JP2006063486A - すだれ織物及びこれを使用した空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 平坦性を一層向上してスプライス故障をなくするようにしたすだれ織物及びこれを使用した空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】 耳部5Bを構成するコード5bの総繊度を本体部5Aを構成するコード5aの総繊度と略同一にすると共に、耳部5Bのコードの下糸を本体部5Aの下糸よりも繊度を小さくすると共に、本数を多くし、かつ撚り方向を本体部5Aのコードの撚り方向と逆方向にしたコードと同一方向にしたコードとを交互配置したすだれ織物S及びこれをカーカス層5に使用した空気入りラジアルタイヤ1。
【選択図】 図2
【解決手段】 耳部5Bを構成するコード5bの総繊度を本体部5Aを構成するコード5aの総繊度と略同一にすると共に、耳部5Bのコードの下糸を本体部5Aの下糸よりも繊度を小さくすると共に、本数を多くし、かつ撚り方向を本体部5Aのコードの撚り方向と逆方向にしたコードと同一方向にしたコードとを交互配置したすだれ織物S及びこれをカーカス層5に使用した空気入りラジアルタイヤ1。
【選択図】 図2
Description
本発明はすだれ織物及びこれを使用した空気入りラジアルタイヤに関し、さらに詳しくは、平坦性を向上することによりスプライス故障をなくしたすだれ織物及びこれを使用した空気入りラジアルタイヤに関する。
タイヤの主としてカーカス層に使用するすだれ織物は、下撚りをかけた複数本の下糸を合糸し上撚りをかけて形成した撚りコードを経糸として織製されている。織られたすだれ織物は、ゴムとの接着性を向上させるためRFL(レゾルシン・フォルマリン・ラテックス)液による表面処理が施された後、未加硫のゴムが被覆されてシート状に成形され、その後タイヤの幅方向に相当する長さにカットされた後、そのシート片をもとのすだれ織物の長手方向の辺同士をスプライスしてロール状に巻き上げられて一時ストックされる。
しかし、経糸に使用される撚りコードが、ポリエステル繊維やアラミド繊維等の比較的剛直な材料からなる場合には、すだれ織物の耳部におけるコードの撚りを戻そうとする力が強いため、上記のようにカットした後のシート片の端末同士をスプライスする際にシート片の対角線上の耳部が持ち上がり、スプライスが不完全になったり、スプライス不能になる場合があった。
一方、RFL液による表面処理工程において、すだれ織物に付着した余分のRFL液を取り除く場合、特に耳部に付着したRFL液は除去し難いため、余剰のRFL液がコードの剛直化を増大させ、上記不具合を更に悪化させていた。
このような事態を解消するために、従来からすだれ織物の平坦性を確保するため種々の対策が提案されている。たとえば、耳部のコードの撚り係数を本体部のコードの撚り係数より大きくする提案がある(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、これらの提案は、剛性の高い有機繊維コードを対象とした場合には、上記の問題を充分に解消するまでには至っていない。
特開平13−187510号公報
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解消し、平坦性を一層向上してスプライス故障をなくすようにしたすだれ織物及びこれを使用した空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のすだれ織物は、有機繊維の撚りコードを経糸に使用したすだれ織物において、前記すだれ織物の耳部を構成するコードの総繊度を本体部を構成するコードの総繊度と略同一にすると共に、該耳部のコードの下糸を前記本体部の下糸よりも繊度を小さくすると共に、本数を多くし、かつ撚り方向を前記本体部のコードの撚り方向と逆方向にしたコードと同一方向にしたコードとを交互配置したことを特徴とする。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、上述した構成からなるすだれ織物をカーカス層に使用したことを特徴とする。
本発明のすだれ織物は、すだれ織物の耳部を構成するコードにおいて、撚り方向を本体部のコードの撚り方向と逆方向にしたコードと、同一方向にしたコードとを交互に配置するようにした上で、そのコード総繊度を本体部を構成するコードの総繊度と略同一にすると共に、その下糸の繊度を小さく、本数を多くすることで、本体部と同一構成のコードを使用する場合に比べ、下糸同士の摩擦力が増加するため、上撚りの回転力を抑制し、上述したシート片の対角線上の角部が持ち上がる変形を抑制することができる。
したがって、未加硫ゴム被覆後のシート片をスプライスする際の接合不良を防止できるので、上述のすだれ織物をカーカス層に使用することにより、空気入りラジアルタイヤのスプライス故障をなくすることができる。
以下、本発明の構成につき添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の空気入りラジアルタイヤの一例を示す半断面図である。空気入りラジアルタイヤ1は左右一対のビード部4,4にビードコア2、2を埋設し、その外周側にそれぞれビードフィラー3、3を配置している。これらビードコア2、2の周囲をカーカス層5がタイヤ内側から外側へビードフィラー3、3を包み込むように折り返されている。そして、トレッド部6のカーカス層5の外周側にはベルト層7、7が配置されている。
カーカス層5には、有機繊維の撚りコードを経糸に使用したすだれ織物Sが使用されている。撚りコードはS又はZ方向の下撚りを施した複数本の下糸を、撚り方向を逆にしてZ又はS方向に上撚りを施して合糸することにより形成されている。すだれ織物Sは、図2に示すように幅方向中央側の本体部5Aと左右両端側の耳部5B、5Bとからなる。
上記耳部5Bを構成するコード5bは、本体部5Aを構成するコード5aとは次のように異なっている。すなわち、耳部5Bのコード5bは、総繊度は本体部5Aのコード5aと略同一であるが、その下糸は本体部5Aのものより細くし、かつ構成本数を多くしている。ここで、総繊度が略同一とは、具体的には耳部5Bの経糸コード5bの総繊度が、本体部5Aの経糸コード5aの総繊度を基準にして±1.2%の範囲内にあることをいう。
このように、耳部5Bのコード5bの下糸に本体部5Aのコード5aの下糸よりも繊度の小さいものを使用すると共に、下糸の構成本数を多くしていることにより、コード5bとしてコード5aと同一構成のコードを使用する場合に比べて、下糸同士の摩擦力が増加するため、上撚りの回転力を抑制している。しかも、耳部5Bには、コード5bの撚り方向として、本体部5Aのコード5aの撚り方向と逆方向のものと同一方向のものとを交互に配置したことにより、すだれ織物Sの平坦性が向上するようになっている。したがって、未加硫ゴムを被覆した後のカットシート片をスプライスするとき、スプライス部分の接合不良を抑制し、スプライス故障を低減する。
本発明のすだれ織物において、さらに望ましくは、耳部5Bのコード5bの経糸密度を本体部5Aのコード5aの経糸密度より疎にすることが好ましい。このように耳部5Bの経糸密度を疎にしたことにより、RFL処理工程における耳部5BへのRFL液の付着量を低減させ、コード5bの剛直化を抑制するので、すだれ織物Sの平坦性を一層向上することができる。耳部5Bの経糸密度は、本体部5Aの経糸密度を100%として97〜99%にするとよい。99%超では平坦性に及ぼす影響が殆どなくなり、97%未満ではすだれ織物Sの幅方向の剛性の分布が不均一になり過ぎることになる。
上述するように耳部5Bと本体部5Aとで経糸密度を変化させたすだれ織物Sはゴムを被覆するに先立って、耳部5Bと本体部5Aとのコード密度を均一にするために、コード間隔を矯正するための装置であるスレッドバー等を通過させてコード間隔を矯正させるとなおよい。これによりすだれ織物の幅方向の剛性の分布を均等にすることができる。
タイヤサイズを195/60R15と共通にして、図1の構造のラジアルタイヤを製造するに当り、カーカス層5に使用するすだれ織物Sを表1のように異ならせた従来タイヤ(従来例)、本発明タイヤ(実施例1,2)及び比較タイヤ(比較例)を製作した。
これら4種類のゴム被覆後の未加硫シートの反り及び加硫後のタイヤの故障率を以下の方法により調べ、その結果を表1に併記した。
〔未加硫シートの反り試験〕
500mm幅に切断した未加硫シートを作業台の上に置き、未加硫シートの対角線上の角2ケ所において作業台から持ち上がった距離を測定し、その平均値を求めた。
〔タイヤの故障率試験〕
各仕様によるゴム被覆後の未加硫シートを使用してそれぞれのタイヤを製造し、各タイヤのユニフォミティーを測定した。その結果、不均一性が認められたタイヤについて、タイヤを解体してその原因を解析した。不均一性の原因がカーカス層のスプライス故障によるものを集計し、タイヤの故障率を算定した。
〔未加硫シートの反り試験〕
500mm幅に切断した未加硫シートを作業台の上に置き、未加硫シートの対角線上の角2ケ所において作業台から持ち上がった距離を測定し、その平均値を求めた。
〔タイヤの故障率試験〕
各仕様によるゴム被覆後の未加硫シートを使用してそれぞれのタイヤを製造し、各タイヤのユニフォミティーを測定した。その結果、不均一性が認められたタイヤについて、タイヤを解体してその原因を解析した。不均一性の原因がカーカス層のスプライス故障によるものを集計し、タイヤの故障率を算定した。
1 空気入りラジアルタイヤ
2 ビードコア
3 ビードフィラー
4 ビード部
5 カーカス層
6 トレッド部
7 ベルト層
S すだれ織物
2 ビードコア
3 ビードフィラー
4 ビード部
5 カーカス層
6 トレッド部
7 ベルト層
S すだれ織物
Claims (3)
- 有機繊維の撚りコードを経糸に使用したすだれ織物において、
前記すだれ織物の耳部を構成するコードの総繊度を本体部を構成するコードの総繊度と略同一にすると共に、該耳部のコードの下糸を前記本体部の下糸よりも繊度を小さくすると共に、本数を多くし、かつ撚り方向を前記本体部のコードの撚り方向と逆方向にしたコードと同一方向にしたコードとを交互配置したことを特徴とするすだれ織物。 - 前記耳部の経糸密度が前記本体部の経糸密度より疎である請求項1に記載のすだれ織物。
- 請求項1又は2に記載のすだれ織物をカーカス層に使用した空気入りラジアルタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004248240A JP2006063486A (ja) | 2004-08-27 | 2004-08-27 | すだれ織物及びこれを使用した空気入りラジアルタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004248240A JP2006063486A (ja) | 2004-08-27 | 2004-08-27 | すだれ織物及びこれを使用した空気入りラジアルタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006063486A true JP2006063486A (ja) | 2006-03-09 |
Family
ID=36110213
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004248240A Pending JP2006063486A (ja) | 2004-08-27 | 2004-08-27 | すだれ織物及びこれを使用した空気入りラジアルタイヤ |
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JP (1) | JP2006063486A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006161177A (ja) * | 2004-12-02 | 2006-06-22 | Teijin Techno Products Ltd | ゴム補強用合成繊維すだれ織物及びそれを用いた空気入りタイヤ |
WO2008029470A1 (fr) * | 2006-09-07 | 2008-03-13 | Toyo Boseki Kabushiki Kaisha | Tissu polyester présentant une configuration de type grille de bambou |
JP2011001661A (ja) * | 2009-06-19 | 2011-01-06 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | タイヤコード用すだれ織物 |
KR101024092B1 (ko) * | 2007-12-11 | 2011-03-22 | 코오롱인더스트리 주식회사 | 폴리에스테르계 타이어 코드지 및 이를 포함하는 타이어 |
JP2016199192A (ja) * | 2015-04-14 | 2016-12-01 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ補強用のすだれ織物及びそれを用いた空気入りタイヤ |
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2004
- 2004-08-27 JP JP2004248240A patent/JP2006063486A/ja active Pending
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