本発明者等は、高耐久性と転写中抜けを両立可能なトナーの構成、及びその特徴を最大限発揮できるトナーの製法について検討した。
前述した通り、転写中抜けは、トナー凝集体が感光体表面に密着しやすい状況になり、密着の程度が強固な個所で転写が阻害され(転写不良)、画像欠陥を発生することにより発生する。
転写中抜けに対しては、外添剤の表面処理剤等を制御することで対策を実施してきている。具体的には外添剤である無機微粒子の表面処理剤であるシリコーンオイルの固定化率を制御し、感光体とトナーの付着力を下げることで、転写中抜けを抑制することが出来る。
一方、トナーの耐久性を向上させるためには、外添剤のトナー粒子への埋め込みを抑制することが必要である。プリンタ−等の装置内においてトナーが長時間撹拌され続けると、その強いストレスによって外添剤がトナー粒子へ埋め込まれる、所謂トナー劣化が生じる。トナー劣化が生じると、流動性の低下や、帯電性の低下が生じ易くなり、画像濃度の低下等を生じ易くなる。一般的にトナーの耐久性を向上させるためには、トナー粒子に埋め込まれ難い、所謂大粒径外添剤を用いることで改善することが出来る。
しかしながら、高耐久性と転写中抜けの改善を両立する為に、上記材料を単に組み合わせただけでは、高いレベルで耐久性と転写中抜けを抑制することは困難であり、更なる改善が必要である。
そこで本発明者等は、第一混合工程として、表面に凸部を有する有機無機複合微粒子をトナー粒子表面に固着させ、その後第二混合工程として、シリコーンオイルの炭素基準の固定化率が70質量%以上95質量%以下のシリカ微粒子を、トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上2.0質量部以下外添することで、上記課題を解決出来ることを見出した。
トナーの耐久性を向上させるためには、トナー粒子に埋め込まれ難い、所謂大粒径外添剤を用いることでトナー劣化を抑制することができる。更に、大粒径外添剤はトナー間の接触面積を低下する事が出来る為、転写工程における凝集性も抑制することが出来、転写中抜けも改善することが出来る。
また、大粒径外添剤として有機無機複合微粒子を用いる事で、耐久性と低温定着性を両立することが出来ることを見出した。即ち無機化合物単独では粒子の硬度は高く耐久性には優れるが、熱伝導性が低く低温定着性には不利になる傾向がある。一方有機化合物単独では、熱伝導性が高く低温定着性には有利だが、硬度が低く耐久性は不利になる傾向がある。本発明者等は耐久性と低温定着性のバランスの取れる大粒径外添剤の構成について鋭意検討した結果、有機無機複合微粒子とすることで、両者のバランスを取ることが可能となる。また、有機無機複合微粒子とすることで、形状の制御が容易となる為好ましい。
トナー劣化を抑制し、且つ転写工程内の凝集性も抑制出来る、大粒径外添剤の最適な粒径としては、個数平均粒子径(D1)は、70nm以上500nm以下が好ましく、より好ましくは85nm以上160nm以下である。
また本発明の大粒径外添剤は、微粒子表面に凸部を有する構造を取ることで、トナー粒子表面へのアンカリング効果が得られ易く、固着を制御し易くなると共に、外的シェアに対して抵抗力が増す為、埋め込まれ難くなる。また、トナー間の接触面積がより低下する為、転写中抜けもより改善することが出来る。
該有機無機複合微粒子の形状の指標としては透過型電子顕微鏡を用いて倍率20万倍で撮影した該有機無機複合微粒子の拡大画像を用いて測定した形状係数SF−2が103以上120以下である必要がある。形状係数SF−2は粒子の凹凸度合いの指標であり、その値が100であると真円となり、数値が大きくなるほど凹凸の度合いが増していく。SF−2が103未満の場合、形状が真球に近くなり過ぎ、トナー粒子への埋め込み抑制効果が得られ難くなる。一方、SF−2が120より大きい場合は、凹凸が激しく、アンカリング効果が強すぎる為、トナー粒子表面における有機無機複合微粒子の分散性が十分でなくなる傾向がある。
また、凸部は、前記有機無機複合微粒子の無機微粒子に由来する凸部であることが好ましい。無機微粒子に由来する凸部であることで、分散効果がより発揮され易い。なお有機無機複合微粒子の表面に無機微粒子が存在していれば良く、樹脂粒子内部における無機微粒子の有無は特に限定されない。
有機無機複合微粒子のSF−2値は、前記有機無機複合微粒子表面の無機微粒子存在比率で制御することが出来る。例えば、無機微粒子としてシリカを用いる場合、表面シリカ存在比率は40%以上80%以下が好ましく、より好ましくは50%以上80%以下である。
なお、本発明の有機無機複合微粒子は有機無機複合微粒子中の無機微粒子の含有量が、低温定着性と耐久性のバランスとの観点から30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
このように、大粒径外添剤として有機無機複合微粒子を用いることで、耐久性、転写性に対して一定の効果が得られるが、更なる改善が必要である。
本発明者等は鋭意検討した結果、該有機無機複合微粒子に加え、特定のシリコーンオイル固定化率を有するシリカ微粒子を用い、多段階で外添することで、高いレベルで耐久性、転写性を改善できることを見出した。
即ち本発明は、第一混合工程として、表面に凸部を有する有機無機複合微粒子をトナー粒子表面に固着させ、その後第二混合工程として、シリコーンオイルの炭素基準の固定化率が70質量%以上95質量%以下のシリカ微粒子を0.5質量部以上2.0質量部以下外添することを特徴とする。
まず、第一混合工程で、該有機無機複合微粒子をトナー粒子表面に外添することで、トナー粒子表面に有機無機複合微粒子が固着したトナーを得ることが出来る。
その後、このトナーに対して、第二混合工程としてシリコーンオイルの炭素基準の固定化率が70質量%以上95質量%以下、好ましくは80質量%以上93質量%以下のシリカ微粒子をトナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上2.0質量部以下、好ましくは0.6質量部以上1.5質量部以下外添することで有機無機複合微粒子の表面にシリコーンオイルで処理されたシリカ微粒子がコートされた状態が得られる。この状態になることで、有機無機複合微粒子の摩擦抵抗性がより低下し、転写中抜けが飛躍的に改善されることを見出した。
一方、該有機無機複合微粒子と該シリカ微粒子を同時に外添混合する、又は第一混合工程で先にシリカ微粒子を混合し、第二混合工程で有機無機複合微粒子を混合すると、有機無機複合微粒子の表面にシリコーンオイルで処理されたシリカ微粒子がコートされた状態が均一に形成することが出来にくく、転写中抜けが改善され難い。
第一混合工程で先に有機無機複合微粒子を外添混合し、その後第二混合工程でシリカ微粒子を混合する本発明のトナーの製造方法のみ、本発明における課題を解決することが可能となる。
シリカ微粒子の添加量は、0.5質量部未満では転写中抜けの効果が得られ難く、また2.0質量部より多いとトナーが帯電過剰になり、凝集し易くなる為転写中抜けには不利になり易い。また、低温定着性も阻害し易くなる。
固定化率が70質量%未満の場合は、遊離オイル量が多いことを表す。遊離したオイルが多すぎると、トナーの流動性が低下し易く、トナーが凝集し易くなる。トナーが凝集し易くなると、転写中抜けは悪化する傾向があり好ましくない。一方、95質量%よりも大きい場合は、遊離オイルがほとんどないことを示し、この場合付着力の低下効果が落ち、転写中抜けが悪化し易い為、上記範囲に制御する事が必要である。
上記のような有機無機複合粒子とシリカ微粒子の付着状態を達成するためには、従来の既知のトナーの製造方法では困難であり、有機無機複合粒子とシリカ微粒子を2段階で外添する必要があり、このトナーの製造方法を見出したことが本発明の特徴である。このトナーの製造方法を見出すことで、高いレベルで耐久性と転写中抜けの両立を達成することを可能とした。
本発明で用いられる有機無機複合微粒子としては、上記特性を有していれば、特に制限は無いが、例えば、WO 2013/063291の実施例の記載に従って製造することができる。
また、本発明で用いられる有機無機複合微粒子に用いられる材料として特に制限は無いが、ビニル系樹脂粒子に無機微粒子としてシリカ、酸化チタン、アルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機酸化物粒子を用いることが好ましく、シリカを用いることがより好ましい。また該ビニル系樹脂粒子を構成するビニル系樹脂成分は、THF不溶分を95質量%以上含有することが好ましい。これらの構成にすることで、より厳しい環境での使用においても安定した耐久性を得ることが出来る為好ましい。
本発明で用いられるシリカ微粒子としては、上記特性を有していれば、特に制限は無いが、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。また、表面及びケイ酸微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。
ヒュームドシリカと称される乾式シリカ例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
さらには、前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。
本発明では、少なくともシリコーンオイルで処理されていることが必要である。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル類が好適に用いられる。
シリコーンオイルによる疎水化処理の具体的な手順は、例えば、シリコーンオイルを溶かした溶剤(好ましくは有機酸等でpH4に調整した溶剤)の中にシリカ微粒子を入れて反応させ、その後、溶剤を除去する。この後、解砕処理を施してもよい。また、次のような方法でも良い。例えば、シリコーンオイルによる疎水化処理では、シリカ微粒子を反応槽に入れる。そして、窒素雰囲気下、撹拌しながらアルコール水を添加し、シリコーンオイルを反応槽に導入して疎水化処理を行い、さらに加熱撹拌して溶剤を除去し、解砕処理を行う。
上記シリコーンオイルによる疎水化処理では、シリコーンオイルをシリカ原体の表面に化学的に固定化しても良い。
また、本発明のシリカ微粒子はシリコーンオイルで表面処理後、シラン化合物及び/またはシラザン化合物で表面処理しても良い。
本発明で用いられるシラン化合物としては、メトキシシラン,エトキシシラン,プロポキシシラン等のアルコキシシラン類、クロルシラン,ブロモシラン,ヨードシラン等のハロシラン類、ハイドロシラン類、アルキルシラン類、アリールシラン類、ビニルシラン類、アクリルシラン類、エポキシシラン類、シリル化合物類、シロキサン類、シリルウレア類、シリルアセトアミド類、及びこれらのシラン化合物類が有する異種の置換基を同時に有するシラン化合物類があげられる。これらのシラン化合物を用いることにより、流動性,転写性,帯電安定化が得られる。これらのシラン化合物は複数用いても良い。
具体例として、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種或いは2種以上の混合物として用いても良い。
本発明で用いられるシラザン化合物は、分子中にSi‐N結合を有する化合物の総称である。具体的には、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、テトラエチルテトラメチルシクロテトラシラザン、テトラフェニルジメチルジシラザン、ジプロピルテトラメチルジシラザン、ジブチルテトラメチルジシラザン、ジヘキシルテトラメチルジシラザン、ジオクチルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザンなどが挙げられる。また、これらシラザン化合物を部分的にフッ素などで置換した、有機含フッ素シラザン化合物などを用いてもよい。特に本発明では、ヘキサメチルジシラザンが好ましく用いられる。
なお、本発明で用いられるシリカ微粒子のシリコーンオイルの炭素基準の固定化率は、シリコーンオイルの処理条件や処理の順番を適宜変更することにより制御することが出来る。
本発明のトナーの製造方法は、第一混合工程で有機無機複合微粒子を外添し、第二混合工程でシリカ微粒子を外添することを特徴としている以外は特に制限は無いが、第一混合工程における好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明のトナーの製造方法は第一混合工程で用いる回転体が、
(i)回転体本体と、
(ii)該回転体の回転により被処理物に衝突して該被処理物を処理する処理面であって、該回転体本体の外周面から径方向の外向きに延び、かつ、該処理面のうち該回転体本体から離れた領域の方が、該領域より該回転体本体に近い領域よりも、該回転体の回転方向下流側に位置するように形成された処理面を有する処理部と、
を備え、該回転体は該処理部を複数有することが好ましい。
また、該第一混合工程で用いる該処理室は円筒形であり、該処理室の内径の1/2をd2(mm)とし、該回転軌跡の半径をd1(mm)としたとき、該d1は、該d2の80%以上100%未満であり、且つ、
該駆動軸に直交する面で該処理部を切断したと仮定したときの断面において、該処理面のうち該回転体本体に最も近い第1部位と該d2の80%に位置する第2部位とを結ぶ線と、該駆動軸を中心とし該第2部位を通る円の該第2部位における接線と、のなす角のうち該回転方向下流側の角の大きさが、90度より大きく130度以下であることが好ましい。
また、該d1が、該d2の90%以上100%未満であることが好ましい。
以下に、第一混合工程におけるトナー処理装置を具体的に説明する。
[トナー用処理装置]
図1に本発明を適用できるトナー用処理装置の概略図を示す。
トナー用処理装置100は、トナー粒子及び外添剤を含む被処理物を収容する処理室としての処理槽110、処理槽110の底部に回転可能に設けられた流動手段としての撹拌羽根120を備えている。さらに撹拌羽根120よりも上方に回転可能に設けられた回転体としての処理羽根140で構成される。さらに処理羽根140の上方には、必要に応じて処理槽110に対して固定されたデフレクタ130を備えている。
[処理室]
図4に処理槽110の概略図を示す。
処理槽110は平らな底部を持った円筒形の容器であり、底部の略中心に撹拌羽根120や処理羽根140を取り付けるための駆動軸111を備えている。処理槽110は強度の観点から鉄、SUS等の金属製が好ましく、内面は導電性の材質を用いるか内面の表面を導電加工するのが好ましい。
[流動手段]
図3に撹拌羽根120の概略図を示す。図3(a)が上面図、図3(b)が側面図である。
本発明において撹拌羽根120は被処理物を処理槽110内で流動(上昇)させるものである。撹拌羽根120は中心から外側に向かって伸びる羽根部を有し、羽根部の先端が被処理物を舞い上げるように跳ねあげ形状をしている。羽根部の形状はトナー用処理装置の大きさや運転条件、被処理物の充填量、比重によって適宜設計可能である。撹拌羽根120は強度の観点から鉄、SUS等の金属製が好ましく、必要に応じて耐摩耗用にメッキやコーティングを施してもよい。
撹拌羽根120は処理槽110の底部の駆動軸111に固定され、上から見て時計方向に回転する。撹拌羽根120の回転により、被処理物は処理槽110内で時計方向に回転しながら上昇し、やがて重力によって下降してくるので被処理物を均一に混合することができると考えられる。
[回転体]
図2に処理羽根140の概略図を示す。図2(a)が上面図、図2(b)が側面図である。
本発明において処理羽根140は流動する被処理物と衝突して被処理物を処理するものである。処理羽根140は円環状の処理羽根本体141と、本体141の外周面から径方向の外向きに突き出した処理部142で構成される。処理羽根140は強度の観点から鉄、SUS等の金属製が好ましく、必要に応じて耐摩耗用にメッキやコーティングを施してもよい。
処理部の構成を図5、図6に示す。図5は処理部142の斜視図であり、処理部142のうち、処理羽根140の回転方向下流に有って主に被処理物と衝突する処理面を斜線で示す。
図6は処理羽根140において駆動軸と直交し、かつ処理部142を通る平面で切断したと仮定したときの断面図であり、処理槽110との関係も示している図である。図6において処理羽根140は時計方向に回転する。
処理面は図6に示すように処理羽根本体141の外周面から径方向の外向きに延び、かつ、処理面のうち処理羽根本体141から離れた領域の方が、処理羽根本体141に近い領域よりも、処理羽根140の回転方向下流側に位置するように形成される。
図5斜線部に示す処理面の回転方向下流から見たときの断面積は、断面積が大き過ぎると被処理物の流動に影響を与え、駆動トルクの上昇や被処理物の昇温の恐れがあり、断面積が小さ過ぎると所望の処理能力が得られない。したがって処理部の断面積はトナー用処理装置の大きさや運転条件、被処理物の充填量、比重によって適宜設計されるものである。
[処理部の数]
本発明は、回転体としての処理羽根140に処理部142を設けた基本構成からなり、処理羽根140の大きさと周速によって処理部142を設置する数を最適化することが、本件発明特有の効果を得る上で望ましい。
まず被処理物は撹拌羽根120によって巻き上げられて処理槽110の外周部で撹拌羽根120の回転方向に旋回しながら上昇する。
処理部142が衝突して、トナー粒子と外添剤を処理する領域を処理領域とすると、撹拌羽根120によって舞い上げられた被処理物が処理領域を通過する時に処理羽根140を高速回転させることで被処理物を処理することができる。
ここで言う処理とは、一つは処理部142が被処理物と高速で接触する事による撃力あるいはせん断力によって、有機無機複合微粒子をトナー粒子に固着させる機能が挙げられる。
もう一つの機能としては凝集した粒子を解砕させる機能が挙げられる。
本発明においては、処理部の数としては2個以上8個以下が好ましく、より好ましくは4個が好ましい。
上記の通り、処理部の数を上記範囲に制御することで、大粒径の有機無機複合微粒子を埋め込み過ぎず、効率よくトナー粒子表面に固着することが出来る為、より耐久性を向上させることが可能となる。
[回転体の大きさ]
処理羽根140の大きさについて図6、図7を用いて説明する。
処理槽110の内径の1/2をd2(mm)とし、前記回転軌跡の半径をd1(mm)としたとき、前記d1は、前記d2の80%以上100%未満の長さ、つまり図6の0.8Lよりも外側であることが好ましい。さらに好ましくは90%以上、つまり図6の0.9Lよりも外側であり、95%以上が最も好ましい。
処理部142の長さは、処理部142が処理槽110の内周面に接触しない範囲で設定することができる。
このような構成とすることで図7(A)に示すように処理面が径方向の外側に長く、処理面の高さが同じ場合、処理面積が大きくなるため、旋回している被処理物を数多く処理することができる。
また、処理面は回転運動していることから、処理面が駆動軸111から離れるほど、処理面の先端部分の周速が速くなる。周速が速くなると、被処理物への衝突力が大きくなるため、被処理物を固着させる効果が大きくなると考えられる。
一方、図7(B)に示すように、処理面の長さが短い場合には被処理物に衝突する確率が低くなると考えられる。また、上述したように、駆動軸111から離れた、周速の速い領域に処理面が存在しないため、被処理物を処理する効果が小さくなると考えられる。
[処理面の角度]
処理羽根140の回転方向に対する処理面の角度について図8、図9を用いて説明する。
駆動軸111から前記d2の80%に位置する軌跡を図8の0.8Lに示す。処理面のうち前記回転体本体に最も近い部位と図8の0.8Lと交差する第2部位とを結ぶ線と、図8の0.8Lの円の処理面における接線と、のなす角のうち前記回転方向下流側の角の大きさ(θ)は、90度以上130度以下が好ましい。より好ましくは、前記θが90度以上121度以下である。
被処理物が処理羽根140の回転と同心円の円周方向に旋回しているとすれば、被処理物の流れ方向は処理羽根140の回転と同心円の接線方向と考えられる。また、被処理物と処理面とが衝突する角度は、駆動軸を中心としたある半径における円の接線方向と、処理面との角度と考えられる。また、被処理物は処理羽根140の回転方向に旋回すると同時に、遠心力によって駆動軸側より離れ、処理槽110内壁に向かう方向に流れていると考えられる。
図9(B)に示すように前述のθの値を90度以上とすることで、処理槽110の内壁方向に流れる被処理物(図中に記した粒子)が有効に処理面に衝突すると考えられる。
図9(A)に示すようにθが90度未満の場合には、処理槽110の内壁方向に流れる被処理物が処理面に有効に衝突しにくくなると考えられる。このことは処理面の先端周速が速く、処理効果が高くなる先端側で顕著になるので好ましくない。
図9(C)に示すようにθが130度を超える場合に処理が進みにくくなる理由は定かではないが、以下のように考えている。
θを大きくすることは処理面が処理槽110の内面側を向くことになり、処理槽110の内壁方向に流れる被処理物の流れを阻害すると考えられる。その結果、処理槽110の内壁付近での被処理物の分布が希薄となり、周速が速く、処理効果が高くなる先端側での処理効果が得られにくくなると考えられる。
[処理部の厚み]
処理部142の駆動軸110と平行な方向における厚みについて説明する。
処理部142の厚みを変えて検討した結果、厚みを小さくすると処理は弱く、厚みを大きくすると処理が強くなることが判った。しかし厚みが大き過ぎると処理部142の質量が増し、装置の運転条件によっては運転が不安定になったり、駆動系への負荷が大きくなる恐れがある。また厚みを大きくすることで処理面の面積が大きくなり、運転条件によっては処理が強過ぎとなり、処理部と被処理物との摩擦による発熱のために被処理物の品質を低下させる恐れがある。
検討の結果、処理部142の厚みは、処理槽110の直径に対して4%以下が好ましい。厚みを4%を超えて設定することも出来るが、前述の理由により運転条件を抑える必要があり、例えば処理部142の周速を小さくしてしまうと目的とする処理性能が得られ難い。
本発明の第一混合工程の混合条件としては、適宜選択されるが、処理羽根140の周速が20m/s以上70m/s以下が好ましく、より好ましくは30m/s以上60m/s以下である。また回転時間としては3分以上20分以下が好ましく、より好ましくは5分以上15分以下が好ましい。
本発明の第二混合工程の製造条件としては、特に制限は無いが、処理羽根としては図10に示す、処理羽根330であることが好ましい。処理羽根330は円環状の処理羽根本体331と、本体331の外周面から径方向の外向きに突き出した処理部332で構成される。
図10で処理羽根330が時計回りに回転するとき、処理部332の下流に位置する処理面が設けられた側の形状は、処理羽根本体331から離れた領域の方が、処理羽根本体331に近い領域よりも、処理羽根330の回転方向上流側に位置するように形成されている。処理部332は2か所に設けられている。
処理羽根330を用いることで、シリカ微粒子をトナー粒子に埋め込み過ぎず、適度に固着することが可能となり、耐久性がより向上する為好ましい。
本発明の第二混合工程の混合条件としては、適宜選択されるが、処理羽根330の周速が、10m/s以上70m/s以下が好ましく、より好ましくは20m/s以上60m/s以下である。また回転時間としては1分以上10分以下が好ましく、より好ましくは1分以上5分以下である。
また本発明の有機無機複合微粒子は、該トナー粒子100質量部に対する固着部数が0.45質量部以上3.00質量部以下が好ましく、より好ましくは0.60質量部以上1.5質量部以下である。有機無機複合微粒子の固着部数を上記範囲に制御することで、耐久性を維持した状態で、且つ低温定着性も阻害し難くなる為好ましい。
また、本発明のシリカ微粒子は、シリコーンオイルによる処理のみが施されており、且つシリコーンオイルの25℃での粘度が30mm2/s以上70mm2/s以下が好ましく、80mm2/s以上93mm2/s以下であることがより好ましい。シリカ微粒子の表面処理剤として、シリコーンオイルのみで処理し、且つ該シリコーンオイルの25℃での粘度が30mm2/s以上70mm2/s以下のオイルを用いることで、シリカ微粒子表面により均一に処理される。その結果、シリカ微粒子による付着力低減効果をより均一に発現することが出来、環境に依らず安定的に転写中抜けレベルを抑制することが出来る。また、シリコーンオイルのみで処理されていることで、低湿環境における帯電過剰をより抑制することが出来、帯電過剰起因のハーフトーン画像の濃度ムラを抑制し易くなる為好ましい。
また、本発明のシリカ微粒子のBET比表面積は50m2/g以上300m2/g以下が好ましい。上記範囲に制御することで、流動性や帯電性も向上し現像効率が向上する為好ましい。
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。中でも好ましく用いられる樹脂として、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、または両者が一部反応したハイブリッド樹脂。
本発明にかかる結着樹脂に用いられるポリエステル樹脂或いは上記ハイブリッド樹脂のポリエステル系ユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては以下の化合物が挙げられる。
アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、下記(1)式で表されるビスフェノール誘導体及び下記(2)式で示されるジオール類。
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は2〜10である。)
酸成分としては、以下のものが挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類またはその無水物、またさらに炭素数6以上18以下のアルキル基またはアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物。
また本発明にかかるポリエステル樹脂或いはポリエステル系ユニットは、三価以上の多価カルボン酸またはその無水物及び/または三価以上の多価アルコールによる架橋構造を含むポリエステル樹脂であることが好ましい。三価以上の多価カルボン酸またはその無水物としては、以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物または低級アルキルエステル。三価以上の多価アルコールとしては、以下のものが挙げられる。1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール。本発明の結着樹脂においては、環境変動による安定性も高い芳香族系アルコールが特に好ましく、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物が挙げられる。
本発明にかかる結着樹脂に用いられるビニル系樹脂或いはハイブリッド樹脂のビニル系重合体ユニットを構成するビニル系モノマーとしては、次の化合物が挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体。
さらに、以下のものが挙げられる。マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの如きアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂に用いられるビニル系樹脂或いはビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有してもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。芳香族ジビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類[ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの];ポリエステル型ジアクリレート化合物類(日本化薬社製「MANDA」)。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下、さらに好ましくは0.03質量部以上5.00質量部以下用いることができる。
これらの架橋剤のうち、結着樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
上記ビニル系樹脂或いはビニル系重合体ユニットの重合に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−プチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート。
本発明において、結着樹脂に前記したハイブリッド樹脂を用いる場合には、ビニル系樹脂及び/またはポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系樹脂と反応し得るものとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物が挙げられる。ビニル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基またはヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
また、上記のような結着樹脂を単独で使用してもよいが、軟化点の異なる2種類の高軟化点樹脂(H)と低軟化点樹脂(L)とを任意の範囲で混合して使用しても良い。高軟化点樹脂(H)は、軟化点が120℃以上170℃以下であることが好ましい。また、低軟化点樹脂(L)は軟化点が70℃以上120℃未満であることが好ましい。
このような系では、トナーの分子量分布の設計を比較的容易に行うことができ、幅広い定着領域を持たせることができるので好ましい。
結着樹脂1種類を単独で使用する場合、軟化点Tmは95℃以上170℃以下が好ましい。さらに好ましくは120℃以上160℃以下である。Tmが上記の範囲内であれば、耐高温オフセット性と低温定着性のバランスが良好となる。
また、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、保存安定性の観点から45℃以上であることが好ましい。また、低温定着性の観点から、Tgは75℃以下であることが好ましく、65℃以下であることが特に好ましい。
また、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル系樹脂を用いても良い。
結晶性ポリエステルを用いる場合、樹脂の原料モノマーに用いられるアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、低温定着性及び耐熱安定性の観点から、炭素数6以上18以下の脂肪族ジオールが好ましく、より好ましくは炭素数8以上14以下である。
上記脂肪族ジオールの含有量は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性をより高める観点から、アルコール成分中に80mol%以上100mol%以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためのアルコール成分としては、上記の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分を含有していてもよい。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等を含むビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらにこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられる。
これらの中でも結晶性を高める観点から、炭素数6以上18以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を用いることが好ましく、より好ましくは炭素数6以上10以下である。
上記脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中に80mol%以上100mol%以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためのカルボン酸成分としては、上記脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分を含有していてもよい。例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上の芳香族多価カルボン酸化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。芳香族ジカルボン酸化合物には、芳香族ジカルボン酸誘導体も含まれる。芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、並びにそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステルが好ましく挙げられる。該アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1以上3以下)エステル等の誘導体が挙げられる。
本発明のトナーは、磁性一成分トナー、非磁性一成分トナー、非磁性二成分トナーのいずれのトナーとしても使用できる。
磁性一成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性酸化鉄粒子が好ましく用いられる。磁性一成分トナーに含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物が挙げられる。
非磁性一成分トナー及び非磁性二成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独或いは2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これらのものを単独或いは2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独或いは2以上のものを併用して用いる。
トナーに離型性を与えるために、トナーは離型剤(ワックス)を含有することが好ましい。ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。必要に応じて一種または二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;プラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合し、又は低気圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したワックス。
脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、以下のものが挙げられる。金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンの如きアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素。具体的には、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業株式会社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学株式会社);サゾール H1、H2、C80、C105、C77(サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精蝋株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODA)。
離型剤を添加するタイミングは、粉砕法でトナーを作製する場合においては、溶融混練時に添加しても良いが、トナー用樹脂の製造時であっても良い。また、これらの離型剤は単独で使用しても併用しても良い。離型剤は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
本発明のトナーは、荷電制御剤として、上記モノアゾ金属錯体化合物以外に、既知の他の荷電制御剤と併用することができる。他の荷電制御剤としては、アゾ系鉄錯体又は錯塩、アゾ系クロム錯体又は錯塩、アゾ系マンガン錯体又は錯塩、アゾ系コバルト錯体又は錯塩、アゾ系ジルコニウム錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のクロム錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体の亜鉛錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のアルミ錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のジルコニウム錯体又は錯塩が挙げられる。前記カルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。また、荷電制御樹脂も用いることもできる。本発明に用いられる荷電制御剤と他の荷電制御剤とを併用する場合、他の荷電制御剤をトナー用樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下使用することが好ましい。
本発明のトナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。被覆材に用いられる樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独あるいは複数を併用して用いることができる。
さらに本発明のトナーには、有機無機複合微粒子とシリカ微粒子に加え、必要に応じて他の外添剤を添加してもよい。このような外添剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粉体が挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
本発明のトナー粒子の製法は特に限定されず、樹脂成分並びに必要に応じて、着色剤、離型剤及び電荷制御剤等のトナー構成材料を均一混合した後に溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粉砕、分級し、得られたトナー粒子を本発明の製法で外添しトナーを得る、いわゆる粉砕法を用いることができる。
また他の手法として、乳化重合法や懸濁重合法などのいわゆる重合法によりトナー粒子を製造することができる。
少なくとも、溶融混練工程及び粉砕工程を経て得られるトナー粒子を製造する方法としては、以下の方法を用いることができる。樹脂成分並びに必要に応じてワックス、着色剤、荷電制御剤、及びその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分混合する。混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する。その際、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を添加することもできる。溶融混練物を冷却固化した後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株));スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
次に、本発明に係る各物性の測定方法に関して記載する。
<トナーからの有機無機複合微粒子の単離方法>
トナーを「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を数滴加えたイオン交換水に超音波分散し24時間静置する。上澄み液を採取して乾燥することで、外添剤を単離することができる。トナーに有機無機複合微粒子以外の外添剤が外添されている場合は、前記上澄み液を遠心分離法で分離することにより、有機無機複合微粒子を単離することが可能である。
<有機無機複合微粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
有機無機複合微粒子の個数平均粒径(D1)の測定は、走査型電子顕微鏡「S−4800」(商品名;日立製作所製)を用いて行った。
有機無機複合微粒子が外添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、ランダムに100個の有機無機複合微粒子の一次粒子の長径を測定し、個数平均粒径(D1)を求めた。
観察倍率は、有機無機複合微粒子の大きさによって適宜調整した。
<有機無機複合微粒子の形状係数SF−2の測定方法>
有機無機複合粒子の形状係数SF−2は、透過型電子顕微鏡「JEM−2800」(日本電子株式会社)で有機無機複合粒子を観察し、最大20万倍に拡大した視野において、100個の一次粒子の周囲長、面積を画像処理ソフトImage−Pro Plus5.1J(MediaCybernetics社製)を使用して算出した。
SF−2は下記の式にて算出し、その平均値をSF−2とした。
SF−2=(粒子の周囲長)2/粒子の面積×100/4π
<トナー中の有機無機複合微粒子の含有量の測定方法>
トナーの製造においてにおける有機無機複合微粒子の添加量がわかる場合には、その値を用いて有機無機複合微粒子の含有量を知ることができる。
有機無機複合微粒子の添加量がわからない場合の、有機無機複合微粒子の含有量の測定方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)トナー5gをサンプル瓶に入れ、メタノールを200mLを加える。必要であれば、数滴の界面活性剤を添加する。界面活性剤としては、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を用いることができる。
(2)超音波洗浄機で180分間試料を分散させて外添剤を分離させる。
(3)吸引ろ過(10μmメンブランフィルター)してトナー粒子と外添剤を分離する。本発明のトナーが磁性トナーである場合には、ネオジム磁石をサンプル瓶の底にあてて磁性トナー粒子を固定して上澄み液だけ分離させても構わない。
(4)上記(2)、(3)を計10回行う。
上記操作により、トナー粒子から有機無機複合微粒子と他の外添剤の混合物が単離される。この回収された水溶液を遠心分離器にかけ、他の外添剤と分離して有機無機複合微粒子を回収する。
次いで、溶媒を除去し真空乾燥機で十分に乾燥させ質量を測定することで有機無機複合微粒子の含有量を得ることができる。
<有機無機複合微粒子中の無機微粒子の含有量の測定方法>
有機無機複合微粒子中の無機微粒子の含有量の測定はTGA Q5000IR(TAインスツルメント社製)を用いて行った。測定は以下の手順で行った。
試料をサンプルパンに10.0mg秤量したのち本体にセットした。
そして酸素ガス雰囲気下にて、温度50℃で1分保持した後、25℃/分の昇温速度で、900℃まで加熱し、このときの試料の質量変化を測定した。そして初期試料の質量(W1)と、900℃時点での試料質量(W2)を用い、以下の式により有機無機複合微粒子中の無機微粒子の含有量を求めた。
無機微粒子の含有量(質量%)=W2/W1×100
本発明とトナーに外添した有機無機複合微粒子を入手できる場合には、それを試料として用いた。入手できない場合には、上述の方法でトナーから単離した有機無機複合微粒子を用いて測定することができる。
<有機無機複合粒子の表面シリカ存在比率の測定方法>
本発明の有機無機複合粒子の表面に存在する無機微粒子がシリカ微粒子の場合、以下の方法により表面シリカ存在比率を測定することができる。
本発明における有機無機複合粒子の表面シリカ存在比率は、ESCA(X線光電子分光分析)により測定される、シリカ由来のケイ素(以下、Siと省略する。)原子量から算出される。ESCAはサンプル表面の深さ方向で数nm以下の領域の原子を検出する分析方法である。そのため有機無機複合粒子の表面の原子を検出することが可能である。
サンプルホルダーとしては、装置付属の75mm角のプラテン(サンプル固定用の約1mm径のねじ穴が具備されている)を用いた。そのプラテンのネジ穴は貫通しているため、樹脂等で穴をふさぎ、深さ0.5mm程度の粉体測定用の凹部を作製する。その凹部に測定試料をスパチュラ等で詰め込み、すり切ることでサンプルを作製した。
ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置:アルバック−ファイ社製 Quantum 2000
分析方法:ナロー分析
測定条件:
X線源:Al−Kα
X線条件:100μ25W15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
測定範囲:φ100μm
以上の条件より測定を行った。
まず有機無機複合粒子の測定を行い、Si原子の定量値の算出には、C 1c(B.E.280〜295eV)、O 1s(B.E.525〜540eV)及びSi 2p(B.E.95〜113eV)のピークを使用した。ここで得られたSi元素の定量値をX1とする。
次いで同様にして、シリカ微粒子単体の元素分析を行い、ここで得られたSi元素の定量値をX2とする。
本発明において、表面シリカ存在比率は、上記X1及びX2を用いて下式のように求めた。
表面シリカ存在比率(%)=X1/X2×100
本発明とトナーに外添した有機無機複合微粒子を入手できる場合には、それを試料として用いた。入手できない場合には、上述の方法でトナーから単離した有機無機複合微粒子を用いて測定することができる。
またシリカ微粒子単体としては、製造例で記載しているゾルゲルシリカ粒子を(個数平均粒子径102nm)を用いて算出を行った。
外添剤がシリカ単体の場合は表面シリカ存在比率100%、特に表面処理がなされていない場合は樹脂粒子の表面シリカ存在比率は0%となる。
<有機無機複合粒子の固着部数の測定方法>
まずトナーを「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を数滴加えたイオン交換水に超音波分散し24時間静置する。この上澄み液を採取して乾燥することで、外添剤を単離することができる。トナーに複数の外添剤が外添されている場合は、上澄み液を遠心分離することにより有機無機複合粒子の単離が可能である。このようにして単離した有機無機複合微粒子を再度コンタミノンNを数滴加えたイオン交換水に基準量分散し、標準溶液を作製する。
次にトナーを一定量コンタミノンNを数滴加えたイオン交換水に分散した後、超音波で10秒分散した後遠心分離によりトナー母粒子を沈降させる。再度超音波で20秒分散した後、遠心分離によりトナー母粒子を沈降させる。再度超音波で60秒分散した後遠心分離によりトナー母粒子を沈降させる。この段階での上澄み液と、該標準溶液をそれぞれディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000UHR(日本ルフト株式会社)による測定を行い、有機無機複合粒子の粒径の位置に現れるピークの面積を比較し、有機無機複合粒子の遊離部数を定量する。
また有機無機複合粒子の全添加部数は、トナーを一定量コンタミノンNを数滴加えたイオン交換水に分散した後ホモジナイザーによる超音波処理を3時間行った後、遠心分離によりトナー母粒子を沈降させる。この段階で上澄み液に存在する有機無機複合粒子の存在量をディスク遠心式粒度分布測定により定量した値を有機無機複合粒子の全添加部数とし、全添加部数から遊離部数を引いた値を有機無機複合粒子の固着部数とする。
<シリカ微粒子のBET比表面積の測定方法>
シリカ微粒子の比表面積BETは、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置「ジェミニ2375 Ver.5.0」(島津製作所社製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m2/g)を算出した。具体的には、以下のような手順で測定する。
空のサンプルセルの質量を測定した後、サンプルセルに測定試料をセル体積の約80%になるよう充填する。さらに、脱ガス装置に、試料が充填されたサンプルセルをセットし、室温で7時間脱ガスを行う。脱ガス終了後、サンプルセル全体の質量を測定し、空サンプルセルとの差から試料の正確な質量を算出する。次に、BET測定装置のバランスポートおよび分析ポートに空のサンプルセルをセットする。所定の位置に液体窒素の入ったデュワー瓶をセットし、飽和蒸気圧(P0)測定コマンドにより、P0を測定する。P0測定終了後、分析ポートに脱ガス調製されたサンプルセルをセットし、サンプル質量およびP0を入力後、BET測定コマンドにより測定を開始する。後は自動でBET比表面積が算出される。
<シリコーンオイルの粘度の測定方法>
シリコーンオイルの粘度を測定する装置としては、全自動微量動粘度計(ビスコテック(株)製)を用い、25℃における粘度を測定した。
<シリコーンオイル固定化率の測定方法>
(遊離シリコーンオイルの抽出)
1.ビーカーにシリカ微粒子0.5g、クロロホルム40mlを入れ、2時間撹拌する。
2.撹拌を止めて、12時間静置する。
3.サンプルをろ過して、クロロホルム40mlで3回洗浄する。
(炭素量測定)
酸素気流下で1100℃で試料を燃焼させ、発生したCO、CO2量をIRの吸光度により測定して、試料中の炭素量を測定する。シリコーンオイルの抽出前後でのカーボン量を比較して、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率を計算する。
1.試料2gを円筒金型に入れプレスする。
2.プレスした試料0.15gを精秤し、燃焼用ボードに乗せ、堀場製作所EMIA−110で測定する。
3.100−(抽出前の炭素量−抽出後の炭素量)/抽出前の炭素量×100
をシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率とする。
<結着樹脂の軟化点Tmの測定方法>
結着樹脂の軟化点Tmは、以下のようにして測定される。樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度Tmである。
測定試料は、約1.0gのサンプルを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<結着樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定方法>
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC)、MDSC−2920(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて、常温常湿下で測定する。測定試料として、結着樹脂約3mgを精密に秤量したものを用いる。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。測定温度範囲を30℃以上200℃以下とし、一旦、昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から30℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度Tgとする。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<トナー用結着樹脂(A−1)の製造例>
・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 50.0mol部
・ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.3mol付加)50.0mol部
・テレフタル酸 60.0mol部
・無水トリメリット酸 20.0mol部
・アクリル酸 10.0mol部
上記ポリエステルモノマーの混合物70質量部を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で撹拌する。そこに、ビニル重合体部位を構成するビニル系重合モノマー(スチレン:90.0mol部、ブチルアクリレート:10.0mol部)30質量部と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2.0mol部を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。その後、160℃で5時間反応した後、230℃に昇温してテトライソブチルチタネートを0.05質量%添加し、所望の粘度となるように反応時間を調節した。
反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕してハイブリッド樹脂であるトナー用樹脂(A−1)を得た。得られた樹脂(A−1)の諸物性を表1に示す。
<トナー用結着樹脂(A−2)の製造例>
表1に記載のモノマーを使用する以外はトナー用結着樹脂(A−1)の製造例と同様にしてトナー用結着樹脂(A−2)を得た。得られたトナー用結着樹脂(A−2)の諸物性を表1に示す。
<トナー用結着樹脂(A−3)、(A−4)の製造例>
表1に記載のモノマーをモノマー総量に対して、0.05質量%のテトライソブチルチタネートとともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内に窒素ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整した。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕してトナー用樹脂(A−3)、(A−4)を得た。得られたトナー用樹脂(A−3)、(A−4)の諸物性を表1に示す。
<有機無機複合微粒子(B−1)乃至(B−9)の製造例>
有機無機複合微粒子は、WO 2013/063291の実施例の記載に従って製造することができる。
後述の実施例において用いる有機無機複合微粒子としては、表2に示すシリカを用いて、WO 2013/063291の実施例1に従って製造したものを用意した。得られた有機無機複合微粒子(B−1)乃至(B−9)は、いずれも樹脂粒子の表面に無機微粒子(シリカ)由来の凸部を有し、これら有機無機複合微粒子の諸物性を表2に示す。
<無機微粒子(C−1)の製造例>
後述のトナー製造例中で、上記有機無機複合微粒子以外に使用する添加剤として無機粒子(C−1)は日本触媒社製のシーホスターシリーズを使用した。
<シリカ微粒子の製造例(D−1)の製造例>
シリカ微粒子(D−1)は、BET比表面積:200m2/gのシリカ100質量部を25℃での粘度が50mm2/sのジメチルシリコーンオイル10質量部で処理し、その後解砕処理を行い得た。シリカ微粒子の製造例(D−1)の諸物性を表3に示す。
<シリカ微粒子(D−2)乃至(D−11)の製造例>
表3に記載の条件にした以外は、シリカ微粒子(D−1)と同様にして、シリカ微粒子(D−2)乃至(D−11)を得た。シリカ微粒子(D−2)乃至(D−11)の諸物性を表3に示す。
<トナー粒子(E−1)の製造例>
・トナー用結着樹脂(A−1) 55質量部
・トナー用結着樹脂(A−4) 45質量部
・磁性酸化鉄粒子 60質量部
(平均粒径0.13m、Hc=11.5kA/m、σs=88Am2/kg、σr=14Am2/kg)
・離型剤 フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製、C105、融点105℃) 2質量部
・荷電制御剤(T−77:保土ヶ谷化学社製) 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM−30型))によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T−250)で粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)7.0μmの負帯電性のトナー粒子(E−1)を得た。
<トナー粒子(E−2)の製造例>
トナー粒子(E−1)の製造例において、トナー用結着樹脂として(A−2)100質量部を用いる以外は、トナー粒子(E−1)の製造例と同様にして、トナー粒子(E−2)を得た。
<トナー粒子(E−3)の製造例>
トナー粒子(E−1)の製造例において、トナー用結着樹脂として(A−3)60質量部と、(A−4)40質量部を用いる以外は、トナー粒子(E−1)の製造例と同様にして、トナー粒子(E−3)を得た。
〔実施例1〕
実施例1に用いたトナー用処理装置の概略構成図を図1に示す。
トナー用処理装置100はトナー粒子及び外添剤を含む被処理物を収容する処理槽110、駆動モーター150、制御部160で構成されている。
処理槽110は図4に示すような内寸高さが250mm、内径がφ230mmで有効容量が10Lの円筒形状の容器で平らな底部の中心に駆動軸111を備えている。駆動モーター150の駆動は駆動ベルトを介して駆動軸111に伝達されている。
処理槽110内部には被処理物を処理室の底部から上方に流動させる流動手段として駆動軸111に図3に示す撹拌羽根120を取り付ける。撹拌羽根120はS宇形状でかつ先端が眺ね上げられた形状のものを使用する。
さらに撹拌羽根120の上方には回転体として同じ駆動軸111に図2に示す処理羽根140を取り付ける。処理羽根140は円環状の本体141の外周面から径方向の外向きに突き出した処理部142を4か所設ける。
処理部142の形状は、径方向の最外端が処理槽110の半径の96%となるようにし、厚みは6mmとする。
処理面のうち前記回転体本体に最も近い部位と図6の0.8Lの位置とを結ぶ線と、図
6の0.8Lの円の処理面における接線とのなす角のうち前記回転方向下流側の角の大きさ(θ)を100度とする。
さらに処理羽根140の上方には図1に示すディフレクター130をとりつけ、ディフレクターの先端には処理槽内のトナー粒子の温度をモニターできる熱電対をとりつける。
また処理装置は水冷ジャケット(図示しない)を付帯しており、冷水発生手段から冷水を供給できるようにする。処理槽内のトナー粒子の温度をモニターしながら冷水温度や冷水流量を調整できるようにする。
本実施例では2段階の外添処理を行う。
まず、第一混合工程として、上記構成のトナー用処理装置に対し、以下の処方でトナー粒子と有機無機複合微粒子を投入した。
・トナー粒子(E−1) 100質量部
・有機無機複合微粒子(B−1) 1.0質量部
処理羽根140の周速を46.1m/sに設定して処理羽根の駆動を開始させ、8分間運転して第1外添処理トナーを得た(第一混合工程)。
さらに第1外添処理トナーに対して第2の外添剤として、シリカ微粒子(D−1)を0.8質量部、チタン酸ストロンチウム微粉体(D50:1.0μm)0.6質量部を投入する。そして処理羽根を図10に示す処理羽根330に変更した。処理羽根330の周速を42.9m/sとなるように制御して2分間運転して第2外添処理トナーを得る(第二混合工程)。
得られた第2外添処理トナーを目開き150μmのメッシュで篩い、トナー(T−1)を得た。得られたトナー(T−1)に対して以下の評価を行った。結果を表4に示す。
<転写中抜け評価>
転写中抜けの評価は、ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ(HP LaserJet Enterprise 600 M603)を用い、高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度80%RH)において、印字率2%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計20000枚の画出し試験を実施した。
初期100枚目と2000枚目において、紙上のトナー載り量を0.6mg/cm2になるよう現像コントラストを調整する。縦横両方向に細線が存在するよう画像を形成し、2、4、6、8、10ドットラインを各2本、各ライン間の非潜像部幅が約1mmになるようプリントし、目視及び20倍ルーペにより観察した結果を以下の基準にて評価した。
A(非常に良い):2ドットラインにおいて、拡大観察によっても中抜けが殆ど確認できない。
B(良い):2ドットラインにおいて、拡大観察によって中抜けが若干確認され、目視では確認できない。
C(普通):2ドットラインにおいて、目視によって中抜けが確認でき、4ドットラインにおいて、目視によって中抜けが確認できない。
D(悪い):4ドットラインにおいて、目視によって中抜けが確認できる。
<低温定着性試験>
低温定着性は、ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ:HP LaserJet Enterprise 600 M603を用いた。
上記装置を用い、低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)において、単位面積当たりのトナー載り量を0.3mg/cm2に設定した後、5mm角の画像を9箇所配置したテストチャートを定着器の温度設定を200℃にし、300枚通紙した。
なお、記録媒体には「プローバーボンド紙」(105g/m2、フォックスリバー社製)を用いた。得られた定着画像の1枚目、50枚目、100枚目、200枚目、300枚目の各画像に対して、各5mm角の画像を4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙で摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)を算出し、9点の平均値を算出した。その後1枚目、50枚目、100枚目、200枚目、300枚目の平均値を算出し、以下の基準で評価した。
A(非常に良い):画像濃度の低下率が5.0%未満である。
B(良い):画像濃度の低下率が5.0%以上10.0%未満である。
C(普通):画像濃度の低下率が10.0%以上15.0%未満である。
D(悪い):画像濃度の低下率が15.0%以上である。
<耐久性評価>
ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ(HP LaserJet Enterprise 600 M603)に両面プリントオプションを装着し、高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度80%RH)において、印字率0.8%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計50000枚の画出し試験を実施した。
そして、100枚目に対する50000枚耐久後の画像濃度の低下率を算出した。なお、画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、5mmのベタ黒画像の反射濃度を測定することにより測定した。評価基準を以下に示す。
A(非常に良い):画像濃度低下率が3%未満である。
B(良い):画像濃度低下率が3%以上6%未満である。
C(普通):画像濃度低下率が6%以上10%未満である。
D(悪い):画像濃度低下率が10%以上である。
<ハーフトーン濃度ムラ評価>
ハーフトーン濃度ムラの評価ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ:HP LaserJet Enterprise 600 M603を用い、低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)において印字率2%となる横線パターンを連続で20000枚通紙した。
その後、反射濃度0.60のハーフトーン画像出力を行い、得られた画像の反射濃度を多点測定して、多点間の濃度差を求めることで、ハーフトーン濃度ムラを評価した。評価基準を以下に示す。
A(非常に良い):反射濃度差0.05未満(ハーフトーン濃度ムラはほとんど見えない)
B(良い):反射濃度差0.05以上0.10未満(ハーフトーン濃度ムラは僅かに見えるがわかりにくいレベル)
C(普通):反射濃度差0.10以上0.15未満(ハーフトーン濃度ムラが見えるが気にならないレベル)
D(悪い):反射濃度差0.15以上(ハーフトーン濃度ムラがよく見える)
〔実施例2乃至12〕
表4に記載の処方とする以外はトナー(T−1)と同様にして、トナー(T−3)乃至(T−12)を得た。得られたトナー(T−3)乃至(T−12)に対して、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
なお、実施例12で用いた、処理羽根330の概略構成図を図10に示す。処理羽根330は円環状の処理羽根本体331と、本体331の外周面から径方向の外向きに突き出した処理部332で構成される。図10で処理羽根330が時計回りに回転するとき、処理部332の下流に位置する処理面が設けられた側の形状は、処理羽根本体331から離れた領域の方が、処理羽根本体331に近い領域よりも、処理羽根330の回転方向上流側に位置するように形成されている。処理部332は2か所に設けてられている。処理部332の処理面は曲線状に構成され、角度は70度となっている。
〔比較例1〕
実施例1において、第一混合工程で下記全ての外添剤を混合し、第二混合工程を実施しなかった以外は実施例1と同様にしてトナー(T−13)を得た。
・トナー粒子(E−1) 100質量部
・有機無機複合微粒子(B−7) 1.0質量部
・シリカ微粒子(D−5) 0.5質量部
・チタン酸ストロンチウム微粉体(D50:1.0μm) 0.6質量部
得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
〔比較例2〕
比較例1において、第一混合工程の条件を表5に示す条件に変更した以外は比較例1と同様にしてトナー(T−14)を得た。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。なお、比較例2では第一混合工程の処理羽根は実施例12で用いた、処理羽根330(図10)を用いた。
〔比較例3乃至7〕
表5に記載の処方とする以外はトナー(T−1)と同様にして、トナー(T−13)乃至(T−19)を得た。得られたトナー(T−13)乃至(T−19)に対して、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
なお、比較例4では、有機無機複合微粒子の代わりに、無機微粒子(C−1)を使用した。
得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。なお、比較例3乃至7では第一混合工程の処理羽根は実施例12で用いた、処理羽根330(図10)を用いた。
〔比較例8〕
実施例1において、第一混合工程は行わず、下記処方で第二混合工程を実施した以外は実施例1と同様にしてトナー(T−20)を得た。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
・トナー粒子(E−1) 100質量部
・シリカ微粒子(D−1) 0.8質量部
・チタン酸ストロンチウム微粉体(D50:1.0μm) 0.6質量部