JP6489129B2 - 超臨界流体装置から流出する試料の回収方法及び試料回収機構 - Google Patents

超臨界流体装置から流出する試料の回収方法及び試料回収機構 Download PDF

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Description

本発明は、超臨界流体クロマトグラフ装置や超臨界抽出装置など超臨界流体を用いる分析装置から流出する試料を回収する試料回収方法及び試料回収機構に関するものである。
近年、超臨界流体クロマトグラフ装置(以下、SFC:Supercritical Fluid Chromatography)が注目されている。SFCは、二酸化炭素などに一定の温度及び圧力をかけて超臨界流体とし、その超臨界流体を溶媒として行なうクロマトグラフ装置である。超臨界流体は液体と気体の両方の性質をもち、液体よりも拡散性が高く粘性が低いという特徴がある。かかる超臨界流体を溶媒として用いることで、高速・高分離・高感度での分析が可能となる。
SFCにおいて一般的に用いられる二酸化炭素は、臨界圧力が7.38MPaであり、臨界温度が31.1℃と比較的常温に近く、引火性や化学反応性がなく、純度の高いものが安価に手に入ることなどから、SFCに最もよく利用されている。超臨界二酸化炭素(SCCO2)はヘキサンに近い低極性の物性をもっており、メタノールのような極性有機溶媒をモディファイアとして添加することによって、移動相の極性を大きく変化させることができる。溶媒を超臨界状態に保つためには、流路系の圧力を高圧に保つ必要がある。このため、SFCには、流路系を一定圧力で保つために、分離カラムや検出器よりも下流側に背圧レギュレータ(BPR)と呼ばれる圧力制御バルブを備えている。超臨界流体を用いる装置としては、他に超臨界抽出装置(SFE)などがある。
WO2008/011416 米国特許第6413428B1
分取SFCやSFEでは、二酸化炭素とモディファイアの混合流体に溶解している試料を回収するために、分析流路の出口配管から流出する流体を捕集するようになっている。BPRを通過した流体は大気圧に減圧されるため、超臨界状態又は液体状態の二酸化炭素がBPRを通過した後は気化し、その体積は400倍以上にもなる。そのため、分析流路の出口配管から流出する流体は飛散し、それによってモディファイア中に溶解していた試料の一部が失われるという問題があった。
従来から、分析流路から流出した流体を気相と液相に分離して液相のみを回収する試料回収機構として種々のものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。しかし、それらの構成では、分析流路の出口から流出した流体の飛散を完全に防止する構成とはなっておらず、気化した二酸化炭素とともにモディファイアの一部も飛散するため、試料のすべてを回収することは困難である。
そこで、本発明は、分析流路の出口流路から流出する流体を気相と液相に高効率で分離し、液相を気相とともに飛散させることなく回収することを目的とするものである。
本発明に係る試料回収方法は、以下のステップをその順に含んでいる。
圧力制御バルブによって圧力が制御されることにより二酸化炭素とモディファイアの混合流体が超臨界状態で流れる分析流路中に試料を導入し、該分析流路上の圧力制御バルブよりも上流側に設けられた分離カラムで試料を成分ごとに分離するステップ、
分析流路から流出した回収対象の試料成分を含む流体をそれぞれの密閉された耐圧容器に貯留し、該耐圧容器内において二酸化炭素とモディファイアの蒸気圧の差によって二酸化炭素からなる気相とモディファイアを含む液相に分離させるステップ、
耐圧容器を大気解放するステップ、及び
耐圧容器内の液相を取り出すステップ。
本発明にかかる試料回収機構は、圧力制御バルブによって圧力が制御されることにより二酸化炭素とモディファイアの混合流体が超臨界状態で流れる分析流路中に試料を導入し、該分析流路上の圧力制御バルブよりも上流側に設けられた分離カラムで試料を成分ごとに分離し、分離した成分を検出器で検出する超臨界流体分析装置の分析流路の出口側に設けられ、分析流路から流出する流体を気相と液相に分離して液相を回収するものである。該試料回収機構は、分析流路から流出した流体を貯留するための密閉された内部空間を有するとともに分析流路からの流出流体を密閉された状態の内部空間に貯留しうる耐圧性を有する耐圧容器と、分析流路の出口に耐圧容器を接続するか否かを切り替える切替機構と、耐圧容器の内部空間上部を該耐圧容器の外部と連通させて内部空間内の圧力を開放するための解圧機構と、検出器の検出信号に基づいて切替機構及び解圧機構を制御する制御部であって、回収対象の試料成分を含む流体の分析流路の出口からの流出が開始してから終了するまで分析流路の出口に密閉状態の耐圧容器を接続する回収容器選択手段、及び回収対象の試料成分を含む流体のすべてが耐圧容器に回収された後で解圧機構によって内部空間の圧力を開放する圧力解放手段を備えた制御部と、を備えている。
本発明の試料回収方法では、分析流路から流出した回収対象の試料成分を含む流体をそれぞれの密閉された耐圧容器に貯留し、該耐圧容器内において二酸化炭素とモディファイアの蒸気圧の差によって二酸化炭素からなる気相とモディファイアを含む液相に分離させるので、モディファイアが気化して二酸化炭素とともに外部へ放出されることが防止され、モディファイアの高い回収率が得られる。試料成分はすべて液相であるモディファイアに溶解するため、試料成分の高い回収率が得られる。さらに、耐圧容器を大気解放してから耐圧容器内の液相を取り出すため、耐圧容器内に回収された液の取出しを安全にかつ容易に行なうことができる。
本発明の試料回収機構は、分析流路から流出した流体を貯留するための密閉された内部空間を有するとともに分析流路からの流出流体を密閉された状態の内部空間に貯留しうる耐圧性を有する耐圧容器を備え、回収対象の試料成分を含む流体の分析流路の出口からの流出が開始してから終了するまで、分析流路の出口に密閉した状態の耐圧容器を接続してその流体のすべてを回収するようになっているので、耐圧容器内に分析流路からの流出流体が貯留されることによって耐圧容器内が高い圧力状態となり、二酸化炭素とモディファイアの蒸気圧差によって二酸化炭素は気相として、モディファイアは液相としてそれぞれ耐圧容器内で存在する。また、分析流路の出口から流出した流体は密閉状態の耐圧容器にすべて回収されるため、液相が耐圧容器の外部へ飛散することがなく、回収対象の試料成分を含む液相のすべてを耐圧容器内に回収することができる。分析流路の出口から流出した流体の回収が終了した後、解圧機構によって耐圧容器内の圧力が開放されるようになっているので、耐圧容器内に回収された液の取出しを安全にかつ容易に行なうことができる。
試料回収機構を備えた超臨界流体分析装置の一実施例を示す流路構成図である。 試料回収機構と制御部の一実施例を示す概略構成図である。 図2の実施例で用いられる耐圧容器の一例を示す断面図である。 試料回収機構の他の実施例を示す概略構成図である。 図4の実施例で用いられる耐圧容器の一例を示す断面図である。 試料回収機構のさらに他の実施例を示す概略構成図である。
本発明に係る試料回収機構では、耐圧容器が複数個設けられ、切替機構は分析流路の出口を耐圧容器のいずれか一つに選択的に切り替えて接続しうるように構成されていることが好ましい。かかる構成にすれば、分離カラムによって分離されて分析流路から順次流出する試料の溶解する流体を、別々の耐圧容器に導いて回収することができる。
切替機構は、耐圧容器を分析流路の出口に接続した状態と耐圧容器を該試料回収機構の外部へ通じる流路に接続した状態との間で切り替えるように構成されており、切替機構は、耐圧容器を該試料回収機構の外部へ通じる流路に接続することで解圧機構として耐圧容器内の圧力を解放するようになっていてもよい。そうすれば、耐圧容器内の圧力を開放する解圧機構を別途設ける必要がない。
耐圧容器は液相を収容する部分が該試料回収機構から離脱可能に設けられていてもよい。これにより、液相を抽出して耐圧容器内の圧力を開放した後で耐圧容器の液相を収容する部分を取り外すことで、耐圧容器内に回収した液相の取出しを容易に行なうことができる。すなわち、この態様では、耐圧容器が、試料成分を含んだ液相を回収するための回収容器としての機能も備えている。
耐圧容器の液相を回収するための回収容器が耐圧容器の底部に流路を介して接続され、その流路が開閉弁によって開閉されるように構成されており、制御部は、回収対象の試料成分を含む流体のすべてを耐圧容器に回収し、解圧機構によって内部空間の圧力を開放した後で開閉弁を開放して耐圧容器内の液相を回収容器に取り出す液相取出手段を備えていてもよい。これにより、耐圧容器に回収された液相が安全にかつ自動的に回収容器に取り出される。
試料回収機構を備えた超臨界流体装置の一実施形態について図1を用いて説明する。
液体状態の二酸化炭素8をポンプ6により送液する二酸化炭素送液流路2と、モディファイアであるメタノール12をポンプ10により送液するメタノール送液流路4がミキサ14に接続されている。ミキサ14には分析流路16が接続されている。分析流路16上には、ミキサ14側から順に、この分析流路16に試料を注入する試料注入部(オートサンプラ)18、分離カラム20、検出器22及び圧力制御バルブ24が配置されている。検出器22は、例えば紫外線検出器である。圧力制御バルブ24の出口側の流路(分析流路16の出口)に試料回収機構26が接続されており、分析流路16から流出する試料成分が試料回収機構26によって回収されるようになっている。
二酸化炭素とメタノールはミキサ14で混合され、移動相として分析流路16に導入される。二酸化炭素送液流路2、メタノール送液流路4及びミキサ14は移動相送液部を構成している。分析流路16は圧力制御バルブ24によって内圧が7MPa以上に制御されており、分析流路16に導入された移動相は超臨界流体の状態となる。試料注入部18により注入された試料は超臨界流体となった移動相によって分離カラム20に搬送され、成分ごとに分離され、検出器22により検出される。検出器22により検出された試料成分は移動相とともに圧力制御バルブ24を経て分析流路16から流出し、試料回収機構26によって回収される。
試料回収機構26は制御部28によって制御されるようになっている。制御部28(図2の実施例における制御部28A、図4の実施例における28B、図6の実施例における28Cも同じ。)は、コンピュータにより実現される。そのコンピュータは、例えばこの試料回収機構が適用される超臨界流体装置の専用コンピュータ又は汎用のパーソナルコンピュータにより実現することができる。制御部28は、検出器22の検出信号を取り込み、その検出信号に基づいて試料回収機構26を制御し、目的の試料成分を含む液を回収するように構成されている。
試料回収機構と制御部の第1の実施例について図2を用いて説明する。
試料回収機構26Aでは、分析流路16の下流端が切替機構としての切替バルブ30の共通ポートに接続されている。切替バルブ30は複数の選択ポートを有し、分析流路16が接続されている共通ポートといずれか一つの選択ポートとの間を選択的に切り替えて接続することができるようになっている。
切替バルブ30の一つの選択ポートには排出用のドレイン17が接続され、残りの複数の選択ポートにそれぞれ耐圧容器選択流路31Aの一端が接続されている。耐圧容器選択流路31Aの他端は切替バルブ32の一つのポートに接続されている。切替バルブ32の他のポートには、耐圧容器34Aに連通する流路33とドレイン35が接続されている。
切替バルブ32は、耐圧容器34Aに連通する流路の接続先を、耐圧容器選択流路31Aとドレイン35との間で切り替えるように構成されている。すなわち、切替バルブ32によって、耐圧容器選択流路31Aが耐圧容器34Aに接続された状態と、耐圧容器34Aがドレイン35に接続された状態のいずれかの状態に選択的に切り替えられる。この実施例では、切替バルブ30に4つの耐圧容器34Aが接続されているが、耐圧容器34の数はいくらであってもよい。
この試料回収機構26Aは、検出器22(図1を参照。)で得られる検出信号に基づいて、分離カラム20で分離された試料成分を含む流体が分析流路16の出口から流出するタイミングで、分析流路16の出口にいずれか一つの耐圧容器34Aを接続し、その耐圧容器34A内にその試料成分を含む流体を回収するように構成されている。分析流路16から流出する流体中に試料成分が含まれていないときは、分析流路16の出口をドレイン17に接続して排出する。
耐圧容器34Aは内部空間を有し、分析流路16から流出する流体を密閉状態の内部空間に貯留することができる6MPa以上(例えば8MPa程度)の耐圧性を有する容器である。分析流路16の出口がいずれかの耐圧容器34Aに接続されたときに、分析流路16から流出する流体が耐圧容器34A内に導入される。BPRを通過した流体中の二酸化炭素は気化するため、耐圧容器34A内では、分析流路16から流出した流体中の二酸化炭素は気相として存在し、流体中のメタノールが液相として耐圧容器34Aの下部に貯留される。気相である二酸化炭素は試料の溶解力をほとんど有さないため、分離カラム22で分離された試料成分は液相であるメタノールに溶解している。
耐圧容器34A内の圧力は、分析流路16から耐圧容器34A内に導入される流体量によって変わる。耐圧容器34A内に導入される流体量は、検出器22の検出信号に現れるピークの保持時間の大きさ、すなわち、そのピーク成分を分取するための時間に応じて変わる。
対象の試料成分を含んだ流体を耐圧容器34A内に回収した後、切替バルブ32を切り替えて耐圧容器34Aをドレイン35に接続することで、耐圧容器34A内の気相である二酸化炭素がドレイン35を通じて外部へ放出され、耐圧容器34A内の圧力が大気圧に解放される。切替バルブ32及びドレイン35は、対象の試料成分を回収して高圧状態となった耐圧容器34A内の圧力を開放する解圧機構を構成するものである。
上記の動作が制御部28Aによって自動的に行われるように構成されている。検出器22の出力信号に基づいてこの試料回収機構26を制御する制御部28Aは、回収容器選択手段36Aと圧力解放手段38Aを備えている。
回収容器選択手段36Aは、検出器22の出力信号において試料成分のピークが検出されたときに、その試料成分を含む流体が分析流路16から流出するタイミングで切替バルブ30を切り替えて、その流体を回収するための耐圧容器34Aを分析流路16の出口に接続するように構成されている。このとき、切替バルブ32は、流路31Aと33が連通した状態にしておく。それまでは、分析流路16から流出する流体をドレイン17を通じて排出する。さらに、回収容器選択手段36Aは、分析流路16からの対象の試料成分の流出が終了するタイミングで、切替バルブ30を切り替えて分析流路16から流出する流体の耐圧容器34Aへの導入を終了するように構成されている。これにより、耐圧容器34Aへの流体回収動作が終了する。
耐圧容器34A内では、密閉状態の内部空間に分析流路から流出する流体が貯留されることによって高い圧力状態となり、二酸化炭素の大部分は気相として存在する一方で、モディファイアは気化することなく液相として存在する。すなわち、密閉状態の耐圧容器34A内では二酸化炭素とモディファイアとの蒸気圧の違いによって分析流路からの流出流体が気相(二酸化炭素)と液相(メタノールと二酸化炭素)に分離される。試料成分はすべて液相に含まれている。
圧力解放手段38Aは、上記の流体回収動作が終了した後、切替バルブ32を切り替えて流路33と35が連通された状態にするように構成されている。これにより、耐圧容器34がドレイン17に接続され、耐圧容器34A内の圧力が解放される。耐圧容器34A内には、対象試料成分の全量を含んだ液相が残り、これを安全に取り出すことができる。
この実施例では、耐圧容器34A内に回収された液相の取出しを容易に行なうことができるように、耐圧容器34Aの下部(液相収容部)が分離可能となっている。そのような耐圧容器34Aの構造として、図3に示されるものが挙げられる。
図3に示された耐圧容器34Aについて説明すると、この耐圧容器34Aは該容器の上部に位置する保持部54Aと下部に位置して液相を収容する液収容部56Aを備えている。保持部54Aの頭頂部から内部空間62A内に流路33をなす配管が挿入されている。流路33をなす配管と保持部54Aは配管固定部材58により固定されている。配管固定部材58は、例えばフェルルとメイルナットからなるものである。保持部54Aの下端部内周面にネジが設けられている。
液収容部56Aは底のある円筒状の容器である。液収容部56Aは、上端部外周面に保持部54Aのネジと螺合するネジを備えており、保持部54Aと液収容部56Aはそれらのネジの螺合により一体をなしている。保持部54Aと液収容部56Aの互いに対向する部分の間に、円環状の弾性体からなるOリング60Aが挟み込まれている。Oリング60Aは、内部空間62Aの気密性を保持するためのものである。保持部54Aを固定した状態で液収容部56Aのみを回転させることで、液収容部56Aを保持部54Aから取り外すことができる。保持部54A及び液収容部56Aは耐薬品性を有する、例えばステンレス(例えばSUS316)などにより構成されている。
図4に試料回収機構と制御部の第2の実施例を示す。
この実施例の試料回収機構26Bは、図2の実施例と同様に、切替バルブ30によって分析流路16の出口を複数の耐圧容器34Bのうちのいずれか一つ又はドレイン17に選択的に接続するようになっている。各耐圧容器34Bは耐圧容器選択流路31Bによって接続されている。耐圧容器34Bには、耐圧容器選択流路31Bのほかに圧力解放流路42が接続されている。圧力解放流路42は開閉弁40によって開閉される。図2の実施例では、切替バルブ32及びドレイン35が耐圧容器34内の圧力を開放するための解圧機構をなしているが、この実施例では、開閉弁40及び圧力解放流路42が解圧機構をなしている。
制御部28Bは切替バルブ30と開閉弁40の切替えを制御する。制御部28Bの回収容器選択手段36Bは、図2の実施例と同様に、検出器22の出力信号において試料成分のピークが検出されたときに、その試料成分を含む流体が分析流路16から流出するタイミングで切替バルブ30を切り替えて、その流体を回収するための耐圧容器34Bを分析流路16の出口に接続し、耐圧容器34Bへの流体回収動作を行なうように構成されている。この流体回収動作中は開閉弁40が閉じられており、耐圧容器34B内は密閉された空間となっている。
圧力解放手段38Bは、流体回収動作が終了した後、開閉弁40を開いて耐圧容器34B内の圧力を開放するように構成されている。この実施例においても、耐圧容器34Bは液相収容部分が離脱可能になっており、耐圧容器34B内の圧力を開放した後、耐圧容器34B内に残った液相を安全に取り出すことができる。かかる耐圧容器34Bとして、図5に示されるものが挙げられる。
図5に示された耐圧容器34Bは、図3のものと同様に、ネジの螺合によって該耐圧容器34Bの上部に位置する保持部54Bと下部に位置する液収容部56BがOリング60Bを挟んで一体化され、液収容部56Bを回転させることによって保持部54Bから取り外すことができるものである。この例の耐圧容器34Bの保持部54Bの頭頂部から流路31Bをなす配管と圧力解放流路42をなす配管が挿入され、それぞれ配管固定部材59,64によって保持部54Bに固定されている。
次に、試料回収機構と制御部の第3の実施例として液相回収用の容器を耐圧容器とは別に備えたものについて、図6を用いて説明する。
この実施例の試料回収機構26Cは、図2の実施例の耐圧容器34Aに代えて耐圧容器44が設けられている。図2の実施例における耐圧容器34Aは液相収容部分が離脱可能に構成されているが、この実施例の耐圧容器44はそのような機能を備えていない。耐圧容器44は、分析流路16からの流出流体を密閉状態で貯留しうる程度の耐圧性(例えば8MPa程度の耐圧性)を有するものである。
耐圧容器44の底部に流路46を通じて回収容器50が接続されている。流路46は開閉弁48によって開閉されるように構成されている。回収容器50は特に耐圧性を備えている必要はなく、ガラスなどで構成されていてよい。耐圧容器44内の圧力を監視するために、流路33内の圧力を検出する圧力センサ52が設けられている。圧力センサ52の検出信号は制御部28Cに取り込まれるようになっている。
制御部28Cは、図2の実施例と同様に、回収容器選択手段36C及び圧力解放手段38Cを備えており、検出器22(図1を参照。)の検出信号に基づいて、試料成分を含む流体を耐圧容器44内に回収する流体回収動作と、その流体回収動作が終了した後、切替バルブ32を切り替えて耐圧容器44内の圧力を開放する圧力解放動作を実行するように構成されている。流体回収動作及び圧力解放動作の際、開閉弁48は閉じた状態にされる。
この実施例の制御部28Cはさらに液相取出手段39を備えている。液相取出手段39は、圧力センサ52の検出信号を監視し、圧力解放動作が開始された後の耐圧容器44内の圧力が予め設定されたしきい値以下になったときに開閉弁48を開くように構成されている。耐圧容器44内が高圧状態のままで開閉弁48を開くと、回収容器50内に勢いよく液相が噴出し、回収量が低下するからである。耐圧容器44内が十分に解圧された後で開閉弁48を開くことにより、耐圧容器44内の液相を安全に回収容器50へ移送することができる。
なお、圧力センサ52は必ずしも設けられている必要はない。耐圧容器44内の圧力を減圧するのに要する時間は、耐圧容器44内に流体を貯留した時間から容易に推察可能であるため、制御部28Cにおいて減圧に要する時間を計算し、その時間が経過した後で開閉弁48を開くようにしてもよい。
この実施例では、図2の実施例と同様に、切替バルブ32及びドレイン35によって解圧機構をなしているが、図4の実施例と同様に、耐圧容器選択流路31Cを切替バルブを介することなく直接的に耐圧容器44に接続し、耐圧容器選択流路31Cとは別の圧力解放用の流路を耐圧容器44に接続し、その圧力解放用の流路とその流路を開閉する開閉弁によって解圧機構をなしてもよい。
発明者らは、図2の構成を有する装置を用いて分析流路16から流出した流体中からメタノール(モディファイア)を回収し、その回収率を測定する実験を実施した。実験では、容積150mlの耐圧容器を用い、移動相の流量を5〜20ml/min、移動相中におけるメタノールの割合を5〜20%の間で変更して種々の条件で実験を実施したが、いずれの条件においても100%のメタノール回収率が得られた。この実験において、密閉した状態の耐圧容器に1分間流体を貯留し、耐圧容器内の圧力を1.4MPa程度にまで上昇させ、その後、耐圧容器の気相(二酸化炭素)を排出して減圧させ、耐圧容器内の液相の量を測定した結果、100%のメタノール回収率が得られた。また、密閉した状態の耐圧容器に10分間流体を貯留し、耐圧容器内の圧力をCO2が液化して容器内でモディファイアと混合して容器下部に存在する6MPa程度にまで上昇させた場合にも、その後、耐圧容器の上部から気相(二酸化炭素)を排出して減圧させ、耐圧容器内の液相の量を測定した結果、100%のメタノール回収率が得られた。
2 二酸化炭素送液流路
4 メタノール送液流路
6,10 ポンプ
8 二酸化炭素
12 メタノール
14 ミキサ
16 分析流路
17,35,42 ドレイン
18 試料注入部
20 分離カラム
22 検出器
24 圧力制御バルブ
26A,26B,26C 試料回収機構
28A,28B,28C 制御部
30,32 切替バルブ
31A,31B,31C 耐圧容器選択流路
34A,34B,44 耐圧容器
36A,36B,36C 回収容器選択手段
38A,38B,38C 圧力解放手段
39 液相取出手段
40,48 開閉弁
50 回収容器
52 圧力センサ
54A,54B 保持部
56A,56B 液収容部
58,59,64 配管固定部材
60A,50B Oリング
62A,62B 耐圧容器の内部空間

Claims (8)

  1. 圧力制御バルブによって圧力が制御されることにより二酸化炭素とモディファイアの混合流体が超臨界状態で流れる分析流路中に試料を導入し、該分析流路上の前記圧力制御バルブよりも上流側に設けられた分離カラムで試料を成分ごとに分離するステップ、
    前記分析流路から流出した回収対象の試料成分を含む流体のすべてを流路を通じて耐圧容器に導いて貯留するステップ、
    該耐圧容器内において二酸化炭素とモディファイアの蒸気圧の差によって二酸化炭素からなる気相とモディファイアを含む液相との最終的な分離を行なうステップ、
    前記流路を通じて前記耐圧容器内の前記気相のみを前記耐圧容器の外部へ放出することにより前記耐圧容器を大気開放するステップ、及び
    前記耐圧容器内の液相を取り出すステップをこの順に含む試料回収方法であって、
    前記最終的な分離を行なうステップは、前記分析流路の出口に密閉状態の前記耐圧容器を接続した状態で行なう、試料回収方法。
  2. 前記流路は前記耐圧容器の上部に接続されており、
    前記最終的な分離を行なうステップでは、前記気相を前記耐圧容器内の上部に存在させ、前記液相を前記耐圧容器内の下部に存在させ、
    前記耐圧容器を大気開放するステップでは、前記流路を通じて前記耐圧容器の上部から前記気相のみを放出する、請求項1に記載の試料回収方法。
  3. 圧力制御バルブによって圧力が制御されることにより二酸化炭素とモディファイアの混合流体が超臨界状態で流れる分析流路中に試料を導入し、該分析流路上の前記圧力制御バルブよりも上流側に設けられた分離カラムで試料を成分ごとに分離し、分離した成分を検出器で検出する超臨界流体分析装置の前記分析流路の出口側に設けられ、前記分析流路から流出する流体を気相と液相に分離して液相を回収する試料回収機構であって、
    前記分析流路から流出した流体を貯留するための密閉された内部空間を有し、前記内部空間が前記分析流路の出口に流路を介して接続され、前記分析流路から流出し前記流路を通じて前記内部空間に導かれる流体を密閉された状態で貯留しうる耐圧性を有する耐圧容器と、
    前記分析流路の出口に前記耐圧容器を接続するか否かを切り替える切替機構と、
    前記流路を通じて前記耐圧容器大気開放するための解圧機構と、
    前記検出器の検出信号に基づいて前記切替機構及び前記解圧機構を制御する制御部であって、回収対象の試料成分を含む流体の前記分析流路の出口からの流出が開始してから終了するまで前記分析流路の出口に前記耐圧容器を当該耐圧容器を密閉状態にして接続する回収容器選択手段、及び回収対象の試料成分を含む流体のすべてが前記流路を通じて前記耐圧容器に回収された後で前記解圧機構によって前記流路を通じて前記耐圧容器を大気開放する圧力解放手段を備えた制御部と、を備えた試料回収機構。
  4. 前記耐圧容器の上部に前記流路が接続されており
    前記圧力解放手段は、回収対象の試料成分を含む流体のすべてが前記耐圧容器に回収され、前記耐圧容器の前記内部空間上部に二酸化炭素からなる気相が存在し、前記内部空間下部にモディファイアを含む液相が存在する状態となった後で、前記解圧機構によって前記耐圧容器を大気開放して前記耐圧容器の上部から前記気相のみを放出するものである、請求項3に記載の試料回収機構。
  5. 前記耐圧容器は複数個設けられ、前記切替機構は前記分析流路の出口をいずれか一つの前記耐圧容器に選択的に切り替えて接続しうるように構成されている請求項3又は4に記載の試料回収機構。
  6. 前記解圧機構は、前記耐圧容器を前記分析流路の出口に接続した状態と前記耐圧容器を大気へ通じる流路に接続した状態との間で切り替えるように構成された切替バルブを含む、請求項3から5のいずれか一項に記載の試料回収機構。
  7. 前記耐圧容器は液相を収容する部分が該試料回収機構から離脱可能に設けられている請求項3から6のいずれか一項に記載の試料回収機構。
  8. 前記耐圧容器の液相を回収するための回収容器が前記耐圧容器の底部に流路を介して接続され、その流路が開閉弁によって開閉されるように構成されており、
    前記制御部は、回収対象の試料成分を含む流体のすべてを前記耐圧容器に回収し、前記解圧機構によって前記耐圧容器が大気開放された後で前記開閉弁を開放して前記耐圧容器内の液相を前記回収容器に取り出す液相取出手段をさらに備えている請求項3から6のいずれか一項に記載の試料回収機構。
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