JP6490157B2 - 相溶化剤及びウッドプラスチック - Google Patents
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Description
[1]フェノール樹脂を含有し、上記フェノール樹脂の質量平均分子量が8,000以上30,000以下であるウッドプラスチック用添加剤。
[2]上記フェノール樹脂がレゾール型フェノール樹脂である[1]のウッドプラスチック用添加剤。
[3]上記フェノール樹脂が固形レゾール型フェノール樹脂である[2]のウッドプラスチック用添加剤。
[4]上記フェノール樹脂が、メチロールレゾール型フェノール樹脂、ジメチレンエーテルレゾール型フェノール樹脂、メチロールレゾール型フェノール樹脂とアンモニアレゾール型フェノール樹脂との混合物又はこれらの組み合わせである[2]又は[3]のウッドプラスチック用添加剤。
本発明の一実施形態に係るウッドプラスチック用添加剤は、フェノール樹脂を含有する。なお、ウッドプラスチックとは、通常、熱可塑性樹脂及び木粉を含む組成物又はその硬化物である。
上記フェノール樹脂は、その質量平均分子量(重量平均分子量ともいう。)が8,000以上30,000以下のものである。この質量平均分子量の下限は、10,000が好ましく、14,000がより好ましく、15,000がさらに好ましい。質量平均分子量が上記下限以上のフェノール樹脂を含むウッドプラスチック用添加剤を用いる場合、フェノール性水酸基と木粉の水酸基との強固な水素結合により、フェノール樹脂が木粉を被覆するカプセル効果が高まり、得られるウッドプラスチックの耐水性や強度が向上すると推測される。すなわち、高分子量のフェノール樹脂は、熱可塑性樹脂と木粉との密着性を高める相溶化剤的な効果を及ぼすと考えられる。なお、フェノール樹脂の分子量を大きくするためには反応で仕込むホルムアルデヒド/フェノールモル比(以下F/Pモル比)を調製する必要があり、F/Pモル比が高いとゲル化を生じる。従って、F/Pモル比は2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。一方、このF/Pモル比の下限としては、0.5であってよく、0.7であってもよく、1であってもよく、1.2であってもよい。
当該ウッドプラスチック添加剤は、ウッドプラスチック組成物に添加する添加剤として好適に用いることができる。以下、当該ウッドプラスチック添加剤の使用方法として、ウッドプラスチック組成物について説明する。
上記熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ABS樹脂、EVA樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフイド、ポリアセタール等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)等のポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
上記木粉としては、製材工場や木工場等から排出される鋸屑や鉋屑、木材や廃木材の粉砕チップなどが挙げられる。上記木粉は、他の成分と混合、混練できる形状、大きさであれば、その形状及び大きさは特に限定されない。
上記ウッドプラスチック組成物に含有される当該ウッドプラスチック用添加剤の詳細は上述したとおりである。
上記ウッドプラスチック組成物は、無機充填剤を含有することが好ましい。上記無機充填剤は、耐水性、強度、耐熱性等の特性を改善することができる。無機充填剤としては、特に限定されず、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ウォラストナイト、ガラス繊維、水酸化マグネシウム、高炉スラグ、フライアッシュ等が挙げられる。無機充填剤としては、取扱性等の点から、炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等を挙げることができる。これらの無機充填剤は1種であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ウッドプラスチック組成物は、相溶化剤がさらに含有されていることが好ましい。相溶化剤が含有されていることにより、混練性、流動性、密着性等を高めることができる。
上記ウッドプラスチック組成物は、滑剤がさらに含有されていることが好ましい。滑剤が含有されていることにより、混練性、流動性、成形性等を高めることができる。上記滑剤としては、ステアリン酸等の脂肪酸、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩などが挙げられる。滑剤は1種であってもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ウッドプラスチック組成物は、熱可塑性樹脂、木粉、無機充填剤、ウッドプラスチック用添加剤(フェノール樹脂)、相溶化剤及び滑剤以外のその他の成分をさらに含有していてもよい。このようなその他の成分としては、熱可塑性樹脂及びフェノール樹脂以外の樹脂、無機充填剤以外の充填剤などを挙げることができる。但し、その他の成分の含有量の上限としては、熱可塑性樹脂及び木粉の合計含有量100質量部に対して、10質量部が好ましいことがあり、1質量部がより好ましいこともある。
上記ウッドプラスチック組成物の製造方法は、特に限定されず公知の方法により行うことができる。通常、熱可塑性樹脂、木粉、当該ウッドプラスチック用添加剤(フェノール樹脂)及び必要に応じて他の成分を加熱混練することによって、上記ウッドプラスチック組成物を得ることができる。
上記ウッドプラスチック組成物からウッドプラスチック成形品を得ることができる。このウッドプラスチック成形品は、ウッドプラスチック組成物の硬化物である。上記ウッドプラスチック成形品は、耐水性及び強度に優れる。
カラム:LF−804(昭和電工社製)
カラムの温度:40℃
試料:0.2%テトラヒドロフラン溶液
流量:1ml/min
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI検出器
攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1,000g及び37質量%ホルマリン1,207gを入れて溶解させた。その後、攪拌しながら48質量%苛性ソーダ10.4gを添加し、内温90℃にて1.5時間反応を行った後、50℃まで冷却した。その後、硫酸7gを添加し、90℃まで減圧脱水を行い固形のメチロールレゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂1)を得た。質量平均分子量は15,000であった(F/Pモル比1.40)。
攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1,000g及び37質量%ホルマリン1,225gを入れて溶解させた。その後、攪拌しながら25質量%アンモニア水300gを添加し、内温90℃にて2時間反応を行った。その後、90℃まで減圧脱水を行い固形のアンモニアレゾール型フェノール(フェノール樹脂2)を得た。質量平均分子量は4,000であった(F/Pモル比1.42)。
攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1,000g及び37質量%ホルマリン1,555gを入れて50℃まで加熱した。その後、酢酸亜鉛を15g添加し、常圧還流にて2時間反応を行った。その後、110℃まで減圧脱水を行い固形のジメチレンエーテルレゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂3)を得た。質量平均分子量は13,000であった(F/Pモル比1.80)。
攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1,000g及び37質量%ホルマリン1,898g入れて溶解させた後、攪拌しながら48質量%苛性ソーダ10.4gを添加し、内温90℃にて1.5時間反応を行い、その後50℃まで冷却した。その後、硫酸7gを添加し、90℃まで減圧脱水を行い固形のメチロールレゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂4)を得た。質量平均分子量は6,000であった(F/Pモル比2.20)。
攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1,000g及び37質量%ホルマリン707g入れて溶解させた後、攪拌しながら蓚酸5.0gを添加し、還流化にて3.0時間反応を行った。その後減圧脱水を行い固形のノボラック樹脂(フェノール樹脂5)を得た。質量平均分子量は9,000であった(F/Pモル比0.82)。
攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1,000g及び37質量%ホルマリン675g入れて溶解させた後、攪拌しながら蓚酸5.0gを添加し、還流化にて3.0時間反応を行った。その後減圧脱水を行い固形のノボラック樹脂(フェノール樹脂6)を得た。質量平均分子量は5,700であった(F/Pモル比0.78)。
攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1,000g及び37質量%ホルマリン865gを入れて溶解させた。その後、攪拌しながら48質量%苛性ソーダ10.4gを添加し、内温90℃にて1.5時間反応を行った後、50℃まで冷却した。その後、硫酸7gを添加し、90℃まで減圧脱水を行い固形のメチロールレゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂7)を得た。質量平均分子量は27,000であった(F/Pモル比1.00)。
攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1,000g及び37質量%ホルマリン820gを入れて溶解させた。その後、攪拌しながら48質量%苛性ソーダ10.4gを添加し、内温90℃にて1.5時間反応を行った後、50℃まで冷却した。その後、硫酸7gを添加し、90℃まで減圧脱水を行い固形のメチロールレゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂8)を得た。質量平均分子量は30,500であった(F/Pモル比0.95)。
表1及び表2に記載の配合としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜10及び比較例1〜7を行い、ウッドプラスチック組成物及びウッドプラスチック成形品を得た。なお、フェノール樹脂5及びフェノール樹脂6については、これらの各フェノール樹脂100質量部に対して、ヘキサミン10質量部を併用した。
まず、フェノール樹脂以外の成分を加熱混錬し、この混合物にウッドプラスチック用添加剤としての上記フェノール樹脂1を加えてさらに加熱混錬したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例12のウッドプラスチック組成物及びウッドプラスチック成形品(試験片)を得た。すなわち、実施例12は、他の実施例及び比較例と異なり、分割混練によって組成物を製造した。
得られた試験片(ウッドプラスチック成形品)の外観を評価した。木質感があり、剥離が無く、成形性良好の場合を良とした。評価結果を表1及び表2に示す。
得られた試験片の厚み寸法(a)を測定した。ついで、この試験片を80℃の熱水中で72時間保持する吸水処理を施し、室温まで冷やし試験片表面の水分を拭き取り、吸水後の厚み寸法(b)を測定した。以下の定義にて、吸水後の厚み変化率を算出し、耐水性の評価指標とした。評価結果を表1及び表2に示す。厚み変化率が6.0%未満であるものが耐水性に優れると評価した。
厚み変化率={(b−a)/a}×100[%]
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂及び木粉を含むウッドプラスチックの製造の際に添加される、上記熱可塑性樹脂と木粉との相溶化剤であって、
フェノール樹脂を含有し、
上記フェノール樹脂の質量平均分子量が10,000以上30,000以下である相溶化剤。 - 上記フェノール樹脂がレゾール型フェノール樹脂である請求項1に記載の相溶化剤。
- 上記フェノール樹脂が固形レゾール型フェノール樹脂である請求項2に記載の相溶化剤。
- 上記フェノール樹脂が、メチロールレゾール型フェノール樹脂、ジメチレンエーテルレゾール型フェノール樹脂、メチロールレゾール型フェノール樹脂とアンモニアレゾール型フェノール樹脂との混合物又はこれらの組み合わせである請求項2又は請求項3に記載の相溶化剤。
- 上記フェノール樹脂が、植物由来率が30質量%以上である固形レゾール型バイオマスフェノール樹脂であるものを除く、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の相溶化剤。
- 熱可塑性樹脂、
木粉、及び
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の相溶化剤
を含むウッドプラスチック。
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