を行う。
このとき、建物安全性評価部23は、建物100における全ての階に対する判定が終了した場合、処理を終了し、建物100における全ての階に対する判定が終了していない場合、処理をステップS27へ進める。
ステップS27:
建物安全性評価部23は、傾斜角計測部25から供給される傾斜角θと建物100の傾斜角の初期値との比較を行い、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えているか否かを判定する(第3の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部23は、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えていない場合、処理をステップS28へ進め、一方、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えている場合、処理をステップS29へ進める。
ステップS28:
建物安全性評価部23は、固有周期計測部12から供給される固有周期Tと固有周期閾値とを比較し、固有周期Tが固有周期閾値以下であるか否かの判定を行う(第2の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部23は、固有周期Tが固有周期閾値を超える場合、処理をステップS32へ進め、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、処理をステップS31へ進める。ここで、説明においては、建物100の固有周期の初期値ではなく、この固有周期の初期値に対してマージンを持たせた固有周期閾値を用いている。
ステップS29:
建物安全性評価部23は、固有周期計測部12から供給される固有周期Tと固有周期閾値とを比較し、固有周期Tが固有周期閾値以下であるか否かの判定を行う。このとき、建物安全性評価部23は、固有周期Tが固有周期閾値を超える場合、処理をステップS30へ進め、一方、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、処理をステップS33へ進める。
ステップS30:
建物安全性評価部23は、建物100の判定の終了していない階の層間変形角Δを層間変位計測部11から読み込み、この読み込んだ判定対象のk階100の層間変形角Δと設計層間変形角との比較を行い、層間変形角Δが設計層間変形角を超えているかを判定する(第1の判定結果を求める)。このとき、建物安全性評価部23は、層間変形角Δが設計層間変形角を超えている場合、処理をステップS35へ進め、一方層間変形角Δが設計層間変形角を超えていない場合、処理をステップS34へ進める。
ステップS31:
建物安全性評価部23は、データベース24の判定テーブルを参照し、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であり、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、パラメータパターンが状態Dであることを検出する。
次に、建物安全性評価部23は、パラメータパターンが状態Dの判定である「継続使用可能(D)」を、データベース24の判定結果テーブルにおける対応するk階100の判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS26へ進める。
ステップS32:
建物安全性評価部23は、データベース24の判定テーブルを参照し、傾斜角θが傾斜角の初期値以下であり、固有周期Tが固有周期閾値を超えている場合、パラメータパターンが状態Gであることを検出する。
次に、建物安全性評価部23は、パラメータパターンが状態Gの判定である「非構造部材が損傷している可能性があり、応急復旧時に使用するとしても調査が必要であるが、通常時の使用に関しては非構造部材を補修すれば継続使用可能(G)」を、データベース24の判定結果テーブルにおける対応するk階100の判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS26へ進める。
ステップS33:
建物安全性評価部23は、データベース24の判定テーブルを参照し、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えており、固有周期Tが固有周期閾値以下である場合、パラメータパターンが状態Eであることを検出する。
次に、建物安全性評価部23は、パラメータパターンが状態Eの判定である「応急復旧時には使用可能と判断できるが、通常時に使用できるかどうかは調査が必要(E)」を、データベース24の判定結果テーブルにおける対応するk階100の判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS26へ進める。
ステップS34:
建物安全性評価部23は、データベース24の判定テーブルを参照し、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えており、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、層間変形角Δが設計層間変形角以下である場合、パラメータパターンが状態Fであることを検出する。
次に、建物安全性評価部23は、パラメータパターンが状態Fの判定である「非構造部材が損傷している可能性があり、応急復旧時に使用するとしても調査が必要(F)」を、データベース24の判定結果テーブルにおける対応するk階100の判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS26へ進める。
ステップS35:
建物安全性評価部23は、データベース24の判定テーブルを参照し、傾斜角θが傾斜角の初期値を超えており、固有周期Tが固有周期閾値を超えており、層間変形角Δが設計層間変形角を超えている場合、パラメータパターンが状態Hであることを検出する。
次に、建物安全性評価部23は、パラメータパターンが状態Hの判定である「継続使用不可(H)」を、データベース24の判定結果テーブルにおける対応するk階100の判定結果の欄に書き込んで記憶させ、処理をステップS26へ進める。
上述した処理を行うことにより、本実施形態の建物安全性検証システム2は、地震時における建物100の固有周期Tと建物100におけるk階100kの層間変形角Δと建物100の傾斜角θの組み合わせにより、建物100の各々の階の損傷程度を判定する。これにより、本実施形態の建物安全性検証システム2は、建物100が設計層間変形角と異なる数値で建設されていても、建物100の固有周期T及び傾斜角θと組み合わせることにより、建物100が設計基準値である設計層間変形角と異なる数値で建設されていても、建物100の固有周期及び傾斜角と組み合わせて判定することにより、建設された実際の建物の設計層間変形角に対応して、各階の個別の損傷程度及び地盤の損傷程度を従来に比較して高い精度にて推定して判定することができる。また、本実施形態の建物安全性検証システム2は、施工誤差、経年劣化、什器など建物内部設置物の重量変動、構造躯体や非構造部材の剛性などの条件が変化しても対応し、建物100における各階の個別の損傷程度及び地盤の損傷程度を従来に比較して高い精度にて推定し、建物の安全性を判定することができる。すなわち、本実施形態によれば、各階の層間変形角及び固有周期による判定に対して傾斜角の判定を加えることにより、建物100における構造躯体の損傷、非構造躯体の損傷及び地盤の損傷(建物の傾斜角θにより推定)の切り分けが可能である。このため、本実施形態の建物安全性検証システム2は、第1の実施形態に比較してより詳細な建物100の状態の判定を行うことができる。また、本実施形態の建物安全性検証システム2によれば、データベース24における判定結果テーブルに対して、各階の判定結果を書き込むことにより、その判定結果によってすでに述べたように、建物100における各階の地震後の避難の優先度などを判定することができる。
なお、本実施形態の建物安全性検証システム2は、第1の実施形態に示したような地震時における場合と強風時における場合の双方を処理する場合に適用することができる。例えば、図5Aに示す手順に従って地震の到来を検出し(ステップSm1)、地震時の構造物安全評価モード(ステップSm2)を実施する。そのステップSm2に、図8に示す処理を適用することができる。
また、本実施形態の建物安全性検証システム2は、第1の実施形態に示したような強風時における場合に対しても傾斜角θを用いる判定方法を適用させることができる。例えば、図5Aに示す手順に従って強風を検出し(ステップSm3)、強風時の構造物安全評価モード(ステップSm4)を実施する。ステップSm4の処理として、図5Cに示す処理と図8に示す処理を下記のように関連付ける。図5Cに示すステップSa1からステップSa4までの各ステップの処理により強風を検出した後のステップS5からステップS12までの各ステップの処理を、本実施形態の図8におけるステップS25からステップS35までの各ステップの処理に置き換えるとよい。これにより、構造物安全性検証システム2は、強風時における構造物の安全性を検証する場合に、構造物100の傾斜角を判定の条件に含めて構造物の安全性を評価することができる。
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態の構造物安全性検証システムの説明を行う。この第3の実施形態では、検証対象の構造物が免震構造を有する場合に対しての適用について例示する。
(免震構造を有する構造物に対する制振制御)
まず、免震構造を有する構造物について整理する。このような免震構造の構造物は、主に地震を想定して揺れの影響を低減させるように最適化されている。そのため、風が外的要因になる場合には、地震と異なるエネルギー成分の外力を受けることにより強風時に揺れが生じることがある。
外力による揺れを低減する目的で、免震構造の構造物に制震機構を組み合わせて設ける場合がある。制震機構の方式を大別すると、アクティブ型、パッシブ型、共振回避型、エネルギー吸収型などがある。また、その構成方法として、付加質量機構を備える方法、可変鋼性機構(例えば、ブレース機能の有効無効を調整する機構)を備える方法、エネルギー吸収機構(例えば、ダンパー)を備える方法などがある。
付加質量機構は、例えば、構造物の頂部などで、構造物側の質量と別の質量として付加する質量を揺らすことで、構造物の共振振幅を調整し、付加した質量の振動で揺れのエネルギーを吸収する。
例えば、パッシブ型の構成として、バネやダンパーが付いた剛体を載せる機構を備えるTMD(Tuned Mass Damper)、液体の入ったタンクを載せる機構を備えるTLD(Tuned Liquid Damper)などが知られている。
また、アクティブ型のものとして、付加質量の動きをコンピュータで制御する機構を備えるAMD(Active Mass Damper)や、ダンパーの特性を制御するアクティブダンパーなどが知られている。
(免震特性を調整可能な免震構造を有する構造物への適用)
次に、図9を参照して、免震特性を調整可能な免震構造を有する構造物に対する構造物安全性検証システム2Aの適用について説明する。
図9は、本発明の第3の実施形態による構造物安全性検証システムの構成例と、評価対象の構造物に設けた加速度センサ、微振動センサ、傾斜角センサ及び免震制御部とが接続された構成を表す概念図である。
図9において、構造物安全性検証システム2Aは、インターネットや構造物内に設けられたLANなどからなる情報通信網Iを介して、第2の実施形態と同様に、構造物100Aに設けられている各種センサから、それぞれのセンサが検出したデータが供給される。例えば、構造物100Aのそれぞれの階の振動を検出するセンサとして加速度センサが設けられている。加速度センサSからS(0は基礎、1からnまでは構造物の階数)の各々から地震の振動データとして加速度データが供給される。加速度センサS、加速度センサSからSについては配置箇所が第1の実施形態と同様である。また、第2の実施形態においては、構造物100Aの屋上100には、微振動センサSB、風力計SWに加え、傾斜角センサSJが配置されている。この傾斜角センサSJは、微振動センサSBと同様に、屋上100でなくとも、屋上100近傍の最上階の上部(例えば、n階建てであればn階の天井など)に配置しても良い。
建物安全性検証システム2Aは、層間変位計測部11、固有周期計測部12、計測制御部16、建物安全性評価部23A、データベース24及び傾斜角計測部25を備えている。層間変位計測部11、固有周期計測部12、計測制御部16、建物安全性評価部23A、データベース24及び傾斜角計測部25の各々は、第1の実施形態における層間変位計測部11、固有周期計測部12、計測制御部16、建物安全性評価部23、データベース24及び傾斜角計測部25のそれぞれと同様の構成を含む。
建物安全性評価部23Aは、前述の建物安全性評価部23の構成を含む他に、免震制御部5を制御する。免震制御部5に対する制御の詳細は後述する。
また、構造物安全性検証システム2Aが検証対象とする構造物100Aは、免震構造を有する。例えば、構造物100Aは、基礎上に設けられた弾性体に上部構造物が支持されており、地震時に基礎から上部構造物に対する振動が上記弾性体によって減衰されるように構成されている。また、基礎と上部構造体との間には、上記弾性体の他、アクティブダンパー6が設けられている。このアクティブダンパー6は、上記弾性体と組み合わされることにより、基礎から上部構造体に伝わる振動と、基礎に対する上部構造体の周期性を有する搖動とを効率よく減衰させることができる。
免震構造の構造物100Aは、地震等による基礎側から加振される振動エネルギーの影響を低減するように構成されている。そのため、耐震構造の構造物に比べて風による揺れが生じやすい。このような揺れが構造物に生じた場合には居住性が低下することがある。
また、耐震構造の構造物が1次のモードで共振することが多くなるのに対し、免震構造の構造物100Aは、高次(例えば、2次、3次など)の次数のモードで共振する場合が生じやすくなることが知られている。高次のモードのエネルギーが大きくなると、構造物100Aの最大振幅を発生する階が最上階になるとは限らず、中間階に生じることがある。
また、アクティブダンパーを備える構造物において、予め想定される特定の次数のモードが検出できるように、アクティブダンパーを制御するためのセンサを専用に設けて構成し、そのセンサからの信号に基づいて制御されるように構成することがある。
一方、本実施形態における構造物100Aでは、構造物安全性検証システム2Aにおける加速度センサS、加速度センサSからSの全て又は一部を、アクティブダンパー6を制御するための振動センサとして共用することができる。このように加速度センサS、加速度センサSからSの全て又は一部を免震制御用のセンサと共用したことにより、個々にセンサを設けることが必要なくなり、さらに検出した振動の状況を示すデータを、構造物安全性検証システム2Aと免震制御系のデータとして共用することができる。
免震制御部5は、加速度センサS、加速度センサSからSの全て又は一部のセンサからのデータに基づいて、構造物100Aの搖動が少なくなるようにアクティブダンパー6を制御する。
また、免震制御部5は、構造物安全性評価部23Aからの制御に応じてアクティブダンパー6の鋼性を調整して、基礎に対する構造物100Aの振動特性を調整する。免震制御部5がアクティブダンパー6を制御する基本的な制振制御は、一般的な手法を適用することができる。本実施形態では、構造物安全性評価部23Aからの制御に応じて、基礎に対する構造物100Aの振動特性を調整する方法を中心に説明する。
上記のように構造物安全性検証システム2A及び免震制御部5、アクティブダンパー6を備えて構成したことにより、構造物安全性検証システム2Aは、構造物100Aの安全性を評価して構造物100Aの免震特性を制御することができる。例えば、予め想定された範囲外の故障、損傷が免震制御系の一部に生じた場合であっても、構造物100Aが想定した次数と異なるモードで搖動していることを構造物安全性検証システム2Aの評価結果から検出することができる。
以下、上記についての具体的な実施例について説明する。
(免震構造の特性の調整を必要とする外的要因とその外的要因に対する適用方法)
各種免震構造の特性を調整する制御方法として、以下の方法が挙げられる。例えば、免震制御部5は、互いに特性が異なる複数の免震特性モデルを予め数値化(又は数式化)して記憶しておく。免震制御部5は、構造物100Aの振動状況に応じて複数の免震特性モデルのうちから何れかを選択して、選択した免震特性モデルに基づいてアクティブダンパー6を制御する。個々の免震特性モデルの数値化(または数式化)は、既知の一般的な手法を用いて算出してもよい。
免震構造の特性の調整を必要とする外的要因として、以下のものが挙げられる。例えば、その外的要因には、地震、長周期地震動、強風などがある。そこで、免震構造の特性の調整を容易にするように、上記の外的要因に応じて、互いに特性が異なる複数の免震特性モデルを定義する。例えば、互いに特性が異なる複数の免震特性モデルとしては、地震時に適した特性モデル、長周期地震動に適した特性モデル、強風時に適した特性モデルなどが挙げられる。地震時に適した特性モデルでは、地震によるエネルギーをより多く吸収するように設定する。長周期地震動に適した特性モデルでは、長周期地震動によるエネルギーを吸収しつつ、長周期地震動の周期に共振しないように鋼性を高めに設定する。強風時に適した特性モデルでは、風による搖動を低減するように鋼性を高めに設定する。
このように互いに特性が異なる免震特性モデルのうちから最も適した免震特性になるように、下記の外的要因の検出により構造物100Aの免震構造の特性切り替えるようにすることで、適した免震特性モデルを適用させることができる。
(1)緊急地震通報を受信した場合:
例えば、緊急地震通報を計測制御部16が受信した場合には、構造物安全性検証システム2Aを地震に対して備えた状態にする。
構造物安全性評価部23Aは、平常時に選択されている「地震時に適した特性モデル」により、免震構造によって地震波による振動エネルギーを吸収する。例えば、構造物を式(1)に示すようにマスダンパによりモデル化した場合に、同式の固有周期Tを比較的長くするように調整されている。
T=2πx√(m/k)・・・式(1)
式(1)において、mは質量、kは水平鋼性を示す。上記の式(1)に示すように、アクティブダンパー6により水平鋼性を調整することにより、固有周期Tを調整できることが分かる。
また、加速度センサにより検出される振動が収まり、予め定めた所定の大きさの振動が検出されなくなったことを層間変位計測部11が検出する。層間変位計測部11が検出してから予め所定の時間が経過した後に、層間変位計測部11は地震による大きな揺れが収まったものと判定する。この判定結果に従い、地震による大きな揺れが収まった段階で、構造物安全性評価部23Aは、地震に対して備えた状態を解除して、構造物の安全性の検証処理を実施する。
(2)加速度センサ(振動センサ)によって地震による揺れを検出した場合:
例えば、上記(1)の緊急地震通報を計測制御部16が受信しない状況のまま、先に加速度センサ(振動センサ)によって地震による揺れを層間変位計測部11が検出する場合がある。このような場合も、上記(1)に示した緊急地震通報を受信した場合のように、構造物安全性評価部23Aは、構造物安全性検証システム2Aを地震に対して備えた状態にする。
また、上記(1)と同様に、加速度センサにより検出された振動が所定の大きさより小さくなり、そのときより予め所定の時間が経過したタイミングで、地震による大きな揺れが収まったものと判定する。この判定結果に従い、地震による大きな揺れが収まった段階で、構造物安全性評価部23Aは、地震に対して備えた状態を解除して、構造物の安全性の検証処理を実施する。
(3)所定の大きさ以上の風を検出して免震構造の特性を調整する場合:
例えば、瞬間最大風速が所定の大きさを越えたタイミングに応じて、構造物安全性評価部23Aは、平常時に選択されている「地震に適した特性モデル」が選択されている状態から、「強風時に適した特性モデル」を選択して、変更する。これにより、強風時の揺れの振動エネルギーを受ける前に、固有周期Tを比較的短くすることができる。
また、強風時に適した特性モデルを休止させるタイミングを、瞬間最大風速が所定の大きさより小さくなり、その後、所定の時間経過した後にする。このタイミングに応じて、強風時に適した特性モデルから、平常時に適した「地震に適した特性モデル」などに変更する。これにより、比較的短い値に調整していた固有周期Tを元の値の比較的長い値にすることができる。
(4)長周期地震動の到来を予測して免震構造の特性を調整する場合:
大規模な地震が発生すると震源から離れた場所まで長周期地震動が生じることがある。長周期の地震波の到来を予測した場合に、構造物安全性評価部23Aは、平常時に選択されている「地震に適した特性モデル」が選択されている状態から、「長周期地震動に適した特性モデル」を選択して、変更する。これにより、長周期地震動による揺れの振動エネルギーを受ける前に、固有周期Tを比較的短くすることができる。また、固有周期Tの値を比較的短い値になるように調整することにより、構造物100Aが長周期の振動に共振することを避けることができる。
また、長周期地震動に適した特性モデルを休止させるタイミングを、長周期地震動による揺れが収まった段階にする。この段階で、長周期地震動に適した特性モデルから、平常時に適した「地震に適した特性モデル」などに変更する。これにより、比較的短い値に調整していた固有周期Tを元の値に戻すことができる。
以上に示した実施形態によれば、それぞれの免震特性への移行を必要とする条件が満たされたタイミングで、検出した条件に適した免震特性になるように制御することができ、これにより、その条件に適した免震特性に調整することが可能になる。
なお、上記の実施形態の説明では、アクティブダンパー6を用いて免震特性を制御する構成を例示したが、上記の構成に制限されることなく他のアクティブ型の免震構造にも、上記と同様に適用することができる。例えば、他のアクティブ型の免震構造に適用する場合においても、上記のように、互いに特性が異なる免震特性モデルのうちから最も適した免震特性を選択するように構成することで、適した免震特性モデルを適用させることができる。
さらに、免震構造の他の方式への適用として、パッシブ型の免震構造の稼働状態を制限して免震特性を調整する方法が挙げられる。例えば、TMDの機能を休止させたり、TMDの振動を減衰させる減衰係数を調整したりする条件に、本実施形態において検出した外的要因位とその外的要因に応じた調整方法を適用させて、免震特性の調整に応用してもよい。
以上に示したように、本実施形態の構造物安全性検証システム23Aは、単に構造物の安全性を検証するだけにとどまらず、外部要因となる外力が構造物に掛かる際の免震構造の免震特性を制御するようにしたので、外部要因となる外力による振動を低減することができ、構造物が損傷する可能性を低減させることができる。さらに、本実施形態の構造物安全性検証システム23Aは、外部要因となる外力による振動を低減したことにより、居住性を高めるという効果を合わせて奏することができる。
<第3の実施形態の変形例>
以下、本発明の第3の実施形態の変形例としての構造物安全性検証システム23Aの説明を行う。上記の第3の実施形態では、検証対象の構造物が免震構造を有する構成について例示した。本第3の実施形態の変形例では、アクティブ型の制振制御を実施する場合に用いる構造モデル(例えば、マス・ダンパ・モデル)を補正するように、本構造物安全性検証システム23Aを利用する形態について説明する。
一般に構造物の構造モデルを精度よく定めることは、前述のとおり困難である。しかしながら、アクティブ型の制振制御(免震制御)を実施する場合、構造物の構造モデルを用いて制御することが一般的に行われている。このように、構造物の構造モデルを用いて制御していても、実際の構造物の状態とその構造モデルとが必ずしも一致しているとは限らない。
そこで、第3の実施形態の変形例では、構造物安全性検証システム23Aの解析結果を、構造物の構造モデルを用いたアクティブ型の制振制御に適用して、その構造モデルの精度を高める方法を例示する。
例えば、構造物100Aに対応する複数の構造モデルを制振制御系の設計段階で予め生成し、生成された複数の構造モデルのデータを免震制御部5と構造物安全性検証システム2A(データベース24)に記憶させておく。
構造物安全性検証システム2Aは、構造物安全性検証システム2Aの検証処理の過程で取得した各種データに基づいて、予め定めた構造モデルの中から適した構造モデルを選択する。構造物安全性検証システム2Aは、選択した構造モデルを免震制御部5に対して指示する。
免震制御部5は、構造物安全性検証システム2Aからの指示に応じて、記憶していた複数の構造モデルのうちから指示された構造モデルを選択する。免震制御部5は、選択した構造モデルに従ってアクティブ型の制振制御を実施する。
例えば、構造物安全性検証システム2Aが構造モデルを選択する際には、実測値に基づいた構造物の固有周期や、地震時の応答特性データなどを用いることができる。構造物安全性評価部23は、このような各種データを用いて、適した構造モデルを選択する。
上記の場合の構造モデルは、制振制御系の設計段階で予め定めたものであり、制御の過程で自由に設定されるものではないことから、制振制御系が不安定な状態に至ることを防ぐことができ、設計された範囲内で制振機能を機能させつつ、適した構造モデルを利用して制御することができる。
以上に示したように、本実施形態の構造物安全性検証システム2Aは、単に構造物の安全性を検証するだけにとどまらず、アクティブ型の制振制御を実施する場合の構造モデルを補正するための情報を用いて、実際の構造物に適した構造モデルを調整するようにした。これにより、実際の構造物に適した構造モデルを用いてアクティブ型の制振制御を実施することができる。なお、上記の変形例として説明した実施例は、前述の実施形態の構成や機能を任意に組み合わせて実施してもよい。
なお、図1における構造物安全性検証システム1、図6における構造物安全性検証システム2、又は、図9における構造物安全性検証システム2Aを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより構造物の耐震性の評価(地震による損壊の推定など)の処理動作を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
上記の実施形態では、対象とする構造物として、いわゆる建物を図示して説明したが、他の構成の構造物に対しても適用可能である。例えば、地上高を有する構造物や、地上高を有する構造物に他の構造物を組み合わせて構成された対象物に対して適用することができる。地上高を有する構造物としては、鉄塔、鉄柱、橋梁、高架橋などの構造物が挙げられる。地上高を有する構造物に他の構造物を組み合わせて構成された対象物としては、建物と建物の屋上に鉄塔を設けた構造物などが挙げられる。
なお、第3の実施形態において説明したTMD,AMDなどを構成する付加質量機構を配置する位置は、構造物の頂部等に限られることなく、構造物の頂頭部以外の他の場所に設けたり、構造物に分散して配置したりしてもよい。
1,2,2A…構造物安全性検証システム、5…免震制御部、6…アクティブダンパー、9…通報サーバ、11…層間変位計測部、12…固有周期計測部、13,23…構造物安全性評価部、14,24…データベース、16…計測制御部、25…傾斜角計測部、S,S,S,S,S,S,S,S…加速度センサ、100,100A…構造物、100…1階、100…2階、100…3階、100…4階、100…5階、100…6階、100…基礎、100…屋上、SB…微振動センサ、SJ…傾斜角センサ、SW…風力計

Claims (16)

  1. 複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を求める層間変位計測部と、
    前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を求める固有周期計測部と、
    前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価する構造物安全性評価部と
    前記構造物に振動を与える風の到来を検出する計測制御部と
    を備え
    前記計測制御部は、
    瞬間風速の大きさに応じて前記構造物に振動を与える風の到来を検出し、
    前記構造物安全性評価部は、
    前記瞬間風速の大きさに基づいて前記構造物の健全性を評価する
    ことを特徴とする構造物安全性検証システム。
  2. 複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を求める層間変位計測部と、
    前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を求める固有周期計測部と、
    前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価する構造物安全性評価部と
    前記構造物に振動を与える風の到来を検出する計測制御部と
    を備え
    前記計測制御部が前記構造物の近傍の所定値を超える瞬間風速を検出すると、
    前記層間変位計測部は、
    前記構造物に振動を与える風がおさまるまで前記構造物の変形量を検出し、
    前記固有周期計測部は、
    前記風がおさまった後に前記固有周期を算出し、
    前記構造物安全性評価部は、
    前記構造物の前記変形量と前記固有周期とに基づいて前記構造物の健全性を評価する
    ことを特徴とする構造物安全性検証システム。
  3. 複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を求める層間変位計測部と、
    前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を求める固有周期計測部と、
    前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価する構造物安全性評価部と
    前記構造物に振動を与える風の到来を検出する計測制御部と
    を備え、
    前記構造物安全性評価部は、
    緊急地震速報を受信したとき、前記センサで地震を検出したとき、所定の大きさの風を検出したとき、及び長周期地震動を検出したときに応じて、前記構造物の健全性の評価に関する解析の手法を調整する
    ことを特徴とする構造物安全性検証システム。
  4. 記構造物安全性評価部は、
    前記風の到来を最大瞬間風速の大きさに応じて検出し、前記構造物の健全性を評価する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の構造物安全性検証システム。
  5. 前記構造物の近傍の瞬間風速を検出して、前記風力値の情報を出力する風力検出部
    を備え、
    前記構造物安全性評価部は、
    前記検出した瞬間風速から抽出した前記最大瞬間風速の大きさに応じて、前記構造物の健全性を評価する
    ことを特徴とする請求項に記載の構造物安全性検証システム。
  6. 前記計測制御部は、
    前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報を取得し、
    前記センサは、
    前記取得した地震の到来を予測する情報が示す震度の大きさに応じて前記構造物の前記層の振動を計測する
    ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の構造物安全性検証システム。
  7. 前記構造物安全性評価部が、
    前記層間変位が予め設定された層間変位閾値を超えるか否かを判定した第1の判定結果と、また前記固有周期が予め設定した固有周期閾値を超えるか否かを判定した第2の判定結果との組み合わせにより、前記構造物の健全性を評価する
    ことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の構造物安全性検証システム。
  8. 前記構造物の最上層あるいは最上層近傍に配置され、当該構造物の傾斜角を計測する
    傾斜角計測部をさらに有し、
    前記構造物安全性評価部が、
    前記層間変位、前記固有周期及び前記傾斜角により、前記構造物の健全性を評価する
    ことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の構造物安全性検証システム。
  9. 前記構造物安全性評価部が、
    前記層間変位が予め設定された層間変位閾値を超えるか否かを判定した第1の判定結果と、また前記固有周期が予め設定した固有周期閾値を超えるか否かを判定した第2の判定結果と、前記傾斜角が予め設定した傾斜角閾値を超えるか否かを判定した第3の判定結果との組み合わせにより、前記構造物の健全性を評価する
    ことを特徴とする請求項8に記載の構造物安全性検証システム。
  10. 前記構造物安全性評価部の評価結果に基づいて、前記構造物における免震構造の免震特性を調整する
    ことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の構造物安全性検証システム。
  11. 複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記各層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、
    前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、
    前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと、
    瞬間風速の大きさに応じて前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、
    前記構造物の健全性を評価するステップにおいて、前記瞬間風速の大きさに基づいて前記構造物の健全性を評価するステップと
    を含むことを特徴とする構造物安全性検証方法。
  12. 複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記各層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、
    前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、
    前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと
    前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、
    前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップにおいて、前記構造物の近傍の所定値を超える瞬間風速を検出すると、
    前記構造物に振動を与える風がおさまるまで前記構造物の変形量を検出し、
    前記風がおさまった後に前記固有周期を算出し、
    前記構造物の前記変形量と前記固有周期とに基づいて前記構造物の健全性を評価するステップと
    を含むことを特徴とする構造物安全性検証方法。
  13. 複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記各層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、
    前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、
    前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと
    前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、
    前記構造物の健全性を評価するステップにおいて、緊急地震速報を受信したとき、前記センサで地震を検出したとき、所定の大きさの風を検出したとき、及び長周期地震動を検出したときに応じて、前記構造物の健全性の評価に関する解析の手法を調整するステップと
    を含むことを特徴とする構造物安全性検証方法。
  14. 複数の層からなる構造物の安全性を評価する構造物安全性検証システムのコンピュータに、
    複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、
    前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、
    前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと
    瞬間風速の大きさに応じて前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、
    前記構造物の健全性を評価するステップにおいて、前記瞬間風速の大きさに基づいて前記構造物の健全性を評価するステップと
    を実行させるためのプログラム。
  15. 複数の層からなる構造物の安全性を評価する構造物安全性検証システムのコンピュータに、
    複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、
    前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、
    前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと
    前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、
    前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップにおいて、前記構造物の近傍の所定値を超える瞬間風速を検出すると、
    前記構造物に振動を与える風がおさまるまで前記構造物の変形量を検出し、
    前記風がおさまった後に前記固有周期を算出し、
    前記構造物の前記変形量と前記固有周期とに基づいて前記構造物の健全性を評価するステップと

    を実行させるためのプログラム。
  16. 複数の層からなる構造物の安全性を評価する構造物安全性検証システムのコンピュータに、
    複数の層からなる構造物の前記層の振動を計測するセンサが当該構造物に設けられており、構造物近傍の風力値の情報と構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の両方を対象の情報にして、前記構造物近傍の風力値の情報と前記構造物に振動を与える地震の到来を予測する情報の少なくとも何れかの情報に応じて、前記センサの計測データから前記層の層間変位を層間変位計測部が求めるステップと、
    前記構造物の最上層あるいは当該最上層近傍の層の微振動を計測する微振動センサから、当該構造物の常時微動の固有周期を固有周期計測部が求めるステップと、
    前記層間変位計測部が求めた前記層間変位と、前記固有周期計測部が求めた前記固有周期とにより、前記構造物の健全性を評価するステップと
    前記構造物に振動を与える風の到来を検出するステップと、
    前記構造物の健全性を評価するステップにおいて、緊急地震速報を受信したとき、前記センサで地震を検出したとき、所定の大きさの風を検出したとき、及び長周期地震動を検出したときに応じて、前記構造物の健全性の評価に関する解析の手法を調整するステップと
    を実行させるためのプログラム。
JP2014140777A 2014-07-08 2014-07-08 構造物安全性検証システム、構造物安全性検証方法及びプログラム Active JP6499832B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014140777A JP6499832B2 (ja) 2014-07-08 2014-07-08 構造物安全性検証システム、構造物安全性検証方法及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014140777A JP6499832B2 (ja) 2014-07-08 2014-07-08 構造物安全性検証システム、構造物安全性検証方法及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016017846A JP2016017846A (ja) 2016-02-01
JP6499832B2 true JP6499832B2 (ja) 2019-04-10

Family

ID=55233157

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014140777A Active JP6499832B2 (ja) 2014-07-08 2014-07-08 構造物安全性検証システム、構造物安全性検証方法及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6499832B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210024762A (ko) * 2019-08-26 2021-03-08 한국건설기술연구원 구조물의 긴급 동적 안정성 판단 시스템

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113390390A (zh) * 2020-03-11 2021-09-14 特尔科股份有限公司 测定构筑物的安全相关数据的智能安全管理传感器

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1114448A (ja) * 1997-06-19 1999-01-22 Fujita Corp 構造物の振動観測方法および装置
JP2005121464A (ja) * 2003-10-16 2005-05-12 Mitsubishi Space Software Kk 構造物監視サーバ及び構造物監視システム及び構造物監視方法及び構造物監視プログラム及び構造物監視プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP4859557B2 (ja) * 2006-06-30 2012-01-25 財団法人電力中央研究所 コンクリート建物の健全性判定方法
JP4822337B2 (ja) * 2006-08-03 2011-11-24 株式会社山武 建築構造物の診断方法
JP4914162B2 (ja) * 2006-09-29 2012-04-11 株式会社竹中工務店 地震被害判定装置、地震被害判定方法及び地震被害判定プログラム
JP5082940B2 (ja) * 2008-03-07 2012-11-28 富士通株式会社 災害観測システムおよび災害解析プログラム
JP5586890B2 (ja) * 2009-07-29 2014-09-10 トヨタホーム株式会社 制振装置の調整方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210024762A (ko) * 2019-08-26 2021-03-08 한국건설기술연구원 구조물의 긴급 동적 안정성 판단 시스템
KR102284421B1 (ko) * 2019-08-26 2021-08-03 한국건설기술연구원 구조물의 긴급 동적 안정성 판단 시스템

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016017846A (ja) 2016-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5809174B2 (ja) 建物安全性検証システム、建物安全性検証方法及びプログラム
US8577628B2 (en) System and method for modal identification using smart mobile sensors
US10648881B2 (en) Seismic response assessment of man-made structures
Kang et al. Performance evaluation of TMD under typhoon using system identification and inverse wind load estimation
JP5586890B2 (ja) 制振装置の調整方法
JP5911733B2 (ja) 免震建築物の安全評価システム
WO2009123656A1 (en) Resonance frequency tuning in an energy absorbing device
Türker et al. Experimental and numerical investigation of brace configuration effects on steel structures
Boscato et al. Anime Sante church's dome after 2009 l'aquila earthquake, monitoring and strengthening approaches
JP2009191961A (ja) 既存大型構造物の制振システム及び制振装置
JP6499832B2 (ja) 構造物安全性検証システム、構造物安全性検証方法及びプログラム
Marano et al. Stochastic optimum design criterion for linear damper devices for seismic protection of buildings
JP6475930B2 (ja) 総合監視装置、総合監視プログラム
JP5495684B2 (ja) エレベーター地震被害予測装置
JP2016080538A (ja) 振動試験装置、振動試験方法
Huang et al. Control performance of suspended mass pendulum with the consideration of out‐of‐plane vibrations
JP2019060884A (ja) 建物耐震性評価システム及び建物耐震性評価方法
JP5799183B2 (ja) 建物安全性検証システム、建物安全性検証方法及びプログラム
Utne Numerical models for dynamic properties of a 14 storey timber building
Adam et al. Seismic performance of tuned mass dampers
Benavent-Climent et al. Shaking table tests of structures with hysteretic dampers: experimental results versus prediction using non-linear static methods
Valdés‐González et al. Experiments for seismic damage detection of a RC frame using ambient and forced vibration records
JP2016017848A (ja) 構造物検証システム、構造物検証装置、構造物検証プログラム
JP6363539B2 (ja) 建物の損傷部位の推定方法
Hudson et al. Active control of concert-induced vibrations

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170706

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180529

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190318

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6499832

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250