以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
なお、以下の説明および参照される図面は、当業者が本開示を理解するために提供されるものであって、本開示の請求の範囲を限定するためのものではない。
<システムの概要>
まず、本開示の一実施の形態に係るドアホンシステムの概要について、図1を用いて説明する。図1に示すように、ドアホンシステム1は、玄関子機100と、ドアホン親機200と、から構成される。なお、図1では、ドアホン親機200に3台の玄関子機100−1、100−2、100−3が接続している場合を例示している。また、ドアホンシステム1には、増設モニタ300を追加しても良い。さらに、ドアホンシステム1は、他のドアホンシステムと接続することもできる。
玄関子機100は、例えば、住宅等の玄関先に設けられる。ドアホン親機200および増設モニタ300は、例えば、住宅等の宅内に設けられ、壁に固定されたり、テーブルまたは台の上等に載置されたりする。玄関子機100とドアホン親機200とは、1対の銅線から成る2線ケーブルにより接続されている。増設モニタ300は、2線ケーブルによりドアホン親機200と接続される。
ドアホン親機200は、玄関子機100と通信を行い、玄関子機100から映像データ、音声データおよび制御データを受信し、音声データおよび制御データを送信する。また、ドアホン親機200は、増設モニタ300と通信を行い、玄関子機100から受信した映像データ、音声データおよび制御データを増設モニタ300に転送し、増設モニタ300から受信した音声データおよび制御データを玄関子機100に転送する。
なお、以下の説明において、玄関子機100あるいは増設モニタ300からドアホン親機200への方向を「上り方向」といい、玄関子機100あるいは増設モニタ300から上り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「上りパケット」、「上り信号」という。また、ドアホン親機200から玄関子機100あるいは増設モニタ300への方向を「下り方向」といい、ドアホン親機200から下り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「下りパケット」、「下り信号」という。
<フレーム構成、タイムスロット構成>
次に、本実施の形態に係る同期通信時のフレーム構成、タイムスロット構成について図2Aを用いて説明する。図2Aに示すように、各フレームは、48000bitsの領域を有し、10ms周期、4.8Mbpsのビットレートであり、24個のタイムスロットに分割される。従って、各タイムスロットは、2000bits=250bytesの領域を有し、0.416ms周期、4.8Mbpsのビットレートになる。
各タイムスロットは、52byteのガードスペース(Guard)、4byteのプリアンブルフィールド、2byteのシンクフィールド(Sync)、32byteの制御データフィールド、160byteのユーザデータフィールドに分けられている。
ガードスペースは、伝播遅延時間差やクロックジッタ等によるタイムスロットの衝突を避けるための時間である。プリアンブルフィールドには、所定のユニークパターンを有するプリアンブルデータ(後述)が付加される。シンクフィールドには、所定のシンクパターンが付加される。制御データフィールドには、制御データが付加される。ユーザデータフィールドには、画像データおよび音声データが付加される。ここでシンクパターンとは、シンクフィールドに配置された既知のデータあるいはデータ列であって、受信データ受信時の同期を確立するために用いられ、受信データが正確なタイミングで受信されたことを確認するための予め規定した既知のデータパターンである。
<割り込み信号の構成>
次に、本実施の形態に係る非同期通信時の割り込み信号の構成について図2Bを用いて説明する。
図2Bに示すように、割り込み信号は、4byteのプリアンブルフィールド、2byteのシンクフィールド(Sync)、32byteの制御データフィールドに分けられている。さらに、図2Bに示す割り込み信号には、将来の拡張用として、30byteのユーザデータフィールドが設けられている。
割り込み信号のプリアンブルデータおよびシンクパターンは、図2Aに示した同期通信時のタイムスロットと同一のものである。これにより、同期通信時と非同期通信時とで受信部等を共用できるため、コストを抑えることができる。
割り込み信号の制御データフィールドには、メッセージ種別(同期要求等)、送信元機器番号(ID)等の制御情報が書き込まれる。割り込み信号のユーザデータフィールドは、機器異常情報(機器の異常を検知したことを示す情報)等、メッセージ種別に応じた詳細情報を通知するフィールドとして使用しても良い。
なお、図2Bに示す割り込み信号は、接続機器の初期登録時にも使用される。
<玄関子機の構成>
次に、玄関子機100の構成について、図3のブロック図を用いて説明する。図3に示すように、玄関子機100は、ケーブル接続部101(本開示の子機ケーブル接続部)、キー入力部102、スピーカ103、マイク104、音声I/F(インターフェイス)部105、カメラ部106および制御部107(本開示の子機制御部)を有する。制御部107は、内部に、第1クロック生成部131、パケット生成部132、データ再生部133、接続状態検出部134を有する。また、玄関子機100は、送信データ処理部108、送信データ反転部109、送信ドライバ110、受信ドライバ111、受信データ反転部112、受信データ処理部113、識別子記憶部114を有する。
ケーブル接続部101は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの玄関側の一端と、受信ドライバ111および送信ドライバ110との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。なお、2線ケーブルの他端は、ドアホン親機200に接続される。また、ケーブル接続部101は、2線ケーブルを介してドアホン親機200からの電源供給を受け、玄関子機100の各部に対して電源を供給する。ケーブル接続部101の構成の詳細については後述する。
キー入力部102は、呼出ボタンを含み、呼出ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部107に出力する。
スピーカ103は、音声I/F部105から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク104は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部105に出力する。
音声I/F部105は、制御部107から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ103に出力する。また、音声I/F部105は、マイク104から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部107に出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部105は、マイク104から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部107に出力してもよい。また、音声I/F部105は、制御部107から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
カメラ部106は、デジタルカメラを含み、玄関の映像を撮影し、デジタル映像データを生成して、制御部107に出力する。なお、カメラ部106は、エンコーダモジュールを搭載していてもよい。すなわち、カメラ部106は、デジタルカメラから出力された映像データに対してH.264等の所定の動画圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル映像データとして制御部107に出力してもよい。
制御部107は、玄関子機100の各部の制御を行う。また、制御部107は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を送信ドライバ110および受信ドライバ111に出力する。
制御部107の第1クロック生成部131は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍(nは1以上)に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部113に出力する。
制御部107のパケット生成部132は、映像付き通話を実現するための上りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部132は、音声I/F部105から出力されたデジタル音声データおよびカメラ部106から出力されたデジタル映像データを適宜分割して各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込み、自機(玄関子機100)に固有の識別子(以下、「自機IDslave」という)および通信相手のドアホン親機200の識別子(以下、「IDmaster」という)を含む制御データを各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、パケット生成部132は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、上りパケット(送信データ)を生成する。さらに、パケット生成部132は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部132は、上りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部108に出力する。
なお、玄関子機100とドアホン親機200との間でデータが送受されない待機状態では、パケット生成部132は、上りパケットを生成しない。また、待機状態(非同期通信時)において、呼出ボタンが操作される等の所定のイベントが発生すると、パケット生成部132は、プリアンブルデータ、シンクパターン、制御データを書き込んだ上りパケット(割り込み信号)を生成する。なお、非同期通信時の割り込み信号において使用されるプリアンブルとシンクパターンは、同期通信時に使用されるものと同一である。
制御部107のデータ再生部133は、受信データ処理部113からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部113から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部113から出力された下りパケット(復号データ)に含まれるデジタル音声データを音声I/F部105に出力し、下りパケット(復号データ)に含まれるシンクパターンを接続状態検出部134に出力する。なお、データ再生部133は、初期登録時に、下りパケットに含まれる自機IDslaveおよびIDmasterを識別子記憶部114に記憶させる。
また、データ再生部133は、待機状態(非同期通信時)において所定のイベントが発生し、下り信号(割り込み信号)を入力した場合、下り信号を復調して下りパケットを取得し、下りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部134に出力する。データ再生部133は、接続状態検出部134において正確に割り込み信号を捕捉できたことを確認した後、割り込み信号の制御データを抽出する。制御データが同期要求であれば、玄関子機100は、ドアホン親機200との同期処理に移行する。
制御部107の接続状態検出部134は、2線ケーブルが正接続である場合のチェック用シンクパターン(以下、「正接続チェック用シンクパターン」という(例えば、16bit全てが「0」))、および、正接続チェック用シンクパターンの逆のパターンであって、2線ケーブルが逆接続である場合のチェック用シンクパターン(以下、「逆接続チェック用シンクパターン」という(例えば、16bit全てが「1」))を記憶している。
そして、接続状態検出部134は、データ再生部133から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部134は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。そして、接続状態検出部134は、判定結果を示す反転制御信号(INV CON)を、送信データ反転部109および受信データ反転部112に出力する。
送信データ処理部108は、パケット生成部132からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部132から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部132から出力された上りパケットのデータに対して変調処理を行って上り信号を生成し、送信データ反転部109に出力する。なお、送信データ処理部108の変調処理の詳細(具体例)については後述する。
送信データ反転部109は、接続状態検出部134において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合、送信データ処理部108から出力された上り信号を反転させて送信ドライバ110に出力する。一方、送信データ反転部109は、接続状態検出部134において2線ケーブルが正接続であると判定された場合、送信データ処理部108から出力された上り信号をそのまま送信ドライバ110に出力する。
送信ドライバ110は、制御部107からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、上り信号を、ケーブル接続部101を介してドアホン親機200に送信する。
受信ドライバ111は、ドアホン親機200から送信された下り信号を、ケーブル接続部101を介して受信する。そして、受信ドライバ111は、制御部107からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、下り信号を、受信データ反転部112に出力する。
受信データ反転部112は、接続状態検出部134において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合、受信ドライバ111から出力された下り信号を反転させて受信データ処理部113に出力する。一方、受信データ反転部112は、接続状態検出部134において2線ケーブルが正接続であると判定された場合、受信ドライバ111から出力された下り信号をそのまま受信データ処理部113に出力する。
受信データ処理部113は、第1クロック生成部131から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、受信ドライバ111から出力された下り信号に含まれるプリアンブルデータを用いてドアホン親機200との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、受信データ処理部113は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部133に出力する。
また、受信データ処理部113は、受信データ反転部112から出力された下り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部133に出力する。また、受信データ処理部113は、第1クロック生成部131から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部133に出力する。なお、受信データ処理部113の構成の詳細については、後述する。
識別子記憶部114は、ドアホン親機200から受信した自機IDslaveおよびIDmasterを記憶する。
<ドアホン親機の構成>
次に、ドアホン親機200の構成について、図4のブロック図を用いて説明する。図4に示すように、ドアホン親機200は、ケーブル接続部201(本開示の親機ケーブル接続部)、キー入力部202、スピーカ203、マイク204、音声I/F部205、ディスプレイ部206および制御部207(本開示の親機制御部)を有する。制御部207は、内部に、第1クロック生成部231、パケット生成部232、データ再生部233、接続状態検出部234、識別子設定部235、通信制御部236を有する。また、ドアホン親機200は、送信データ処理部208、送信データ反転部209、送信ドライバ210、受信ドライバ211およびルーティング制御部212、受信データ処理部213、識別子記憶部214を有する。なお、ドアホン親機200は、ケーブル接続部201、送信ドライバ210および受信ドライバ211を、N個(Nは自然数)有する。また、ドアホン親機200は、供給電源部221(本開示の供給電源部)、安定化電源部222、スイッチ部223(本開示のスイッチ部)を有する。
ケーブル接続部201−i(iは1からNまでの何れかの整数)は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの室内側の一端と、送信ドライバ210−iおよび受信ドライバ211−iとの間を、信号を伝送可能な状態で接続する。なお、各2線ケーブルの他端は、玄関子機100、増設モニタ300あるいは他のドアホンシステムの親機に接続される。図4では、ケーブル接続部201−1が、他のドアホンシステムの親機に接続されている場合を例示している。
また、ケーブル接続部201−iは、2線ケーブルを介して供給電源部221からの電力を玄関子機100あるいは増設モニタ300に対して供給する。ケーブル接続部201−iの構成の詳細については後述する。
キー入力部202は、応答ボタンを含み、応答ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部207に出力する。
スピーカ203は、音声I/F部205から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク204は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部205に出力する。
音声I/F部205は、制御部207から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ203に出力する。また、音声I/F部205は、マイク204から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部207に出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部205は、マイク204から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部207に出力してもよい。また、音声I/F部205は、制御部207から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
ディスプレイ部206は、液晶ディスプレイを含み、制御部207から出力されたデジタル映像データを再生し、玄関の映像を表示する。なお、制御部207から出力されたデジタル映像データが所定の動画圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の動画伸張処理を行って、映像表示を行う。
制御部207は、ドアホン親機200の各部の制御を行う。また、制御部207は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を各送信ドライバ210−i、各受信ドライバ211−iおよびルーティング制御部212に出力する。
制御部207の第1クロック生成部231は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部213に出力する。
制御部207のパケット生成部232は、映像付き通話を実現するための下りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部232は、音声I/F部205から出力されたデジタル音声データを適宜分割して各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込み、自機(ドアホン親機200)に固有の識別子(以下、「自機IDmaster」という)および通信相手の機器の識別子を含む制御データを各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、パケット生成部232は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、下りパケット(送信データ)を生成する。さらに、パケット生成部232は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部232は、下りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部208に出力する。
また、パケット生成部232は、ドアホン親機200の動作あるいは玄関子機100の動作に関する制御データを、玄関子機100への送信の対象となるデータとして送信データ処理部208に出力してもよい。かかる制御データには、例えば、ドアホン親機200から玄関子機100のカメラ動作(データレート、パン、チルト、ライト、シャッター、およびフィルタ等の動作)や、玄関子機100に備えられた各種センサデバイスの動作を、ドアホン親機200から制御するための制御信号が含まれる。また、かかる制御データには、玄関子機100に備えられた無線通信回路等(図示せず)を介して屋外に配置されたデバイス(門の電子鍵等)の動作を制御するための制御信号が含まれる。
パケット生成部232は、玄関子機100、増設モニタ300等の機器の初期登録時において、識別子設定部235にて設定された、登録対象の機器に割り当てた固有の識別子を含む下り信号を生成する。
なお、玄関子機100(あるいは増設モニタ300)とドアホン親機200との間でデータが送受されない待機状態では、パケット生成部232は、下りパケットを生成しない。また、待機状態(非同期通信時)において、応答ボタンが操作される等の所定のイベントが発生すると、パケット生成部232は、プリアンブルデータ、シンクパターン、制御データを書き込んだ下りパケット(割り込み信号)を生成する。なお、非同期通信時の割り込み信号において使用されるプリアンブルとシンクパターンは、同期通信時に使用されるものと同一である。
制御部207のデータ再生部233は、受信データ処理部213からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部213から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部213から出力された上りパケット(復号データ)に含まれるデジタル音声データを音声I/F部205に出力し、上りパケットに含まれるデジタル映像データをディスプレイ部206に出力し、上りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部234に出力する。
また、データ再生部233は、待機状態(非同期通信時)において所定のイベントが発生し、上り信号(割り込み信号)を入力した場合、上り信号を復調して上りパケットを取得し、上りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部234に出力する。データ再生部233は、接続状態検出部234において正確に割り込み信号を捕捉できたことを確認した後、割り込み信号の制御データを抽出する。制御データが同期要求であれば、ドアホン親機200は、玄関子機100あるいは増設モニタ300との同期処理に移行する。
制御部207の接続状態検出部234は、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンを記憶し、データ再生部233から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部234は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。そして、接続状態検出部234は、判定結果を示す反転制御信号(INV CON)を、送信データ反転部209に出力する。
制御部207の識別子設定部235は、玄関子機100、増設モニタ300等の機器の初期登録時において、各登録対象の機器に割り当てる固有の識別子を設定し、パケット生成部232に出力し、識別子記憶部214に記録させる。また、識別子設定部235は、必要に応じて、識別子記憶部214に記録された識別子を読み出す。なお、識別子設定部235は、識別子を送信してから所定の時間が経過しても、データ再生部233から識別子の受領確認が入力されなかった場合には、再び、設定した識別子をパケット生成部232に出力する。
送信データ処理部208は、パケット生成部232からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部232から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部232から出力された下りパケットのデータに対して変調処理を行って下り信号を生成し、ルーティング制御部212に出力する。
送信データ反転部209は、接続状態検出部234において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合、ルーティング制御部212から出力された下り信号を反転させて送信ドライバ210−1に出力する。一方、送信データ反転部209は、接続状態検出部234において2線ケーブルが正接続であると判定された場合、ルーティング制御部212から出力された下り信号をそのまま送信ドライバ210−1に出力する。
送信ドライバ210−1は、制御部207からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、下り信号を、ケーブル接続部201−1を介して他のドアホンシステムの親機に送信する。送信ドライバ210−i(この場合、iは1以外)は、制御部207からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、下り信号を、ケーブル接続部201−iを介して玄関子機100あるいは増設モニタ300に送信する。
受信ドライバ211−iは、玄関子機100、増設モニタ300あるいは他のドアホンシステムの親機から送信された上り信号を、ケーブル接続部201−iを介して受信する。そして、受信ドライバ211−iは、制御部207からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、上り信号を、ルーティング制御部212に出力する。
ルーティング制御部212は、玄関子機100から送信され、受信ドライバ211−iから出力された上り信号を、ドアホン親機200宛である場合には受信データ処理部213に出力し、増設モニタ300宛である場合には対応の送信ドライバ210−iに出力する。また、ルーティング制御部212は、送信データ処理部208から出力された玄関子機100宛の下り信号を、対応の送信ドライバ210−iに出力する。また、ルーティング制御部212は、増設モニタ300から送信され、受信ドライバ211−iから出力された玄関子機100宛の上り信号を、対応の送信ドライバ210−iに出力する。また、ルーティング制御部212は、ルーティング(通信ルートの有効/無効)の制御を行う。なお、ルーティング制御部212が行うルーティング制御の具体例については後述する。
受信データ処理部213は、第1クロック生成部231から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、ルーティング制御部212から出力された上り信号に含まれるプリアンブルデータを用いて玄関子機100との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、受信データ処理部213は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部233に出力する。
また、受信データ処理部213は、ルーティング制御部212から出力された上り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部233に出力する。また、受信データ処理部213は、第1クロック生成部231から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部233に出力する。
識別子記憶部214は、自機IDmaster、および、各機器(玄関子機100、増設モニタ300、他のドアホンシステムの親機)の識別子を記憶する。
供給電源部221は、所定の商用電源に接続され、AC/DCコンバータで交流電力を直流に変換して安定化電源部222に供給する。また、供給電源部221は、スイッチ部223およびケーブル接続部201−iを介して、ケーブル接続部201−iに接続された機器に電力を供給する。
ただし、ケーブル接続部201−iに接続された機器(玄関子機100や他のドアホン親機、増設モニタ300等)が独自に商用電源等の電源を使用する場合は、ドアホン親機200の供給電源部221からの電源供給はしない構成にすれば良い。あるいは、ケーブル接続部201−iに接続された機器は、ドアホン親機200からの電源受給が可能な構成の場合でも、電源受給を受けない構成にしても良い。
安定化電源部222は、供給電源部221から得た直流電力をドアホン親機200の各構成に供給する。
スイッチ部223は、供給電源部221とケーブル接続部201−iの間に設けられたスイッチである。スイッチ部223がオンの場合、供給電源部221とケーブル接続部201−iとが接続され、ケーブル接続部201−1からケーブル接続部201−Nまでの全てに対して供給電源部221からの電力供給が行われる。一方、スイッチ部223がオフの場合、供給電源部221とケーブル接続部201−iとの接続が解除され、ケーブル接続部201−1からケーブル接続部201−Nまでの全てに対する供給電源部221からの電力供給が行われない。スイッチ部223は、例えば通信制御部236からの制御信号(slave power ON/OFF)によってオン/オフ制御される。
制御部207の通信制御部236は、スイッチ部223のオン/オフを制御するスイッチ制御信号(slave power ON/OFF)を出力する。通信制御部236は、例えばキー入力部202を介して玄関子機100のリセット指示が入力された場合に、スイッチ部223をオフにした後オンに切り替える制御信号を出力するようにすればよい。
<増設モニタの構成>
次に、増設モニタ300の構成について、図5のブロック図を用いて説明する。図5に示すように、増設モニタ300は、ケーブル接続部301、キー入力部302、スピーカ303、マイク304、音声I/F(インターフェイス)部305、ディスプレイ部306および制御部307を有する。制御部307は、内部に、第1クロック生成部331、パケット生成部332、データ再生部333、接続状態検出部334を有する。また、増設モニタ300は、送信データ処理部308、送信データ反転部309、送信ドライバ310、受信ドライバ311、受信データ反転部312、受信データ処理部313、識別子記憶部314を有する。
ケーブル接続部301は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの増設モニタ側の一端と、受信ドライバ311および送信ドライバ310との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。なお、2線ケーブルの他端は、ドアホン親機200に接続される。
キー入力部302は、呼出ボタンを含み、呼出ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部307に出力する。
スピーカ303は、音声I/F部305から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク304は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部305に出力する。
音声I/F部305は、制御部307から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ303に出力する。また、音声I/F部305は、マイク304から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部307に出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部305は、マイク304から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部307に出力してもよい。また、音声I/F部305は、制御部307から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
ディスプレイ部306は、液晶ディスプレイを含み、制御部307から出力されたデジタル映像データを再生し、玄関の映像を表示する。なお、制御部307から出力されたデジタル映像データが所定の動画圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の動画伸張処理を行って、映像表示を行う。
制御部307は、増設モニタ300の各部の制御を行う。また、制御部307は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を送信ドライバ310および受信ドライバ311に出力する。
制御部307の第1クロック生成部331は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部313に出力する。
制御部307のパケット生成部332は、映像付き通話を実現するための上りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部332は、音声I/F部305から出力されたデジタル音声データを適宜分割して各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込み、自機(増設モニタ300)に固有の識別子(以下、「自機IDmonitor」という)およびIDmasterを含む制御データを各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、パケット生成部332は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、上りパケット(送信データ)を生成する。さらに、パケット生成部332は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部332は、上りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部308に出力する。
なお、増設モニタ300とドアホン親機200との間でデータが送受されない待機状態では、パケット生成部332は、上りパケットを生成しない。また、待機状態(非同期通信時)において、呼出ボタンが操作される等の所定のイベントが発生すると、パケット生成部332は、プリアンブルデータ、シンクパターン、制御データを書き込んだ上りパケット(割り込み信号)を生成する。なお、非同期通信時の割り込み信号において使用されるプリアンブルとシンクパターンは、同期通信時に使用されるものと同一である。
制御部307のデータ再生部333は、受信データ処理部313からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部313から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部313から出力された下りパケット(復号データ)に含まれるデジタル映像データをディスプレイ部306に出力し、下りパケットに含まれるデジタル音声データを音声I/F部305に出力し、下りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部334に出力する。なお、データ再生部333は、初期登録時に、下りパケットに含まれる自機IDmonitorおよびIDmasterを識別子記憶部314に記憶させる。
また、データ再生部333は、待機状態(非同期通信時)において所定のイベントが発生し、下り信号(割り込み信号)を入力した場合、下り信号を復調して下りパケットを取得し、下りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部334に出力する。データ再生部333は、接続状態検出部334において正確に割り込み信号を捕捉できたことを確認した後、割り込み信号の制御データを抽出する。制御データが同期要求であれば、増設モニタ300は、ドアホン親機200との同期処理に移行する。
制御部307の接続状態検出部334は、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンを記憶し、データ再生部333から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部334は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。そして、接続状態検出部334は、判定結果を示す反転制御信号(INV CON)を、送信データ反転部309および受信データ反転部312に出力する。
送信データ処理部308は、パケット生成部332からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部332から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部332から出力された上りパケットのデータに対して変調処理を行って上り信号を生成し、送信データ反転部309に出力する。
送信データ反転部309は、接続状態検出部334において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合、送信データ処理部308から出力された上り信号を反転させて送信ドライバ310に出力する。一方、送信データ反転部309は、接続状態検出部334において2線ケーブルが正接続であると判定された場合、送信データ処理部308から出力された上り信号をそのまま送信ドライバ310に出力する。
送信ドライバ310は、制御部307からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、上り信号を、ケーブル接続部301を介してドアホン親機200に送信する。
受信ドライバ311は、ドアホン親機200から送信された下り信号を、ケーブル接続部301を介して受信する。そして、受信ドライバ311は、制御部307からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、下り信号を、受信データ反転部312に出力する。
受信データ反転部312は、接続状態検出部334において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合、受信ドライバ311から出力された下り信号を反転させて受信データ処理部313に出力する。一方、受信データ反転部312は、接続状態検出部334において2線ケーブルが正接続であると判定された場合、受信ドライバ311から出力された下り信号をそのまま受信データ処理部313に出力する。
受信データ処理部313は、第1クロック生成部331から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、受信ドライバ311から出力された下り信号に含まれるプリアンブルデータを用いてドアホン親機200との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、受信データ処理部313は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部333に出力する。
また、受信データ処理部313は、受信データ反転部312から出力された下り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部333に出力する。また、受信データ処理部313は、第1クロック生成部131から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部333に出力する。
識別子記憶部314は、ドアホン親機200から受信した自機IDmonitorおよびIDmasterを記憶する。
なお、本実施の形態においては、増設モニタ300は、所定の商用電源に接続されており、AC/DCコンバータが交流電力を直流に変換して、各構成に電源を供給している。すなわち、増設モニタ300は、図4に示すドアホン親機200と同様の供給電源部および安定化電源部を有する(供給電源部および安定化電源部の図示は省略する)。換言すれば、本実施の形態では、増設モニタ300がドアホン親機200から2線ケーブルを介した電源の供給は受けない場合について説明されている。
また、玄関子機100、ドアホン親機200および増設モニタ300は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ、および通信回路をそれぞれ有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
<変調処理の一例>
次に、送信データ処理部108(208、308)が行う変調処理の一例について図6、図7を用いて説明する。図6、図7では、マンチェスタ符号を採用した場合を示している。
送信データ処理部108(208、308)は、周期Tm毎に、パケットの各データ(1ビット)に対応する信号を1つ生成する。マンチェスタ符号を採用した場合、図6に示すように、送信データ処理部108(208、308)は、値「0」のデータ401にLowからHighへの立上りを発生させ、変調信号402を生成する。また、送信データ処理部108(208、308)は、値「1」のデータ411にHighからLowへの立下りを発生させ、変調信号412を生成する。
そして、図7に示すように、「0,0,1,・・・,1,0」というデータ列421に対して、送信データ処理部108(208、308)は、各ビットの値に対応して、周期Tm毎に立上りあるいは立下りを有する変調信号422を生成する。
<プリアンブルデータの一例>
次に、本実施の形態において使用されるプリアンブルデータの一例について図8を用いて説明する。
図8に示すように、本実施の形態において使用されるプリアンブルデータ(4byte=32bit)は、1byte目から3byte目までが全て「1」のパターンであり、4byte目が、最初から6bitまでが「1」、7bitが「0」、8bit(最後の1bit)が「1」のパターンである。さらに、この場合、プリアンブルデータに続くシンクパターンの最初の1bitが「1」である。この結果、図8に示すプリアンブルデータは、4byte目の6bit目から8bit目にかけての隣接する立下りエッジ間501の期間が他よりも長いユニークパターンとなっている。また、隣接する立下りエッジ間501のH(High)の期間およびL(Low)の期間が他よりも長くなっている。なお、図8は、マンチェスタエンコード後のプリアンブルデータの波形を示している。
なお、本実施の形態では、プリアンブルデータが、図8に示すものが反転されたものであっても良い。すなわち、本実施の形態において使用されるプリアンブルデータ(4byte=32bit)は、1byte目から3byte目までが全て「0」のパターンであり、4byte目が、最初から6bitまでが「0」、7bitが「1」、8bit(最後の1bit)が「0」のパターンであってもよい。この場合、プリアンブルデータに続くシンクパターンの最初の1bitが「0」である。
<受信データ処理部の内部構成>
次に、玄関子機100の受信データ処理部113の内部構成の詳細について、図9を用いて説明する。なお、その説明の際、本実施の形態の同期検出処理について理解を容易にするため、図9と併せて図10を用いる。図10の例において、プリアンブルデータおよびそのユニークパターンは、図8に示したものを用いる。なお、図10では、第1クロック生成部131が48MHzのクロック(CLK)を生成し、第2クロック生成部156が4.8MHzのクロック(SSCK)を生成している場合を示している。
図9に示すように、受信データ処理部113は、第1のユニークパターン検出部151、第2のユニークパターン検出部152、イネーブル信号生成部153、タイミング調整部154、受信データ復号部155および第2クロック生成部156を有する。
受信データ反転部112から出力された受信データは、第1のユニークパターン検出部151、第2のユニークパターン検出部152、タイミング調整部154および受信データ復号部155に入力される。第1クロック生成部131のクロック(CLK)は、第1のユニークパターン検出部151、第2のユニークパターン検出部152、タイミング調整部154、受信データ復号部155および第2クロック生成部156に入力される。
第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152は、ユニークパターン検出用のクロックの第1規定数(例えば、「18」から「22」)を記憶している。
第1のユニークパターン検出部151は、第1クロック生成部131のクロックで、受信データ反転部112から出力された受信データに含まれるプリアンブルデータをサンプリングし、隣接する立下りエッジ間のクロックを計数する。第1のユニークパターン検出部151は、隣接する立下りエッジ間のクロック数が第1規定数のいずれかに一致した場合にユニークパターンを検出したと判定する。図10の例では、隣接する立下りエッジ間501のクロック数「20」が、第1規定数の中の1つと一致する。そして、第1のユニークパターン検出部151は、所定のタイミングで、その旨を示す信号を、イネーブル信号生成部153に出力する。
第2のユニークパターン検出部152は、第1のユニークパターン検出部151と同一タイミングで、受信データ反転部112から出力された受信データに含まれるプリアンブルデータをサンプリングし、隣接する立上りエッジ間のクロックを計数する。第2のユニークパターン検出部152は、隣接する立上りエッジ間のクロック数が第1規定数のいずれかに一致した場合にユニークパターンを検出したと判定し、その旨を示す信号をイネーブル信号生成部153に出力する。
イネーブル信号生成部153は、第1のユニークパターン検出部151あるいは第2のユニークパターン検出部152のいずれかから、ユニークパターンを検出した旨を示す信号を入力すると(図10のタイミング510)、データ再生動作を許可するイネーブル信号をタイミング調整部154およびデータ再生部133に出力する(図10の例では、イネーブル信号SSCSを立下げ、L(Low)信号とする(アクティブにする))。
タイミング調整部154は、内部にタイミング生成用カウンタを有し、イネーブル信号生成部153からイネーブル信号を入力すると、先頭の受信データ(シンクパターン1ビット目)の波形エッジを検出する。なお、先頭の受信データは、プリアンブルデータとシンクパターンの間の波形エッジであるデータ反転のタイミング511から始まる。
そして、タイミング調整部154は、該波形エッジを検出した後に、第1周波数のクロックで、タイミング生成用カウンタによる「0」から「9」までのカウントを繰り返し行い、各受信データの波形エッジのタイミングにおけるカウンタ値を観測する。そして、該カウンタ値が正常な値と異なる場合、タイミング調整部154は、カウンタ値を補正し、補正後のカウンタ値を受信データ復号部155および第2クロック生成部156に出力する。これにより、カウンタ値が所定の値となる範囲であるデータ再生ウィンドウの範囲(図10の範囲502)の開始タイミングが調整される。
受信データ復号部155は、タイミング調整部154からカウンタ値を入力し、データ再生ウィンドウの範囲(図10の範囲502)で、受信データ1ビット分の波形の論理反転をスキャン検出し、当該受信データ1ビット分のマンチェスタエンコードされた波形の論理反転に対応したデータの復号処理を行い、復号データをデータ再生部133に出力する。図10の例では、受信データ復号部155は、範囲502において、波形が「H」から「L」に反転した場合には復号データ「1」を出力し、波形が「L」から「H」に反転した場合には復号データ「0」を出力する。2番目の受信データが受信データ復号部155に入力される時間とほぼ同じ時間に、先頭の受信データの復号データが受信データ復号部155から一定の時間遅延して出力される。なお、受信データ復号部155が行う受信データの復号処理の詳細については後述する。
第2クロック生成部156は、タイミング調整部154からカウンタ値(「0」〜「9」)を入力し、2番目の受信データのカウンタ値「0」(図10のタイミング512)で、SSCKの出力(図10では「L」)を開始し、先頭の受信データのカウンタ値「5」で、一定の遅延後にある先頭の復号データ用のSSCKの論理を「L」から「H」に反転し、2番目の受信データのカウンタ値「0」で、先頭の復号データと2番目の復号データの境界のSSCKの論理を「H」から「L」に反転する。その後、第2クロック生成部156は、再生クロックSSCKについて、カウント値「0」での「H」から「L」への論理反転およびカウント値「5」での「L」から「H」への論理反転を繰り返す。そして、第2クロック生成部156は、「L」から「H」へ論理反転したタイミングで、第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)をデータ再生部133に出力する。
<ユニークパターンの検出の詳細説明>
次に、ユニークパターンの検出について、図11を用いて詳細に説明する。図11(A)は、2線ケーブルが正接続の場合の正常極性のユニークパターンおよびその近傍の受信波形を示し、図11(A)の(1)は、第1のユニークパターン検出部151によって計数されるクロック数を示し、図11(A)の(2)は、第2のユニークパターン検出部152によって計数されるクロック数を示す。図11(B)は、2線ケーブルが逆接続の場合の反転極性のユニークパターンおよびその近傍の受信波形を示し、図11(B)の(1)は、第1のユニークパターン検出部151によって計数されるクロック数を示し、図11(B)の(2)は、第2のユニークパターン検出部152によって計数されるクロック数を示す。
2線ケーブルが正接続の場合、図11(A)の(1)に示すように、第1のユニークパターン検出部151において計数されるクロック数は、ユニークパターン1の隣接する立下りエッジ間では「20」となり、第1規定数の中の1つと一致し、他の隣接する立下りエッジ間では「10」となり、第1規定数の中のいずれにも一致しない。第1のユニークパターン検出部151がユニークパターン1を検出すると、イネーブル信号生成部153が所定のタイミングZでイネーブル信号(SSCS)を立下げる(アクティブにする)。一方、図11(A)の(2)に示すように、第2のユニークパターン検出部152において計数されるクロック数は、いずれの隣接する立上りエッジ間でも「10」または「15」となり、第1規定数の中のいずれにも一致しない。このため、第2のユニークパターン検出部152は、ユニークパターンを検出することができない。このように、2線ケーブルが正接続の場合、受信データ処理部113(第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152)において、サンプリングクロック数がユニークであるユニークパターン1が唯一検出される。
2線ケーブルが逆接続の場合、図11(B)の(2)に示すように、第2のユニークパターン検出部152において計数されるクロック数は、ユニークパターン2の隣接する立上りエッジ間では「20」となり、第1規定数の中の1つと一致し、他の隣接する立上りエッジ間では「10」となり、第1規定数の中のいずれにも一致しない。第2のユニークパターン検出部152がユニークパターン2を検出すると、イネーブル信号生成部153が所定のタイミングYでイネーブル信号(SSCS)を立下げる(アクティブにする)。一方、図11(B)の(1)に示すように、第1のユニークパターン検出部151において計数されるクロック数は、いずれの隣接する立下りエッジ間でも「10」または「15」となり、第1規定数の中の何れにも一致しない。このため、第1のユニークパターン検出部151は、ユニークパターンを検出することができない。このように、2線ケーブルが逆接続の場合、受信データ処理部113(第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152)において、サンプリングクロック数がユニークであるユニークパターン2が唯一検出される。
なお、図11(B)の受信波形は、図11(A)のの受信波形が反転されたものであって、正常極性のときに立下りエッジ間のクロック数が第1規定数となるユニークパターンが存在する場合は、必然的に、反転極性のときに立上りエッジ間のクロック数が第1規定数となるユニークパターンが存在することになる。また、その場合のユニークパターン1とユニークパターン2の配置位置およびタイミングは同一となり、イネーブル信号(SSCS)を立下げる(アクティブにする)タイミングZとYも一致する(図10のタイミング510)。
<同期検出処理のフロー>
次に、玄関子機100(受信データ処理部113、接続状態検出部134)における同期検出処理のフローについて図12を用いて説明する。
ステップS610において、受信データ処理部113は、第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152により、第1クロック生成部131のクロックで、受信ドライバ111から出力された復調前の下り信号に含まれるプリアンブルデータをサンプリングし、隣接する立下りエッジ間あるいは隣接する立上りエッジ間のいずれか一方である測定区間のクロック数に基づいてプリアンブルデータのユニークパターンのチェックを行う。
ユニークパターンを検出できた場合(S620:YES)、ビット同期を取ることができたとして、フローをステップS630へ進め、検出できていない場合(S620:NO)、フローをステップS610に戻し、ユニークパターンのチェックを再び行う。
ステップS630において、接続状態検出部134は、データ再生部133から出力された受信データのシンクパターンのチェックを行う。
受信データのシンクパターンが、正接続チェック用シンクパターンと一致した場合(S640:YES)、ステップS650において、接続状態検出部134は、2線ケーブルが正接続であると判定し、同期検出処理を終了する。
また、受信データのシンクパターンが、逆接続チェック用シンクパターンと一致した場合(S640:NO,S660:YES)、ステップS670において、接続状態検出部134は、2線ケーブルが逆接続であると判定し、同期検出処理を終了する。
また、受信データのシンクパターンが、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンのどちらにも一致しなかった場合(S640:NO,S660:NO)、ステップS680において、接続状態検出部134は、シンクパターンの検知に失敗したと判定し、フローをステップS610に戻し、ユニークパターンのチェックを再び行う。
<ケーブル接続部101およびケーブル接続部201−iの詳細説明>
次に、ケーブル接続部101およびケーブル接続部201−iの詳細について説明する。図13は、玄関子機100のケーブル接続部101とドアホン親機200のケーブル接続部201−iの構成を示した図である。
なお、増設モニタ300のケーブル接続部301の構成図は省略する。上述したように、増設モニタ300は商用電源を使用しているため、2線ケーブルを介したドアホン親機200からの電源受給を受けない。このため、図13に示す玄関子機100のケーブル接続部101とは異なり、増設モニタ300のケーブル接続部301は、2つのフィルタ、ダイオード回路、ダイオード回路の出力に接続される安定化電源部等は有していない。
図13に示すように、玄関子機100のケーブル接続部101は、フィルタ141、フィルタ142、終端回路部143、パルストランス144を有する。
図13のケーブル接続部101において、ラインL1およびL2は電源供給用のラインであり、ラインL3およびL4はデータ通信用のラインである。フィルタ141および142は、直流電流のみを通すフィルタであり、ラインL1およびL2にデジタル通信信号が流れないようにしている。
終端回路部143は、2線ケーブルを終端し、図3に示す送信ドライバ110および受信ドライバ111と接続される。なお、図13において、終端回路部143と図3に示す送信ドライバ110および受信ドライバ111とは1本の配線で接続されているが、2本の平衡配線で接続されていても良い。
パルストランス144は、絶縁用のトランスである。
図13のケーブル接続部101において、ラインL3およびL4はデータ通信用のラインであり、コンデンサC1およびC2、パルストランス144、終端回路部143を介して送信ドライバ110あるいは受信ドライバ111に接続される。コンデンサC1およびC2は、ドアホン親機200側において重畳された電源のDCカット用である。
また、ダイオード回路145は、複数(図13では4個)のダイオードを有する回路である。ダイオード回路145は、2つのダイオードのカソード同士に接続されたノードにプラス側の出力線を接続した第1の回路と、他の2つのダイオードのアノード同士に接続されたノードにマイナス側の出力線を接続した第2の回路とを有し、第1の回路のそれぞれのアノードと、第2の回路のそれぞれのカソードとに接続された2つのノードに2本の入力線(ラインL1およびL2)が接続されて構成された回路である。このような構成により、ダイオード回路145は、ラインL1およびL2への入力の極性にかかわらず、2本の出力線への出力の極性は一定となる。従って、2線ケーブルが逆接続の場合でも、ダイオード回路145は、本来のプラス側の出力線にプラス側の出力を、本来のマイナス側の出力線にマイナス側の出力を、それぞれ出力することができ、正常にドアホン親機200からの電源供給を受けることができる。
安定化電源部146は、2線ケーブルおよびダイオード回路145を介してドアホン親機から供給された直流電力を、玄関子機100の各部へ供給する。
以上のような構成により、玄関子機100のケーブル接続部101は、2線ケーブルが逆接続された場合でも問題なく電力供給を受けることができる。
一方、図13に示すように、ドアホン親機200のケーブル接続部201−iは、フィルタ241、フィルタ242、終端回路部243、パルストランス244を有する。
図13のケーブル接続部201−iにおいて、ラインL7およびL8は電源供給用のラインである。ラインL7は、供給電源部221のプラス側にスイッチ部223を介して接続されている。また、ラインL8は、供給電源部221のマイナス側に接続されている。フィルタ241および242は、直流電流のみを通すフィルタであり、ラインL7およびL8にデジタル通信信号が流れないようにしている。
終端回路部243は、2線ケーブルを終端し、図4に示す送信ドライバ210−iおよび受信ドライバ211−iと接続される。なお、図13において、終端回路部243と図4に示す送信ドライバ210−iおよび受信ドライバ211−iとは、1本の配線で接続されているが、2本の平衡配線で接続されていても良い。
パルストランス244は、絶縁用のトランスである。
図13のケーブル接続部201−iにおいて、ラインL9およびL10はデータ通信用のラインであり、コンデンサC3およびC4、パルストランス244、終端回路部243を介して送信ドライバ210−iあるいは受信ドライバ211−iに接続される。コンデンサC3およびC4は、重畳した電源のDCカット用である。
2線ケーブルL5およびL6は、玄関子機100と対応するドアホン親機200のケーブル接続部201−iとを接続する。2線ケーブルL5およびL6は、デジタル通信信号と、ドアホン親機200側から玄関子機100側へ供給される電力とを重畳して伝送する。
以上説明したように、玄関子機100のケーブル接続部101とドアホン親機200のケーブル接続部201−iは、玄関子機100とドアホン親機200との間のデジタル通信信号の送受信と、ドアホン親機200から玄関子機100への電力供給とを、2線ケーブルを介して行うことができる。
<各装置の動作>
次に、各装置の動作について説明する。
<玄関子機の動作>
図14は、玄関子機100の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS1010において、制御部107は、呼出ボタンが操作されたか否かを判定する。制御部107は、呼出ボタンが操作された場合(S1010:YES)、フローをステップS1020へ進め、操作されていない場合(S1010:NO)、フローを後述のステップS1100へ進める。
ステップS1020において、制御部107は、呼出信号をドアホン親機200へ送信する。
ステップS1030において、制御部107は、ドアホン親機200から応答信号を受信したか否かを判定する。制御部107は、応答信号を受信していない場合(S1030:NO)、フローをステップS1020へ戻し、応答信号を受信した場合(S1030:YES)、フローをステップS1040へ進める。なお、制御部107は、呼出信号を所定回数送信しても応答信号を受信しない場合、フローを、後述のステップS1100へ進めてもよい。
ステップS1040において、制御部107は、マイク104、音声I/F部105、およびカメラ部106を用いて、音声入力および映像撮影を開始する。また、制御部107は、パケット生成部132および送信データ処理部108を用いて、送信の対象となる各種データ(制御データ/デジタル音声データ/デジタル映像データ)のパケット化および符号化を開始する。なお、制御部107は、デジタル音声データおよびデジタル映像データの送信レート制御を行ってもよい。
ステップS1050において、制御部107は、子機側送信区間であるか否かを判定する。制御部107は、送信区間である場合(S1050:YES)、フローをステップS1060へ進め、送信区間ではない場合(S1050:NO)、フローを後述のステップS1070へ進める。
ステップS1060において、制御部107は、送信ドライバ110を用いて、符号化により生成された上り信号を、2線ケーブルを介してドアホン親機200へ送信する。なお、制御部107は、送信区間が終了したとき、上り信号の送信を停止する。
ステップS1070において、制御部107は、親機側送信区間であるか否かを判定する。制御部107は、送信区間である場合(S1070:YES)、フローをステップS1080へ進め、送信区間ではない場合(S1070:NO)、フローを後述のステップS1090へ進める。
ステップS1080において、制御部107は、下り信号の受信、各種データ(制御データ/音声データ)の抽出、および音声の出力を開始する。なお、制御部107は、送信区間が終了したとき、下り信号の受信あるいは各種データの抽出を停止する。
ステップS1090において、制御部107は、玄関子機100とドアホン親機200との間の通話が終了したか否かを判定する。例えば、制御部107は、ドアホン親機200で通話終了の操作が行われたことを示す信号をドアホン親機200から受信したとき、通話が終了したと判定する。制御部107は、通話が終了していない場合(S1090:NO)、フローをステップS1050へ戻し、通話が終了した場合(S1090:YES)、フローをステップS1100へ進める。
ステップS1100において、制御部107は、ドアホン機能に関する処理の終了を指示されたかを判定する。例えば、制御部107は、ドアホン親機200でドアホン機能の停止の操作が行われたことを示す信号をドアホン親機200から受信したとき、上記処理の終了を指示されたと判定する。制御部107は、上記処理の終了を指示されていない場合(S1100:NO)、フローをステップS1010へ戻し、上記処理の終了を指示された場合(S1100:YES)、一連の処理を終了する。
<ドアホン親機の動作>
図15は、ドアホン親機200の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS2010において、制御部207は、玄関子機100から呼出信号を受信したか否かを判定する。制御部207は、呼出信号を受信した場合(S2010:YES)、フローをステップS2020へ進め、呼出信号を受信していない場合(S2010:NO)、フローを後述のステップS2090へ進める。
ステップS2020において、制御部207は、応答信号を玄関子機100へ送信するとともに、音声I/F部205およびスピーカ203を用いて、呼出音を出力する。
ステップS2030において、制御部207は、マイク204および音声I/F部205を用いて、音声入力を開始する。また、制御部207は、パケット生成部232および送信データ処理部208を用いて、送信の対象となる各種データ(制御データ/デジタル音声データ)のパケット化および符号化を開始する。なお、制御部207は、デジタル音声データの送信レート制御を行ってもよい。
ステップS2040において、制御部207は、子機側送信区間であるか否かを判定する。制御部207は、送信区間である場合(S2040:YES)、フローをステップS2050へ進め、送信区間ではない場合(S2040:NO)、フローを後述のステップS2060へ進める。
ステップS2050において、制御部207は、上り信号の受信および各種データ(制御データ/音声データ/映像データ)の抽出を開始する。また、制御部207は、音声I/F部205、スピーカ203および液晶ディスプレイを用いて、音声および映像の出力を開始する。なお、制御部207は、送信区間が終了したとき、上り信号の受信あるいは各種データの抽出を停止する。
ステップS2060において、制御部207は、親機側送信区間であるか否かを判定する。制御部207は、送信区間である場合(S2060:YES)、フローをステップS2070へ進め、送信区間ではない場合(S2060:NO)、フローを後述のステップS2080へ進める。
ステップS2070において、制御部207は、送信ドライバ210を用いて、符号化により生成された下り信号を、2線ケーブルを介して玄関子機100へ送信する。ただし、制御部207は、上述の通り、応答ボタンが操作されるまでは、デジタル音声データの送信を行わないことが望ましい。なお、制御部207は、送信区間が終了したとき、下り信号の送信を停止する。
ステップS2080において、制御部207は、玄関子機100とドアホン親機200との間の通話が終了したか否かを判定する。例えば、制御部207は、ドアホン親機200で通話終了の操作が行われたこと検知したとき、通話が終了したと判定する。なお、制御部207は、かかる通話終了の操作が行われたとき、その旨を示す信号を玄関子機100に送信することが望ましい。制御部207は、通話が終了していない場合(S2080:NO)、フローをステップS2040へ戻し、通話が終了した場合(S2080:YES)、フローをステップS2090へ進める。
ステップS2090において、制御部207は、ドアホン機能に関する処理の終了を指示されたかを判定する。例えば、制御部207は、ドアホン親機200でドアホン機能の停止の操作が行われたことを検知したとき、上記処理の終了を指示されたと判定する。なお、制御部207は、かかるドアホン機能の停止の操作が行われたとき、その旨を示す信号を玄関子機100に送信することが望ましい。制御部207は、上記処理の終了を指示されていない場合(S2090:NO)、フローをステップS2010へ戻し、上記処理の終了を指示された場合(S2090:YES)、一連の処理を終了する。
<玄関子機100のリセット制御時の動作>
次に、ドアホンシステム1において、ドアホン親機200側から玄関子機100のリセット制御を行う場合の動作例について説明する。
上述したように、ドアホン親機200は玄関子機100に電力を供給しており、スイッチ部223によって供給電力を遮断することにより、玄関子機100の電源オン/オフ制御を行うことができる。本実施の形態に係るドアホンシステム1では、このような構成を利用して、ドアホン親機200が玄関子機100の電源をオフにした後、所定時間後にオンにすることで、実質的に玄関子機100のリセット動作を行うことができる。なお、本実施の形態において、リセットとは、例えば再起動等の動作により機器の状態を初期状態に戻すことを意味する。
以下では、ドアホン親機200が玄関子機100のリセット制御を行うときの動作例について説明する。なお、以下の説明では玄関子機100のリセット制御時の動作例について説明するが、ドアホン親機200が電源供給する他の接続機器のリセット制御時の動作も以下の動作と同様である。
図16は、ドアホン親機200による玄関子機100のリセット制御時の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS3010において、ドアホン親機200の制御部207は、玄関子機100をリセットする指示が入力されたか否かを判定する。玄関子機100の電源をリセットする指示は、例えばキー入力部202を介して入力される。制御部207は、玄関子機100をリセットする指示が入力されたと判定した場合(ステップS3010:YES)フローをステップS3020に進め、そうでない場合(ステップS3010:NO)、ステップS3010を繰り返す。
ステップS3020において、制御部207は、スイッチ部223をオフするスイッチ制御信号がslave power OFFをスイッチ部223に対して出力する。
ステップS3030において、制御部207は、スイッチ制御信号slave power OFFを出力し、玄関子機100の電源がオフになってから、所定時間が経過しているか否かを判定する。所定時間とは、玄関子機100内の電荷が放電され、玄関子機100内の電子回路の電圧がリセット可能な電圧まで降下するために十分な時間である。この所定時間は、例えば予め玄関子機100の電源オン/オフを実験的に行って決定し、図示しないメモリ等に格納しておけばよい。制御部207は、所定時間が経過していると判定した場合(ステップS3030:YES)、フローをステップS3040に進め、そうでない場合(ステップS3030:NO)、ステップS3030を繰り返す。
ステップS3040において、制御部207は、スイッチ部223をオンにするスイッチ制御信号(slave power ON)を出力する。
このような動作により、本実施の形態に係るドアホンシステム1では、ドアホン親機200側から容易に玄関子機100のリセットを行うことができる。図4に示すように、スイッチ部223が供給電源部221と全てのケーブル接続部201−1から201−Nの接続路に設けられている場合は、ドアホン親機200は、全ての玄関子機100のリセットを一斉に行うことができる。
なお、図16に関連付けて説明した上記動作例では、ドアホン親機200が玄関子機100のリセットを行う場合について例示したが、例えばドアホン親機に玄関子機100の電源を単にオン/オフする指示が入力された場合には、ドアホン親機200の制御部207は、当該指示に従ってスイッチ部223を制御するスイッチ制御信号を出力するようにすればよい。
また、図16に関連付けて説明した上記動作について、図15に関連付けて説明した、ドアホン機能が要求された際のドアホン親機200の動作において、例えば玄関子機100のリセット指示がキー入力部202に入力された時点で割り込みにより動作が開始されるようにしてもよい。
また、例えばドアホン親機200に設けられたリセットスイッチ(図示せず)によって、ドアホン親機200のリセットを行うことができるように構成される場合がある。このような場合、制御部207は、ドアホン親機200のリセット動作中には、スイッチ部223をオフのままとするスイッチ制御信号を出力して、玄関子機100への電源供給を停止し、玄関子機100の不要な動作を防止するようにしてもよい。
<本実施の形態の効果>
このように、上述した実施の形態に係るドアホンシステム1では、ドアホン親機200と玄関子機100とが2線ケーブルを介して接続され、ドアホン親機200と玄関子機100との間のデジタル通信と、ドアホン親機200から玄関子機100への電源供給とが重畳して行われる。そして、玄関子機100のケーブル接続部101は、2本の入力線(ラインL1およびL2)への入力の極性にかかわらず、2本の出力線への出力の極性を一定とすることができるダイオード回路145を有する。さらに、玄関子機100およびドアホン親機200は、接続状態検出部134および234によって2線ケーブルが逆接続されていると判定された場合、送信データ反転部109、209および受信データ反転部112によって信号反転を行う。
このような構成により、実施の形態に係るドアホンシステム1では、2線ケーブルが逆接続されてしまったとしても、玄関子機100が正常にドアホン親機200からの電源の供給を受けることができ、また玄関子機100とドアホン親機200との間で正常にデジタル通信を行うことができる。
そして、ドアホン親機200は、供給電源部221から全てのケーブル接続部201−iとの接続状態をオンとオフとの間で切り替えるスイッチ部223を有し、制御部207がスイッチ部223を制御することで、玄関子機100に対する電力供給のオン/オフ制御を行う。このような構成により、ドアホン親機200の制御部207は、玄関子機100に対する電力供給をオフにしてから、所定時間後に電力供給をオンにすることによって、玄関子機100の再起動によるリセットを好適に行うことができる。このため、ドアホン親機200は玄関子機100のリセットを容易に行うことができる。
また、ドアホン親機200の制御部207は、玄関子機100のリセット制御時に、玄関子機100の電源がオフされてから、玄関子機100のリセットが確実に可能となるだけの所定の時間が経過するまで待機してから、玄関子機100の電源をオンするスイッチ制御信号を出力する。これにより、制御部207は、玄関子機100の電子回路(制御部107等)に悪影響を与えることなく、確実に玄関子機100のリセットを行うことができる。
以上、本開示の一実施の形態について説明した。以下では、本開示に係る他の実施の形態について具体例を挙げて説明する。
<他の実施の形態1>
図17は、他の実施の形態1に係るドアホンシステム1のドアホン親機200の構成を示すブロック図である。図17に示すドアホン親機200は、複数のスイッチ部223−i(iはケーブル接続部201−iに対応する数)を有する。複数のスイッチ部223−iは、供給電源部221と複数のケーブル接続部201−iとのそれぞれの接続路に設けられており、制御部207は、個別にそれぞれのスイッチ部を制御できる構成となっている。制御部207は、複数の玄関子機100のいずれかに対して、例えば応答要請に対して一定時間応答のない玄関子機100に対応するケーブル接続部201−n(nは応答のない玄関子機100に対応する数)と供給電源部221との接続路に設けられたスイッチ部223−nに対してスイッチ制御信号slave power ON/OFFを出力することにより、玄関子機100毎に個別にオン/オフ制御を行ってリセットすることができる。
他の実施の形態1では、このような構成により、ドアホン親機200に接続された複数の玄関子機100に対して個別にリセットを行うことができる。
<他の実施の形態2>
他の実施の形態2では、ドアホン親機200がスイッチ部223を有していない場合、あるいはスイッチ部223を有していても玄関子機100側の電源をオフできない場合について説明する。
他の実施の形態2においては、ドアホン親機200がスイッチ部223を有していない場合、あるいは、複数の玄関子機100の電源供給を同時にオン/オフする構成で、動作中の子機が存在する等、ドアホン親機200側から玄関子機100側の供給電源をオフできない状態にある場合、供給電源部221からケーブル接続部201−iを介した玄関子機100、あるいは電源供給している他の機器への電力供給を絶つことができない。このため、他の実施の形態2においては、例えばキー入力部202を介して玄関子機100のリセット指示が入力された場合に、割り込み信号に玄関子機100のリセットコマンドを組み込んで玄関子機100に対して送信することで、玄関子機100のリセットを行う。
また、フレームを使用した同期通信時に、前記フレーム内の玄関子機100用のタイムスロットにリセットコマンドを組み込んで玄関子機100に対して送信することで、玄関子機100のリセットを行っても良い。
割り込み信号としては、図2Bにおいて説明したものと同様の割り込み信号を使用すればよい。またフレーム内のタイムスロットを使用した場合は、図2Aにおいて説明したものを使用すればよい。ただし、割り込み信号の制御データフィールドには、玄関子機100をリセットする旨のコマンドが含まれる。
2線ケーブルを介して割り込み信号を受信した玄関子機100の受信データ処理部113は、図18に示すように、割り込み信号をデコードして生成したリセット信号を制御部107に対して出力する。図18は、他の実施の形態2における玄関子機100の構成を示すブロック図である。
より詳細には、図9に示す受信データ復号部155が、割り込み信号を含む受信データを復号し、図18に示すように、復号データの出力とは別に、リセット信号を制御部107に対して出力し、制御部107をリセットする。これにより、他の実施の形態2に係るドアホンシステム1では、ドアホン親機200がスイッチ部223を有していない場合、あるいはスイッチ部223を有していても子機側の電源をオフできない場合でも、玄関子機100のリセット動作を行うことができる。
なお、受信データ処理部113は、制御部107に出力するリセット信号を、一定期間のワンショットパルスとして出力してもよい。
<2線ケーブルの無極性化>
上述した実施の形態において、玄関子機100、ドアホン親機200および増設モニタ300は、接続状態検出部134、234、334にて2線ケーブルの接続状態を検出し、逆接続であった場合には送信データ反転部109、209、309および受信データ反転部112、312において信号を反転させることについて説明した。これにより、2線ケーブルの接続を実質的に無極性化することができ、2線ケーブルの接続状態に影響されないデジタル通信を実現することができる。
しかしながら、デジタル通信の送受信信号を反転するのは送信側あるいは受信側のどちらか一方でもよい。以下では、玄関子機100とドアホン親機200との間で無極性化を実現するための構成について例示する。
図19は、2線ケーブルが正接続の状態になっているときの様子を示す模式図である。図20〜図23は、2線ケーブルが逆接続の状態になっているときの様子を示す模式図である。
なお、図19〜図23において、2線ケーブルを使用したデジタル通信の無極性化に密接に関連する部分以外の部分については、図示を省略している。また、図19〜23において、玄関子機100およびドアホン親機200(以下、適宜「機器」と総称する)のそれぞれは、送信データ反転部および受信データ反転部を備えているものとする。上述した実施の形態では、ドアホン親機200が受信データ反転部を有しない構成について説明したが、以下の説明では、ドアホン親機200が受信データ反転部215を有する場合についても説明する。
送信データ反転部は、上述の通り、接続状態検出部から出力された反転制御信号(INV CON)に従って、送信データ処理部から出力された送信信号を反転させ、あるいは反転させずに、送信ドライバへ出力する。
また、受信データ反転部は、上述の通り、接続状態検出部から出力された反転制御信号(INV CON)に従って、受信ドライバから出力された受信信号を反転させ、あるいは反転させずに、受信データ処理部へ出力する。
また、図19〜図23において、送信データ反転部および受信データ反転部のうち、信号の反転を行わない状態(信号をそのままスルーさせる状態)のものは、破線で示している。また、図19〜図23における2線ケーブルの2つの線は、2線ケーブルを構成する2本のケーブルを示す。
図19に示すように、2線ケーブルが正接続となっている場合、2線ケーブルの両側の機器の間で極性は一致している。従って、両方の機器は、上り信号および下り信号のいずれに対しても反転を行う必要がない。従って、各機器の送信データ反転部109、209および受信データ反転部112、215は、信号反転を行わない。
一方、図20〜図23に示すように、2線ケーブルが逆接続となっている場合、2線ケーブルの両側の機器の間で極性は逆転している。従って、上り信号および下り信号の両方について、いずれかの機器において信号反転を行う必要がある。
図20は、両方の機器において、接続状態検出部134、234により逆接続の検出を行い、逆接続が検出されたとき、送信データ反転部109、209が信号反転を開始する例を示す。この場合、玄関子機100およびドアホン親機200は、必ずしも受信データ反転部112、215を備える必要がない。
一方、図21は、両方の機器において、逆接続が検出されたときに受信データ反転部112、212が信号反転を開始する例を示す。この場合、玄関子機100およびドアホン親機200は、必ずしも送信データ反転部109、209を備える必要がない。
または、例えば、図22および図23に示すように、一方の機器のみにおいて、接続状態検出部により逆接続の検出を行い、逆接続が検出されたとき、当該機器の送信データ反転部および受信データ反転部において、信号反転を開始するようにしてもよい。この場合、他方の機器は、必ずしも接続状態検出部、送信データ反転部および受信データ反転部を備える必要がない。
このように、本開示において、2線ケーブル実質的に無極性化するための構成は、上述した実施の形態に限定されない。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
上述した実施の形態において、ドアホン親機200および玄関子機100は、2線ケーブルの極性を調整する構成として接続状態検出部および送信データ反転部を有していたが、例えば極性の調整が必要ない場合には、これらの構成を有しないようにしてもよい。
また、上述した実施の形態において、ドアホン親機200が複数の玄関子機100あるいは増設モニタ300と接続されている構成について例示したが、ドアホン親機200と接続される玄関子機100あるいは増設モニタ300は1つであってもよい。
また、上述した実施の形態においては、ドアホン親機200はスイッチ部223のオン/オフ制御を行うことで、玄関子機100に対する電源供給を制御していたが、例えばスイッチ部223ではなく、供給電源部221そのもののオン/オフ制御を行うことにより、玄関子機100に対する電源供給を制御するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態においては、ドアホン親機200と玄関子機100等の接続機器同士の接続を一例として説明したが、本開示はこれに限られない。例えば、その他の応用機器として、ビジネスホン(内線電話機と制御装置間)、ホームセキュリティ装置(監視カメラ装置と室内モニタ間、各種センサーノードと制御装置間)等の制御装置(通信装置)等であっても、同様の効果が得られる。