JP6492423B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Description
(1.コンデンサ素子)
図1は、本実施形態のコンデンサ素子を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。図1に示すコンデンサ素子10は、100〜500μm程度の厚みを有する略正方形の板であり、正方形板の各辺に沿って陽極部の陽極引出部13を有し、中心部に陰極部の陰極引出部14を有する。陽極引出部13と陰極引出部14とは、分離部15で区分されている。また、陽極引出部13の表面には多数の陽極バンプ電極16aが、陰極引出部14の表面には多数の陰極バンプ電極16bが立設されている。さらに、これらの多数の陽極バンプ電極16a及び陰極バンプ電極16bを覆うようにコンデンサ素子10の片側の全面に、絶縁樹脂層17が被覆されている。
固体電解質層は誘電体酸化皮膜の上に形成される。すなわち、誘電体酸化皮膜が形成された陽極体11を重合性モノマー溶液と酸化剤溶液に順次浸漬し、各液より引き上げて重合反応を進めることにより、エッチング層12の内部に各液が浸透し、誘電体酸化皮膜の上に固体電解質層が形成される。この固体電解質層の形成は、重合性モノマー溶液と酸化剤溶液をエッチング層12の上から塗布または吐出する方法によって形成してもよい。また、重合性モノマー溶液と酸化剤を混合した混合溶液に陽極体11を浸漬したり、塗布したりする方法であってもよい。また、固体電解コンデンサの分野で用いられる電解重合による方法や、導電性高分子の溶液または分散液を塗布・乾燥する方法によっても固体電解質層を形成することもできる。
陽極バンプ電極16aは、陽極引出部13と後述する電極板20の陽極電極部22とを導通させる電極引出部の一例であり、先鋭化された四角錐や円錐形状を有し、外力によって先端が潰れるような可撓性の突起電極である。このような突起電極は、金ワイヤをワイヤボンディング法で陽極引出部13に形成することができる。
(1)ある程度形状もしくは寸法が一定な微小金属魂を、粘着剤層を予め設けておいた支持基体面に散布し、選択的に固着させる。このときマスクを配置して行ってもよい。
(2)銅箔などを支持基体とした場合は、メッキレジストを印刷・パターニングして、銅,錫,金,銀,半田などメッキして選択的に微小な金属柱(バンプ)群を形成する。
(3)支持基体面に半田レジストの塗布・パターニングして、半田浴に浸漬して選択的に微小な金属柱(バンプ)群を形成する。
陽極・陰極にそれぞれバンプ群が形成されたコンデンサ素子10のバンプ群形成側の全面に、熱硬化性の絶縁樹脂層17が被覆される。この絶縁樹脂層17は、後述する電極板20とコンデンサ素子10との隙間を埋める封止機能を果たすものである。このような封止樹脂としては、例えば、コンデンサ素子10と後述する電極板20との密着性、絶縁性、強度等が固体電解コンデンサに適合するエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、又はポリイミド樹脂が好ましい。
本実施形態の固体電解コンデンサは、図1に示すコンデンサ素子10と、電極板20とを、図2に示すように重ね合わせて一体化することで構成される。すなわち、コンデンサ素子10と電極板20を重ね合わせた状態で加圧することにより、バンプ状をした陽極バンプ電極16a及び陰極バンプ電極16bが、電極板20に電気的に接続される。
電極板20としては、薄い金属板からなる。金属板としては、例えば、厚さが15〜100μm程度の薄い銅板であり、圧延銅箔や銅合金箔を挙げることができる。
図3は、コンデンサ素子10と電極板20との実装関係を示す図である。図3に示すように、固体電解コンデンサは、陽極引出部13及び陰極引出部14が形成されている面を電極板20側に向けて、コンデンサ素子10を電極板20に重ね合わせることにより構成される。この固体電解コンデンサにおいて、陽極引出部13は陽極バンプ電極16aを介した実装、陰極引出部14は陰極バンプ電極16bを介した実装であり、ともにコンデンサ素子10に陽極バンプ電極16a,陰極バンプ電極16bが形成されたものを用いている。
このようにコンデンサ素子10と電極板20を一体化した後、電極板20を陽極電極部22と陰極電極部21とに分離する。分離する方法としては、電極板20として残す部分を耐薬品性のレジスト樹脂でマスキングを行い、薬品を用いて溶解させるエッチング法を用いることができる。また、レーザーの照射によるトリミング法、機械的な治具によるトリミング法で所定の箇所を除去しても良い。この結果、陰極電極部21は正方形状を有し、この陰極電極部21を囲むように同一平面上に例えば0.1mm程度の間隙を保って陽極電極部22が配置される。
本実施形態では、コンデンサ素子10の片面全面に予め絶縁樹脂層17を形成しておき、コンデンサ素子10と電極板20とを重ね合わせるため、従来のようにコンデンサ素子10と電極板20との隙間から封止樹脂を充填する必要はなく、固体電解コンデンサを封止する工程は極めて簡便なものとなる。
さらに、コンデンサ素子10と電極板20との隙間から封止樹脂を充填する場合には、狭い隙間に封止樹脂を充填していため、充填の際に同時に空気を巻き込んでしまっていた。そのため、封止樹脂を硬化した後に、空気が残存し、熱硬化後の封止樹脂中にいわゆるボイドとして存在していた。これに対して、本実施形態では、予めコンデンサ素子10上の全面に絶縁樹脂層17を貼り付け、あるいは塗布しておくことで、空気を取り入れるおそれはなくなる。このため、ボイドの発生を抑制することができる。
本実施形態では、第1の実施形態における絶縁樹脂層17をコンデンサ素子10側に設ける代わりに、封止樹脂層30として電極板20側に設けたものである。
電極板20の表面全体は、絶縁性の封止樹脂層30によって被覆されている。封止樹脂層30は、電極板20とコンデンサ素子10との隙間を埋める熱硬化性の絶縁樹脂である。封止樹脂層30に用いる樹脂としては、NCF(Non-Conductive Film)と呼ばれるシート状の樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、絶縁性、コンデンサ素子10と電極板20との密着性、強度等が固体電解コンデンサに適合するエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、又はポリイミド樹脂が挙げられる。また、封止樹脂層30としては、前述した熱硬化性の樹脂に限定されるものではなく、高耐熱性の熱可塑性の絶縁樹脂、例えば、全芳香族ポリアミド樹脂や液晶ポリマーを用いることも可能である。
本実施形態の固体電解コンデンサは、図4に示すように、第1の実施形態のコンデンサ素子10とは絶縁樹脂層17が形成されていない以外は同一の構造を有するコンデンサ素子10’と、電極板20上に封止樹脂層30が形成された端子板40とを重ね合わせて一体化することで構成される。すなわち、コンデンサ素子10’と端子板40を重ね合わせた状態で加圧することにより、バンプ状をした陽極バンプ電極16a及び陰極バンプ電極16bが、電極板20に電気的に接続される。
本実施形態では、まず、電極板20の搭載面上の全面に封止樹脂層30を貼り付け、あるいは塗布により形成した後、コンデンサ素子10’と端子板40とを重ね合わせる。このため、コンデンサ素子10’と端子板40との隙間から封止樹脂を充填する必要はなく、固体電解コンデンサを封止する工程は極めて簡便なものとなる。
さらに、コンデンサ素子10’と電極板20との隙間から封止樹脂を充填する場合には、狭い隙間に封止樹脂を充填していため、充填の際に同時に空気を巻き込んでしまっていた。そのため、封止樹脂を硬化した後に、空気が残存し、熱硬化後の封止樹脂中にいわゆるボイドとして存在していた。これに対して、本実施形態では、予め、電極板20の搭載面上の全面に封止樹脂層30を貼り付け、あるいは塗布しておくことで、空気を取り入れるおそれはなくなる。このため、ボイドの発生を抑制することができる。
本明細書においては、本発明に係る実施形態を例として提示したが、発明の範囲を限定することを意図したものではなく、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。例えば、次のような構成も、本発明に包含される。
11…陽極体
12…エッチング層
13…陽極引出部
14…陰極引出部
15…分離部
16a…陽極バンプ電極
16b…陰極バンプ電極
17…絶縁樹脂層
20…電極板
21…陰極電極部
22…陽極電極部
23…絶縁性樹脂
30…封止樹脂層
40…端子板
Claims (5)
- 弁作用金属からなる陽極体の片面に拡面層が形成され、該拡面層の表面に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極引出部が順次形成されるとともに、前記陰極引出部の表面には陰極バンプ電極が立設され、他方、前記陰極引出部と電気的に区分して配置された陽極引出部の表面には陽極バンプ電極が立設され、かつ前記陽極体の片面に絶縁樹脂層が被覆されたコンデンサ素子と、
陽極電極及び陰極電極が形成される平板状の電極板と、を重ね合わせて、前記陽極バンプ電極及び陰極バンプ電極を前記電極板に到達させた後、
前記電極板を陽極電極と陰極電極とに分離し、前記陰極引出部と前記陰極電極とを接続し、かつ前記陽極引出部と前記陽極電極とを接続することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記陽極バンプ電極及び陰極バンプ電極を、前記絶縁樹脂層を硬化させる際の加圧によって、前記電極板と圧接させることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記コンデンサ素子と前記電極板とを重ね合わせる際に、前記コンデンサ素子を予め加熱しておくことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 弁作用金属からなる陽極体の片面に拡面層が形成され、該拡面層の表面に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極引出部が順次形成されるとともに、前記陰極引出部の表面には陰極バンプ電極が立設され、他方、前記陰極引出部と電気的に区分して配置された陽極引出部の表面には陽極バンプ電極が立設されたコンデンサ素子と、
陽極電極及び陰極電極が形成される電極板の前記コンデンサ素子を搭載する面を封止樹脂層によって被覆した平板状の端子板と、を重ね合わせて、前記陽極バンプ電極及び陰極バンプ電極を前記封止樹脂層を貫通させて前記電極板に到達させた後、
前記電極板を陽極電極と陰極電極とに分離し、前記陰極引出部と前記陰極電極とを接続し、かつ前記陽極引出部と前記陽極電極とを接続することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記陽極バンプ電極及び陰極バンプ電極を、前記封止樹脂層を硬化させる際の加圧によって、前記電極板と圧接させることを特徴とする請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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