以下、添付図面を参照して、実施形態に係るX線診断装置及びX線CT装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図である。
第1の実施形態に係るX線診断装置1は、レントゲン画像を撮影する光子計数型のX線一般撮影システムである。図1に示すように、X線診断装置1は、撮影装置10と、コンソール装置30とを有する。
撮影装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の光子をエネルギー帯(エネルギー帯)ごとに計数する装置である。撮影装置10は、高電圧発生部11と、X線管12と、検出器13と、駆動部14と、収集部15とを有する。
高電圧発生部11は、X線管12にX線を発生させるための高電圧を供給する。高電圧発生部11は、X線管12に供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の量(X線量)を調整する。X線管12は、高電圧発生部11から供給される高電圧により、被検体Pに照射するX線を発生する。
駆動部14は、撮影制御部33からの制御信号に基づいて、X線管12及び検出器13の位置を移動させる。また、駆動部14は、撮影制御部33からの制御信号に基づいて、X線管12と被検体Pの間に取り付けられた絞り(図示せず)を制御して、被検体Pに照射させるX線の照射範囲(関心領域)を制御する。なお、以下の説明では、関心領域をROI(Region Of Interest)と表記する場合がある。
検出器13は、被検体Pを透過したX線の光子(X線光子)を計数するための複数の検出素子を有する。検出器13は、例えば、複数の検出素子が第1方向及び第1方向と交差する第2方向に規則的に配置されたX線平面検出器である。検出素子は、シンチレータ、フォトダイオード及び検出回路を有する。検出素子は、入射したX線の光子1つ1つをシンチレータにより光に変換し、この光をフォトダイオードにより電荷に変換する。この電荷は、検出回路によってパルス状の電流に変換される。検出器13は、例えば、このパルス状の電流をアナログ形式の波形データとして収集部15に出力するか、または、パルス状の電流をデジタル形式の波形データに変換して収集部15に出力する。かかる波形データは、例えば、時間を横軸、電流値を縦軸とする、各時間の電流値を示す波形のデータである。なお、上述したようなシンチレータ及びフォトダイオードを有する検出素子を備える検出器13は、間接変換型の検出器と称される。
また、検出器13は、直接変換型の検出器でもよい。直接変換型の検出器とは、検出素子に入射したX線の光子を直接電荷に変換する検出器である。検出器13が直接変換型の検出器である場合、検出素子は、例えば、テルル化カドミウム(CdTe)系の半導体素子である。検出器13が直接変換型の検出器である場合も、検出器13は、検出回路によって電荷をパルス状の電流に変換し、このパルス状の電流をアナログ形式の波形データとして収集部15に出力するか、または、パルス状の電流をデジタル形式の波形データに変換して収集部15に出力する。
なお、検出器13は、検出素子が一列に配置された検出器や複数の列に検出素子が配置された検出器であってもよい。この場合、X線診断装置1では、駆動部14によって検出器13の位置を連続的に又は段階的に移動させながらレントゲン画像の撮影を行う。なお、上述の波形データは、検出信号の一例である。
また、検出器13の中に、後述する収集部15及び画像生成部36を含めることもできる。この場合には、検出器13は、上述した検出器13の機能に加えて、後述する収集部15及び画像生成部36の各機能を有する。また、この場合には、検出器13と収集部15と画像生成部36とが一体となる。
収集部15は、撮影制御部33により指定された複数のエネルギー帯(エネルギーBIN)それぞれの光子の計数値を示すデータである光子計数データを作成する。例えば、収集部15は、検出器13の検出素子ごとに、検出素子から出力された波形データに基づいて、波形データのピークの高さから、光子のエネルギーを算出する。また、収集部15は、検出器13の検出素子ごとに、検出素子から出力された波形データに基づいて、波形データが有するパルスを計数する。そして、収集部15は、算出したエネルギーを含むエネルギー帯を特定し、パルスの計数値を、特定したエネルギー帯における光子の数とする。このようにして、収集部15は、撮影制御部33により指定された複数のエネルギー帯それぞれの、検出素子に入射されたX線の光子の数を数える。すなわち、収集部15は、検出素子ごとに、複数のエネルギー帯それぞれの、入射されたX線の光子を計数する。
そして、収集部15は、検出素子ごとに、検出素子の位置、撮影制御部33により指定された複数のエネルギー帯それぞれの光子の計数値を撮影制御部33及び画像生成部36に出力する。例えば、収集部15は、(x,y,Count-Bin1,Count-Bin2,Count-Bin3)という形式のデータを撮影制御部33及び画像生成部36に出力する。ここで、「x」は、検出器13の所定の平面における検出素子の位置をX−Y座標で表した場合のX座標の値である。また、「y」は、検出器13の所定の平面における検出素子の位置をX−Y座標で表した場合のY座標の値である。「Count-Bin1」は、撮影制御部33により指定された複数のエネルギー帯「Bin1」、「Bin2」及び「Bin3」のうち、「Bin1」の光子の計数値を指す。同様に、「Count-Bin2」は、撮影制御部33により指定された複数のエネルギー帯「Bin1」、「Bin2」及び「Bin3」のうち、「Bin2」の光子の計数値を指し、「Count-Bin3」は、撮影制御部33により指定された複数のエネルギー帯「Bin1」、「Bin2」及び「Bin3」のうち、「Bin3」の光子の計数値を指す。なお、検出器18の位置が可変である場合には、収集部15は、検出素子ごとに、検出素子の位置、撮影制御部33により指定された複数のエネルギー帯それぞれの光子の計数値に加えて、検出器18の位置を撮影制御部33及び画像生成部36に出力することもできる。
ここで、収集部15は、例えば、波高弁別器を有する。かかる波高弁別器は、複数のエネルギー帯に関する情報が登録されたレジスタを参照することにより、複数のエネルギー帯を用いて、光子計数データを作成する処理を行うことができる。また、波高弁別器は、撮影制御部33により複数のエネルギー帯が指定されると、レジスタに登録された過去の複数のエネルギー帯を消去した上で、指定された新たな複数のエネルギー帯をレジスタに登録する。これにより、収集部15は、光子計数データを作成する処理を行う際に用いる複数のエネルギー帯を切り換えることができる。
このようにして、光子計数データを作成する処理を、エネルギー帯弁別処理(Energy Bin弁別処理)と呼ぶ。
なお、上述したように、検出器13は、X線が入射すると、入射したX線の光子を電気信号に変換する。この電気信号は、光子が入射した直後に大きな値を持ち、時間の経過とともに減衰する。この電気信号の強度及び減衰速度などを計測することにより、収集部15は、入射したX線の光子を一つ一つ同定し、そのエネルギーを計測することができる。
しかしながら、X線管12の管電流の電流値が増大し、入射するX線の光子の個数が増大すると、検出器13に入射したX線の光子が電気信号に変換され、その電気信号が減衰しない間に、次のX線の光子が入射して電気信号に変換され、最初に入射したX線の光子由来の電気信号の値に可算される。この現象をパイルアップと呼ぶ。パイルアップが発生すると、収集部15で、複数の光子が入射されたにも関わらず、高いエネルギーを持った光子が1個入射したと誤って計数され、コンソール装置30で生成される画像の質が劣化してしまう。また、パイルアップが発生すると、ピーク位置の特定が困難となり、ピークの高さも変化するため、光子のエネルギーを正確に算出することが困難となる。
そこで、収集部15は、検出器13から出力された波形データの形式がデジタル形式である場合には、パイルアップの影響を低減させるため、エネルギー帯弁別処理を行う前又はエネルギー帯弁別処理の実行中に、以下に説明するパルス分解処理(Pulse Decomposition処理)を行う。すなわち、収集部15は、波形データのうちパイルアップが発生している部分の電流値を適当な時間間隔ごとに取得し、複数のピークの境界を特定する。そして、収集部15は、取得した複数の電流値及び特定した複数のピークの境界に基づいて、複数のピークにフィッティングを施す。そして、収集部15は、波形データのうちパイルアップが発生している部分から各フィッティング曲線を1つずつ差し引く。これにより、収集部15は、波形データのピークの計数及びピークの高さに基づくエネルギーの算出を正確に行うことができる。
コンソール装置30は、操作者による操作を受け付けるとともに、撮影装置10によって作成された光子計数データを用いてX線画像を生成する装置である。コンソール装置30は、図1に示すように、入力部31と、表示部32と、撮影制御部33と、画像生成部36と、画像記憶部37と、システム制御部38とを有する。
入力部31は、X線診断装置1の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御部38に転送する。例えば、入力部31は、X線照射条件や、X線画像に対する画像処理条件等を受け付ける。
表示部32は、操作者によって参照されるモニタである。表示部32は、システム制御部38による制御のもと、レントゲン画像を操作者に表示したり、入力部31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。なお、レントゲン画像は、X線画像の一例である。
撮影制御部33は、システム制御部38の制御のもと、高電圧発生部11、駆動部14及び収集部15の動作を制御することで、撮影装置10における光子計数データの作成を制御する。例えば、撮影制御部33は、駆動部14を制御して、X線管12や検出器13をレントゲン画像の撮影に適した位置に移動させ、高電圧発生部11を制御して、被検体PにX線を照射させる。また、撮影制御部33は、収集部15を制御して、下記で説明するように各種の光子計数データを作成させる。
画像生成部36は、収集部15から出力された光子計数データを取得すると、取得した光子計数データに基づいて、レントゲン画像を生成する。なお、レントゲン画像は、例えば、読影医が診断に使用するために用いられる。例えば、画像生成部36は、光子計数データに対して物質弁別処理(Material Decomposition処理)を施すことによって、レントゲン画像を生成する。このようなレントゲン画像は、弁別対象物質が弁別された画像である。
ここで、物質弁別処理とは、光子計数データに基づいて、レントゲン画像を撮影した領域に含まれる物質の種類、原子番号、密度等を弁別する処理である。このような物質弁別処理により弁別される物質の種類、原子番号、密度等は、読影医が診断を行う上で有用な情報である。画像生成部36が行う物質弁別処理のアルゴリズムについては、公知の様々な物質弁別処理のアルゴリズムを適用することができる。例えば、かかる物質弁別処理のアルゴリズムでは、N個のエネルギー帯が用いられて作成された光子計数データを用いた場合には、エネルギー帯の数と同数のN個の弁別対象物質が弁別されたレントゲン画像を生成することができる。
そして、画像生成部36は、生成したレントゲン画像を画像記憶部37に出力する。
画像記憶部37は、画像生成部36から出力されたレントゲン画像を記憶する。
システム制御部38は、撮影装置10及びコンソール装置30の動作を制御することによって、光子計数型のX線診断装置1を制御する。システム制御部38は、撮影制御部33を制御することによって、例えば、撮影装置10における光子計数データの作成を制御し、コンソール装置30を制御することによって、レントゲン画像の生成及び表示を制御する。
ここで、撮影制御部33の動作の一例について説明する。以下、X線診断装置1において、弁別する対象の物質(弁別対象物質)の種類が4種類であり、収集部15が実行するエネルギー帯弁別処理における複数のエネルギー帯の数が3つ以下である場合を例に挙げて説明するが、弁別対象物質の種類及びエネルギー帯の数はこれに限られない。例えば、以下の説明では、ヨード系造影剤及びガドリニウム系造影剤が被検体Pに投与され、Pt構造物によって被検体Pの脳血管の治療が行われる際に、ヨード系造影剤に含まれるヨード、ガドリニウム系造影剤に含まれるガドリニウム、Pt構造物に含まれる白金、及び、被検体Pの頭蓋の4種類の弁別対象物質を弁別する場合について説明する。なお、Pt構造物としては、ステント、ガイドワイヤ、コイル、マーカーなどが挙げられる。また、Pt構造物に代えて、ナノパーティクル(マイクロバブルコーティング)を造影剤として被検体Pに投与してもよい。この場合には、ナノパーティクルが弁別対象物質となる。
撮影制御部33は、上述したように、収集部15の動作を制御することで、撮影装置10における光子計数データの作成を制御する。例えば、撮影制御部33は、1フレームのレントゲン画像の撮影中に、収集部15から出力された光子計数データに基づいて、収集部15が実行するエネルギー帯弁別処理において、光子が計数される複数のエネルギー帯を他の複数のエネルギー帯に切り替えるように収集部15を制御する。具体例を挙げて説明すると、1フレームのレントゲン画像の撮影中に、光子が計数される複数のエネルギー帯を他の複数のエネルギー帯に切り替えるように収集部15を制御し、切り替えた後の他の複数のエネルギー帯それぞれのX線の光子の数を示す光子計数データを作成するように収集部15を制御する。
図2〜図7を参照して、具体的な例を挙げて説明する。図2は、4種類の弁別対象物質のそれぞれの入射X線エネルギーと、断面積との関係の一例を示すグラフである。図3、図5〜図7は、複数のエネルギー帯の一例を示す図である。また、図4は、後述のケース1〜ケース8の各ケースにおける撮影制御部33の収集部15に対するフィードバック制御の内容を模式的に示した図である。
図2に例示するグラフは、横軸が入射X線エネルギーの大きさを示し、縦軸が断面積の大きさを示す。図2に例示するように、ヨード系造影剤に含まれるヨード(Iodine)では、入射X線照射エネルギーが33keV程度の場合に、急激に断面積が不連続的に変化する。したがって、ヨードは、入射エネルギーが33keV程度の場合に、X線の吸収係数が不連続的に変化する物質である。すなわち、ヨードの吸収端は、33keV程度である。また、ガドリニウム系造影剤に含まれるガドリニウム(Gadolinium)では、入射X線照射エネルギーが50keV程度の場合に、急激に断面積が不連続的に変化する。したがって、ガドリニウムは、入射エネルギーが50keV程度の場合に、X線の吸収係数が不連続的に変化する物質である。すなわち、ガドリニウムの吸収端は、50keV程度である。また、Pt構造物に含まれる白金(Pt)では、入射X線照射エネルギーが80keV程度の場合に、急激に断面積が不連続的に変化する。したがって、白金は、入射エネルギーが80keV程度の場合に、X線の吸収係数が不連続的に変化する物質である。すなわち、白金の吸収端は、80keV程度である。また、被検体Pの頭蓋(Bone)では、入射エネルギーが0keVから140keVの間では、なだらかに断面積が変化する。したがって、被検体Pの頭蓋は、入射エネルギーが0keVから140keVの間では、なだらかにX線の吸収係数が変化する物質である。
撮影制御部33は、1フレームのレントゲン画像の撮影において、まず、複数のエネルギー帯を、図3に例示するように、エネルギー帯「Bin1」、エネルギー帯「Bin2」及びエネルギー帯「Bin3」に設定して、エネルギー帯弁別処理を実行する指示を収集部15に出力する。ここで、図3に例示する複数のエネルギー帯について説明する。図3に例示するように、複数のエネルギー帯は、0keV〜140keVの範囲のエネルギー帯を、ヨードの吸収端「33keV」に対応する閾値70とガドリニウムの吸収端「50keV」に対応する閾値71とで分割したものである。エネルギー帯「Bin1」は、0keV以上33keV未満の範囲のエネルギー帯である。エネルギー帯「Bin2」は、33keV以上50keV未満の範囲のエネルギー帯である。エネルギー帯「Bin3」は、50keV以上140keV未満の範囲のエネルギー帯である。
ここで、図3に例示するエネルギー帯「Bin1」、エネルギー帯「Bin2」及びエネルギー帯「Bin3」のそれぞれには、閾値α1,α2,α3が設定されている。エネルギー帯「Bin1」、エネルギー帯「Bin2」及びエネルギー帯「Bin3」が用いられたエネルギー帯弁別処理によって作成された光子計数データに対して画像生成部36により物質弁別処理が施された場合には、物質弁別処理によって3種類の弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」が弁別される。具体的には、エネルギー帯「Bin1」において閾値α1よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin1」におけるROI内部の光子の数の平均値)が多く、エネルギー帯「Bin2」において閾値α2よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin2」におけるROI内部の光子の計数値の平均値)が多く、エネルギー帯「Bin3」において閾値α3よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin3」におけるROI内部の光子の計数値の平均値)が多い場合には、物質弁別処理によって弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」を弁別することができる。したがって、複数のエネルギー帯「Bin1」、「Bin2」及び「Bin3」は、3種類の弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」を弁別するためのものである。なお、複数のエネルギー帯「Bin1」、「Bin2」及び「Bin3」は、第1の複数のエネルギー帯の一例である。
収集部15は、上述の指示を受信すると、光子が計数される複数のエネルギー帯をエネルギー帯「Bin1」、エネルギー帯「Bin2」及びエネルギー帯「Bin3」に設定して、エネルギー帯弁別処理を実行する。すなわち、収集部15は、検出素子ごとに、撮影制御部33により指定されたエネルギー帯「Bin1」、エネルギー帯「Bin2」及びエネルギー帯「Bin3」それぞれの光子の計数値を示すデータである光子計数データを作成する。なお、このような光子計数データは、第1の光子計数データの一例である。そして、収集部15は、生成した光子計数データを撮影制御部33に出力する。
そして、撮影制御部33は、光子計数データを受信すると、次の処理を行う。すなわち、撮影制御部33は、光子計数データが示すエネルギー帯「Bin1」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin1」の平均値が、閾値α1を超えているか否かを判定し、光子計数データが示すエネルギー帯「Bin2」における光子の数「Count-Bin2」の平均値が、閾値α2を超えているか否かを判定するとともに、光子計数データが示すエネルギー帯「Bin3」における光子の数「Count-Bin3」の平均値が、閾値α3を超えているか否かを判定する。
(ケース1)
光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1以下であり、光子の数「Count-Bin2」の平均値が閾値α2以下であり、光子の数「Count-Bin3」の平均値が閾値α3以下であると判定した場合(ケース1)には、撮影制御部33は、次の処理を行う。すなわち、撮影制御部33は、画像生成部36が実行する物質弁別処理によって、3種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」について弁別することができるほど多くの光子が計数されていないため、図4に例示するように、収集部15に対して光子が計数される複数のエネルギー帯を現状のまま維持させる指示を収集部15に出力するか、又は、何の指示も収集部15に出力しない。なお、図4中「L」は、対応する閾値以下であることを示し、「H」は、対応する閾値を超えたことを示す。
(ケース2)
また、光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1を超え、光子の数「Count-Bin2」の平均値が閾値α2以下であり、光子の数「Count-Bin3」の平均値が閾値α3以下であると判定した場合(ケース2)にも、撮影制御部33は、次の処理を行う。すなわち、撮影制御部33は、画像生成部36が実行する物質弁別処理によって、3種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」について弁別することができるほど多くの光子が計数されていないため、図4に例示するように、光子が計数される複数のエネルギー帯を現状のまま維持させる指示を収集部15に出力するか、又は、何の指示も収集部15に出力しない。
(ケース3)
また、光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1以下であり、光子の数「Count-Bin2」の平均値が閾値α2を超え、光子の数「Count-Bin3」の平均値が閾値α3以下であると判定した場合(ケース3)にも、撮影制御部33は、次の処理を行う。すなわち、撮影制御部33は、画像生成部36が実行する物質弁別処理によって、3種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」について弁別することができるほど多くの光子が計数されていないため、図4に例示するように、光子が計数される複数のエネルギー帯を現状のまま維持させる指示を収集部15に出力するか、又は、何の指示も収集部15に出力しない。
(ケース4)
また、光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1以下であり、光子の数「Count-Bin2」の平均値が閾値α2以下であり、光子の数「Count-Bin3」の平均値が閾値α3を超えたと判定した場合(ケース4)にも、撮影制御部33は、次の処理を行う。すなわち、撮影制御部33は、画像生成部36が実行する物質弁別処理によって、3種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」について弁別することができるほど多くの光子が計数されていないため、図4に例示するように、光子が計数される複数のエネルギー帯を現状のまま維持させる指示を収集部15に出力するか、又は、何の指示も収集部15に出力しない。
(ケース5)
また、光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1以下であり、光子の数「Count-Bin2」の平均値が閾値α2を超え、光子の数「Count-Bin3」の平均値が閾値α3を超えたと判定した場合(ケース5)について考える。この場合には、撮影制御部33は、光子が計数される複数のエネルギー帯を、図5に例示するような複数のエネルギー帯「Bin1」、「Bin4」、「Bin5」に切り替えてエネルギー帯弁別処理を実行する指示を収集部15に出力する。
エネルギー帯「Bin1」、エネルギー帯「Bin4」及びエネルギー帯「Bin5」のそれぞれには、閾値α1,α4,α5が設定されている。エネルギー帯「Bin1」、エネルギー帯「Bin4」及びエネルギー帯「Bin5」が用いられたエネルギー帯弁別処理によって作成された光子計数データに対して画像生成部36により物質弁別処理が施された場合には、物質弁別処理によって3種類の弁別対象物質「ヨード」、「頭蓋」、「白金」が弁別される。具体的には、エネルギー帯「Bin1」において閾値α1よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin1」におけるROI内部の光子の数の平均値)が多く、エネルギー帯「Bin4」において閾値α4よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin4」におけるROI内部の光子の計数値の平均値)が多く、エネルギー帯「Bin5」において閾値α5よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の計数値の平均値)が多い場合には、物質弁別処理によって弁別対象物質「ヨード」、「頭蓋」、「白金」を弁別することができる。したがって、複数のエネルギー帯「Bin1」、「Bin4」及び「Bin5」は、3種類の弁別対象物質「ヨード」、「頭蓋」、「白金」を弁別するためのものである。また、複数のエネルギー帯「Bin1」、「Bin4」及び「Bin5」は、第2の複数のエネルギー帯の一例である。
収集部15は、ケース5における上述の指示を受信すると、光子が計数される複数のエネルギー帯をエネルギー帯「Bin1」、エネルギー帯「Bin4」及びエネルギー帯「Bin5」に切り替えて、エネルギー帯弁別処理を実行する。すなわち、収集部15は、検出素子ごとに、撮影制御部33により指定されたエネルギー帯「Bin1」、エネルギー帯「Bin4」及びエネルギー帯「Bin5」それぞれの光子の計数値を示すデータである光子計数データを作成する。そして、収集部15は、生成した光子計数データを撮影制御部33に出力する。なお、かかる光子計数データは、第2の光子計数データの一例である。
(ケース6)
また、光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1を超え、光子の数「Count-Bin2」の平均値が閾値α2以下であり、光子の数「Count-Bin3」の平均値が閾値α3を超えたと判定した場合(ケース6)について考える。この場合には、撮影制御部33は、光子が計数される複数のエネルギー帯を、図6に例示するような複数のエネルギー帯「Bin6」、「Bin7」、「Bin5」に切り替えてエネルギー帯弁別処理を実行する指示を収集部15に出力する。
エネルギー帯「Bin6」、エネルギー帯「Bin7」及びエネルギー帯「Bin5」のそれぞれには、閾値α6,α7,α5が設定されている。エネルギー帯「Bin6」、エネルギー帯「Bin7」及びエネルギー帯「Bin5」が用いられたエネルギー帯弁別処理によって作成された光子計数データに対して画像生成部36により物質弁別処理が施された場合には、物質弁別処理によって3種類の弁別対象物質「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」が弁別される。具体的には、エネルギー帯「Bin6」において閾値α6よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin6」におけるROI内部の光子の数の平均値)が多く、エネルギー帯「Bin7」において閾値α7よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin7」におけるROI内部の光子の計数値の平均値)が多く、エネルギー帯「Bin5」において閾値α5よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の計数値の平均値)が多い場合には、物質弁別処理によって弁別対象物質「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することができる。したがって、複数のエネルギー帯「Bin6」、「Bin7」及び「Bin5」は、3種類の弁別対象物質「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別するためのものである。また、複数のエネルギー帯「Bin6」、「Bin7」及び「Bin5」は、第2の複数のエネルギー帯の一例である。
収集部15は、ケース6における上述の指示を受信すると、光子が計数される複数のエネルギー帯をエネルギー帯「Bin6」、エネルギー帯「Bin7」及びエネルギー帯「Bin5」に切り替えて、エネルギー帯弁別処理を実行する。すなわち、収集部15は、検出素子ごとに、撮影制御部33により指定されたエネルギー帯「Bin6」、エネルギー帯「Bin7」及びエネルギー帯「Bin5」それぞれの光子の計数値を示すデータである光子計数データを作成する。そして、収集部15は、生成した光子計数データを撮影制御部33に出力する。なお、かかる光子計数データも、第2の光子計数データの一例である。
(ケース7)
また、光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1を超え、光子の数「Count-Bin2」の平均値が閾値α2を超え、光子の数「Count-Bin3」の平均値が閾値α3以下であると判定した場合(ケース7)について考える。この場合には、ケース6と同様に、撮影制御部33は、光子が計数される複数のエネルギー帯を、先の図6に例示するような複数のエネルギー帯「Bin6」、「Bin7」、「Bin5」に切り替えてエネルギー帯弁別処理を実行する指示を収集部15に出力する。
収集部15は、ケース7における上述の指示を受信すると、光子が計数される複数のエネルギー帯をエネルギー帯「Bin6」、エネルギー帯「Bin7」及びエネルギー帯「Bin5」に切り替えて、エネルギー帯弁別処理を実行する。すなわち、収集部15は、検出素子ごとに、撮影制御部33により指定されたエネルギー帯「Bin6」、エネルギー帯「Bin7」及びエネルギー帯「Bin5」それぞれの光子の計数値を示すデータである光子計数データを作成する。そして、収集部15は、生成した光子計数データを撮影制御部33に出力する。
(ケース8)
また、光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1を超え、光子の数「Count-Bin2」の平均値が閾値α2を超え、光子の数「Count-Bin3」の平均値が閾値α3を超えたと判定した場合(ケース8)について考える。この場合には、画像生成部36が実行する物質弁別処理によって、3種類の弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」について弁別することができるほど多くの光子が計数されている。そのため、この場合には、撮影制御部33は、光子が計数される複数のエネルギー帯を、図7に例示するような複数のエネルギー帯「Bin8」、「Bin5」に切り替えてエネルギー帯弁別処理を実行する指示を収集部15に出力する。
エネルギー帯「Bin8」及びエネルギー帯「Bin5」のそれぞれには、閾値α8,α5が設定されている。エネルギー帯「Bin8」及びエネルギー帯「Bin5」が用いられたエネルギー帯弁別処理によって作成された光子計数データに対して画像生成部36により物質弁別処理が施された場合には、物質弁別処理によって1種類の弁別対象物質「白金」が弁別される。具体的には、エネルギー帯「Bin8」において閾値α8よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin8」におけるROI内部の光子の数の平均値)が多く、エネルギー帯「Bin5」において閾値α5よりも計数された光子の数(エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の計数値の平均値)が多い場合には、物質弁別処理によって弁別対象物質「白金」を弁別することができる。したがって、複数のエネルギー帯「Bin8」及び「Bin5」は、1種類の弁別対象物質「白金」を弁別するためのものである。また、複数のエネルギー帯「Bin8」及び「Bin5」は、第2の複数のエネルギー帯の一例である。
収集部15は、ケース8における上述の指示を受信すると、光子が計数される複数のエネルギー帯をエネルギー帯「Bin8」及びエネルギー帯「Bin5」に切り替えて、エネルギー帯弁別処理を実行する。すなわち、収集部15は、検出素子ごとに、撮影制御部33により指定されたエネルギー帯「Bin8」及びエネルギー帯「Bin5」それぞれの光子の計数値を示すデータである光子計数データを作成する。そして、収集部15は、生成した光子計数データを撮影制御部33に出力する。なお、かかる光子計数データも、第2の光子計数データの一例である。
そして、撮影制御部33は、ケース5〜ケース8のそれぞれにおいて、収集部15に上述の指示を送信した後に、複数のエネルギー帯を切り換えてエネルギー帯弁別処理を実行する収集部15から逐次出力される光子計数データを受信する度に、次の処理を行う。すなわち、撮影制御部33は、物質弁別処理によって4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったか否かを判断する。
例えば、ケース5では、既に、「Bin2」及び「Bin3」については、物質弁別処理において弁別対象物質の弁別に必要な光子が計数されているため、撮影制御部33は、エネルギー帯「Bin1」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1を超え、エネルギー帯「Bin4」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin4」の平均値が閾値α4を超え、かつ、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5を超えたか否かを判定する。エネルギー帯「Bin1」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1を超え、エネルギー帯「Bin4」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin4」の平均値が閾値α4を超え、かつ、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5を超えたと判定した場合には、撮影制御部33は、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判断する。一方、エネルギー帯「Bin1」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin1」の平均値が閾値α1以下であるか、エネルギー帯「Bin4」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin4」の平均値が閾値α4以下であるか、又は、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5以下であると判定した場合には、撮影制御部33は、少なくとも1つのエネルギー帯において、まだ、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど光子の数が多くなっていないと判断する。
また、ケース6では、既に、「Bin1」及び「Bin3」については、物質弁別処理において弁別対象物質の弁別に必要な光子が計数されているため、撮影制御部33は、エネルギー帯「Bin6」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin6」の平均値が閾値α6を超え、エネルギー帯「Bin7」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin7」の平均値が閾値α7を超え、かつ、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5を超えたか否かを判定する。エネルギー帯「Bin6」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin6」の平均値が閾値α6を超え、エネルギー帯「Bin7」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin7」の平均値が閾値α7を超え、かつ、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5を超えたと判定した場合には、撮影制御部33は、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判断する。一方、エネルギー帯「Bin6」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin6」の平均値が閾値α6以下であるか、エネルギー帯「Bin7」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin7」の平均値が閾値α7以下であるか、又は、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5以下であると判定した場合には、撮影制御部33は、少なくとも1つのエネルギー帯において、まだ、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど光子の数が多くなっていないと判断する。
また、ケース7では、既に、「Bin1」及び「Bin2」については、物質弁別処理において弁別対象物質の弁別に必要な光子が計数されているため、撮影制御部33は、エネルギー帯「Bin6」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin6」の平均値が閾値α6を超え、エネルギー帯「Bin7」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin7」の平均値が閾値α7を超え、かつ、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5を超えたか否かを判定する。エネルギー帯「Bin6」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin6」の平均値が閾値α6を超え、エネルギー帯「Bin7」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin7」の平均値が閾値α7を超え、かつ、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5を超えたと判定した場合には、撮影制御部33は、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判断する。一方、エネルギー帯「Bin6」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin6」の平均値が閾値α6以下であるか、エネルギー帯「Bin7」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin7」の平均値が閾値α7以下であるか、又は、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5以下であると判定した場合には、撮影制御部33は、少なくとも1つのエネルギー帯において、まだ、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど光子の数が多くなっていないと判断する。
また、ケース8では、既に、物質弁別処理によって弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」を弁別することができるほど多くの光子が計数されているため、撮影制御部33は、エネルギー帯「Bin8」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin8」の平均値が閾値α8を超え、かつ、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5を超えたか否かを判定する。エネルギー帯「Bin8」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin8」の平均値が閾値α8を超え、かつ、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5を超えたと判定した場合には、撮影制御部33は、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判断する。一方、エネルギー帯「Bin8」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin8」の平均値が閾値α8以下であるか、又は、エネルギー帯「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値が閾値α5以下であると判定した場合には、撮影制御部33は、エネルギー帯「Bin8」及びエネルギー帯「Bin5」の少なくとも1つのエネルギー帯において、まだ、1種類の弁別対象物質「白金」を弁別することが可能なほど光子の数が多くなっていないと判断する。
そして、撮影制御部33は、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判断した場合には、1フレームのレントゲン画像の撮影を終了するために、X線の照射を終了するようにX線管12を制御する。
ここで、撮影制御部33は、ケース6において、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判断した場合には、「Bin2」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin2」の平均値を、次のように算出する。すなわち、撮影制御部33は、「Bin6」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin6」の平均値から、「Bin1」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin1」の平均値を引いた差を、「Bin2」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin2」の平均値として算出する。そして、撮影制御部33は、算出した「Count-Bin2」の平均値を画像生成部36に出力する。これにより、画像生成部36において、物質弁別処理により、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能となる。
また、撮影制御部33は、ケース7において、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判断した場合には、「Bin3」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin3」の平均値を、次のように算出する。すなわち、撮影制御部33は、「Bin7」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin7」の平均値と、「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値との和を、「Bin3」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin3」の平均値として算出する。そして、撮影制御部33は、算出した「Count-Bin3」の平均値を画像生成部36に出力する。これにより、画像生成部36において、物質弁別処理により、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能となる。
上述したように、撮影制御部33は、1フレームのレントゲン画像の撮影中に、収集部15から出力された光子計数データに基づいて、画像生成部36が実行する物質弁別処理によって全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」が弁別されることが可能な光子計数データを作成するように収集部15を制御する。そのため、画像生成部36は、物質弁別処理によって弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を精度良く弁別することができる。したがって、第1の実施形態に係るX線診断装置1によれば、多くの弁別対象物質を高精度で推定することができる。
次に、図8を用いて、第1の実施形態に係るX線診断装置1が実行する光子計数データ作成制御処理について説明する。図8は、第1の実施形態に係るX線診断装置1が実行する光子計数データ作成制御処理の一例を示すフローチャートである。かかる光子計数データ作成制御処理によって、1フレームのレントゲン画像が撮影される。また、撮影制御部33は、光子計数データ作成制御処理を実行することにより、収集部15に対してフィードバック制御を行う。すなわち、光子計数データ作成制御処理は、フィードバック処理である。
図8の例に示すように、撮影制御部33は、まず、操作者により予め設定された駆動計画を参照し、X線照射条件を取得し、取得したX線照射条件を高電圧発生部11及び駆動部14に通知する(ステップS101)。駆動部14は、かかるX線照射条件を受信すると、X線照射条件にしたがってレントゲン画像の撮影において適した位置にX線管12を移動する。高電圧発生部11は、かかるX線照射条件を受信すると、X線照射条件にしたがって、X線管12に高電圧を供給する。これにより、X線管12は、被検体PにX線を照射する。
ここで、駆動計画とは、撮影対象、被検体の固体差、用いる造影剤の種類、被検体の年齢等の情報を考慮し、照射するX線の照射時間、強度、エネルギー及び範囲等のX線照射条件や、弁別対象物質を定めた計画のことを言う。
なお、撮影対象等の違いにより、適切なX線照射条件は異なる。第1の例として、胸部を撮影する場合と腕を撮影する場合では、適切なX線の照射条件(管電圧、管電流)が異なる。撮影対象部位によって、X線の吸収率が異なり、また、撮影対象部位の厚みが異なるからである。第2の例として、被検体Pの固体差に応じて、適切なX線の照射条件が異なる。例えば、太っている人と、痩せている人では、体厚が異なるため、照射すべきX線のエネルギー及び、強さが異なる。第3の例として、造影撮影に用いる造影剤の種類や、物質弁別処理において注目する物質(弁別対象物質)の種類によっても、適切なX線の照射条件が異なる。
そして、撮影制御部33は、駆動計画を参照し、弁別される弁別対象物質の種類を特定し、特定した弁別対象物質の種類のうち少なくとも1つの弁別対象物質を弁別するための複数のエネルギー帯を用いてエネルギー帯弁別処理を行うことを開始するように収集部15を制御する(ステップS102)。
例えば、ステップS102では、撮影制御部33は、駆動計画を参照して、4種類の弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を特定し、4種類の弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」のうち3種類の弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」を弁別するための複数のエネルギー帯「Bin1」、「Bin2」及び「Bin3」を用いてエネルギー帯弁別処理を行うことを開始するように収集部15を制御する。
収集部15は、撮影制御部33による制御によって、撮影制御部33により指定された複数のエネルギー帯を用いてエネルギー帯弁別処理を行うことを開始し、次々に、光子計数データを作成し、作成した光子計数データを撮影制御部33及び画像生成部36に出力することを開始する(ステップS103)。
そして、撮影制御部33は、光子計数データを受信すると、次の処理を行う。すなわち、撮影制御部33は、光子計数データが示す複数のエネルギー帯それぞれにおけるROI内部の光子の数の平均値が、対応する閾値を超えているか否かを判定する(ステップS104)。
例えば、ステップS104において、撮影制御部33は、光子計数データが示すエネルギー帯「Bin1」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin1」の平均値が、閾値α1を超えているか否かを判定し、光子計数データが示すエネルギー帯「Bin2」における光子の数「Count-Bin2」の平均値が、閾値α2を超えているか否かを判定するとともに、光子計数データが示すエネルギー帯「Bin3」における光子の数「Count-Bin3」の平均値が、閾値α3を超えているか否かを判定する。
そして、撮影制御部33は、光子の数の平均値が対応する閾値を超えているエネルギー帯の数が所定値(例えば2)以上であるか否かを判定する(ステップS105)。光子の数の平均値が対応する閾値を超えているエネルギー帯の数が所定値未満であると判定した場合(ステップS105;No)には、撮影制御部33は、ステップS104に戻る。
一方、光子の数の平均値が対応する閾値を超えているエネルギー帯の数が所定値以上であると判定した場合(ステップS105;Yes)には、撮影制御部33は、エネルギー帯弁別処理において用いられる複数のエネルギー帯を他の複数のエネルギー帯に切り替えてエネルギー帯弁別処理を継続して行うように収集部15を制御する(ステップS106)。
例えば、ステップS106において、撮影制御部33は、上述のケース5〜ケース8で説明した処理を行う。
そして、撮影制御部33は、物質弁別処理によって、特定した全ての弁別対象物質を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったか否かを判断する(ステップS107)。例えば、撮影制御部33は、物質弁別処理によって、特定した全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったか否かを判断する。
撮影制御部33は、物質弁別処理によって、特定した全ての弁別対象物質を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなっていないと判定した場合(ステップS107;No)には、再び、ステップS107の判定を行う。すなわち、撮影制御部33は、物質弁別処理によって、特定した全ての弁別対象物質を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判定するまで、繰り返し、ステップS107の判定を行う。
撮影制御部33は、物質弁別処理によって、特定した全ての弁別対象物質を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判定した場合(ステップS107;Yes)には、1フレームのレントゲン画像の撮影を終了するために、X線の照射を終了するようにX線管12を制御する(ステップS108)。
なお、ステップS107で、撮影制御部33は、ケース6において、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判断した場合には、「Bin2」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin2」の平均値を、次のように算出する。すなわち、撮影制御部33は、「Bin6」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin6」の平均値から、「Bin1」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin1」の平均値を引いた差を、「Bin2」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin2」の平均値として算出する。そして、撮影制御部33は、算出した「Count-Bin2」の平均値を画像生成部36に出力する。
また、ステップS107で、撮影制御部33は、ケース7において、4種類の全ての弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」を弁別することが可能なほど各エネルギー帯の光子の数が多くなったと判断した場合には、「Bin3」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin3」の平均値を、次のように算出する。すなわち、撮影制御部33は、「Bin7」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin7」の平均値と、「Bin5」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin5」の平均値との和を、「Bin3」におけるROI内部の光子の数「Count-Bin3」の平均値として算出する。そして、撮影制御部33は、算出した「Count-Bin3」の平均値を画像生成部36に出力する。
そして、画像生成部36は、蓄積された光子計数データに対して物質弁別処理を施してレントゲン画像を生成し、生成したレントゲン画像を画像記憶部37に格納する(ステップS109)。例えば、ステップS109では、画像生成部36は、第1の光子計数データ及び第2の光子計数データに対して物質弁別処理を施してレントゲン画像を生成し、生成したレントゲン画像を画像記憶部37に格納する。このようなレントゲン画像は、上述の第1の複数のエネルギー帯及び上述の第2の複数のエネルギー帯によって弁別可能な、4種類の弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」が弁別された画像である。
以上、第1の実施形態に係るX線診断装置1について説明した。第1の実施形態に係るX線診断装置1によれば、上述したように、多くの弁別対象物質を高精度で推定することができる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
上述した第1の実施形態では、撮影制御部33が、各エネルギー帯におけるROI内部の光子の数の平均値が対応する閾値より高いか低いかの2段階で、収集部15におけるエネルギー帯弁別処理で用いられる複数のエネルギー帯を切り替える光子計数データ作成制御処理を実行する場合について説明した。しかしながら、光子計数データ作成制御処理において、各エネルギー帯におけるROI内部の光子の数の平均値を3以上の多段階のレベルに分類し、分類結果に応じて、収集部15におけるエネルギー帯弁別処理で用いられる複数のエネルギー帯を切り替えるようにしてもよい。そこで、このような実施形態を第1の実施形態の第1の変形例として説明する。
図9は、第1の実施形態の第1の変形例に係る光子計数データ作成制御処理の一例を説明するための図である。図9は、エネルギー帯ごとに、ROI内部の光子の数の平均値を多段階のレベルに分類する方法の一例を示す。ROI内部の光子の数の平均値xに対して、各エネルギー帯に、さらに、閾値Cが設定される。閾値Cは、第1の実施形態で説明した各エネルギー帯に設定される閾値α1〜α8よりも小さい値である。なお、以下の説明では、閾値α1〜α8を区別することなく説明する場合には、閾値αと表記する。
ROI内部の光子の数の平均値xが閾値Cよりも大きく閾値α以下であり、かつ、光子の数の平均値xが閾値α以下となるエネルギー帯の数が1つである場合(カウントレベル「L1」の場合)には、撮影制御部33は、上述のケース5及びケース7のうち、光子の数の平均値xと閾値αとの条件が合致するケースで説明した内容の処理を行う。
また、ROI内部の光子の数の平均値xが閾値C以下であり、かつ、光子の数の平均値xが閾値α以下となるエネルギー帯の数が1つである場合(カウントレベル「L2」の場合)には、このエネルギー帯では、ほとんど光子が計数されていないと考えられる。そのため、より多くの光子が迅速に計数されるように、このエネルギー帯の幅を大きくして、エネルギー帯弁別処理が行われることが好ましい。そこで、撮影制御部33は、上述のケース5の場合に、カウントレベル「L2」となったときには、エネルギー帯「Bin1」の幅が大きくされた複数のエネルギー帯(「Bin1’」、「Bin4」、「Bin5」)を用いてエネルギー帯弁別処理を行うように収集部15を制御する。これにより、より多くの光子を迅速に計数することができる。なお、「Bin1’」は、エネルギー帯「Bin1」の幅を大きくしたエネルギー帯を指す。
また、撮影制御部33は、上述のケース7の場合に、カウントレベル「L2」となったときには、エネルギー帯「Bin7」の幅が大きくされた複数のエネルギー帯(「Bin6」、「Bin7’」、「Bin5」)を用いてエネルギー帯弁別処理を行うように収集部15を制御する。これにより、より多くの光子を迅速に計数することができる。なお、「Bin7’」は、エネルギー帯「Bin7」の幅を低エネルギー側に大きくしたエネルギー帯を指す。
このように第1の実施形態の第1の変形例によれば、光子の数の平均値xが閾値α以下であっても、平均値xが閾値αに近いのか、それとも、平均値xが閾値C以下となるようなかなり小さい値であるのかによって、収集部15がエネルギー帯弁別処理を行う際に用いるエネルギー帯の幅を適切に変化させる。したがって、第1の実施形態の第1の変形例によれば、より短い時間で、多くの弁別対象物質を高精度で推定することができる。
また、第1の実施形態の第1の変形例によれば、光子の数の平均値xが閾値C以下である場合に、収集部15がエネルギー帯弁別処理を行う際に用いるエネルギー帯の幅を未知の弁別対象物質を弁別可能な幅のエネルギー帯に変化させることもできる。この場合には、弁別対象物質が未知である場合などに有効である。
(第1の実施形態の第2の変形例及び第3の変形例)
第1の実施形態では、X線診断装置として、被検体Pが立った状態で撮影する、いわゆる立位撮影台方式でX線一般撮影を行う装置を一例として説明した。しかし、第1の実施形態で説明した内容は、X線一般撮影を行う装置以外のX線診断装置以外にも適用可能である。図10及び図11は、第1の実施形態の第2の変形例及び第3の変形例を説明するための図である。
ここで、図10は、第1の実施形態で説明した内容を適用可能なX線診断装置として、上部消化管検査用のX線一般撮影装置の構成例を示している。また、図11は、第1の実施形態で説明した内容を適用可能なX線診断装置として、マンモグラフィの構成例を示している。なお、図10及び図11では、説明を簡単にするため、図1に示すX線診断装置を構成する複数の処理部それぞれに対応する処理部に対して同一の符号を付与している。
図10に例示する上部消化管検査用のX線一般撮影装置は、例えば、天井に設置されたX線管12から、下向きにX線が照射され、被検体Pが横になるベッドの裏側に設置された検出器13が、X線の入射に応じて検出信号を出力する。ここで、上部消化管検査用のX線一般撮影装置は、X線管12及びベッドが臥位から立位、立位から臥位等、様々な状態に移動されることで、例えば、被検体Pの上部消化管の造影撮影が行われる。かかる構成の元、図10に例示する臥位撮影台方式のX線一般撮影装置が、第1の実施形態で説明した光子計数データ作成制御処理を行うことで、多くの弁別対象物質を高精度で推定することができる。
また、図11に例示するマンモグラフィは、X線管12から,圧迫板及び撮影台で挟み込まれて伸展された被検体Pの乳房20に対してX線が照射される。そして、図11に例示するマンモグラフィは、撮影台の裏側に設置された検出器13が、X線の入射に応じて検出信号を出力する。通常、マンモグラフィを用いた検査では、左右それぞれの乳房20を撮影台に抑えつけて圧迫し、所定の厚みになったところで、例えば、左右それぞれ撮影方向を変えて2枚ずつ、合計で4枚撮影する。かかる構成の元、図11に例示するマンモグラフィが、第1の実施形態で説明した光子計数データ作成処理を行うことで、多くの弁別対象物質を高精度で推定することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態及び第1の実施形態の第1〜第3の変形例では、X線診断装置1が静止画としてのX線画像を生成する例を用いて説明した。これに対して、第2の実施形態では、X線透視撮影を行うX線診断装置において、複数のエネルギー帯それぞれの計数データに基づいて、収集部15がエネルギー帯弁別処理を行う際に用いる複数のエネルギー帯の適応的変更が行われる場合について説明する。
ここで、X線透視撮影とは、X線を用いてリアルタイムに観察部位を時系列に沿って撮影することを言う。X線透視撮影装置としてのX線診断装置は、複数の撮影時間で時系列に沿った複数の静止画を生成し、生成した複数の静止画を、順次表示することで、X線透視画像の動画表示を行う。例えば30fpsの場合、X線透視撮影装置は、1秒間当たり30フレーム(30個)の静止画を撮影する。そして、X線透視撮影装置は、所定のフレーム数の静止画、例えば、3フレームの静止画を用いて1フレームの静止画を新たに生成する。
第1の実施形態及び第1の実施形態の第1〜第3の変形例で説明した光子計数データ作成制御処理は、1フレームの間の処理、すなわち、一つの静止画を作成する過程でのフィードバック制御処理であった。第2の実施形態に係るX線診断装置は、例えば、あるフレームにおいて得られた計数データを基に、次のフレームにおいて収集部15がエネルギー帯弁別処理を行う際に用いる複数のエネルギー帯を決定する。
図12は、第2の実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図である。なお、図12では、説明を簡単にするため、図1に示すX線診断装置を構成する複数の処理部それぞれに対応する処理部に対して同一の符号を付与している。図12に例示するX線診断装置は、アンギオ(血管造影)検査等を行う装置であり、X線管12及び検出器13を保持するCアームを有し、駆動部14は、Cアームを回転及び移動させる。図12に例示するX線診断装置は、被検体Pがベッドに載置した状態で、透視撮影に適したX線照射角度となるまで、Cアームが回転及び移動される。また、図12に例示するX線診断装置は、被検体Pがベッドに載置した状態で、Cアームが様々な位置に回転及び移動されることで、複数のX線照射角度で透視撮影を行う。
かかる構成の元、第2の実施形態に係る収集部15は、光子計数データを複数フレームに渡って作成する。そして、第2の実施形態に係る撮影制御部33は、ある静止画の撮影において収集部15が作成した光子計数データに基づいて、次の静止画の撮影において収集部15が光子計数データを作成する際に用いられる複数のエネルギー帯を決定する。図13は、第2の実施形態に係るフィードバック制御の一例を説明するための図である。
図13の横軸は時刻「t」を表し、フレーム1の静止画、フレーム2の静止画、フレーム3の静止画が時系列に沿って順次生成されることを示している。また、図13で、フレーム1、フレーム2、フレーム3それぞれからの下向きの矢印は、X線照射から、各フレームでの画像が生成されるまでの処理の流れを概念的に表したものである。すなわち、一つのフレームにおいて、第1の段階として、X線が被検体Pに照射される。第2の段階として、被検体Pを透過したX線を、検出器13が検出する。第3の段階として、収集部15が、検出器13からの出力信号に基づいて光子計数データを作成する。第4の段階として、撮影制御部33が、光子計数データを用いて、第1の実施形態と同様の方法で、次の静止画の撮影における、収集部15が光子計数データを作成する際に用いられる複数のエネルギー帯を決定する。
なお、1フレーム分のX線照射が終了すると、画像生成部36は、収集部15から受け渡された計数データを基に、物質弁別処理により、1枚のX線画像を生成する。そして、画像生成部36は、所定数のX線画像、例えば、3枚のX線画像を元に、新たに、1枚のX線画像を生成する。生成されたX線画像は、必要に応じて、画像記憶部37に保存され、或いは、システム制御部38の制御により表示部32で表示される。
ここで、1フレーム分のX線照射が終了すると、第2の実施形態に係る撮影制御部33は、収集部15から受け渡された計数データを基に、次の静止画の撮影における、収集部15が光子計数データを作成する際に用いられる複数のエネルギー帯を決定する。実施形態1及び実施形態1の第1〜第3の変形例では、撮影制御部33が収集部15をリアルタイムでフィードバック制御する。一方、第2の実施形態では、撮影制御部33は、1フレーム分のX線照射が終了したのち、次のフレームにおいて、決定した複数のエネルギー帯を用いて光子計数データを作成するように収集部15を制御する。
このようにして、フレーム1においてX線照射が終了すると、撮影制御部33は、図13に示すように、フレーム2における上述の複数のエネルギー帯を決定し、決定した複数のエネルギー帯を用いて光子計数データを作成するように収集部15をフィードバック制御する。また、画像生成部36は、フレーム1に対応する静止画を生成する。次に、フレーム2において、X線照射が開始され、その後X線照射が終了すると、撮影制御部33は、図13に示すように、フレーム3における上述の複数のエネルギー帯を決定し、決定した複数のエネルギー帯を用いて光子計数データを作成するように収集部15をフィードバック制御する。また、画像生成部36は、フレーム2に対応する静止画を生成する。この処理が、撮影終了まで繰り返される。そして、画像生成部36は、3枚の静止画を用いて、新たな1枚の静止画を生成する。この静止画がX線透視画像の連続撮影において用いられる。
このような処理を行うことで、第2の実施形態では、X線透視画像の連続撮影においても、多くの弁別対象物質を高精度で推定することができる。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態、第1の実施形態の第1〜第3の変形例では、複数のエネルギー帯それぞれの計数データに基づくX線照射条件のフィードバック制御が、X線診断装置において行われる場合について説明した。しかし、第1及び第2の実施形態、第1の実施形態の第1〜第3の変形例で説明したフィードバック制御は、X線CT装置に適用される場合であっても良い。図14は、第3の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示すブロック図である。
第3の実施形態に係るX線CT装置は、架台装置としての撮影装置100、寝台装置200、及び、コンソール装置300を備える。撮影装置100は、例えば、高電圧発生部110、X線管120、検出器130、架台駆動部140、収集部150、回転フレーム160を備える。高電圧発生部110は、図1の高電圧発生部11に対応する。また、X線管120は、図1のX線管12に対応する。また、収集部150は、図1の収集部15に対応する。ただし、X線CT装置では、回転フレーム160により、X線管120と検出器130とが被検体Pを挟んで対向するように支持され、回転フレーム160は、架台駆動部140によって被検体Pを中心した円軌道にて高速に回転する。
X線管120は、X線を照射する。また、検出器130は、X線の入射に応じて検出信号を出力する。収集部150は、エネルギー帯弁別処理を実行して、複数のエネルギー帯それぞれの光子の数を示す光子計数データを作成する。収集部150は、複数の管球位相(複数のビュー)それぞれにおいて、光子計数データを作成する。ここで、収集部150は、例えば、(x,y,Count-Bin1,Count-Bin2,Count-Bin3,view)という形式のデータを撮影制御部330及び前処理部340に出力する。ここで、「view」は、X線が照射された際のビューを指す。例えば、ビューとは、X線管120、被検体P及び検出器130の相対的位置関係のことを言う。
また、図14に示すように、寝台装置200は、被検体Pを載せる装置であり、天板220と、寝台駆動装置210とを有する。天板220は、被検体Pが載置されるベッドであり、寝台駆動装置210は、天板220をZ軸方向へ移動して、被検体Pを回転フレーム160内に移動させる。
また、図14に示すように、コンソール300は、入力部310、表示部320、撮影制御部330、前処理部340、投影データ記憶部350、画像再構成部360、画像記憶部370及びシステム制御部380を備える。
入力部310及び表示部320は、図1の入力部31及び表示部32に対応する。また、撮影制御部330は、図1の撮影制御部33に対応し、後述するシステム制御部380の制御のもと、撮影装置100及び寝台装置200の動作を制御することで、撮影装置100における光子計数データの作成を制御する。第3の実施形態では、撮影制御部330は、収集部150で作成された光子計数データに基づいて、収集部150が光子計数データを作成する際に用いられる複数のエネルギー帯を決定する。なお、撮影制御部330については、後述する。
前処理部340は、収集部150から送信された光子計数データに対して、対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の補正処理を行なうことで、投影データを生成する。
投影データ記憶部350は、前処理部340により生成された投影データを記憶する。すなわち、投影データ記憶部350は、X線CT画像データを再構成するための投影データ(補正済み計数データ)を記憶する。
画像再構成部360は、投影データ記憶部350が記憶する投影データ(補正済み計数データ)を用いて、撮影部位における画像(X線CT画像)を再構成する。再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。また、画像再構成部360は、逐次近似法により、再構成処理を行っても良い。また、画像再構成部360は、X線CT画像や、再構成前の投影データに対して各種画像処理を行なうことで、単色X線画像や密度画像、実効原子番号画像等様々な画像を生成する。かかる画像処理としては、例えば、再構成画像レベルや、投影データレベルでの物質弁別処理が挙げられる。画像再構成部360は、再構成したX線CT画像や、各種画像処理により生成した画像を画像記憶部370に格納する。
システム制御部380は、撮影装置100、寝台装置200及びコンソール装置300の動作を制御することによって、X線CT装置の全体制御を行う。具体的には、システム制御部380は、撮影制御部330を制御することで、撮影装置100で行なわれるCTスキャンを制御する。また、システム制御部380は、前処理部340や、画像再構成部360を制御することで、コンソール装置300における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、システム制御部380は、画像記憶部370が記憶する各種画像データを、表示部320に表示するように制御する。
ここで、X線診断装置で得られる1方向(1ビュー)での光子計数データ(又は、画像)は、X線CT装置で得られる1方向での光子計数データに基づく投影データと見なすことができる。X線CT装置は、回転フレーム160を回転させることにより、X線管120、被検体P及び検出器130の間の互いの位置関係を少しずつ変えながら撮影して、複数方向の光子計数データを作成し、複数方向の光子計数データから生成した複数方向の各エネルギー帯の投影データを再構成することで、様々な画像を生成する。
X線CT装置では、例えば、回転フレーム160が1回転すると、1フレーム分の投影データが収集される。ここで、撮影開始時から、回転フレーム160の最初の1回転を第1サイクル、回転フレーム160の2回目の1回転を第2サイクルと呼ぶ。
撮影制御部330は、第1サイクルにおける複数のビューそれぞれにおいて作成された光子計数データに基づいて、第2サイクルに対応するビューそれぞれにおいて、収集部150が光子計数データを作成する際に用いられる複数のエネルギー帯を決定する。例えば、撮影制御部330は、第1サイクルにおけるビュー「V1」において作成された光子計数データに基づいて、第2サイクルにおけるビュー「V1」において、収集部150が光子計数データを作成する際に用いられる複数のエネルギー帯を決定する。
そして、撮影制御部330は、第2サイクルにおけるビューにおいて、決定した複数のエネルギー帯を用いて光子計数データを作成するように収集部150を制御する。例えば、撮影制御部330は、第2サイクルにおけるビュー「V1」において、決定した複数のエネルギー帯を用いて光子計数データを作成するように収集部150を制御する。撮影制御部330は、全てのサイクルに対して、全てのビューまたは少なくとも1つのビューにおいて、上記の処理をX線CT画像の撮影が終了するまで繰り返す。これにより、画像再構成部360は、4種類の弁別対象物質「ヨード」、「ガドリニウム」、「頭蓋」、「白金」が弁別された画像を再構成する。
このように、第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態、第1の実施形態の第1〜第3の変形例で説明したフィードバック制御を、X線CT装置に適用することで、フォトンカウンティングCTにおいても多くの弁別対象物質を高精度で推定することができる。
なお、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の第1〜第3の実施形態、第1の実施形態の第1〜第3の変形例で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態によれば、多くの弁別対象物質を高精度で推定することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。