以下、図面を用いてこの発明の実施例及び参考例について説明する。
(参考例1)
図1は建物Aの側断面略図である。建物Aは、多層階で、一方の外壁面1の給気口として設けた開口1a,1b,1cから最上部の排気口として設けた開口6iまで通ずる空間に換気通路が構成される。
建物Aの正面である一方の外壁面1に、各階の室R1,R2,R3の開口1a,1b,1cを有する。本例では開口1a,1b,1cは各室R1,R2,R3の天井近くにある。他方の外壁面2は開口を有しない。ここで開口を有しないというのは、開口があっても建物A全体の換気に殆ど寄与しない場合を含む。また、図の紙面に平行する建物Aの側壁面にも建物A全体の換気に殆ど寄与しない開口があるか、開口が全くない。他方の外壁面2の内には、各階の室R1,R2,R3に開口1ra,1rb,1rcで通ずるように開放された吹抜け4を備えている。ここで吹抜けというのは床面FLから換気室6までをいう。吹抜け4は設備空間であってもよい。即ち、階段、エスカレータ等を一部に備えても良い。
吹抜け4の上部に屋根5を備えた換気室6が設けてある。換気室6の一方の風上側の外壁面1に近い側の壁には開口6iが設けられている。換気室6の他方の外壁は外壁面2と同一面となっている。
開口6iの外部側に空間を構成する防風部材としてボックス状の防風板8と排気用逆流防止ルーバ(以下ルーバ、又は逆流防止ルーバ、もしくは排気ルーバと称することがある)9で取り囲んでいる。逆流防止ルーバ9の上下方向の位置は吹抜け4の上部の屋根5とほぼ同じである。屋根5は換気室6の屋根である。
防風板8は開口6iの外側に空間8aを構成するように設けられ、この空間8aは本例では方形である。空間8aの一方は換気室6に開口6iで通じている。空間8aの上部はルーバ9で仕切られている。ルーバ9、開口6iを除く防風板8は通気性のない板材となっている。ルーバ9は排気用逆流防止ルーバである。防風板8は採光が必要なときはガラスであるが、アルミニウムでもよい。
図2、図3、図4は逆流防止ルーバ9を模式的に示す側断面図である。逆流防止ルーバ9の羽根9aは図の紙面に直交する方向に長いストリップ状である。羽根9aは図の紙面に直交する方向の中心を持つ支持軸9bで揺動自在に四方枠9cに支持されている。ここで、支持軸9bは風向きに対して横設してある。以下の説明に出て来る各種ルーバにおいても支持軸は風向きに対して横設してある。ここで横設とは水平方向を向く場合に限る。支持軸9bは羽根9aの幅方向(図2において見付方向)の中間にある。羽根9aは自由な状態では支持軸9bに対して立つ方向に付勢されている。即ち、ルーバ9が空気流による力を受けない限り自然に開くようになっている。羽根9aの付勢は支持軸9bの両側の羽根の重力に基く一次モーメントのバランス、支持軸9bに設けたねじりコイルばね(図示されない)、錘(図示されない)の取り付け等による。羽根9aは四方枠9cに設けたストッパ11により反時計回り方向への回転を制止されている(図3参照)。
本例では羽根9aは支持軸9bを境に下側部9a1と上側部9a2に分れている。上側部9a2の幅は下側部9a1の幅よりも大きい。支持軸9bを中心とする重力に基く一次モーメントは、下側部9a1が支持軸9bより下となるように下側部9a1、上側部9a2の断面形状が定められている。ここで羽根9aはアルミニウムである。羽根9aの断面は平板又は翼形が採用される。
上記構成によれば図3において、左側から右方へ吹く風の風力が一定以上例えば風速1m/s程度以上になれば、羽根9aは支持軸9bを中心にして時計回りに回転し、風力が更に増すと羽根9aは更に回転して重なり合い、逆流防止ルーバ9は閉じる。風力が小さくなると逆に、羽根9aは支持軸9bを中心にして反時計回りに回転し逆流防止ルーバ9は開く。
図2、図3、図4に示す逆流防止ルーバ9には、羽根の回転制御装置として羽根の開又は閉を強制的に行う開閉装置12が付設してある。開閉装置12は夫々の羽根9aの支持軸9bのすぐ上側に図において左右方向に連動する駒12a,12a,12aを有する。駒12a間の間隔は支持軸9b間の間隔と同じ間隔である。駒12a,12a,12aは四方枠9cに図において紙面に平行に移動可能に支持されている。支持軸9bは2本、駒12aは3個である。駒9aはストッパ11と干渉しない位置、例えば羽根9aの長手方向の互に反対側に配設する。
逆流防止ルーバ9は、図3に示すように左側及び中央の駒12aがストッパ11の左側にあって羽根9aに作用しない位置では、既にのべたように羽根9aは風力の消長により開閉する。逆流防止ルーバ9において図3の風力による逆流防止の位置から開閉装置12を右方向に移動すると、駒12aは支持軸9bの上方で右方に向って羽根9aの上側部9a2をすべり乍押して、羽根9aを支持軸9bを中心に時計回りに回して逆流防止ルーバ9を閉じる(図4参照)。図4の位置から駒12aを左行させると、羽根9aは支持軸9bを中心に反時計回りに回転して羽根9aは駒12aに追従する。駒12aがストッパ11を通過すると、羽根9aはストッパ11により回転を制止される。駒12aはストッパ11を越えた図3の位置では、ルーバ9は一定風速以上では閉まり外部から内部への吹き込みを防止する逆流防止作用を行う位置となる。
逆流防止ルーバ9が図3の位置にある状態で開閉装置12を左行すると、中央の駒12aは左側の羽根9aに達すると共に右側の駒12aは右側の羽根9aに達する。その後羽根9aの上側部9a2の根本近くがストッパ11に当っているので、羽根9aは強制的に開放した状態に保たれる。
駒12aは通常高所にあるので、リンク装置、巻掛け伝動装置等を介して遠隔操作を行う。又、電動、流体圧駆動等により駒12aの位置制御を行っても良い。
図1では建物Aの一方の外壁面1側に、給気側の逆流防止ルーバ(給気用逆流防止ルーバ)13と防風部材としてボックス状の防風板14が各室R1,R2,R3の夫々の給気用の開口1a,1b,1cの外側に設けてある。夫々の開口1a,1b,1cのすぐ外側には、防風部材としての防風板14と給気用逆流防止ルーバ13とで給気用の六立方形の空間14aが形成されている。給気用逆流防止ルーバ13は室R1,R2,R3の室内の空気が開口1a,1b,1cを通じて外部側へ逆流するのを防止するものである。防風板14は採光が必要なときはガラスであるが、アルミニウムでもよい。
図6を借りて給気用逆流防止ルーバ13(以下ルーバ又は逆流防止ルーバ、もしくは給気ルーバと称することがある)について説明する。参考例1では換気用逆流防止ルーバ18に代えて板材とされる。図の下側に逆流防止ルーバ13が示されている。防風板14の下側の開口には逆流防止ルーバ13が設けてある。このルーバ13の羽根13aは図の紙面に直交する方向に長くのびている。羽根13aはその幅方向(見付方向)の中間で支持軸15により揺動自在に支持されている。羽根13aは支持軸15を境に下側部13a1と上側部13a2に分れている。上側部13a2の幅は下側部13a1の幅よりも大きい。支持軸15を中心とする一次モーメントは下側部13a1が上側部13a2よりも大きくなるように下側部13a1、上側部13a2の断面形状、重量が定められている。尚、本例では錘(図示されない)を下部側13a1に取り付けている。
このような羽根の構成は排気側のルーバ9についての先述と同様である。図6には図示されないが、図2、図3、図4に示されるストッパ11と同様にストッパが設けられていて、羽根13aの上側部13a2が上方へ向って時計回りに回転し、羽根13aが左斜め上りした位置で、ストッパで支持軸15を中心とする時計回り方向の回転を止められている。従って、室R1から開口1a,1b,1c、空間14a、ルーバ13を通じて室内の空気が逆流しようとすると、この空気流により羽根13aは支持軸15を中心として反時計回りに回転してほぼ水平となり、ルーバ13は閉じるようになっている。図示されないが図2、図3、図4に示す駒12aと同様の駒を設けて、ルーバ13を強制的に開放又は閉鎖するようにしてもよい。
図1において図3のようにルーバ9が逆流防止状態にあるときについて考える。風wが吹いているとき建物Aの屋上10上では矢印で示す空気流w1が生ずる。
風wが建物Aに向って吹くとき、風wは建物Aの図1において左側の一方の外壁面1に当ると大部分の空気はこの外壁面1に沿って上昇し、屋上10上まで上昇した空気は建物Aの屋上10に沿って右方向に流れる空気流w1となる。
防風板8の前面の板により開口6iへ向うべき空気流w1が遮られると、開口6iを通じて建物A内に風が吹き込むことなく上昇して、ルーバ9上を風下側へ通過する。防風板8に当って下方へ分流する空気流w1‐1(図26参照)は渦流となる。
このとき、羽根9aの上方を空気流w1は越えて右方へ流れる。ルーバ9上において空気流w1の下側のルーバ9に近い側には相対的な負圧が生ずる。この流れにより空気流w1の流速が小さいとき羽根9aの上側の空間の空気圧は建物Aの室内空気圧に対して負圧となる。更に、図3において羽根9aの表側(図3の左側の面)に空気流が当ると羽根9aの裏側(図3の右側の面)には表側の風圧に対して負圧の空間が生ずる。
空気流w1の風速が一定以上になると空気流w1は直接羽根9aに吹き付ける。すると羽根9aの上側部9a2に加わる空気流w1により羽根9は支持軸9bを中心にして図3において時計回りに回転し、ルーバ9の開度は小さくなる。風速が更に大きくなると、羽根9aは時計回りに回転して互に重なり、ルーバ9は閉じる。これによって建物A内への強風の吹き込みが防止される。風速が小さくなると上記と逆に羽根9aは支持軸9bを中心にして回転してルーバ9は開く。
強風又は風向きが不安定で風が舞うような状態のときでない限り、防風板8の前面に向って吹く空気流w1がルーバ9上を風下側へ流れるとき、ルーバ9のすぐ上側及び羽根9aの裏側の空間には負圧が生ずる。
建物A内の空気圧が換気室6で上記負圧よりも低くならない限り、換気室6内の空気は開口6i、空間8a、逆流防止ルーバ9を通じて建物外へ排出され矢印の空気流w2のように排出される。
一方、風wが建物Aの前面(図1において左方の風に面する外壁面1)に吹き付ける。各室R1,R2,R3には給気用の開口1a,1b,1cが設けられているが、風wは防風板14があるので開口1a,1b,1cを通じて室R1,R2,R3に直接吹き込むことがない。風wによる防風板14回りの空気は開いているルーバ13を通じ(図28参照)空間14aに入り給気開口1a,1b,1cから各室R1,R2,R3に流入する(矢印で示す空気流w3)。各室R1,R2,R3では図1において左から右方に空気が流れ、この空気は各室R1,R2,R3と吹抜け4間の開口1ra,1rb,1rcを通して吹抜け4に入り、上昇空気流w4,w5となり、換気室6に入り空気流w6のように開口6i、空間8a、逆流防止ルーバ9を通じて排出される。これは空気流w2となる。
上記において、各室R1,R2,R3及び吹抜け4、換気室6における空気は風wがルーバ13を介して建物A内に入り、建物A内では正圧である。従って建物A内へ換気室6の開口6iを通じて空気が吹き込むことがない。
既にのべたように強風又は風が舞って風向きが変動した場合、ルーバ9上の空気流w1の大きさ、向きによってはルーバ9を通じて外気が建物A内へ吹き込もうとする。そうなると、図3に示す羽根9aはその風圧により、支持軸9bを中心に回転してルーバ9は閉じる。これによって、建物の排気側からの外気の流入は防止される。
強風等でルーバ9が閉じている状態で、仮に1階の室R1から吹き込んだ空気が、室R1において昇温した空気を吹抜け4に押し出して吹抜け4を上昇して上階の室R3を図1において左方に流れようとしても、室R3の給気側のルーバ13は閉じる(図27参照)ので、下階側で生じた汚れた空気が室R3に開口1rc側から流入するのが抑制される。
強風となった後において風速が下がってくると、その前に給気側のルーバ13は開いており外気が建物A内に入ると建物A内の空気圧は上昇して行く。排気側のルーバ9の内外の空気圧は等しくなるので、やがてルーバ9は図3に示すようにその羽根9aは支持軸9bを中心に反時計回りに回転して開くことになる。
排気側のルーバ9が閉ったときに、地上から建物A上方まで一様に風wの風速が急に小さくなるような消長のときには、ルーバ9が開いて排気が始まるが建物A内の空気圧は建物Aの空間の容量から急には下らないので、建物A内の空気圧は建物Aの一方の外壁面1の外側の風圧よりも大きくなる。そのときには、吹抜け4側から開口1ra,1rb,1rc、室R1,R2,R3を通じて夫々の開口1a,1b,1cに向う空気の流れが生ずる。このとき、逆流防止ルーバ13の羽根13aは支持軸15を中心にして図6において反時計回りに回転して閉じる。これによって、吹抜け4中の汚れた空気が室R1,R2,R3に流入するのが抑制される。
以上のとおり、風速が小さいときは自然換気が行われる。また、室において逆流が生じる条件下で逆流を防止できる。強風時に排気口から外気が逆流しない。
(参考例2)
参考例1において建物の換気装置として給気側を単純な開口としたものである。図5は参考例2の建物の縦断面図である。図5について図1と異なる構成作用について説明する。
建物Aの一方の外壁面1側の開口1a,1b,1cは、図1に示す建物Aの一方の外壁面1側の開口と同様に、室R1,R2,R3の天井側に夫々備わる。開口1a,1b,1cの上側は庇1dで蔽われている。庇1dは突き出し障子でもよい。
開口1a,1b,1cには、室内空気を外部に向って流出するのを防止する給気用逆流防止ルーバは備えていない。
この参考例では、風wが低速度の通常の風速である場合は、排気側の逆流防止ルーバ9は開いているので参考例1と同様に換気される。即ち、従来例のように上階の室R3で空気流の逆流が生ずることがない。
このように換気室6において他方の外壁面2に換気用の開口がなくても、参考例1と同様に排気側の開口6iに防風板8とルーバ9を設けることは換気の条件を有効とするのに寄与できる。
ただし、強風時には矢印w7のように室R1を左方へ流れる空気流w7は開口1raを通じて吹抜け4に出ると、矢印w8,w9のように上昇流となる。ルーバ9は閉っているので上階の室R3の開口1rcから室R3に入った空気流w10は開口1cを通じて排出される。この参考例は風wの風速が小さい場合に建物A全体の換気に有効である。ルーバ9の閉止が続くと熱だまりHができるが、吹抜け4の上部にとどまり下部に降りて来ない。よって、風wの風速が小さくなりルーバ9が開けば、熱だまりHは排気される。
なお、図31の従来例に比べると、ルーバ9によって熱だまりHができにくい。
(参考例3)
各実施例及び参考例において夫々の室R2,R3と吹抜け4との間の開口1rb,1rcのすぐ外側は、図1に示す廊下16が設けられている。1階の室R1の床と吹抜け4の床面FLとは開口1raの両側を通じて連続している。これらの開口1ra,1rb,1rcには通常、開閉部材として開閉可能な扉が設けられる。また、開閉部材としては扉と併せて開閉可能な窓が設けられる。
このような構成の場合に開口1ra,1rb,1rcが閉じられると、閉じられた室は吹抜け4を通じて排気用のルーバ9から排気ができなくなるので換気されない。このような状態の室R1,R2,R3の個別換気が可能な手段について説明する。
建物Aの全体構成は図1又は図5と同様である。各室R1,R2,R3の開口1a,1b,1cの外側には、図6、図7に全体を符号17で示す給排気ボックスを備える。図6は側断面図、図7は斜視図である。
上側のルーバ18は図1に関して説明したルーバ9と同様の構成である。防風部材として設けたボックス状の防風板14の前板14bは、建物Aの正面である一方の外壁面1と平行な板材である。防風板14の前板14bの板材の両端部夫々とは直角に板材の側板14cが設けられている。この給排気ボックス17は、正面が前板14b、背面が開口1a,1b,1c、下面が給気用逆流防止ルーバ13、上面が換気用逆流防止ルーバ18、側板14cで中空六立方体形状である。
参考例1でのべたように給気用逆流防止ルーバ13は、逆流防止状態で外気は取り入れるが室内の空気の排出を抑制する。換気用逆流防止ルーバ18は、逆流防止状態で室内の空気は排出するが風速の増大に際して室内への外気の吹き込みを防止する。そして、夫々の給気用逆流防止ルーバ13、換気用逆流ルーバ18は駒12a(図6、図7では図略)により、夫々風力の大きさにより自在に開閉し及び強制的に全開し全閉できる。
このような給排気ボックス17は各室R1,R2,R3の天井近くの各開口1a,1b,1cの夫々の外部側に夫々設けられる。
(各室R1,R2,R3の吹抜け4に面する開口1ra,1rb,1rcが閉じられた場合(図34(チ2)の場合を除く)の給排気ボックス17の作用)
図9は給排気ボックス17の換気用逆流防止ルーバ(換気ルーバ18と略記)18の状態を上から下へ強制開放(開と略記)、逆流防止(定と略記)、強制閉鎖(閉と略記)を左欄の見出しとして1列目に3つの状態を記載してある。そして同ボックス17の給気用逆流防止ルーバ(給気ルーバ13と略記)13の状態を左から右へ強制開放(開と略記)、逆風防止(定と略記)、強制閉鎖(閉と略記)を上欄の見出しとして1行目に3つの状態を記載してある。
給気ルーバ13と換気ルーバ18の組み合わせは、図9にイからリに示すように9個となる。図10、図32、図33、図34は上記イからリに示す各場合を図番とし図10、図32、図33、図34にイからリを附記して夫々の給排気ボックス17の状態を示す。夫々のルーバの状態において、風wの風速が小さい場合、風速が大きい場合について説明する。
図10(イ1)に示すように、給気ルーバ13、換気ルーバ18が共に強制開放されている図9のイの場合について説明する。風wの風速が小さいときは給気ルーバ13を通った外気は、矢印aに示すように開口1a(建物1階についてのべるが高階も同様、以下同じ)の下側を通じて室R1に入る。室R1では給気は室R1の奥へ向う。事務機器、照明、人体等の熱源で昇温した空気は室R1の奥側まで順次天井下に上昇して室R1の奥側で反転して開口1aに向う。そして矢印bで示すように開口1aの上側の換気ルーバ18を通じて外部に排出される。なお、給気ルーバ13から給排気ボックス17の空間14a中を上昇して換気ルーバ18を通じて一部の空気が外部へ流動する(図示していない)。
図9のイの場合において風wの風速が大きいときに風wは給排気ボックス17の防風板14に遮られて開口1aに直接吹き込まない。給排気ボックス17の風wの開口1aへの直接の吹き込まない機能は、給気ルーバ13,換気ルーバ18の態様のすべてで共通している。従って、以下この説明は省略する。風wの風力の消長に応じて風速が大となると図10(イ2)に示すように、給気ルーバ13、換気ルーバ18から室R1へ吹き込む空気流c,dが生ずる。室R1内の空気圧は吹き込む空気流c,dで加圧されて上昇する。加圧された室内空気は風wの風速が小さくなると、図10(イ3)に示すように室R1内から給気ルーバ13、換気ルーバ18を通じて矢印e,fで示す空気流のように外部へ流出する。その後室R1の空気圧が低下した後は図10(イ1)の状態に戻る。
図10(ロ1)に示すように給気ルーバ13が逆流防止状態の定、換気ルーバ18が開の図9のロの場合では風wの風速が小さいときには、給気ルーバ13開、換気ルーバ18開を示す図10(イ1)と同様の空気流a,bとなる。図9のロの場合において風wの風速が大きいときはその消長に応じて風速が増大する際、図32(ロ2)に示すように給気ルーバ13、換気ルーバ18から室R1へ吹き込む空気流c,dが生ずる。室R1内の空気圧は吹き込み流c,dで加圧されて上昇する。風wの風速が小さくなると、図32(ロ3)に示すように室R1内から給気ルーバ13、換気ルーバ18を通じて矢印g,hで示す空気流のように外部へ流出する。このとき給気ルーバ13は通過する空気流で開度が小さくなる方向になるので、ルーバ13よりも換気ルーバ18からより多くの室内の空気が排出される。その後室R1内の空気圧が低下した後は図10(ロ1)の状態に戻る。
風速の消長する強風時において、図32(ロ2)、図32(ロ3)示す室R1への空気の流出入は一方の外壁面1側の開口1a近くの室内側に及ぶだけで、室R1の閉じられている奥側開口1raまでは室内空気の空気圧がわずかに変動するのみである。
図32(ハ)に示すように、給気ルーバ13が強制閉鎖され換気ルーバ18が強制開放されている図9のハの場合についてのべる。
風wの風速にかかわらず、給気ルーバ13を通じての外気の給排気ボックス17への流出入は行われない。風wの風速が小さいときは換気ルーバ18からの室R1の給排気は殆ど行われない。風wの風速が大きくなって行く過程では、換気ルーバ18から流入しようとする空気は羽根18aで空間14aの前板14b側へ導かれるので開口1a付近で留まり、風速が小さくなって行く過程で、開口1a付近の上記空気は換気ルーバ18を通じて戻る方向に移動する。従って有効な換気効果は期待できない。室R1内の空気圧が変動するのみである。
図32(ニ1)ニ示すように給気ルーバ13が強制開放され、換気ルーバ18が逆流防止状態(図9の定)にある図9のニの場合についてのべる。風wの風速が小さいときは換気ルーバ18は開いたままである。強制開放されている給気ルーバ13を通って外気は矢印aに示すように開口1aの下側を通じて室R1に入る。室R1では事務機器、照明、人体等の熱源で昇温した空気は室R1の奥側で天井下に上昇して開口1aに向う。そして矢印bで示すように開口1aの上側、換気ルーバ18を通じて外部に排出される。なお、給気ルーバ13から給排出ボックス17の空間14a中を上昇して換気ルーバ18を通じて一部の空気が外部へ流動する(図示していない)。上述のように図32(ニ1)の空気流の態様は、風wの風速が小さいときの給気ルーバ13及び換気ルーバ18を強制開放した図9に示すイの場合(図10(イ1))、及び給気ルーバ13を逆流防止状態の定とし換気ルーバ18を強制開放した図9に示すロの場合(図10(ロ1))と同様である。
図33(ニ2)は給気ルーバ13が強制開放され、換気ルーバ18が逆流防止状態(図9の定)にある図9のニの場合に、風wの風速が大きくなったときを示す。
風wの風速が増大すると換気ルーバ18の外側の空気流により換気ルーバ18は閉まる。給気ルーバ13からは外気が矢印iに示すように給排気ボックス17の空間14aに入る。ここで換気ルーバ18の内外に空気圧が加わるが、換気ルーバ18の外部側に生ずる正圧は内部側に生ずる正圧よりも大きいから換気ルーバ18は閉じている。一方給気ルーバ13を通じて給排気ボックス17に流入する矢印iの空気流は、給気ルーバ13を通過する際にその有するエネルギーは消耗する。矢印iの空気流は給排気ボックス17中で拡散し、換気ルーバ18に吹き付ける矢印iの空気流の一部は正圧に変り換気ルーバ18を開く方向に換気ルーバ18に作用するが、換気ルーバ18の外部側に加わる空気流による正圧が換気ルーバ18の内部側に加わる矢印iの空気流に基く正圧よりも大きいので、換気ルーバ18は閉じた状態を保つ。このように換気ルーバ18が閉じ、給気ルーバ13が開いている状態では室R1の換気は殆ど行われない。この場合、風wの風速が増大する過程で換気ルーバ18は閉じるので強風が室内R1へ吹き込むことがない。また、給気ルーバ13を通じて室内へ吹き込む強風も羽根13aの向きにより減衰される。室R1内の空気圧はわずかに上昇する。このような現象は限定的である。
図33(ホ1)に示すように給気ルーバ13、換気ルーバ18が逆流防止状態(図9の定)にある場合についてのべる。風wの風速が小さい場合は給気ルーバ13、換気ルーバ18は開いた状態を保つ。従って、このときは例えば図9に示すイの場合、即ち、給気ルーバ13、換気ルーバ18が共に強制開放されていることを示す図10(イ1)と同じ矢印a,bの流れで換気される。
図33(ホ1)において、風wの風速が増すと図33(ホ2)に示すように既にのべたように、空気の流れは給気ルーバ13が強制開放で換気ルーバ18が閉った状態の図33(ニ2)と同じ状態となる。矢印iで示す空気の流れは図33(ホ2)のように示される。図33(ホ2)の説明は図33(ニ2)の説明を援用する。
図33(ヘ)に示すように、給気ルーバ13が強制閉鎖され換気ルーバ18が逆流防止状態の図9の定の場合について説明する。風wの風速にかかわらず給気ルーバ13を通じての外気の給排気ボックス17への流出入は行われない。風wの風速が小さいときは換気ルーバ18からの室R1の給排気は殆ど行われない。風wの風速が大きくなって行く過程では換気ルーバ18は開度が小さくなり、風速が一定風速を越えると閉る。風wの風速が小さくなって行くと換気ルーバ18は開き開度を増大して行く。従って室R1への外気の流出入は認められない。
図33(ヘ)の状態の給排気ボックス17は、建物Aの全体換気の排気に使用される防風板8と排気用逆流防止ルーバ9に代用可能である。
図34(ト)に示すように、給気ルーバ13が強制開放され、換気ルーバ18が強制閉鎖された図9のトの場合について説明する。風速が小さいと換気ルーバ18が閉っているので、給気ルーバ13を通ずる室内外の空気流は出入り共に小さく、風wの風速の消長で室R1の空気圧がわずかに変化するだけである。強風時は図33(ホ2)、(ニ2)と同じ状態になる。
図34(チ1)に示すように、給気ルーバ13が逆流防止状態(図9において定)に、換気ルーバ18が強制閉鎖(図9のチ)の場合について説明する。この場合、参考例1と同様である。風wの風速が小さいと、換気ルーバ18が閉っているので、換気ルーバ18を通ずる室内外の空気流はない。従って、室R1に給気ルーバ13、給排気ボックス17の空間14aを通じて流入出する空気は量も小さく運動エネルギーは小さいので給気ルーバ13は動作しない。風wの風速が大きいと給気ルーバ13を通じて空間14a、室R1に吹き込もうとする矢印iの空気流により室R1内の空気圧は上昇する。室R1の空気圧が上昇している状態で風wの風速が下降すると、給気ルーバ13の内外の空気圧の差があるので給気ルーバ13を通じて内部側から外部側へ流れ空気により給気ルーバ13は開度が小さくなる。従って、室R1内の空気圧の変動が小さくなる。なお、この場合は開口1raを開くと建物Aの全体換気を行える。図34(チ1)において換気ルーバ18を板材に代えると参考例1の防風板14と給気ルーバ13となる。
図34(チ2)に示すように、開口1ra,1rb,1rcが開いているときには高階の室R3において開口1rc、室R3、開口1c、給排気ボックス17の空間14a、給気ルーバ13をとおって逆流しようとする空気流によって給気ルーバ13は閉じる。
図34(リ)に示すように給気ルーバ13、換気ルーバ18が共に強制閉鎖されている図9のリの場合は、室R1の個別換気は行われない。このリの場合は風wが著しく風速大であるとか、終業時に対応している。
上記図10、図32、図33、図34についての説明は主として室R1について説明したが、室R2,R3について夫々同様である。
(建物最上部に防風板と排気用逆流防止ルーバを備えると共に各室の給気側の開口に給排気ボックスを備えた場合の建物の全体換気)
上述のような個別換気(図34(チ2)を除く)に対して各室R1,R2,R3と吹き抜け4間の開口1ra,1rb,1rcが夫々開放している場合において各階R1,R2,R3の給気側の開口1a,1b,1cに給排気ボックス17を備えた場合の建物A全体の換気についてのべる。
図1では建物Aの前面の各室R1,R2,R3に通ずる開口1a,1b,1cは、防風板14と給気ルーバ13で蔽われている。この防風板14と給気ルーバ13とを併せた給気構成に代えて給排気ボックス17を設ける。
図6,図7に示す給気ルーバ13が逆流防止状態にあるとすると、室R3において給排気ボックス17に関して通常給気され給気方向と反対方向に逆流する場合の逆流を防止できる。且つ逆流が止むと給気状態に戻ることができるのは、既にのべたように図9で給気ルーバ13が(定)、換気ルーバ18が閉の(チ)の場合である。
建物Aにおいて建物Aの最高所にある排気ルーバ9が図3に示す逆流防止状態で開放されている際に風wに基く強風のために閉まると、給気側の給気ルーバ13をとおり室R1,R2を介して吹抜け4へ流れる空気流は、吹抜け4における空気圧を上昇させる。吹抜け4からは開口1rcを通じて室R3中へ空気が流動するので、この空気流は図34(チ2)に示すように給気ルーバ13を閉じる。従って、1,2階の室R1,R2,R3で生じた汚れた空気が3階の室R3に流入し続けることは阻止される。
給排気ボックス17において室への空気流の流入出を確実とするための構成を図11、図12に示す。
給排気ボックス17の構成は上述した処と変らない。給排気ボックス内の空間は上空間14a1、下空間14a2に空間を上下に分ける隔離部材並びに空気流を導く導風部材として設けた上下分断ボード21で上下に分けられている。
上下分断ボード21は水平な平板状で、上空間14a1と下空間14a2は給排気ボックス17内では連通していない。上下分断ボード21は室R1,R2,R3内へ延出されている。その延出する長さは、室R1,R2,R3の開口1a,1b,1cより室内側へ限定的である。本例では、上下分断ボード21の開口1a,1b,1cから室R1,R2,R3内への延出の長さは給排気ボックス17の前板14bから開口1a,1b,1cを若干超えた位置までとされている。
図12は室R1における空気流を示す。空気流は矢印a→m→n→o→bと流れる。このとき上下分断ボード21があるため、室R1の奥側へ向う流れと、天井側を換気ルーバ18に向う流れを確実にする作用がある。
給排気ボックスの構成によれば、このボックスは建物の排気用防風板と排気用逆流防止ルーバ、防風板と給気用逆流防止ルーバによる窓の個別換気、建物の開口の一部開、全体開、全体閉をとることができる。尚ここで、防風板14をアルミニウム製パネル構成と換気用逆流防止ルーバ18の羽根18aをアルミ形成とすると図8に示すように給排気ボックス17は日照SLを遮るのでらんまから室内への直射を防止できる。
(実施例1)
この実施例は各室の外壁側に設ける給排気部材の構成に係る。図13は室R1の建物Aとしては給気側の開口の構成を示す。室R2,R3についても同様である。なお、建物Aの外壁は、ダブルスキンカーテンウォールで構成されている。
室R1の外壁面1側の床R1fと天井R1c間の開口は上下両端側を除いて全体としては平板状の隔離部材22で閉塞されている。隔離部材22は例えば嵌め殺しの障子である。隔離部材22の上部には天井R1cとの間又は天井R1c下近くまでに排気用の開口22aが設けられている。隔離部材22の下部には、床R1fとの間又は床R1f上近くまでに給気用の開口22bが設けられている。
開口22aの外部側の面(外壁面1とほぼ同一の面)には、外気が上の開口22aを通じて室R1内へ流入するのを外気の空気流によって閉じ、外気よりも室R1内の空気圧が大きいときは室R1から開口22aを通ずる空気流を阻止しない、換気用逆流防止ルーバ23が設けられている。下の開口22bの外部側の面(外壁面1とほぼ同一の面)には、外気が開口22bを通じて室R1内へ流入するのを阻止しないが室R1の空気が開口22bを通じて外部へ流出するのを抑制する、給気用逆流防止ルーバ24が設けられている。開口22a,22bの夫々の室R1内側には、排気側ダンパ(以下、上ダンパともいう)25、給気側ダンパ(以下、下ダンパともいう)26が設けてある。各ダンパ25,26は夫々開口22a,22bを開又は閉とする。ダンパ25,26の構成はヒンジ25a,26aで開口22a,22bの夫々の縁に枢着された平板の板羽根である。ダンパ25,26は図略した操作部材によって水平方向を向いた開又は垂直方向を向いた閉の位置をとるようになっている。上ダンパ25は室内側へ開いて水平方向となる。下ダンパ26は開口22b内で運動する内開きである。
このような給排気構成は建物Aの外壁面1側に構成されているので、図1又は図5において外壁面1側が図13の構成を有する(建物全体は図略)。先ず、室R1,R2,R3の吹抜け4に面している開口1ra,1rb,1rcが閉じている際の作用について説明する。
開口1ra,1rb,1rcが閉じている際、室R1,R2,R3の個別換気が行なわれる。図13(a)は個別換気の際のルーバとダンパの状態を示す。上ダンパ25、下ダンパ26は開いている。通常風力の風wでは外気は給気ルーバ24、下ダンパ26が開いている開口22bを通じて矢印jのように流入し、室R1を循環した後は矢印kのように上ダンパ25の開いている開口22a、換気ルーバ23を通じて排出される。強風時は換気ルーバ23が閉じるので下の開口22bへ吹き込む風が室R1を吹き抜けることはない。
建物Aの全体換気は室R1,R2,R3の開口1ra,1rb,1rcの少なくとも1つが開放された状態で行われる。本例では開口1raが開いている。図13(b)で示すように上ダンパ25は閉じ、下ダンパ26は開いた状態である。このときの全体換気における空気流は参考例1において説明した処と同様である。
図13(c)ではダンパ25,26は閉じられており建物A全体の換気、室R1,R2,R3の個別換気は行なわれない。
(実施例2)
図14は実施例2の建物の縦断面図である。建物全体の構成は給気側を除いて図1の(参考例1)に示す建物と同様である。以下に図1に示す建物と異なる構成を説明する。
図14において風wが吹き付ける建物Aの一方の外壁面1側に各室R1,R2,R3の開口27が設けられている。この開口27は各室R1,R2,R3の天井側に設けてある。この開口27には給排気装置28が夫々設けてある。
給排気装置28は各室R1,R2,R3の個別換気と建物Aの全体換気を選択的に行なうことができる。
図15、図16は給排気装置28の縦断面図である。上述した図14の説明の開口27は夫々が上開口27a、下開口27bとして上下に分れている。下開口27bの下側は窓の上枠となる横架材29により仕切られた窓31である。上記開口27はらんま部分に相当する。窓31は例えばガラスが嵌め殺しとなっている。横架材29の内部側にはブラインド32が設けられている。
開口27を上下に仕切る横架した仕切材33により開口27は上下に仕切られて上開口27a、下開口27bが形成される。仕切り材33から外方へ突出する底板34aと底板34aの先端から立上る前板34bとは、防風部材である防風ボックスとし構成する防風板34の部材である。前板34bは外壁面1と平行しほぼ上開口27aと形状大きさが同じで空間34cをおいて上開口27aと対向している。防風板34の内側の空間34cは両端が図15、図16の紙面に平行な板材で塞がれている。防風板34で囲まれた空間34cの開放された上部開口には個別換気用逆流防止ルーバ35が設けてある。換気用逆流防止ルーバ35の構成は、図3を用いて説明した逆流防止ルーバ9(建物としての換気における排気用の開口に設けたルーバ)において駒12aを備えない構成となっている。従って、換気用逆流防止ルーバ35は風wの風速が大となる風力により閉じ風速が小となると開く。
仕切材33に図の紙面に直交する方向の中心を有するヒンジ36aによりダンパ36が支持されている。ダンパ36はヒンジ36aを中心にして回動して垂直位置においては上開口27aを閉じ、水平位置においては上開口27aを開放する。ダンパ36は水平位置において、導風作用を有し、室内換気の際下開口27bから室R1に進入した外気が室R1へ吹き込まないで上開口27a、空間34c、換気用逆流防止ルーバ35を通じて吹き抜けるのを抑止する機能を持っている。ダンパ36の水平状態はダンパ36のヒンジ36aを中心として時計回りに回動するのを制止する図示されないストッパにより保たれる。
下開口27bをふさぐように給気用逆流防止ルーバ37が配設されている。このルーバ37は外気は自由に進入し、室内空気が外部に流出するのを抑制する機能をもっている。
図17、図18、図19は給気用逆流防止ルーバ37の側断面略図である。給気用逆流防止ルーバ37の羽根37aは図の紙面に直交する方向に長いストリップ状である。羽根37aは、図の紙面に直交する方向の支持軸37bで揺動自在に下開口27bを構成する両側の竪枠に支持されている。支持軸37bは羽根37aの幅方向(図19において見付方向)の中間にある。羽根37aの支持軸37bで分れる大幅部37a2は小幅部37a1より幅が広い。支持軸37bを中心とする重力による一次モーメントは大幅部37a2よりも小幅部37a1の方がわずかに小さい。これによって羽根37aは支持軸37bを中心に時計回りに回動する。羽根37aの回動はストッパ37cで止められる。
図16に示すように、風wの風速の大小にかかわらず給気状態のときは、羽根37a間は開いている。ストッパ37cは羽根37aの小幅部37a1の上側で支持軸37bの近くに設けてもよい。
上述の給気用逆流防止ルーバ37は、建物A全体の換気時、室R1の個別の換気時で図18の逆流防止状態にあるとき、給気の空気流は図15、図16の矢印qのように左から右方に流れるので羽根37aは支持軸37bを中心とする時計回りのモーメントが増大するだけで開いたままである。尚、空気流により羽根37aが受ける力は、羽根表では正圧、羽根裏では負圧となり、羽根37aは空気流により表裏で同方向の力を受ける。図14において、室R1から室内空気が外部側に向う空気流が生ずると、図18において羽根37aは支持軸37bを中心にして反時計回りに回動して羽根37aは互いに重なり、且つ下開口27bの開口枠との間も閉じる。従って室内空気は逆流して下開口27bから排出されない。
参考例1の図2、図3、図4に示す排気用逆流防止ルーバ9と同様に、駒12aを備えた開閉装置12が設けられている。本例の駒12aは上下方向に移動する。参考例1の駒12aは左右方向に移動する点を除くと駒12aの構成作用は同様であるので、その説明は参考例1における説明を援用する。
(実施例2の作用)
(全体換気)
図16に示すようにダンパ36は図示されない操作部材を介して閉じており、上開口27aを通じた空気流は無い。図18に示すように給気は許すが逆流は抑止するように開放されている給気用逆防止ルーバ37を通じて室R1,R2,R3、吹抜け4、換気室6と流れた空気は、排気用逆流防止ルーバ9を通じて排気される。
強風で排気用逆流防止ルーバ9が閉じると図14においても、図5で説明したように下階の室R1の空気は吹抜け4、上階の室R3を通じて室R3の下開口27bに向う。開口27は上開口27aがダンパ36で閉じているので下開口27bを通じて室内の空気が外へ出ようとすると、羽根37aの室内に面する側はその空気流により圧せられ羽根37aは支持軸37bを中心にして反時計回りに回転して給気用逆流防止ルーバ37は閉じるので、上階の室R3には逆流は生じない。従って、下階の室R1から汚れた空気が上階室R3へ回り込むことが防止される。
(個別換気)
各室R1,R2,R3と吹抜け4間の開口1ra,1rb,1rcが閉じられている場合について説明する。以下、室R1についてのべるが室R2,R3においても同様である。このとき、図15に示すように室R1においてダンパ36を開く。矢印qのように給気用逆流防止ルーバ37を通じて室R1へ外気が流入する。ダンパ36により室R1において下開口27bから上開口27aに直接流れようとする空気流は生じない。風wに基く矢印qの空気流は室R1に押し込まれる空気流であるので室R1の下層を奥側へ向って進み、室R1の事務機器、照明、人体等により加熱された空気は上昇し乍進み室R1の奥で天井側へ反転して天井側を上開口27aへ進み、上開口27a、空間34c、個別換気のための排気用逆流防止ルーバ35を通じて矢印rのように排出される。このとき、ダンパ36があるので矢印qの空気流が下開口27bから室R1に流入してから直接上開口27aに向かうことは抑制されるので矢印rの空気流が確保される。
風wの風速が増すと換気用逆流防止ルーバ35は閉じる。矢印qの給気となる空気流は室R1の空気が閉じられているのでその速度を減衰するので室R1の一部の空気の乱れが生ずるだけである。
この実施例によれば建物全体の換気と各室の個別換気を効果的に行うことができ、且つ全体換気と個別換気の切換はダンパ36のみであるので操作にわずらわしさがない。
上記において、ダンパ36の操作部材と室R1,R2,R3の開口1ra,1rb,1rcを開閉する障子等の操作部材を連動することにより、ダンパ36の開閉を意識することなくこの障子を開閉することにより全体換気と個別換気の切換ができるので好適である。
上記において、給気用逆流防止ルーバ37は図17に示すように強制開放しても個別換気の作用は同じである。図19に示す給気用逆流防止ルーバ37の強制閉鎖は風wがきわめて強い風雨等の悪天候の際に用いられる。このとき、強風により排気ルーバ9、換気ルーバ35は閉じるので建物A内への強風の吹き込みはない。
(参考例4)
建物全体又は建物の一部分へ給気又は排気を行う夫々の装置の具体的な構成について説明する。
図20は、建物A全体の排気のための防風板8と排気用逆流防止ルーバ9の側断面図、図21は水平断面図である。六立方体の空間8aの稜線の位置にアルミニウム押出型材の枠材を配して一体的とした構造材で六立方枠体8bが構成されている。六立方枠体8bの正面側の上枠、下枠、竪枠により囲撓構成した四方枠の内周の条溝8cには前板である正面防風板8dが嵌め込まれている。六立方枠体8bの下面側の四方枠の内周に設けた条溝8eには下板となる下面防風板8fが設けられている。図20の紙面に平行する側板となる側面防風板8gは、図21に示すように空間8aの図20の紙面に平行な両端にあり、該位置における六立方枠体8bの四方枠の内周側の条溝8hに嵌め込まれている。六立方枠体8bの上部の四方枠にはその内周側に排気用逆流防止ルーバ9が設けられている。
換気室6と空間8a間の開口6iには、四方枠が躯体に固定され四方枠に引き違い障子41が開閉自在に嵌め込まれている。このような立体形の防風板8と排気用逆流防止ルーバ9を備えた建物Aの上部の外観は、斜視図の図22に示されている。
上述した防風板8は建物Aの最高位置にあり、箱形でらんまの障子46を設ける面より突出している。なお、図22には防風板8の下方に吹抜け4の明り取りとして設ける場合の障子46を付記してある。図22に(14)とあるのは給気側の防風板として建物Aの中間位置に使用した場合を示している。
(実施例3)
建物Aの室R1,R2,R3の窓のらんまの位置に設ける換気又は排気のための防風板、ルーバ等を収納可能とした構成を図23、図24に示す。図6、図7に示した給排気ボックス17に適用される。また、排気用防風板8、給気用防風板14にも適用可能である。
図23においてらんまを構成する四方枠42の上枠42aには換気用逆流防止ルーバ18の外周枠18bがヒンジ42a1でもって枢着されている。ヒンジ42a1はその中心の軸は四方枠42の上枠42aと平行している。換気用逆流防止ルーバ18は図23に点線で軌跡r1を示すように、水平方向の位置と水平方向の位置からヒンジ42a1を中心にして反時計回りに回動して四方枠42に沿う位置とをとることができる。換気用逆流防止ルーバ18は水平位置においては防風板14の前板14bを保持する四方枠14eの上枠により支持される。
らんまを構成する四方枠42の下枠42bには、給気用逆流防止ルーバ13の外周枠13bがヒンジ42b1でもって枢着されている。ヒンジ42b1はその中心の軸が四方枠42の下枠42bと平行している。給気用逆流防止ルーバ13は、図23に点線で軌跡r2を示すように、水平方向の位置からヒンジ42b1を中心にして時計回りに回動して四方枠42に沿う位置をとることができる。給気用逆流防止ルーバ13が水平方向の位置においては、前板14bを保持している四方枠14eの下枠に設けた図示されないストッパにより下方への回動が止められるようになっている。
図24に示すように防風板14の側板14cは四方枠14dで保持された側板である。側板14cはらんまを構成する四方枠42の竪枠42cに上下方向の中心軸を有するヒンジ42c1で夫々枢着されている。四方枠14dで保持された側板14cは、図24に示すように外壁面1に平行する四方枠42を含む面に直交する位置と四方枠42を含む面に給気用逆流防止ルーバ13、換気用逆流防止ルーバ18を間にして重なる位置をとる。
防風板14の前板14bの縁は四方枠14eの内周の条溝14e1に嵌め込まれ保持されている。前板14b、四方枠14eは図23、図24に示す位置と四方枠42と近接して重なる位置をとることができる。本例では前板14bと四方枠14eはらんまとなる四方枠42に対して平行運動をとるようにしてある。平行運動装置としては種々の構成が採用される。
図23に示すように四方枠42の竪枠42cの上部にリンク43の上端がピン43aで枢着されている。リンク43の下端はピン43bによりすべり子43cに枢着されている。すべり子43cは四方枠14eの竪枠14fの下部に上下方向に長く設けた案内条溝14f1に上下動自在に嵌合している。リンク43,44はピン45により枢着されている。
四方枠14eの竪枠14fの上部にリンク44の上端がピン44aで枢着されている。リンク44の下端はすべり子44cにピン44bにより枢着されている。すべり子44cは竪枠42cの下部に上下方向に長く設けた案内条溝42c2に上下動自在に嵌合している。
この実施例での給排気ボックス17の収納についてのべる。図23に示す換気用逆流防止ルーバ18の外周枠18bの四方枠14eへの係止を解く。ヒンジ42a1を中心にして反時計回りに換気用逆流防止ルーバ18を回動して四方枠42の上半部に重ねる。ヒンジ42b1を中心にして反時計回りに給気用逆流防止ルーバ13を時計回りに回動して四方枠42の下半分に重ねる。
図24に示すようにヒンジ42c1を中心にして側板14cを夫々回動して四方枠42に先に収納してある給気用逆流防止ルーバ13、換気用逆流防止ルーバ18を介して重ねる。これによって、平行運動装置の部材であるリンク43,44、すべり子43c,44cを介して四方枠14eに保持された前板14bは四方枠42の前方の空間に位置する。
最後に前板14bを四方枠42に向って移動すると、リンク43,44は交叉角θを拡大すると同時にすべり子43c,44cは案内条溝14f1,42c2に案内されて下降する。これによって四方枠14eに保持された前板14bは四方枠42上に先に重ねられている換気ルーバ18,給気ルーバ13、四方枠14dで保持された側板14cに重ねられる。
収納してある給排気ボックス17を作用する状態とするには上記と逆の順序で展開する。
この実施例において、換気ルーバ18に代えて板材で上面を閉塞すると参考例1における防風板14と給気ルーバ13を備えた給気ボックスに適用される。また、給気ルーバ13に代えて板材で下面を閉塞するとボックス状の防風板8と排気ルーバ9を備えた排気ボックスに適用される。
上記において、給排気ボックス17を建物の開口部の四方枠42に造り付けとしたが、四方枠42を給排気ボックス17を構成する部材とすることにより、給排気ボックス17はユニット化されるので建物への取り付けは締結部材のみによることができる。従って、ユニット化により建物への取り付けが容易となる。
(実施例4)
図25は既存枠への給排気ボックス17又は排気用逆流防止ルーバ9を備えたボックス状の防風板8の既存枠への取付を示す水平断面図である。建物Aの開口(6i,1a,1b,1c)の内周に設けた開口枠の竪枠47の外部側には上下方向に突条47aが設けられている。
図20、図21に示す防風板8と排気用逆流防止ルーバ9を有する排気ボックスの突条47aへの取付を説明する。排気ボックスの建物Aに沿う側の上下方向の竪枠8iは、全体として溝型鋼形(材質はアルミニウム)で、片側のフランジ8jは先端8j1で折り返して舌部8j2をフランジ8jに重ねられている。舌部8j2で形成される溝部8j3の幅は組立状態で突条47aの厚さと等しい。舌部8j2の先端は図において下方に曲げられて導入部8j4となっている。部品の状態では導入部8j4の根本である口部8j5はフランジ8jに接しているか、近接している。
排気ボックスは、建物A側の突条47aに条溝8j3の口部8j5から差し込む。舌部8j2の導入部8j4、口部8j5とフランジ8j間は突条47aにより押し拡げられて、突条47aはフランジ8jと舌部8j2で強く加圧される。
このように、この排気ボックスは既存建物の排気用の開口に取付可能である。同様に給気ボックス、給排気ボックスを既存枠に取り付けることができる。