JP2005095514A - 放射線検出器及びそれを用いたx線ct装置 - Google Patents

放射線検出器及びそれを用いたx線ct装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
X線に対する発光出力が高く、残光が極めて少ない蛍光体を提供する。この蛍光体を用いて、光出力、低残光の放射線検出器及び高解像度、高品質の断層像が得られるX線CT装置を提供する。
【解決手段】
シンチレータとシンチレータの発光を検出するための光検出器とを備えた放射線検出器において、シンチレータとして、発光中心イオンがCeで、Gd、Al、Ga、Oを主要元素としたガーネット構造を有する酸化物蛍光体であって、該酸化物蛍光体1モル%に対して長周期型周期律表のIVa族、Va族及びVIa族のうちの、少なくとも一種の元素を0.0001モル%以上、1.0モル%以下含有せしめたものを用いる。この酸化物蛍光体は、発光スペクトルのメインピークが535nm近傍に存在し、かつ発光出力がCdWO4の1.8倍以上で、励起光を絶ってから300ms後における残光の減衰率が2.5×10-5以下となり、発光出力が高く、残光の少ない放射線検出器が得られる。
【選択図】
なし

Description

本発明は、X線、γ線などを検出する放射線検出器、特にX線CT装置やポジトロンカメラなどの放射線検出器及びそれを用いたX線CT装置に関する。
近年、X線CTなどに用いる放射線検出器として、放射線から光への変換効率の高い希土類蛍光体が開発され、このような蛍光体とフォトダイオードを組み合わせた放射線検出器が実用化されている。希土類蛍光体は、希土類酸化物或いは希土類酸硫化物を母材として発光成分である付活剤を添加したものであり、例えば特許文献1や特許文献2には、プラセオジウムを付活剤とした希土類酸硫化物が提案されている。また希土類酸化物蛍光体としては、本出願人において、酸化ガドリニウム、酸化アルミニウム、酸化ガリウムを母材とした、立方晶のガーネット構造を有する酸化物蛍光体が開発され、提案されている(特許文献3、特許文献4)。
特開2002-275495号公報 特開2001-89762号公報 特開2001-4753号公報 特開2002-189080号公報
一方、X線CT装置においては、マルチスライス化や高速スキャン化が急速に進み、X線検出器を構成するシンチレータに対しても、これら技術進展に対応した高性能化が求められている。マルチスライス化によりシンチレータに対する実効的なX線照射面積が減少するためシンチレータの高出力化が重要であり、また高速スキャン化に対しては高出力化、並びに低残光化が求められている。シンチレータの出力が低く、残光が大きい場合には、放射線検出器の濃度分解能や空間分解能の低下、アーチファクトなどの問題が発生し、画質が低下してしまう。このようにマルチスライスや高速化に対応した次世代検出器には高発光出力化、低残光化が求められるが、従来のシンチレータ材料では、発光特性が十分ではなく、画質劣化という問題点があった。
本発明の目的は、X線に対する発光出力が高く、残光が極めて少ない酸化物蛍光体を提供することにある。また、このX線検出器をX線CT装置に適用することによって、高解像度、高品質の断層像を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは発光中心イオンがCeで、Gd、Al、Ga、Oを主要元素としたガーネット構造を有する酸化物蛍光体について、Ceの価数に注目するとともに発光に寄与しない4価イオンの抑制について研究を進めた結果、長周期型周期律表のIVa族、Va族、及びVIa族のうちの少なくとも一種の元素を、酸化物蛍光体に対し特定量含有せしめることにより、Ceの3価イオンの割合を高めうること、それにより発光効率が高く、残光が少ない蛍光体が得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の放射線検出器は、セラミックスシンチレータと、このシンチレータの発光を検知するための光検出器とを備え、セラミックスシンチレータとして、発光中心イオンがCeで、Gd、Al、Ga、Oを主要元素としたガーネット構造を有する酸化物蛍光体であって、当該酸化物蛍光体1モルに対して長周期型周期律表のIVa族、Va族及びVIa族のうちの少なくとも一種の元素(以下、添加元素ともいう)を0.0001モル%以上、1.0モル%以下含む酸化物蛍光体を用いたことを特徴とするものである。
この酸化物蛍光体は、発光スペクトルのメインピークが535nm近傍に存在し、発光出力が高く、残光がきわめて少ない。具体的には、発光出力はCdWO4の1.8倍以上で、励起光を絶ってから300ms後における残光の減衰率が2.5×l0-5以下となる。
以下、本発明の放射線検出器に用いる酸化物蛍光体について詳述する。
発光中心イオンがCeで、Gd、Al、Ga、Oを主要元素とした酸化物蛍光体は、図1に示すようなガーネット結晶構造を有し、陽イオン周囲の酸素イオンの配置は図2に示す配置である。理想的には、ガーネット結晶構造の十二面体サイト1にはGdとCeイオンが、四面体サイト3、八面体サイト2にはAl及びGaが入るが、空孔で置換されたサイトなども存在し、化学量論的組成(Gd,Ce)3(Ga,Al)5O12からずれている。この蛍光体は、Ce3+イオンの4f基底状態の電子がX線のエネルギーを得て5d励起準位に励起され、この励起準位から安定な基底準位に電子が遷移(5d→4f遷移)することによって535nmの発光を生ずる。
このようなガーネット結晶構造の酸化物蛍光体に含有せしめる添加元素として、具体的には、IVa族の元素Zr、Hf、Va族の元素Ta、VIa族の元素Mo、Wが挙げられる。これら元素は、1種でも複数を併用しても良く、それにより発光効率が向上し、残光が減少する。これら元素の添加により発光効率が向上する理由は次のように推定される。
発光中心イオンがCeで、Gd、Al、Ga、Oを主要元素としたガーネット結晶において、母結晶が同一であれば、発光強度を左右する因子としては、1)発光中心イオンであるCeイオンの濃度、2)Ceイオンの価数、が重要である。Ceイオン濃度については、高すぎると、励起状態のイオンの近くに基底状態の同一のイオンが存在する確率が高く励起エネルギーが移動しやすい。このため、欠陥や不純物に遭遇する機会が増えて発光効率が低下する。またCeイオン濃度が少なすぎると発光イオンが励起エネルギーを補足する確率が低下する。このため、例えば前述の特許文献4に記載された技術では、Ce濃度を出力が大きくなる範囲に規定している。一方、Ceイオンの価数については、これまで考慮されてこなかったが、Ce4+イオンは発光には全く関与しない。発光出力を向上させるには結晶中のCe4+を少なく、発光に関与するCe3+イオンを可能な限り多くする必要がある。ここで、3+を越える価数を取り得る陽イオンを適当量含ませた場合、結晶の電気的中性を保つ必要性からCe4+イオンがCe3+イオンに変化し、これによりガーネット結晶の十二面体サイトに入っているCeイオンの3+を多くして4+の生成を抑えることが可能になったものと考えられる。本発明の酸化物蛍光体は、このように発光に寄与するCe3+イオンを多くすることができたので、発光出力の大きなシンチレータとなる。
長周期型周期律表のIVa族、Va族、及びVIa族の元素の添加量は、酸化物蛍光体1モルに対して好ましくは0.0001モル%以上、1.0モル%以下、より好ましくは0.0015モル%以上、0.1モル%以下とする。このような範囲において良好な発光出力と残光特性を得ることができる。添加量が 0.0001モル%未満の場合には、価数制御に対する効果が十分ではなく、また、1.0モル%を越して添加すると添加剤が粒界部近傍に偏析し、また焼結体中の添加剤の割合が増えるため、発光出力や残光特性が悪くなる傾向がある。
本発明の酸化物蛍光体は、結晶形態には特に限定されず、単結晶であっても多結晶であっても良いが、製造の容易さ、特性のばらつきが少ない点から多結晶体が望ましい。
次に、本発明の酸化物蛍光体の製造方法について説明する。
一般に、多結晶体の製造方法には、1)シンチレータの原料となる粉末の合成工程と、この合成粉末にGd−Al−Ga−Ce−O以外の上記添加元素の少なくとも一種を含ませる混合工程と、この混合粉末を焼結する工程とからなる方法、2)上記の合成プロセスと混合工程とを統合した、シンチレータの原料粉末及び添加元素を混合、合成する工程と、この混合粉末を焼結する工程とからなる方法、3)シンチレータの原料粉末及び添加元素を混合し、この混合粉末を直接焼結する方法があるが、本発明の酸化物蛍光体はいずれの方法でも製造することもできる。
一例として酸化物混合法による製造方法(1)の方法)を具体的に説明する。まず原料粉末としてGd2O3、Al2O3、Ga2O3、CeO2を所定量秤量後、例えばボールミル混合によって10時間程度、湿式混合する。原料粉末としては、ミクロンオーダーの微細な粉末が良く、好ましくはサブミクロンの粉末がよい。原料粉末としては酸化物ばかりではなく、共沈法、ゾルゲル法などによって合成した微細粉末を使用してもよい。粉末純度は99.99%程度以上が望ましい。粉末純度が低いと、発光強度、残光といった蛍光体としての特性が低下するためである。
湿式混合により混合した混合粉末を乾操した後、600℃〜1700℃の酸素を含む雰囲気中で数時間焼成してシンチレータ合成粉末を作製する。このようにして製造したシンチレータ粉末1モルに対して、IVa族、Va族又はVIa族の元素の化合物、例えばZrO2粉末を0.01モル%添加する。すなわち、シンチレータ粉末とZrO2粉末とを所定量秤量して、ボールミルで10時間程度混合し乾燥させる。添加元素としては、ZrO2に限らず、HfO2、Ta2O5、MoO3、WO3や、これら粉末を複数種混合したものも同様の効果がある。なお、ガーネットに含ませる元素の量は、0.0001モル%〜1.0モル%と微量なため、図1或いは図2に示したガーネット結晶構造の陽イオンサイトの一部を置換した秤量組成でも良いし、ガーネット構造に添加した組成でも同等の効果がある。
次にこのようにして合成した添加剤含有粉末を焼結する。焼結は、ホットプレス法、HIP法、常圧焼結法、更には常圧焼結法とHIP法との併用法等で行うことができるが、焼結密度99%以上となる条件とすることが好ましい。以下、焼結法のいくつかの例を示す。ホットプレス法では、前述の合成粉末を500kgf/cm2程度の圧力で金型成型して成型体とした後、ホットプレス型にセットし、真空中、大気中、或いは酸素中の雰囲気下で、1200℃から1700℃の温度で数時間、500kgf/cm2程度の圧力で焼結する。これによって相対密度99.0%以上の蛍光体を容易に得ることができる。一方、HIP法では、鉄、或いはW、Mo等の金属製カプセル中に合成粉末を入れ、真空封止して、1400℃前後の温度で2000atm程度の圧力で焼結を行う。また、常圧焼結法では、合成粉末を3000kgf/cm2程度の圧力で静水圧プレス(CIP)を行った後、1300〜1700℃前後の酸素を含む雰囲気中で数〜数十時間の焼結を行う。1700℃を越えると試料が溶解してしまう。1300℃未満であると焼結密度は90%程度となり、密度が低いため発光出力、残光等のシンチレータ特性が十分ではなくなってしまう。また、常圧焼結によって93.0%程度以上の相対硬度の材料を一旦製造し、必要に応じて金属製カプセルが不要なカプセルフリーHIP法を追加することによっても、相対密度が99.0%以上の蛍光体を容易に得ることができる。
こうして得られる本発明の酸化物蛍光体は、Gd−Ce−Al−Ga−O−X(Xは添加元素)で構成されるガーネット構造の結晶を有し、発光出力が高く、残光が極めて小さいので、X線などを検出する放射線検出器、特にX線CT装置やポジトロンカメラなどの放射線検出器に好適である。
本発明の放射線検出器において光検出器としては、公知の光電変換素子を用いることができるが、好適にはPIN型ダイオードを用いる。このフォトダイオードは感度が高く、応答時間が速く、かつ波長感度が可視光から近赤外領域にあるので、上述した蛍光体の発光波長とのマッチングがよい。
本発明のX線CT装置は、X線源と、このX線源に対向して配置されたX線検出器と、これらX線源及びX線検出器を保持し被検体の周りで回転駆動させる回転体と、X線検出器で検出されたX線の強度に基づき被検体の断層像を画像再構成する画像再構成手段とを備えたX線CT装置において、X線検出器として上述した蛍光体とフォトダイオードを組み合わせた放射線検出器を用いる。本発明のX線検出器をX線CT装置に用いることにより、高出力で残光が極めて少ない検出器が得られるため、マルチスライス、高速スキャンにおいても高画質、高分解能の断層像を得ることができる。
本発明によれば、X線に対する発光出力が高く、残光が極めて少ない、シンチレータ特性に優れた蛍光体を提供できる。また、この蛍光体を光検出器を備えた放射線検出器のシンチレータとして用いることにより光出力が大きな低残光放射線検出器が得られ、このX線検出器をX線CT 装置に適用することによって、高解像度、高品質の断層像が得られる。
以下、本発明の放射線検出器及びX線CT装置の実施の形態を説明する。
図3は、本発明の放射線検出器をX線検出器に適用した一実施形態を示す図で、このX線検出器は、シンチレータ11とフォトダイオード13とを接着した検出素子と、複数の検出素子を分離するとともにこれらを覆う遮蔽12とを備えている。シンチレータ11は本発明の酸化物蛍光体からなり、高い発光出力を有する。フォトダイオード13は、シンチレータ11の光を光電変換し、電気信号を出力する。好適にはPINフォトダイオード、特にSiフォトダイオードが用いられる。遮蔽12は、シンチレータの発光を外部に逃がさないためのもので、X線を透過し、光を反射する材料、例えばアルミニウムからなる。
このような構成において、シンチレータ11がX線を吸収すると、従来のシンチレータに比較して高い発光出力を有し、その出力はSiフォトダイオードの感度波長に比較的近い波長である535nm近傍に発光ピークを有するので、高い効率でフォトダイオードによって光電変換され、高い検出能が実現できる。また、シンチレータ11の残光も極めて少ないため、連続して駆動する場合に高い時間分解能を得ることができる。さらに線質特性が従来シンチレータに比して著しく向上しているため、X線検出器として優れた特性を得ることができる。
次に本発明のX線CT装置の実施の形態を説明する。このX線CT装置は、概略を図4に示すように、ガントリ部18と画像再構成部22とを備え、ガントリ部16には、被検体が搬入される開口部20を備えた回転円板19と、この回転円板に搭載されたX線管16と、X線管に取りつけられX線の放射方向を制御するコリメータ17と、X線管に対向して回転円板に搭載されたX線検出器15と、X線検出器で検出されたX線を特定の信号に変換する検出器回路21と、回転円板の回転及びX線束の幅を制御するスキャン制御回路24とを備えている。X線検出器15として、上述した本発明のシンチレータを用いたX線検出器が用いられている。X線検出器15の検出素子の配列は、例えば960チャンネル(円周方向)×32スライス(スライス方向)である。
このような構成において、開口部20に設置された寝台に被検者を寝かせた状態で、X線管からX線が照射される。このX線はコリメータによって指向性を得て、X線検出器によって検出される。回転円板を被検者の周りを回転させることによって、X線の照射方向を変えながらX線を検出し、画像再構成部22で断層像を作成し、モニタ23に表示する。本発明のX線CT装置では、マルチスライス化によりシンチレータに対する実効的なX線照射面積が減少しても、シンチレータの出力が高いので、放射線検出器の濃度分解能や空間分解能の低下に起因するアーチファクトを抑制することができ、画質の劣化が防止できる。また高速スキャンした場合にも、シンチレータの出力が高く、しかも残光がきわめて低いので、高空間分解能、高時間分解能の断層像を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
原料粉末として、純度99.99%のGd203、CeO2、Al2O3、及びGa2O3粉末を用い、これら粉末をGd3.028Ce0.012AL2.776Ga2.1824O12の組成になるように秤量した。Gd203、CeO2の粒径は約2μm、Al2O3は0.2μm、Ga2O3は約1μmであった。これら粉末をポリエチレンポット容器中に投入して、アルミナボール、イオン交換水と一緒に、16時間ボールミル混合を行った。混合後、スラリーをアルミナボールごとAl2O3製蒸発皿に移し、140℃の恒温槽で10時間乾燥させた。乾焼させた粉末を60メッシュのナイロン製篩を通して整粒した。この整粒粉末をアルミナルツボに入れ、1500℃で4時間焼成し、原料合成粉末を得た。
このようにして合成した母粉末を用いて、表1に示す試料No.1〜No.6の試料を作製した。即ち、上述の母粉末1モルに対して、純度99.99%のZrO2粉末が表1の所定のモル数になるように添加して、混合、乾操、整粒を行った。これら混合、乾燥、整粒は、母粉末の合成と全く同様に行った。整粒後の粉末を、600kgf/cm2の圧力で金型成型して成型体とした後、ホットプレスダイス型にセットして、真空中、1450℃で3時間、500kgf/cm2の圧力でホットプレス焼結を行った。いずれも相対密度99.9%以上の焼結体が得られた。これら焼結体を、厚さ1.800mmに機械加工した後、1300℃で3時間のアニールを施しシンチレータウェーハとした。これら試料とフォトダイオードとを組み合わせて検出器を作り、X線源(120kV、150mA)から110cm離れたところに検出器を置き、発光強度、並びに残光を評価した。発光強度はCdWO4の値を1としたときの相対値で表し、残光はX線を遮断してから300ms後の減衰率で評価した。
Figure 2005095514
表1から明らかなように、酸化物蛍光体1モルに対して、Zr02を0.0001モル%以上、1.0モル%以下含む場合に、発光出力がCdWO4の1.8倍以上、300msでの残光の減衰率が2.5×l0-5以下となり、発光強度が大きく、残光の小さい、優れた特性を有するシンチレータ材料の得られることが分かる。なお、本実施例においては、Zrイオンをネット結晶構造に対して付加したが、Zrイオンをネット結晶構造の何れかの陽イオンサイトに置換させたとする混合組成でも結果に大きな違いは見られなかった。
[実施例2]
原料粉末として、純度99.99%のGd203、Ce203、Al203、及びGa203粉末を用い、これら粉末をGd3.022Ce0.018Al2.776Ga2.1824O12の組成になるように秤量し、この原料粉末の1モルに対して純度99.99%のHfO2、Ta2O5、MoO3、WO3粉末をそれぞれ0.01モル%含有させて、混合、乾燥、整粒を行い、表2に示す試料No.7〜No.10を作製した。これらの工程は実施例1と同様の条件、方法にて行った。この混合粉末をアルミナルツボに入れ、1500℃で4時間焼成し、合成粉末を得た。このようにして得られた合成粉末を、600kgf/cm2の圧力で金型成型して成型体とした後、ホットプレスダイス型にセットして、真空中で、1450℃で3時間、300kgf/cm2の圧力でホットプレス焼結を行った。いずれも相対密度99.9%以上の焼結体が得られた。これら焼結体を厚さ1.800mmに機械加工した後、1300℃で3時間のアニールを施してシンチレータを作製し、実施例1と同様にフォトダイオードを組み合わせて検出器を作り、発光強度、並びに残光を評価した。
Figure 2005095514
表2より明らかなように、シンチレータ組成粉末にHfO2、Ta2O5、MoO3、WO3粉末をそれぞれ0.001モル%含有させて合成することにより、発光強度が大きく、残光の小さい、シンチレータ特性に優れた材料が得られた。また、何れの添加粉末においても0.0001モル%未満の湯合、或いは1.0モル%を越えて含ませた場合には、本発明外の出力、並びに残光特性であった。
[実施例3]
原料粉末として純度99.99%のGd2O3、Ce2O3、Al2O3及びGa2O3粉末を用い、これら粉末をGd3.028Ce0.012A12.776Ga2.1824O12の組成になるように秤量した。実施例1と同様に、原料粉末の混合、乾燥、造粒の工程を経て、1400℃で4時間焼成して、原料合成粉末を得た。このようにして合成した粉末1モルに対して、純度99.99%のZrO2及びWO3粉末を各0.01モル%ずつ添加した後、実施例1と全く同様に、混合、乾燥、整粒後、焼結を行った。得られた焼結体からシンチレータウェーハを作製し、実施例1と同様にフォトダイオードを組み合わせて検出器を作り、発光強度、並びに残光を評価した。その結果、CdWO4に対する出力が2.6倍、残光2.4×10-5の特性値が得られた。
本実施例では、ZrO2とWO3との複合添加の例を示したが、この組み合わせに限らずZrO2、 HfO2、Ta2O5、MoO3、WO3粉末のうち複数の任意の組み合わせにおいても、発光出力がCdWO4の1.8倍以上、300msでの残光の減衰率が2.5×10-5以下の優れたシンチレータが得られた。
本発明の酸化物蛍光体のガーネット結晶構造を示す図 本発明の酸化物蛍光体における陽イオン周囲の酸素イオンの配置を示す図 本発明のシンチレータを用いたX線検出器の概略図 本発明のX線CT装置の概略図
符号の説明
11・・・シンチレータ、12・・・遮蔽板、13・・・フォトダイオード、16・・・X線管、17・・・コリメータ、18・・・ガントリ、19・・・回転円板、20・・・開口部、21・・・検出器回路、22・・・画像再構成部、23・・・モニタ、24・・・スキャン制御回路

Claims (3)

  1. セラミックスシンチレータと、このシンチレータの発光を検出するための光検出器とを備えたX線検出器において、前記セラミックスシンチレータとして、発光中心イオンがCeで、Gd、Al、Ga、Oを主要元素としたガーネット構造を有する酸化物蛍光体であって、該酸化物蛍光体1モル%に対して長周期型周期律表のIVa族、Va族、及びVIa族のうちの、少なくとも一種の元素を0.0001モル%以上、1.0モル%以下含む酸化物蛍光体を用いたことを特徴とする放射線検出器。
  2. 前記酸化物蛍光体は、IVa族がZr、Hf、Va族がTa、VIa族がMo、Wであることを特徴とする請求項1記載の放射線検出器。
  3. X線源と、このX線源に対向して置かれたX線検出器と、これらX線源及びX線検出器を保持し、被検体の周りを回転駆動される回転円板と、前記X線検出器で検出されたX線の強度に基づき前記被検体の断層像を画像再構成する画像再構成手段とを備えたX線CT装置において、前記X線検出器として請求項1または2に記載の放射線検出器を用いたことを特徴とするX線CT装置。
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