JP6486441B2 - 光波長変換部材の製造方法、光波長変換部材、光波長変換部品、及び発光装置 - Google Patents

光波長変換部材の製造方法、光波長変換部材、光波長変換部品、及び発光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6486441B2
JP6486441B2 JP2017198556A JP2017198556A JP6486441B2 JP 6486441 B2 JP6486441 B2 JP 6486441B2 JP 2017198556 A JP2017198556 A JP 2017198556A JP 2017198556 A JP2017198556 A JP 2017198556A JP 6486441 B2 JP6486441 B2 JP 6486441B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wavelength conversion
conversion member
light
light wavelength
sintered body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017198556A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018188612A (ja
Inventor
祐介 勝
祐介 勝
翔平 高久
翔平 高久
経之 伊藤
経之 伊藤
光岡 健
健 光岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Spark Plug Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to US16/343,188 priority Critical patent/US11063186B2/en
Priority to PCT/JP2017/038232 priority patent/WO2018079501A1/ja
Priority to EP17865459.6A priority patent/EP3534191A4/en
Priority to CN201780066927.7A priority patent/CN109891275B/zh
Priority to KR1020197011087A priority patent/KR102318473B1/ko
Priority to TW106137051A priority patent/TWI648242B/zh
Publication of JP2018188612A publication Critical patent/JP2018188612A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6486441B2 publication Critical patent/JP6486441B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Led Device Packages (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)

Description

本発明は、例えばヘッドランプや照明やプロジェクター等の各種光学機器に用いられるような、光の波長の変換が可能な光波長変換部材の製造方法、光波長変換部材、光波長変換部材を備えた光波長変換部品、光波長変換部材又は光波長変換部品を備えた発光装置に関するものである。
ヘッドランプや各種照明機器などでは、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や半導体レーザー(LD:Laser Diode)の青色光を、蛍光体によって波長変換することにより白色を得ている装置が主流となっている。
蛍光体としては、樹脂系やガラス系などが知られているが、近年、光源の高出力化が進められており、蛍光体には、より高い耐久性が求められるようになったことから、セラミックス蛍光体に注目が集まっている(特許文献1〜3参照)。
このセラミックス蛍光体としては、YAl12:Ce(YAG:Ce)に代表されるように、ガーネット構造(A12)の成分にCeが賦活された蛍光体が知られている。
また、例えば下記特許文献1〜3に記載の技術では、Al中にYAG:Ceを複合化させることで、耐熱性や熱伝導性を向上させている。つまり、これらの技術では、Alを含むことにより、YAG:Ce単一組成よりも高い熱伝導性を有するようになり、結果として耐熱性や耐レーザー出力性が向上している。
ここで、特許文献1〜3に記載の技術の特徴について、簡単に説明する。
特許文献1に記載の技術は、一方向凝固法によって、蛍光体である焼結体を作製するものであり、焼結体の組成は、体積比でAl/YAG:Ce=55/45である。なお、焼結体の蛍光強度や色ムラ(色バラツキ)などの蛍光特性は、限定的なものである。
また、特許文献2に記載の技術では、焼結体を製造する際に、焼成中のCe蒸発によるCe濃度ムラに伴う色ムラ防止の為、結晶中にCeAl1118を析出させるものである。なお、CeAl1118自体は、蛍光特性を有していないので、その物質が存在することによって焼結体全体の蛍光特性を損なっている。
さらに、特許文献3に記載の技術は、放電プラズマ焼結法(SPS法)を用いて無機物粉末を溶融し、その後、冷却することにより焼結体を製造する技術である。このSPS法は、蛍光体粉末と無機物粉末との粉体混合物に対して、低電圧でパルス状の大電流を投入し、火花放電現象により瞬時に発生する放電プラズマの高エネルギーにより、無機物粉末を溶融させるものである。
特許第4609319号公報 特許第5740017号公報 特許第5650885号公報
ところで、上述した従来技術では、下記のような問題があり、その改善が求められていた。
具体的には、例えば特許文献2、3等の技術では、焼結体を製造する場合には、真空雰囲気焼成、SPS、熱間等方圧加圧(HIP)が採用されているが、この真空雰囲気焼成、SPS、HIPを実施する場合には、その加熱源、断熱材、焼成容器として、カーボン系の材料(カーボン材)が使用されることが多い。
ところが、このカーボン材は、焼成中に一定濃度で蒸気化して浮遊し、焼結体中に浸炭して、焼結体を黒化させる場合がある。また、蒸気化したカーボンは、焼結体から放出される微量の酸素と反応して一酸化炭素となって、炉内雰囲気を還元性に変え、これが元で焼結体が還元されて酸素欠陥を生じ、これにより焼結体が暗灰色から黒色に変化してしまう場合もある。
このように、いくら焼結体の緻密化が進んだとしても、焼結体自体が黒色に変化した場合には、当然のことながら蛍光特性は著しく低下する。そのため、高出力な半導体レーザー(LD)の青色光を光源として使用する際に支障があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光波長変換部材の黒色化を容易に抑制できる光波長変換部材の製造方法、黒色化が抑制された光波長変換部材、その光波長変換部材を備えた光波長変換部品、光波長変換部材又は光波長変換部品を備えた発光装置を提供することにある。
(1)本発明の第1局面は、Alと、A12:Ceで表される成分(但しA、Bは元素)と、を主成分とする焼結体から構成された光波長変換部材の製造方法に関するものである。
この光波長変換部材の製造方法では、焼結体を焼成して製造する場合に、圧力が10Pa以上で、且つ、酸素濃度が0.8体積%以上25体積%未満以下の焼成雰囲気で焼成する。
本第1局面では、圧力が10Pa以上(例えば10Pa以下)で、且つ、酸素濃度が0.8体積%以上25体積%未満の焼成雰囲気で焼成するので、後述する実験例からも明らかなように、炉内雰囲気による焼結体の黒化が抑制され、高い蛍光特性が得られる。
従って、このような製造方法で製造された光波長変換部材は、高い蛍光強度が得られる。また、色の均質性を高めることも可能である。そのため、高出力なLEDやレーザー光源下において、高い蛍光特性を発揮できる光波長変換部材を作製することができるという顕著な効果を奏する。
尚、焼結体組織内の残存気孔を抑制するために、圧力は10Pa以下の焼成雰囲気が望ましい。また、水素炉を用いて、ウェッターを使用して同程度の焼成雰囲気として焼成を行っても良い。その場合、ウェッターの温度は、0〜40℃の範囲が好適である。
(2)本発明の第2局面では、焼結体全体に占めるA12:Ceの割合が、3〜70体積%であり、A12:Ceは、焼成時にAl中に共晶析出した多結晶粒子から構成されている。
ここで、A12:Ceは、例えば、Aの化合物(A化合物)、Bの化合物(B化合物)、Ceの化合物(Ce化合物)を焼成することによって、Al中(即ちAlの結晶粒子中)に共晶析出した多結晶粒子からなる。
発光部材(詳しくは蛍光部材)である光波長変換部材の発光効率を高めたい場合、部材の肉厚を薄くして励起光や変換された光の透過性を高めたり、A12:Ce量を増加させて、変換する光量を増加させることで調整すればよい。しかし、A12:Ce量が多くなりすぎると、蛍光部材の熱伝導率が低くなったり、機械的強度が低下し易くなるなどの問題が生じる。
一方、A12:Ce量が少なすぎると、十分に発光させることが難しくなる。
従って、A12:Ce量は、焼結体全体の3〜70体積%の範囲であることが好ましい。
また、多結晶粒子のA12:Ceは、A化合物、B化合物、Ce化合物から、焼成によってAl中に共晶析出させる方が好ましい。これは、Al、A12:Ceの各結晶粒子を複合化するだけでは、緻密な蛍光部材を得ることは容易ではないからである。
(3)本発明の第3局面では、焼結体が、下記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されているA12:Ceで表されるガーネット構造を有する。
A:Sc、Y、ランタノイド(Ceは除く)
B:Al、Ga
本第3局面の組成であることにより、効率よく青色光を可視光に変換することができる。
(4)本発明の第4局面では、A12:Ce中のCeの濃度が、元素Aに対して5mol%以下(但し0を含まず)である。
本第4局面の範囲にあることによって、十分な蛍光特性を得られるようになる。つまり、前記Ceの濃度(Ce濃度)が5mol%を上回ると、濃度消光を起こし易くなり、蛍光強度の低下を招く。なお、Ce濃度が0.1mol%未満であると、十分な蛍光強度を得ることが難しくなるので、0.1mol%以上が好ましい。
(5)本発明の第5局面は、Alと、A12:Ceで表される成分(但しA、Bは元素)と、を主成分とする焼結体から構成された光波長変換部材に関するものである。
この光波長変換部材は、焼結体の中央部の破断面におけるC(即ち炭素)の原子数CinとAlの原子数Alinとの比(Cin/Alin)と、焼結体の端部の破断面におけるCの原子数CoutとAlの原子数Aloutと比(Cout/Alout)と、の相対濃度比(Cout/Alout)/(Cin/Alin)が、2以下である。
本第5局面の焼結体である光波長変換部材は、上述した比(相対濃度比)の範囲にあることによって、後述する実験例からも明らかなように、黒化が抑制されているので、高い蛍光特性が得られる。
つまり、前記焼結体は、その製造時において、炉内雰囲気による焼結体の黒化が抑制されるので、高い蛍光特性が得られる。
ここで、「焼結体の端部」とは、焼結体の外周から1mm以内の範囲であり、「焼結体の中央部」とは、「焼結体の端部より内部(例えば破断面における重心)」を示している。
例えば、焼結体の重心から半径1.5mm以内を通る平面を破断面とした場合、その半径1.5mm以内の範囲(例えば重心)を中央部とすることができる。但し、破断面を取る場合には、破断面において、中央部が端部の領域から5mm以上離れているようにする。
なお、焼結体の破断面における組成については、例えば、X線光電分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)、または、ESCA法(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)にて分析できる。
なお、中央部や端部に対して複数回分析を実施して複数の測定値を得た場合(例えば中央部や端部の範囲内において、同じ場所で又は測定位置をずらして分析した場合など)には、それぞれの平均値を採用できる。
なお、このような光波長変換部材は、前記第1〜第4局面のいずれかの製造方法によって製造できる。
(6)本発明の第6局面は、第5局面の光波長変換部材と、その光波長変換部材を支持する金属製の支持部材と、を備えるとともに、支持部材の熱伝導率は光波長変換部材の熱伝導率より高い光波長変換部品である。
光波長変換部材は、LEDやLD等の光源から光を受けて、その光の波長を変換するが、入射した光によって温度が上昇する。ところが、光波長変換部材の温度が上昇すると、温度消光によって、発光強度(即ち蛍光強度)が低下する。
これに対して、本第6局面では、光波長変換部材は、光波長変換部材より熱伝導率の高い金属製の支持部材によって支持されているので、光波長変換部材自身の熱は熱伝導率の高い支持部材に速やかに伝達される。これにより、光波長変換部材の温度が低下するので、温度消光を抑制できる。よって、支持部材を使用しない場合に比べて、蛍光強度の低下を抑制することができる。
なお、光波長変換部材と支持部材との熱伝導率(熱伝導係数)の高低は、全ての温度領域について成立していることが好ましいが、少なくとも光波長変換部品が使用される温度領域で成立していればよい(例えば−20〜300℃)。
(7)本発明の第7局面では、支持部材は枠体であり、この枠体の枠内に光波長変換部材が固定されている。
本第7局面は、好ましい光波長変換部品の構成を例示している。この構成であれば、光波長変換部材の温度が高くなっても、金属製の支持部材を介して、効果的に放熱することが可能である。また、枠体である支持部材によって、光波長変換部材を確実に支持することができる。
(8)本発明の第8局面は、第5局面の光波長変換部材、或いは、第6局面又は第7局面の光波長変換部品を備えた発光装置である。
本第8局面の発光装置(詳しくは光波長変換部材)にて波長が変換された光(即ち蛍光)は、高い蛍光強度を有する。また、高い色均質性を有する。
なお、発光装置の発光素子としては、例えばLEDやLDなどの公知の素子を用いることができる。
<以下に、本発明の各構成について説明する>
・前記「光波長変換部材」は、上述した構成を有するセラミックス焼結体であり、各結晶粒子やその粒界には、不可避不純物が含まれていてもよい。
・前記「主成分」とは、前記光波長変換部材中において、最も多い量(体積)存在することを示している。
・前記「A12:Ce」とは、A12中の元素Aの一部にCeが固溶置換していることを示しており、このような構造を有することにより、同化合物は蛍光特性を示すようになる。
・前記金属としては、金属単体(例えば銅、アルミニウム、ニッケル、鉄)や、各種の合金(例えばCu−W、Cu−Mo、真鍮、アルミニウム合金、ステンレス鋼)が挙げられる。
なお、金属製の支持部材には、上述した光波長変換部材との熱伝導率の高低の関係を損なわない範囲、または、光の吸収による熱交換が放射性に影響しない範囲、或いは、支持部材と光波長変換部材の界面における支持部材の光反射率に影響しない範囲で、金属以外の成分が若干(例えば30体積%以下)含まれていてもよい。
第1実施形態の光波長変換部材を備えた発光装置を厚み方向に破断した断面を示す断面図である。 第1実施形態の光波長変換部材の製造工程を示す説明図である。 第2実施形態の光波長変換部品を備えた発光装置を厚み方向に破断した断面を模式的に示す断面図である。 第2実施形態の光波長変換部品を示す斜視図である。 変形例の光波長変換部品等を厚み方向に破断した断面を示す断面図である。 実施例7の試料No.31の光波長変換部品を示す平面図である。 (a)他の実施形態の光波長変換部品部材を示す平面図、(b)は更に他の実施形態の光波長変換部品を示す斜視図である。
次に、本発明の光波長変換部材の製造方法、光波長変換部材、光波長変換部品、及び発光装置の実施形態について説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.発光装置]
まず、第1実施形態の光波長変換部材を備えた発光装置について説明する。
図1に示すように、本第1実施形態の発光装置1は、例えばアルミナ等の箱状のセラミック製のパッケージ(容器)3と、容器3の内部に配置された例えばLD等の発光素子5と、容器3の開口部7を覆うように配置された板状の光波長変換部材9とを備えている。
この発光装置1では、発光素子5から放射された光は、透光性を有する光波長変換部材9を透過するとともに、その光の一部は光波長変換部材9の内部で波長変換されて発光する。つまり、光波長変換部材9では、発光素子5から放射される光の波長とは異なる波長の蛍光を発する。
例えば、LDから照射される青色光が、光波長変換部材9によって波長変換されることにより、全体として白色光が光波長変換部材9から外部(例えば図1の上方)に照射される。
[1−2.光波長変換部材]
次に、光波長変換部材9について説明する。
本第1実施形態の光波長変換部材9は、Al結晶粒子と、化学式A12:Ceで表される成分の結晶粒子(即ちA12:Ce結晶粒子)と、を主成分とする多結晶体であるセラミックス焼結体から構成されたものである。
なお、化学式A12:CeのA、Bは、化学式A12:Ceで示される物質を構成する各元素(但し異なる元素)を示しており、Oは酸素、Ceはセリウムである。
この光波長変換部材9では、セラミックス焼結体全体におけるA12:Ceの割合が、セラミックス焼結体の3〜70体積%であり、A12:Ceは、焼成時にAl中に共晶析出した多結晶粒子から構成されている。
また、このセラミックス焼結体は、下記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されているA12:Ceで表されるガーネット構造を有している。
A:Sc、Y、ランタノイド(Ceは除く)
B:Al、Ga
さらに、セラミックス焼結体は、A12:Ce中のCeの濃度が、元素Aに対して5mol%以下(但し0を含まず)である。
しかも、セラミックス焼結体の中央部の破断面におけるC(炭素)の原子数CinとAl(アルミニウム)の原子数Alinとの比(中比:Cin/Alin)と、焼結体の端部の破断面におけるCの原子数CoutとAlの原子数Aloutと比(外比:Cout/Alout)と、の比(Cout/Alout)/(Cin/Alin)が、2以下である。
[1−3.光波長変換部材の製造方法]
ここでは、光波長変換部材9を製造する際の概略の手順について、簡単に説明する。
図2に示すように、まず、前記第1実施形態の構成を満たすように、セラミックス焼結体である光波長変換部材9の粉末材料の秤量等を行った(即ち調製した)。
次に、調製した粉末材料に、有機溶剤と分散剤とを加え、ボールミルにて粉砕混合を行った。
次に、粉砕混合によって得られた粉末に、樹脂を混合しスラリーを作製した。
次に、スラリーを用いて、ドクターブレード法によりシート成形体を作製した。
次に、シート成形体を、脱脂した。
次に、脱脂したシート成形体に対して、圧力が10Pa以上で、且つ、酸素濃度が0.8体積%以上25体積%未満の焼成雰囲気で、所定時間焼成し、セラミックス焼結体を得た。
[1−4.効果]
次に、本第1実施形態の効果を説明する。
(1)本第1実施形態では、焼結体である光波長変換部材9を焼成によって製造する場合に、圧力が10Pa以上で、且つ、酸素濃度が0.8体積%以上25体積%未満以下の焼成雰囲気で焼成するので、炉内雰囲気による焼結体の黒化が抑制され、高い蛍光特性が得られる。
従って、このような製造方法で製造された光波長変換部材9は、高い蛍光強度が得られる。また、色の均質性を高めることも可能である。そのため、高出力なLEDやレーザー光源下において、高い蛍光特性を発揮できる光波長変換部材9を作製することができるという顕著な効果を奏する。
(2)本第1実施形態では、焼結体全体に占めるA12:Ceの割合が、焼結体全体の3〜70体積%であり、A12:Ceは、焼成時にAl中に共晶析出した多結晶粒子から構成されている。
光波長変換部材9の発光効率を高めたい場合、部材の肉厚を薄くして励起光や変換された光の透過性を高めたり、A12:Ce量を増加させて、変換する光量を増加させることで調整すればよい。しかし、A12:Ce量が多くなりすぎると、光波長変換部材9の熱伝導率が低くなったり、機械的強度が低下し易くなるなどの問題が生じる。一方、A12:Ce量が少なすぎると、十分に発光させることが難しくなる。従って、A12:Ce量は、3〜70体積%の範囲であることが好ましい。
(3)本第1実施形態では、焼結体が、下記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されているA12:Ceで表されるガーネット構造を有している。
A:Sc、Y、ランタノイド(Ceは除く)
B:Al、Ga
この組成により、効率よく青色光を可視光に変換することができる。
(4)本第1実施形態では、焼結体において、A12:Ce中のCeの濃度が、元素Aに対して5mol%以下(但し0を含まず)である。
焼結体がこの組成の範囲にあることによって、十分な蛍光特性を得られるようになる。つまり、Ce濃度が5mol%を上回ると、濃度消光を起こし易くなり、蛍光強度の低下を招くので、この範囲が好適である。
(5)本第1実施形態では、光波長変換部材9は、焼結体の中央部の破断面におけるC(炭素)の原子数CinとAlの原子数Alinとの中比(Cin/Alin)と、焼結体の端部の破断面におけるCの原子数CoutとAlの原子数Aloutと外比(Cout/Alout)と、の相対濃度比(Cout/Alout)/(Cin/Alin)/が、2以下である。
このような相対濃度比の場合、黒化が抑制されているので、高い蛍光特性が得られる。
(6)本第1実施形態の発光装置1(詳しくは光波長変換部材9)にて波長が変換された光(即ち蛍光)は、高い蛍光強度を有する。また、高い色均質性を有する。
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。
[2−1.構成]
図3に模式的に示すように、本第2実施形態の発光装置11は、第1実施形態と同様な構成の光波長変換部材13が支持された光波長変換部品15と、例えばLD等の発光素子17と、基板(即ち配線基板)19、21などを備えている。
詳しくは、第1基板19上に第2基板21が配置され、第2基板21上に光波長変換部品15が配置されている。
この光波長変換部品15は、光波長変換部材13と、光波長変換部材13を支持する支持部材23とから構成されている。
光波長変換部材13は、第1実施形態と同様に、平面視(図3の上方から見た場合)が例えば四角形(ここでは長方形)の板材である。なお、光波長変換部材13の寸法は、例えば、縦1.5mm×横6.0mm×厚み0.2mmである。
支持部材23は、平面視が例えば四角形(ここでは長方形)の金属製の枠体であり、枠体の内部(枠内)には、支持部材23と同軸に、光波長変換部材13が嵌め込まれる平面視が例えば四角形(ここでは長方形)の貫通孔25を有している(図4参照)。
この支持部材23を構成する金属としては、光波長変換部材13よりも熱伝導率の高い材料(例えば金属単体や合金)が用いられる。例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄や、その合金(例えばステンレス)などが用いられる。
なお、支持部材23の寸法(外径)は、例えば、縦2.7mm×横7.2mm×厚み0.6mmであり、貫通孔25の寸法(内径)は、例えば、縦1.49mm×横5.99mm×厚み0.6mmである。
この貫通孔25の平面視での形状や大きさは、光波長変換部材13の平面視での形状や大きさと、実質的に一致するように構成されている。よって、例えば、支持部材23の貫通孔25に光波長変換部材13を熱圧入することにより、光波長変換部材13を支持部材23に固定することができる。
また、支持部材23の枠内(即ち貫通孔25内)には、光波長変換部材13より内側(図3では下方)に、発光素子17が配置されている。この発光素子17は、例えば半田パンブ等の接続部27により、第2基板21の配線(図示せず)と接続されている。
なお、支持部材23は、その外周側に配置された樹脂29により、両基板19、21と接合されて一体化している。
この発光装置1では、第1実施形態と同様に、発光素子17から放射された光は、透光性を有する光波長変換部材13を透過するとともに、その光の一部は光波長変換部材13の内部で波長変換されて発光する。
また、発光素子17の側方から放射された光も、支持部材23の内周面23aにて反射され、最終的には光波長変換部材13に導入されて、前記と同様に波長変換される。なお、支持部材23の内周面23aには、光の反射率を高めるために、例えば銀メッキによって、反射膜(図示せず)を形成してもよい。
そして、発光素子17から照射される例えば青色光が、光波長変換部材13によって波長変換されることにより、全体として白色光が光波長変換部材13から外部(例えば図3の上方)に照射される。
[2−2.製造方法]
ここでは、本第2実施形態の要部である光波長変換部品15を製造する方法について説明する。
光波長変換部材13は、第1実施形態と同様にして、上述した寸法となるように製造する。
支持部材23を製造する場合には、例えばステンレス製の板材を切削して、上述した寸法の枠体とする。
その後、支持部材23と光波長変換部材13とを例えば300℃以上に加熱することで、支持部材23の貫通孔25を光波長変換部材13が挿入可能な寸法とし、支持部材23の貫通孔25に、光波長変換部材13を熱圧入する。このようにして、光波長変換部品15を製造することができる。
ここで、光波長変換部材13を支持部材23に固定する方法としては、上述した熱圧入以外に、各種の方法が挙げられる。
例えば、圧入、加締め(例えば熱加締め)、金属(例えばAg)ペーストによる接合、合金化して接合する方法等が挙げられる。なお、無機接着剤は、支持部材23と光波長変換部材13との界面で、熱伝導低下、光反射率低下を招くことから好ましくない。
つまり、焼結体の光波長変換部材13を金属製の支持部材23に固定できる各種の方法を採用できる。
[2−3.効果]
本第2実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。
また、本第2実施形態では、光波長変換部材13は、光波長変換部材13より熱伝導率の高い金属製の支持部材23によって支持されているので、光波長変換部材13の温度が上昇した場合でも、光波長変換部材13の内部の熱は熱伝導率の高い支持部材23に速やかに伝達される。これにより、光波長変換部材13の温度が低下するので、光波長変換部材13の温度消光を抑制できる。よって、支持部材23を使用しない場合に比べて、蛍光強度の低下を抑制することができる。
さらに、本第2実施形態では、光波長変換部品15は、四角枠状の支持部材23の貫通孔25に光波長変換部材13が熱圧入されて固定されているので、光波長変換部材13を確実に支持でき、耐久性も高いという利点がある。
[2−4.変形例]
・本第2実施形態の変形例として、例えば、図5(a)に示すように、支持部材31を、四角形の枠体33と、その枠体33で囲まれた空間(貫通孔)の上部(図5(a)の上方)の一部を覆う表面板35とから構成してもよい。この表面板35の中央には開口部37が設けられている。また、光波長変換部材39は、表面板35より内側(図5(a)の下方)に配置されている。
よって、光波長変換部材39にて波長変換された光は、この開口部37から外部(図5(a)の上方)に照射される。なお、この枠体33の内径より径の小さな開口部37により、出射光の光量を低減する絞り効果が得られる。
・また、図5(b)に示すように、前記図5(a)と同様な縦断面がL字状の支持部材41の開口部43内に、光波長変換部材45を配置し、その下方に発光素子47を配置してもよい。
・さらに、図5(c)に示すように、板状等の支持部材51の開口部53内に、光波長変換部材55と発光素子57とを積層するように配置してもよい。
・また、図5(d)に示すように、支持部材61の貫通孔63の開口端63a側(光が出力される側)を、光波長変換部材65の圧入方向(図5(d)の下方)に向かって、内径が小さくなるようにしてもよい。これにより、光波長変換部材65の圧入が容易になり、また、光波長変換部材65が確実に固定されるので、耐久性が向上するという利点がある。
[3.実施例]
次に、具体的な各実施例について説明する。
なお、下記の実施例のうち、実施例1〜6が第1実施形態に関連するものであり、実施例7が第2実施形態に関連するものである。
<実施例1>
下記表1に示す条件により、No.1〜4、29のセラミックス焼結体(即ち光波長変換部材)の試料を作製した。なお、各試料のうち、No.1〜3が本発明の範囲内の試料であり、No.4、29が本発明の範囲外(比較例)の試料である。
具体的には、各試料に対して、下記表1に示すように、セラミックス焼結体(即ち光波長変換部材を構成するセラミックス焼結体)中のYAG(YAl12)の割合が30体積%になるように、また、Ce濃度がYAG中のYに対して1mol%になるように、Al(平均粒径0.3μm)とY(平均粒径1.2μm)とCeO(平均粒径1.5μm)を秤量した。
これを、有機溶剤と所定量の分散剤(原料粉末に対し固形物換算で2wt%)と共にボールミル中に投入し、12hr粉砕混合を行った。
そして、粉砕混合によって得られた粉末に、ポリビニルブチラール樹脂を混合し、得られた各スラリーを用いて、ドクターブレード法により各シート成形体を作製した。
次に、各シート成形体を脱脂後、下記表1に示すような各焼成雰囲気下で、焼成温度1450℃〜1750℃、保持時間3〜20時間で焼成を行った。なお、この焼成方法は、いわゆる雰囲気制御焼成である。
これによって、No.1〜4、29のセラミックス焼結体の試料を得た。なお、セラミックス焼結体の寸法は、20mm角×厚み0.8mmの板状(直方体形状)である。
なお、分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸系分散剤のサンノプコ社製SNディスパーサント5468や、日本油脂株式会社製マリアリムAKM−0531を用いることができる。
次に、得られたセラミックス焼結体について、後述する他の実施例と同様に、下記の特性(a)〜(d)を調査した。その結果を下記表1に記す。
なお、表1中の、「O%:23」、「O%:16」、「O%:0.8」、「O%:0」、「O%:20」、「O%:5」、「O%:10」、「O%:25」は、それぞれ、キャリアガスがArで、酸素濃度が23%、16%、0.8%、0%、20%、5%、10%、25%の雰囲気を示している。なお、各%は体積%である。
(a)相対密度
セラミックス焼結体の相対密度は、アルキメデス法で密度を測定し、測定した密度を相対密度に換算する方法で算出した。
(b)蛍光強度
前記セラミックス焼結体の主面を研磨加工して厚みを薄くし、20mm角×厚み0.5mmのサンプルを作製した。つまり、板状の焼結体の主面を削って破断面を露出させてサンプル面を形成した。
そして、サンプル面に、465nmの波長を有する青色LD光をレンズで0.3mm幅まで集光させて照射し、透過した光をレンズによって集光させ、パワーセンサーによりその発光強度(即ち蛍光強度)を測定した。
照射位置は、サンプル面の中央部(即ち平面視での重心)と角部(外端よりXY座標で1mm以内)とした。なお、中央部とは平面視で重心の位置(正方形や長方形の場合は中線や対角線の交点)であり、角部とは直交する外周の辺において平面視で外周より1mm以内の幅の範囲内である。
この時、照射される出力密度は40W/mmとなるようにした。なお、その強度は、YAG:Ce単結晶体の強度を100としたときの相対値で評価した。
(c)色ムラ(色バラツキ)
色ムラは、色彩照度計による色度バラツキ測定によって評価した。
具体的には、前記20mm角×厚み0.5mmに加工したサンプルに対し、462nmの波長を有する青色LD光をレンズで集光させて0.4mm幅とし、これをサンプル面に照射して、反対面から透過してくる光について色彩照度計によって色度を測定した。
照射は、サンプルの照射面(サンプル面)の中央おいて、18mm角の領域を設定し、その領域内において3mm間隔で行い、その色度(X方向)のバラツキ(即ち色ムラ:ΔX)を評価した。ここで、色ムラ(ΔX)とは、色度(X方向)の偏差の最大値である。
なお、色度とは、国際照明委員会(CIE)が1931年に策定した国際表示法で、CIE-XYZ表色系で示される色度である。つまり、表色上の3原色を数値化し、xy座標空間で色を表したxy色度図(いわゆるCIE色度図)で示される色度である。
そして、上述のようにして各試料毎に得られた結果のうち、蛍光強度、色ムラに関しては、下記のような評価基準により評価できる。なお、他の実施例も同様に評価できる。
つまり、蛍光強度については、中央部、角部とも110よりも大きいものが好ましいと考えられる。色ムラについては、ΔX<0.025が好ましいと考えられる。
(d)C/Al相対濃度比
X線光電分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)で分析して、C/Al相対濃度比(原子数の割合:atm%)を求めた。
具体的には、前記20mm角×厚み0.5mmに加工したサンプルに対し、そのサンプル面(主面)である破断面において、平面視で、中央部(重心)と角部(外端よりXY座標で1mm内側)との位置において分析を行った。
そして、各試料の中央部におけるCの原子数CinとAlの原子数Alinとの比(中比:Cin/Alin)と、角部(即ち端部)におけるCの原子数CoutとAlの原子数Aloutと比(外比:Cout/Alout)とを求め、更に、中比と外比とから、外比/中比である相対濃度比(Cout/Alout)/(Cin/Alin)を求めた。
なお、測定条件は、X線ビーム径100μmφ、信号の取り込み角45°、パスエネルギー140.0eVである。
また、相対濃度比の評価基準は、相対濃度比(Cout/Alout)/(Cin/Alin)<2とし、この範囲であれば好ましいと考えられる。
以下では、本実施例1について、前記評価基準に基づいた評価などについて説明する。
実施例1のいずれの試料においても、相対密度は99%以上で十分に緻密化されていた。
また、下記表1に示すように、酸素濃度0.8体積%以上25体積%未満の焼成雰囲気で焼成した試料No.1〜3は、蛍光強度、色ムラのいずれも良好な結果となった。
一方、酸素濃度を低くした焼成雰囲気で焼成した試料No.4は、蛍光強度が低く、試料中央と角部の蛍光強度の差がNo.1〜3より大きかった。また、色ムラが大きかった。
また、酸素濃度を高くした焼成雰囲気で焼成したNo.29は、蛍光強度が低くかった。
さらに、相対濃度比(以下表1等では相対C/Alと記す)が2以下のNo.1〜3は、蛍光強度が高く、色ムラが小さかった。
一方、相対C/Alが2を上回るNo.4は、蛍光強度が低く、色ムラが大きかった。
<実施例2>
実施例1と同様な製造方法で、下記表1に示すように、セラミックス焼結体の試料(No.5〜8の試料)を作製して、同様に評価を行った。なお、各試料のうち、No.5、6が本発明の範囲内の試料であり、No.7、8が本発明の範囲外(比較例)の試料である。
ここでは、セラミックス焼結体のA12(YAG)中のYに対するCe濃度が0.3mol%となるように原料配合比を変化させた。
また、焼成は、キャリアガスがArで、酸素濃度が20体積%の雰囲気ガスで置換後、所定の炉内雰囲気で実施した。
その結果、いずれの試料においても、相対密度は99%以上で十分に緻密化されていた。
また、圧力10Pa以上の焼成雰囲気で焼成したNo.5、6は、蛍光強度、色ムラのいずれも良好な結果となった。
一方、圧力10Pa未満の焼成雰囲気で焼成したNo.7は、試料の中央部が黒色化し、蛍光強度が低かった。詳しくは、蛍光強度が低かった。また、No.8は、焼失による重量減が著しく、測定不能であった。
<実施例3>
実施例1と同様な製造方法で、下記表1に示すように、セラミックス焼結体の試料(No.9〜13の試料)を作製して、同様に評価を行った。
ただし、セラミックス焼結体中のA12:Ce量(YAG:Ce量)が2〜79体積%となるように原料配合比を変化させた。
また、焼成は、キャリアガスがArで、酸素濃度が5体積%の雰囲気ガスで置換後、所定の炉内雰囲気で実施した。
その結果、いずれの試料においても、相対密度は99%以上で十分に緻密化されていた。
その結果、YAG:Ce量が所定の範囲(即ち3〜70体積%)にあるNo.10〜12は、蛍光強度、色ムラのいずれも良好な結果となった。
一方、YAG:Ce量が少ないNo.9は、蛍光強度が低かった。
また、YAG:Ce量が多いNo.13は、試料の中央部の蛍光強度は高かったが、角部の蛍光強度が小さかった。また、色ムラが大きかった。
<実施例4>
実施例1と同様な製造方法で、下記表1に示すように、セラミックス焼結体の試料(No.14〜20の試料)を作製して、同様に評価を行った。
ただし、調合時にY粉末だけでなく、Lu(平均粒径1.3μm)またはYb(平均粒径1.5μm)、Gd(平均粒径1.5μm)、Tb(平均粒径1.6μm)、Ga(平均粒径1.3μm)の各粉末を一つ以上用い、所定のA12:Ceを合成できるように、配合比を変化させた。
また、焼成は、キャリアガスがArで、酸素濃度が10体積%の雰囲気ガスで置換後、所定の炉内雰囲気で実施した。
その結果、いずれの試料においても、相対密度は99%以上で十分に緻密化されていた。
また、全ての試料において、蛍光強度、色ムラのいずれもが良好な結果となった。
<実施例5>
実施例1と同様な製造方法で、下記表1に示すように、セラミックス焼結体の試料(No.21〜26の試料)を作製して、同様に評価を行った。なお、各試料のうち、No.22〜26が本発明の範囲内の試料であり、No.21が本発明の範囲外(比較例)の試料である。
ただし、焼結体のA12(YAG)中のYに対するCe濃度が0〜10mol%となるように原料配合比を変化させた。
また、焼成は、大気雰囲気で実施した。
その結果、いずれの試料においても、相対密度は99%以上で十分に緻密化されていた。
また、Ce濃度が所定の範囲(0mol%を上回り5mol%以下)にあるNo.22〜25は、蛍光強度、色ムラのいずれも良好な結果となった。
一方、Ceを含まないNo.21は、蛍光強度、色ムラ共に測定することができなかった。
また、Ce濃度が高いNo.26は、色ムラは基準内であったが、蛍光強度が低くなった。
<実施例6>
実施例1と同様な製造方法で、下記表1に示すように、セラミックス焼結体の試料(No.27、28の試料)を作製して、同様に評価を行った。
ただし、No.28は、A12(YAG)中のYに対するCe濃度が0.3mol%の粒子をAl(平均粒径0.3μm)と混合して作製した。焼成は、H:N=45:55(体積比)の混合ガス雰囲気で実施した。また、雰囲気ガスの加湿にはウェッターを用い、水温25℃にて行った。
その結果、No.27は、相対密度は99%以上で十分に緻密化されていたが、No.28は、相対密度94%程度であった。
また、No.27は、蛍光強度、色ムラのいずれも良好な結果となった。No.28は、色ムラは基準内であったが、蛍光強度が低くなった。
Figure 0006486441
なお、周知のように、表1の圧力の「αE±β」(但し、α、βは数字)は、「α×10±β」を意味している。例えば、「1.0E+05」は、「1.0×10」を意味している。
<実施例7>
実施例5と同様な方法で作成した焼結体を、10mm角×厚み0.2mmに加工して第1光波長変換部材(即ちNo.30の試料)とした。
同様にして、前記焼結体を、1.5mm角×厚み0.2mmに加工して第2光波長変換部材とした。
この第2光波長変換部材を、外径が20mm角×厚み0.2mmのアルミニウム製の支持部材である金属枠の貫通孔(即ち開口部)に圧入し、No.31の試料(即ち光波長変換部品)とした(図6参照)。なお、開口部の形状及び寸法は、第2光波長変換部材の形状及び寸法と同じである。
そして、No.30及びNo.31の各試料の各光波長変換部材に対して、前記実施例1〜6の蛍光強度の測定方法とほぼ同様にして、レーザー光を照射し、温度消光の状態を調べた。
詳しくは、各試料の各光波長変換部材の表面に、465nmの波長を有する青色LD光をレンズで0.3mm幅まで集光させて照射し、透過した光をレンズによって集光させ、パワーセンサーによりその蛍光強度を測定した。
特に、本実施例7では、光波長変換部材の温度上昇に伴う消光(即ち温度消光)が発生するまで、所定の出力密度でレーザー光を照射した。具体的には、レーザー光を照射する際の出力密度を、40W/mmより、段階的に例えば1W/mmずつ徐々に上昇させて、各出力密度における温度消光の状態を調べた。なお、出力密度は、60W/mmを上限とした。
その結果、No.30の試料では、レーザー光の出力密度が47W/mmで、光波長変換部材の温度上昇に伴う消光が発生した。
一方、金属枠で支持されたNo.31の試料では、レーザー光の出力密度が60W/mmでも、光波長変換部材の温度上昇に伴う消光が発生しなかった。
[4.他の実施形態]
本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば、本発明は、焼成方法としては、本発明の条件を満たす範囲で、即ち、圧力10Pa以上で、且つ、酸素濃度が0.8〜25体積%未満の焼成雰囲気で焼成する各種の焼成方法を採用できる。
(2)前記光波長変換部材や発光装置の用途としては、蛍光体、光波長変換機器、ヘッドランプ、照明、プロジェクター等の光学機器など、各種の用途が挙げられる。
(3)光波長変換部材を支持する光波長変換部品の構成としては、第2実施形態の構成に限らず、各種の構成が挙げられる。
例えば、図7(a)に示すように、一対の金属製の支持部材71の間に光波長変換部材73を挟むようにして支持してもよい。また、図7(b)に示すように、柱状の金属製の支持部材81の側面に溝83を設け、この溝83に光波長変換部材85を嵌め込んで支持するようにしてもよい。
(4)なお、上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記各実施形態の構成
の少なくとも一部を、他の実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
1…発光装置
5、17、47、57…発光素子
9、13、39、45、55、65、73、85…光波長変換部材
15…光波長変換部品
23、31、41、51、61、71、81…支持部材

Claims (8)

  1. AlとA12:Ceで表される成分(但しA、Bは元素)とを主成分とする焼結体から構成された光波長変換部材の製造方法であって、
    前記焼結体を焼成して製造する場合に、圧力が10Pa以上で、且つ、酸素濃度が0.8体積%以上25体積%未満の焼成雰囲気で焼成することを特徴とする光波長変換部材の製造方法。
  2. 前記焼結体全体に占める前記A12:Ceの割合が、3〜70体積%であり、
    前記A12:Ceは、前記焼成時に前記Al中に共晶析出した多結晶粒子から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光波長変換部材の製造方法。
  3. 前記焼結体が、下記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されている前記A12:Ceで表されるガーネット構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光波長変換部材の製造方法。
    A:Sc、Y、ランタノイド(Ceは除く)
    B:Al、Ga
  4. 前記A12:Ce中のCeの濃度が、前記元素Aに対して5mol%以下(但し0を含まず)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光波長変換
    部材の製造方法。
  5. AlとA12:Ceで表される成分(但しA、Bは元素)とを主成分とする焼結体から構成された光波長変換部材であって、
    前記焼結体の中央部の破断面におけるCの原子数CinとAlの原子数Alinとの比(Cin/Alin)と、前記焼結体の端部の破断面におけるCの原子数CoutとAlの原子数Aloutと比(Cout/Alout)と、の相対濃度比(Cout/Alout)/(Cin/Alin)が、2以下であることを特徴とする光波長変換部材。
  6. 前記請求項5に記載の光波長変換部材と、該光波長変換部材を支持する金属製の支持部材と、を備えるとともに、前記支持部材の熱伝導率は前記光波長変換部材の熱伝導率より高いことを特徴とする光波長変換部品。
  7. 前記支持部材は枠体であり、該枠体の枠内に前記光波長変換部材を固定したことを特徴とする請求項6に記載の光波長変換部品。
  8. 前記請求項5に記載の光波長変換部材、或いは、前記請求項6又は7に記載の光波長変換部品を備えたことを特徴とする発光装置。
JP2017198556A 2016-10-28 2017-10-12 光波長変換部材の製造方法、光波長変換部材、光波長変換部品、及び発光装置 Active JP6486441B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US16/343,188 US11063186B2 (en) 2016-10-28 2017-10-24 Method for producing light wavelength conversion member, light wavelength conversion member, light wavelength conversion component and light emitting device
PCT/JP2017/038232 WO2018079501A1 (ja) 2016-10-28 2017-10-24 光波長変換部材の製造方法、光波長変換部材、光波長変換部品、及び発光装置
EP17865459.6A EP3534191A4 (en) 2016-10-28 2017-10-24 PROCESS FOR PRODUCING A LIGHT WAVELENGTH CONVERSION ELEMENT, LIGHT WAVELENGTH CONVERSION ELEMENT, LIGHT WAVELENGTH CONVERSION COMPONENT AND ELECTROLUMINESCENT DEVICE
CN201780066927.7A CN109891275B (zh) 2016-10-28 2017-10-24 光波长转换构件的制造方法、光波长转换构件、光波长转换部件及发光装置
KR1020197011087A KR102318473B1 (ko) 2016-10-28 2017-10-24 광 파장 변환 부재의 제조 방법, 광 파장 변환 부재, 광 파장 변환 부품, 및 발광 장치
TW106137051A TWI648242B (zh) 2016-10-28 2017-10-27 Manufacturing method of optical wavelength conversion member, optical wavelength conversion member, optical wavelength conversion component, and light-emitting device

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017015653 2017-01-31
JP2017015653 2017-01-31
JP2017100204 2017-05-19
JP2017100204 2017-05-19

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018188612A JP2018188612A (ja) 2018-11-29
JP6486441B2 true JP6486441B2 (ja) 2019-03-20

Family

ID=64479603

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017198556A Active JP6486441B2 (ja) 2016-10-28 2017-10-12 光波長変換部材の製造方法、光波長変換部材、光波長変換部品、及び発光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6486441B2 (ja)

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005095514A (ja) * 2003-09-26 2005-04-14 Hitachi Medical Corp 放射線検出器及びそれを用いたx線ct装置
WO2006001316A1 (ja) * 2004-06-24 2006-01-05 Ube Industries, Ltd. 白色発光ダイオード装置
WO2009154193A1 (ja) * 2008-06-16 2009-12-23 株式会社ニコン セラミックス組成物、蛍光体セラミックス及びその製造方法、並びに発光素子
US8940187B2 (en) * 2010-03-31 2015-01-27 Ube Industries, Ltd Ceramic composite for light conversion, process for production thereof, and light-emitting devices provided with same
JP5088977B2 (ja) * 2010-08-18 2012-12-05 コバレントマテリアル株式会社 セラミックス複合体
JP6393187B2 (ja) * 2011-08-16 2018-09-19 日東電工株式会社 蛍光体組成物およびその製造方法
DE102013100832A1 (de) * 2013-01-28 2014-07-31 Schott Ag Stark streuender keramischer Konverter sowie ein Verfahren zu dessen Herstellung
JP6430123B2 (ja) * 2014-02-06 2018-11-28 スタンレー電気株式会社 波長変換体及びそれを用いた発光装置
JP6233978B2 (ja) * 2014-03-03 2017-11-22 クアーズテック株式会社 波長変換焼成体
JP6834491B2 (ja) * 2015-01-21 2021-02-24 三菱ケミカル株式会社 焼結蛍光体、発光装置、照明装置、車両前照灯、及び焼結蛍光体の製造方法
KR20180123059A (ko) * 2016-03-29 2018-11-14 미쯔비시 케미컬 주식회사 형광체, 발광 장치, 조명 장치 및 화상 표시 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018188612A (ja) 2018-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5088977B2 (ja) セラミックス複合体
JP7120745B2 (ja) 光波長変換装置及び光複合装置
JP2011021062A (ja) 蛍光体、発光モジュール及び車両用灯具
JP6845372B2 (ja) 光波長変換装置
JP2012079989A (ja) 光源装置および照明装置
WO2018079421A1 (ja) 光波長変換部材及び発光装置
WO2018079501A1 (ja) 光波長変換部材の製造方法、光波長変換部材、光波長変換部品、及び発光装置
KR102318473B1 (ko) 광 파장 변환 부재의 제조 방법, 광 파장 변환 부재, 광 파장 변환 부품, 및 발광 장치
JP6486441B2 (ja) 光波長変換部材の製造方法、光波長変換部材、光波長変換部品、及び発光装置
TWI681147B (zh) 光波長轉換構件及發光裝置
JP2019159175A (ja) 光波長変換部材及び光波長変換装置
JP6499237B2 (ja) 光波長変換部材及び発光装置
JP6741885B2 (ja) 光波長変換部材及び発光装置
JP7244297B2 (ja) 光波長変換部品
JP6725774B2 (ja) 光波長変換部材及び発光装置
JP2018026550A (ja) 発光装置、照明装置、画像表示装置及び車両表示灯
US20230213171A1 (en) Fluorescent plate, wavelength conversion member, and light source device
JP2018070431A (ja) 光波長変換部材及び発光装置
CN114556599A (zh) 波长转换部件、发光元件和发光装置

Legal Events

Date Code Title Description
A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180928

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20181029

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6486441

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250