しかしながら、支持具が大型の支持板材を介さずに壁部に直接的に取り付けられた場合、壁部に対する支持具の固定強度が低下することが懸念される。これに対して、壁部に挿入孔を形成し、全体として棒状に形成した支持具をその挿入孔に挿入することで、壁部に対する支持具の固定強度を高めることが可能になると考えられる。ところが、壁部に挿入孔を形成する場合、この挿入孔の外径が大きいほど、挿入孔が水平方向に対して傾くなど作業精度が低下する可能性が高くなってしまう。この場合、極力細い棒材を支持具として使用して挿入孔の外径を小さくすることで、作業精度の低下を抑制することはできるが、これでは、支持具自体の強度が低下してしまい、棚板からの荷重によって支持具が変形して棚板の自由端側が下がることが懸念される。つまり、棚板の設置状態を適正に保持できないことが懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、壁部に対して棚板を適正に設置することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
第1の発明の棚板支持構造は、建物(建物10)の壁部(間仕切壁13)に取り付けられた棚板支持具(棚板支持具22)により棚板(棚板21)が支持されている棚板支持構造であって、前記棚板支持具は、前記棚板内に挿入されることで該棚板を支持している棚側棒(棚側支持棒27)と、前記壁部内に挿入された壁側棒(壁側支持棒26)と、を有しており、前記棚側棒には、当該棚側棒の一端面から同棚側棒の長手方向に延びた棒凹部(棒凹部27a)が設けられており、前記壁側棒においては、前記壁部から突出した方の端部が前記棒凹部に挿入されていることを特徴とする。
棚側棒が棚板内に挿入された構成では、棚板の自重や棚板に載せられた物品の荷重が棚側棒に集中することが想定される。このため、棚板棒が細いと、棚板における棚板棒に接触する面積が小さいことで棚板が変形しやすいと考えられる。また、壁側棒が壁部内に挿入された構成では、壁側棒を挿入するための孔を壁部にあらかじめ形成しておくことが想定される。この場合、壁部においては、孔の形成位置が作業者にとって作業しやすい位置にあるとは限らず、作業姿勢が安定しないことなどに起因して、形成する孔の径が大きいほど孔を水平に開けることが困難になると考えられる。つまり、孔が大きいほど作業精度が低下すると考えられる。
これに対して、第1の発明によれば、棚板支持具において棚側棒の内部に壁側棒が挿入された状態になっているため、棚側棒を極力太く(外径を大きく)しつつ、壁側棒を極力細く(外径を小さくする)することができる。このため、棚板が棚側棒に接触している部分を中心に変形することを抑制できるとともに、壁側棒を挿入するための孔を壁部に適正に形成することができる。
また、棚側棒が棚板に挿入された構成では、棚板からの荷重に耐えきれずに棚側棒が変形して棚板の自由端側が下がることが懸念される。ここで、棚側棒において最も変形しやすい部分は、棚板内に入り込んだ部分と棚板から突出した部分との境界部であると考えられる。これに対して、本発明によれば、棚側棒において最も変形しやすい部分の内部に壁側棒を配置することで、その部分を壁側棒により補強することが可能になる。このため、棚板からの荷重で棚側棒が変形して棚板の自由端側が下がるということを壁側棒により抑制できる。
以上により、壁部に対して棚板を適正に設置することができる。
第2の発明では、第1の発明において、前記壁側棒は、前記棒凹部に挿入された状態で前記棚板の内部に入り込んでいる。
第2の発明によれば、壁側棒が棚板の内部にまで達しているため、棚側棒において最も変形しやすい部分(棚板内に入り込んだ部分と棚板から突出した部分との境界部)を壁側棒により適正に補強することができる。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記棚板支持具は、前記棚側棒と前記壁側棒とを互いに固定した棒固定部(第3溶接ビード45c)を有している。
第3の発明によれば、壁側棒を壁部内に挿入するよりも前の段階で、棚側棒と壁側棒とが一体化しておくことができる。このため、壁部に対する壁側棒及び棚側棒の取り付け作業の手間を低減することができる。
第4の発明では、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記棚板支持具は、前記壁部の壁面に重ねられた状態で該壁部に固定された重ね板部(ベースプレート28)と、前記重ね板部を前記棚側棒及び前記壁側棒のうち少なくとも前記棚側棒に固定した板固定部(第1溶接ビード45a、第2溶接ビード45b)と、を有している。
第4の発明によれば、重ね板部を壁部に固定することで、棚側棒や壁側棒を間接的に壁部に固定することができる。この場合、壁側棒や棚側棒に壁部に固定するための専用機能を付加する必要がないため、壁側棒や棚側棒として汎用品を使用することが可能になる。このため、棚板支持具を使用して棚板支持構造を構築する際のコスト負担を低減できる。
第5の発明では、第4の発明において、前記棚側棒は、前記重ね板部に設けられた重ね孔(プレート孔28a)に挿入された状態で、前記板固定部により前記重ね板部に対して固定されている。
第5の発明によれば、棚側棒が重ね板部の重ね孔に入り込んだ状態になっているため、棚板から棚側棒に対して下向きの荷重が加えられた場合に、重ね板から棚側棒が離間することを、棚側棒の外周面が重ね孔の内周面に引っ掛かることで抑制できる。これに対して、例えば、棚側棒の端面が重ね板部の板面に重ねられた構成では、棚板から棚側棒に対して下向きの荷重が加えられた場合に、重ね板部の板面からの棚側棒の端面の離間を、重ね板部と棚側棒との関係性を利用した構造で抑制する、ということが困難になっている。
なお、前記棚側棒の一端面は、前記重ね孔の内側において前記重ね板部の板面と共に前記壁部の壁面に重ねられていることが好ましい。この構成によれば、重ね孔に対する棚側棒の入り込み量、すなわち、重ね孔の内周面に対する棚側棒の外周面の引っ掛かり面積を極力大きくすることができる。このため、棚板から棚側棒に対して下向きの荷重が加えられた場合に、棚側棒の変形を重ね板部により更に確実に抑制することができる。
第6の発明では、第5の発明において、前記壁側棒は、前記棒凹部に挿入された状態で前記重ね孔を通じて前記重ね板部よりも突出している。
第6の発明によれば、ベースプレートが棚板の端面に接触するまで棚側棒を棚板に挿入することで、壁側棒を棚板の内部に到達させることができる。このため、壁側棒が棚側棒の棒凹部に挿入されていることに起因して、壁側棒が棚板の内部に到達した否かを視認することができなくても、棚板の端面をベースプレートに押し当てることで、棚板に対して壁側棒が適正な位置に配置されたことを確認できる。このため、作業者の熟練度に関係なく棚板支持具を適正に使用される構成を実現できる。
第7の発明では、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記壁側棒は、当該壁側棒の中心線が前記棚側棒の中心線と平行に延びた状態で前記棒凹部に挿入されている。
第7の発明によれば、壁側棒と棚側棒とが一直線上に延びているため、壁側棒を挿入するための孔を壁部に水平に開けることで、棚側棒を水平に設置することができる。このため、棚板を適正に設置する作業を容易化できる。
第8の発明では、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記壁側棒は、当該壁側棒の中心線が前記棚側棒の中心線と交差する方向に延びた状態で前記棒凹部に挿入されている。
第8の発明によれば、壁側棒から棚側棒が斜め上方に向いた状態になるように棚板支持部を壁部に取り付けることで、棚板を壁部から斜め上方に向いた状態で設置することができる。この場合、棚板の上に載せられた物品が棚板から落ちにくい状態を実現できる。
第9の発明の棚板支持具は、建物(建物10)の壁部(間仕切壁13)に取り付けられた場合に棚板(棚板21)を支持することが可能な棚板支持具(棚板支持具22)であって、一端面が凹むことで形成された棒凹部(棒凹部27a)を有する外側棒(棚側支持棒27)と、前記棒凹部内に挿入されている内側棒(壁側支持棒26)と、前記外側棒における前記棒凹部の開放端部に設けられ、該外側棒の径方向に延びた延出板部(ベースプレート28)と、を備え、前記延出板部は、前記内側棒が前記壁部内に挿入され且つ該内側棒の突出部分が前記棒凹部に挿入された状態で、前記壁部の壁面に重ねられるものであることを特徴とする。
外側棒が棚板内に挿入された構成では、棚板の自重や棚板に載せられた物品の荷重が外側棒に集中することが想定される。このため、棚板棒が細いと、棚板における棚板棒に接触する面積が小さいことで棚板が変形しやすいと考えられる。また、内側棒が壁部内に挿入された構成では、内側棒を挿入するための孔を壁部にあらかじめ形成しておくことが想定される。この場合、壁部においては、孔の形成位置が作業者にとって作業しやすい位置にあるとは限らず、作業姿勢が安定しないことなどに起因して、形成する孔の径が大きいほど孔を水平に開けることが困難になると考えられる。つまり、孔が大きいほど作業精度が低下すると考えられる。
これに対して、第9の発明によれば、棚板支持具において外側棒の内部に内側棒が挿入された状態になっているため、外側棒を極力太く(外径を大きく)しつつ、内側棒を極力細く(外径を小さくする)することができる。このため、外側棒が棚板内に挿入され且つ内側棒が壁部内に挿入された構成では、棚板が外側棒に接触している部分を中心に変形することを抑制できるとともに、内側棒を挿入するための孔を壁部に適正に形成することができる。
また、外側棒が棚板に挿入された構成では、棚板からの荷重に耐えきれずに外側棒が変形して棚板の自由端側が下がることが懸念される。ここで、外側棒において最も変形しやすい部分は、棚板内に入り込んだ部分と棚板から突出した部分との境界部であると考えられる。これに対して、本発明によれば、外側棒において最も変形しやすい部分の内部に内側棒を配置することで、その部分を内側棒により補強することが可能になる。このため、棚板からの荷重で外側棒が変形して棚板の自由端側が下がるということを内側棒により抑制できる。
以上により、棚板周辺の意匠性を保持しつつ、壁部に対して棚板を適正に設置することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の棚板支持構造及び棚板支持具を、間仕切壁に棚板が取り付けられた建物において具体化している。図1は間仕切壁13及び棚板21の分解斜視図、図2は棚板21周辺の間仕切壁13の斜視図である。
図1に示すように、住宅等の建物においては、床部11の上に壁部としての間仕切壁13が立設されている。間仕切壁13は、互いに対向した一対の壁面材14と、これら壁面材14の間に設けられた壁下地15とを有している。壁面材14は、石膏ボード等により形成された内装材であり、壁下地15は、複数のフレーム材により形成された下地フレームになっている。
壁下地15は、壁幅方向に延びた横フレーム材18と、上下方向に延びた縦フレーム材(図示略)とを有しており、縦フレーム材と横フレーム材18とが互いに連結されることで全体として矩形枠状に形成されている。縦フレーム材及び横フレーム材18は、木製角材により形成された下地材であり、壁面材14の背面に沿って延びている。横フレーム材18は、上下方向において所定間隔で複数配置されており、いずれも隣り合う縦フレーム材を連結している。
図1、図2に示すように、間仕切壁13には棚板21が取り付けられている。棚板21は、間仕切壁13から側方に向けて延びた状態で設けられている。棚板21の上面はほぼ水平方向に延びており、棚板21の上には、本や装飾品などの物品を載せることが可能になっている。棚板21は、全体として横長矩形状に形成されており、幅寸法(例えば2m)が奥行き寸法(例えば250mm)よりも非常に大きくなっている。
間仕切壁13には、棚板支持具22が取り付けられており、棚板21は棚板支持具22により片持ち支持されている。棚板支持具22は、壁幅方向に所定間隔で複数(例えば2個)設けられており、棚板21は、これら棚板支持具22に架け渡された状態で設置されている。
間仕切壁13は、一対の壁面材14の間に設けられた壁内下地板23を有しており、棚板支持具22は壁内下地板23に対して取り付けられている。この場合、壁内下地板23は、棚板支持具22の取り付け位置に合わせて壁幅方向において所定間隔で複数(例えば2枚)設けられている。各壁内下地板23は、構造用合板により形成されたバッキング材であり、一対の壁面材14のうち棚板21側の壁面材14の裏面に重ねられた状態で、上下に隣り合う横フレーム材18に架け渡されている。この場合、壁内下地板23は、上下の各横フレーム材18のそれぞれに対してビス等により固定されている。
棚板支持具22は、間仕切壁13に挿し入れられた壁側支持棒26と、棚板21に挿し入れられた棚側支持棒27と、間仕切壁13の壁面に重ねられたベースプレート28とを有している。壁側支持棒26は、ベースプレート28から間仕切壁13に向けて延びており、棚側支持棒27は間仕切壁13から遠ざかる向きに延びている。なお、壁側支持棒26が壁側棒に相当し、棚側支持棒27が棚側棒に相当し、ベースプレート28が重ね板部に相当する。
次に、棚板21の構成について図3を参照しつつ説明する。図3は棚板21の分解斜視図である。
図3に示すように、棚板21は、互いに対向する上下一対の棚板材31と、これら棚板材31の間に設けられた棚下地32とを有しており、棚板材31は、木材や合成樹脂材料により形成された化粧板になっている。棚板21はフラッシュ構造を有しており、棚下地32は横長の矩形枠状に形成されている。
棚下地32は、棚板21の幅方向に延びた幅枠材33と、棚板21の奥行き方向に延びた奥行き枠材34とを有している。これら幅枠材33及び奥行き枠材34は、いずれも木製角材により形成されており、棚板材31の裏面に沿って横並びに配置された状態でビス等により互いに固定されている。奥行き枠材34は、棚板21の幅方向において所定間隔で複数(例えば5本)配置されている。幅枠材33は、棚板21の奥側端部(間仕切壁13側の端部)においては複数の奥行き枠材34に架け渡されている一方で、棚板21の手前側端部(自由端部)においては隣り合う奥行き枠材34の間に配置されている。この場合、棚板21の奥側端部においては、間仕切壁13側に各奥行き枠材34の端面が露出している。
複数の奥行き枠材34には、棚板支持具22の取り付け対象になっている取り付け枠材34aが複数(例えば2個)含まれている。取り付け枠材34aには、棚板支持具22の棚側支持棒27を挿入可能な棚板孔36が形成されており、棚板孔36は、取り付け枠材34aの奥側端面から奥行き方向に延びている。なお、取り付け枠材34aは、複数の奥行き枠材34の中で中間位置に配置されている。例えば、取り付け枠材34aは、棚板21の端部に配置された他の奥行き枠材34から所定距離(例えば150mm)だけ離間した位置に配置されている。
続いて、棚板支持具22の構成について図4〜図6を参照しつつ説明する。図4は棚板支持具22の構成を示す図、図5は棚板支持具22周辺の間仕切壁13の縦断面図、図6は棚板支持具22周辺の間仕切壁13の正面図である。なお、図4においては、(a)に棚板支持具22の側面図を示し、(b)に棚板支持具22を壁側支持棒26側から見た図を示し、(c)に棚板支持具22の分解斜視図を示す。図6においては、棚板21の図示を省略している。
図4(a)、(b)に示すように、壁側支持棒26及び棚側支持棒27は、円柱状の長尺部材により形成されており、ベースプレート28は、横長矩形状の板材により形成されている。これら支持棒26,27及びベースプレート28は、いずれも鉄等の金属材料により形成されており、溶接により互いに固定されている。壁側支持棒26と棚側支持棒27とは、ほぼ同じ強度を有している。ベースプレート28においては、一方の板面から壁側支持棒26が延びており、他方の板面から棚側支持棒27が延びている。これら支持棒26,27の中心線は互いに重なっており、これら中心線はベースプレート28の中央位置を通過している。
ベースプレート28には、ネジ孔41a〜41cが設けられている。ベースプレート28においては、一対の長辺のうち一方寄りの位置に第1ネジ孔41aが配置され、他方寄りの位置に第2ネジ孔41bが配置されており、これらネジ孔41a,41bは、ベースプレート28の短辺に沿って並べられている。また、ベースプレート28においては、その長手方向に延びる中心線に沿って2つの第3ネジ孔41cが並べられている。これら第3ネジ孔41cは、ベースプレート28の短辺と支持棒26,27との間に配置されている。この場合、2つの第3ネジ孔41cの間に支持棒26,27が配置されていることになる。
図4(c)に示すように、ベースプレート28には、棚側支持棒27が挿入された重ね孔としてのプレート孔28aが設けられ、棚側支持棒27には、壁側支持棒26が挿入された棒凹部27aが設けられている。プレート孔28aは、ベースプレート28の中央位置に配置されており、棚側支持棒27の外径と同じ又はそれよりも若干大きい内径を有している。この場合、プレート孔28aの内周面が棚側支持棒27の外周面に重なっている。また、棚側支持棒27の端面は、ベースプレート28の板面(壁側支持棒26が延出した側の板面)と面一になっており、この板面と同一平面を形成している。
壁側支持棒26の外径は棚側支持棒27の外径よりも小さくされており、壁側支持棒26は、棒凹部27aに挿入されていることで棚側支持棒27の内部に入り込んだ状態になっている。この場合、壁側支持棒26が内側棒に相当し、棚側支持棒27が内側棒よりも太い外側棒に相当する。また、ベースプレート28は、棚側支持棒27から径方向に延出した延出板部に相当する。
棒凹部27aは、棚側支持棒27の端面の中央部分が凹むことで形成されており、棚側支持棒27の中心線に沿って延びている。棒凹部27aの延出寸法は、ベースプレート28の厚み寸法よりも大きく、且つ棚側支持棒27の長さ寸法の半分よりも小さくなっている。この場合、棒凹部27aは、棚側支持棒27においてベースプレート28よりも中央側に延びている一方で、棚側支持棒27の中央部分までは達していない。
棒凹部27aの内径は、壁側支持棒26の外径と同じ又はそれよりも若干大きくされている。また、棒凹部27aの内部のほぼ全体に壁側支持棒26が入り込んでおり、その入り込み寸法(例えば20mm)は、壁側支持棒26の長さ寸法(70mm)の半分よりも小さくなっている。この場合、壁側支持棒26においては、その外周面が棒凹部27aの内周面に重なった状態になっているとともに、その先端面が棒凹部27aの底面に重なった状態になっている。
図5に示すように、棚板支持具22においては、溶接により形成された溶接ビード45a〜45cが設けられている。第1溶接ビード45aは、棚側支持棒27の外周面とベースプレート28の板面との入隅部分に設けられており、第2溶接ビード45bは、棚側支持棒27の端面とベースプレート28の板面(第1溶接ビード45aとは反対側の板面)との境界部に設けられている。これら溶接ビード45a,45bは、いずれも棚側支持棒27の周方向に沿って延びており、棚側支持棒27とベースプレート28とを互いに固定した板固定部に相当する。第3溶接ビード45cは、壁側支持棒26の外周面と棚側支持棒27の端面との入隅部分に設けられている。第3溶接ビード45cは、壁側支持棒26の周方向に沿って延びており、壁側支持棒26と棚側支持棒27とを互いに固定した棒固定部に相当する。
間仕切壁13には、壁側支持棒26が挿入された壁孔13aが設けられている。壁孔13aは、一対の壁面材14のうち棚板21側の壁面材14及び壁内下地板23を貫通する貫通孔であり、壁側支持棒26の外径と同じ又はそれよりも若干大きい内径を有している。この場合、壁側支持棒26の外周面が壁孔13aの内周面に重なった状態になっている。
棚板21においては、棚板孔36が、取り付け枠材34aを貫通する貫通孔ではなく、底面を有する穴(凹み)になっている。棚板孔36の長さ寸法(例えば150mm)は、ベースプレート28からの棚側支持棒27の延出寸法と同じ又はそれよりも若干大きくされており、取り付け枠材34aの長さ寸法の半分よりも小さくなっている。また、棚板孔36は、棚側支持棒27の外径と同じ又はそれよりも若干大きい内径を有している。この場合、壁側支持棒26においては、その外周面が棚板孔36の内周面に重なった状態になっているとともに、その先端面が棚板孔36の底面に重なった状態になっている。
棚側支持棒27は、接着剤により棚板21に接着されている。棚板孔36の内部においては、棚側支持棒27の外周面と棚板孔36の内周面との境界部に沿って接着層が延びており、この接着層により棚側支持棒27が取り付け枠材34aに接合されている。
ベースプレート28は、壁側支持棒26が延出している方の板面が間仕切壁13の壁面に重ねられた状態で、その間仕切壁13に固定されている。ここで、ベースプレート28の高さ寸法(短手寸法)は、棚板21の高さ寸法よりも小さくされており、ベースプレート28は、棚板21により覆い隠された状態になっている。棚板21の端面には、ベースプレート28を収納するための収納凹部46が形成されており、ベースプレート28は、この収納凹部46に入り込んだ状態になっている。収納凹部46の凹み寸法はベースプレート28の厚み寸法と同じ又はそれよりも若干大きくされており、収納凹部46の底面がベースプレート28の板面に重ねられた状態になっている。
収納凹部46は、一対の棚板材31の端面よりも取り付け枠材34aの端面が内側に配置されていることで形成されている。この場合、収納凹部46の内周面においては、側面が棚板材31の板面により形成され、底面が取り付け枠材34aの端面により形成されている。また、取り付け枠材34aの高さ寸法(一対の棚板材31の離間距離)がベースプレート28の高さ寸法より大きくされており、一対の棚板材31の間へのベースプレート28の入り込みが可能になっている。
図6に示すように、ベースプレート28は、第1ネジ孔41aが第2ネジ孔41bの上方に配置される向きで、ネジ47により間仕切壁13に対して固定されている。ネジ47は、ネジ孔41a〜41cのそれぞれに対して設けられており、壁面材14を貫通して壁内下地板23に打ち込まれていることでベースプレート28を壁内下地板23に対して固定している。この場合、第1ネジ孔41aに打ち込まれたネジ47は、間仕切壁13からのベースプレート28の離間(引き抜き)を防止する効果を付与するものであり、第2ネジ孔41bに打ち込まれたネジ47は、ベースプレート28が上下方向に回転する運動を防止する効果を付与するものである。また、第3ネジ孔41cに打ち込まれたネジ47は、ベースプレート28の中央部分(棚側支持棒27)が間仕切壁13から浮く(離間する)ことを防止する効果を付与するものである。
次に、間仕切壁13に対する棚板21の取り付け手順について、図1、図5、図7を参照しつつ説明する。図7は間仕切壁13に対する棚板支持具22の取り付け手順を示す図である。
まず、間仕切壁13を構築する際に、壁下地15を構築した後、一対の壁面材14のうち少なくとも一方を設置する前の段階で、壁内下地板23を壁下地15に対して取り付ける。その後、設置していなかった壁面材14を壁下地15に対して取り付けることで、一対の壁面材14により壁内下地板23を覆い隠す。
そして、図7(a)に示すように、電動工具等を用いて間仕切壁13に壁孔13aを形成し、この壁孔13aに壁側支持棒26を挿し込むことで、棚板支持具22を間仕切壁13に対して装着する。この場合、壁孔13aは水平方向に延びていることで、壁側支持棒26及び棚側支持棒27も水平方向に延びている。図7(b)に示すように、棚板支持具22を装着した後、ネジ47を壁内下地板23に打ち込むことで、棚板支持具22を間仕切壁13に固定する。
その後、棚側支持棒27の外周面及び棚板孔36の内周面のうち少なくとも一方に接着剤を塗布した状態で、棚側支持棒27を棚板孔36に入り込ませるようにしながら、棚板21を棚板支持具22に取り付ける。これにより、図5に示すように、棚板21を棚板支持具22を介して間仕切壁13に対して固定することができる。
また、棚板支持具22の製造手順について簡単に説明する。まず、外径の異なる2本の棒材と板材を用意し、板材の中央部分にプレート孔28aを形成することでベースプレート28を製造する。次に、外径が大きい方の棒材をプレート孔28aに挿通し、溶接により第1溶接ビード45a及び第2溶接ビード45bを形成することで、これら棒材とベースプレート28とを固定する。その後、棒材に棒凹部27aを形成することで棚側支持棒27を製造し、外径が小さい方の棒材を壁側支持棒26として棒凹部27aに挿入する。そして、溶接により第3溶接ビード45cを形成することで、これら壁側支持棒26と棚側支持棒27とを固定する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
棚側支持棒27の棒凹部27aに壁側支持棒26が挿入されているため、棚側支持棒27を極力太くしつつ、壁側支持棒26を極力細くすることが可能になる。棚側支持棒27については、棚側支持棒27の外周面と棚板孔36の内周面との接触面積が大きくされているため、棚板21の自重や載せられた物品の荷重により棚側支持棒27が棚板孔36の内周面の一部に食い込んだりめり込んだりすることを抑制できる。また、壁側支持棒26については、間仕切壁13の壁孔13aの内径を極力小さくすることができるため、壁孔13aを形成する際の作業精度を高めることができる。具体的には、工具を用いて壁孔13aの形成作業を行う際に、壁孔13aが水平方向に対して傾斜したり壁孔13aが蛇行したりすることを抑制できる。
ここで、棚側支持棒27においては、棚板21から加えられる荷重が、棚板21内に入り込んだ部分と棚板21から突出した部分との境界部に集中しやすくなっている。つまり、棚板21からの荷重による棚側支持棒27の曲がりはこの境界部において発生しやすくなっている。これに対して、本実施形態では、棚側支持棒27の棒凹部27aに挿入された壁側支持棒26が、棚板21の棚板孔36の内部に入り込んだ状態になっているため、棚側支持棒27において棚板21からの荷重が集中しやすい部分を壁側支持棒26により補強することができる。このため、棚側支持棒27が曲がって棚板21の自由端側が下がるということを抑制できる。つまり、重量物が棚板21の上に長期間に亘って載せられている場合に、棚板21が徐々に水平方向に対して傾斜して間仕切壁13から斜め下方に向けて延びた状態に移行する、ということを抑制できる。
棚側支持棒27と壁側支持棒26とが直接的に固定されているため、壁側支持棒26に対して棚側支持棒27が相対的に変位するということを抑制できる。この場合、棚側支持棒27が壁側支持棒26及びベースプレート28の両方により支持されるため、水平方向に対して棚側支持棒27が僅かに傾くということも抑制できる。
棚側支持棒27や壁側支持棒26がベースプレート28を介して間仕切壁13に間接的に固定されているため、間仕切壁13に直接的に固定するための専用機能を棚側支持棒27や壁側支持棒26に付加する必要がない。この場合、棚側支持棒27や壁側支持棒26として汎用品を使用することが可能になるため、コスト低減を実現できる。
棚側支持棒27がベースプレート28のプレート孔28aに挿入されているため、棚側支持棒27が水平方向に対して傾斜することを、棚側支持棒27の外周面とプレート孔28aの内周面との引っ掛かりにより規制できる。したがって、ベースプレート28からの棚側支持棒27の離間を規制する構成を、棚側支持棒27とベースプレート28との構造上の関係を利用して実現できる。
棚側支持棒27と壁側支持棒26とは互いの中心線が一致するように配置されているため、作業者は、間仕切壁13に壁孔13aを水平方向に形成することができれば、壁側支持棒26はもちろんのこと棚側支持棒27も水平に設置することができる。このため、棚板支持具22を使用して棚板21を適正に設置する作業を容易化できる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、棚板支持具22において、壁側支持棒26、棚側支持棒27及びベースプレート28があらかじめ一体化された状態で間仕切壁13に取り付けられていたが、これら壁側支持棒26、棚側支持棒27及びベースプレート28は、間仕切壁13に対して個別に取り付けられてもよい。
例えば、図8に示すように、棚側支持棒27とベースプレート28とが一体化されている一方で、これら棚側支持棒27及びベースプレート28に対しては壁側支持棒26が一体化されていない構成とする。この棚板支持具22においては、棚側支持棒27とベースプレート28とを固定する第1溶接ビード45a及び第2溶接ビード45bが設けられている一方で、棚側支持棒27と壁側支持棒26とを固定する第3溶接ビード45cは設けられていない。
この棚板支持具22の取り付け手順について説明すると、まず、図9(a)に示すように、間仕切壁13の壁孔13aに壁側支持棒26を挿入する。その後、図9(b)に示すように、棚側支持棒27の棒凹部27aに壁側支持棒26を挿入させながら、ベースプレート28を間仕切壁13の壁面に重ねる。そして、ネジ47を用いてベースプレート28を間仕切壁13の壁内下地板23に対して固定する。この構成では、壁側支持棒26と棚側支持棒27とが、ベースプレート28、壁内下地板23及びネジ47を介して間接的に固定されていることになる。
なお、ベースプレート28は、2本のネジ47により壁内下地板23に固定されている。図8に示すように、ベースプレート28には、対角位置に配置された2つのネジ孔51a,51bが形成されており、これらネジ孔51a,51bを通じて2本のネジ47が壁内下地に打ち込まれている。ネジ孔51a,51bは、ベースプレート28の短手方向に並んでいるわけではないため、ベースプレート28の短手寸法をネジ孔51a,51bの各直径の合計値よりも大きくする必要がない。つまり、ベースプレート28の短手寸法を極力小さくすることができる。このため、例えば棚板21の厚み寸法がネジ孔51a,51bの各直径の合計値より小さい寸法であったとしても、ベースプレート28が棚板21から上下方向にはみ出ることを抑制できる。
ベースプレート28においては、ネジ孔51aが上辺寄りの位置に配置され、ネジ孔51bが下辺寄りの位置に配置されている。この場合、上側のネジ孔51aに打ち込まれたネジ47は、間仕切壁13からのベースプレート28の離間を防止する効果を付与するものであり、下側のネジ孔51bに打ち込まれたネジ47は、ベースプレート28が上下方向に回転する運動を防止する効果を付与するものである。これに対して、例えばネジ孔51a,51bが水平方向に沿って横並びに配置された構成では、間仕切壁13からのベースプレート28の離間を防止する効果や、ベースプレート28が上下方向に回転する運動を防止する効果が低下することが懸念される。
(2)上記実施形態では、棚板支持具22において、壁側支持棒26の中心線と棚側支持棒27の中心線とが一致していたが、これら中心線は、互いに平行に延びた状態で上下や左右にずれていてもよく、互いに交差する方向に延びていてもよい。例えば、図10に示すように、棚側支持棒27が壁側支持棒26に対して交差する方向に延びた構成とする。この構成では、壁側支持棒26が水平方向に延びている一方で、棚側支持棒27が壁側支持棒26から斜め上方に向けて延びている。この場合、棚板21も、間仕切壁13から棚側支持棒27に沿って斜め上方に向けて延びた状態になっている。このため、仮に、棚板21の上に重量物が載せられたことなどによって棚板支持具22が変形して棚板21の自由端側が下がったとしても、棚板21の自由端部が基端部よりも低い位置に移動させしなければ、棚板21の上に載せられた物品が棚板21の自由端側から滑り落ちるということが発生しにくい状態を保持できる。したがって、棚板21の耐荷重を極力大きくすることができる。
(3)上記実施形態では、棚板支持具22において、壁側支持棒26と棚側支持棒27とベースプレート28とが溶接により互いに固定されていたが、固定方法は溶接でなくてもよい。例えば、ベースプレート28のプレート孔28aに雌ネジ部が設けられているとともに、棚側支持棒27の外周面に雄ネジ部が設けられ、棚側支持棒27がプレート孔28aにねじ込まれることで、棚側支持棒27がベースプレート28に固定された構成とする。また、棚側支持棒27の棒凹部27aに雌ネジ部が設けられているとともに、壁側支持棒26の外周面に雄ネジ部が設けられ、壁側支持棒26が棒凹部27aにねじ込まれることで、壁側支持棒26が棚側支持棒27に固定された構成とする。
また、ベースプレート28のプレート孔28a内に棚側支持棒27が挿通されていない構成としてもよい。この場合、壁側支持棒26の雄ネジ部がプレート孔28aの雌ネジ部に螺着可能な構成とすれば、壁側支持棒26がプレート孔28a及び棒凹部27aにねじ込まれることで、壁側支持棒26がベースプレート28及び棚側支持棒27の両方に固定されることになる。なお、棚側支持棒27がプレート孔28a内に挿通されていない構成では、棚側支持棒27の端面がベースプレート28の板面に重ねられていることが好ましい。
(4)上記実施形態では、壁側支持棒26がベースプレート28及びネジ47を介して壁内下地板23に間接的に固定されていたが、壁側支持棒26は、壁内下地板23に対して直接的に固定されていてもよい。例えば、壁内下地板23の壁孔13aに雌ネジ部が設けられているとともに、壁側支持棒26の外周面に雄ネジ部が設けられ、壁側支持棒26が壁孔13aにねじ込まれた構成とする。この構成では、棚板支持具22がベースプレート28を有していなくても、この棚板支持具22を間仕切壁13に対して固定することができる。
(5)上記実施形態では、棒凹部27aの内部において、壁側支持棒26が棚側支持棒27の中央部分まで達していない構成としたが、壁側支持棒26は、棚側支持棒27の中央部分を越える位置まで達していてもよい。この構成では、棒凹部27aの凹み寸法が、棚側支持棒27の長さ寸法の半分よりも大きくされていることになる。この場合、壁側支持棒26と棚側支持棒27との重なり寸法が極力大きくされることで、棒凹部27aからの壁側支持棒26の抜け落ちを確実に防止できる。
(6)上記実施形態では、棒凹部27aが棚側支持棒27の一端面に開放された穴とされていたが、棒凹部27aは、棚側支持棒27を長手方向に貫通した貫通孔とされていてもよい。この場合でも、この貫通孔に壁側支持棒26を挿入することは可能になっている。
(7)上記実施形態では、壁側支持棒26及び棚側支持棒27がいずれも金属材料により形成されていたが、棚側支持棒27は、壁側支持棒26よりも強度の低い材料により形成されていてもよい。例えば、棚側支持棒27が合成樹脂材料により形成された構成とする。この構成でも、棚側支持棒27において棚板21からの荷重が最も集中しやすい部分の内部に壁側支持棒26が配置されていることで、棚側支持棒27が変形するということが生じにくくなっている。
(8)上記実施形態では、壁側支持棒26及び棚側支持棒27がいずれも円柱状に形成されていたが、これら支持棒26,27は必ずしも円柱状に形成されていなくてもよい。要は、壁側支持棒26と棚側支持棒27とが、壁側支持棒26を棚側支持棒27の内側に挿入することが可能な形状に形成されていれ、断面矩形状や断面楕円状に形成されていてもよい。この場合でも、棚側支持棒27が壁側支持棒26よりも太いことになる。
(9)上記実施形態では、ベースプレート28のプレート孔28aに棚側支持棒27が挿通されていたが、棚側支持棒27は、ベースプレート28に横並びに配置されていてもよい。例えば、ベースプレート28に、そのベースプレート28の周縁部に向けて開放された切り欠き部が設けられており、その切り欠き部に棚側支持棒27が入り込んだ状態で設けられた構成とする。この場合でも、ベースプレート28が棚側支持棒27の径方向に延びた構成を実現できる。
(10)上記実施形態では、棚板21がフラッシュ構造を有していたが、棚板21は、ベタ芯構造を有していてもよい。例えば、棚下地32が中実の板材により形成された構成とする。この構成でも、中実の板材に棚板孔36が形成されていることで、その棚板孔36に棚側支持棒27を挿入することができる。
(11)上記実施形態では、壁部としての間仕切壁13に棚板支持具22が取り付けられていたが、棚板支持具22が取り付けられる壁部は外壁であってもよい。