JP6160862B2 - アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルおよびその製造方法 - Google Patents
アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6160862B2 JP6160862B2 JP2013155033A JP2013155033A JP6160862B2 JP 6160862 B2 JP6160862 B2 JP 6160862B2 JP 2013155033 A JP2013155033 A JP 2013155033A JP 2013155033 A JP2013155033 A JP 2013155033A JP 6160862 B2 JP6160862 B2 JP 6160862B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amino acid
- ionic liquid
- acid ionic
- polymer gel
- containing polymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
しかしながら、特許文献2では、高分子ハイドロゲル複合膜に、CO2キャリアーとしてイオン性液体を含浸させているが、大気圧(1atm)以上で使用した場合、アミノ酸イオン性液体が高分子ハイドロゲル複合膜から漏出する虞がある。
アミノ酸イオン性液体ゲルは、圧力場におけるアミノ酸イオン性液体の漏出を解決する手段として適切であると考えられるが、圧力場で使用するためにはゲルの耐圧性、すなわち優れた機械的強度を有している必要がある。このため、既知のアミノ酸イオン性液体から作製されるCO2分離膜は、例えば大気圧以上の圧力場で使用することができないという問題があった。
そこで、機械的強度を有する高分子網目構造内にアミノ酸イオン性液体が保持された構造、すなわちアミノ酸イオン性液体高分子ゲルが望まれていた。
[1] アミノ酸イオン性液体、並びに窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1つ以上の原子を含有し、窒素原子を含有する場合、窒素原子数は1であり、負のe値を有するビニル重合性モノマーを含むモノマーを重合したポリマーを含有することを特徴とするアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル。
[2] アミノ酸イオン性液体の含有量が、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの構成成分100質量%中10質量%以上90質量%以下である[1]に記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル。
[3] アミノ酸イオン性液体が、無機カチオンとしてアルカリ金属、アルカリ土類金属、有機カチオンとしてホスホニウム、ピリジニウム、アンモニウム、グアジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリジニウム、及びスルホニウムからなる群より選択されるカチオンと、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択されるアニオンとを含む化合物である[1]又は[2]に記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル。
[4] 前記ビニル重合性モノマーがエステル結合又はアミド結合を有する[1]〜[3]のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル。
[5] 前記ビニル重合性モノマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド、1−ビニル−2−ピロリドン又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む[1]〜[4]のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル。
[6] アミノ酸イオン性液体の存在下に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1つ以上の原子を含有し、窒素原子を含有する場合、窒素原子数は1であり、負のe値を有するビニル重合性モノマーを含むモノマーを重合する工程を含むアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの製造方法。
[7] アミノ酸イオン性液体の含有量が、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの構成成分100質量%中10質量%以上90質量%以下である[6]に記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの製造方法。
[8] アミノ酸イオン性液体が、無機カチオンとしてアルカリ金属、アルカリ土類金属、有機カチオンとしてホスホニウム、ピリジニウム、アンモニウム、グアジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリジニウム、及びスルホニウムからなる群より選択されるカチオンと、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択されるアニオンとを含む化合物である[6]又は[7]に記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの製造方法。
[9] 前記ビニル重合性モノマーが、エステル結合又はアミド結合を有する[6]〜[8]のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの製造方法。
[10] 前記ビニル重合性モノマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド、1−ビニル−2−ピロリドン又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む[6]〜[9]のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの製造方法。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルは、アミノ酸イオン性液体、並びに窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1つ以上の原子を含有し、窒素原子を含有する場合、窒素原子数は1であり、負のe値を有するビニル重合性モノマーを含むモノマーを重合したポリマーを含有することを特徴とする。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルに使用されるモノマーは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1つ以上の原子を含有し、窒素原子を含有する場合、窒素原子数は1であり、負のe値を有するビニル重合性モノマーを含むモノマーである。
特に、モノマーとしてビニル重合性モノマーを使用すると、アミノ酸イオン性液体との相溶性に優れると共に、CO2分離選択性、自立性、成型性、靭性を有するアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルを形成することができる。
エステル結合を有する前記ビニル重合性モノマーとしては、アルキル基、ヒドロキシ基、ナフチル基、およびピペリジニル基からなる群より選択される1種以上で置換されていてもよい、メタアクリレート又はアクリレートが好ましい。
前記ビニル重合性モノマーは、N,N−ジメチルアクリルアミド、1−ビニル−2−ピロリドン又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含むことが更に好ましい。中でも、前記ビニル重合性モノマーは、CO2分離選択性の観点から、N,N−ジメチルアクリルアミドが特に好ましい。
前記ビニル重合性モノマー以外に、アミノ酸イオン性液体との相溶性を呈し、高分子ゲルを形成するものであれば、任意のモノマーを併用してもよい。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルに使用されるアミノ酸イオン性液体は、熱安定性、低蒸気圧を有し、大気環境下でも揮発することなく安定に存在することができるものである。アミノ酸イオン性液体は、無機カチオンとしてアルカリ金属、アルカリ土類金属、有機カチオンとしてホスホニウム、ピリジニウム、アンモニウム、グアジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリジニウム、及びスルホニウムからなる群より選択されるカチオンと、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択されるアニオンとを含む化合物であることが好ましい。
無機カチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属等が挙げられる。
有機カチオンとしては、炭素数3以上の置換基で置換されてもよいホスホニウム、ピリジニウム、アンモニウム、グアジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリジニウム、スルホニウム等が挙げられる。中でも、カチオンは、好ましくは高分子を形成するモノマー溶液との良好な相溶性の観点から、炭素数3以上の置換基で置換されたホスホニウムである。
アニオンとしては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンが挙げられるが、中でもグリシン、セリン、プロリン、リシンが特に好ましい。アミノ酸イオン性液体は、高分子ゲルを形成するためのモノマーの溶媒として機能すると共に、高分子ゲルが形成された後はこれらの網目構造内に包含される。
ホスホニウム及び炭素数3以上の置換基を有する化合物としては、具体的には、テトラプロピルホスホニウムプロリン、テトラプロピルホスホニウムセリン、テトラプロピルホスホニウムリシン、テトラプロピルホスホニウムグリシン、テトラブチルホスホニウムプロリン、テトラブチルホスホニウムセリン、テトラブチルホスホニウムリシン、テトラブチルホスホニウムグリシン等が挙げられる。
中でも、高分子ゲルを形成するモノマーとの良好な相溶性の観点から、テトラブチルホスホニウムプロリン、テトラブチルホスホニウムセリン、テトラブチルホスホニウムリシン、テトラブチルホスホニウムグリシン([P4444][Pro]、[P4444][Ser]、[P4444][Lys]、[P4444][Gly])が特に好ましい。
例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシド1モルと、グリシン1.05モルとを混合し、アセトニトリル、メタノール(90:10体積%)を添加しながら、水、過剰なグリシンをアセトニトリル、メタノールと共に排出しながら、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムグリシン(収率54.6%)を調製することができる(J.Amer.Chem.Soc.2005,127,2398−2399参照)。
架橋剤は、特に限定されず、架橋重合すべきモノマーに対応して種々のものが選択される。例えば、ラジカル重合の際のモノマーとしてN,N−ジメチルアクリルアミド、1−ビニル−2−ピロリドン又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートを用いた場合には、多官能(メタ)アクリレート等を架橋モノマーとして共重合させることができる。
ラジカル重合開始剤は、モノマーとしてN,N−ジメチルアクリルアミド、1−ビニル−2−ピロリドン又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートを熱重合する場合には、過硫酸カリウムなどの水溶性熱触媒等を用いることができ、上記モノマーを光重合する場合には、光増感剤としてアセトフェノン系光重合開始剤(例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を用いることができる。
置換エタン系開始剤としては、フェニル置換エタン等が例示される。
(6−2)ハロメチルオキサジアゾール系光重合開始剤としては、例えば、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾール等を好適に挙げることができる。
(6−3)クマリン類系光重合開始剤としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を好適に挙げることができる。
本発明のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの製造方法は、アミノ酸イオン性液体の存在下に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1つ以上の原子を含有し、窒素原子を含有する場合、窒素原子数は1であり、負のe値を有するビニル重合性モノマーを含むモノマーを重合する工程を含んでなる。
上記の方法を採用することにより、高分子構造が網目状に形成され、しかも高濃度のイオン性液体がこれらの高分子網目構造に包含された、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルを簡便に作製することができる。
ラジカル重合の反応時間は、熱重合を採用する場合、例えば0.1〜100時間、好ましくは0.5〜80時間、より好ましくは1〜60時間、さらに好ましくは2〜40時間であり、光重合を採用する場合、例えば0.1〜50時間、好ましくは0.2〜40時間、より好ましくは0.5〜30時間、さらに好ましくは1〜20時間である。
実施例1
所定容器内にアミノ酸イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムプロリン49.75部、ビニル重合性モノマーとしてジメチルアクリルアミド41.46部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート8.29部、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5部を混合して、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液を調製した。この溶液に対して、365nmの波長を有する紫外線を19.7J/cm2となるように3時間照射した。
得られたアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルは、押しても壊れることなく自立していた。アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液は、所望の型に入れて成型することもできた(図1、2参照)。
所定容器内にアミノ酸イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムセリン49.75部、ビニル重合性モノマーとしてジメチルアクリルアミド41.46部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート8.29部、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5部を混合して、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液を調製した。この溶液に対して、365nmの波長を有する紫外線を19.7J/cm2となるように3時間照射した。
得られたアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルは、押しても壊れることなく自立していた。アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液は、所望の型に入れて成型することもできた(図2参照)。
所定容器内にアミノ酸イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムリシン49.75部、ビニル重合性モノマーとしてジメチルアクリルアミド41.46部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート8.29部、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5部を混合して、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液を調製した。この溶液に対して、365nmの波長を有する紫外線を19.7J/cm2となるように3時間照射した。
得られたアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルは、押しても壊れることなく自立していた。アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液は、所望の型に入れて成型することもできた(図2参照)。
所定容器内にアミノ酸イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムグリシン49.75部、ビニル重合性モノマーとしてジメチルアクリルアミド41.46部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート8.29部、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5部を混合して、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液を調製した。この溶液に対して、365nmの波長を有する紫外線を19.7J/cm2となるように3時間照射した。
得られたアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルは、押しても壊れることなく自立していた。アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液は、所望の型に入れて成型することもできた(図2参照)。
所定容器内にアミノ酸イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムプロリン49.75部、ビニル重合性モノマーとしてジメチルアクリルアミド31.10部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート18.65部、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5部を混合して、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液を調製した。この溶液を、厚みが300μmのポリエチレンテレフタレート製スペーサーをソーダガラス板と石英ガラス板で挟み込んだ型に流し込み、石英ガラス板側から365nmの波長を有する紫外線を19.7J/cm2となるように3時間照射した(図4参照)。
得られたアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルフィルムは、押しても壊れることなく自立していた。
所定容器内にアミノ酸イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムプロリン69.79部、ビニル重合性モノマーとしてジメチルアクリルアミド14.96部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート14.95部、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.299部を混合して、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液を調製した。この溶液を、厚みが300μmのポリエチレンテレフタレート製スペーサーをソーダガラス板と石英ガラス板で挟み込んだ型に流し込み、石英ガラス板側から365nmの波長を有する紫外線を19.7J/cm2となるように3時間照射した(図4参照)。
得られたアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルフィルムは、押しても壊れることなく自立していた。
所定容器内にアミノ酸イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムプロリン49.75部、ビニル重合性モノマーとして1−ビニル−2−ピロリドン32.41部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート17.34部、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5部を混合して、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液を調製した。この溶液を、厚みが300μmのポリエチレンテレフタレート製スペーサーをソーダガラス板と石英ガラス板で挟み込んだ型に流し込み、石英ガラス板側から365nmの波長を有する紫外線を19.7J/cm2となるように3時間照射した(図4参照)。
得られたアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルフィルムは、押しても壊れることなく自立していた。
所定容器内にアミノ酸イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムプロリン69.79部、ビニル重合性モノマーとして1−ビニル−2−ピロリドン15.81部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート14.10部、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.30部を混合して、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液を調製した。この溶液を、厚みが300μmのポリエチレンテレフタレート製スペーサーをソーダガラス板と石英ガラス板で挟み込んだ型に流し込み、石英ガラス板側から365nmの波長を有する紫外線を19.7J/cm2となるように3時間照射した(図4参照)。
得られたアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルフィルムは、押しても壊れることなく自立していた(図3参照)。
実施例9
所定容器内に多孔質PTFE平膜を置き、実施例1で準備したアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル用溶液を入れ、多孔質PTFE平膜に含浸させた。その後、365nmの波長を有する紫外線を、19.7J/cm2となるように3時間照射し、多孔質PTFE内にアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルが含まれる試験体1を調製した。
この試験体1を、恒温槽内に設置し、供給ガスとしてCO2、N2を試験体1の一面に供給し、試験体1の他面に排出ガスとしてHeを供給して、試験体1により分離され、かつ排出ガス中に含まれるCO2量をガスクロマトグラフにより検出した。
なお、恒温槽は、温度100℃、大気圧、水蒸気分圧0kPa、CO2分圧2kPa、N2分圧バランスの条件で行った。
CO2透過係数(バーラー値)は、約10000であり、また、N2透過係数との比、すなわちCO2/N2分離係数は約110であり、高いCO2分離選択性を維持できた。
実施例8で作製したアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルフィルム(試験体2)を、恒温槽内に設置し、供給ガスとしてCO2、N2を試験体2の一面に供給し、試験体2の他面に排出ガスとしてHeを供給して、試験体2により分離され、かつ排出ガス中に含まれるCO2量をガスクロマトグラフにより検出した。
なお、恒温槽は、温度100℃、大気圧、水蒸気分圧0kPa、CO2分圧2.5kPa、N2分圧バランスの条件で行った。
CO2透過係数(バーラー値)は、約27000であり、また、N2透過係数との比、すなわちCO2/N2分離係数は約50であり、高いCO2分離選択性を維持できた。
所定容器に、アミノ酸イオン性液体として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムグリシン87.1部、モノマーとして1−ビニル−3−エチルイミダゾリウムブロミド([veim][Br])12.4部、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.3部、重合開始剤として2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(VA−057、和光純薬)を0.2部添加して、混合した。この混合溶液を、オーブン中にて57℃で24時間加熱した。
その結果、アミノ酸イオン性液体を含む溶液は、ゲル化しなかった。
所定の容器に、アミノ酸イオン性液体として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムプロリン66.7部、モノマーとして1−ビニル−3−エチルイミダゾリウムブロミド([veim][Br])33.3部、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド([veim][Br]400モルに対して)12モル、触媒として臭化銅(II)([veim][Br]400モルに対して)0.01モル、リガンドとして2,2’−ビピリジルを添加し、混合した。この溶液を、窒素でバブリングしながら、重合開始剤としてα−ブロモイソブチリルブロミド([veim][Br]400モルに対して)1モル、還元剤としてL(+)−アスコルビン酸([veim][Br]400モルに対して)0.5モルを添加した。この溶液をオーブンに入れて、60℃で56時間加熱した。その結果、溶液は、ゲル化しなかった。
所定の容器に、アミノ酸イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムプロリン77部、(後述されるTEOS1モルに対して)水8.87モルを添加して、混合した。モノマーとしてテトラエチルオルトシリケート(TEOS)23部をこの溶液に添加し、混合した後、室温で56時間縮重合反応させた。その結果、混合溶液は、ゲル化したが、ゲル化物は、脆く、自立性が十分ではなかった。
Claims (8)
- アミノ酸イオン性液体、並びに
窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1つ以上の原子を含有し、
窒素原子を含有する場合、窒素原子数は1であり、
負のe値を有し、エステル結合又はアミド結合を有するビニル重合性モノマーを含むモノマーを重合したポリマー
を含有し、前記アミノ酸イオン性液体が、前記ビニル重合性モノマーを含むモノマーから重合されたポリマーから形成される網目構造の間に含有されることを特徴とするアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル。 - アミノ酸イオン性液体の含有量が、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの構成成分100質量%中10質量%以上90質量%以下である請求項1に記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル。
- アミノ酸イオン性液体が、無機カチオンとしてアルカリ金属、アルカリ土類金属、有機カチオンとしてホスホニウム、ピリジニウム、アンモニウム、グアジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリジニウム、及びスルホニウムからなる群より選択されるカチオンと、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択されるアニオンとを含む化合物である請求項1又は2に記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル。
- 前記ビニル重合性モノマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド、1−ビニル−2−ピロリドン又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む請求項1〜3のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲル。
- アミノ酸イオン性液体の存在下に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1つ以上の原子を含有し、窒素原子を含有する場合、窒素原子数は1であり、負のe値を有し、エステル結合又はアミド結合を有するビニル重合性モノマーを含むモノマーを重合する工程を含み、前記アミノ酸イオン性液体が、前記ビニル重合性モノマーを含むモノマーから重合されたポリマーから形成される網目構造の間に含有されるアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの製造方法。
- アミノ酸イオン性液体の含有量が、アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの構成成分100質量%中10質量%以上90質量%以下である請求項5に記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの製造方法。
- アミノ酸イオン性液体が、無機カチオンとしてアルカリ金属、アルカリ土類金属、有機カチオンとしてホスホニウム、ピリジニウム、アンモニウム、グアジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリジニウム、及びスルホニウムからなる群より選択されるカチオンと、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択されるアニオンとを含む化合物である請求項5又は6に記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの製造方法。
- 前記ビニル重合性モノマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド、1−ビニル−2−ピロリドン又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む請求項5〜7のいずれかに記載のアミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013155033A JP6160862B2 (ja) | 2013-07-25 | 2013-07-25 | アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013155033A JP6160862B2 (ja) | 2013-07-25 | 2013-07-25 | アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015025057A JP2015025057A (ja) | 2015-02-05 |
JP6160862B2 true JP6160862B2 (ja) | 2017-07-12 |
Family
ID=52489986
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013155033A Expired - Fee Related JP6160862B2 (ja) | 2013-07-25 | 2013-07-25 | アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6160862B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6490388B2 (ja) * | 2014-10-21 | 2019-03-27 | 国立大学法人神戸大学 | アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体及びその製造方法 |
CN105148737B (zh) * | 2015-08-14 | 2016-05-25 | 厦门市科宁沃特水处理科技股份有限公司 | 一种基于离子液体聚合的电渗析膜的制备方法 |
US11207640B2 (en) * | 2017-03-07 | 2021-12-28 | Palo Alto Research Center Incorporated | System and method for adjusting carbon dioxide concentration in indoor atmospheres |
CN111426841A (zh) * | 2020-03-31 | 2020-07-17 | 中科康磁医疗科技(苏州)有限公司 | 一种具有防污微凝胶芯片的制备方法、芯片,以及传感器 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5378841B2 (ja) * | 2009-03-18 | 2013-12-25 | 一般財団法人石油エネルギー技術センター | 炭酸ガス分離膜 |
KR101591207B1 (ko) * | 2011-08-01 | 2016-02-18 | 가부시키가이샤 르네상스 에너지 리서치 | Co₂촉진 수송막 및 그 제조 방법 |
JP2013060504A (ja) * | 2011-09-12 | 2013-04-04 | Univ Of Tokyo | イオン液体含有ゲル状組成物、ゲル状薄膜、及びその製造方法 |
-
2013
- 2013-07-25 JP JP2013155033A patent/JP6160862B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015025057A (ja) | 2015-02-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6490388B2 (ja) | アミノ酸イオン性液体含有相互侵入網目構造体及びその製造方法 | |
JP7328083B2 (ja) | イオン性液体含有構造体の製造方法 | |
JP6160862B2 (ja) | アミノ酸イオン性液体含有高分子ゲルおよびその製造方法 | |
JP6103708B2 (ja) | イオン性液体含有相互侵入網目構造体およびその製造方法 | |
KR101433684B1 (ko) | 결합방법 | |
CN111094361A (zh) | 含有离子性液体的结构体的制造方法及含有离子性液体的结构体 | |
KR101617655B1 (ko) | 투명한 고굴절률 수지 조성물 | |
CN107708845B (zh) | 高分子功能性膜及其制造方法、高分子功能性膜形成用组合物、分离膜模块、以及离子交换装置 | |
JP6613649B2 (ja) | 接着剤組成物、積層シート、太陽電池用裏面保護シート | |
WO2017014161A1 (ja) | 硬化性組成物 | |
TW200745756A (en) | Positive type photosensitive resin composition and cured coating prepared therefrom | |
TW201639919A (zh) | 有機電激發光顯示元件用密封劑 | |
TWI812789B (zh) | 樹脂組成物 | |
EP3147336A1 (en) | Hydrophilic single-layer film | |
JP2016503825A (ja) | 光硬化組成物および前記組成物で形成された障壁層を含む装置 | |
KR20190036335A (ko) | 항균성 고분자 코팅 조성물 및 항균성 고분자 필름 | |
JP2008031325A (ja) | 潜在性熱硬化型組成物とその硬化物 | |
US20200291189A1 (en) | Barrier material formation composition, barrier material, production method for barrier material, product, and production method for product | |
KR20180070169A (ko) | 광학 필름 | |
JP2018172495A (ja) | 硬化性組成物、硬化物の製造方法、その硬化物、それを用いた積層フィルムおよび接着剤 | |
KR20200082945A (ko) | 실리콘계 코팅 조성물 및 이를 이용한 태양전지 블록 | |
JP6395351B2 (ja) | 樹脂組成物、炭酸ガス分離膜、炭酸ガス分離膜モジュールおよび炭酸ガス分離装置 | |
WO2023119879A1 (ja) | 分離機能層、分離膜及び膜分離方法 | |
WO2022185891A1 (ja) | 分離膜 | |
JP4362088B2 (ja) | 水酸基含有(メタ)アクリルアミド化合物を用いて得られる重合体及びその重合方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160219 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20161116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20161122 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170120 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170523 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170531 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6160862 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |