JP6499439B2 - オープンペール缶用ラグ天板 - Google Patents

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Description

本発明は、主として燃料油、潤滑油、塗料、インキ、溶剤、接着剤、食用油等の液状製品を収容する金属製オープンペール缶に用いるラグ天板に関する。
一般的に、金属製オープンペール缶は、上方に開口した略縦円筒形の缶本体に対し、略円板状の天板を周縁に設けたラグ爪を介して封着固定するラグタイプのものと、天板と缶本体の嵌合周縁部に開環状で断面コ字形の緊締バンドを巻き締めて封着固定するバンドタイプのものとに大別される。
従来汎用のラグタイプのオープンペール缶は、缶本体の上端開口の周縁が外向きに曲成されてカール部をなす一方、天板つまりラグ天板の最外周部は下面側がパッキン配置溝となる嵌合凸部となり、該嵌合凸部の外周壁には全周にわたって多数(一般に16個が多い)の舌片状のラグ爪が垂設されている。そのラグ天板は、嵌合凸部をパッキン配置溝に配置したパッキンを介して缶本体の外向きカールした開口縁部に嵌合し、各ラグ爪を該開口縁部の下側へ加締めて折り付けることにより、缶本体に対して冠着固定される(特許文献1の図6、特許文献2の図4)。なお、各ラグ爪は、天板取外しの際に適当な手工具によって折り付け状態から引き起こすため、その操作が容易になるように中央に掛け孔を設けると共に、下縁部を細い筒状にカールさせることが多い。また、該ラグ天板には、キャップを装着したベロ付きの注出口を設けるのが一般的である。
また、オープンペール缶としては、容量12〜30Lの範囲で種々のサイズがあるが、汎用されているのは18L缶及び20L缶であり、これら2種の缶サイズで需要の殆どを占めている。その缶本体及び天板には通常、鋼板(ティンフリースチール)が使用されるが、18L缶及び20L缶の場合、その板厚は缶本体の胴部(ボディ)で0.4mm程度、地板(底板)及び天板で0.5mm程度が主流になっている。そして、従来のラグ天板では、最外周の嵌合凸部の天板主面からの高さを10mm程度に設定するのが普通であった。
しかるに、危険物の液体を収容するオープンペール缶では、液漏れを生じることは絶対的な嫌忌事項になるため、高い封止性能が要求される。特に最近では、輸出入用として船積みされるオープンペール缶について、国土交通省・危険物船舶運送及び貯蔵規則/UN(国連)における容器等級IIとしての落下試験の規定を満足できることが要望されているが、従来の一般的な仕様では対応できなくなっている。この落下試験における落下高さの規定は、輸送物質が比重1.2以下の場合に容器等級IIIの0.8mに対し、容器等級IIでは1.2m、また該比重1.2超の場合に容器等級IIIの比重×0.67(m)に対し、容器等級IIでは比重×1.0(m)と各段に厳しくなっており、従来では容器等級IIIの規定を満たすことが限界であった。なお、該落下試験における基本的な落下方法として、チャイム(天板の缶本体に対する巻き締め部分)を衝撃点とする対角落下、缶本体を横向き状態で落す水平落下、天板側を下にして落す垂直落下の3種があるが、特に対角落下では天板周縁の変形による封止破壊を生じ易い。
一方、封止強度を高める手段として、缶本体及び天板の板厚を増したり、板材に高張力材を用いることが考えられるが、材料コストが嵩むことに加え、缶製造工程に介在する各種の加工装置を高能力のものに改変せねばならず、経済面より実現性に乏しい上、特にラグ天板では開封時のラグ爪の引き起しが難しくなり、その操作に多大な労力を費やすと共に専用工具も必要となる。また、ラグタイプのオープンペール缶において、封止強度を高めるために、缶本体のカール部に天板周縁の嵌合凸部を嵌合してラグ爪を加締めた上で、その嵌合凸部を内側の断面略くの字形の補強リングと外側の断面略コ字形のバンドとの間で挟み付ける方法もある(特許文献3)が、補強リング及びバンドの二部材が別途に必要になるから、安価なラグタイプとしての利点が失われることに加え、ラグ天板の装着及び取外しの操作に手間を要して作業性が悪くなるという問題がある。
特開2011−148520号公報(図6) 特開2012−236632号公報(図4) 特開平9−309551号公報
本発明は、上述の事情に鑑みて、オープンペール缶用ラグ天板として、板厚を増すことなく、また緊締バンドや他の介在部材を用いることなく、缶本体に対して従来同様にラグ爪の加締のみで封着固定するだけで、前記の危険物船舶運送及び貯蔵規則の容器等級IIの落下試験の規定を確実に満たし得る極めて高い封止性能が得られ、しかも製缶工程における既存設備を殆ど改変せずに利用できるものを提供することを目的としている。
本発明の課題解決手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明は、金属製オープンペール缶における略縦円筒状の缶本体2上にパッキン3を介して被せ、周縁に垂設した多数のラグ爪4を該缶本体2の外向きカールした開口縁部2aの下側へ折り込むことにより、該缶本体2に対して密封状態に固定するラグ天板1であって、板厚0.50〜0.55mmの鋼板製で、下面側をパッキン収容溝10として缶本体2の開口縁部2aに外嵌させる最外周の嵌合凸部11と、該嵌合凸部11の内側で全周にわたって連続する環状凹部12と、該環状凹部12の内側で全周にわたって連続する縦断面山形の1本の環状隆起部13とを備え、前記嵌合凸部11によって缶本体2の開口縁部2aを巻き締めにより嵌合凸部11の頂部に膨らんで形成されるチャイム5の下側部分に該嵌合凸部11の内周側壁11bと缶本体2の胴部21とラグ爪4とが重なる括れ部6であって、オープンペール缶の高所からの対角落下、水平落下又は垂直落下においても、前記チャイム5による密封状態が保たれる程度に上下に長い括れ部6に形成され、該外周側壁11aに沿って21個のラグ爪4が垂設されると共に、厚さ0.50mmで、上面直径が300mmの鋼板からなり、前記環状凹部12からの高さが19.0mmに設定されてなる20Lオープンペールラグ天板であって、
前記環状凹部12は、幅8〜16mm、最低部の高さが天板主面1aに対して±2mmであり、前記環状隆起部13は、幅15〜20mm、天板主面1aに対する高さが6〜10mmであり、 容量20Lで胴部が厚さ0.40〜0.50mmの鋼板からなる缶本体に適用するものとしている。
請求項2の発明は、上記請求項1に記載のオープンペール缶用ラグ天板において、前記環状隆起部13の外周側斜面13aが内周側斜面13bよりも急傾斜に設定されると共に、該環状隆起部13から内側に10〜25mmの間隔をおいて、幅4〜10mmの浅い凹条又は低い凸条をなす環状ビード14を備えてなるとしている。
以下に、本発明の効果について図面の参照符号を付して説明する。まず、請求項1の発明に係るオープンペール缶用ラグ天板1では、缶本体2の外向きカールした開口縁部2aにパッキン3を介して被せる最外周の嵌合凸部11が、その内側の環状凹部12から特定範囲で高く突出すると共に、該環状凹部12の内側に全周にわたって連続する1本の縦断面山形の環状隆起部13を有することから、液状製品を収容して該ラグ天板1で封止したオープンペール缶を高所から対角落下させた際、その落下衝撃によって天板周辺に変形を生じるが、缶本体2の開口縁部2aを巻き締めている頂部のチャイム5よりも下側部分、つまり該嵌合凸部11の内周側壁11bと缶本体2の胴部21とラグ爪4とが重なった長い括れ部6が内側へ大きく曲がり変形して衝撃を吸収し、頂部のチャイム5自体の変形は僅かで済むために封止破壊に至ることがなく、また水平落下や垂直落下でも括れ部6での衝撃吸収作用によってチャイム5の変形が少なくなり、既述の危険物船舶運送及び貯蔵規則の容器等級IIの規定を確実に満たし得る極めて高い封止強度が得られる。
また、このラグ天板1を用いる場合、従来の一般的なラグ天板と同様に、最外周の嵌合凸部11をパッキン3を介して缶本体2のカールした開口縁部2aに嵌合し、各ラグ爪4を該開口縁部2aの下側へ加締めて折り付けることで缶本体2に対して冠着固定でき、緊締バンドや他の介在部材を用いる必要がなく、また該ラグ天板1の鋼板の厚みは従来のものと同等であり、適用する缶本体2の板厚も厚くする必要がないから、製缶工程における既存設備を殆ど改変せずに利用できるという利点がある。
加えて、ラグ天板1における環状凹部12の幅と天板主面1aに対する最低部の高さ、ならびに環状隆起部13の幅と天板主面1aに対する高さが特定範囲にあるため、該ラグ天板1の環状隆起部13から内側部分の剛性が高くなり、既述の対角落下、水平落下、垂直落下の衝撃による変形が天板中央側へ及びにくい上、ラグ天板1として3の倍数である21個のラグ爪22を有するから、材料コスト及び重量の増大を避けながら高い封止強度を確保できる。
更に加えて、ラグ天板1として3の倍数である21個のラグ爪22を有するから、材料コスト及び重量の増大を避けながら高い封止強度を確保できる。
更に加えて、容量20Lの汎用型のオープンペール缶用として、極めて優れた封止性能を発揮できるラグ天板1を提供できる。
請求項2の発明によれば、ラグ天板1における環状隆起部13の外周側斜面13aが内周側斜面13bよりも急傾斜で、且つ該環状隆起部13の内側に特定範囲で離間して特定幅の環状ビード14を有するから、該ラグ天板1の環状隆起部13から内側部分がより高剛性となり、封止強度が更に向上する。
本発明のラグ天板を冠着したオープンペール缶の全体の斜視図である。 同ラグ天板を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。 図2(a)のX−X線の矢視断面図である。 同ラグ天板の製作において原板から打ち抜いた段階での平板状の半部を示す平面図である。 同ラグ天板と缶本体との嵌合部の縦断側面図である。 同嵌合部の落下による変形状態を示し、(a)は対角落下後、(b)は水平落下後、(c)は垂直落下後のそれぞれ縦断側面図である。 同オープンペール缶の落下試験後の状態を示し、(a)は対角落下後、(b)は水平落下後のそれぞれ写真図である。
以下に、本発明に係るオープンペール缶用ラグ天板の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1に示すオープンペール缶は、容量18L又は20Lの汎用型であり、上方に開口した略縦円筒状の缶本体2に、本発明の略円板状のラグ天板1を嵌合し、その周縁に設けた多数のラグ爪4を加締めて内側へ折り付けることにより、該ラグ天板1を缶本体2に冠着固定している。なお、該ラグ天板1には、仮想線で示すように、ベロ71及びキャップ72付きの注出口7を設けることがある。
缶本体2は、上部寄りに周方向に沿って外側へ膨出する上下2本の環状ビード部21a,21bを有する胴部21と、その下端に周縁部で巻き締め固着した円板状の地板22とで構成され、空状態で入れ子式に積み重ね可能なT型(テーパペール型)として、胴部21における下側の環状ビード部21bよりも下位側が下方へ縮径している。また、該缶本体2には、上側の環状ビード部21aのやや下位の径方向両側に、イヤー(耳)と称される帽子形の把手取付金具23がスポット溶接等で固着され、略半円弧状に湾曲した針金材からなる蔓形把手8が両端フック部8aを各々把手取付金具23内に挿嵌することで、該缶本体2に対して上下回動自在に取り付けられており、その中間部には木製やプラスチック製の円筒状の握り81が嵌装されている。
なお、ラグ天板1と缶本体2の地板22は厚さ0.50〜0.55mmの鋼板(ティンフリースチール)からなり、缶本体2の胴部21は厚さ0.40〜0.50mmの鋼板(同上)からなる。
缶本体2への冠着前のラグ天板1は、図2及び図3に示すように、下面側をパッキン収容溝10とする最外周の嵌合凸部11と、その内側で全周にわたって連続する環状凹部12と、該環状凹部12の内側で全周にわたって連続する縦断面山形の環状隆起部13と、この環状隆起部13から離間して内側に設けた浅い凹条をなす環状ビード14とを同心状に備えている。そして、最外周の嵌合凸部11は、その下面側をパッキン収容溝10として、内側上端部にパッキン3が装填されると共に、外周側壁11aに沿って、各々掛け孔4aを有する舌片状の21個のラグ爪4が垂設されている。なお、図2(a)において仮想線で示す70は注出口下孔である。
ここで、嵌合凸部11は、内側の環状凹部12からの高さh1が16〜22mmに設定されると共に、その幅W1が後述する缶本体2の外向きカールした開口縁部2a(図5参照)に外嵌し得るように設定されている。また、環状凹部12は、外周側へ僅かに低く傾斜しており、幅W2が8〜16mm、最低部の高さが天板主面1aに対して±2mmに設定される。更に、環状隆起部13は、天板主面1aに対する高さh2が6〜10mm、幅W3が15〜20mmであり、その外周側斜面13aが内周側斜面13bよりも急傾斜になるように設定される。
このようなラグ天板1を製作するには、原板からの打ち抜き加工により、図4に示すように周辺のラグ爪4及び掛け孔4aと要すれば注出口下孔70とを有する打抜きプレートPを作製し、この打抜きプレートPのプレス加工により、嵌合凸部11、環状凹部12、環状隆起部13、環状ビード14、要すれば注出口7の口金嵌着用凹凸(図示省略)を各々形成すればよい。なお、嵌合凸部11の高さh1が16〜22mmと高いため、上記プレス加工は所謂深絞り加工となる。
このラグ天板1を缶本体2に冠着するには、図5に示すように、従来の一般的なラグ天板と同様に、最外周の嵌合凸部11を内側のパッキン3を介して缶本体2の開口縁部2aに嵌合し、各ラグ爪を該開口縁部2aの下側へ加締めて折り付ければよいが、嵌合凸部11が内側の環状凹部12から高く突出していることにより、該嵌合凸部11によって缶本体2の開口縁部2aを巻き締めて膨らんだ頂部のチャイム5よりも下側部分、つまり該嵌合凸部11の内周側壁11bと缶本体2の胴部21とラグ爪4との重なり部分が上下に長い括れ部6を形成している。
かくして、ラグ天板1を冠着固定したオープンペール缶では、液状製品を収容した状態で高所からチャイム5が落下面に衝突するように落下させた際、その落下衝撃によってラグ天板1と缶本体2との嵌合部分に変形を生じることは避けられないが、図6(a)〜(c)に示すように、チャイム5の下側の長い括れ部6が変形して衝撃を吸収すると共に、ラグ天板1が嵌合凸部11の内側に環状隆起部13を有することで半径方向に変形しにくいため、頂部のチャイム5自体は僅かに変形するだけで封止破壊に至らず、もって既述の危険物船舶運送及び貯蔵規則の容器等級IIの規定を確実に満たし得る極めて高い封止強度が得られる。
チャイム5を衝撃点とする対角落下(天板側を下にした斜め姿勢での落下)では、図6(a)に示すように、ラグ天板1の周辺が衝突部分を中心に斜めにへしゃげるが、括れ部6が内側へ曲がり込む形で大きく変形するのに対し、チャイム5はラグ天板1の嵌合凸部11の頂部が衝撃点を中心にやや偏平化して外側へ傾く程度であり、該チャイム5の巻き締めによる密封状態が保たれる。また、水平落下(缶を横向き姿勢として落下)では、図6(b)に示すように、缶本体2の胴部21の衝突側が平坦化する形で全体的に凹み、同時にチャイム5の衝突側も平面視円弧状から缶本体2の凹みに沿った平面視略直線状に変形するが、その変形はラグ天板1の環状凹部12の幅減少と嵌合凸部11の伸び上がりを伴って括れ部6が内側へ倒れる形で生じており、チャイム5自体は外周側の膨らみが偏平化する程度で密封状態を維持している。更に、垂直落下(天板側を下向きにした逆さ姿勢での落下)では、図6(c)に示すように、括れ部6がラグ爪4を除いて内側へ大きく屈曲することで、チャイム5の全体が低くなっているが、チャイム5自体はラグ天板1の嵌合凸部11の頂部が落下面への衝突で偏平化する程度で密封状態を維持している。
本発明のラグ天板1においては、上述のようにオープンペール缶の優れた封止性能を付与する上で、缶本体2の開口縁部2aに嵌合させる最外周の嵌合凸部11の高さが内側の環状凹部12に対して16mm以上であること、環状凹部12の内側で全周にわたって連続する縦断面山形の環状隆起部13を有すること、該環状隆起部13が嵌合凸部11よりも低いこと、鋼板の板厚が0.50〜0.55mmの範囲にあること、が何れも重要である。
すなわち、嵌合凸部11の上記高さが16mm未満では、チャイム5の下方に続く括れ部6が短くなるため、オープンペール缶を該チャイム5が落下面に衝突する様々な姿勢で落下させた際、該括れ部6による落下衝撃の吸収作用が不充分になり、落下衝撃でチャイム5が大きく変形して封止破壊を生じることになる。なお、嵌合凸部11の上記高さが上限の22mmを越えても封止性能面では支障はないが、それだけラグ天板1に用いる原板Pのサイズが大きくなって材料コスト増になると共に、缶本体2に対するラグ天板1の嵌合深さが深くなって所定の缶容積を確保しにくくなり、それを避けるために缶本体1の胴部21の高さを増すことは、材料コスト増に加え、缶本体1の製造工程における各種の装置仕様をサイズに合わせて変える必要があり、設備コスト面からも非現実的である。
一方、環状凹部12の内側の環状隆起部13は、その部分でラグ天板1の剛性が高くなるから、落下衝撃が加わった際の変形が該環状隆起部13よりも内側へ及びにくく、それだけ外周側の括れ部6が環状凹部12を含めて大きく変形して、落下衝撃を効率よく吸収することになる。また、この環状隆起部13の高さが最外周の嵌合凸部11よりも高い場合、垂直落下やそれに近い缶姿勢での落下衝撃を直接に受けることになる上、対角落下や水平落下の際に衝撃で幅が縮まるように変形し、これに伴って外周側の嵌合凸部11が内側へ引っ張られ、チャイム5の封止破壊に繋がるいびつな変形を生じ易くなる。なお、この環状隆起部13としては、特に限定されないが、上記剛性を確保して且つそれ自体の変形を抑制する上で、既述のように天板主面1aに対する高さH2が6〜10mm、幅W3が15〜20mmであることが望ましい。また、該環状隆起部13の外周側斜面13aを内周側斜面13bよりも急傾斜とすることで、該環状隆起部13の外周縁部がより高剛性となるから、落下衝撃が天板内側へ及ぶのをより効果的に抑制できる。
ラグ天板1を形成する鋼板の板厚は、0.50mm未満では強度不足になる一方、0.55mmを越えると括れ部6が変形しにくくなって、前記落下衝撃の吸収作用が不充分になると共に、材料コストも高く付くことになる。また、この板厚の範囲は従来のものと同等であるから、該ラグ天板1を製作するのに既存設備を殆ど改変せずに利用できるという利点もある。
ラグ天板1におけるラグ爪22の枚数については、特に制約されないが、3の倍数である21枚にした場合に、それより多い22枚以上や少ない20枚以下の場合よりも大きな係着強度が得られる点で好ましい。なお、3の倍数で係着強度が大きくなることは理論的に充分には解明されていないが、再現性のよい比較データが得られるので現象的には明らかであり、瓶蓋の王冠でも同様理由でギザギザの数が21になっている。また、ラグ爪4としては、例示のように掛け孔4aを有して下縁部がストレートのものに限らず、掛け孔4aを有しないものや、下縁部を細い筒状にカールさせたものでもよい。
実施形態として例示したラグ天板1では環状隆起部13の更に内側に離間して浅い凹条をなす環状ビード14を設けているが、これに代えて低い凸条をなす環状ビードを設けてもよい。しかして、このような浅い凹条又は低い凸条の環状ビードは、必須ではないが、ラグ天板1の環状隆起部13から内側部分をより高剛性として、封止強度を更に向上させるという利点がある。なお、環状ビード14としては、図3で示す環状隆起部13からの間隔dが10〜25mm、幅W4が4〜10mm、天板主面1aに対して凹条における深さ又は凸条における高さが0.3〜1.0mm程度に設定するのがよい。
缶本体2の胴部21形成する鋼板の板厚については、0.40〜0.50mmの範囲が好ましく、薄すぎては缶強度が不充分になる一方、厚すぎては上述したラグ天板1の場合と同じく括れ部6が変形しにくくなる。また、地板22についても、その強度と材料コストの両面から、既述の如く厚さ0.45〜0.55mmの範囲が好ましい。なお、これら胴部21及び地板22の板厚の好適範囲は従来のものと同等であるから、製缶工程における既存設備を殆ど改変せずに利用できるという利点がある。
本発明のラグ天板1を適用する缶本体1としては、実施形態で例示したように胴部21の下方側が縮径したT型(テーパーペール型)と、該胴部21が縮径しないS型(ストレート型)とがある。また、該胴部21に設ける環状ビード部の数と形成位置は、種々設定できる。
〔落下試験〕
20Lオープンペール缶用ラグ天板として、図3に示す構成で下記仕様のものを用い、図1に示すように、代替液として20Lの水を収容したT型の缶本体2に冠着固定し、供試用オープンペール缶とした。そして、このオープンペール缶を各落下方法毎に2缶ずつの計6缶を、国土交通省・危険物船舶運送及び貯蔵規則/UN(国連)に規定される容器等級IIの落下試験(落下高さ1.2m)に供したところ、対角落下、水平落下、垂直落下のいずれにおいても全缶が水漏れを発生せず、極めて高い封止強度を備えることが実証された。なお、その供試缶の対角落下後の状態を図7(a)、同水平落下後の状態を図7(b)に、それぞれ写真図で示す。
<ラグ天板仕様>
板材・・・・・厚さ0.5mmのティンフリースチール
ラグ爪4・・・21枚
上面直径・・・300mm
嵌合凸部11・・・高さh1=19.0mm、幅W1=6.5mm
環状凹部12・・・幅W2=9.5mm、最低部の高さ=天板主面1a−0.1mm
環状隆起部13・・・高さh2=7.2mm、幅W3=18.2mm、外周側斜面13aの角度=60°、内周側斜面13bの角度=45°
環状ビード14・・・環状隆起部13との間隔d=14.6mm、幅W4=5.0mm、天板主面1aに対する深さ=0.6mm
1 ラグ天板
1a 天板主面
10 パッキン収容溝
11 嵌合凸部
11a 外周側壁
12 環状凹部
13 環状隆起部
13a 外周側斜面
13b 内周側斜面
14 環状ビード
2 缶本体
2a 開口縁部
3 パッキン
21 胴部
4 ラグ爪
3 パッキン
5 チャイム
6 括れ部
d 環状隆起部と環状ビードとの間隔
h1 嵌合凸部の環状凹部からの高さ
h2 環状隆起部の高さ
W2 環状凹部の幅
W3 環状隆起部の幅
W4 環状ビードの幅

Claims (2)

  1. 金属製オープンペール缶における略縦円筒状の缶本体上にパッキンを介して被せ、周縁に垂設した多数のラグ爪を該缶本体の外向きカールした開口縁部の下側へ折り込むことにより、該缶本体に対して密封状態に固定するラグ天板であって、
    板厚0.50〜0.55mmの鋼板製で、下面側をパッキン収容溝として缶本体の開口縁部に外嵌させる最外周の嵌合凸部と、該嵌合凸部の内側で全周にわたって連続する環状凹部と、該環状凹部の内側で全周にわたって連続する縦断面山形の1本の環状隆起部とを備え、
    前記嵌合凸部によって缶本体の開口縁部を巻き締めにより嵌合凸部の頂部に膨らんで形成されるチャイムの下側部分に該嵌合凸部の内周側壁と缶本体の胴部とラグ爪とが重なる括れ部であって、オープンペール缶の高所からの対角落下、水平落下又は垂直落下においても、前記チャイムによる密封状態が保たれる程度に上下に長い括れ部に形成され、該外周側壁に沿って21個の前記ラグ爪が垂設されると共に、厚さ0.50mmで、上面直径が300mmの鋼板からなり、前記環状凹部からの高さが19.0mmに設定されてなる20Lオープンペールラグ天板であって、
    前記環状凹部は、幅8〜16mm、最低部の高さが天板主面に対して±2mmであり、 前記環状隆起部は、幅15〜20mm、天板主面に対する高さが6〜10mmであり、 容量20Lで胴部が厚さ0.40〜0.50mmの鋼板からなる缶本体に適用するオープンペール缶用ラグ天板。
  2. 前記環状隆起部の外周側斜面が内周側斜面よりも急傾斜に設定されると共に、該環状隆起部から内側に10〜25mmの間隔をおいて、幅4〜10mmの浅い凹条又は低い凸条をなす環状ビードを備えてなる請求項1に記載のオープンペール缶用ラグ天板。
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