JP6494064B2 - リパーゼ活性阻害剤、及び、その抽出製造方法 - Google Patents

リパーゼ活性阻害剤、及び、その抽出製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、褐藻類に属するシワヤハズ又はヤハズグサから抽出、分離されるゾナロール、イソゾナロール、ヤハズノール、及び、エント−ヤハズノールを有効成分とするリパーゼ活性阻害剤、及び該成分のリパーゼ活性阻害による脂肪吸収阻害活性を有する脂肪吸収阻害剤、或いは、ゾナロール、イソゾナロール、ヤハズノール、及び、エント−ヤハズノールの1又は2以上を含有するシワヤハズ、又はヤハズグサからの抽出物を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤、及び脂肪吸収阻害剤に関する。また、該リパーゼ活性阻害剤、脂肪吸収阻害剤の医薬及び飲食品への用途を提供することに関する。
近年、食生活の欧米化をはじめとした生活環境の変化や高齢化に伴い、虚血性心疾患、脳血管障害、慢性閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化性疾患が急増している。肥満や脂質異常症は動脈硬化の主たる原因疾患であり、これら疾患の改善または予防は動脈硬化性疾患を未然に防ぐ観点からも重要である。肥満症の治療に脂質吸収阻害活性を示す組成物の摂取は有効であり、脂質の消化酵素であるリパーゼを阻害することにより肥満改善作用を示すことが知られている。
肥満は、体質的因子、食餌性因子、精神的因子、中枢性因子、代謝性因子、運動不足などが要因となり、結果的にカロリー摂取が消費カロリーを上回り、脂肪が蓄積して起こると言われている。食餌中の脂質は、膵臓のリパーゼで分解されて小腸から吸収される。そこで脂質の吸収を抑制するべく、リパーゼ作用の活性阻害機能を有するリパーゼ阻害剤を用い、肥満を防止したり、或いは高脂血症状を抑制することが考えられている。
従来より、特に日常的に摂取しうる種々の天然物由来の成分で、強いリパーゼ阻害活性を有する成分、すなわち脂質吸収抑制活性を有する天然成分の探索が精力的に行われている。例えば、特開昭64−90131号公報には、シャクヤク、オウレン、オウバク、ボタンピ、ゲンノショウコ、チャ、クジンなどの生薬の溶媒抽出エキス、特開平3−219872号公報には、ピーマン、かぼちゃ、しめじ、まいたけ、ふじき、緑茶、紅茶及びウーロン茶の水抽出物、特開平5−255100号公報には、ドッカツ、リョウキョウ、ビンロウシ、ヨウバイヒ、ケツメイシの抽出物、特開2003−192605号公報には、ウルワシ、西洋サクラソウ等の抽出物、特開2005−60334号公報には、イタドリ、インゲン豆等の抽出物、特開2006−290807号公報には、ベニバナ抽出色素、特開2006−348054号公報には、サボンソウ、ウコギの抽出物、特開2007−284366号公報には、シソ乾燥物、抽出物、特開2010−208953号公報には、バニラ豆抽出物、特開2011−105703号公報には、スターフルーツ抽出物、をそれぞれ有効成分とするリパーゼ活性阻害剤が開示されている。
また、リパーゼ阻害活性を有する化合物を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤として、特開2005−225863号公報には、SLS型トリアシルグリセロールを、特開2005−336117号公報には、ウーロンホモビスフラバン類を、特開2006−22095号公報には、チサイド、イソチイサイドを、特開2006−151875号公報には、非対称型トリアシルグリセロールを、特開2006−169199号公報には、グリセリルエーテルを、特開2009−114079公報には、エピテアフラガリン3−O−ガレートを、特表2007−536243公報には、インドール化合物をそれぞれ有効成分とするリパーゼ活性阻害剤が開示されている。
これまでに多くのリパーゼ活性阻害剤が開示されているが、天然物由来の成分は、安全性の面では、比較的安全であるが、物性や効果の面で需要性に乏しい面もあり、また、リパーゼ阻害活性を有する化合物を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤は、効果の面では有効性を保持することができても、飲用等に際しての安全性の面で、障害となるものもあり、特に、細菌性リパーゼを阻害して疾患を抑制又は予防する薬剤への利用に向けられたものもある。
したがって、天然物由来の成分で安全性とリパーゼ阻害活性において有効なリパーゼ阻害活性成分の更なる探索が求められているところである。
一方で、海藻類が各種生理学的機能成分を含み、該生理学的機能成分についての報告がなされている。例えば、シワヤハズ、フクリンアミジ、サナダグサのような海藻類のクロロホルム抽出脂溶性物質が、Jurkat細胞に対する殺細胞作用を有することが報告されている(「日本歯科大学紀要 一般教育系」、Vol.35 Page. 41-49, 2006)。また、日本産の褐藻類(アカモク、サナダグサ、シワヤハズナラサモ)、及び紅藻類(コトジツノマタ、ユカリ)の祖抽出物のヒツジ赤血球に対する溶血作用について(「日本歯科大学紀要 一般教育系」、Vol.40 Page. 41-45, 2011)、ミツデソゾ、シワヤハズの抽出液の抗腫瘍活性について(「海と台地」、Vol. Page. 23-26,1996)報告されている。
また、特開平10−330219号公報には、カイメンソウ属、サンゴモ属、ヤハズグサ属(シワヤハズ)等の海藻の抽出物がメラニン生成抑制作用を有することが、特許第3825882号公報には、ヤハズグサ属(シワヤハズ)、ホンダワラ属、フクリンアミジ属等の海藻の抽出物が、真皮線維芽細胞の賦活作用を有することが、特開2007−45811号公報には、シワヤハズのようなアミジグサ科の褐藻類の抽出物の脂溶性画分が、船舶に付着する珪藻の付着防止作用を有することが、特開2010−100598号公報には、シワヤハズの成分が、NO(一酸化窒素)産生抑制作用を有することが、特開2013−35808号公報には、イソガワラ目、アミジグサ目(シワヤハズ)等の褐藻類が、LTBP−4(トランスフォーミング増殖因子)産生促進作用を有することが、それぞれ開示されている。
更に、シワヤハズから、ゾナロールや、イソゾナロールを単離することが報告されており(J. Org. Chem. 1973, Jun 29;38(13)2383-6)、シワヤハズから抽出・単離されるゾナロール、イソゾナロールの生理作用についても報告されている。例えば、シワヤハズ中のゾナロールの抗炎症作用について(「日本水産学会大会講演要旨集」、Vol.2009、春季Page.128, 2009)、シワヤハズ抽出物であるゾナロールの抗酸化作用について(「化学系学協会北海道支部冬季研究発表会講演要旨集」、Vol.2010,Page. 155,2010), シワヤハズから抽出されるゾナロール、イソゾナロールのエゾアワビに対する摂食阻害作用について(「日本水産学会誌」、Vol.59, No.2,Page.339-343,1993)報告されている。また、シワヤハズから、ヤハズノール等を分離し、その構造を決定した報告もなされている(Bull. Chem.. soc. Jpn,Vol. 52, No.2, Page. 629-630, 1979)。
以上のとおり、海藻類に含有される各種の生理学的機能成分の生理学的作用について、報告及び開示がなされているが、シワヤハズから抽出・単離されるゾナロール、イソゾナロールのリパーゼ阻害活性及び脂肪吸収抑制作用については、報告及び開示はない。
特開昭64−90131号公報。 特開平3−219872号公報。 特開平5−255100号公報。 特開平10−330219号公報。 特開2003−192605号公報。 特開2005−60334号公報。 特開2005−225863号公報。 特開2005−336117号公報。 特開2006−22095号公報。 特開2006−151875号公報。 特開2006−169199号公報。 特開2006−290807号公報。 特開2006−348054号公報。 特開2007−45811号公報。 特開2007−284366号公報。 特開2009−114079公報。 特開2010−100598号公報。 特開2010−208953号公報。 特開2011−105703号公報。 特開2013−35808号公報。 特表2007−536243公報。 特許第3825882号公報。
「日本歯科大学紀要 一般教育系」、Vol.35 Page. 41-49, 2006。 「日本歯科大学紀要 一般教育系」、Vol.40 Page. 41-45, 2011。 「海と台地」Vol. Page. 23-26,1996。 「日本水産学会大会講演要旨集」、Vol.2009、春季Page.128, 2009。 「化学系学協会北海道支部冬季研究発表会講演要旨集」、Vol.2010,Page. 155,2010。 「日本水産学会誌」、Vol.59,No.2,Page.339-343,1993。 J. Org. Chem. 1973, Jun 29;38(13)2383-6。 Bull. Chem.. soc. Jpn,Vol. 52, No.2, Page. 629-630, 1979。
本発明は、天然物由来の成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤、及び該リパーゼ活性阻害による脂肪吸収阻害剤を提供することにある。また、該リパーゼ活性阻害剤、脂肪吸収阻害剤の医薬及び飲食品への用途を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく天然物由来のリパーゼ活性阻害成分について、海藻類の成分について、鋭意探索する中で、褐藻類に属するシワヤハズや、ヤハズグサから抽出・分離されるゾナロール(zonarol)、イソゾナロール(isozonarol)、ヤハズノール(yahazunol)、エント−ヤハズノール(ent- yahazunol)及び該成分を含有するシワヤハズや、ヤハズグサからの抽出物が、リパーゼ活性阻害作用、及び、脂肪吸収阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のリパーゼ活性阻害剤、脂肪吸収阻害剤の有効成分である、ゾナロール、イソゾナロール、ヤハズノール、エント−ヤハズノールの抽出原料として用いたシワヤハズ(Dictyopteris undulata)、及びヤハズグサ(Dictyopteris latiuscula)は、褐藻類アミジグサ目アミジグサ科の海藻で、日本近海に広く分布している。
本発明においてシワヤハズや、ヤハズグサから抽出・分離された、ゾナロール、イソゾナロール、ヤハズノール、エント−ヤハズノールは、以下の式(1)、(2)、(3)、(4)で表される。

(1)
で表されるゾナロール、

(2)
で表されるイソゾナロール、

(3)
で表されるヤハズノール、

で表されるエント−ヤハズノール。
本発明のリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤の有効成分であるゾナロール、イソゾナロール、ヤハズノール、エント−ヤハズノールは、シワヤハズ又はヤハズグサから抽出・分離された化合物の形で、或いは、シワヤハズ又はヤハズグサから抽出・分離された該化合物を含有する溶媒抽出画分の形で用いることができる。
本発明のリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤は、該阻害剤を添加した医薬組成物、或いは、該阻害剤を添加し、リパーゼ活性阻害機能及び脂肪吸収阻害機能を付与した飲食品として提供することができる。
すなわち、本発明は具体的には以下の発明よりなる。
[1]上記、式(1)で表されるゾナロール、及び式(2)で表されるイソゾナロールから選択される1又は2の化合物、又はその製剤上許容される塩を有効成分として含有するリパーゼ活性阻害からなる脂肪吸収阻害剤。
[2]ゾナロール、及び、イソゾナロールから選択される1又は2の化合物を含有する有効成分が、褐藻類に属するシワヤハズ又はヤハズグサの溶媒抽出物であることを特徴とする上記[1]に記載の脂肪吸収阻害剤。
[3]褐藻類に属するシワヤハズ又はヤハズグサの溶媒抽出物が、シワヤハズ又はヤハズグサの溶媒抽出物の脂溶性画分であることを特徴とする上記[2]に記載の脂肪吸収阻害剤。
[4]上記[1]に記載のゾナロール、又は、イソゾナロールが、シワヤハズ又はヤハズグサを溶媒抽出し、該溶媒抽出物を更に精製して、分離したゾナロール、又は、イソゾナロールであることを特徴とする上記[1]に記載の脂肪吸収阻害剤。
本発明は、天然物由来の成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤、及び該リパーゼ活性阻害による脂肪吸収阻害剤を提供する。また、該天然物由来の成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤、脂肪吸収阻害剤を添加した医薬組成物、及び、該天然物由来の成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤、脂肪吸収阻害剤を添加し、リパーゼ活性阻害機能及び脂肪吸収阻害機能を付与した飲食品を提供する。
図1は、本発明の実施例において同定したゾナロールのH−NMR分析による吸収スペクトルである。 図2は、本発明の実施例において同定したイソゾナロールのH−NMR分析による吸収スペクトルである。 図3は、本発明の実施例における「脂肪抑制作用活性の評価試験」における「脂肪吸収抑制効果」の実験結果を示すグラフである。
本発明は、褐藻類に属するシワヤハズ又はヤハズグサから溶媒抽出により、抽出・分離された前記式(1)、(2)、(3)、(4)で表されるゾナロール、イソゾナロール、ヤハズノール、及び、エント−ヤハズノールから選択される1又は2以上の化合物又は該化合物を含有するシワヤハズの溶媒抽出物、或いはゾナロール、イソゾナロール、ヤハズノール、又は、エント−ヤハズノールの製剤上許容される塩を有効成分として含有するリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤からなる。
本発明のリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤の有効成分において、ゾナロール又はイソゾナロールの「製剤上許容される塩」としては、リパーゼ活性阻害剤、及び、脂肪吸収阻害剤の製剤化に際して、該製剤化に許容される塩、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、りん酸などの無機酸、或いは酢酸、プロピオン酸、酪酸、リンゴ酸などの有機酸、カリウム、ナトリウム、カルシウムなどのイオンとの塩が挙げられる。
本発明のリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤の有効成分において、ゾナロール、イソゾナロール、ヤハズノール、又は、エント−ヤハズノールは、褐藻類シワヤハズ(Dictyopteris undulate)又はヤハズグサ(Dictyopteris latiuscula)から、溶媒抽出により、抽出、分離することができる。溶媒抽出により、抽出、分離したゾナロール、イソゾナロール、ヤハズノール、又は、エント−ヤハズノール画分は、更に、逆相系シリカゲルや、HPLCのような精製手段により、精製し、取得することができる。該抽出溶媒としては、メタノールや、酢酸エチルのような溶媒を用いることができる。適宜、公知の精製手段(J. Org. Chem. 1973, Jun 29;38(13)2383-6)を用いることができる。
本発明のリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤は、強いリパーゼ活性阻害、脂肪吸収阻害を有するので、これを医薬組成物として、或いは、食品(飲食料等)等に添加して、リパーゼ活性阻害機能、及び脂肪吸収阻害機能を付与した飲食品として用いることができる。該使用により、リパーゼ活性阻害作用、脂質吸収阻害作用、抗肥満作用が発揮され、メタボリックシンドローム予防の手段として、特に肥満対策に有用であり、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化および動脈硬化を原因とした脳血管障害、心臓病等を予防する効果が期待される。また、本発明のリパーゼ阻害剤は皮膚保全作用をも有するので、皮膚の保全を目的とする、外用薬としても有用である。
本発明におけるリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤は、天然物由来であるため安全性が高いという効果があり、入手が容易であり、安価に調達できる利点が挙げられる。
本発明のリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤を医薬品とする場合には、薬学的に許容される基材や担体と共に製剤化し、医薬組成物として提供することができる。医薬組成物の形態としては、丸剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、ゼリー剤、トローチ剤等の剤型が例示できる。本発明のリパーゼ活性阻害剤の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤等の形態で経口投与することができ、水溶性製剤は、液剤として経口的に投与することができる。更に、皮膚用外用剤のような非経口投与を用いることもできる。
本発明のリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤を医薬組成物の形態として用いる場合は、製薬学上許容される投与担体を用いることができ、その種類及び組成は投与経路や投与方法によって適宜決定することができる。例えば、液状担体として水、アルコール、大豆油、ゴマ油などを用いることができる。固体担体として、マルトース、スクロースなどの糖類、リジンなどのアミノ酸類、シクロデキストリンなどの多糖類、ステアリン酸マグネシウムなどの有機酸塩類、ヒドロキシルプロピルセルロースなどのセルロース誘導体を用いることができる。
本発明のリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤は、飲食品に含有させて経口摂取することができる。この場合には、本発明のリパーゼ活性阻害剤及び脂肪吸収阻害剤を適宜の形状に製形して食するか、腸溶カプセルに包含して投与することができ、或いは、液体(例えば水)に適切な濃度になるように溶解し、混合、浸漬、塗布、噴霧等の方法で食品等に添加し、食することができる。本発明のリパーゼ活性阻害剤を含有させる飲食品としては、特に限定されるものではなく、ヒトが食することが可能なあらゆる食品類をあげることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[シワヤハズからの有効成分の抽出・分離]
潮間帯にて採集したシワヤハズ300g(湿重量)の藻体表面を流水で洗い流し、細切して5倍容量のメタノール(MeOH)に1週間浸漬した。抽出液をろ過してエバポレータにて減圧乾固する操作を3回繰り返した。得られた粗抽出物10.0gを酢酸エチルに懸濁させ、等量の蒸留水を加えて液−液分配を行い、水溶性画分を除去した。得られた酢酸エチル層を減圧乾固し、90%MeOHに溶解させ、等量のヘキサンを加えて液−液分配することにより脱脂を行った。得られた90%MeOH層を減圧乾固することで、逆相系シリカゲルに吸着させ、70〜80%MeOHで溶出された成分を集めた。ここで得られた成分の約半分量(0.38g)を用いて、HPLCによる分離を進め、最終的に物質A(72.1mg)と物質B(37.7mg)を得た。
このときのHPLCの条件と分取したピークの情報は以下のとおりである。HPLCシステム:PU2080plus、UV2075plus(日本分光)、カラム:デベロシルODSC18HG(20×250mm)(野村化学)、溶出:80%MeOHアイソクラティック、検出:UV280nm、流速:10mL/分。物質Aの溶出時間:14.7分、物質Bの溶出時間:16.1分。
[分離化合物の同定]
上記分離操作により得られた物質Aと物質Bの一部を各々重メタノールに溶解しプロトンNMR、カーボンNMR、各種二次元NMRをブルカーAV400で測定した。得られたスペクトルを解析して平面構造を推定するとともに、既存の文献と比較することで物質Aをゾナロール、物質Bをイソゾナロールであると同定した。ゾナロール(zonarol)(物質A)及びイソゾナロール(isozonarol)(物質B)のH−NMR(400 MHz CD3OD)の吸収スペクトルを図1及び図2に示す。
[脂肪抑制作用活性の評価試験]
上記実施例で分離同定したサンプル(ゾナロール又はイソゾナロール)の脂肪吸収抑制効果を調べるために以下の実験を行った。すなわち7週齢、雄のddYマウス(n=8)に、サンプルの水懸濁液(33.3mg/kg) 0.5mLとコーン油(8mL/kg)0.2mLの混合液を経口投与して、経時的に尾採血を行った。コントロール群にはサンプルを含まない混合溶液を経口投与し、それぞれの血中中性脂肪濃度(TG)を測定した。その結果を図3に示す。数値は平均値±標準誤差(mg/dl)で表しており、***印は、サンプル投与群のコントロール群に対する有意差を示す。図3の結果から、これらサンプルが脂肪吸収を抑制することが示された。
[リパーゼ阻害活性作用の評価試験]
上記実施例で分離同定したサンプル(ゾナロール又はイソゾナロール)のリパーゼ阻害活性作用を評価するために、Lipase Kit S(大日本住友製薬製)を用いて以下の方法でリパーゼ阻害活性を測定した。サンプルは50%MeOHに溶解して96ウエルプレート上で段階希釈して用いた。コントロールウエルにはサンプルを加えない50%MeOHを用いた。これに市販のブタ膵臓リパーゼ(シグマアルドリッチ製)、Lipase Kit Sに含まれているエステラーゼ阻害剤、発色液を加えて5分間プレインキュベートした後、遮光下30℃で、30分間反応させて、反応停止液を加え405nmで吸光度を測定した。ブランクウエルには、反応の前に停止液を加えた。
リパーゼ活性の阻害率(%)は、各測定値からブランク値を差引いた後に、(サンプルを添加した反応液の吸光度/コントロール反応液の吸光度)×100により算出した。活性の評価には50%阻害濃度(IC50)を用いた。その結果を表1に示す。この結果から、これらサンプルが脂肪吸収を抑制及びリパーゼ活性を阻害することが示された。
本発明は、天然物由来の成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤、及び該リパーゼ活性阻害による脂肪吸収阻害剤を提供する。また、該天然物由来の成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤、脂肪吸収阻害剤を添加した医薬組成物、及び、該天然物由来の成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤、脂肪吸収阻害剤を添加し、リパーゼ活性阻害機能及び脂肪吸収阻害機能を付与した飲食品を提供する。

Claims (4)

  1. 下記式(1)
    (1)
    で表されるゾナロール、及び
    下記式(2)
    (2)
    で表されるイソゾナロールから選択される1又は2の化合物、又はその製剤上許容される塩を有効成分として含有するリパーゼ活性阻害からなる脂肪吸収阻害剤。
  2. ゾナロール、及び、イソゾナロールから選択される1又は2の化合物を含有する有効成分が、褐藻類に属するシワヤハズ又はヤハズグサの溶媒抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪吸収阻害剤。
  3. 褐藻類に属するシワヤハズ又はヤハズグサの溶媒抽出物が、シワヤハズ又はヤハズグサの溶媒抽出物の脂溶性画分であることを特徴とする請求項2に記載の脂肪吸収阻害剤。
  4. 請求項1に記載のゾナロール、又は、イソゾナロールが、シワヤハズ又はヤハズグサを溶媒抽出し、該溶媒抽出物を更に精製して、分離したゾナロール、又は、イソゾナロールであることを特徴とする請求項1に記載の脂肪吸収阻害剤。
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