JP2014203850A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

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茂樹 白勢
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Abstract

【課題】封止樹脂によるコンデンサ素子と端子板との絶縁工程を簡便にする。絶縁性能および気密性の向上を可能とする。
【解決手段】コンデンサ素子10に、弁作用金属からなる陽極体11の少なくとも片面に、陰極部とその周囲に配置された陽極部を設ける。陰極部には、誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極引出部14を順次形成すると共に、前記陽極部に陽極引出部13を形成する。端子板20に、陽極電極部22および陰極電極部21を絶縁性樹脂23により電気的に絶縁された状態で形成する。陰極電極部21の表面を封止樹脂30によって被覆する。陰極引出部14と陰極電極部21、陽極引出部13と陽極電極部22が対向した状態でコンデンサ素子10と端子板20を重ね合わせる。陰極引出部14が封止樹脂30を貫通して陰極電極部21に電気的に接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、端子板とコンデンサ素子とを重ね合わせて構成された固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
コンデンサは、静電容量を有し、この静電容量に応じた電荷の蓄電及び放電を行う受動素子である。固体電解コンデンサは、一方のアルミニウムなどの弁作用金属を電極とし、この電極を化学処理して誘電体層を形成し、さらに導電性高分子を固体電解質層として用いたコンデンサである。
近年の電子機器の高周波化に伴い、コンデンサは、従来よりも十分な速さで電荷供給ができるように過渡応答性に優れ、従来よりも高周波領域でのインピーダンス特性に優れた製品が求められている。これは、大高周波数で動作し、かつ大電流が求められるデジタル回路の電源電圧安定化に対応するためである。
この要求に応えるべく、固体電解コンデンサにおいては、高周波化に対応するための低ESR(等価直列抵抗)化、及びノイズ除去や過渡応答性に優れた低ESL(等価直列インダクタンス)化が強く要求される。固体電解コンデンサにおいて低ESL化を図るためには、電流経路の長さを極力短くする方法、また電流経路によって形成される磁場を別の電流経路によって形成される磁場により相殺する方法が提案されている。
出願人は、コンデンサ素子と基板を組み合わせた新規な固体電解コンデンサとして、特許文献1や特許文献2を提案している。このうち、特許文献1の固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子は、陽極体の中央に設けた凹部の内面に誘電体酸化皮膜層を形成し、固体電解質層および陰極部を介してコンデンサ素子の外部に電力の引き出し口を形成する。
コンデンサ素子は、搭載基板を介して固体電解コンデンサの外部に陰極電極を引き出すと共に、コンデンサ素子の中央部分の周囲を陽極部とし、この陽極部および搭載基板の導体を介して陽極電極を引き出す。このような固体電解コンデンサによれば、陽極、陰極とも固体電解コンデンサ内部での電流経路を短くすることができる。
特許文献2の固体電解コンデンサでは、コンデンサ素子と組み合わせる基板として、次のような端子板を備えている。すなわち、端子板には、薄い金属板からなる陽極電極部および陰極電極部を同一平面上に間隙を保って配置する。これら陽極電極部と陰極電極部の間隙部には絶縁性樹脂を介在させ、絶縁性樹脂により陽極電極部と陰極電極部とを電気的に絶縁すると共に両電極部をシート状に一体化している。
このような端子板をコンデンサ素子の接続面に重ね合わせ、コンデンサ素子の陽極引出部に端子板の陽極電極部を、コンデンサ素子の陰極引出部に端子板の陰極電極を、それぞれ電気的に接続する。このような技術によれば、コンデンサ素子の陽極引出部および陰極引出部から、電流の出口である端子板の陽極電極部および陰極電極部までの距離が、端子板の厚さの距離だけで達成可能であり、電流経路の短縮化を図ることができる。
上述した特許文献1や特許文献2に開示された技術では、いずれも、固体電解コンデンサの容量形成部から、電力の引き出し口としての電極までの距離が極めて短くなり、また、固体電解コンデンサの薄型化を進めることができる。したがって、電流経路の短縮化を図って低ESL化を進めることができ、過応答特性の良好な固体電解コンデンサが実現可能となる。
特開2010−239091号公報 WO/2011/02155号公報
特許文献1及び2に示された固体電解コンデンサは、陽極引出部又は陽極電極部に導電性接着剤を塗布し、陰極引出部又は陰極電極部に導電性接着剤を塗布し、コンデンサ素子と端子板とを重ね合わせ、隙間から絶縁性の封止樹脂を充填して熱硬化させることによって製造されていた。
しかしながら、コンデンサ素子と端子板との隙間は小さく、絶縁を要する箇所の全てを確実に覆うように封止樹脂を充填するには高度な技術の下でも高度な注意を要していた。そのために、この封止樹脂を充填する工程が追加されることは、固体電解コンデンサの生産効率の低下に繋がっていた。
本発明の目的は、封止樹脂によるコンデンサ素子と端子板との絶縁工程を簡便なものとすると共に、絶縁性能と気密性の向上を可能とした固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の固体電解コンデンサは、次の構成を有することを特徴とする。
(1)コンデンサ素子および端子板を備える。
(2)コンデンサ素子には、弁作用金属からなる陽極体の少なくとも片面に、陰極部とその陰極部から区分して配置された陽極部が設けられている。
(3)前記陰極部には、誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極引出部が順次形成されていると共に、前記陽極部に陽極引出部が形成されている。
(4)前記端子板には、陽極電極部および陰極電極部が、絶縁性樹脂により電気的に絶縁された状態で形成され、前記陰極電極部の表面が封止樹脂によって被覆されている。
(5)前記陰極引出部と陰極電極部、前記陽極引出部と陽極電極部が対向した状態で前記コンデンサ素子と端子板が重ね合わされ、前記陽極引出部と陽極電極部が電気的に接続されると共に、前記陰極引出部が封止樹脂を貫通して陰極電極部に電気的に接続されている。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、次のような処理を順次行うことを特徴とする。
(1)弁作用金属からなる陽極体の少なくとも片面に、陰極部とその陰極部と区分して配置された陽極部を形成し、前記陰極部に、誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極引出部を順次形成すると共に、前記陽極部に陽極引出部を形成して、コンデンサ素子を作製する。
(2)前記端子板には、陽極電極部および陰極電極部を絶縁性樹脂により電気的に絶縁された状態で形成することにより、端子板を作製する。
(3)前記端子板における陰極電極部の表面を封止樹脂によって被覆する。
(4)前記陰極引出部と陰極電極部、前記陽極引出部と陽極電極部が対向した状態となるように、前記コンデンサ素子と端子板を重ね合わせ、前記陽極引出部と陽極電極部を電気的に接続すると共に、前記陰極引出部を、前記封止樹脂を貫通させて陰極電極部に電気的に接続する。
前記のような固体電解コンデンサあるいはその製造方法において、次のような構成を採用することもできる。
(1)前記陰極引出部は、先鋭化されたバンプ電極であり、重ね合わせの際に、前記バンプ電極が前記封止樹脂を貫通して、前記バンプ電極を介して前記陰極部と前記陰極電極部を電気的に接続させる。
(2)前記バンプ電極を、前記封止樹脂を硬化させる際の加圧によって、前記陰極極電極部と圧接させる。
(3)前記コンデンサ素子と端子板を重ね合わせる際に、端子板を予め加熱しておく。
(4)前記封止樹脂を陰極電極部だけでなく、陽極電極部を含む端子板の全面を被覆するように構成し、陽極引出部が前記封止樹脂を貫通して陽極電極部に接続させる。
本発明によれば、コンデンサ素子と端子板との隙間から封止樹脂を充填する必要はなく、固体電解コンデンサを封止樹脂によって封止する工程は極めて簡便なものとなる。また、コンデンサ素子と端子板の重ね合わせ部分において、前縁を必要とする箇所を封止樹脂により確実に覆うことで、優れた絶縁性能と気密性を確保することができる。
コンデンサ素子を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。 端子板を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。 コンデンサ素子と端子板との実装関係を示す断面図である。 本発明の固体電解コンデンサの一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明に係る固体電解コンデンサ及びその製造方法の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
[1.コンデンサ素子]
図1は、コンデンサ素子を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。図1に示すコンデンサ素子10は、100〜500μm程度の厚みを有する略正方形の板であり、正方形板の各辺に沿って陽極部の陽極引出部13を有し、中心部に陰極部の陰極引出部14を有する。陽極引出部13と陰極引出部14とは、分離部15で区分されている。陽極引出部13の表面には、多数のバンプ電極16a,16bが立設されている。
このコンデンサ素子10は、陽極体11として機能する弁金属板または弁金属箔から形成される。この実施形態では、弁金属として、アルミニウムを例として説明する。アルミニウムとしては、純度99%以上の純アルミニウムや、アルミニウムにマンガンを添加したアルミニウム−マンガン合金等を好適に使用することができる。特に純アルミニウムとしては、JIS規格H0001で規定する調質記号がHであるアルミニウム材、いわゆるH材を用いると好適である。H材は硬度が高く、後に説明する陽極の金バンプを形成する際にも、陽極体としてのアルミニウム材の変形を抑制することができる。
陽極体11の片面中央部にはエッチング層12が形成され、エッチング層12には誘電体層となる誘電体酸化皮膜が形成され、その表面に陰極引出部14が形成される。陰極引出部14は、固体電解質層、グラファイト層、及び銀ペースト層からなる。
エッチング層12は、エッチング処理により拡面化された多孔質の層である。例えば、厚さ100μm程度の陽極体11であれば、エッチング層12は、40μm程度の深さで形成する。従って、陽極体のエッチングされなかった層の厚さは60μm程度となる。陽極体11の両端部は、未エッチング部であるが、この未エッチング部が陽極引出部13となる。
誘電体酸化皮膜は、陽極酸化処理にて形成し、エッチングされ多孔質層となったアルミニウムの表面(エッチング層12の内部の表面)に酸化アルミニウムからなる誘電体酸化皮膜を形成する。陽極酸化は、エッチング層12をホウ酸やアジピン酸等の水溶液に浸漬した状態で所定の電圧を印加する。
[2.固体電解質層]
固体電解質層は誘電体酸化皮膜の上に形成される。すなわち、陽極体11を重合性モノマー溶液と酸化剤溶液に順次浸漬し、各液より引き上げて重合反応を進めることにより、エッチング層12の内部に各液が浸透し、誘電体酸化皮膜の上に固体電解質層が形成される。この固体電解質層の形成は、重合性モノマー溶液と酸化剤溶液をエッチング層12の上から塗布または吐出する方法によって形成してもよい。また、重合性モノマー溶液と酸化剤を混合した混合溶液に陽極体11を浸漬したり、塗布したりする方法であってもよい。また、固体電解コンデンサの分野で用いられる電解重合による方法や、導電性高分子溶液を塗布・乾燥する方法によっても固体電解質層を形成することもできる。
これらの固体電解質の形成方法に用いられる重合性モノマー溶液としては、チオフェン、ピロール、またはそれらの誘導体を好適に使用することができる。チオフェン誘導体の中でも、3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いると好適である。酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸、もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができる。
固体電解質の上には、固体電解質層を覆うようにカーボン層、銀ペースト層が形成される。このカーボン層、銀ペースト層は、固体電解質層の全面を被覆するように形成する。固体電解質層の上に部分的にカーボン層、銀ペースト層を形成しても引き出し電極としての機能は果たすものの、固体電解質とカーボン層、銀ペースト層との接触面積が小さくなる。このことで、カーボン層、銀ペースト層を固体電解質層の一部の上にのみ形成した場合には、固体電解質層とカーボン層、銀ペースト層との界面接触抵抗が大きくなり、固体電解コンデンサのESRの増加を引き起こす要因となる。
分離部15は、陽極引出部13の内周囲と陰極引出部14の外周囲との境界に位置し、陽極引出部13と陰極引出部14との絶縁を図っている。この分離部15は、陽極引出部13と陰極引出部14との間に絶縁性の樹脂を塗布することで形成されている。陽極引出部13の外周囲においても絶縁性の樹脂を塗布してもよい。
[3.バンプ電極]
陽極バンプ電極16aは、陽極引出部13と後述する端子板20の陽極電極部22とを導通させる電極引出部の一例であり、先鋭化された四角錐や円錐形状を有し、外力によって先端が潰れるような可撓性の突起電極である。このような突起電極は、金ワイヤをワイヤボンディング法で陽極引出部13として形成することができる。
陰極バンプ電極16bは、陰極部と後述する端子板20の陽極電極部22とを導通させる電極引出部の一例であり、先鋭化された四角錐や円錐形状を有し、外力によって先端が潰れるような可撓性の突起電極である。前述した銀ペースト層の上に、ほぼ等間隔で複数の陰極バンプ電極16bが形成される。
陰極バンプ電極16bは、たとえば銀,金,銅,半田粉などの導電性粉末、これらの合金粉末もしくは複合(混合)金属粉末と、たとえばエポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂,ポリスルホン樹脂,ポリエステル樹脂,フェノキシ樹脂,フェノール樹脂,ポリイミド樹脂などのバインダー成分とを混合して調製された導電性組成物、あるいは導電性金属などで構成される。前記バンプ群を導電性組成物で形成する場合、たとえば比較的厚いメタルマスクを用いた印刷法により、アスペクト比の高いバンプを形成でき、そのバンプ群の高さは一般的に、100〜400μm程度が望ましい。
導電性金属でバンプ群を形成する手段としては、次のものがある。
(1)ある程度形状もしくは寸法が一定な微小金属魂を、粘着剤層を予め設けておいた支持基体面に散布し、選択的に固着させる。このときマスクを配置して行ってもよい。
(2)銅箔などを支持基体とした場合は、メッキレジストを印刷・パターニングして、銅,錫,金,銀,半田などメッキして選択的に微小な金属柱(バンプ)群を形成する。
(3)支持基体面に半田レジストの塗布・パターニングして、半田浴に浸漬して選択的に微小な金属柱(バンプ)群の形成などが挙げられる。
バンプに相当する微小金属魂あるいは微小な金属柱は、異種金属を組み合わせて成る多層構造、多層シェル構造でもよい。たとえば銅を芯にして表面を金や銀の層で被覆して耐酸化性を付与したり、銅を芯にして表面を半田層被覆して半田接合性を持たせたりしてもよい。
本発明において、バンプ群を導電性組成物で形成する場合は、メッキ法などの手段で行う場合に較べて、さらに工程など簡略化し得るので、低コスト化の点で有効である。
[4.端子板]
図2は、端子板を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。図2に示す端子板20は、プリント基板に接続される端子部分であり、コンデンサ素子10とほぼ合致する搭載ランドを有する。すなわち、端子板20には、中心に陰極電極部21が設けられ、その陰極電極部21の四方を囲むように陽極電極部22が設けられている。四方の陽極電極部22と陰極電極部21との間は、絶縁性樹脂23によって絶縁されている。
陽極電極部22及び陰極電極部21は、それぞれ薄い金属板からなる。金属板としては、例えば、厚さが15〜100μm程度の薄い銅板であり、圧延銅箔や銅合金箔を挙げることができる。陰極電極部21となる金属板は、正方形状を有し、陽極電極部22となる金属板は、正方形状の穴を有する。陽極電極部22となる金属板の穴は、陰極電極部21の正方形状によりも大きい。この陽極電極部22と陰極電極部21とは、陽極電極部22が陰極電極部21を囲むように同一平面上に0.1mm程度の間隙を保って配置される。
陽極電極部22と陰極電極部21との間に存在する隙間を埋めるように絶縁性樹脂23が介在し、両金属板を同一平面上に保ちながら一体化させている。すなわち、絶縁性樹脂23は、陰極電極部21と陽極電極部22とを電気的に絶縁する絶縁部材であると同時に、陰極電極部21と陽極電極部22とを一体化するバインダーである。絶縁性樹脂23は、絶縁性、両電極部21,22との密着性、強度等が固体電解コンデンサに適合するものであり、例えばポリエステル樹脂やポリイミド樹脂である。
陽極電極部22と陰極電極部21が絶縁性樹脂23により一体化されて成る端子板20の表面全体は、絶縁性の封止樹脂30によって被覆されている。封止樹脂30は、端子板20とコンデンサ素子10との隙間を埋める熱硬化性の絶縁樹脂である。封止樹脂30としては、NCF(Non-Conductive Film)と呼ばれるシート状の樹脂が使用される。例えば、絶縁性、コンデンサ素子10と端子板20との密着性、強度等が固体電解コンデンサに適合するエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、又はポリイミド樹脂である。
封止樹脂30は、加圧された際に先端の潰れたバンプ電極16a,16bの高さと同程度となるように、その厚みが調節されて塗布して配置される。封止樹脂30としては、前述した熱硬化性の樹脂に限定されるものではなく、高耐熱性の熱可塑性の絶縁樹脂、例えば、全芳香族ポリアミド樹脂や液晶ポリマーを用いることも可能である。また封止樹脂30の配置態様としては、NCF(Non-Conductive Paste)といわれるペースト状の封止樹脂30を吐出したり、印刷したりすればよく、また、フィルム状の封止樹脂30を貼り付けるようにして配置してもよい。
[5.固体電解コンデンサの製造方法]
本実施形態の固体電解コンデンサは、図1に示すコンデンサ素子10と、図2に示す端子板20とを、図3に示すように重ね合わせて一体化することで構成される。すなわち、コンデンサ素子10と端子板20を重ね合わせた状態で加圧することにより、バンプ状をした陽極バンプ電極16a及び陰極バンプ電極16bが、シート状の封止樹脂30を貫通して、陽極電極部22及び陰極電極部21に電気的に接続されている。
図3は、コンデンサ素子10と端子板20との実装関係を示す図である。図3に示すように、固体電解コンデンサは、陽極引出部13及び陰極引出部14が形成されている面を向けて、コンデンサ素子10を端子板20に重ね合わせることにより構成される。この固体電解コンデンサにおいて、陽極引出部13は陽極バンプ電極16aなどの電極引出部を、陰極引出部14は陰極バンプ電極16bを介した実装であり、ともにコンデンサ素子10にバンプ電極16a,16bが形成されたものを用いている。
本実施形態の固体電解コンデンサを製造するには、まず、図2の(b)に示すように、端子板20のコンデンサ素子10を重ね合わせる搭載面上の全面に封止樹脂30を塗布により配置する。
端子板20を、所定の治具に載置し、この治具から端子板20に熱を加えて、端子板20を暖めておくと好ましい。加熱することで、端子板20に搭載した封止樹脂30が軟化する。その上の、コンデンサ素子10を載置して、押圧することで、陽極バンプ電極16a、陰極バンプ電極16bが封止樹脂30を突き破り、端子板20の電極部21,22に到達する。その結果、図4に示すように、端子板20の電極部21,22と当接して、陽極バンプ電極16a及び陰極バンプ電極16bの先端がつぶれて、端子板20のそれぞれの電極部21,22に接合する。
さらに、コンデンサ素子10を所定の治具によって熱を加えて、コンデンサ素子10を暖めておくと好ましい。コンデンサ素子に熱を加えておくことにより、陰極バンプ電極16bも軟化して半硬化状態となる。この状態で、陰極バンプ電極16bが封止樹脂30を突き破り、端子板20の電極部21,22に到達した際、陰極バンプ電極16bの先端がつぶれやすくなり、端子板20の陰極電極部21に対しての接着面積が広がりやすくなるとともに、接着強度も向上する。
[6.実施形態の作用効果]
本実施形態の固体電解コンデンサの製造方法は、まず、端子板20の搭載面上の全面に封止樹脂30を貼り付け、あるいは塗布しておく。そして、封止樹脂30の貼り付け、あるいは塗布の後、コンデンサ素子10と端子板20とを重ね合わせる。そのため、コンデンサ素子10と端子板20との隙間から封止樹脂30を充填する必要はなく、固体電解コンデンサを封止樹脂30によって封止する工程は極めて簡便なものとなる。また、確実に絶縁を要する箇所を封止樹脂30で確実に覆って絶縁することができる。また、コンデンサ素子10と端子板20との隙間から封止樹脂30を充填する場合には、狭い隙間に封止樹脂30を充填していため、充填の際に同時に空気を巻き込んでしまっていた。そのため、封止樹脂30を硬化した後に、空気が残存し、熱硬化後の封止樹脂30中にいわゆるボイドとして存在していた。この発明では、予め、端子板20の搭載面上の全面に封止樹脂30を貼り付け、あるいは塗布しておくことで、空気を取り入れるおそれはなくなる。このため、ボイドの発生を抑制することができる。
本実施形態では、端子板20の全面に封止樹脂30を貼り付け、あるいは塗布すればよいので、端子板20の所定位置にのみ封止樹脂を貼り付けあるいは塗布するための位置制御が必要でなくなり、製造工程の簡略化を図ることができる。
このとき、重ね合わせの前に封止樹脂30を塗布してしまうと、封止樹脂30を熱硬化させる前に、コンデンサ素子10と端子板20との隙間が封止樹脂30で埋められてしまうケースも考えられる。その場合は封止樹脂30をガスが発生しにくい無溶剤とすることで、コンデンサ素子10と端子板20とを熱を与えながら加圧する際に、大量のガスが封止樹脂30から発生するおそれはなくなる。従って、コンデンサ素子10と端子板20とを重ね合わせる前に封止樹脂30を塗布したとしても、封口性能が良好な固体電解コンデンサを製造することができる。
陽極引出部13や陰極引出部14に先鋭化されたバンプ電極16a,16bを立設させておけば、封止樹脂30で陰極電極部21や陽極電極部22を覆ってしまっても、バンプ電極16a,16bが封止樹脂30を貫いて端子板20の陰極電極部21や陽極電極部22に至る。従って、封止樹脂30で陰極電極部21や陽極電極部22を覆ってしまっても導電に問題は生じない。そのため、封止樹脂30を塗布する工程を更に簡便化することができる。また、コンデンサ素子10と端子板20との間の絶縁を要する箇所を更に確実に絶縁することができる。
このバンプ電極16a,16bは予め陰極電極部21や陽極電極部22に先端が潰れた状態で圧接させておき、その後に封止樹脂30を硬化させるための加熱及び加圧を実施する。バンプ電極16a,16bには封止樹脂30による収縮応力がかかるため、バンプ電極16a,16bと陰極電極部21や陽極電極部22とは圧接させるのみで、電気的に導通した状態が維持される。そのため、バンプ電極16a,16bは陰極電極部21や陽極電極部22に圧接させるのみでよく、作業工程の簡便化を図ることができる。
[7.他の実施形態]
本明細書においては、本発明に係る実施形態を例として提示したが、発明の範囲を限定することを意図したものではなく、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。例えば、次のような構成も、本発明に包含される
(1)陰極電極部21部分のみをシート状の封止樹脂によって被覆し、陽極電極部22部分は、陰極電極部21と陽極電極部22とを絶縁する絶縁性樹脂23と一体あるいは絶縁性樹脂23の装着と同時に別体の絶縁性樹脂を配置する。
(2)先端が尖った円錐状や柱状のバンプ電極16a,16bの代わりに、断面が三角形状をした1本あるいは複数本の突条や、鋸歯状の突起を使用する。
(3)シート状の封止樹脂30にバンプ電極16a,16bの位置に合わせて予め小さい穴を開けておき、その部分にバンプ電極を挿入する。
(4)シート状の封止樹脂30に代えて、液状の封止樹脂を陰極電極部21、あるいは陰極電極部21及び陽極電極部22の表面に塗布する。
10…コンデンサ素子
11…陽極体
12…エッチング層
13…陽極引出部
14…陰極引出部
15…分離部
16a…陽極バンプ電極
16b…陰極バンプ電極
20…端子板
21…陰極電極部
22…陽極電極部
23…絶縁性樹脂
30…封止樹脂

Claims (8)

  1. コンデンサ素子および端子板を備え、
    前記コンデンサ素子には、弁作用金属からなる陽極体の少なくとも片面に、陰極部とその陰極部と区分して配置された陽極部が設けられ、
    前記陰極部には、誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極引出部が順次形成されていると共に、前記陽極部に陽極引出部が形成され、
    前記端子板には、陽極電極部および陰極電極部が、絶縁性樹脂により電気的に絶縁された状態で形成され、前記陰極電極部の表面が封止樹脂によって被覆され、
    前記陰極引出部と陰極電極部、前記陽極引出部と陽極電極部が対向した状態で前記コンデンサ素子と端子板が重ね合わされ、前記陽極引出部と陽極電極部が電気的に接続されると共に、前記陰極引出部が封止樹脂を貫通して陰極電極部に電気的に接続されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記封止樹脂が、陰極電極部及び陽極電極部を含む端子板の全面を被覆し、陽極引出部が前記封止樹脂を貫通して陽極電極部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記陰極引出部は、先鋭化されたバンプ電極であり、前記バンプ電極が前記封止樹脂を貫通して、前記バンプ電極を介して前記陰極部と前記陰極電極部が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 弁作用金属からなる陽極体の少なくとも片面に、陰極部とその陰極部と区分して配置された陽極部を形成し、前記陰極部に、誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極引出部を順次形成すると共に、前記陽極部に陽極引出部を形成して、コンデンサ素子を作製し、
    前記端子板には、陽極電極部および陰極電極部を絶縁性樹脂により電気的に絶縁された状態で形成することにより、端子板を作製し、
    前記端子板における陰極電極部の表面を封止樹脂によって被覆し、
    前記陰極引出部と陰極電極部、前記陽極引出部と陽極電極部が対向した状態となるように、前記コンデンサ素子と端子板を重ね合わせ、前記陽極引出部と陽極電極部を電気的に接続すると共に、前記陰極引出部を、前記封止樹脂を貫通させて陰極電極部に電気的に接続することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記陰極引出部は、先鋭化されたバンプ電極であり、重ね合わせの際に、前記バンプ電極が前記封止樹脂を貫通して、前記バンプ電極を介して前記陰極部と前記陰極電極部を電気的に接続させることを特徴とする請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記バンプ電極を、前記封止樹脂を硬化させる際の加圧によって、前記陰極電極部と圧接させることを特徴とする請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記コンデンサ素子と端子板を重ね合わせる際に、端子板を予め加熱しておくことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記封止樹脂を、陰極電極部及び陽極電極部を含む端子板の全面を被覆するように構成し、陽極引出部が前記封止樹脂を貫通して陽極電極部に接続されていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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