本実施例は、車両が自ら判断した駐車スペースに、適切な駐車形態で、車両を自動的に駐車させるものである。
(ハードウェア構成の説明)
まず、本装置のハードウェア構成について図1と図2を用いて説明する。本実施例の車両用駐車支援装置10は、図1に示す車両100に実装されている。車両100の前後左右には、図1に示すように小型カメラが備えられている。
具体的には、車両100のフロントバンパやフロントグリルには、車両100の前方に向けて前方カメラ20aが装着されている。また、車両100のリアバンパやリアガーニッシュには、車両100の後方に向けて後方カメラ20bが装着されている。そして、車両100の左ドアミラーには、車両100の左側方に向けて左側方カメラ20cが装着されて、車両100の右ドアミラーには、車両100の右側方に向けて右側方カメラ20dが装着されている。
前方カメラ20a,後方カメラ20b,左側方カメラ20c,右側方カメラ20dには、それぞれ広角レンズや魚眼レンズが装着されており、4台のカメラで車両100の周囲の路面を含む領域を漏れなく観測することができるようになっている。
さらに、図1に示すように、車両100の前後左右には、超音波ソナー30a〜30fからなる測距装置が装着されている。
具体的には、車両100のフロントバンパやフロントグリルには、車両100の前方に向けてソナー30aが装着されている。また、車両100の左側方部には、車両100の左側方に向けてソナー30b,30cが装着されている。そして、車両100のリアバンパやリアガーニッシュには、車両100の後方に向けてソナー30dが装着されており、車両100の右側方部には、車両100の右側方に向けてソナー30e,30fが装着されている。
これらのソナー30a〜30fは、それぞれ左右方向に広がった測距範囲を有しており、全てのソナー30a〜30fを合わせて、車両100の周囲を漏れなく測距できるようになっている。
なお、ソナー30a〜30fの代わりに、ミリ波レーダ等のレーダを設置しても構わない。一般に、レーダはソナーに対して遠方の測距性能に優れるため、自動駐車を行う際に必要となる車両100の周囲の距離範囲に基づいて、使用するセンサを適宜選択すればよい。
車両用駐車支援装置10は、図2に示す各ユニットから構成される。
すなわち、車両用駐車支援装置10は、車両100に搭載された、前方カメラ20a,後方カメラ20b,左側方カメラ20c,右側方カメラ20dと、これらのカメラを制御するとともに、駐車枠線の検出,周囲の駐車車両の姿勢の推定および駐車形態の推定を行うカメラECU22と、前述したソナー30a〜30fと、これらのソナーを制御するとともに、周囲の駐車車両の駐車方向の推定を行うソナーECU32を有する。また、車両100の現在位置を特定するためのカーナビゲーションシステム46を備えている。
なお、カーナビゲーションシステム46は、車両100の車輪速を検出する車輪速センサ47と、車両100の舵角を検出する舵角センサ48を備えている。
さらに、車両用駐車支援装置10は、自動駐車の開始を指示する自動駐車開始スイッチ24を備えるとともに、カメラECU22およびソナーECU32で検出された情報に基づいて、自動駐車を行う際に必要となる駐車経路の推定を行うとともに、車両100が採るべき駐車形態を推定して目標駐車位置を決定して、必要な車両制御情報を決定する車両制御ECU60を有する。そして、車両制御ECU60で決定した車両制御情報に基づいて、車両100の操舵角を制御するステアリング制御ユニット70と、車両100のスロットルを制御するスロットル制御ユニット80と、車両100のブレーキを制御するブレーキ制御ユニット90と、を備えている。
ステアリング制御ユニット70は、パワステアクチュエータ72を駆動して、車両100の操舵角を制御する。
スロットル制御ユニット80は、スロットルアクチュエータ82を駆動して、車両100のスロットルを制御する。
ブレーキ制御ユニット90は、ブレーキアクチュエータ92を駆動して、車両100のブレーキを制御する。
なお、カメラECU22およびソナーECU32と、車両制御ECU60との間は、車内LANであるセンサ情報CAN50によって接続されている。また、ステアリング制御ユニット70,スロットル制御ユニット80,ブレーキ制御ユニット90と、車両制御ECU60との間は、車内LANである車両情報CAN52によって接続されている。
ここで、図2において、ソナー30a〜30fの代わりに、レーダ40a〜40fを設置しても構わない。なお、レーダ40a〜40fを設置したときは、これらのレーダ40a〜40fを制御するとともに、周囲の駐車車両の駐車方向の推定を行うレーダECU42が設置される。
ソナー30a〜30fとレーダ40a〜40fは、その測距範囲が異なるため、もちろん、ソナー30a〜30fとレーダ40a〜40fを混在させて使用しても構わない。なお、以後の説明では、簡単のため、ソナー30a〜30fとソナーECU32のみが実装されているものとする。
(機能構成の説明)
次に、図3を用いて、車両用駐車支援装置10の機能構成について説明する。
車両用駐車支援装置10は、撮像部112と、距離計測部120と、駐車枠線検出部130と、駐車車両姿勢推定部140と、駐車形態推定部150と、駐車方向推定部160と、駐車経路推定部170と、現在位置推定部175と、駐車形態判定部180と、目標駐車位置決定部190と、自動駐車実行部200と、からなる。
撮像部112は、図1,図2で説明した前方カメラ20a,後方カメラ20b,左側方カメラ20c,右側方カメラ20dからなる。
距離計測部120は、図1,図2で説明したソナー30a〜30fからなる。
駐車枠線検出部130は、撮像部112で撮像された車両100の周囲の画像の中から、駐車スペースの境界線を示す駐車枠を検出する。詳しくは後述する。
駐車車両姿勢推定部140は、撮像部112で撮像された画像の中から、車両100の周囲にある駐車車両の駐車姿勢を表す駐車姿勢特徴を検出して、検出された駐車姿勢特徴に基づいて、駐車車両の駐車形態を推定する。
なお、本実施例にあっては、駐車姿勢特徴として駐車車両のナンバープレートと、駐車車両のタイヤを検出する。駐車車両のナンバープレートは、ナンバープレート検出部142で検出されて、駐車車両のタイヤは、タイヤ検出部144で検出される。詳しくは後述する。
駐車形態推定部150は、撮像部112で撮像された画像の中から、駐車スペースの形状を示す駐車スペース特徴を検出して、検出された駐車スペース特徴に基づいて、駐車スペースにおける駐車形態を推定する。
なお、本実施例にあっては、駐車スペース特徴として、駐車スペースの端部に存在する車止めを検出する。この機能は、車止め検出部152で行われる。詳しくは後述する。
駐車方向推定部160は、距離計測部120の計測結果に基づいて、車両100の周囲にある駐車車両の位置と駐車車両の駐車方向を推定する。詳しくは後述する。
駐車経路推定部170は、車両100の周囲の路面領域を検出して、検出された路面領域に基づいて、車両100を駐車スペースに駐車させるための移動経路を推定する。詳しくは後述する。
現在位置推定部175は、車両100の現在位置を推定する。
駐車形態判定部180は、駐車方向推定部160と駐車車両姿勢推定部140,駐車形態推定部150、および駐車経路推定部170の検出結果に基づいて、車両100を駐車スペースに駐車させる際の駐車形態を判定する。詳しくは後述する。
目標駐車位置決定部190は、駐車形態判定部180において判定された駐車形態と、距離計測部120で計測された車両100の周囲の障害物マップに基づいて車両100の目標駐車位置を決定する。詳しくは後述する。
自動駐車実行部200は、目標駐車位置決定部190で決定した目標駐車位置と駐車経路推定部170で推定した移動経路に基づいて、車両100の車速,操舵角,ブレーキを制御することによって、車両100の自動駐車を実行する。詳しくは後述する。
次に、図3に示した各ブロックの機能について、順を追って説明する。
(駐車方向推定部における駐車方向推定機能の説明)
図4A,図4Bを用いて、駐車方向推定部160が有する駐車方向推定機能について説明する。
車両100が駐車場に進入した際に、距離計測部120(図3)の作用によって、車両100の周囲の障害物までの距離が測定される。
図4Aは、距離計測部120(図3)が車両100の周囲の測距を行っている様子を示す図である。特に、図4Aの例は、車両100に設置されたソナー30aとソナー30bが測距を行っている様子を示している。
図4Aに示す通り、ソナー30bは、その測距範囲31bの内部に駐車車両102の車影を捕捉して、駐車車両102を構成する外表面の位置座標を出力する。すなわち、図4Aに示す障害物構成点102a〜102h(点列)の位置座標が出力される。
その後、車両100が紙面右方向に前進すると、駐車車両104がソナー30aの測距範囲31aに駐車車両104が捕捉されて、駐車車両104を構成する外表面の位置座標が出力される。すなわち、図4Aに示す障害物構成点104a〜104g(点列)の位置座標が出力される。
ソナーECU32(図2)は、これらの障害物構成点102a〜102h,104a〜104g(点列)の位置座標を受信して、駐車方向推定部160(図3)に送信する。
駐車方向推定部160(図3)は、受信した障害物構成点102a〜102h,104a〜104g(点列)の位置座標を、図4Bに示す1枚の障害物マップ300に統合する。
異なる時刻に取得された複数の障害物構成点102a〜102h,104a〜104g(点列)を1枚の障害物マップ300に統合するために、駐車方向推定部160(図3)は、障害物構成点102a〜102h,104a〜104gが取得された際の車両100の現在位置情報を用いる。
すなわち、距離計測部120(図3)で車両100の周囲を測距したタイミングで、同時に現在位置推定部175において車両100の現在位置を推定して、距離計測部120で計測された障害物構成点(点列)(例えば102a〜102h)の座標と車両100の現在位置とを関連付けて駐車方向推定部160に記憶しておく。同様にして、障害物構成点104a〜104g(点列)の座標と、それらの障害物構成点104a〜104gが計測された際の車両100の現在位置とを関連付けて駐車方向推定部160に記憶しておく。
駐車方向推定部160は、このようにして記憶された障害物構成点(点列)の座標と、それらの障害物構成点が得られた際の車両100の現在位置と、に基づいて、図4Bに示す障害物マップ300を作成する。
具体的には、車両100の現在位置情報と、車両100の現在位置を特定するために設けた所定の基準点(例えば車両100の面積重心位置等)から見たソナー30a,30bの設置座標、および、各ソナー30a,30bで計測された障害物構成点102a〜102h,104a〜104g(点列)の座標を合成して、図4Bに示すようにXY座標系にマッピングする。
次に、駐車方向推定部160は、生成された障害物マップ300に対して、障害物構成点102a〜102h,104a〜104g(点列)を個々の障害物毎に弁別する、いわゆるクラスタリング処理を行う。具体的には、個々の障害物構成点同士の距離を計算して、所定距離以内に接近している障害物構成点は同一の障害物によるものであると判定して、同じグループに纏める。
図4Bは、このクラスタリングを行った結果を示している。すなわち、計測された結果は、障害物構成点102a〜102h(点列)からなるグループ302aと、障害物構成点104a〜104g(点列)からなるグループ302bに弁別される。
次に、障害物マップ300上において、弁別された個々のグループ302a,302bに、それぞれ、車両の大きさと形状を模した矩形を当てはめる処理を行う。すなわち、直交する2方向に沿って延びる点列へのグルーピングを行う。図4Bの例では、グループ302aに対して長辺105a(辺長L1)と短辺105b(辺長L2)が当てはめられて、グループ302bに対して長辺105c(辺長L3)と短辺105d(辺長L4)が当てはめられる。
なお、計測された障害物構成点(点列)が駐車車両以外であるとき、例えば建造物等の障害物であるときには、車両の大きさと形状を模した矩形を当てはめることができないため、車両以外の障害物があることを認識することができる。そして、その障害物を構成する障害物構成点を除外して処理を進める。
さらに、駐車方向推定部160は、当てはめられた複数の矩形領域の位置関係(並び方向、隣接する矩形間の距離等)を分析する。その結果、図4Bに示す例では、複数の矩形が、短辺に沿う方向に横並びに配置されていることが認識される。
駐車方向推定部160は、この認識結果に基づいて、障害物マップ300の中で、駐車車両は並列駐車を行っているものと推定することができる。同様にして、複数の矩形が、長辺に沿う方向に縦並びに配置されていることが認識されたときには、駐車車両は縦列駐車しているものと推定することができる。
(駐車車両姿勢推定部におけるナンバープレート検出機能の説明)
駐車車両姿勢推定部140は、撮像部112で撮像された画像の中から、車両100の周囲にある駐車車両の駐車姿勢を表す駐車姿勢特徴として、ナンバープレートとタイヤを検出して、検出された結果に基づいて駐車車両の駐車形態を推定する。
まず、図5A〜図5C,図6を用いて、駐車姿勢特徴のひとつであるナンバープレート検出機能について説明する。このナンバープレート検出機能は、ナンバープレート検出部142(図3)が有している。
車両100から、周囲に駐車している他車両を観測したときに、他車両のナンバープレートの見え方は、他車両の駐車姿勢を特定するための重要な特徴となる。すなわち、図5Aに示すように、左側方カメラ20cで観測された画像の中にナンバープレートが写っていたときは、駐車車両102は車両100に直交する方向を向いて駐車している可能性が高いことがわかる。
一方、図5Bに示す状態にあるときは、左側方カメラ20cで観測された画像の中には、図6に示すようにナンバープレートが写らない。したがって、車両100の左側方にある障害物は車両であるか否か判定することはできない。
このように、ナンバープレートの有無のみでは、障害物が車両であるか否かを確実に判定することができないため、前述したソナー30a〜30f(図2)で検出された障害物構成点(点列)の情報、さらに、後述するタイヤ検出処理も併用する必要がある。
すなわち、図5Aの場面では、左側方カメラ20cによって図5Cに示す画像I(x,y)が観測されるとともに、図5Aに図示しないソナーによって車両100の左側方に障害物構成点(点列)があることが検出される。そして、ナンバープレート検出部142(図3)によって、画像I(x,y)の中にナンバープレート210が写っていることが認識される。これによって、車両100の左側方に、車両100に直交する方向を向いた駐車車両102が存在しているものと認識される。
一方、図5Bの場面では、左側方カメラ20cによって図6に示す画像I(x,y)が観測されるとともに、図5Bに図示しないソナーによって車両100の左側方に障害物構成点(点列)があることが検出される。そして、ナンバープレート検出部142(図3)によって、画像I(x,y)の中にナンバープレート210が写っていないことが認識される。これによって、車両100の左側方に障害物があることは認識されるが、この障害物が車両であることまでは認識できない。
ナンバープレート検出部142は、観測された画像I(x,y)(図5C,図6)の中からナンバープレートを検出する画像処理を行う。画像処理を用いたナンバープレートの検出は、例えば駐車場管理システムや道路における通行車両の管理システムとして実用化されており、様々な検出方法が提案されている。ナンバープレート検出部142においては、そのいずれの方法を用いてもよい。
例えば、日本国内で使用されているナンバープレートは、4桁以内の数字からなる一連指定番号と呼ばれる1桁から4桁のアラビア数字を含むため、テンプレートマッチング等の手法によって、少なくともこの一連指定番号の認識を行うことにより、ナンバープレートであることを認識することができる。
もちろん、より多くの特徴(ナンバープレートの色,分類番号,一連指定番号の左隣の1文字のひらがな)を認識しても構わない。
なお、図5Aに示すように、駐車車両102が車両100と直交しているときは、図5Cに示すようにナンバープレート210が最も確実に観測される。そして、駐車車両102が車両100に対して斜めに駐車しているときほど、ナンバープレート210は斜め方向から画像化されるため、認識しにくくなる。
すなわち、駐車車両102が車両100に対して斜めに駐車しているときほど、前述したテンプレートマッチングによって得られるマッチング度合が低くなる。すなわち、このマッチング度合に応じて、駐車車両102と車両100が直交している状態が最大となるようなスコアを付けることによって、車両100と駐車車両102の直交性を表現してもよい。
(駐車車両姿勢推定部におけるタイヤ検出機能の説明)
次に、図5A,図5B,図6を用いて、駐車車両の駐車姿勢を表す別の駐車姿勢特徴である、タイヤ検出機能について説明する。このタイヤ検出機能は、タイヤ検出部144(図3)が有している。
車両100から、周囲に駐車している他車両を観測したときに、他車両のタイヤの見え方は、他車両の駐車姿勢を特定するための重要な特徴となる。すなわち、図5Bに示すように、左側方カメラ20cで観測された画像の中には、図6に示すようにタイヤ220が円形状に写る。したがって、駐車車両106は車両100と平行な方向を向いて駐車している可能性が高いことがわかる。
一方、図5Aに示す状態で、左側方カメラ20cで観測された画像の中には、図5Cに示すようにタイヤ222は略矩形状に観測されて、円形状のタイヤは観測されない。したがって、タイヤ検出処理のみでは、車両100の左側方の障害物が車両であるか否かの判定を行うことはできない。
なお、円形領域が観測されただけで、それを駐車車両であると判断することはできないため、前述したソナー30a〜30f(図2)で検出された障害物構成点(点列)の情報と合わせて判断を行う必要がある。
すなわち、図5Bの場面では、左側方カメラ20cによって図6に示す画像I(x,y)が観測されるとともに、ソナー30a〜30f(図2)によって車両100の左側方に障害物構成点(点列)があることが検出される。そして、タイヤ検出部144(図3)によって、画像I(x,y)の中に円形のタイヤ220が写っていることが認識される。これによって、車両100の左側方に、車両100の向きと平行な方向を向いた駐車車両106が存在しているものと認識することができる。
一方、図5Aの場面では、左側方カメラ20cによって図5Cに示す画像I(x,y)が観測されるとともに、ソナー30a〜30f(図2)によって車両100の左側方に障害物構成点(点列)があることが検出される。そして、画像I(x,y)の中に円形のタイヤが観測されないため、車両100の左側方に障害物があることは認識されるが、この障害物が車両であることまでは認識できない。
タイヤ検出部144は、観測された画像I(x,y)(図5C,図6)の中から円形のタイヤ220を検出する画像処理を行う。画像処理を用いた円形領域の検出は、例えばテンプレートマッチングやハフ変換等の画像処理手法を用いて行うことができる。これらの画像処理手法は広く公知であるため、詳細な説明は省略する。
なお、図5Bに示すように、駐車車両106が車両100と平行な位置関係にあるときは、図6に示すように、観測されるタイヤ220の円形度が最も高くなる。
すなわち、タイヤとして検出された領域の周囲長Lとその領域の面積Sから、4πS/L2の値を算出する。このとき、算出された値が1に近いほど、タイヤとして検出された領域が円に近い、すなわち円形度が高いと判断される。
一方、駐車車両106が車両100に対して斜めに駐車しているときほど、タイヤ220は楕円形状に観測されるため、タイヤとして検出された領域の円形度が低くなる。
そのため、検出されたタイヤの円形度に応じて、駐車車両106と車両100が平行な状態にあるときに最大となるようなスコアを付けることによって、車両100と駐車車両106の平行性を表現してもよい。
ここで、図6において、タイヤ220とともにホイール224も円形状に観測されるため、タイヤ検出部144(図3)はタイヤの代わりにホイールを検出するようにしてもよい。また、駐車車両106の前輪は、駐車した際の操舵状態によっては車両に対して斜め方向を向くため、楕円形状に観測される。そのため、タイヤ検出部144は、タイヤの見え方と車両の向きが一致する、後輪を検出するのが望ましい。前輪が写るか後輪が写るかの判断は、例えば、図6に示した駐車車両106の車影を、車両のサイドビュー形状を模したテンプレートとマッチングすることによって行うことができる。
(駐車形態推定部における車止め検出機能の説明)
次に、図7A,図7Bを用いて、駐車形態推定部150が有する車止め検出機能について説明する。
図7Bに示すように、車両100の左側方カメラ20cで観測された画像I(x,y)の中に、車両100の進行方向に沿って整列した車止め230が写っているときは、左側方カメラ20cの撮像範囲21cの中に、車止め230に向かって駐車する駐車スペースがあって、その駐車スペースは、車止め230の整列方向に基づいて、車両100が並列駐車可能なスペースであると推定することができる。
車止め230の検出は、画像I(x,y)の中から直方体形状の物体を検出する画像処理、例えばテンプレートマッチングを用いて行うことができる。そして、検出された直方体の整列方向を判断する。このとき、直方体が複数検出されたときほど、高い確信度で駐車スペースが検出されたと判断してもよい。
(駐車経路推定部における駐車経路推定機能の説明)
次に、図8A,図8B,図8Cを用いて、駐車経路推定部170が有する駐車経路推定機能について説明する。
図8Aに示すように、車両100は紙面右方向に前進しながら、ソナー30b,30c,30e,30f(図1)によって、車両100の左側方部および右側方部の障害物構成点250a,250b,250c(点列)を検出する。なお、車両100の左側には、駐車車両106,108が間隔をおいて駐車しており、車両100の右側には、障害物240が存在しているものとする。
このようにして検出された障害物構成点250a,250b,250c(点列)は、前述した駐車方向推定部160(図3)において、図8B,図8Cに示す障害物マップ300に統合される。このとき、検出された障害物構成点250a,250b,250cは、個々の障害物にグルーピングされた後、線分が当てはめられて、各障害物の辺縁を特定可能な情報とされる。これによって、図8B,図8Cに示すように、各障害物の辺縁を示す障害物辺縁データ252a,252b,252cが得られる。
駐車経路推定部170は。このようにして形成された障害物マップ300上において、車両100の周囲の路面領域254を検出して、さらに、車両100を駐車スペースに駐車させるための移動経路を推定する。
具体的には、図8Bにおいて、車両100の現在位置を障害物マップ300上にプロットして、車両100と障害物構成点250a,250b,250c(点列)の間の領域は路面領域254をなすものと判断する。そして、車両100を駐車スペースまで移動させたときの、車両100の左前端100aの移動軌跡242a(移動経路)と、右前端100bの移動軌跡242b(移動経路)をそれぞれ計算する。なお、車両100の左前端100aと右前端100bの位置は、予めわかっている車両100のサイズに基づいて算出することができる。
図8B,図8Cにおいて、駐車スペースへの駐車形態は未知であるため、図8Bに示すように並列駐車した場合の移動軌跡242a,242b(移動経路)と、図8Cに示すように縦列駐車した場合の移動軌跡244a,244b(移動経路)をそれぞれ算出する。車両100の移動軌跡(移動経路)は、車両100のサイズと操舵可能な角度範囲、および車両100の周囲の障害物マップ300と路面領域254がわかれば計算によって算出することができる。
図8Bの例では、車両100の右前端100bが、障害物辺縁データ252cに接触してしまうため、並列駐車できないことがわかる。
一方、図8Cの例では、障害物辺縁データ252a,252b,252cに接触することなく縦列駐車が可能であることがわかる。
駐車経路推定部170は、このような一連の評価を行って、車両100は縦列駐車が可能であると推定する。
(駐車枠線検出部における駐車枠線検出機能の説明)
次に、図9A,図9Bを用いて、駐車枠線検出部130(図3)が有する駐車枠線検出機能について説明する。
駐車枠線検出部130は、図9Aに示すように、車両100の周囲から駐車スペース116を構成する駐車枠線260の検出を行う。このとき、駐車枠線検出部130は、左側方カメラ20cで観測された画像I(x,y)(図9B)を左から右に向かってスキャンしながら、濃淡値が大きく変化する画素を検出する。
具体的には、暗い濃淡値が明るく変化する+エッジ点と、明るい濃淡値が暗く変化する−エッジ点を探し、所定の間隔以内の接近した+エッジ点と−エッジ点の中点を駐車枠線候補点として検出する。
図9Bの例では、縦方向位置y=y1において、駐車枠線候補点E1,E2,E3が検出される。また、縦方向位置y=y2において、駐車枠線候補点E4,E5,E6が検出される。同様の検出をより多くの縦方向位置yに対して行う。
次に、駐車枠線検出部130は、検出された駐車枠線候補点E1〜E6を構成要素とする、画像I(x,y)の縦方向(y方向)に沿う複数の線分を探索する。図9Bの例では、3本の駐車枠線261,262,263が発見される。
なお、駐車スペース116の中に駐車枠線260が引かれていない場合は、駐車枠線検出部130は駐車枠線を検出することができないため、駐車枠線を未検出の状態で処理を終了する。
(駐車形態判定部における駐車形態判定機能の説明)
次に、駐車形態判定部180が有する駐車形態判定機能について説明する。駐車形態判定部180は、前述した駐車方向推定部160,駐車車両姿勢推定部140,駐車形態推定部150,駐車経路推定部170、および駐車枠線検出部130の各々の処理結果に基づいて、車両100を駐車スペースに駐車させる際の適切な駐車形態を判定する。
具体的には、駐車枠線検出部130の検出結果に基づいて、適切な駐車形態を決定する。
そして、駐車枠線が引かれていないときは、駐車枠線検出部130以外の前述した各部位で行った処理結果に応じて、並列駐車を行うのが適切であることを示す並列駐車スコアSpと、縦列駐車を行うのが適切であることを示す縦列駐車スコアSsをそれぞれ算出する。
前述した全ての処理が終了したときに、並列駐車スコアSpが第1所定値Sth1を超えていたときには並列駐車を行うのが適当であると判定する。一方、縦列駐車スコアSsが第2所定値Sth2を超えていたときには縦列駐車を行うのが適当であると判定する。そして、並列駐車スコアSpが第1所定値Sth1を超えず、なおかつ縦列駐車スコアSsが第2所定値Sth2を超えていないときは、駐車不可と判定する。詳しくは、後述する処理の流れで説明する。
(目標駐車位置決定部における目標駐車位置決定機能の説明)
次に、目標駐車位置決定部190が有する目標駐車位置決定機能について説明する。目標駐車位置決定部190は、駐車形態判定部180において判定された駐車形態と、距離計測部120で計測された車両100の周囲の物体までの距離情報に基づいて作成された障害物マップ300を用いて車両100の目標駐車位置を決定する。
具体的には、図8B,図8Cに示した障害物マップ300の上で、駐車形態判定部180で推定された適切な駐車形態を採った際の目標駐車位置を算出する。
(自動駐車実行部における自動駐車実行機能の説明)
最後に、自動駐車実行部200が有する自動駐車実行機能について説明する。自動駐車実行部200は、目標駐車位置決定部190で決定した目標駐車位置と駐車経路推定部170で推定した移動経路に基づいて、車両100の車速,操舵角,ブレーキを制御することによって、並列駐車または縦列駐車により車両100の自動駐車を実行する。
具体的には、車両100の車速,操舵角,ブレーキを制御して、駐車経路推定部170で推定した移動経路に沿って車両100を移動させる。その際、撮像部112と距離計測部120によって、車両100の周囲を逐次観測し、その都度、必要に応じて移動経路を修正する。そして、目標駐車位置決定部190で決定した目標駐車位置に到達したことを確認して、自動駐車が完了したものと判断する。
(一連の処理の流れの説明)
次に、車両用駐車支援装置10で行われる一連の処理の流れについて、図10のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS10)駐車枠線検出部130において駐車枠線検出処理を行う。
(ステップS12)駐車枠線があるか否かを判定する。駐車枠線があったときはステップS14に進み、それ以外のときはステップS16に進む。
(ステップS14)目標駐車位置決定部190において目標駐車位置決定処理を行う。
(ステップS16)駐車形態判定部180において駐車形態判定処理を行う。
(ステップS18)自動駐車実行部200において自動駐車を実行する。
(駐車形態判定処理の流れの説明)
次に、駐車形態判定部180で行われる駐車形態判定処理の流れについて、図11A,図11Bのフローチャートを用いて説明する。
(ステップS30)ナンバープレート検出部142においてナンバープレート検出処理を行う。
(ステップS32)ナンバープレート検出部142によってナンバープレートが検出されたか否かを判定する。ナンバープレートが検出されたときはステップS36に進み、それ以外のときはステップS34に進む。
(ステップS34)車止め検出部152において車止め検出処理を行う。
(ステップS36)並列駐車スコアSpを所定値だけ加算する。このとき、例えば、ナンバープレートがはっきり見えたとき(数字の認識度合が高いとき)は加算するスコアを所定値よりも大きくして、ナンバープレートがはっきり見えないとき(数字の認識度合が低いとき)は加算するスコアを所定値よりも小さくしてもよい。
(ステップS38)縦列駐車スコアSsを所定値だけ減算する。なお、ステップS36において並列駐車スコアSpを所定値よりも大きく加算したときは縦列駐車スコアSsを所定値よりも大きく減算して、並列駐車スコアSpを所定値よりも小さく加算したときは縦列駐車スコアSsを所定値よりも小さく減算してもよい。
(ステップS40)車止め検出処理によって車止めが検出されたか否かを判定する。車止めが検出されたときはステップS44に進み、それ以外のときはステップS42に進む。
(ステップS42)駐車方向推定部160において、車両100の周囲の障害物マップ300を作成して駐車車両の位置と方向を推定する。
(ステップS44)並列駐車スコアSpを所定値だけ加算する。このとき、車止めがはっきり見えたとき(車止めの認識度合が高いとき)は加算するスコアを所定値よりも大きくして、車止めがはっきり見えないとき(車止めの認識度合が低いとき)は加算するスコアを所定値よりも小さくしてもよい。
(ステップS46)縦列駐車スコアSsを所定値だけ減算する。なお、ステップS44において並列駐車スコアSpを所定値よりも大きく加算したときは縦列駐車スコアSsを所定値よりも大きく減算して、並列駐車スコアSpを所定値よりも小さく加算したときは縦列駐車スコアSsを所定値よりも小さく減算してもよい。
(ステップS48)生成した障害物マップ300に基づいて、駐車車両の駐車方向が自車(車両100)の進路に直交しているか否かを判定する。駐車車両が車両100に直交する向きに駐車しているときはステップS52に進み、それ以外のときはステップS50に進む。
(ステップS50)タイヤ検出部144においてタイヤ検出処理を行う。
(ステップS52)並列駐車スコアSpを所定値だけ加算する。
(ステップS54)縦列駐車スコアSsを所定値だけ減算する。
(ステップS56)タイヤ検出部144において円形のタイヤが検出されたか否かを判定する。タイヤが検出されたときはステップS60に進み、それ以外のときはステップS58に進む。
(ステップS58)駐車経路推定部170において駐車経路推定処理を行う。
(ステップS60)並列駐車スコアSpを所定値だけ減算する。このとき、例えば、タイヤの円形度が高いときは減算するスコアを所定値よりも大きくして、タイヤの円形度が低いときは減算するスコアを所定値よりも小さくしてもよい。
(ステップS62)縦列駐車スコアSsを所定値だけ加算する。なお、ステップS60において並列駐車スコアSpを所定値よりも大きく減算したときは縦列駐車スコアSsを所定値よりも大きく加算して、並列駐車スコアSpを所定値よりも小さく減算したときは縦列駐車スコアSsを所定値よりも小さく加算してもよい。
(ステップS64)駐車経路推定処理の結果、並列駐車が可能であるか否かを判定する。並列駐車が可能であると推定されたときはステップS66に進み、それ以外のときはステップS68に進む。
(ステップS66)並列駐車スコアSpを所定値だけ加算する。
(ステップS67)縦列駐車スコアSsを所定値だけ減算する。
(ステップS68)駐車経路推定処理の結果、縦列駐車が可能であるか否かを判定する。縦列駐車が可能であると推定されたときはステップS69に進み、それ以外のときはステップS72に進む。
(ステップS69)並列駐車スコアSpを所定値だけ減算する。
(ステップS70)縦列駐車スコアSsを所定値だけ加算する。
(ステップS72)並列駐車スコアSpが第1所定値Sth1以上であるか否かを判定する。並列駐車スコアSpが第1所定値Sth1以上であるときはステップS74に進み、それ以外のときはステップS76に進む。
(ステップS74)車両100は並列駐車を行うことが可能と判断してメインルーチン(図10)に戻る。
(ステップS76)縦列駐車スコアSsが第2所定値Sth2以上であるか否かを判定する。縦列駐車スコアSsが第2所定値Sth2以上であるときはステップS78に進み、それ以外のときはステップS80に進む。
(ステップS78)車両100は縦列駐車を行うことが可能と判断してメインルーチン(図10)に戻る。
(ステップS80)車両100は駐車することができないと判断してメインルーチン(図10)に戻る。
以上説明したように、このように構成された実施例1の車両用駐車支援装置10によれば、距離計測部120の計測結果に基づいて、駐車方向推定部160が、車両100の周囲にある駐車車両の位置と駐車方向を推定して、駐車車両姿勢推定部140が、撮像部112で撮像された画像の中から、駐車車両の駐車姿勢を表す駐車姿勢特徴であるナンバープレートとタイヤを検出して、検出された駐車姿勢特徴に基づいて、駐車車両の駐車形態を推定する。さらに、駐車形態推定部150が、撮像部112で撮像された画像の中から、駐車スペースの形状を示す駐車スペース特徴である車止めを検出し、検出された駐車スペース特徴に基づいて、駐車スペースにおける駐車形態を推定し、駐車経路推定部170が、車両100の周囲の路面領域254を検出して、車両100を駐車スペースに駐車させる際の移動経路を推定する。そして、駐車形態判定部180が、駐車方向推定部160,駐車車両姿勢推定部140,駐車形態推定部150、および駐車経路推定部170の検出結果に基づいて、車両100を駐車スペースに駐車させる際の駐車形態を判定するため、車両100の近傍にある駐車車両間の距離のみならず、駐車車両の位置と駐車方向,駐車姿勢,駐車スペースの形状,駐車時に採ることができる経路を考慮して車両100が駐車する際に採るべき駐車形態を判定することができる。したがって、例えば、駐車車両間の距離のみに基づいて駐車形態を判定することによる誤判定を防止することができるとともに、自車両を自動駐車させる際に採るべき駐車形態を、確実かつ容易に判定することができる。また、駐車枠線が引かれていない駐車スペースであっても、車両100を駐車スペースに確実に自動駐車させることができる。
また、実施例1の車両用駐車支援装置10によれば、駐車形態判定部180は、車両100を駐車させる際の駐車形態として、少なくとも並列駐車と縦列駐車を判定するため、一般的な駐車スペースに対して汎用的に利用することができる。
そして、実施例1の車両用駐車支援装置10によれば、駐車方向推定部160は、距離計測部120によって計測された物体の位置を表す点列である、例えば、障害物構成点102a〜102h,104a〜104g(点列)を、直交する2方向に沿って延びる点列にグルーピングして、グルーピングされた結果に基づいて、車両100の周囲にある駐車車両の位置と駐車方向を推定するため、簡単な処理で確実に駐車車両の位置と駐車方向を推定することができる。
さらに、実施例1の車両用駐車支援装置10によれば、駐車車両姿勢推定部140は、画像に写った車両100の、少なくともタイヤまたはナンバープレートの見え方を駐車姿勢特徴として利用するため、車両の種類や形態によらずに、同じ普遍的な特徴量を用いて車両の姿勢を推定することができる。
また、実施例1の車両用駐車支援装置10によれば、駐車形態推定部150は、少なくとも車止めの見え方を駐車スペース特徴として利用するため、駐車スペースの形態によらずに、同じ普遍的な特徴量を用いて駐車スペースにおける駐車形態を推定することができる。
そして、実施例1の車両用駐車支援装置10によれば、駐車経路推定部170は、距離計測部120の計測結果に基づいて、車両100の周囲の路面領域254を検出して、路面領域254の検出結果と、車両100が移動した際に描く移動軌跡と、に基づいて、車両100を駐車スペースまで移動させるための移動軌跡である、例えば、車両100の4隅の移動軌跡242a,242b,244a,244b(移動経路)を推定するため、車両100の移動経路を簡便に推定することができる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
例えば、実施例1にあっては、駐車姿勢特徴としてタイヤとナンバープレートの見え方を利用したが、利用可能な駐車姿勢特徴は、これらに限定されるものではない。すなわち、駐車姿勢特徴として別の特徴、例えばヘッドライトの見え方、テールライトの見え方、フロントウインドウの見え方、サイドガラスの見え方等を利用しても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、実施例1にあっては、駐車スペース特徴として車止めの見え方を利用したが、利用可能な駐車スペース特徴は、これに限定されるものではない。すなわち、駐車スペース特徴として駐車スペース番号を表す路面のペイント等を利用しても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
なお、図11A,図11Bに示した駐車形態判定処理の流れは、必ずしも図11A,図11Bに記載した順番で行う必要はない。すなわち、ナンバープレート検出処理(ステップS30),車止め検出処理(ステップS34),駐車車両の位置と方向推定処理(ステップS42),タイヤ検出処理(ステップS50),駐車経路推定処理(ステップS58)は、適宜順序を入れ替えて実行しても構わない。