JP6490388B2 - アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2つの異なる高分子鎖が互いに独立して絡み合った相互侵入網目構造にアミノ酸イオン性液体を保持してなるアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体及びその製造方法に関するものである。
近年、環境保全の観点から、工場などから排出されたガスは、分離・排出される。特に、地球温暖化の要因であるCO2は、排出削減が求められており、排出されたガスからCO2を効率よく分離することが求められている。
特許文献1は、例えば、ガス透過性、分離選択性、耐熱性に優れたガス分離膜等を開示する。このガス分離膜は、特に二酸化炭素の透過性に優れ、少なくとも酸性ガスと少なくとも1種の非酸性ガスを含む混合ガスから少なくとも1種の酸性ガスを分離するためのガス分離膜であって、沸点又は分解温度が200℃以上である所定式で表される化合物と、解離性基及びアルキレングリコールに由来する繰り返し単位を含む架橋ポリマーとを含む分離活性膜を有する。かかるガス分離膜は、分子量あたりのアミノ基の含有量を高めて例えばCO2とH2のガス分離選択性を向上させている。しかしながら、かかるガス分離膜は、相互侵入網目構造体やアミノ酸イオン性液体の使用を目的としない。
特許文献2は、例えば、目的ガスを分離する多孔質膜を含む気体分離装置を開示する。この多孔質膜は、例えばCO2、SO2、NO2、CO、NO、CH4等の分離膜である高分子ゲル複合膜、高分子ハイドロゲル膜等であり、例えば高分子ゲル膜はガスキャリアーとしてアミノ酸イオン性液体を含有してなる。
この特許文献2では、高分子ハイドロゲル複合膜に、CO2キャリアーとしてイオン性液体を含浸させているが、大気圧(1atm)以上で使用した場合、アミノ酸イオン性液体が高分子ハイドロゲル複合膜から漏出する虞がある。
この様に、アミノ酸イオン性液体は、CO2吸収性に優れており、CO2選択分離型含浸易膜への応用が検討されているが含浸液膜は圧力印加による支持体からの含浸液(アミノ酸イオン性液体)の漏出が起こるため、大気圧以上の圧力場への応用が制限されていた。
アミノ酸イオン性液体ゲルは、圧力場におけるアミノ酸イオン性液体の漏出を解決する手段として適切であると考えられるが、圧力場で使用するためにはゲルの耐圧性、すなわち優れた機械的強度を有している必要がある。このため、既知のアミノ酸イオン性液体から作製されるCO2分離膜は、例えば大気圧以上の圧力場で使用することができないという問題があった。
一方で、高強度ゲル構造体(IPNゲル、ダブルネットワーク(DN)ゲル)として、水を溶媒とするハイドロゲルが汎用されている(非特許文献1、2)。この高強度ハイドロゲルは、いずれも溶媒として揮発性の水を使用しているため、大気環境下で揮発してしまい、長期間保存することができなかった。また、揮発性が極めて小さいイオン性液体を溶媒として使用するスライドリングゲルも開示されているが(非特許文献3)、作製方法が煩雑で、特殊な化合物を使用する必要があり、汎用性が十分ではなかった。
特開2011−224553号公報 特開2012−210600号公報
Changlong.Fei,et al.,「J.Polym.Res.」(2012)、19、9929 Chen P. et al.,「J.Polym.Res.」(2012)、19、9825 SADAKI SAMITSU et al.,「J.Polymer Science」 Part B:Polymer Physics(2006)、Vol.44,1985−1994
この様に、アミノ酸イオン性液体の漏出がなく、CO2選択性、強度、耐圧性及び長期安定性を有するアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体及びその製造方法について改善の余地があった。
そこで、本発明は、アミノ酸イオン性液体の漏出がなく、CO2選択性、強度、耐圧性及び長期安定性を有するアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体を提供することを目的とする。また、本発明は、アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法を提供することも課題として掲げた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のアミノ酸イオン性液体と特定のモノマーと水との組み合わせが良好な相溶性を示すところに着目した。すなわち、水の存在下で、高架橋密度を有する第一網目構造と低架橋密度を有する第二網目構造を、それぞれ独立した重合方法で形成した後、得られた相互侵入網目構造体をアミノ酸イオン性液体に含浸させ、水を蒸発させることにより、アミノ酸イオン性液体の漏出がなく、CO2選択性、強度、耐圧性及び長期安定性を有するアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下を要旨とする:
[1] (A)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第一網目構造、
(B)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第二網目構造、及び
(C)アミノ酸イオン性液体を含み、
前記(A)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第一網目構造が、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含み、
前記(B)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第二網目構造が、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含むことを特徴とするアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[2] 前記アミノ酸イオン性液体の含有量が、アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量%中30〜90質量%である[1]に記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[3] 前記(A)の第一網目構造を形成するために使用される、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上である[1]または[2]に記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[4] 前記(B)の第二網目構造を形成するために使用される、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマーが、メチルアクリルアミド及び/又はジメチルアクリルアミドである[1]〜[3]のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[5] 水を含まない[1]〜[4]のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[6] 前記アミノ酸イオン性液体が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択されるアニオンを含む化合物である[1]〜[5]のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[7] (1)温度100℃、全圧100kPa及びCO2分圧2.5kPaでのCO2/N2選択性が100〜2000であり、(2)温度100℃、全圧100kPa〜600kPa及びCO2分圧2.5kPa〜15kPaでのCO2/N2選択性が30〜2000であり、(3)温度100℃、全圧400kPa〜700kPaでのCO2/N2選択性が30〜1000であり、(4)最大引張強度が0.7MPa以上、最大押込強度が10MPa以上である[1]〜[6]のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法であって、
水の存在下で、少なくとも1つの第一網目構造をラジカル重合により形成する工程、
次いで少なくとも1つの第二網目構造をラジカル重合により形成し、相互侵入網目構造体を形成する工程、
得られた相互侵入網目構造体をアミノ酸イオン性液体含有溶媒に浸漬する工程、ならびに
水を蒸発させる工程
を含むことを特徴とするアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法。
[9] 前記アミノ酸イオン性液体の使用量が、アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量%中30〜90質量%である[8]に記載の製造方法。
[10] 前記(A)の第一網目構造をラジカル重合により形成する工程において、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーを含むモノマー成分をラジカル重合により重合する[8]または[9]に記載の製造方法。
[11] 前記(A)の第一網目構造を形成するために使用される、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上である[10]に記載の製造方法。
[12] 前記(B)の第二網目構造をラジカル重合により形成する工程において、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸を有さないモノマーを含むモノマー成分をラジカル重合により重合する[8]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13] 前記(B)の第二網目構造を形成するために使用される、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマーが、メチルアクリルアミド及び/又はジメチルアクリルアミドである[12]に記載の製造方法。
[14] 前記アミノ酸イオン性液体が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択されるアニオンを含む化合物である[8]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15] 前記第一網目構造及び第二網目構造のラジカル重合がいずれも光照射により行われる[8]〜[14]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、相互侵入網目構造体にアミノ酸イオン性液体が含有されることから、CO2選択性、強度、耐圧性及び長期安定性を両立させることができた。さらに、相互侵入網目構造体はハイドロゲルに由来するにも関わらず、アミノ酸イオン性液体を含浸させた後に、水を蒸発することにより調製できることから、従来のハイドロゲルに適用が可能となる。
図1は、アミノ酸イオン性液体を含まない相互侵入網目構造体(DNハイドロゲルフィルム)を示す図である。 図2は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体を示す図である((a)40質量%[P4444][Pro]水溶液を用いて調製したアミノ酸イオン性液体([P4444][Pro])含有相互侵入網目構造体([P4444][Pro]含有DNゲルフィルム)、(b)40質量%[aN111][Gly]水溶液を用いて調製したアミノ酸イオン性液体([aN111][Gly])含有相互侵入網目構造体([aN111][Gly]含有DNゲルフィルム))。 図3は、アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体中のアミノ酸イオン性液体(AAIL)質量分率と、アミノ酸イオン性液体(AAIL)含有相互侵入網目構造体の調製に使用したアミノ酸イオン性液体(AAIL)水溶液のアミノ酸イオン性液体(AAIL)濃度の関係を示す図である。 図4は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(第一網目構造:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、第二網目構造:ジメチルアクリルアミド、アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]81質量%(○)、[P2225][Pro]85質量%(□)、又は[P2225][Gly]84質量%(◇))のガス透過性能(N2透過係数)の経時変化を示す図である。 図5は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(第一網目構造:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、第二網目構造:ジメチルアクリルアミド、アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]81質量%(○)、[P2225][Pro]85質量%(□)、又は[P2225][Gly]84質量%(◇))のガス透過性能(CO2透過係数)の経時変化を示す図である。 図6は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(第一網目構造:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、第二網目構造:ジメチルアクリルアミド、アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]81質量%(○)、[P2225][Pro]85質量%(□)、又は[P2225][Gly]84質量%(◇))のガス透過性能(CO2/N2選択性)の経時変化を示す図である。 図7は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(第一網目構造:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、第二網目構造:ジメチルアクリルアミド、アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]81質量%、又は[P2225][Pro]85質量%)のガス透過性能の膜間差圧及びCO2分圧依存性を示す図であり、●は[P4444][Pro]含有相互侵入網目構造体のCO2透過係数、○は[P4444][Pro]含有相互侵入網目構造体のN2透過係数、▲は[P2225][Pro]含有相互侵入網目構造体のCO2透過係数、△は[P2225][Pro]含有相互侵入網目構造体のN2透過係数を示す。 図8は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(第一網目構造:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、第二網目構造:ジメチルアクリルアミド、アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]81質量%、又は[P2225][Pro]85質量%)のガス透過性能の膜間差圧及びCO2分圧依存性を示す図であり、●は[P4444][Pro]含有相互侵入網目構造体のCO2/N2選択性、▲は[P2225][Pro]含有相互侵入網目構造体のCO2/N2選択性を示す。 図9は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(第一網目構造:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、第二網目構造:ジメチルアクリルアミド、アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]81質量%、又は[P2225][Pro]85質量%)の耐圧性を示す図であり、□は[P4444][Pro]含有相互侵入網目構造体を700kPa下で評価したCO2透過係数、◇は[P4444][Pro]含有相互侵入網目構造体を700kPa下で評価したN2透過係数、○は[P2225][Pro]含有相互侵入網目構造体を400kPa下で評価したCO2透過係数、△は[P2225][Pro]含有相互侵入網目構造体を400kPa下で評価したN2透過係数を示す。 図10は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(第一網目構造:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、第二網目構造:ジメチルアクリルアミド、アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]81質量%、又は[P2225][Pro]85質量%)の耐圧性を示す図であり、▲は[P4444][Pro]含有相互侵入網目構造体を700kPa下で評価したCO2/N2選択性、●は[P2225][Pro]含有相互侵入網目構造体を400kPa下で評価したCO2/N2選択性を示す。 図11は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]81質量%、第一網目構造:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、第二網目構造:ジメチルアクリルアミド:図中AAIL−DN Gel)と、アミノ酸イオン性液体を含まず、水を溶媒として含む相互侵入網目構造体(図中DN Hydro Gel)の引張強度−ひずみ曲線を示す図である。 図12は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]81質量%、第一網目構造:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、第二網目構造:ジメチルアクリルアミド、図中[P4444][Pro] DN ion gel)と、アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]70質量%を含むが相互侵入網目構造体ではない構造体(ポリビニルピロリドン:PVP、図中[P4444][Pro] PVP gel)の押込強度(応力)−ひずみ曲線を示す図である。 図13は、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]81質量%、第一網目構造:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、第二網目構造:ジメチルアクリルアミド)の押込強度(応力)−ひずみ曲線を示す図である。 図14は、アミノ酸イオン性液体:[P4444][Pro]70質量%を含むが相互侵入網目構造体ではない構造体(ポリビニルピロリドン:PVP)の押込強度(応力)−ひずみ曲線を示す図である。
1.アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体
本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、(A)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第一網目構造、(B)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第二網目構造、及び(C)アミノ酸イオン性液体を含み、前記(A)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第一網目構造が、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含み、前記(B)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第二網目構造が、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含むことを特徴とする。なお、本願明細書において、少なくとも1つの第一網目構造とは、第一網目構造形成用成分を1段階又は2段階以上重合して得られる構造を意味する。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、高い架橋密度を有する第一網目構造と、低い架橋密度を有する第二網目構造が互いに絡み合うと共に、これら網目構造の間に特定のアミノ酸イオン性液体が含有されてなる。かかるアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、ハイドロゲルに由来するにも関わらず、アミノ酸イオン性液体を含み、かつ水を含まないことから、CO2選択性、高強度、耐圧性及び長期安定性を両立することができる。以下、アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体について具体的に詳述する。
A.第一網目構造
第一網目構造は、ラジカル重合により形成される少なくとも1つの網目構造であり、相互侵入網目構造の主体となる構造を形成する観点から、第二網目構造より高い架橋密度を有することが好適である。
前記(A)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第一網目構造は、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含んでなる。
具体的には、前記(A)の第一網目構造を形成するために使用される、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーは、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS))、メタクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。かかるモノマーであると、水との相溶性が良好となることから、水存在下で第一網目構造を形成することができる。
本発明において、「それらの塩」とは、例えばアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属またはカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属を含んだものを意味する。
第一網目構造を形成するために使用されるモノマーは、水1000gに対して0.01〜5モルであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3モルであり、さらに好ましくは0.5〜2モルである。
前記ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーは、例えば第二網目構造の重合と同様な重合方法、例えばラジカル重合で形成されることが好ましい。ラジカル重合では、熱重合、光重合(光照射、紫外線照射)のいずれかを採用することが好ましい。また、第一網目構造を形成する場合、架橋密度を高める観点から架橋剤を使用することが好ましい。
B.第二網目構造
第二網目構造は、ラジカル重合により形成される少なくとも1つの網目構造であり、相互侵入網目構造の主体となる第一網目構造間の空隙に形成されるが、強度の観点から第一網目構造より低い架橋密度を有することが好適である。前記(B)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第二網目構造は、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含んでなる。
具体的に、前記(B)の第二網目構造を形成するために使用される、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマーは、嵩高さが低い方が長く生長できる為、メチルアクリルアミド及び/又はジメチルアクリルアミド(DMAAm)であることが好ましい。かかるモノマーも、水との相溶性が良好となることから、水存在下で第一網目構造を形成後に、続いてかかるモノマー等を添加・重合することにより、第二網目構造を形成することができる。
第二網目構造を形成するために使用されるモノマーは、水1000gに対して0.1〜15モルであることが好ましく、より好ましくは0.5〜10モルであり、さらに好ましくは1〜8モルである。
前記ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマー成分が重合されたポリマーは、例えば第一網目構造の重合と同様の重合方法、すなわちラジカル重合で形成されることが好ましい。ラジカル重合では、熱重合、光重合(光照射、紫外線照射)のいずれかを採用することが好ましい。第二網目構造を形成する場合、強度の観点から、架橋剤は使用しない方が好ましい。
また、前記ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマー成分が重合されたポリマーを形成する場合、二段階以上の工程を経てもよい。二段階以上の工程を経る場合、最初の工程では、第二網目構造形成用モノマー、重合開始剤以外に、膨潤抑制剤を使用してもよく、次の工程以降では、膨潤抑制剤を除く、第二網目構造形成用モノマー、重合開始剤を使用してもよい。最初の工程で、第二網目構造を形成する際に、浸透圧差を発生させ、第一網目構造を膨潤させつつ、第二網目構造形成用モノマーを内部に取り込ませるのであるが、膨潤抑制剤を使用する理由は、この膨潤の程度を調節する為であり、また、一旦第二網目構造を形成した後、同じ又は異なる第二網目構造形成用モノマーをさらに加えて第二網目構造をより強固に形成する為である。なお、溶媒中にイオン性液体が存在すると、第二網目構造形成用モノマーを添加しても第一網目構造を十分に膨潤させることはできず、水が蒸発した後に得られる相互侵入網目構造体を強固なものとすることが困難となる場合がある。
膨潤抑制剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等が挙げられる。中でも塩化ナトリウムが好適である。
膨潤抑制剤の使用量は、第二網目構造形成用モノマー1モルに対して0.001〜0.5モルであることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.2モルである。
ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマー(第一網目構造形成用モノマー)と、ビニル基、アミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマー(第二網目構造形成用モノマー)とのモル比(第二網目構造形成用モノマー/第一網目構造形成用モノマー)は、好ましくは3〜10/0.1〜2、より好ましくは3〜8/0.1〜2、さらに好ましくは4〜7/0.1〜1である。
架橋剤は、特に限定されず、架橋重合すべきモノマーに対応して種々のものが選択される。例えば、第一網目構造形成用モノマーとして前記ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーを用いた場合には、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等を架橋モノマーとして共重合させることができる。
この他、ラジカル重合の際に共重合されてもよい架橋剤としては、特に限定されないが、従来公知のものを適宜選択することができ、例えば、多官能(メタ)アクリレート等を用いることができる。さらにラジカル重合の際に共重合されなくともよい架橋剤としては、特に限定されないが、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、過酸化物系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、尿素系架橋剤、アミノ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、カップリング剤系架橋剤(例えばシランカップリング剤)等を用いることができる。これらのうち一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
多官能(メタ)アクリレート(すなわち、一分子内に二以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤の例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート;等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤の例としては、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン,ジグリシジルアニリン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール S ジグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)トルエン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌル酸、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパングリシジルエーテル等の、1分子内にエポキシ基を2個以上または3個以上有するエポキシ系化合物が挙げられる。例えば、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを好ましく用いることができる。
なお、イソシアネート系架橋剤としては、上記で例示したイソシアネート系化合物の二重体や三量体、反応生成物または重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二重体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート)等も用いることができる。例えば、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物を好ましく用いることができる。
架橋剤の使用量は、例えば、第一網目構造を形成するモノマー1モルに対して好ましくは0.001〜0.5モルとすることができ、0.01〜0.1モルとすることがより好ましい。
ラジカル重合開始剤は、熱重合する場合には、過硫酸カリウムなどの水溶性熱触媒等を用いることができ、光重合する場合には、光増感剤として2−オキソグルタル酸を用いることができる。
この他の重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物系開始剤、過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤、置換エタン系開始剤等を使用することができる。光重合には、各種光重合開始剤を使用することができる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等が例示される。
過酸化物系開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーマレエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、過酸化水素等が例示される。
レドックス系開始剤としては、過酸化物とアスコルビン酸との組み合わせ(過酸化水素水とアスコルビン酸との組み合わせ等)、過酸化物と鉄(II)塩との組み合わせ(過酸化水素水と鉄(II)塩との組み合わせ等)、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ等が例示される。
置換エタン系開始剤としては、フェニル置換エタン等が例示される。
光重合開始剤としては、(1)アセトフェノン系、(2)ケタール系、(3)ベンゾフェノン系、(4)ベンゾイン系・ベンゾイル系、(5)キサントン系、(6)活性ハロゲン化合物〔(6−1)トリアジン系、(6−2)ハロメチルオキサジアゾール系、(6−3)クマリン類系〕、(7)アクリジン類系、(8)ビイミダゾール系、(9)オキシムエステル系等の光重合開始剤が好ましい。
(1)アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1などを好適に挙げることができる。
(2)ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを好適に挙げることができる。
(3)ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1等を好適に挙げることができる。
(4)ベンゾイン系又はベンゾイル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベゾエート等を好適に挙げることができる。
(5)キサントン系光重合開始剤としては、例えば、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、モノイソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン等を好適に挙げることができる。
(6)活性ハロゲン化合物である(6−1)トリアジン系光重合開始剤としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メチルビフェニル)−s−トリアジン、p−ヒドロキシエトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル−s−トリアジン、3,4−ジメトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−ベンズオキソラン−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン等を好適に挙げることができる。
(6−2)ハロメチルオキサジアゾール系光重合開始剤としては、例えば、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾール等を好適に挙げることができる。
(6−3)クマリン類系光重合開始剤としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を好適に挙げることができる。
(7)アクリジン系光重合開始剤としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン等を好適に挙げることができる。
(8)ビイミダゾール系光重合開始剤としては、ロフィンダイマーとして知られる例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体や、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,2’−ベンゾチアゾリルジサルファイド等を好適に挙げることができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、使用するモノマー1モルに対して好ましくは0.0001〜1モル、より好ましくは0.001〜0.5モルとすることができる。
C.アミノ酸イオン性液体
本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体に使用されるアミノ酸イオン性液体は、熱安定性、低蒸気圧を有し、大気環境下でも揮発することなく安定して保存することができる。アミノ酸イオン性液体は、第一網目構造及び第二網目構造の間に保持されると共に、相互侵入網目構造体から水が蒸発した後はこれらの網目構造内に包含され、CO2選択性に寄与することとなる。
前記アミノ酸イオン性液体は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択される化合物のアニオンを含む化合物であることが好適である。中でも、プロリン、グリシンが好ましい。
アミノ酸イオン性液体は、無機カチオンとしてアルカリ金属、アルカリ土類金属、有機カチオンとしてホスホニウム、ピリジニウム、アンモニウム、グアジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリジニウム、及びスルホニウムからなる群より選択されるカチオンを含む化合物であることが好ましい。
無機カチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属等が挙げられる。
有機カチオンとしては、置換基で置換されてもよいホスホニウム、ピリジニウム、アンモニウム、グアジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリジニウム、スルホニウム等が挙げられる。中でも、カチオンは、網目構造を形成するモノマー溶液との良好な相溶性の観点から、置換基で置換されたホスホニウムやアンモニウムであることが好ましい。
アニオンとしては、上述したアミノ酸のアニオンが挙げられる。
置換基としては、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数3以上8以下のシクロアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基等が挙げられる。
炭素数1以上20以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、i−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
炭素数3以上8以下のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
炭素数3以上20以下のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、アニシル基(メトキシフェニル基)、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。
アミノ酸イオン性液体は、好ましくは置換基を有するホスホニウムまたはアンモニウム及びアミノ酸を有する化合物である。
置換基を有するホスホニウムまたはアンモニウム及びアミノ酸を有する化合物としては、具体的には、テトラプロピルホスホニウムプロリン、テトラプロピルホスホニウムグリシン、テトラブチルホスホニウムプロリン、テトラブチルホスホニウムグリシン、トリエチルペンチルホスホニウムプロリン、トリエチルペンチルホスホニウムグリシン、アミノトリメチルアンモニウムプロリン、アミノトリメチルアンモニウムグリシン等が挙げられる。
中でも、テトラブチルホスホニウムプロリン([P4444][Pro])、トリエチルペンチルホスホニウムプロリン([P2225][Pro])、トリエチルペンチルホスホニウムグリシン([P2225][Gly])、アミノトリメチルアンモニウムグリシン([aN111][Gly])が特に好ましい。
前記アミノ酸イオン性液体の含有量は、アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量%中30〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜87質量%である。上記含有量が30質量%未満であると、CO2選択性が十分でない虞があり、90質量%を超えると、耐圧性、強度、長期安定性が低下する虞がある。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、任意成分として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム等のアルカリ金属の炭酸塩や水酸化物を含んでいてもよい。
本発明のアミノ酸イオン性液体相互侵入網目構造は、強度の観点から、水を含まないことが好ましい。当該相互侵入網目構造体は、ハイドロゲル由来であるにも関わらず、後述される通り、アミノ酸イオン性液体を含浸させた後に、水を蒸発させて得られるものであり、相互侵入網目構造の強度を高めることができる。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体において、温度100℃、全圧100kPa及びCO2分圧2.5kPaでのCO2/N2選択性は、例えば100〜2000であり、好ましくは120〜1500、より好ましくは150〜1000である。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体において、温度100℃、全圧100kPa〜600kPa及びCO2分圧2.5kPa〜15kPaでのCO2/N2選択性は、例えば30〜2000であり、好ましくは30〜1500であり、より好ましくは40〜1000である。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体において、温度100℃、全圧400kPa〜700kPaのCO2/N2選択性は、例えば30〜1000であり、好ましくは40〜900、より好ましくは40〜800である。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体において、最大引張強度は、例えば0.7MPa以上であり、好ましくは1MPa以上であり、例えば10MPa以下であり、好ましくは15MPa以下である。最大押込強度は、例えば10MPa以上であり、好ましくは20MPa以上であり、例えば50MPa以下であり、好ましくは40MPa以下である。
2.アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法
本発明における前記アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法は、水の存在下で、少なくとも1つの第一網目構造をラジカル重合により形成する工程、次いで少なくとも1つの第二網目構造をラジカル重合により形成し、相互侵入網目構造体を形成する工程、得られた相互侵入網目構造体をアミノ酸イオン性液体含有溶媒に浸漬する工程、ならびに水を蒸発させる工程を含むことを特徴とする。
上記の通り、2つの独立した重合方法を採用することにより、2つの異なる高分子網目構造が互いに絡み合い、しかもアミノ酸イオン性液体がこれらの高分子網目構造に包含された、アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体を簡便に作製することができる。更に、ハイドロゲルに由来するにも関わらず、アミノ酸イオン性液体を含浸させた後、水を蒸発させるだけで、CO2選択性、強度、耐圧性及び長期安定性を両立させることができる。
上記製造方法の具体例は、例えば、以下の通りである。
第一に、水、第一網目構造形成用モノマー、架橋剤、重合開始剤を含む混合物を調製し、これを基板等に塗布して、光照射(紫外線照射)により第一網目構造を形成する。
第二に、第二網目構造形成用モノマー、重合開始剤、水、及び必要に応じて膨潤抑制剤を含む混合物を調製し、第一網目構造に含浸させ、光照射(紫外線照射)により、第二網目構造を形成する。
第三に、得られた第一網目構造及び第二網目構造を含む相互侵入網目構造体を、アミノ酸イオン性液体を含有する溶媒に含浸させ、前記構造体内にアミノ酸イオン性液体を保持させた後、相互侵入網目構造体に含まれる水を乾燥により蒸発させる。
以上により、アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体を形成することができる。
前記(A)の第一網目構造を形成するために使用される、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマー、前記(B)の第二網目構造を形成するために使用される、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマー、前記アミノ酸イオン性液体、架橋剤、重合開始剤等ならびにそれらの使用量は、上記に例示される通りである。
前記(A)の第一網目構造をラジカル重合により形成する工程において、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーを含むモノマー成分をラジカル重合により重合することが好ましい。ラジカル重合は、モノマー成分が重合して、かつ高架橋密度を有するように行なわれることが好ましく、前記架橋剤を使用することがより好ましい。当該工程により、第一網目構造を含むハイドロゲルが得られる。
前記(B)の第二網目構造をラジカル重合により形成する工程において、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸を有さないモノマーを含むモノマー成分をラジカル重合により重合することが好ましい。
第二網目構造を形成する場合のラジカル重合は、ラジカルを中心として互いのモノマーが連鎖的に重合して、第一網目構造よりも低架橋密度を有するように行われることが好ましく、架橋剤を使用しないことがより好ましい。当該工程を行う際、第一網目構造を含むハイドロゲルを、第二網目構造形成用モノマー溶液に浸漬させて、得られたハイドロゲルをラジカル重合反応に供すればよい。
第二網目構造を二段以上の工程で形成する場合、(1)一段目の第二網目構造形成用モノマー溶液に第一網目構造を含むハイドロゲルを浸漬させた後、得られたハイドロゲルを取り出してラジカル重合反応に供し、第一網目構造及びプレ第二網目構造を含むハイドロゲルを調製してもよい(プレ相互侵入網目構造体を含むハイドロゲルともいう)。
(2)次に二段目の第二網目構造形成用モノマー溶液にプレ相互侵入網目構造体を含むハイドロゲルを浸漬させた後、得られたハイドロゲルを取り出してラジカル重合反応に供し、第一網目構造及び第二網目構造を含むハイドロゲルを調製してもよい。
当該工程により、第一網目構造及び第二網目構造を含むハイドロゲルが調製される。
第一網目構造及び第二網目構造を形成する場合、ラジカル重合の温度は、熱重合を採用する場合、例えば、25〜80℃であり、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜60℃であり、光重合を採用する場合、10〜60℃であり、好ましくは20〜50℃、より好ましくは20〜40℃である。
第一網目構造及び第二網目構造を形成する場合、ラジカル重合の反応時間は、熱重合を採用する場合、例えば1〜100時間、好ましくは20〜80時間、より好ましくは30〜70時間、さらに好ましくは40〜60時間であり、光重合を採用する場合、例えば0.1〜100時間、好ましくは1〜70時間、より好ましくは5〜40時間、さらに好ましくは10〜30時間である。
光重合する際、紫外線の波長は、モノマーがラジカル重合を可能とする吸収波長であれば特に限定されないが、好ましくは200〜550nmの波長域から選んで用いることができ、より好ましくは250〜500nm、さらに好ましくは300〜400nmである。また、紫外線の強度は、特に限定されるものではないが、強度が弱すぎると重合時間が長く掛かり、強度が強すぎると発熱や安全性が問題になるため、好ましくは10〜30J/cm2であり、より好ましくは10〜20J/cm2、さらに好ましくは15〜20J/cm2である。
以上の通り、本発明の製造方法において、前記第一網目構造及び第二網目構造のラジカル重合がいずれも光照射(紫外線照射)により行われることが好適である。
水存在下で作製された相互侵入網目構造体(第一網目構造及び第二網目構造を含むハイドロゲル)は、次にアミノ酸イオン性液体含有溶媒に浸漬させるが、前記溶媒は、水及びアミノ酸イオン性液体からなることが好ましい。
浸漬時間は、例えば10〜100時間であり、好ましくは20〜70時間である。
浸漬温度は、例えば10〜50℃であり、好ましくは20〜40℃である。
最後に、アミノ酸イオン性液体を含有した相互侵入網目構造体から水を蒸発させるが、通常の乾燥を行えばよい。乾燥温度は、例えば10〜120℃であり、好ましくは20〜100℃である。乾燥時間は、例えば1〜72時間であり、好ましくは2〜48時間である。乾燥工程は、減圧下で行ってもよい。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、例えば高圧下でもアミノ酸イオン性液体を内部に保持することが可能であり、高圧下でも使用可能なCO2吸収材、CO2選択透過膜等のCO2吸収媒体として適用可能である。また、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、例えば導電性材料にも適用可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
実施例1〜3(アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体の調製)
第一網目構造形成用モノマーとして2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)及び光重合開始剤として2−オキソグルタル酸(OA)をそれぞれ1mol/L、0.04mol/L及び0.001mol/LとなるようMilli−Q水に溶解することでAMPS水溶液(第一網目構造形成用モノマー溶液)を調製した。また別に、一段目の第二網目構造形成用モノマーとしてジメチルアクリルアミド(DMAAm)、OA及びNaClがそれぞれ4mol/L、0.008mol/L及び0.08mol/LとなるようNaCl含有DMAAm水溶液(一段目の第二網目構造形成用モノマー溶液)を調製した。加えて、二段目の第二網目構造形成用モノマーとしてDMAAm及びOAがそれぞれ2mol/L及び0.001mol/LとなるようDMAAm水溶液(二段目の第二網目構造形成用モノマー溶液)を調製した。
100mm×100mm×0.3mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートの中心を50mm四方に切り抜いたスペーサーの上下を2枚の石英板(100mm×100mm×2mm)で挟み、クリップで留めることにより、第一網目構造を含むハイドロゲル(PAMPSハイドロゲル)を重合する反応系とした。反応系内部に前記AMPS水溶液を注入した後、ハンディーUVランプを用いて波長365nmのUVを、上方約7cmの高さから5時間照射することで第一網目構造を重合し、PAMPSハイドロゲルを調製した。
次に、調製したPAMPSハイドロゲルを前記NaCl含有DMAAm水溶液(一段目の第二網目構造形成用モノマー溶液)に24時間以上浸漬することでPAMPSハイドロゲルを膨潤させ、内部にDMAAmとNaClを浸入させた。膨潤したPAMPSハイドロゲルを取り出し、表面に付着した余分な前記NaCl含有DMAAm水溶液をキムワイプでふき取った後に、石英板(150mm×150mm×2mm)で挟み、クリップで固定し、ハンディーUVランプを用いて波長365nmのUVを、上方約7cmの高さから5時間照射することにより、PAMPSハイドロゲル内でDMAAmを重合させた。このようにして得られたハイドロゲルをプレ相互侵入網目構造体(プレDNハイドロゲル)と以下称する。調製したプレDNハイドロゲルを過剰量のMilli−Q水に24時間以上浸漬し、内部に残っているNaClを取り除くことによりプレDNハイドロゲルを完全に膨潤させた。膨潤したプレDNハイドロゲルを前記DMAAm水溶液(二段目の第二網目構造形成用モノマー溶液)に一昼夜以上浸漬し、内部にDMAAmを浸入させた。完全に膨潤した状態でDMAAmを浸漬させたプレDNハイドロゲルにハンディーUVランプを用いて波長365nmのUVを、上方約7cmの高さから8時間照射することでプレDNハイドロゲル内部に含浸されたDMAAmの重合を行い、第一網目構造と第二網目構造が重合された相互侵入網目構造体(DNハイドロゲル(フィルム))を得た。得られた相互侵入網目構造体(DNハイドロゲル(フィルム))を図1に示す。
得られたDNハイドロゲルを所定濃度に調製した各種アミノ酸イオン液体(AAIL)水溶液に24時間浸漬し、DNハイドロゲル内部にAAILを含浸させた。AAIL含浸DNハイドロゲルをAAIL水溶液から取り出し、24時間以上自然乾燥させたのち、100℃に保った真空オーブン中で、減圧下で2時間乾燥させることにより、内部の水分を完全に除去し、AAIL含浸DNゲルフィルム(アミノ酸イオン性液体含有相互網目構造体)を得た。なお、本検討で用いたAAILは[P4444][Pro](実施例1、含有量40質量%)、[P2225][Gly](実施例2、含有量70質量%)及び[aN111][Gly](実施例3、含有量40質量%)であった。実施例1及び3で得られたAAIL含浸DNゲルフィルム(アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体)をそれぞれ図2(a)、(b)に示す。
得られたAAIL含浸DNゲルフィルム(アミノ酸イオン性液体含有相互網目構造体)中のアミノ酸イオン性液体の含有量は以下の手順に従い決定した。調製したAAIL含浸DNゲルフィルムを所定量切り分け、その質量を測定したのち、大量のMilli−Q水中に浸漬し、AAILをMilli−Q水に抽出した。その後、AAIL含浸DNゲルフィルムを取り出し、100℃に保った真空オーブン中で24時間乾燥させることにより、AAIL含浸DNゲルフィルム中の水分を除去し、直ちにその質量を測定した。AAIL抽出前後の質量変化から、AAIL含浸DNゲルフィルムのAAIL質量分率を算出した。その結果を図3に示す。
図3の結果によれば、使用される水溶液中でアミノ酸イオン性液体の濃度が高くなると(10質量%〜80質量%)、相互侵入網目構造体中に含まれるアミノ酸イオン性液体の含有量も高くなった(30質量%〜85質量%)。また、アミノ酸イオン性液体は、[P2225][Gly]、[aN111][Gly]、[P4444][Pro]の順に相互侵入網目構造体中に高濃度で含浸した。これは、アミノ酸イオン性液体中のカチオンの化学構造が、例えば[P4444][Pro]に含まれるテトラブチル基の様に嵩高い構造を含むと、相互侵入網目構造体内に侵入しにくくなる為であると考えられた。
実施例4
アミノ酸イオン性液体([P4444][Pro])含有相互侵入網目構造体の安定性評価
アミノ酸イオン性液体として[P4444][Pro]を使用し、[P4444][Pro]の濃度を81質量%とする事以外は、実施例1と同様にしてアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体([P4444][Pro]含浸DNゲルフィルム)を作製した。
得られた[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルムについて、安定性を評価する為のガス透過試験を以下の手順に従い実施した。まず、[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルムを組み込んだガス透過セルを温度100℃、湿度0%に保った恒温槽中に取り付けた。ガス透過セルのフィード側にCO2とN2の混合ガスを供給し(CO2分率:2.5mol%、N2分率:97.5mol%)、原料ガス供給側及び透過側の全圧を大気圧(101kPa)とし、CO2分圧を2.5kPaとし、透過側にはスイープガスとしてHeを供給した。膜を透過したガスを含むスイープガスを、ガスクロマトグラフで分析し、その組成から透過性能(N2透過係数(図4中、○で示す)、CO2透過係数(図5中、○で示す)、CO2/N2選択性(図6中、○で示す))を算出した。
実施例5
アミノ酸イオン性液体([P2225][Pro])含有相互侵入網目構造体の安定性評価
アミノ酸イオン性液体として[P2225][Pro]を用い、[P2225][Pro]の濃度を85質量%とする事以外は、実施例1と同様にしてアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体([P2225][Pro]含浸DNゲルフィルム)を作製した。
得られた[P2225][Pro]含浸DNゲルフィルムについて、安定性を評価する為のガス透過試験を以下の手順に従い実施した。まず、[P2225][Pro]含浸DNゲルフィルムを組み込んだガス透過セルを温度100℃、湿度0%に保った恒温槽中に取り付けた。ガス透過セルのフィード側にCO2とN2の混合ガスを供給し(CO2分率:2.5mol%、N2分率:97.5mol%)、原料ガス供給側及び透過側の全圧を大気圧とし、CO2分圧を2.5kPaとし、透過側にはスイープガスとしてHeを供給した。膜を透過したガスを含むスイープガスを、ガスクロマトグラフで分析し、その組成から透過性能(N2透過係数(図4中、□で示す)、CO2透過係数(図5中、□で示す)、CO2/N2選択性(図6中、□で示す))を算出した。
実施例6
アミノ酸イオン性液体([P2225][Gly])含有相互侵入網目構造体の安定性評価
アミノ酸イオン性液体として[P2225][Gly]を用い、[P2225][Gly]の濃度を84質量%とする事以外は、実施例1と同様にしてアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体([P2225][Gly]含浸DNゲルフィルム)を作製した。
得られた[P2225][Gly]含浸DNゲルフィルムについて、安定性を評価する為のガス透過試験を以下の手順に従い実施した。まず、[P2225][Gly]含浸DNゲルフィルムを組み込んだガス透過セルを温度100℃、湿度0%に保った恒温槽中に取り付けた。ガス透過セルのフィード側にCO2とN2の混合ガスを供給し(CO2分率:2.5mol%、N2分率:97.5mol%)、原料ガス供給側及び透過側の全圧を大気圧とし、CO2分圧を2.5kPaとし、透過側にはスイープガスとしてHeを供給した。膜を透過したガスを含むスイープガスを、ガスクロマトグラフで分析し、その組成から透過性能(N2透過係数(図4中、◇で示す)、CO2透過係数(図5中、◇で示す)、CO2/N2選択性(図6中、◇で示す))を算出した。
図4の結果によれば、[P2225][Pro]又は[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルムでは、N2透過係数が約20〜30の値を示した。一方で、[P2225][Gly]含浸DNゲルフィルムは、[P2225][Pro]又は[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルムより低いN2透過係数(約10)を示した。
図5の結果によれば、試験開始直後、[P2225][Pro]含浸DNゲルフィルム(CO2透過係数約20000)、[P2225][Gly]含浸DNゲルフィルム(CO2透過係数約10000)、[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルム(CO2透過係数約6000)の順にCO2透過係数が高かった。これは、アミノ酸イオン性液体の濃度に依存する為であると考えられる。一方で、試験開始20時間を超えると、[P2225][Pro]含浸DNゲルフィルム(CO2透過係数約20000)、[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルム(CO2透過係数約6000)、[P2225][Gly]含浸DNゲルフィルム(CO2透過係数約4000)の順にCO2透過係数が高くなっていた。特に[P2225][Gly]含浸DNゲルフィルムは、CO2透過係数が試験開始直後から幾分低下した後に安定していた。
図6の結果によれば、[P2225][Pro]含浸DNゲルフィルムではCO2/N2選択性が約600〜800の値であり、40時間程度一定していた。[P2225][Gly]又は[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルムでは、CO2/N2選択性が約200〜300の値であり、100時間以上一定しており、長時間安定していた。
この事から、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、高いCO2選択性、長期安定性を有する事が示された。
実施例7
アミノ酸イオン性液体([P4444][Pro])含有相互侵入網目構造体の耐圧性(CO2分圧依存性)評価1
実施例4で作製したアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(81質量%[P4444][Pro]水溶液を用いて調製した[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルム)について、耐圧性を評価する為のガス透過試験を以下の手順に従い実施した。まず、[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルムを組み込んだガス透過セルを温度100℃、湿度0%に保った恒温槽中に取り付けた。ガス透過セルのフィード側にCO2とN2の混合ガスを供給し(CO2分率:2.5mol%、N2分率:97.5mol%)、透過側にはスイープガスとしてHeを供給した。そして、透過側全圧を大気圧とし、原料ガス側全圧を100kPa〜600kPaに変化させると共に、CO2分圧を2.5kPa〜15kPaとし、膜を透過したガスを含むスイープガスを、ガスクロマトグラフで分析し、その組成から透過性能(CO2透過係数(図7中の●)、N2透過係数(図7中の○)、CO2/N2選択性(図8中の●))を算出した。
図7、8の結果によれば、全圧100kPa〜600kPaで、CO2透過係数は約1000〜7000であり、N2透過係数は約20〜40であり、CO2/N2選択性は、約40〜300の値であり、全圧600kPa下でも高いCO2選択性を示したことから、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は耐圧性を有することが示された。
また、CO2分圧が高くなると、CO2透過係数、CO2/N2選択性が低下する傾向が見られたが、これはCO2分圧が高くなると、全圧とCO2分圧との圧力差が小さくなり、アミノ酸イオン性液体によるCO2吸収・透過特性が低下する為であると考えられた。
実施例8
アミノ酸イオン性液体([P2225][Pro])含有相互侵入網目構造体の耐圧性(CO2分圧依存性)評価1
実施例5で作製したアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(85質量%の[P2225][Pro]水溶液を用いて調製した[P2225][Pro]含浸DNゲルフィルム)について、耐圧性を評価する為のガス透過試験を以下の手順に従い実施した。まず、[P2225][Pro]含浸DNゲルフィルムを組み込んだガス透過セルを温度100℃、湿度0%に保った恒温槽中に取り付けた。ガス透過セルのフィード側にCO2とN2の混合ガスを供給し(CO2分率:2.5mol%、N2分率:97.5mol%)、透過側にはスイープガスとしてHeを供給した。そして、透過側全圧を大気圧とし、原料ガス側全圧を100kPa〜600kPaに変化させると共に、CO2分圧を2.5kPa〜15kPaとし、膜を透過したガスを含むスイープガスを、ガスクロマトグラフで分析し、その組成から透過性能(CO2透過係数(図7中の▲)、N2透過係数(図7中の△)、CO2/N2選択性(図8中の▲))を算出した。
図7、8の結果によれば、全圧100kPa〜600kPaで、CO2透過係数は約6000〜11000であり、N2透過係数は約20〜30であり、CO2/N2選択性は、約200〜1000の値であり、全圧600kPa下でも高いCO2選択性を示したことから、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は耐圧性を有することが示された。
また、CO2分圧が高くなると、CO2透過係数、CO2/N2選択性が低下する傾向が見られたが、これはCO2分圧が高くなると、アミノ酸イオン性液体へのCO2の吸収が、飽和に近づき、膜内に吸収されるCO2の膜間濃度勾配が一定値に近づくため、CO2透過流束が一定になる結果であると考えられた。
実施例9
アミノ酸イオン性液体([P4444][Pro])含有相互侵入網目構造体の耐圧性(全圧700kPa)評価2
実施例4で作製したアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(81質量%[P4444][Pro]水溶液を用いて調製した[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルム)について、耐圧性を評価する為のガス透過試験を以下の手順に従い実施した。まず、[P4444][Pro]含浸DNゲルフィルムを組み込んだガス透過セルを温度100℃、湿度0%に保った恒温槽中に取り付けた。ガス透過セルのフィード側にCO2とN2の混合ガスを供給し(CO2分率:2.5mol%、N2分率:97.5mol%)、透過側にはスイープガスとしてHeを供給した。そして、原料ガス側全圧を700kPa、透過側全圧を大気圧、CO2分圧を17.5kPaとし、膜を透過したガスを含むスイープガスを、ガスクロマトグラフで分析し、その組成から透過性能(CO2透過係数(図9中の□)、N2透過係数(図9中の◇)、CO2/N2選択性(図10中の▲))を算出した。
図9、10の結果によれば、全圧700kPaで、CO2透過係数は約2000であり、N2透過係数は約30であり、CO2/N2選択性は、約40であった事から、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は耐圧性を有することが示された。
実施例10
アミノ酸イオン性液体([P2225][Pro])含有相互侵入網目構造体の耐圧性(全圧400kPa)評価2
実施例5で作製したアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体(85質量%の[P2225][Pro]水溶液を用いて調製した[P2225][Pro]含浸DNゲルフィルム)について、耐圧性を評価する為のガス透過試験を以下の手順に従い実施した。まず、[P2225][Pro]含浸DNゲルフィルムを組み込んだガス透過セルを温度100℃、湿度0%に保った恒温槽中に取り付けた。ガス透過セルのフィード側にCO2とN2の混合ガスを供給し(CO2分率:2.5mol%、N2分率:97.5mol%)、透過側にはスイープガスとしてHeを供給した。そして、原料ガス側全圧を400kPa、透過側全圧を大気圧、CO2分圧を10kPaとし、膜を透過したガスを含むスイープガスを、ガスクロマトグラフで分析し、その組成から透過性能(CO2透過係数(図9中の○)、N2透過係数(図9中の△)、CO2/N2選択性(図10中の●))を算出した。
図9、10の結果によれば、全圧400kPaで、CO2透過係数は約8000であり、N2透過係数は約20であり、CO2/N2選択性は、約200〜300であった事から、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は耐圧性を有することが示された。
実施例11
アミノ酸イオン性液体([P4444][Pro])含有相互侵入網目構造体の引張強度試験
実施例4で作製したアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体([P4444][Pro]含浸DNゲルフィルム)をダンベル型に切り抜き、オートグラフ(AGS−J、株式会社島津製作所)を用いて引張強度試験を行った。その結果を図11に示す。
また、引張強度試験の対照として実施例1に記載の方法で作製したDNハイドロゲルフィルムをダンベル型に切り抜いたものを用いた。引張強度試験の結果を図11に示す。
図11の結果によれば、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、約1000kPa(約1MPa)の高い強度で破断し、アミノ酸イオン性液体を含まず水を溶媒として含む相互侵入網目構造体は、約600kPa(約0.6MPa)で破断した。この事から、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、水を溶媒とする相互侵入網目構造体よりも、高強度であることが示された。
実施例12
アミノ酸イオン性液体([P4444][Pro])含有相互侵入網目構造体の押込強度試験
実施例1と同様にして調製したAMPS水溶液(第一網目構造形成用モノマー溶液)、NaCl含有DMAAm水溶液(一段目の第二網目構造形成用モノマー溶液)、およびDMAAm水溶液(二段目の第二網目構造形成用モノマー溶液)を用いてアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体([P4444][Pro]含浸DNゲル)を以下の通りにして作製した。
内径5mmφ、長さ50mmのプラスチック製容器の両端をクリップで止めることにより、第一網目構造を含むハイドロゲル(PAMPSハイドロゲル)を重合する反応系とした。反応系内部に前記AMPS水溶液を注入した後、ハンディーUVランプを用いて波長365nmのUVを、上方約7cmの高さから5時間照射することで第一網目構造を重合し、PAMPSハイドロゲルを調製した。
次に、調製したPAMPSハイドロゲルを前記NaCl含有DMAAm水溶液(一段目の第二網目構造形成用モノマー溶液)に24時間以上浸漬することでPAMPSハイドロゲルを膨潤させ、内部にDMAAmとNaClを浸入させた。膨潤したPAMPSハイドロゲルを取り出し、表面に付着した余分な前記NaCl含有DMAAm水溶液をキムワイプでふき取った後に、内径10mmφ、長さ50mmのプラスチック製容器に入れ、両端をクリップで止め、ハンディーUVランプを用いて波長365nmのUVを、上方約7cmの高さから5時間照射することにより、PAMPSハイドロゲル内でDMAAmを重合させた。このようにして得られたハイドロゲルをプレ相互侵入網目構造体(プレDNハイドロゲル)と以下称する。調製したプレDNハイドロゲルを過剰量のMilli−Q水に24時間以上浸漬し、内部に残っているNaClを取り除くことによりプレDNハイドロゲルを完全に膨潤させた。膨潤したプレDNハイドロゲルを前記DMAAm水溶液(二段目の第二網目構造形成用モノマー溶液)に一昼夜以上浸漬し、内部にDMAAmを浸入させた。完全に膨潤した状態でDMAAmを浸漬させたプレDNハイドロゲルにハンディーUVランプを用いて波長365nmのUVを、上方約7cmの高さから8時間照射することでプレDNハイドロゲル内部に含浸されたDMAAmの重合を行い、第一網目構造と第二網目構造が重合された相互侵入網目構造体(DNハイドロゲル)を得た。
得られたDNハイドロゲルを所定濃度に調製したアミノ酸イオン性液体([P4444][Pro])水溶液に24時間浸漬し、DNハイドロゲル内部に[P4444][Pro]を含浸させた。[P4444][Pro]含浸DNハイドロゲルを[P4444][Pro]水溶液から取り出し、24時間以上自然乾燥させたのち、100℃に保った真空オーブン中で、減圧下で2時間乾燥させることにより、内部の水分を完全に除去し、[P4444][Pro]含浸DNゲル(アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体)を得た。得られた[P4444][Pro]含浸DNゲルを長さ5mmにカットし、オートグラフ(AGS−J、株式会社島津製作所)を用いて押込強度試験を行った。その結果を図12、14に示す。
また、押込強度試験の対照として[P4444][Pro]を含む網目構造体([P4444][Pro]含浸SNゲル)を以下の通りにして作製した。
アミノ酸イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムセリン49.75質量部、ビニル重合性モノマーとしてジメチルアクリルアミド41.46質量部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート8.29質量部、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部を混合して、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液を調製した。この溶液を内径5mmφ、長さ50mmのプラスチック製容器内に仕込み、両端をクリップで止めることにより、SNゲル構造体を重合する反応系とした。この溶液に対して、365nmの波長を有する紫外線を上方約7cmの高さから3時間照射することで[P4444][Pro]を含む網目構造体([P4444][Pro]含浸SNゲル:アミノ酸イオン性液体濃度:70質量%)を作製した。得られた[P4444][Pro]含浸SNゲルを長さ5mmにカットし、押込強度試験に用いた。押込強度試験の結果を図12、13に示す。
図12〜14の結果によれば、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、約25MPaの高い強度で破断し、アミノ酸イオン性液体を含むが相互侵入網目構造体ではない網目構造体は、約0.7MPa未満で破断した。この事から、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、アミノ酸イオン性液体を含むが相互侵入網目構造体ではない網目構造体よりも、高強度であることが示された。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、例えば高圧下でもアミノ酸イオン性液体を内部に保持することが可能であり、高圧下でも使用可能なCO2吸収材、CO2選択透過膜等のCO2吸収媒体として適用可能である。また、本発明のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、例えば導電性材料にも適用可能である。

Claims (10)

  1. (A)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第一網目構造、
    (B)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第二網目構造、及び
    (C)アミノ酸イオン性液体を含み、
    前記(A)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第一網目構造が、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含み、
    前記(B)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの第二網目構造が、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマーとしてメチルアクリルアミド及び/又はジメチルアクリルアミドを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含み、
    前記(C)アミノ酸イオン性液体が、前記第一網目構造及び前記第二網目構造から形成される相互侵入網目構造体に含有され、
    アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体が、水を含まないことを特徴とするアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
  2. 前記アミノ酸イオン性液体の含有量が、アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量%中30〜90質量%である請求項1に記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
  3. 前記(A)の第一網目構造を形成するために使用される、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上である請求項1または2に記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
  4. 前記アミノ酸イオン性液体が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択されるアニオンを含む化合物である請求項1〜のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
  5. (1)温度100℃、全圧100kPa及びCO2分圧2.5kPaでのCO2/N2選択性が100〜2000であり、(2)温度100℃、全圧100kPa〜600kPa及びCO2分圧2.5kPa〜15kPaでのCO2/N2選択性が30〜2000であり、(3)温度100℃、全圧400kPa〜700kPaでのCO2/N2選択性が30〜1000であり、(4)最大引張強度が0.7MPa以上、最大押込強度が10MPa以上である請求項1〜のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法であって、
    水の存在下で、少なくとも1つの第一網目構造をラジカル重合により形成する工程、
    次いで少なくとも1つの第二網目構造をラジカル重合により形成し、相互侵入網目構造体を形成する工程、
    得られた相互侵入網目構造体をアミノ酸イオン性液体含有溶媒に浸漬する工程、ならびに
    水を蒸発させる工程
    を含み、
    前記第一網目構造は、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーを含むモノマー成分をラジカル重合することにより形成され、
    前記第二網目構造は、ビニル基及びアミド基を有し、スルホン酸基を有さないモノマーとしてメチルアクリルアミド及び/又はジメチルアクリルアミドを含むモノマー成分をラジカル重合することにより形成され、
    前記アミノ酸イオン性液体が、前記第一網目構造及び前記第二網目構造から形成される相互侵入網目構造体に含有され、
    アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体が、水を含まないことを特徴とするアミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法。
  7. 前記アミノ酸イオン性液体の使用量が、アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量%中30〜90質量%である請求項に記載の製造方法。
  8. 前記(A)の第一網目構造を形成するために使用される、ビニル基、アミド基及びスルホン酸基を有するモノマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上である請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 前記アミノ酸イオン性液体が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択されるアニオンを含む化合物である請求項のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記第一網目構造及び第二網目構造のラジカル重合がいずれも光照射により行われる請求項のいずれかに記載の製造方法。
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