以下、本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、車両(例えば二輪自動車)における燃料タンク内の燃料を内燃機関いわゆるエンジンに供給する燃料供給装置を例示する。図1は燃料供給装置を示す斜視図、図2は同じく一部破断して示す側面図である。なお、燃料供給装置に係る方位を各図に矢印で示すとおりに定める。この場合、上下方向は、車両の燃料タンクの重力方向いわゆる天地方向に対応する。
燃料供給装置の概要を説明する。図2に示すように、燃料供給装置10は、燃料タンク12に設置されている。燃料タンク12は、例えば金属製の中空状の容器で、底壁部12aを有している。底壁部12aには、円形孔からなる開口部13が形成されている。燃料タンク12には、エンジン用の燃料、例えばガソリン等の液体燃料が貯留される。
燃料供給装置10は、燃料タンク12の底部に装着される底付けタイプのものである。燃料供給装置10は、セットプレート14、燃料ポンプ16、ポンプケーシング18、燃料フィルタ20、プレッシャーレギュレータ22、及び、センダゲージ24(図1参照)等がモジュール化されている。図3はセットプレートの上面側を示す斜視図、図4はセットプレートの下面側を一部破断して示す斜視図である。
図2に示すように、セットプレート14は、樹脂製で、円形板状のプレート本体部26を備えている。プレート本体部26は、燃料タンク12の開口部13の口径よりも大きい外径を有している。プレート本体部26の上面には、開口部13に嵌合可能な略円筒状の嵌合部26aが突出されている。セットプレート14は、燃料タンク12の底壁部12aに対して嵌合部26aを開口部13に嵌合しかつプレート本体部26で開口部13を閉鎖するように装着されている。セットプレート14は、例えば、ポリアセタール樹脂(以下、「POM樹脂」という)によって形成されている。なお、セットプレート14は本明細書でいう「蓋部材」に相当する。また、プレート本体部26は、本明細書でいう「蓋状部」に相当する。
プレート本体部26には、燃料吐出ポート27、燃料通路形成部28、及び、給電部30等が設けられている。燃料吐出ポート27は、プレート本体部26の下面にL字管状に形成されている。燃料吐出ポート27には、エンジンのインジェクタにつながる燃料供給配管(不図示)を接続可能に形成されている。燃料通路形成部28は、プレート本体部26の嵌合部26aの上面から上方に向けて立ち上がる中空管状に形成されている。燃料通路形成部28内の管路は、燃料吐出ポート27内の管路と連通されている。燃料通路形成部28内の管路と燃料吐出ポート27内の管路とによって、一連の燃料通路(符号、29を付す)が形成されている。燃料通路形成部28の後側壁には、前後方向に開口するポンプ接続口32、及び、ポンプ接続口32を取り囲む円筒状の連結筒部33が同軸状に形成されている。
燃料ポンプ16は、インタンク式の電動ポンプである。燃料ポンプ16は、円筒状のポンプハウジング35内に電動式のモータ部とインペラ式のポンプ部とが軸方向に並ぶ状態で一体的に組込まれている。モータ部は、ブラシレスモータで構成されている。ポンプ部は、モータ部により駆動されるウエスコ型ポンプで構成されている。燃料ポンプ16は、モータ部側を前方(図2において左方)に向ける一方、ポンプ部側を後方(図2において右方)に向ける横置き状態で配置されている。ポンプハウジング35のポンプ部側の端面(図2において右端面)には、燃料吸入口36が突出されている。ポンプハウジング35のモータ部側の端面(図2において左端面)には、燃料吐出口37が突出されている。燃料ポンプ16のモータ部側が燃料通路形成部28の連結筒部33に嵌合され、燃料吐出口37がポンプ接続口32に嵌合されている。なお、図示しないが、燃料ポンプ16は、モータ部に電力を供給するための駆動電流が流れる3本の端子を有している。3本の端子は、それぞれハーネスを介して給電部30のポンプ用ターミナルに接続されている。また、給電部30については後で説明する。
ポンプケーシング18は、樹脂製で、有底円筒状に形成されている。ポンプケーシング18は、燃料ポンプ16のポンプ部側に被せた状態で、燃料通路形成部28の連結筒部33に対してスナップフィットによって連結されている。燃料ポンプ16は、燃料通路形成部28とポンプケーシング18との間に収容された状態で保持されている。ポンプケーシング18の底部(後側の端壁部)には、フィルタ接続管部38が形成されている。フィルタ接続管部38は、燃料ポンプ16の燃料吸入口36に嵌合されている。ポンプケーシング18は、例えば、POM樹脂によって形成されている。
燃料フィルタ20は、燃料ポンプ16に吸入される燃料を濾過するもので、フィルタ部材41と取付部材42とを備えている。フィルタ部材41は、燃料を通過させるが、燃料中の異物を除去する機能を有する不織布等のシート状の濾過材によって扁平な袋状に形成されている。フィルタ部材41は、扁平方向(厚さ方向)を左右方向(図2において紙面表裏方向)に向けた状態で配置されている。なお、図示しないが、フィルタ部材41には、フィルタ部材41を膨大状態(膨らんだ状態)に保持するための樹脂製の内骨部材が内蔵されている。また、取付部材42は、樹脂製で、L字管状に形成されている。取付部材42の一端部は、フィルタ部材41の一側面(右側面)の中央部に接続されているとともに、内骨部材と一体的に結合されている。取付部材42の他端部は、ポンプケーシング18のフィルタ接続管部38に対して嵌合されかつスナップフィットによって連結されている。
プレッシャーレギュレータ22は、セットプレート14の燃料通路形成部28の上端部内に嵌合されている。また、燃料通路形成部28の上端部には、抜け止め部材43がスナップフィットによって装着されている。プレッシャーレギュレータ22は、抜け止め部材43によって抜け止めされている。プレッシャーレギュレータ22は、燃料通路29の燃料の圧力を調整しかつ余剰燃料を余剰燃料吐出口(不図示)から外部すなわち燃料タンク12内へ吐出すなわち排出する。
図1に示すように、センダゲージ24は、燃料計センサで、ポンプケーシング18の一側(右側)に装着されたゲージ本体45と、ゲージ本体45に回動可能に支持されたアーム46と、アーム46の自由端に取付けられたフロート47とにより構成されている。ゲージ本体45は、燃料タンク12内の燃料残量に応じて上下するフロート47の位置を燃料残量信号として出力する。なお、図示しないが、ゲージ本体45は、燃料残量信号を送信するための2本の端子を有している。2本の端子は、それぞれハーネスを介して給電部30のセンサ用ターミナルに接続されている。また、給電部30については後で説明する。
燃料供給装置10の作動について説明する。外部電源により燃料ポンプ16が駆動される。これにより、燃料タンク12内の燃料が、燃料フィルタ20により濾過されてクリーンな燃料とされた後、ポンプケーシング18のフィルタ接続管部38を介して、燃料ポンプ16の燃料吸入口36からポンプ部に吸入される。燃料は、燃料ポンプ16のポンプ部で加圧された後、燃料吐出口37からセットプレート14の燃料通路29内へ吐出される。燃料通路29内に吐出された燃料は、燃料供給配管(不図示)を介してエンジンに供給される。燃料通路29内の燃料の圧力すなわちエンジンに供給される燃料の圧力は、プレッシャーレギュレータ22により所定の圧力に調整される。また、燃料タンク12内の燃料残量は、センダゲージ24によって検出される。
次に、セットプレート14の給電部30について説明する。給電部30については、燃料供給装置10におけるセットプレート14の上下を反転した状態を基に説明を行う。なお、各図には給電部30に係る方位が矢印で示されている。図5はセットプレートの給電部を示す平面図、図6はセットプレートの給電部を示す断面図、図7は給電部にモールドされるターミナル、及び、給電部に搭載される駆動回路を分解して示す斜視図である。
図5に示すように、給電部30は、セットプレート14に対して、前側、中央及び後側の3本のポンプ用ターミナル50A,50B,50C、前側及び後側の2本の電源用ターミナル52A,52B、及び、前側及び後側の2本のセンサ用ターミナル54A,54Bがインサート成形よりモールドされることによって構成されている。図6に示すように、給電部30に形成される樹脂部は、セットプレート14のプレート本体部26に一体に形成された回路収容部56と、回路収容部56の一側(例えば左側)に並ぶようにして一体に形成されたコネクタ部58とを備えている。回路収容部56は、プレート本体部26とは反対側の面すなわち上面を開口する浅底状の長四角形箱状に形成されている。なお、給電部30に形成される回路収容部56及びコネクタ部58を含む樹脂部については後で説明する。
図7に示すように、駆動回路60は、電子回路を内蔵する回路本体部61を備えている。回路本体部61は、電子回路部分を樹脂材料でモールドすることにより四角形板状に成形されている。回路本体部61の一方の側面(左側面)からは前側、中央及び後側の3個の入力端子62A,62B,62Cが突出され、他方の側面(右側面)からは前側、中央及び後側の3個の出力端子63A,63B,63Cが突出されている。駆動回路60は、燃料ポンプ16(図2参照)のモータ部(ブラシレスモータ)を駆動するための駆動電流を制御する回路部品である。
3本のポンプ用ターミナル50A,50B,50Cは、駆動回路60から燃料ポンプ16(図2参照)に駆動電流を供給するためのターミナルである。各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cは、導電性を有する金属製、例えば真鍮等の銅系合金製の帯板状材により形成されている。各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cは、長手方向を上下方向に向けかつ板厚方向を左右方向に向けた状態で前後方向に並べて配置される。各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cの下部には、ハーネス用接続部65a,65b,65cが形成されている。ハーネス用接続部65aは、板厚方向が前後方向を向くように左側後方へ90°捻られている。ハーネス用接続部65bの板厚方向は、左右方向に向けられている。ハーネス用接続部65cは、板厚方向が前後方向を向くように左側前方へ90°捻られている。各ハーネス用接続部65a,65b,65cの板厚方向に交差する短手方向の幅は拡幅されている。
各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cの上端部には、左方へ90°折り曲げられることによって回路用接続部66a,66b,66cが形成されている。各回路用接続部66a,66b,66cの先端部(左端部)の前後方向の幅は、例えば一方(前方)に拡幅されている。各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cにおける各回路用接続部66a,66b,66cの基端部を含む逆L字状の折り曲げ部分は、各屈曲部68a,68b,68cとして形成されている。各屈曲部68a,68b,68cは、主として左右方向に撓み変形可能に形成されている。各屈曲部68a,68b,68cの縦片部には、前後方向の幅を拡幅する各型当接部69a,69b,69cが形成されている。前側の型当接部69aは、例えば一方(前方)に拡幅されている。中央の型当接部69bは、例えば前後両方向に拡幅されている。後側の型当接部69cは、例えば一方(後方)に拡幅されている。
各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cにおいて、各型当接部69a,69b,69cと各ハーネス用接続部65a,65b,65cとの間の板厚方向が左右方向に向いている部分には、各幅狭部70a,70b,70cが形成されている。各幅狭部70a,70b,70cの前後方向の幅(板厚方向に交差する短手方向の幅)は、各型当接部69a,69b,69cの前後方向の幅に対して狭くなるように形成されている。各幅狭部70a,70b,70cは、所定の断面積以下、好ましくは0.75mm2以下で形成されている。ここで、断面積とは、板厚方向に交差する短手方向の断面積である。本実施形態では、各幅狭部70a,70b,70cは、板厚0.5mm、幅1.5mmに設定されている。また、本実施形態では、各回路用接続部66a,66b,66cの先端部(拡幅部)と各型当接部69a,69b,69cとの間の部分についても、各幅狭部70a,70b,70cと同一の断面積で形成されている。また、各幅狭部70a,70b,70cの断面積の最小値は、燃料ポンプ16(図2参照)の駆動電流によって決められる。なお、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cは本明細書でいう「ポンプ用導電部材」、「駆動回路の端子と接続される導電部材」に相当する。
2本の電源用ターミナル52A,52Bは、駆動回路60に電力を供給するためのターミナルである。各電源用ターミナル52A,52Bは、導電性を有する金属製、例えば真鍮等の銅系合金製の帯板状材により形成されている。各電源用ターミナル52A,52Bは、長手方向を左右方向に向けかつ板厚方向を上下方向に向けた状態で前後方向に並べて配置される。各電源用ターミナル52A,52Bの左部には、外部ターミナル用接続部72a,72bが形成されている。各電源用ターミナル52A,52Bの右部には、回路用接続部73a,73bが形成されている。各回路用接続部73a,73bの先端部(右端部)の前後方向の幅は、例えば一方(後方)に拡幅されている。各回路用接続部73a,73bの基端部には、逆U字状に折り曲げることによって各屈曲部75a,75bが形成されている。各屈曲部75a,75bは、主として左右方向に撓み変形可能に形成されている。なお、各電源用ターミナル52A,52Bは本明細書でいう「駆動回路の端子と接続される導電部材」に相当する。
2本のセンサ用ターミナル54A,54Bは、センダゲージ24(図1参照)の検出信号を送信するためのターミナルである。各センサ用ターミナル54A,54Bは、導電性を有する金属製、例えば真鍮等の銅系各合金製の帯板状材により形成されている。各センサ用ターミナル54A,54Bは、長手方向を上下方向に向けかつ板厚方向を左右方向に向けた状態で前後方向に並べて配置される。各センサ用ターミナル54A,54Bの下部には、各ハーネス用接続部77a,77bが形成されている。各ハーネス用接続部77a,77bの板厚方向に交差する短手方向(前後方向)の幅は拡幅されている。各センサ用ターミナル54A,54Bの上部と各ハーネス用接続部77a,77bとの間の部分は、各ハーネス用接続部77a,77bが前方にずらして配置されるように段違い状に形成されている。各センサ用ターミナル54A,54Bの上端部には、左方へ折り曲げられることによって各外部ターミナル用接続部78a,78bが形成されている。なお、各センサ用ターミナル54A,54Bは本明細書でいう「センサ用導電部材」に相当する。
給電部30に形成される樹脂部について説明する。図8は駆動回路の搭載前の回路収容部を示す平面図、図9は同じく断面図、図10は駆動回路が搭載された回路収容部を示す平面図、図11は同じく平面図である。図8に示すように、回路収容部56は、底壁部56a(図9参照)、前壁部56b、後壁部56c、左壁部56d及び右壁部56eを有している。左壁部56dにコネクタ部58が一体に形成されている。コネクタ部58は、左方に開口する横長四角形筒状に形成されている。コネクタ部58は、電源、制御装置(ECU)等につながる外部コネクタ(不図示)を差し込みより接続可能となっている。
図9に示すように、回路収容部56の底壁部56aの中央部には、四角形凹状の嵌合凹部80が形成されている。底壁部56aの上面は、嵌合凹部80によって左右に分断されている。底壁部56aの右側の上面は、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cの回路用接続部66a,66b,66cを載置可能に形成されている(図8参照)。底壁部56aの左側の上面は、各電源用ターミナル52A,52Bの回路用接続部73a,73bを載置可能に形成されている(図8参照)。底壁部56aの左側の上面には、各電源用ターミナル52A,52Bの屈曲部75a,75bにそれぞれ嵌合可能な略山形状の突起部82が形成されている。また、底壁部56aの右側の上面には、成形型(不図示)の位置決め用凸部によって形成された深溝部84が形成されている。深溝部84の右壁面は、右壁部56eの内側面に連続する平面をなしている。
回路収容部56とセットプレート14のプレート本体部26との対向面間には、略柱状の右側の連結部86と略柱状の左側の連結部88とが一体に形成されている。右側の連結部86を第1の連結部86といい、左側の連結部88を第2の連結部88という。第1の連結部86は、回路収容部56の右端部からプレート本体部26側へ延在されかつ前後方向を長くする断面長四角形状に形成されている。第2の連結部88は、回路収容部56の左端部からプレート本体部26側へ延在されかつ前後方向を長くする断面長四角形状に形成されている。両連結部86,88の前後方向の幅は、回路収容部56の前後方向の幅と略同一である。
回路収容部56とプレート本体部26との間において、両連結部86,88の相互間には、前後方向に開口されかつ大気に連通する空間部90が形成されている(図4参照)。回路収容部56、コネクタ部58、第1の連結部86及び第2の連結部88は、樹脂成形により一体形成されている。なお、第1の連結部86及び第2の連結部88は本明細書でいう「連結部」に相当する。
図9に示すように、プレート本体部26及び第1の連結部86には、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50C(図7参照)の中央部、すなわちハーネス用接続部65a,65b,65cの上部、及び、幅狭部70a,70b,70cが埋設されている。プレート本体部26の下面には、ハーネス用接続部65a,65b,65cの上部を埋設する支持部91が一体に形成されている。また、各幅狭部70a,70b,70cは本明細書でいう「連結部に埋設される部分」に相当する。
各回路用接続部66a,66b,66cは、回路収容部56内において回路収容部56の底壁部56aの右側の上面に対して面接触状に載置されている。各型当接部69a,69b,69cは、深溝部84に対応する底壁部56aの壁面(右壁面)に対して面接触状に配置されている。各型当接部69a,69b,69cには、セットプレート14を樹脂成形する際に、成形用金型、詳しくは回路収容部56の内部を成形する金型に設けられた位置決め凸部(不図示)が当接される。また、セットプレート14の成形後には、位置決め凸部による深溝部84が形成されている。各回路用接続部66a,66b,66cの上面、及び、各屈曲部68a,68b,68cの外角側の面は、深溝部84を含む回路収容部56内に露出されており、回路収容部56の樹脂部に対する非埋没面となっている(図8参照)。このため、各屈曲部68a,68b,68cは、回路収容部56の樹脂部で拘束されていない。また、各回路用接続部66a,66b,66cは、前後方向に等間隔で配置されている。
また、回路収容部56の左壁部56dには、各電源用ターミナル52A,52Bの外部ターミナル用接続部72a,72bの基端部が前後に並べて埋設されている。各外部ターミナル用接続部72a,72bは、コネクタ部58内に突出状に配置されている。各回路用接続部73a,73bは、回路収容部56内において底壁部56aの左側の上面に対して面接触状に載置されている。各屈曲部75a,75bは、回路収容部56の突起部82にそれぞれ嵌合されている。各回路用接続部73a,73bの上面、及び、各屈曲部75a,75bの上面は、回路収容部56内に露出されており、回路収容部56の樹脂部に対する非埋没面となっている(図8参照)。このため、屈曲部75a,75bは、回路収容部56の樹脂部で拘束されていない。
また、プレート本体部26及び第2の連結部88には、各センサ用ターミナル54A,54Bの中央部すなわち段違い状の部分、及び、ハーネス用接続部77a,77bの上端部が前後に並べて埋設されている。プレート本体部26の下面には、ハーネス用接続部77a,77bの上部を埋設する支持部92が一体に形成されている。図8に示すように、各外部ターミナル用接続部78a,78bは、その基端部が回路収容部56の左壁部56dに埋設された状態でコネクタ部58内に配置されている。各外部ターミナル用接続部78a,78bは、各電源用ターミナル52A,52Bの外部ターミナル用接続部72a,72bの後方に並べて配置されている。すなわち、4本の外部ターミナル用接続部72a,72b,78a,78bは、前後方向に等間隔で一列に並べて配置されている(図4参照)。なお、各外部ターミナル用接続部78a,78bの折り曲げ端部は、回路収容部56内に露出されている。
図10に示すように、給電部30(図8及び図9参照)の回路収容部56内には、駆動回路60(図7参照)が配置されている。駆動回路60の各入力端子62A,62B,62Cは左方に向けられ、各出力端子63A,63B,63Cは右方に向けられている。駆動回路60の回路本体部61の下半部は、嵌合凹部80に嵌合されている(図11参照)。このとき、回路本体部61と嵌合凹部80との対向面の間には、所定の隙間が形成されている。各入力端子62A,62Bは、各電源用ターミナル52A,52Bの回路用接続部73a,73bの先端部にそれぞれ重ね合わされた状態で、プロジェクション溶接等の溶接により電気的に接続されている。また、各出力端子63A,63B,63Cは、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cの回路用接続部66a,66b,66cの先端部にそれぞれ重ね合わされた状態で、プロジェクション溶接等の溶接により電気的に接続されている。
駆動回路60をプレート本体部26側に投影する方向の投影視(図10参照)において、第1の連結部86及び第2の連結部88は、駆動回路60の回路本体部61に重ならない位置に配置されている。詳しくは、平面視(図10参照)において、空間部90(図11参照)が駆動回路60の回路本体部61の外形の寸法よりも一回り大きく形成されている。言い換えれば、空間部90内に回路本体部61が収まるように、両連結部86,88が構成されている。
図6に示すように、回路収容部56内には、プライマー層94を介して、封止材96が充填されている(図5参照)。封止材96は、駆動回路60を全面的に覆っている。封止材96は、回路本体部61と嵌合凹部80との間の隙間にも流入している。封止材96は、軟質樹脂、例えばウレタン樹脂よりなる。プライマー層94は、例えば、酢酸エチル系塗布剤により形成されており、回路収容部56の内表面に対して全面的に塗布されている。酢酸エチル系塗布剤は、POM樹脂に溶け込む酢駿ブチル等の溶剤に、ポリイソシアネート、カーボンブラック等の無機フィラーが混合されたものである。酢酸エチル系塗布剤は、回路収容部56の樹脂部を形成するPOM樹脂、及び、封止材96であるウレタン樹脂に対する接着性を有する。封止材96は、プライマー層94の乾燥後において、回路収容部56内に充填されて硬化されている。封止材96は、硬化後において適宜の弾性を有している。なお、封止材96は本明細書でいう「保護部材」に相当する。
上記したセットプレート14(図3及び図4参照)は、前に述べたように、燃料ポンプ16、ポンプケーシング18、燃料フィルタ20、プレッシャーレギュレータ22、及び、センダゲージ24等とモジュール化されることによって、燃料供給装置10が構成されている(図1及び図2参照)。また、プレート本体部26の各支持部91から突出された各ハーネス用接続部65a,65b,65c(図3参照)には、燃料ポンプ16(図1参照)のモータ部が有する3本の端子につながるハーネス(不図示)がそれぞれ接続されている。また、プレート本体部26の各支持部92から突出された各ハーネス用接続部77a,77b(図3参照)には、センダゲージ24のゲージ本体45(図1参照)が有する2本の端子につながるハーネス(不図示)がそれぞれ接続されている。
燃料供給装置10が燃料タンク12に装着された状態(図2参照)で、給電部30のコネクタ部58には、外部コネクタ(不図示)が接続される。コネクタ部58の各外部ターミナル用接続部72a,72b,78a,78b(図4参照)には、外部コネクタの各ターミナルがそれぞれ接続される。また、各電源用ターミナル52A,52Bから駆動回路60(図7参照)の各入力端子62A,62Bに入力された電力は、回路本体部61の回路内で制御されて、駆動用電流として各出力端子63A,63B,63Cから各ポンプ用ターミナル50A,50B,50C(図7参照)に出力される。各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cに出力された電力は、ハーネスを介して燃料ポンプ16(図2参照)のモータ部(ブラシレスモータ)に供給される。
前記した燃料供給装置10によると、セットプレート14のプレート本体部26と回路収容部56との間には、両部26,56を連結しかつ両部26,56間に大気に連通する空間部90を形成する第1の連結部86及び第2の連結部88が一体に形成されている。したがって、プレート本体部26と回路収容部56と両連結部86,88とを一体に形成することにより、部品点数及び組付工数の増加を抑制することができる。
また、両連結部86,88を透過する透過燃料が、空間部90から大気に拡散されやすくなると同時に、両連結部86,88において空間部90に面しない側の表面からも大気に拡散されやすくなる。また、両連結部86,88によって、プレート本体部26から回路収容部56に至る透過燃料の透過経路の断面積を減少しつつ透過経路の距離を長く設定することができる。これにより、回路収容部56及び両連結部86,88以外の部位、すなわちプレート本体部26、燃料吐出ポート27等への燃料透過を促進する一方、回路収容部56への燃料透過を抑制することによって、回路収容部56内への透過燃料の侵入を抑制することができる。ひいては、駆動回路60の周囲の燃料濃度が低下されることにより、駆動回路60への影響を抑制することができる。
また、第1の連結部86を利用して各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cを埋設することができる。また、第2の連結部88を利用して各センサ用ターミナル54A,54Bを埋設することができる。
また、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cが埋設された第1の連結部86とは、異なる第2の連結部88に各センサ用ターミナル54A,54Bが埋設されている。このため、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cから各センサ用ターミナル54A,54Bへのスイッチングノイズの影響を抑制することができる。また、第1の連結部86と第2の連結部88とが空間部90を間にして離間されているので、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cから各センサ用ターミナル54A,54Bへのスイッチングノイズの影響を効果的に抑制することができる。
また、駆動回路60をプレート本体部26側に投影する方向の投影視(図10参照)において、両連結部86,88は、駆動回路60の回路本体部61に対して重ならない位置に配置されている。したがって、同投影視において、駆動回路60の回路本体部61に対して両連結部86,88が重なる位置に配置される場合と比べて、プレート本体部26から回路収容部56に至る透過燃料の経路の距離を長く設定することができる。これにより、回路収容部56内への透過燃料の侵入を抑制することができる。
また、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cにおいて第1連結部86に埋設される各幅狭部70a,70b,70cは、所定の断面積以下、好ましくは0.75mm2以下で形成されている。したがって、各幅狭部70a,70b,70cにおいて、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cの回路収容部56側からプレート本体部26への熱の伝導を抑制することができる。
この点について詳述する。一般的に、燃料ポンプ16の駆動回路60は、燃料ポンプ16がロックされる等の異常時に高電流が流れた場合、150℃を超える高い温度になる。すると、駆動回路60の熱が各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cに伝熱し、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cに対するセットプレート14のプレート本体部26の接触部分に変形を生じる場合がある。そこで、ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cの幅狭部70a,70b,70cの断面積を任意に変えて解析したところ、図12に示すような結果が得られた。図12はポンプ用ターミナルの断面積とセットプレートのプレート本体部の温度との関係を示す図である。
図12において、横軸はポンプ用ターミナルの断面積を示し、縦軸はプレート本体部の温度を示し、実験結果が特性線Aで示されている。プレート本体部26に変形を発生する基準の温度(クライテリア)に対して、断面積が0.75mm2以下の設計値であれば、燃料ポンプ16の異常時における駆動回路60からポンプ用ターミナル50A,50B,50Cに伝わる熱によるプレート本体部26の変形を抑制できるとの結論が得られた。なお、実験では160°をクライテリアに設定した。
また、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cには、回路収容部56内に露出されかつ回路収容部56の熱伸縮による変位を弾性的に吸収する各屈曲部68a,68b,68cが形成されている。また、各電源用ターミナル52A,52Bには、回路収容部56内に露出されかつ回路収容部56の熱伸縮による変位を弾性的に吸収する各屈曲部75a,75bが形成されている。したがって、駆動回路60に対する回路収容部56(樹脂部)の熱伸縮による変位を、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cの屈曲部68a,68b,68c、及び、各電源用ターミナル52A,52Bの屈曲部75a,75bの撓み変形によって弾性的に吸収することができる。このため、駆動回路60に加わる応力を抑制することができる。
この点について詳述する。回路収容部56を有するセットプレート14のPOM樹脂の線膨張係数は、駆動回路60の回路本体部61の線膨張係数よりも大きい。このため、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cの回路用接続部66a,66b,66c、及び、各電源用ターミナル52A,52Bの回路用接続部73a,73bの長手方向(左右方向)に関して、高温時には駆動回路60に引っ張り応力が作用し、また、低温時には駆動回路60に圧縮応力が作用する。図13は高温時における電源用ターミナルの屈曲部にかかる作用説明図、図14は低温時における同じく作用説明図である。なお、各ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cの屈曲部68a,68b,68cの作用・効果は同様であるから、中央のポンプ用ターミナル50Bの屈曲部68bについて説明し、重複する説明を省略する。また、各電源用ターミナル52A,52Bの屈曲部75a,75bの作用・効果は同様であるから、後側の電源用ターミナル52Bの屈曲部75bについて説明し、重複する説明を省略する。また、ここでは封止材96の熱伸縮は無視する。
図13に示すように、高温時においては、ポンプ用ターミナル50Bの屈曲部68bの型当接部69bを含む縦片部に対して回路収容部56の底壁部56aの右壁面(深溝部84に対応する壁面)が密着するため、その密着部分を固定点と考える。すると、回路収容部56の底壁部56aの突起部82が常温時の位置よりも左方へ変位する。このとき、電源用ターミナル52Bの屈曲部75bの駆動回路60側(右側)の傾斜部が傾斜角を小さくするように撓み変形し、駆動回路60側の傾斜部と突起部82との間には隙間98が生じる。これによって、駆動回路60に加わる引っ張り応力が低減される。
図14に示すように、低温時において、電源用ターミナル52Bの屈曲部75bの駆動回路60側(右側)の傾斜部に対して回路収容部56の突起部82が密着するため、その密着部分を固定点と考える。すると、回路収容部56の底壁部56aの右壁面(深溝部84に対応する壁面)が常温時の位置よりも左方へ変位する。このとき、ポンプ用ターミナル50Bの屈曲部68bの型当接部69bを含む縦片部が左方へ傾斜するように撓み変形し、屈曲部68bの縦片部と底壁部56aとの間には隙間99が生じる。これによって、駆動回路60に加わる圧縮応力が低減される。
また、セットプレート14により一体に形成された回路収容部56の回路収容部56内には、駆動回路60を埋設する封止材96がプライマー層94を介して充填されている。回路収容部56はPOM樹脂で形成され、封止材は軟質のウレタン樹脂であり、プライマー層94は、POM樹脂及びウレタン樹脂に対する接着性を有する酢酸エチル系塗布剤よりなる。したがって、酢酸エチル系塗布剤よりなるプライマー層94によって、回路収容部56のPOM樹脂と封止材96の軟質のウレタン樹脂との接着性を向上することができる。これにより、回路収容部56と封止材96との間のシール性を向上することができる。
また、プライマー層94に用いた酢酸エチル系塗布剤は、回路収容部56のPOM樹脂に溶け込む酢駿ブチル等の溶剤に、無機物すなわちポリイソシアネート、カーボンブラック等の無機フィラーを混合したものである。このため、無機物を含有するプライマー層94によって、回路収容部56から駆動回路60への燃料の透過を抑制することができる。
[他の実施形態]本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、車両に限らず、船舶、産業機械等の燃料供給装置10にも適用することができる。また、本発明は、燃料タンク12の上面部にセットプレート14を装着する上付けタイプの燃料供給装置10に適用してもよい。また、燃料ポンプ16のモータ部は、ブラシレスモータ以外の電動モータで構成してもよい。また、両連結部86,88は、プレート本体部26と回路収容部56との間に大気に連通する空間部90を形成するように形成されていればよく、その数、断面形状等は適宜変更してもよい。また、両連結部86,88は、駆動回路60をプレート本体部26側に投影する方向の投影視において、駆動回路60に一部が重なる位置に配置してもよい。また、ポンプ用ターミナル50A,50B,50C又はセンサ用ターミナル54A,54Bを埋設しない連結部を形成してもよい。また、幅狭部70a,70b,70cは、ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cのうち、少なくとも両連結部86,88に埋設される部分に形成されていればよく、ポンプ用ターミナル50A,50B,50Cの全長に亘って幅狭部70a,70b,70cを形成してもよい。また、封止材96には、軟質樹脂としてエポキシ樹脂を用いてもよい。また、燃料タンク12内に配置されるセンサは、センダゲージ24の他、燃料タンク12の内圧を検出する内圧センサ、燃料の性状を検出する燃料性状センサ等でもよい。