JP7426310B2 - X線コンピュータ断層撮像装置 - Google Patents

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本明細書等に開示の実施形態は、X線コンピュータ断層撮像装置に関する。
救急医療の現場では、例えば、FACT(Focused Assessment with CT for Trauma)と呼ばれる撮像が実行される。このFACTでは、X線CT(Computed Tomography)撮像と読影とを例えば3分以内に終えなければならず、とにかく時間が大切である。FACTは、頭頚部から鼠径部または大腿部までの100cm近い撮像範囲を対象とする撮像を実行するため、例えばスキャンと再構成だけで1分近くかかる。
X線CT装置によっては、被検体のスキャンと並行してリアルタイム再構成処理を実行することができるものもある。しかしながら、この様なX線CT装置であっても、救急医療に場合には、X線CT装置の画像再構成処理の待ち時間、救急用AI(Artificial Intelligence)を実施する画像処理の時間、X線CT装置からワークステーションへのデータ転送時間等の節約や効率化が大きな課題となっている。
特開2019-162445号公報
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、スキャンと同時に実行されるリアルタイム再構成を利用して被検体の体部位領域をリアルタイムに推定し診断情報提供にかかる時間を短縮することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置は、スキャン実行部と、画像生成部と、分布情報生成部と、体部位推定部(以下略して「推定部」)とを備える。前記スキャン実行部は、被検体にX線を照射し、前記被検体を透過したX線を検出して投影データを取得するスキャンを実行する。前記画像生成部は、前記スキャン実行部による前記スキャンと並行して前記投影データを再構成する処理を実行し、複数のリアルタイム再構成画像を生成する。前記分布情報生成部は、前記複数のリアルタイム再構成画像に基づいて、前記被検体の吸収線量に関する分布情報を生成する。前記推定部は、前記分布情報に基づいて、前記複数のリアルタイム再構成画像に含まれる前記被検体の体部位領域をリアルタイムに推定する。
図1は、実施形態に係るX線CT装置の構成の一例を示すブロック図である。 図2は、分布情報生成機能が実行する分布情報生成処理を説明するための図である。 図3は、推定機能が実行する体部位領域推定処理を説明するための図である。 図4は、画像処理機能が実行する体部位領域毎の画像処理を説明するための図である。 図5は、実施形態に係るX線CT装置のスキャンから画像の表示までの一連の動作の流れを示したフローチャートである。 図6は、比較例に係るX線CT装置のワークフローの一例と、本実施形態に係るX線CT装置1のワークフローの一例とを示した図である。 図7は、血管造影前のスキャンによって得られる吸収線量プロファイルと、血管造影後のスキャンによって得られる吸収線量プロファイルとの対応関係の一例を示した図である。 図8は、第3の実施形態に係るX線CT装置のスキャンから画像の表示までの一連の動作の流れを示したフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と寝台装置30とコンソール装置40とを有する。
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対して水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。
架台装置10は、被検体PをX線でスキャンするための撮像系としての装置である。ここで、スキャンとは、例えば、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データ(又は投影データ)を収集するまでの処理を意味する。架台装置10は、X線管11と、ウェッジ16と、コリメータ17と、X線検出器12と、X線高電圧装置14と、DAS(Data Acquisition System)18と、回転フレーム13と、制御装置15と、寝台装置30とを有する。
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。
ウェッジ16は、例えばウェッジフィルタ(wedge filter)またはボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をデータ収集装置(DAS18)へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として一つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(体軸方向、列方向とも呼ばれる)に複数配列された構造を有する。
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽版を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器などの電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。なお、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
DAS18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。なお、X線管11、X線検出器12、DAS18は、例えばスキャン実行部の一例である。すなわち、X線管11、X線検出器12、DAS18は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して投影データを取得する。
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に支持してもよい。なお、DAS18が生成した検出データは、一例として、回転フレーム13に設けられた発光ダイオードを有する送信機から光通信によって、固定フレームの等の架台装置10の非回転部分に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、光通信に限らず、非接触型のその他の方式のデータ伝送方法を用いて行ってもよい。
制御装置15は、CPU等を有する処理回路と、モータやアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40に取り付けられた入力インターフェース回路43若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェース回路からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。また、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10及び寝台装置30を動作させる制御を行う。
例えば、制御装置15は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェース回路によって入力される傾斜角度(チルト角度)情報に基づいて、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって、架台装置10をチルトさせる。なお、制御装置15または処理回路45の有する動作制御機能45aは、制御部の一例である。
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備える。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33をその長軸方向(図1のZ軸方向)に移動させるモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
寝台駆動装置32は、制御装置15からの制御信号に従って、基台31を上下方向に移動させる。寝台駆動装置32は、制御装置15からの制御信号に従って、天板33を長軸方向に移動させる。
コンソール装置40は、ユーザによるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集されたX線検出データからX線CT画像データを再構成する装置である。コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース回路43と、通信インターフェース回路44と、処理回路45とを備える。
メモリ41は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。メモリ41は、例えば投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、記憶部の一例である。
また、メモリ41は、後述する動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、分布情報生成機能45d、推定機能45e、画像処理機能45fを実現するための専用プログラムを格納する。
また、メモリ41は、吸収線量に関する参照情報を記憶する。ここで、吸収線量に関する参照情報とは、人体の部位毎の典型的な吸収線量に関する分布情報であり、例えば、人体の部位毎の典型的な吸収線量プロファイル、最大CT値投影プロファイル等である。
ディスプレイ42は、ユーザが参照するモニタであり、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路45によって生成された医用画像(CT画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ42は、表示部の一例である。
入力インターフェース回路43は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路45に出力する。例えば、入力インターフェース回路43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等をユーザから受け付ける。また、例えば、入力インターフェース回路43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。入力インターフェース回路43は、入力部の一例である。
通信インターフェース回路44は、ネットワークNを介して、HIS(Hospital Information System)サーバ、RIS(Radiology Information System)サーバ、PACS(Picture Archiving and Communication System)サーバ、他の医用画像診断装置、読影端末との間で通信を行う。例えば、通信インターフェース回路44は、PACSサーバへ再構成画像データを送信する。
処理回路45は、X線CT装置1全体の動作を制御する。処理回路45は、例えば、動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、分布情報生成機能45d、推定機能45e、画像処理機能45fを有する。実施形態では、構成要素である動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、分布情報生成機能45d、推定機能45e、画像処理機能45fにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路45はプログラムをメモリ41から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路45は、図1の処理回路45内に示された各機能を有することになる。
なお、図1においては単一の処理回路45にて、動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、分布情報生成機能45d、推定機能45e、画像処理機能45fにて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路45を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
動作制御機能45aは、入力インターフェース回路43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、処理回路45の各種機能を制御する、例えば、動作制御機能45aは、入力インターフェース回路43を介して、ログインのためのユーザ情報(例えばユーザID等)、被検体情報、撮像プロトコル等の入力を受け付ける。
また、動作制御機能45aは、画像処理機能45fによって生成されたMIP画像、VR画像を、ディスプレイ42に表示させる。
また、動作制御機能45aは、通信インターフェース回路44を介して、取得した投影データ、再構成画像を、ネットワークNを介してPACSサーバに転送する。このとき、動作制御機能45aは、推定機能45eによって推定された異常候補領域を含む体部位領域に対応する画像群を優先的に転送する。なお、推定機能45eによる体部位領域の推定、異常候補領域の推定については、後で詳しく説明する。
前処理機能45bは、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正などの前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
再構成処理機能45cは、前処理機能45bにより生成された投影データに対して、再構成条件に従って本再構成処理、リアルタイム再構成処理を実行しCT画像を生成する。
ここで、本実施形態において、本再構成処理とは、画像診断に用いる比較的解像度の高い画像を取得するために実行される再構成処理である。なお、本再構成処理によって生成されたCT画像を、「本再構成画像」とも呼ぶ。また、再構成条件とは、複数の項目(FOV、再構成関数、再構成範囲、再構成ピッチ、再構成処理において使用するフィルタ処理等)の組合せによって決定される条件を意味するものとする。
また、本実施形態において、リアルタイム再構成とは、X線管11及びX線検出器12とが被検体を挟んで回転しながら多方向の投影データを収集する際に、短時間で予め設定した回転数分の断層画像データを順次に再構成して繰り返す再構成方法である。従って、リアルタイム再構成では、1回転の投影データの取得で1枚の断層画像データを再構成し、次の1回転の投影データの取得で次の1枚の断層画像データを再構成するというように、スキャンの連続的な動作と並行してリアルタイム再構成が行われる。なお、リアルタイム再構成処理によって生成されたCT画像を、「リアルタイム再構成画像」とも呼ぶ。また、リアルタイム再構成画像は、本再構成画像と比較した場合、一般的に解像度が低い。
なお、本再構成処理、リアルタイム再構成処理に用いる再構成手法は、どのようなものであってもよい。例えば、フィルタ補正逆投影法、逐次近似再構成法、逐次近似応用再構成法、機械学習によるモデルを用いる再構成法等を用いることができる。
分布情報生成機能45dは、複数のリアルタイム再構成画像に基づいて分布情報生成処理を実行する。ここで、分布情報生成処理とは、複数のリアルタイム再構成画像を用いて、被検体の吸収線量に関する分布情報を生成する処理である。
例えば、分布情報生成機能45dは、リアルタイム再構成処理によって取得された複数のリアルタイム再構成画像(例えばアキシャル断面画像)と、AP(Anterior-Posterior)方向について基準となるX線パスとを用いて、吸収線量をリアルタイム再構成画像毎に計算する。分布情報生成機能45dは、得られたリアルタイム再構成画像毎の吸収線量をZ軸方向に繋げて、当該被検体のAP方向に関するZ軸方向の吸収線量プロファイルを生成する。同様に、分布情報生成機能45dは、複数のリアルタイム再構成画像と、LR(Left-Right)方向について基準となるX線パスとを用いて、当該被検体のLR方向に関するZ軸方向の吸収線量プロファイルを生成する。なお、AP方向又はLR方向に関するZ軸方向の吸収線量プロファイルは吸収線量に関する分布情報の一例である。
また、例えば、分布情報生成機能45dは、リアルタイム再構成処理によって取得された複数のリアルタイム再構成画像と、AP方向について基準となるX線パスとを用いて、当該X線パス上の最大CT値をリアルタイム再構成画像毎に計算する。分布情報生成機能45dは、得られたリアルタイム再構成画像毎の最大CT値をZ軸方向に繋げて、当該被検体のAP方向に関するZ軸方向の最大CT値投影プロファイルを生成する。同様に、分布情報生成機能45dは、複数のリアルタイム再構成画像と、LR方向について基準となるX線パスとを用いて、当該被検体のLR方向に関するZ軸方向の最大CT値投影プロファイルを生成する。なお、AP方向又はLR方向に関するZ軸方向の最大CT値投影プロファイルは吸収線量に関する分布情報の一例である。
なお、以下においては、説明を具体的にするため、吸収線量に関する分布情報が吸収線量プロファイルである場合を例とする。しかしながら、吸収線量に関する分布情報は吸収線量プロファイルに限られず、最大CT値投影プロファイルであってもよいし、他の手法によって生成された吸収線量に関するプロファイルであってもよい。
図2は、分布情報生成機能45dが実行する分布情報生成処理を説明するための図である。図2において、Aは寝台装置30の天板33に載置された被検体を模式的に示している。矢印B1は、当該被検体がフットファースト(Foot First)で撮像されることを模式的に示している。複数の断層像C1は、リアルタイム再構成によって被検体の鼠蹊部から順に生成された複数のリアルタイム再構成画像を示している。曲線P1は、当該被検体の鼠蹊部から頭部にかけてのLR方向(又はAP方向)についての吸収線量プロファイルを示している。
図2に示した様に、分布情報生成機能45dは、スキャンが開始された鼠蹊部から順に生成される複数のリアルタイム再構成画像と基準となるX線パスとを用いて、各断面におけるLR方向に関する吸収線量を計算する。分布情報生成機能45dは、各断面において計算した吸収線量を体軸方向(Z軸方向)に繋げることで、当該被検体のLR方向に関する吸収線量プロファイルP1を生成する。また、分布情報生成機能45dは、被検体のAP方向についても同様に吸収線量プロファイルP1を生成する。
フットファーストでスキャンを実行した場合、鼠蹊部から順にリアルタイム再構成画像が生成されることになる。従って、吸収線量プロファイルP1は、再構成処理機能45cによるリアルタイム再構成画像の生成と連動して鼠蹊部から順番に生成されることになる。また、X線の吸収線量は、被検体の体の部位の大きさや厚さ等に応じて異なる。従って、図2に示した様に、吸収線量プロファイルP1は、被検体の体の部位に応じて変化する曲線を描くことになる。
分布情報生成機能45dは、吸収線量プロファイルP1をリアルタイムでモニタリングし、吸収線量及び吸収線量変化率の少なくとも一方が閾値以上に変化した場合には、当該変化に対応するリアルタイム再構成画像のスライス位置(z軸上の位置)を推定機能45eに出力する。
推定機能45eは、体部位領域推定処理を実行する。ここで、体部位領域推定処理とは、分布情報生成機能45dから受け取るスライス位置とメモリ41に記憶された吸収線量に関する参照情報に基づいて、吸収線量プロファイルを複数の領域に区分し、各領域が被検体のどの体部位領域に対応するのかを推定する処理である。
図3は、推定機能45eが実行する体部位領域推定処理を説明するための図である。図3において、実線の曲線P1は吸収線量プロファイルの一部を示している。また、吸収線量プロファイルP1のz軸上の位置z1、z2、z3のそれぞれにおいて、吸収線量及び吸収線量変化率の少なくとも一方が閾値以上に変化した場合を想定している。
例えば、分布情報生成機能45dは、吸収線量プロファイルP1を生成しながらその値をリアルタイムでモニタリングし、閾値以上の吸収線量及び閾値以上の吸収線量変化率の少なくとも一方が検出されると、スライス位置z1を推定機能45eに出力する。スライス位置z2、z3についても同様である。
推定機能45eは、分布情報生成機能45dから逐次受け取るスライス位置z1、z2を用いて、吸収線量プロファイルの一部をz1、z2を境界とする区間R1に区分する。推定機能45eは、区間R1に含まれる吸収線量プロファイルが、どの部位の吸収線量に関する参照情報と類似するかを判定する。この判定は、例えば各領域の吸収線量プロファイルと各部位の吸収線量に関する参照情報との類似度等を利用することができる。推定機能45eは、判定結果に基づいて、区間R1は当該被検体の骨盤領域であると推定する。
同様に、推定機能45eは、分布情報生成機能45dから逐次受け取るスライス位置z3を用いて、吸収線量プロファイルの一部をz2、z3を境界とする区間R2に区分する。推定機能45eは、区間R2に含まれる吸収線量プロファイルが、どの部位の吸収線量に関する参照情報と類似するかを判定する。推定機能45eは、判定結果に基づいて、区間R2は当該被検体の腹部領域であると推定する。
また、推定機能45eは、再構成処理機能45cによって生成される複数のリアルタイム再構成画像を、推定した体部位領域毎の複数の群に分類する。推定機能45eは、逐次的に生成される複数のリアルタイム再構成画像のうち、推定した各体部位領域に対応するリアルタイム再構成画像の範囲(各体部位領域のデータ範囲)を特定し、画像処理機能45fに出力する。推定機能45eは、推定した各体部位領域に対応するリアルタイム再構成画像の範囲(各体部位領域のデータ範囲)の画像群が推定した各体部位領域に特徴的な画像情報を有しているかを解剖学的なデータベースや参考画像群等でチェックし特定してもよい。
画像処理機能45fは、例えば、入力インターフェース回路43を介してユーザから受け付けた入力操作に応答して、再構成処理により生成された複数の画像を用いて、MPR(Multi Planar Reconstruction)処理によるMPR画像やVR(Volume Rendering)処理によるVR画像を生成する。
画像処理機能45fは、推定機能45eから各体部位領域のデータ範囲を受け取り、例えば各体部位領域のデータ範囲毎に複数のリアルタイム再構成画像を取得する。画像処理機能45fは、体部位領域毎の複数のリアルタイム再構成画像に対し、AP方向、LR方向のCT値最大投影プロファイルに基づいて、骨抜き処理の基点(シード点)を設定する。画像処理機能45fは、設定されたシード点を用いて複数のリアルタイム再構成画像において骨抜き処理を実行する。画像処理機能45fは、骨抜き処理が実行された複数のリアルタイム再構成画像を用いて、例えばAP方向のプロファイルの幅で最大値投影されたMIP画像、VR画像を生成する。
また、画像処理機能45fは、骨抜き処理が実行された体部位領域毎の複数のリアルタイム再構成画像を用いて閾値処理、或いはサブトラクション処理等を実行し、血管領域を検出する。
また、画像処理機能45fは、血管領域が検出された体部位領域毎の複数のリアルタイム再構成画像を用いて、体軸方向(z軸方向)の前後の数スライスで血管領域が急激に変化する位置(例えば、血管領域が途中で止まる位置、続きの領域がなくなる位置、血管領域が急激に広がる位置)を検出する。
なお、血管領域が急激に変化する位置とは、血管領域の領域伸長方向に対する面積変化がある閾値(例えば10%)以上となるような位置、血管領域が伸長方向に関して途切れてまた見つかるような場合の途切れた区間の両端の位置等を意味する。この様な血管領域が急激に変化する位置は、出血、大動脈瘤、大動脈解離の異常の発生候補領域(以下、「異常候補領域」と呼ぶ。)となる。また、本実施形態においては、血管領域が急激に変化する位置の検出処理は、ヘッドファースト及びフットファーストのいずれであっても、血管領域が検出された体部位領域毎の複数のリアルタイム再構成画像を用いて、例えば頭側から脚側に向かって(すなわち、動脈走行方向に沿って)、数スライス単位、或いは領域単位で実行される。
図4は、画像処理機能45fが実行する体部位領域毎の画像処理を説明するための図である。図4に示した様に、画像処理機能45fは、例えば、推定機能45eから受け取った体部位領域のデータ範囲に基づいて、区間R2の腹部領域に対応する複数のリアルタイム再構成画像C1を取得する。画像処理機能45fは、取得した複数のリアルタイム再構成画像C1を用いて骨抜き処理を実行する。画像処理機能45fは、骨抜き処理が実行された複数のリアルタイム再構成画像を用いて血管領域を特定し、異常候補領域を検出する。画像処理機能45fは、骨抜き処理が実行された複数のリアルタイム再構成画像を用いて、検出された異常候補領域d1が強調されたVR画像D1を生成する。
次に、実施形態に係るX線CT装置1のスキャンから異常候補領域が明示された画像の表示までの動作の流れについて説明する。
図5は、第1の実施形態に係るX線CT装置1のスキャンから画像の表示までの一連の動作の流れを示したフローチャートである。図5に示す様に、まず、X線CT装置1を用いた被検体の全身スキャンがフットファーストによって開始されると、再構成処理機能45cは、当該全身スキャンと並行して、例えば1回転の投影データが取得される毎に1枚のリアルタイム再構成画像を再構成する(ステップS1)。再構成処理機能45cによって再構成されたリアルタイム再構成画像は、イメージバッファとしてのメモリ41に逐次格納される(ステップS2)。
動作制御機能45aは、逐次生成されイメージバッファに格納されるリアルタイム再構成画像を、ディスプレイ42に順次表示する(ステップS3)。
分布情報生成機能45dは、逐次生成されイメージバッファに格納されるリアルタイム再構成画像を用いて、吸収線量の分布情報として、当該被検体のAP方向に関するZ軸方向の吸収線量プロファイル、当該被検体のLR方向に関するZ軸方向の吸収線量プロファイルを生成する(ステップS4)。
分布情報生成機能45dは、吸収線量プロファイルをリアルタイムでモニタリングし(ステップS5)、吸収線量及び吸収線量変化率の少なくとも一方が閾値以上に変化したか否かを判定する(ステップS6)。閾値以上の変化が発生していない場合には(ステップS6のNo)、分布情報生成機能45dは、ステップS4からステップS6までの処理を繰り返し実行する。一方、閾値以上の変化が発生した場合には(ステップS6のYes)、分布情報生成機能45dは、対応するリアルタイム再構成画像のスライス位置を推定機能45eに出力する。
推定機能45eは、分布情報生成機能45dから受け取ったスライス位置に基づいて、逐次生成されるリアルタイム再構成画像を分類する。推定機能45eは、吸収線量プロファイルP1と吸収線量に関する参照情報とを比較し、同一画像群と分類された複数のリアルタイム再構成画像に含まれる体部位領域を推定する。また、推定機能45eは、推定した体部位領域に対応するリアルタイム再構成画像のデータ範囲を特定する(ステップS7)。推定機能45eは、特定したデータ範囲を画像処理機能45fに通知する(ステップS8)。
画像処理機能45fは、推定機能45eから通知されたデータ範囲に基づいて、イメージバッファから複数のリアルタイム再構成画像を取得する(ステップS9)。画像処理機能45fは、骨抜き処理(骨領域の高輝度領域を低輝度にする処理)を行う。例えば、取得した複数のリアルタイム再構成画像のそれぞれにおいて、骨抜き処理の基点(シード点)を設定し(ステップS10)、設定されたシード点を用いて複数のリアルタイム再構成画像において骨抜き処理を実行する(ステップS11)。イメージバッファ内に事前に撮像された非造影画像がある場合はサブトラクションを行うことによって骨抜き処理としてもよい。また画像認識処理によって骨領域だけを特定して該当領域をマスクし低輝度領域に置き換える処理をしてもよい。さらに、画像処理機能45fは、骨抜き処理が実行された複数のリアルタイム再構成画像を用いてMIP画像、VR画像を生成する。
動作制御機能45aは、生成されたMIP画像、VR画像をディスプレイ42に表示させる(ステップS12)。また、動作制御機能45aは、MIP画像、VR画像に対応する体部位領域に関する情報をディスプレイ42に表示させる。
画像処理機能45fは、骨抜き処理が実行された複数のリアルタイム再構成画像を用いて血管領域を検出する(ステップS13)。画像処理機能45fは、検出した血管領域の連続性を評価し、異常候補領域を検出する(ステップS14)。画像処理機能45fは、異常候補領域が明示されたMIP画像、VR画像を生成する。
動作制御機能45aは、異常候補領域が明示されたMIP画像、VR画像をディスプレイ42に表示させる(ステップS15)。また、動作制御機能45aは、MIP画像、VR画像に対応する体部位領域に関する情報をディスプレイ42に表示させる。
以上述べたステップS1~ステップS12までの処理は、例えば全身スキャンに対応する複数のリアルタイム再構成画像に対して実行される。全てのリアルタイム再構成画像に対してステップS1~ステップS12が実行された後、再構成処理機能45cによって生成された複数の本再構成画像が、ネットワークNを介して例えばPACSサーバに自動転送される。
この複数の本再構成画像のデータ転送においても、推定された体部位領域を用いて、X線CT装置1から他の機器(例えばPACSサーバ)への画像転送の順序を制御し、緊急医療におけるワークフローの効率化を実現することもできる。
例えば、リアルタイム再構成画像を用いて推定された体部位領域毎に、例えば骨盤領域、腹部領域、胸部領域、頸部領域、頭部領域といった順番で、体部位領域毎に骨抜き処理、異常候補領域の検出処理等が実行され、腹部領域において異常候補領域が検出された場合を想定する。係る場合、動作制御機能45aは、本再構成処理よって取得された複数の本再構成画像のうち、腹部領域に対応する複数の本再構成画像を他の体部位領域(すなわち、異常候補領域が検出されなかった体部位領域)の画像よりも優先して、PACSサーバに転送する。また、異常候補領域が検出された体部位領域が複数存在する場合には、これらの異常個所が検出された体部位領域のうち、異常候補領域の数や大きさを基準として、転送順序を決定するようにしてもよい。
以上述べた様に、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置は、スキャン実行部としてのX線管11、X線検出器12、DAS18と、画像生成部としての再構成処理機能45cと、分布情報生成部としての分布情報生成機能45dと、推定部としての推定機能45eとを備える。X線管11は被検体にX線を照射し、X線検出器12は被検体を透過したX線を検出する。DAS18は、X線検出器12が検出した信号に基づいて投影データを取得する。再構成処理機能45cは、スキャンと並行して投影データを再構成する処理を実行し、複数のリアルタイム再構成画像を生成する。分布情報生成機能45dは、複数のリアルタイム再構成画像に基づいて、被検体の吸収線量に関する分布情報を生成する。推定機能45eは、分布情報に基づいて、複数のリアルタイム再構成画像に含まれる被検体の体部位領域を推定する。
すなわち、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置によれば、複数のリアルタイム再構成画像の生成と並行して、生成された複数のリアルタイム再構成画像に含まれる被検体の体部位領域を推定することができる。従って、例えば緊急医療において被検体の全身をスキャンした場合において、スキャンによって取得された全ての投影データを再構成する前に、部分的な投影データを再構成して得られた複数のリアルタイム再構成画像を用いて被検体の体部位領域をリアルタイムに推定することができる。ユーザは、推定された体部位領域に対応する複数のリアルタイム再構成画像を用いて、スキャンによって取得された全ての投影データを再構成する前に、緊急性が高い範囲に対し必要な画像処理を開始することができる。その結果、迅速に異常候補領域を推定することができ、診断情報提供にかかる時間を短縮することができる。
図6は、比較例に係るX線CT装置のワークフローの一例と、本実施形態に係るX線CT装置1のワークフローの一例とを示した図である。
図6に示した様に、比較例に係るX線CT装置において、被検体の全身スキャンが実行された後再構成処理が実行される。全ての投影データに関する再構成処理が完了すると、PACSサーバへの本再構成画像に関するデータ転送が実行される。
読影端末は、ネットワークNを、PACSサーバへ転送された本再構成画像を介して取得し表示する。読影医は、読影端末に表示された画像によって読影を開始する。また、読影端末は、取得した本再構成画像を用いてAI処理等の画像処理を実行し、検出された異常候補領域等を表示する。
すなわち、比較例に係るX線CT装置においては、全ての再構成画像(すなわち、1シリーズ分データ)が生成され、PACSサーバへのデータ転送完了までは骨抜き処理や血管走行を追跡する画像処理を実行することはできず、タイムラグが発生している。これは、フットファーストでのスキャンが実行された場合、スキャン方向が動脈走行と逆順であるため、スキャン及び再構成処理の途中では(撮像したスライスが体軸方向に積み上がっていく途中では)、血管走行追跡や血管と骨との分離処理等画像処理を並行して実行することはできないからである。従って、比較例に係るX線CT装置においては、1シリーズ分データのデータ転送完了が完了した後に、読影端末において異常候補領域等の観察を行うワークフローとなっている。
これに対し、図6に示した様に、本実施形態に係るX線CT装置1においては、被検体の全身スキャンと並行して再構成処理(例えば、リアルタイム再構成処理及び本再構成処理)が実行される。このリアルタイム再構成処理と並行して、体部位領域の推定処理、画像処理(骨抜き処理、異常候補領域の検出処理等)を実行し、異常候補領域等を表示する。
FACTを実施する緊急医療においては、大動脈解離や隠れた出血を早く見つけることが要求される。本実施形態に係るX線CT装置1においては、リアルタイム再構成処理の段階で並行して体部位領域毎に異常候補領域等が検出され表示される。このため、フットファーストでのスキャンが実行された場合でも、出血箇所等の異常候補領域を迅速に発見することができる。
また、PACSサーバへの本再構成画像のデータ転送は、例えば、異常候補領域を含む体部位領域について優先的に転送される。読影医は、読影端末よりPACSサーバにアクセスし、異常候補領域を含む体部位領域の再構成画像を、他の体部位領域よりも優先して観察することができる。従って、読影医自身が異常候補領域を含む部位を探す等の手間や負担を軽減することができ、リスクの高い部位を迅速に診断することができる。その結果、緊急医療における時間の節約及びワークフローの効率化、緊急医療の質の向上を実現することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るX線CT装置について説明する。第2の実施形態に係るX線CT装置は、複数時相のスキャンを実行するスキャンプロトコルの場合において、先行する時相のスキャンプロトコルにおいて得られた吸収線量に関する分布情報と、後続する時相のスキャンプロトコルにおいて得られる吸収線量に関する分布情報とを対応付けし、利用するものである。
本実施形態においては、説明を具体的にするため、複数時相のスキャンを実行するスキャンプロトコルとして、血管造影前のスキャン(第1時相のスキャン)と、血管造影後のスキャン(第2時相のスキャン)とを実行するスキャンプロトコルの場合を例とする。
図7は、血管造影前のスキャンB3によって得られる吸収線量プロファイルP3と、血管造影後のスキャンB4によって得られる吸収線量プロファイルP4との対応関係の一例を示した図である。以下、血管造影前のスキャンによって得られる吸収線量プロファイルを「血管造影前吸収線量プロファイル」と呼び、血管造影後のスキャンによって得られる吸収線量プロファイルを「血管造影後吸収線量プロファイル」と呼ぶ。
図7に示した様に、血管造影前吸収線量プロファイルP3は、第1の実施形態において説明した体部位領域推定処理により、各体部位領域に対応する複数の区間R1~R5に区分されている。また、分布情報生成機能45dは、途中まで作成された血管造影前吸収線量プロファイルP4と、血管造影前吸収線量プロファイルP3とを位置合わせする。この位置合わせにより、血管造影前吸収線量プロファイルP4において、推定機能45eは、例えば骨盤領域から腹部領域までを推定することができる。また、推定機能45eは、血管造影前のスキャンB3によって取得された複数のリアルタイム再構成画像(以下、「血管造影前リアルタイム再構成画像群」と呼ぶ)と、血管造影後のスキャンB4によって取得された複数のリアルタイム再構成画像(以下、「血管造影後リアルタイム再構成画像群」と呼ぶ)との大まかな位置合わせをリアルタイムで行うことができる。
なお、図7においては、腹部領域である区間R2に対応する血管造影前リアルタイム再構成画像群C3、血管造影後リアルタイム再構成画像群C4をそれぞれ例示している。
画像処理機能45fは、例えば、血管造影前リアルタイム再構成画像群C3と血管造影後リアルタイム再構成画像群C4との間で、対応画素におけるCT値の変化量(例えば差分)に基づき、血管造影後リアルタイム再構成画像群における血管領域を特定する。なお、時相数が2より多い場合には、対応画素におけるCT値の変化線が用いることができる。
画像処理機能45fは、血管造影前リアルタイム再構成画像群C3と血管造影後リアルタイム再構成画像群C4とを用いて差分画像群を生成する。また、画像処理機能45fは、差分画像群を用いて、表示画像D4(例えば、MIP画像、VR画像等)を生成する。
動作制御機能45aは、特定された血管領域が強調される形態にて表示画像を表示する。
以上述べた構成によれは、複数時相のスキャンを実行するスキャンプロトコルの場合において、異なる時相間の吸収線量に関する分布情報を対応づけることで、体部位領域の推定、及び推定された体部位領域に基づく画像処理等をさらに効率的に実行することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るX線CT装置について説明する。被検体の体部位領域は、例えば被検体の外観から容易に判定できる場合もある。そこで、第3の実施形態に係るX線CT装置は、被検体の放射線吸収量に関する分布情報に加えて、例えば天板33上に載置された当該被検体を光学的撮像装置(例えば、デジタルカメラ等)によって撮像した画像(以下、カメラ画像とも呼ぶ)を用いることで、より迅速且つ正確に被検体の体部位領域を推定するものである。
図8は、第3の実施形態に係るX線CT装置1のスキャンから画像の表示までの一連の動作の流れを示したフローチャートである。図5に示したフローチャートと比較した場合、ステップS7a、ステップS7b、ステップS8の各処理が異なり、他のステップは図5に示した内容と同様である。以下、ステップS7a、ステップS7bの内容について説明する。
推定機能45eは、入力インターフェース回路43を介して、或いはネットワークNを経由し通信インターフェース回路44を介して、光学的撮像装置によって撮像されたカメラ画像を取得する(ステップS7a)。推定機能45eは、取得したカメラ画像と、分布情報生成機能45dによって生成された吸収線量プロファイルとに基づいて、複数のリアルタイム再構成画像に含まれる当該被検体の体部位領域を推定する(ステップS7b)。
なお、この様な推定機能45eは、例えばカメラ画像と吸収線量プロファイルとを入力とし、体部位領域を出力とするAIモデル等によって実現することができる。また、このようなAIモデルは、入力データとしてのカメラ画像及び吸収線量プロファイルと、教師データとしての体部位領域との組み合わせからなる複数のトレーニングデータ用いた学習(訓練)により生成することができる。
以上述べた構成によれは、吸収線量プロファイルに加えて、カメラ画像を用いて複数のリアルタイム再構成画像に含まれる当該被検体の体部位領域を推定する。従って、さらに高い精度によって効率的に当該被検体の体部位領域を推定すると共に、異常候補領域を検出することができる。その結果、スキャンと同時に実行されるリアルタイム再構成を使って、精度が高く迅速な画像診断を実現することができる。
(変形例1)
上記各実施形態においては、リアルタイム再構成処理によって逐次得られる画像を用いて、リアルタイムに体部位領域を推定する場合を例とした。これに対し、例えば本再構成処理の処理速度が高速である場合には、本再構成処理によって逐次得られる画像を用いて、リアルタイムに体部位領域を推定するようにしてもよい。
(変形例2)
上記各実施形態に係るX線CT装置1は、他の画像処理、例えば骨抜き処理によって抽出された骨領域の連続性を検出し、異常候補領域としての骨折候補領域を特定する場合においても利用することができる。
(変形例3)
上記各実施形態おいては、緊急医療における被検体の全身スキャンをフットファーストで行う場合を例示した。これに対し、当然ながら、緊急医療における被検体の全身スキャンをヘッドファーストで行う場合においても、上記各実施形態において説明した体部位領域推定に基づく画像処理、データ転送処理を実行することもできる。
(変形例4)
上記各実施形態おいて推定された体部位領域は、例えば本再構成処理を行う場合の再構成条件の決定や修正に利用することもできる。すなわち、画像再構成機能45cは、推定機能45eによって推定された体部位領域毎に分類された投影データに対し、それぞれ推定された体部位領域に応じて、本再構成処理における再構成条件を決定又は調整することができる。
(変形例5)
上記各実施形態においては、Z軸方向の吸収線量プロファイル及び最大CT値投影プロファイルについて、AP方向及びLR方向の双方を利用する場合について説明した。これに対し、AP方向及びLR方向のうち、いずれか一方のみを利用するようにしてもよい。
以上述べた少なくとも一つの実施形態によれば、スキャンと同時に実行されるリアルタイム再構成を利用して被検体の体部位領域をリアルタイムに推定し診断情報提供にかかる時間を短縮することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 X線CT装置
10 架台装置
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置
16 ウェッジ
17 コリメータ
18 DAS(Data Acquisition System)
30 寝台装置
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板
34 支持フレーム
40 コンソール装置
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース回路
44 通信インターフェース回路
45 処理回路
45a 動作制御機能
45b 前処理機能
45c 再構成処理機能
45d 分布情報生成機能
45e 推定機能
45f 画像処理機能
P1、P3、P4 吸収線量プロファイル

Claims (11)

  1. 被検体にX線を照射し、前記被検体を透過したX線を検出して投影データを取得するスキャンを実行するスキャン実行部と、
    前記スキャン実行部による前記スキャンと並行して前記投影データを再構成する処理を実行し、複数のリアルタイム再構成画像を生成する画像生成部と、
    前記複数のリアルタイム再構成画像に基づいて、前記被検体の吸収線量に関する分布情報を生成する分布情報生成部と、
    前記分布情報に基づいて、前記複数のリアルタイム再構成画像に含まれる前記被検体の体部位領域をリアルタイムに推定する推定部と、
    を備えるX線コンピュータ断層撮像装置。
  2. 前記分布情報生成部は、前記複数のリアルタイム再構成画像に基づいて、前記被検体の体軸方向に沿って、少なくとも一方向に関する吸収線量のプロファイル及び最大CT値のプロファイルのうち少なくとも一方を前記分布情報として生成する、
    請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮像装置。
  3. 前記推定部は、前記分布情報から得られる前記吸収線量の値及び変化率のうちの少なくとも一方に基づいて、前記複数のリアルタイム再構成画像に含まれる前記被検体の体部位領域を推定する、
    請求項1又は2に記載のX線コンピュータ断層撮像装置。
  4. 前記推定部は、前記被検体を光学的カメラによって撮像することで得られたカメラ画像をさらに用いて、前記被検体の体部位領域を推定する、
    請求項3に記載のX線コンピュータ断層撮像装置。
  5. 推定された前記被検体の体部位領域と前記複数のリアルタイム再構成画像とに基づいて、異常候補領域を検出する画像処理部をさらに備える、
    請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮像装置。
  6. 前記画像処理部は、推定された前記被検体の体部位領域と前記分布情報とに基づいて、前記複数のリアルタイム再構成画像のうち、画像処理の基準となる位置を特定する、
    請求項5に記載のX線コンピュータ断層撮像装置。
  7. 前記画像処理部は、推定された前記被検体の体部位領域と、前記分布情報と、前記複数のリアルタイム再構成画像とを用いて、血管領域及び骨領域のうち少なくとも一方を検出する、
    請求項5又は6に記載のX線コンピュータ断層撮像装置。
  8. 前記異常候補領域が検出された体部位領域に対応するデータを優先的に転送する動作制御部をさらに備える、
    請求項5乃至7のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮像装置。
  9. 前記画像生成部は、
    推定された前記被検体の体部位領域及び前記分布情報の少なくとも一方に基づいて再構成条件を決定し、
    決定された前記再構成条件に基づいて本再構成処理を実行する、
    請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮像装置。
  10. 推定された前記被検体の体部位領域に関する情報を出力する出力部をさらに備える、
    請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮像装置。
  11. 前記分布情報生成部は、第1の時相に対応する前記分布情報と、前記第1の時相より時間的に遅い第2の時相に対応する前記分布情報とを位置合わせし、
    前記推定部は、位置合わせされた前記第2の時相に対応する前記分布情報に基づいて、前記第2の時相に対応する前記複数のリアルタイム再構成画像に含まれる前記被検体の体部位領域を推定する、
    請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮像装置。
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