JP6490878B1 - 染色された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理剤及びそれを用いた表面処理方法、封孔処理方法並びに物品 - Google Patents

染色された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理剤及びそれを用いた表面処理方法、封孔処理方法並びに物品 Download PDF

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Abstract

本発明は、染料により染色処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐光性を向上させ、且つ、染色定着性を向上させることができる表面処理剤、及び表面処理方法を提供する。本発明は、染色された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理剤であって、フッ化ジルコニウム塩を含有し、pHが3.4以下であることを特徴とする、表面処理剤を提供する。

Description

本発明は、染色された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理剤及びそれを用いた表面処理方法、封孔処理方法並びに物品に関する。
アルミニウム又はアルミニウム合金等の軽金属には、陽極酸化皮膜が形成され、様々な用途に用いられている。このようなアルミニウム等に形成された陽極酸化皮膜には、用途によって耐食性等の性能が要求されており、これらの性能を付与するために、表面処理が行われている。
上述のような軽金属に形成された陽極酸化皮膜に耐食性及び意匠性を付与する表面処理方法として、軽金属又はそれらの合金に対して陽極酸化皮膜を形成する工程と、その後に、水溶性のジルコニウム化合物等の水溶性化合物を含有する水溶液に浸漬する工程を含む表面処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1では、意匠性を付与するために、上記表面処理を行った後の表面に木目模様等の意匠模様を印刷、転写することにより模様を付与することが検討されている。特許文献1では、染料を含有する染料水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法のように、染料により陽極酸化皮膜を染色処理する方法については検討されていない。また、特許文献1では、上述の染料による染色処理において、染色定着性を向上させることについても検討されていない。
また、特許文献1では、染料を用いて染色処理された陽極酸化皮膜に耐光性を付与することは検討されていない。上述のように染料を用いて陽極酸化皮膜に染色処理を施した場合、紫外線等の光に曝されることにより染料の色味が退色し、色が薄くなるという問題がある。
従って、染料により染色処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐光性を向上させ、且つ、染色定着性を向上させることができる表面処理剤、及び表面処理方法の開発が求められている。
特開2006−183065号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、染料により染色処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐光性を向上させ、且つ、染色定着性を向上させることができる表面処理剤、及び表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、染色された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理剤として、フッ化ジルコニウム塩を含有し、pHが3.4以下である表面処理剤を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の染色されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理剤及びそれを用いた表面処理方法、封孔処理方法並びに物品に関する。
1.染色された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理剤であって、フッ化ジルコニウム塩を含有し、pHが3.4以下であることを特徴とする、表面処理剤。
2.pHが2.3〜2.8である、項1に記載の表面処理剤。
3.更に、フッ素を含有しない金属酸化物塩を含む、項1又は2に記載の表面処理剤。
4.更に、pH緩衝剤を含有する、項1〜3のいずれかに記載の表面処理剤。
5.更に、アニオン系界面活性剤を含有する、項1〜4のいずれかに記載の表面処理剤。
6.染色された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理方法であって、
(1)アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を染色処理する工程1、及び、
(2)染色された陽極酸化皮膜を表面処理剤に浸漬して表面処理を行う工程2を有し、
表面処理剤はフッ化ジルコニウム塩を含有し、且つ、pHが3.4以下であることを特徴とする表面処理方法。
7.表面処理剤のpHは2.3〜2.8である、項6に記載の表面処理方法。
8.表面処理剤の温度は10〜70℃である、項6又は7に記載の表面処理方法。
9.表面処理剤への浸漬時間は1〜30分である、項6〜8のいずれかに記載の表面処理方法。
10.項6〜9のいずれかに記載の表面処理方法により表面処理された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を封孔処理する工程3を有する、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔処理方法。
11.項10に記載の封孔処理方法により封孔処理された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を有する物品。
本発明の表面処理剤及び表面処理方法によれば、染色されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜に当該表面処理剤を用いて表面処理を行うことにより、陽極酸化皮膜に優れた染色定着性を付与することができ、且つ、陽極酸化皮膜に光が照射された際の退色が抑制されて、優れた耐光性を示すことができる。
また、本発明の封孔処理方法によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜が上記表面処理方法により表面処理されており、封孔処理前の陽極酸化皮膜に優れた染色定着性を付与することができ、且つ、封孔処理後の陽極酸化皮膜に光が照射された際の退色が抑制されて、優れた耐光性を示すことができる。
更に、本発明の物品は、上記表面処理方法により表面処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜が、上記封孔処理方法により封孔処理されているので、物品の陽極酸化皮膜が染色定着性に優れており、且つ、物品の陽極酸化皮膜に光が照射された際の退色が抑制されて、優れた耐光性を示すことができる。
実施例3及び比較例3の耐光性試験における各照射時間後の試験片の写真である。 実施例4及び比較例4の耐光性試験における各照射時間後の試験片の写真である。 アルミニウム合金の陽極酸化皮膜に本発明の表面処理剤を用いて表面処理を行った後の、陽極酸化皮膜の表面のFE-SEM像である。 アルミニウム合金の陽極酸化皮膜に本発明の表面処理剤を用いて表面処理を行った後の、陽極酸化皮膜の断面のFE-SEM像である。 アルミニウム合金の陽極酸化皮膜に本発明の表面処理剤を用いて表面処理を行った後の、陽極酸化皮膜のX線光電子分光法(XPS)による元素深さ方向分析の結果を示す図である。 アルミニウム合金の陽極酸化皮膜に本発明の表面処理剤を用いて表面処理を行った後の、陽極酸化皮膜のX線光電子分光法(XPS)によるナロースキャン分析の結果を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.表面処理剤
本発明の、染色されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理剤(以下、単に「表面処理剤」とも示す。)は、フッ化ジルコニウム塩を含有し、pHが3.4以下である。本発明の表面処理剤により染色されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を表面処理すれば、当該陽極酸化皮膜に優れた耐光性及び染色定着性を付与することができる理由については明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、本発明の表面処理剤を用いて、染色されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を表面処理することにより、当該陽極酸化皮膜の表面にZrOの皮膜が形成され、後工程の封孔処理等の際に染料の染み出しが抑制され、優れた染色定着性を示すことができると推測される。また、当該陽極酸化皮膜の表面に形成されたZrOの皮膜が、陽極酸化皮膜の表面に照射される紫外線等の光による染料の分解を抑制し、優れた耐光性を示すことができると推測される。
本発明の表面処理剤は、pHが3.4以下である。表面処理剤のpHが3.4を超えると、十分な染色定着性が得られない。pHは、3.0以下が好ましく、2.8以下がより好ましい。また、pHは、2.0以上が好ましく、2.3以上がより好ましい。pHの下限が上記範囲であることにより、耐光性及び染色定着性がより一層向上する。
(フッ化ジルコニウム塩)
フッ化ジルコニウム塩としては特に限定されず、ジルコンフッ化アンモニウム、ジルコンフッ化カリウム、ジルコンフッ化ナトリウム、ジルコンフッ化水素酸等を用いることができる。これらの中でも、耐光性及び染色定着性がより一層優れる点で、ジルコンフッ化アンモニウム、ジルコンフッ化カリウムが好ましく、ジルコンフッ化アンモニウムがより好ましい。上記フッ化ジルコニウム塩は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
表面処理剤中のフッ化ジルコニウム塩の含有量は特に限定されず、0.1〜100g/Lが好ましく、0.2〜20g/Lがより好ましい。フッ化ジルコニウム塩の含有量の下限が上記範囲であることにより、耐光性がより一層向上する。また、フッ化ジルコニウム塩の含有量の上限が上記範囲であることにより、表面処理の際の色抜け抑制の点で優れている。
(フッ素を含有しない金属酸化物塩)
本発明の表面処理剤は、更に、フッ素を含有しない金属酸化物塩を含むことが好ましい。フッ素を含有しない金属酸化物塩を含むことにより、黒等の濃い色に染色された濃染色品の表面処理を行った場合であっても、陽極酸化皮膜の表面の外観不良をより一層十分に抑制することができる。
フッ素を含有しない金属酸化物塩を形成する金属は特に限定されず、ニッケル、コバルト、チタン、ジルコニウム、セシウム、タンタル、バナジウム、ニオブ等の金属酸化物塩が挙げられる。
また、フッ素を含有しない金属酸化物塩としては、無機酸塩が好ましい。無機酸塩を用いることにより、表面処理剤がより一層優れた染色定着性を示すことができる。無機酸塩を形成する無機酸としては特に限定されず、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。
上記フッ素を含有しない金属酸化物塩は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
表面処理剤中のフッ素を含有しない金属酸化物塩の含有量は特に限定されず、0.1〜10g/Lが好ましく、0.2〜1g/Lがより好ましい。フッ素を含有しない金属酸化物塩の含有量が上記範囲であることにより、陽極酸化皮膜の表面の外観不良をより一層十分に抑制することができる。
(pH緩衝剤)
本発明の表面処理剤は、更に、pH緩衝剤を含有することが好ましい。pH緩衝剤を含有することにより、染色定着性がより一層向上し、且つ、陽極酸化皮膜の表面の粉吹きやカブリ外観不良を抑制することができる。
pH緩衝剤としては特に限定されず、従来公知のpH緩衝剤を用いることができる。このようなpH緩衝剤としては、例えば、アミノ酸、有機酸塩、アンモニウム塩、ホウ酸塩、アミン化合物、含窒素複素環式化合物等が挙げられる。これらの中でも、染色定着性がより一層向上し、且つ、陽極酸化皮膜の表面の粉吹きやカブリ外観不良を抑制することができる点で、アミノ酸が好ましい。
アミノ酸としては、グルタミン酸、グリシン、アラニン、アルギニン、システイン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン酸等やそれらの塩が挙げられる。これらの中でも、pH緩衝作用の点でグルタミン酸及びその塩、グリシン及びその塩、ヒスチジン及びその塩、アスパラギン酸及びその塩が好ましく、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸及びそれらの塩がより好ましい。
有機酸塩としては、カルボン酸やオキシカルボン酸の塩が挙げられる。上記カルボン酸、オキシカルボン酸の炭素数は4以下が好ましい。また、上記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。
アンモニウム塩としては有機酸のアンモニウム塩、無機酸のアンモニウム塩が挙げられる。有機酸のアンモニウム塩としては、カルボン酸やオキシカルボン酸のアンモニウム塩が挙げられる。上記カルボン酸、オキシカルボン酸の炭素数は4以下が好ましい。また、無機酸のアンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩、スルファミン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
アミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンであるエタノールアミンが挙げられ、また、アルキルアミン、芳香族アミンや、尿素等の水溶性カルボニルアミン等が挙げられる。
含窒素複素環式化合物としては、ヘテロ原子として少なくとも1つの窒素原子を含む複素環式化合物、ヘテロ原子として少なくとも1つの窒素原子及び少なくとも1つの酸素原子を含む複素環式化合物が挙げられる。
上記含窒素複素環式化合物としては、エチレンイミン環、アジリン環、アゼチジン環、アゼト環、ピロリジン環、ピロール環、ピペリジン環、ピリジン環、ヘキサメチレンイミン環、アザトロピリデン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イミダゾリン環、ピラジン環、モルホリン環、プテリジン環、プリン環等を含む含窒素複素環式化合物が挙げられる。これらの中でも、ピロリジン環、ピロール環、ピペリジン環、ピリジン環、ヘキサメチレンイミン環、アザトロピリデン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イミダゾリン環、ピラジン環、モルホリン環、プテリジン環、プリン環等を含む含窒素複素環式化合物が好ましい。
上記含窒素複素環式化合物としては、エチレンイミン、アジリン、アゼチジン、アゼト、ピロリジン、ピロール、ピペリジン、ピリジン、ヘキサメチレンイミン、アザトロピリデン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、プテリジン、プリン等が挙げられ、これらの骨格にアミノ基やメチル基が付加した化合物を用いることができる。これらの中でも環状構成原子に一つまたは二つの窒素原子をヘテロ原子としてもち、炭素または一つのヘテロ原子酸素と炭素からなる環状5員〜7員環の複素環式化合物が好ましく、具体的にはピロリジン、ピロール、ピペリジン、ピリジン、ヘキサメチレンイミン、アザトロピリデン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン等の化合物とその環状骨格を基本構造とした化合物群が挙げられる。また、重多環構造をもちヘテロ原子窒素を4つ以上もつもの、例えばプリン、プテリジン等の化合物とその多重環状骨格を基本構造とした化合物群も好ましい。中でも、5〜6員環のものが更に好ましく、ピロリジン、ピロール、ピペリジン、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン等の化合物とその環状骨格を基本構造とした化合物群が挙げられる。この中でも環内に二重結合を持つピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イミダゾリン、ピラジン等の化合物とその環状骨格を基本構造とした化合物群が特に好ましい。これらの化合物群を構成する置換基としてはアミノ基やメチル基等が挙げられ、これらの置換基が付加した化合物群を用いてもよい。例えば2−アミノピリジン、4−アミノピリジン等のアミノピリジン等や、2−メチルイミダゾール等のメチルイミダゾール等が特に好ましいものとして挙げられる。中でも、ピリジン、イミダゾール、アミノピリジン、メチルイミダゾール等が最も好ましい。
上記pH緩衝剤は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
表面処理剤中のpH緩衝剤の濃度は特に限定されず、0.1〜20g/Lが好ましく、0.2〜5g/Lがより好ましい。pH緩衝剤の濃度が上記範囲であることにより、表面処理剤が優れたpHの緩衝性を示すことができ、且つ、pH緩衝剤の濃度が高過ぎることにより発生する染色品の色ヌケが抑制される。
(アニオン系界面活性剤)
本発明の表面処理剤は、更に、アニオン系界面活性剤を含有することが好ましい。アニオン系界面活性剤を含有することにより、染色定着性がより一層向上し、且つ、陽極酸化皮膜の表面の粉吹きやカブリ外観不良を抑制することができる。
アニオン系界面活性剤としては特に限定されず、硫酸塩系界面活性剤、スルホン酸塩系界面活性剤、スルホコハク酸系界面活性剤、リン系界面活性剤等を用いることができる。
硫酸塩系界面活性剤としては、芳香族硫酸塩系界面活性剤、脂肪族硫酸塩系界面活性剤等が挙げられる。
上記芳香族硫酸塩系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩が挙げられる。また、脂肪族硫酸塩系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。
スルホン酸塩系界面活性剤としては、芳香族スルホン酸塩系界面活性剤等が挙げられる。
上記芳香族スルホン酸塩系界面活性剤としては、ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸塩化合物や、ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸塩骨格に、アルキル基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンアルキルエーテル基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アルコール基、ビニル基やアリル基等のアルキレン基や多重結合を持つ基、さらなるスルホン酸基が置換した化合物等が挙げられ、また、これらの化合物のホルマリン等での重縮合物、並びに共重合物等が挙げられる。このような芳香族スルホン酸塩系界面活性剤としては例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ならびにそれらのホルマリン等重縮合物、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン等重縮合物、アルキレンベンゼンスルホン酸塩やアルキレンナフタレンスルホン酸塩等からの共重合物等が挙げられる。
上記芳香族スルホン酸塩系界面活性剤としては、ジフェニルエーテルジスルホン酸塩等の、複数個のフェニルスルホン酸塩がエーテル結合した化合物が挙げられ、また、当該化合物にアルキル基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンアルキルエーテル基等が置換した化合物が挙げられる。このような芳香族スルホン酸塩系界面活性剤としては、例えば、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。
スルホコハク酸系界面活性剤としてはスルホコハク酸にアルキル基や芳香族環が結合したものが挙げられる。具体的には、アルキルスルホコハク酸、ジアルキルスルホコハク酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホコハク酸等とそれらの塩が挙げられる。
リン系界面活性剤としては、リン酸エステル系界面活性剤、リン酸エステル塩系界面活性剤等を用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキレン化フェニルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸エステル等とそれらの塩が挙げられる。
上記アニオン系界面活性剤としては、スルホン酸塩系界面活性剤が好ましい。
上記アニオン系界面活性剤は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
表面処理剤中のアニオン系界面活性剤の濃度は特に限定されず、10mg/L〜10g/Lが好ましく、20mg/L〜5g/Lがより好ましい。界面活性剤の濃度が上記範囲であることにより、染色定着性がより一層向上する。
(pH調整剤)
本発明の表面処理剤は、更に、pH調整剤を含んでいてもよい。pH調整剤としては特に限定されず、従来公知のpH調整剤を用いることができる。
表面処理剤を低下させて酸性側に調整するためのpH調整剤としては、例えば、酢酸、スルファミン酸、硫酸、硝酸、有機スルホン酸等の希釈水溶液が挙げられる。これらの中でも、染色定着性がより一層向上する点で、硝酸が好ましい。
表面処理剤のpHを上げるためのpH調整剤としては、例えば、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。これらの中でも、染色定着性がより一層向上する点で、アンモニア水が好ましい。
上記pH調整剤は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
表面処理剤中のpH調整剤の濃度は特に限定されず、0〜20g/Lが好ましく、0〜10g/Lがより好ましく、0〜5g/Lが更に好ましい。pH調整剤の濃度が上記範囲であることにより、染色定着性がより一層向上する。
(その他の成分)
本発明の表面処理剤は、染色定着性のさらなる向上や表面処理剤の使用実用性を向上させるために、必要に応じて防カビ剤、錯化剤等の添加剤成分を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸塩等の防カビ剤;クエン酸、クエン酸塩等の錯化剤等が挙げられる。また、防カビ剤としては市販の防カビ剤、例えば「TACカビコロン」(奥野製薬工業株式会社製)を添加してもよい。
本発明の表面処理剤は、フッ化ジルコニウム塩を含有していればその他の成分は特に限定されないが、上述の各成分を含有する水溶液であることが好ましい。
2.表面処理方法
本発明の表面処理方法は、染色された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理方法であって、(1)アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を染色処理する工程1、及び、(2)染色された陽極酸化皮膜を表面処理剤に浸漬して表面処理を行う工程2を有し、表面処理剤はフッ化ジルコニウム塩を含有し、且つ、pHが3.4以下である表面処理方法である。
(工程1)
工程1は、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を染色処理する工程である。
染色処理の処理対象であるアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜は、一般的なアルミニウム、アルミニウム合金に硫酸、シュウ酸等を用いた公知の陽極酸化法を適用して得られた陽極酸化皮膜であればよい。アルミニウム合金としては特に限定的ではなく、各種のアルミニウム主体の合金を陽極酸化の対象とすることができる。アルミニウム合金の具体例としては、JISに規定されているJIS−A 1千番台〜7千番台で示される展伸材系合金、AC、ADCの各番程で示される鋳物材、ダイカスト材等を代表とするアルミニウム主体の各種合金群等が挙げられる。
アルミニウム又はアルミニウム合金に施される陽極酸化法としては、例えば、硫酸濃度が100g/L〜400g/L程度の水溶液を用い、液温を0〜30℃程度として、0.5〜4A/dm程度の陽極電流密度で電解を行う方法が挙げられる。
染色処理としては特に限定されず、染料による着色が挙げられる。染料による着色としては、従来公知の染料水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法が挙げられる。このような染料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜用染料として市販されているものを用いることができ、例えば、アニオン系染料等が挙げられる。上記染料水溶液の温度は、10〜70℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。また、上記染料水溶液中の染料の濃度及び浸漬時間は、要望される染色の色調、色の濃さに応じて適宜設定すればよい。
以上説明した工程1により、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜が染色処理される。
(工程2)
工程2は、染色された陽極酸化皮膜を表面処理剤に浸漬して表面処理を行う工程である。表面処理剤としては、上記に説明した表面処理剤を用いればよい。
表面処理剤に染色された陽極酸化皮膜を浸漬する際は、一部に陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金を表面処理剤に浸漬すればよい。また、当該アルミニウム又はアルミニウム合金が他の部材と接合されて物品を形成している場合は、当該物品ごと表面処理剤に浸漬すればよい。
陽極酸化皮膜を表面処理剤に浸漬する際の表面処理剤の温度は、10〜70℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。表面処理剤の温度が上記範囲であることにより、陽極酸化皮膜の耐光性及び染色定着性がより一層向上する。
陽極酸化皮膜を表面処理剤に浸漬する際の浸漬時間は、1〜30分が好ましく、2〜10分がより好ましい。浸漬時間の下限が上記範囲であることにより、陽極酸化皮膜の耐光性及び染色定着性がより一層向上する。また、浸漬時間の上限が上記範囲であることにより、生産効率に優れる。
工程2では、工程1の染色処理の後で、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を十分に水洗し、乾燥させてから、上記表面処理剤に浸漬してもよい。これにより、陽極酸化皮膜の染色定着性がより一層向上する。
以上説明した工程2により、陽極酸化皮膜が表面処理される。
3.封孔処理方法
本発明の封孔処理方法は、上記表面処理方法により表面処理された陽極酸化皮膜を封孔処理する工程3を有する陽極酸化皮膜の封孔処理方法である。
封孔処理としては特に限定されず、従来公知の封孔処理方法により処理すればよい。このような封孔処理方法としては、上記表面処理方法により表面処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を封孔処理液に浸漬する方法が好ましい。
上記封孔処理液としては特に限定されず、金属塩を含有する封孔処理液が挙げられる。上記金属塩に含まれる金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属が好ましく、具体的には、Li、Be、Na、Mg、K、Ca、Rb、Sr、Cs、Ba、Fr、Ra、Zr、Mn、Fe、Ni、Coが挙げられる。これらの中でも、封孔処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜が耐食性に優れる点で、Na、Mg、K、Ca、Ba、Mn、Niの金属塩がより好ましく、Mg、Ca、Mn、Niの金属塩が更に好ましい。上記金属塩に含まれる金属は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
封孔処理液中の金属塩の濃度は特に限定されず、0.001〜1モル/Lが好ましく、0.003〜0.3モル/Lがより好ましい。金属塩の濃度が上記範囲であることにより、封孔処理液が十分な封孔性能を示すことができ、封孔処理液により封孔処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性がより一層向上する。
封孔処理液は、封孔性能(外観、耐食性等)を向上させるために、pH緩衝剤、界面活性剤等の添加剤成分を含んでもよい。添加剤として、例えば、酢酸、酢酸塩、硝酸、硝酸塩、安息香酸、安息香酸塩等のpH緩衝剤又はpH調整剤;ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩等のスルホン酸系分散剤等が挙げられる。
封孔処理液のpHは、通常5.0〜8.0であり、好ましくは5.3〜6.0である。封孔処理液のpHは、例えば、酢酸、硝酸、安息香酸、硫酸等の酸類;水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水等のアルカリ類を用いて上記pH範囲となるように調整すればよい。
封孔処理液の温度(処理温度)は通常80℃〜沸点程度であり、好ましくは85℃〜沸点程度である。浸漬時間は、通常1分〜60分程度であり、好ましくは3分〜30分程度である。処理温度及び浸漬時間を上記範囲にすることにより、封孔後の皮膜が粉吹き状態になるのを防ぐとともに、皮膜の耐汚染性を向上し、また耐食性を得ることができる。
封孔処理液は、封孔性能や液の使用実用性を向上させるために、必要に応じて防カビ剤、錯化剤等の添加剤成分を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸塩等の防カビ剤;クエン酸、クエン酸塩等の錯化剤等が挙げられる。また、防カビ剤としては市販の防カビ剤、例えば「TACカビコロン」(奥野製薬工業株式会社製)を添加してもよい。
封孔処理液は、上述の金属塩、pH緩衝剤及び界面活性剤等を含有していればその他の成分は特に限定されないが、上述の各成分を含有する水溶液であることが好ましい。
以上説明した封孔処理方法によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜が上記表面処理方法により表面処理されており、封孔処理前の陽極酸化皮膜に優れた染色定着性を付与することができ、且つ、封孔処理後の陽極酸化皮膜に光が照射された際の退色が抑制されて、優れた耐光性を示すことができる。
4.物品
本発明の物品は、上記封孔処理方法により封孔処理された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を有する物品である。
物品としては、上記封孔処理方法により封孔処理された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を有していればその用途は特に限定されず、例えば、電子機器の外装、化粧製品の外装等が挙げられる。
本発明の物品は、上記表面処理方法により表面処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜が、上記封孔処理方法により封孔処理されているので、物品の陽極酸化皮膜が染色定着性に優れており、且つ、物品の陽極酸化皮膜に光が照射された際の退色が抑制されて、優れた耐光性を示すことができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
以下の製造条件に従って、下記の実施例及び比較例に用いる陽極酸化及び染色を施したアルミニウム合金試験片を製造した。
アルミニウム合金の試験片(JIS A1050P板)を弱アルカリ性脱脂液(奥野製薬工業(株)製トップアルクリーン404(商品名)30g/Lの水溶液、浴温60℃)に5分間浸漬して脱脂し、水洗した後、硫酸を主成分とする陽極酸化浴(遊離硫酸180g/L及び溶存アルミ8.0g/Lを含む)で陽極酸化(浴温20℃±1℃、陽極電流密度:1a/dm、電解時間:30分間、膜厚:約10μm)を行った。得られた陽極酸化皮膜を水洗し、水洗後に下記の染料の水溶液(浴温55℃)に1分間浸漬して染色し、水洗することにより、陽極酸化及び染色を施したアルミニウム合金試験片(以下、「陽極酸化−染色済試験片」という)を得た。
なお、染色に用いた染料、並びに、当該染料を用いた際の濃度及び浸漬時間は、TAC BLACK−GLH(5g/L、3分間);TAC RED−BLH(5g/L、3分間);TAC YELLOW−RHM(5g/L、3分間);TAC ORANGE−LH(5g/L、3分間);TAC YELLOR−SGL(1g/L、1分間)である。なお、上記染料は、いずれも奥野製薬工業(株)製TAC染料を用いた。
(実施例1〜5)
表1及び2に示す染料を用いて作製した各陽極酸化−染色済試験片を、ジルコンフッ化アンモニウム1.2g/L、グリシン1g/L、フッ素を含有しない金属酸化物塩0.4g/Lを含み、硝酸でpH2.5に調整した水溶液からなる表面処理剤(浴温45℃)に3分間浸漬を行い、水洗して表面処理を行った。次いで、奥野製薬工業(株)製トップシールH−298を40ml/L含むpH5.7の水溶液からなる封孔処理剤(浴温92℃)に15分間浸漬を行い、水洗及び乾燥を行った。
(実施例6)
フッ素を含有しない金属酸化物塩を添加しなかった以外は実施例1〜5と同様にして、陽極酸化−染色済試験片を表面処理し、封孔処理剤に浸漬し、水洗及び乾燥を行った。
(実施例7)
表面処理液のPHを3.0に調整した以外は実施例1〜5と同様にして、陽極酸化−染色済試験片を表面処理し、封孔処理剤に浸漬し、水洗及び乾燥を行った。
(比較例1〜4)
陽極酸化−染色済試験片を表面処理しなかった以外は実施例1〜5と同様にして、封孔処理剤に浸漬し、水洗及び乾燥を行った。
(比較例5)
表面処理液のPHを3.5に調整した以外は実施例1〜5と同様にして、陽極酸化−染色済試験片を表面処理し、封孔処理剤に浸漬し、水洗及び乾燥を行った。
上記実施例及び比較例について、下記の試験方法により評価を行った。
耐光性
上記実施例1〜4、6及び比較例1〜4で得られた封孔処理後の試験片のL*、a*、b*を積分球分光測色計(X−rite社製 SP64、光源D65、視野10度、正反射光を含む)により測定し、基準値とした。次いで、上記実施例1〜4、6及び比較例1〜4で得られた試験片に対し、キセノンランプを光源とした耐光性試験機(アトラス社製 サンテストXLS+)を用いて、照射温度65℃、放射照度550W/mの条件で最大400時間光を照射した。照射後の試験片のL*、a*、b*を上記積分球分光測色計により測定した。上記基準値に対する色差総変化量ΔE*abにより耐光性を評価した。なお、ΔE*abが低いほど、耐光性が高いことを示す。
染色定着性
上記実施例5、7及び比較例5で得られた試験片のL*、a*、b*を積分球分光測色計(X-rite社製SP64、光源D65、正反射光含む)により測定し、染色定着性を評価した。なお、b*が高いほど、黄色の濃さが濃く、TAC YELLOW−SGLの染色定着性が高いことを示している。
結果を表1及び2に示す。
Figure 0006490878
表1から明らかなように、フッ化ジルコニウム塩を含有し、pHが3.4以下である表面処理剤で表面処理を行った実施例1〜4では、表面処理を行わなかった比較例1〜4と比較して、耐光性試験後の色差ΔE*abが低くなっており、高い耐光性を示すことができることが分かった。
また、フッ素を含有しない金属酸化物塩を添加しなかった実施例6においても実施例1〜5と同様に耐光性試験後の色差ΔE*abが低くなっており、高い耐光性を示すことができることが分かった。
Figure 0006490878
表2から明らかなように、表面処理剤のpHが2.5及び3.0である実施例5及び7では、pHが3.5である比較例5と比較して、色調での黄色の濃さを表すb*が高くなっており、高い染色定着性を示すことができることが分かった。
実施例3及び比較例3の耐光性試験における各照射時間後の試験片の写真を図1に示す。また、実施例4及び比較例4の耐光性試験における各照射時間後の試験片の写真を図2に示す。図1及び2から、表面処理を行った実施例3及び4では、400時間後でも退色が抑制されており、耐光性に優れることが分かった。一方、表面処理を行わなかった比較例3及び4では、照射時間が長くなると退色が顕著となり、耐光性に劣ることが分かった。
実施例1と同様にして染色を行い、次いで、表面処理剤を用いて表面処理を行い、且つ、封孔処理を行っていないアルミニウム合金の陽極酸化皮膜のFE-SEM像を、日本電子社製JSM−6335Fを用いて倍率50000倍の条件で撮影した。図3に表面像を示し、図4に断面像を示す。図4から、陽極酸化皮膜の表面に、表面処理により皮膜が形成されていることが分かった。表面処理により形成された皮膜は、30〜100nm程度の微粒子の集合体であり、当該皮膜の厚みは100nm程度であった。
実施例1と同様にして染色を行い、次いで、表面処理剤を用いて表面処理を行い、且つ、封孔処理を行っていないアルミニウム合金の陽極酸化皮膜のX線光電子分光法(XPS)による元素深さ方向分析を、アルバックファイ社製ESCA−SYSTEM ESCA5800ci/SAMを用いてスパッタ速度 SiO換算3nm/minの条件で行った。図5に結果を示す。図5から、スパッタ時間が短い場合にZr原子の濃度が高くなっており、且つ、O原子の濃度も高いので、表面処理により陽極酸化皮膜の表面に形成された皮膜は、ZrOの皮膜であると考えられる。
実施例1と同様にして染色を行い、次いで、表面処理剤を用いて表面処理を行い、且つ、封孔処理を行っていないアルミニウム合金の陽極酸化皮膜のX線光電子分光法(XPS)によるナロースキャン分析を、アルバックファイ社製ESCA−SYSTEM ESCA5800ci/SAMを用いて行った。図6に結果を示す。図6から、ナロースキャン分析によるピークがZrOの結合エネルギーのピークである182.3±0.3evと一致している。このことから、表面処理により陽極酸化皮膜の表面に形成された皮膜は、ZrOの皮膜であることが分かった。

Claims (10)

  1. 染色された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理剤であって、フッ化ジルコニウム塩を含有し、pHが3.4以下であることを特徴とする、表面処理剤。
  2. pHが2.3〜2.8である、請求項1に記載の表面処理剤。
  3. 更に、フッ素を含有しない金属酸化物塩を含む、請求項1又は2に記載の表面処理剤。
  4. 更に、pH緩衝剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理剤。
  5. 更に、アニオン系界面活性剤を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理剤。
  6. 染色された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の表面処理方法であって、
    (1)アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を染色処理する工程1、及び、(2)染色された陽極酸化皮膜を表面処理剤に浸漬して表面処理を行う工程2を有し、 表面処理剤はフッ化ジルコニウム塩を含有し、且つ、pHが3.4以下であることを特徴とする表面処理方法。
  7. 表面処理剤のpHは2.3〜2.8である、請求項6に記載の表面処理方法。
  8. 表面処理剤の温度は10〜70℃である、請求項6又は7に記載の表面処理方法。
  9. 表面処理剤への浸漬時間は1〜30分である、請求項6〜8のいずれかに記載の表面処理方法。
  10. 請求項6〜9のいずれかに記載の表面処理方法により表面処理された、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜を、封孔処理液に浸漬して封孔処理する工程3を有する、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の封孔処理方法。
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