JP6491522B2 - タイヤ補強用のすだれ織物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ補強用のすだれ織物及びそれを用いた空気入りタイヤに関し、詳しくは、良好なユニフォミティの空気入りタイヤを製造するのに役立つすだれ織物に関する。
例えば、空気入りタイヤを補強するカーカス材料として、すだれ織物が用いられている。すだれ織物は、タイヤコードからなる複数本の経糸と、この経糸の配列を保持するために経糸間に比較的粗く織り込まれた緯糸とを含む織物である。すだれ織物を作るための織機は、古くはシャトルタイプ(機械式)が知られていたが、近年では、生産性の高いエアージェットタイプに急速に置き換わりつつある(下記特許文献1乃至2参照)。
図7には、シャトルタイプの織機で作られたすだれ織物100の平面模式図が示されている。このすだれ織物100は、平行に配列された複数の経糸102と、織物100の両端でU字状に折り返されながら連続的に経糸102に織り込まれた緯糸104とを具えている。このすだれ織物100は、ディップ処理によって、経糸102のゴムとの接着性や寸法安定性が改善される他、経糸102と緯糸104との交差部分が互いに接着される。
図8には、エアージェットタイプの織機で作られたすだれ織物200の平面模式図が示されている。このすだれ織物200は、平行に引き揃えられた経糸202と、経糸の間に織り込まれた非連続の緯糸204とを有している。各緯糸204は、織物の幅方向を連続してのびる本体部206と、本体部206に連なりかつ織物内部へ折り返されて終端する小長さのタックイン部208とを有している。このタックイン部208は、隣接する緯糸204の本体部206と接触している(ただし、図8では、理解しやすいように、タックイン部208は、隣接する緯糸204の本体部206と僅かに離間して描かれている。)。このようなすだれ織物200も、ディップ処理を経て、経糸202と緯糸204との交差部分が接着される。
特開2014−80697号公報 特開2003−306007号公報
上記すだれ織物200がラジアルタイヤのカーカスに利用される典型的な例では、次のような工程が行われる。
先ず、すだれ織物200は、ディップ処理される。ディップ処理では、すだれ織物200がディップ液に浸漬される。ディップ液としては、例えば、RFL(レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合体、ゴムラテックス混合液)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。浸漬後、すだれ織物200は、余分なディップ液が除去され、乾燥される。乾燥後、すだれ織物200は、例えば、経糸202に所定の張力を与えながら熱処理される。これにより、経糸202のゴムとの接着性や寸法安定性が改善される。
ディップ処理されたすだれ織物200は、カレンダー機等によって、未加硫ゴムで被覆される(ゴム被覆工程)。ゴム被覆されたすだれ織物200は、経糸202に対して所定の角度で裁断される(切断工程)。ラジアルタイヤの場合、この角度は、一般にほぼ90度である。裁断された織物片は、非裁断側の辺同士が各々ジョイントされて、所定長さのシート状のカーカスプライ材料が準備される(ジョイント工程)。
シート状のカーカスプライ材料は、円筒状のドラムに巻き付けられ、例えば、図9に示されるような円筒状のカーカスプライ300へと成形される(成形工程)。このカーカスプライ300は、ほぼ軸方向に沿ってのびる経糸202と、ほぼ円周方向に沿ってのびる緯糸204とを有する。
次に、円筒状のカーカスプライ300は、例えば、図10に示されるように、内圧pが付与されて膨張変形し、トロイド状のカーカスプライ301に成形される(シェーピング工程)。なお、図10では、理解しやすいように、円筒状のカーカスプライ300と、トロイド状のカーカスプライ301とが、中心軸を揃えて一緒に示されている。
上記シェーピング工程では、内圧pによって緯糸204や未加硫ゴムが伸びることにより、経糸202の間隔Dが大きくなり、ひいては拡径されたカーカスプライ301が得られる。この際、経糸202の間隔Dは、図10のように、円周方向で均等に広くなることが理想的である。
一方、経糸202の間隔Dが円周方向で不均一である場合、種々の不具合が生じる。主な不具合として、いわゆるデントが挙げられる。例えば、図11に示されるように、タイヤとして仕上がったカーカスプライ400が、部分的に経糸202の間隔Dが小さい高密度部分402を持っている場合、高密度部分402では経糸202の一本当たりに作用する張力は小さく、ひいては、経糸202の伸びも小さくなる。従って、図11の外側に示されているように、カーカスプライ400の経糸202の高密度部分402は、内圧を充填したときに伸びにくく、その外径が小さくなる。これが、タイヤの部分的な凹み、即ち、デント404を引き起こし、ひいてはタイヤの真円度であるユニフォミティを悪化させる。
先に示した図8や図9は、理解しやすいように、緯糸204のタックイン部208が、隣接する緯糸204の本体部206から離して描かれている。しかしながら、実際の織物では、緯糸204のタックイン部208は、隣接する緯糸204の本体部206に接触している。例えば、図12には、図8のすだれ織物の経糸202と直交するタックイン部の拡大断面図が示されている。また、図13(a)には、図12のA−A‘線及びB−B’線断面に相当する図8のすだれ織物のI−I線断面図が示されている。さらに、図13(b)には、図13(a)の部分拡大図が示されている。さらに、図13(c)には、図12のC−C’線断面が示されている。これらの図に示されるように、緯糸204の本体部206とタックイン部208とは、ディップ処理によって接着剤7で実質的に一体化されている。
特に、図13(a)及び図13(b)に示されるように、タックイン部208と本体部206との接触部210は、経糸202に対して、他の円周方向部分よりも大きな拘束力を持つため、シェーピング工程において、経糸202の間隔Dが広がるのを妨げる。即ち、緯糸204の前記接触部210では、タイヤのユニフォミティの悪化を引き起こす前記高密度部分402を生成する傾向があるという問題があった。
本発明の一つの目的は、ユニフォミティに優れた空気入りタイヤを得るのに役立つタイヤ補強用のすだれ織物を提供することである。本発明の他の目的は、上で提供されたすだれ織物を用いたユニフォミティに優れた空気入りタイヤを提供することである。
本発明は、タイヤ補強用の経糸と、非連続の緯糸とを有するすだれ織物がディップ処理されたタイヤ補強用のすだれ織物であって、前記各緯糸は、織物の幅方向を連続してのびる本体部と、前記本体部に連なりかつ織物内部に折り返されて終端するタックイン部とを有し、隣接する2つの緯糸間において、一方の緯糸の前記本体部と、他方の緯糸のタックイン部とが離間しているとともに、前記タックイン部が設けられていないすだれ織物中央領域でのディップ付着量aと、前記タックイン部が設けられているすだれ織物端領域でのディップ付着量bとの比b/aが0.95〜1.05の範囲にあることを特徴とする。

本発明の他の態様では、前記一方の緯糸の前記本体部と、前記他方の緯糸のタックイン部との間隔Aが1.0mm以上であっても良い。
本発明の他の態様では、前記タックイン部の長さBが15〜70mmであっても良い。
本発明の他の態様では、前記ディップ付着量a及びbが、それぞれ1.0%〜4.5%の範囲であっても良い。
本発明の他の態様では、前記ディップ付着量a及びbが、それぞれ1.0%以上2.8%未満の範囲であっても良い。
本発明の他の態様では、前記経糸には、ポリエステル、ナイロン、アラミド又はセルロースの繊維が用いられ得る。
本発明の他の態様では、前記経糸の太さが840dtex/2〜2200dtex/2の範囲とされても良い。
本発明の他の態様では、前記緯糸には、ポリエステル、又は、ポリエステルが綿糸で被覆された複合糸が用いられても良い。
本発明の他の態様では、前記緯糸の太さが100dtex/1〜400dtex/1の範囲とされても良い。
本発明の他の態様では、前記緯糸が2本撚りとされても良い。
本発明の他の態様では、前記各緯糸は、前記本体部の両側にそれぞれ前記タックイン部が設けられており、前記各タックイン部は、前記本体部に対して同じ側に折り返されていることが望ましい。
本発明の他の態様では、前記タックイン部がエアージェットを用いて折り返されたものであるのが望ましい。
本発明の他の態様は、空気入りタイヤであって、上述のいずれかのタイヤ補強用のすだれ織物をカーカスプライとして具えることができる。
本発明は、タイヤ補強用の経糸と、非連続の緯糸とを有したタイヤ補強用のすだれ織物であって、各緯糸は、織物の幅方向を連続してのびる本体部と、本体部に連なりかつ織物内部に折り返されて終端するタックイン部とを有する。隣接する2つの緯糸間において、一方の緯糸の本体部と、他方の緯糸のタックイン部とは、離間している。このようなすだれ織物は、タックイン部が緯糸の本体部から離されているので、経糸に対する拘束力を過度に高めることがなく、ひいては経糸の間隔の変化を妨げない。
また、本発明は、タックイン部が設けられていないすだれ織物中央領域でのディップ付着量aと、タックイン部が設けられているすだれ織物端領域でのディップ付着量bとの比b/aが0.95〜1.05の範囲にある。すなわち、すだれ織物中央領域とすだれ織物端領域とで、ディップ付着量がほぼ等しく設定されているので、経糸に対する拘束力もすだれ織物の幅方向で均一化される。
従って、本発明のすだれ織物は、ラジアルタイヤのカーカスを製造する際のシェーピング工程において、経糸の間隔を円周方向でより一層均一に近づけることができる。これは、ユニフォミティに優れた空気入りタイヤの製造に役立つ。
本実施形態のすだれ織物の平面模式図である。 図1のすだれ織物の経糸と直交する拡大断面図である。 (a)は図1のJ−J線断面図で図2のA−A‘線、又はB−B線断面位置に相当しており、(b)は図3(a)の部分拡大図である。 (a)は図1のI−I線断面図、(b)は(a)の部分拡大図である。 ディップ処理を説明する概略図である。 ディップ処理液を除去するための吸引装置の拡大正面図である。 シャトルタイプの織機で作られたすだれ織物の平面模式図である。 エアージェットタイプの織機で作られたすだれ織物の平面模式図である。 円筒状のカーカスプライの一例を示す斜視図である。 円筒状のカーカスプライのシェーピング工程を説明する断面図である。 デントを説明するカーカスプライの断面図である。 図8のすだれ織物の経糸と直交するタックイン部の拡大断面図である。 (a)は図8のI−I線断面図で図12のA−A‘線、又はB−B線断面位置に相当しており、(b)は図13(a)の部分拡大図、(c)は図12のC−C‘線拡大断面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態のタイヤ補強用のすだれ織物1の平面模式図を示している。本実施形態のすだれ織物1は、ラジアルタイヤのカーカスプライ材料として好適に利用される。
すだれ織物1は、タイヤ補強用の経糸2と、この経糸2に織り込まれた非連続の緯糸3とを含んでいる。図1では、織物の中間部分において、経糸2の一部が省略されている。非連続の緯糸3を有するすだれ織物1は、例えば、エアージェットタイプの織機を用いて織られた後、上記したディップ処理を経て経糸2と緯糸3とが接着されて製造される。
各経糸2は、織物長手方向Yに沿ってのびており、かつ、織物幅方向Xに複数本並列されている。各経糸2は、空気入りタイヤの内部でカーカスコードとして機能する。
経糸2には、例えば、ポリエステル、ナイロン、アラミド又はセルロース等の有機繊維コードが好適に用いられる。セルロースの繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、テンセル、ヴィスコース、ベンベルグ・ナイロン、モダール又はリヨセルなどが挙げられ、特に限定されるものではない。好ましい態様では、経糸2には、例えば、840dtex/2〜2200dtex/2の範囲の太さのものが用いられる。
図2には、図1のすだれ織物1の経糸と直交する拡大断面図が示されている。各緯糸3は、各経糸2の配列状態を保持するもので、経糸2の長手方向に比較的粗い間隔で織り込まれている。緯糸3は、空気入りタイヤの性能に極力影響を与えないように、例えば、経糸2よりも細い糸であるのが望ましい。このような緯糸3としては、例えば、ポリエステル又はポリエステルが綿糸で被覆された複合材が好適であり、その太さは、例えば、100dtex/1〜400dtex/1の範囲が望ましい。また、好ましい態様では、緯糸3は、2本撚りとされる。
図1に示されるように、各緯糸3は、本体部4とタックイン部5とを有している。
本体部4は、織物幅方向Xの一端から他端まで連続してのびている。本体部4は、経糸2の間を交互に浮き沈みするように通過している(図2参照)。そして、織物長手方向Yで隣り合う本体部4は、互いに逆向きで経糸2に対して浮き沈みしながら織り込まれている。
タックイン部5は、本体部4に連なり、かつ、織物の端部で略U字状に折り返され、比較的小さい長さBで終端している。各緯糸3は、本体部4の両側にそれぞれタックイン部5が設けられている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、本体部4の両側の各タックイン部5は、本体部4に対して同じ側(本実施形態では図において上側)に折り返されている。図示されていないが、本体部4の両側の各タックイン部5は、本体部4に対して、異なる側に折り返されたものでも良い。
図3(a)には、図1のJ−J線断面図が示されている(これは、図2のA−A‘線、又はB−B線断面位置に相当している)。図1及び図3(a)に示されるように、タックイン部5も、経糸2の間を交互に浮き沈みしながら通過している。タックイン部5の浮き沈みは、タックイン部5と連続している本体部4の浮き沈みとは、逆向きとされている。一方、タックイン部5の浮き沈みは、このタックイン部5と隣接する他の緯糸3の本体部4の浮き沈みとは、同じ向きとされている。
図1及び図3に示されるように、すだれ織物1は、隣接する2つの緯糸3A、3B間において、一方の緯糸3Aの本体部4と、他方の緯糸3Bのタックイン部5とが離間している。このようなすだれ織物1は、隣接する2つの緯糸3A、3B間において、一方の緯糸3Aの本体部4と、他方の緯糸3Bのタックイン部5との接触部を持たないので、経糸2に対して、局部的に大きな拘束力が作用することを防止できる。
また、図3(b)には、図3(a)の部分拡大図が示されている。図3(b)に示されるように、すだれ織物の経糸2と緯糸3との交差部6は、接着剤7(ディップ液の固化物)によって接着されている。本実施形態のすだれ織物は、緯糸3の本体部4とタックイン部5とは、相互に離間していて、図13(b)及び図13(c)で示したような緯糸3の接触部210を具えていない。そのため、本実施形態のすだれ織物1は、緯糸3の重なりがないばかりか、図7に示した従来のすだれ織物に比して、全体として、ディップ付着量を少なくすることができる。
このようなすだれ織物1は、上述したように、ゴム被覆工程、切断工程、ジョイント工程などを経てカーカスプライ材料として提供される。このカーカスプライ材料を用いてラジアルタイヤのカーカスプライのシェーピング工程を行う場合、経糸2、2の間隔は、従来のものよりも、円周方向でより均一に広げられる。これは、空気入りタイヤのユニフォミティを向上させるのに役立つ。
一方の緯糸3Aの本体部4と、他方の緯糸3Bのタックイン部5との織物長手方向Yに沿った間隔Aは、特に限定されるものではないが、例えば、1.0mm以上、好ましくは1.5mm以上、さらに好ましくは2.0mm以上とされ得る。これにより、緯糸3によって、経糸2に対する強い拘束をより確実に解消させることができる。前記間隔Aの上限は特に限定されないが、例えば、5mm程度に設定され得る。
好ましい態様では、タックイン部5の織物幅方向Xの長さBは、15〜70mmの範囲とされる。これにより、すだれ織物1の端部分で経糸2が乱れるのが確実に防止される。

図1に示されるように、すだれ織物1は、すだれ織物中央領域S1と、すだれ織物端領域S2とを含んでいる。
すだれ織物中央領域S1は、すだれ織物1の織物幅方向Xの領域のうち、タックイン部5が設けられていない中央の領域である。すだれ織物中央領域S1の断面図として、図1のI−I線断面図が図4(a)に示されている(これは、図2(a)のA−A‘線、又はB−B線断面位置に相当している)。図2(a)の部分拡大図が図2(b)に示されている。図1、図2(a)及び図2(b)に示されるように、この領域S1には、緯糸3として、本体部4のみが織り込まれている。符号7は、接着剤を示している。
図1に戻ると、すだれ織物端領域S2は、すだれ織物1の織物幅方向Xの領域のうち、タックイン部5が設けられている端の領域である。すだれ織物端領域S2の断面図として先に示したように、図1のJ−J線断面図が図3(a)に、その部分拡大図が図3(b)に示されている。すだれ織物端領域S2は、緯糸3として、本体部4とタックイン部5の両方が織り込まれている。従って、このすだれ織物端領域S2は、すだれ織物中央領域S1よりも、緯糸3の量が多い。
本発明では、すだれ織物中央領域S1でのディップ付着量aと、すだれ織物端領域S2でのディップ付着量bとの比b/aが0.95〜1.05の範囲に設定されている。即ち、すだれ織物中央領域S1とすだれ織物端領域S2とで、ディップ付着量a、bがほぼ等しく調整されている。
ここで、ディップ付着量とは、ディップ処理を終えかつ乾燥したすだれ織物に付着しているディップ液の硬化物(接着剤)の量(割合)を示し、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」の「ディップピックアップ」の項目の溶解法に準拠して測定されるものとする。また、すだれ織物中央領域S1でのディップ付着量aは、上記JISに準拠し、すだれ織物中央領域S1から試料を切り出して測定されるものとする。同様に、すだれ織物端領域S2でのディップ付着量bは、上記JISに準拠し、すだれ織物端領域S2から試料を切り出して測定されるものとする。
発明者らの種々の実験の結果、経糸2に対する緯糸3の拘束力と、ディップ付着量とは正の相関があることが判明した。即ち、緯糸3の伸びが同一である場合、ディップ付着量が大きいほど、経糸2に対する拘束力が高い(緯糸3が均一に伸び難い。)。そこで、本実施形態では、隣り合う緯糸3間で本体部4とタックイン部5とを離間させることに加えて、すだれ織物1の織物幅方向Xでディップ付着量を均一に近づけている。これにより、経糸2に対する緯糸3の拘束力は、織物幅方向Xでさらに均一化される。従って、本実施形態のすだれ織物1は、ラジアルタイヤのカーカスを製造する際のシェーピング工程において、経糸2の間隔を円周方向でより一層均一に近づけることができる。これは、ユニフォミティに優れた空気入りタイヤの製造に役立つ。
前記ディップ付着量の比b/aが、1.05よりも大きくなると、これまで同様、すだれ織物端領域S2の接着剤の固着量が多くなり、経糸2に対する緯糸3の拘束力を織物幅方向Xで均一に近づける効果が得られず、ひいては、シェーピング工程において経糸2の間隔を円周方向でより均一に近づけることが困難になる。逆に、前記ディップ付着量の比b/aが、0.95よりも小さくなると、今度は逆に、すだれ織物中央領域S1での接着剤の付着量が多くなり、ひいては、すだれ織物中央領域S1での経糸2の間隔が、均一に広がりにくくなる。とりわけ、前記ディップ付着量の比b/aは、0.98〜1.02の範囲が望ましい。
各ディップ付着量a及びbは、それぞれ1.0%〜4.5%の範囲であるのが望ましい。各ディップ付着量a及びbが1.0%未満の場合、経糸2のゴムとの接着性や寸法安定性が低下するおそれがある。逆に、各ディップ付着量a及びbが4.5%を超える場合、ディップ付着量が織物幅方向Xで均一化されたとしても、全体的に、緯糸3の経糸2に対する拘束力が増大するおそれがある。このような観点より、特に好ましい態様では、各ディップ付着量a及びbは、それぞれ1.0%以上2.8%未満の範囲で定められるのが良い。
すだれ織物端領域S2は、すだれ織物中央領域S1に比べて、タックイン部5の分だけ緯糸3の量(織物単位面積当たりの量)が多い。従って、これまで通りディップ処理を行えば、すだれ織物端領域S2のディップ付着量bと、すだれ織物中央領域S1のディップ付着量aとの比b/aは、1.05よりも大きく、通常、1.10を上回る傾向がある。従って、すだれ織物1の織物幅方向Xでディップ付着量を均一化するためには、例えば、すだれ織物1のディップ浴後、すだれ織物端領域S2から余分なディップ液をより多く除去することが望ましい。
図5には、ディップ処理の一例が模式的に示されている。ディップ処理では、先ず、図5の左側から連続的に未ディップのすだれ織物1’が供給され、浴槽内に貯められたRFLのディップ液10に浸漬される。浸漬後、すだれ織物1は、ローラー12及び14間を通過することにより、余分なディップ液が絞り取られる。その後、すだれ織物1は、吸引装置16によって、さらに余分なディップ液が除去される。
吸引装置16は、負圧発生装置20と、この負圧発生装置20に管22を介して接続された吸込みヘッド24とを含んでいる。吸込みヘッド24は、すだれ織物1をその両側から挟むように、例えば、一対設けられている。
図6には、吸込みヘッド24の拡大図が示されている。各吸込みヘッド24は、すだれ織物中央領域S1のディップ液を吸引する中央吸込み部24Aと、その両側に設けられたすだれ織物端領域S2のディップ液を吸引する一対の端部吸込み部24Bとを含んでいる。
中央吸込み部24Aと、端部吸込み部24Bとは、互いに仕切られており、各々独立した吸引圧でディップ液を吸い取ることができる。本実施形態では、端部吸込み部24Bの吸引圧が、中央吸込み部24Aの吸引圧よりも大きく設定されている。これにより、端部吸込み部24Bは、中央吸込み部24Aに比べて、単位面積当たりのディップ液の吸い取り量が多くなり、ひいては、すだれ織物1の織物幅方向Xでディップ付着量を均一に近づけることができる。従って、前記ディップ付着量の比b/aの調整は、これらの吸引圧の調整によって行うことが可能である。
上記実施形態では、ディップ付着量をすだれ織物1の織物幅方向Xで均一化するために負圧発生装置20の吸引力に差を設けたが、このような方法に代えて、又は、このような方法とともに、吸引時間に差を設けることができる。
また、ディップ付着量をすだれ織物1の織物幅方向Xで均一化するために、吸引装置16に代えて、又は、このような方法とともに、他の手段が用いられても良い。例えば、絞りのためのローラー12及び14間のギャップを、相対的なものとして、すだれ織物中央領域S1で大きく、すだれ織物端領域S2でより小さくすることができる。また、すだれ織物からの余分なディップ液の除去が、吸引に代えて、高圧空気の吹付けによって行われても良い。この場合、すだれ織物端領域S2により大きな圧力の空気を吹きつけることが望ましい。
本実施形態のすだれ織物1のタックイン部5は、機械式又はエアージェット式の織機によって折り返されるが、能率よく製造するためには、エアージェットで折り返されることが望ましい。特に、エアージェット式の織機では、空気圧の調整により、緯糸3の間隔を変えることができるため、物性に優れたすだれ織物を安定的に提供することができる。
すだれ織物1は、ディップ処理後、上述のように、ゴム被覆工程、切断工程、ジョイント工程などを経てカーカスプライ材料として提供される。
以上本発明の実施形態について詳細に説明されたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変更して実施され得る。
実施例及び比較例として、経糸に1670dtex/2のポリエステルコードを用いたすだれ織物が、表1の仕様で試作された。
次に、実施例及び比較例のすだれ織物は、表1の仕様でディップ処理してディップ反とされ、その後、ゴムで被覆することでカーカスプライ用のゴム引きすだれ織物が試作された。そして、実施例及び比較例のゴム引きすだれ織物をそれぞれカーカスプライ材料として、サイズ195/65R15の空気入りタイヤが製造された。製造された各空気入りタイヤについて、ユニフォミティ及びカーカスプライのカーカスコード(経糸)のエンズの差が測定された。測定方法等は、次の通りである。
<ディップ付着量>
ディップ付着量は、ディップ処理を終えかつ乾燥したすだれ織物に付着しているディップ液の硬化物(接着剤)の量(%)を示し、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」の「ディップピックアップ」の項目の溶解法に準拠して測定された。また、ディップ付着量は、すだれ織物中央領域と、すだれ織物端領域とのそれぞれにおいて、測定された。
<カーカスコードのエンズの差>
それぞれの空気入りタイヤを解体し、カーカスプライの前記接触部(図9において、符号210で示される部分)と、接触部210に隣接した部分(図9において、符号220で示される部分に相当)とのそれぞれにおいて、エンズ(タイヤ周方向の5cm当たりのカーカスコードの本数)が測定され、それらの差が示された。この差が小さいほど、カーカスコードの間隔がタイヤ周方向に均一化されていることを示す。
<タイヤのユニフォミティ>
JASO C607のユニフォミティ測定法に基づいて、各空気入りタイヤの回転時のタイヤ半径方向の力の変動成分であるラジアルフォースバリエーション(RFV)が、ユニフォミティマシンを用いて測定された。結果は、その平均値と標準偏差で示されている(n=1000)。数値が小さいほど、ばらつきが小さく良好であることを示す。
テストの結果は、表1に示される。
Figure 0006491522
テストの結果、実施例のものは、比較例1乃至3に比べて、顕著にユニフォミティを向上していることが確認できた。
1 すだれ織物
2 経糸
3 緯糸
3A 一方の緯糸
3B 他方の緯糸
4 緯糸の本体部
5 緯糸のタックイン部
S1 すだれ織物中央領域
S2 すだれ織物端領域

Claims (13)

  1. タイヤ補強用の経糸と、非連続の緯糸とを有するすだれ織物がディップ処理されたタイヤ補強用のすだれ織物であって、
    前記各緯糸は、織物の幅方向を連続してのびる本体部と、前記本体部に連なりかつ織物内部に折り返されて終端するタックイン部とを有し、
    隣接する2つの緯糸間において、一方の緯糸の前記本体部と、他方の緯糸のタックイン部とが離間しているとともに、
    前記タックイン部が設けられていないすだれ織物中央領域でのディップ付着量aと、前記タックイン部が設けられているすだれ織物端領域でのディップ付着量bとの比b/aが0.95〜1.05の範囲にあることを特徴とするタイヤ補強用のすだれ織物。
  2. 前記一方の緯糸の前記本体部と、前記他方の緯糸のタックイン部との間隔Aが1.0mm以上である請求項1記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  3. 前記タックイン部の長さBが15〜70mmである請求項1又は2記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  4. 前記ディップ付着量a及びbが、それぞれ1.0%〜4.5%の範囲である請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  5. 前記ディップ付着量a及びbが、それぞれ1.0%以上2.8%未満の範囲である請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  6. 前記経糸は、ポリエステル、ナイロン、アラミド又はセルロースの繊維である請求項1乃至5のいずれかに記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  7. 前記経糸の太さが840dtex/2〜2200dtex/2である請求項1乃至6のいずれかに記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  8. 前記緯糸は、ポリエステル、又は、ポリエステルが綿糸で被覆された複合糸からなる請求項1乃至7のいずれかに記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  9. 前記緯糸の太さが100dtex/1〜400dtex/1である請求項1乃至8のいずれかに記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  10. 前記緯糸が2本撚りである請求項1乃至のいずれかに記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  11. 前記各緯糸は、前記本体部の両側にそれぞれ前記タックイン部が設けられており、
    前記各タックイン部は、前記本体部に対して同じ側に折り返されている請求項1乃至10のいずれかに記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  12. 前記タックイン部がエアージェットを用いて折り返されたものである請求項11記載のタイヤ補強用のすだれ織物。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載されたタイヤ補強用のすだれ織物を、カーカスプライとして具えていることを特徴とする空気入りタイヤ。
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