以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<システムの概要>
まず、本開示の一実施の形態に係るドアホンシステムの概要について説明する。
図1は、本実施の形態に係るドアホンシステムの構成の一例を示すシステム構成図である。本実施の形態に係るドアホンシステムは、例えば、親世帯用と子世帯用とに住居スペースが分かれた、二世帯住宅に設置されるシステムである。
図1に示すように、ドアホンシステム1は、例えば親世帯用の住居スペースに配置される第1のドアホンシステム1aと、例えば子世帯用の住居スペースに配置される第2のドアホンシステム1bと、これらを接続する通信ケーブル11と、を有する。
第1のドアホンシステム1aは、2つの第1の玄関子機100a−1、100a−2、第1のドアホン親機200aおよび第1の増設モニタ300aを有する。第1の玄関子機100a−1、100a−2および第1の増設モニタ300aは、それぞれ、通信ケーブル101a−1、101a−2、301aを介して第1のドアホン親機200aに接続されている。第1のドアホンシステム1aは、第1のドアホン親機200aによるデータ転送機能により、第1のドアホン親機200aを中心としたスター型の通信ネットワークを形成している。
第2のドアホンシステム1bは、2つの第2の玄関子機100b−1、100b−2、第2のドアホン親機200bおよび第2の増設モニタ300bを有する。第2の玄関子機100b−1、100b−2および第2の増設モニタ300bは、それぞれ、通信ケーブル101b−1、101b−2、301bを介して第1のドアホン親機200bに接続されている。第2のドアホンシステム1bは、第2のドアホン親機200bによるデータ転送機能により、第2のドアホン親機200bを中心としたスター型の通信ネットワークを形成している。
通信ケーブル11は、第1のドアホン親機200aと第2のドアホン親機200bとを接続している。通信ケーブル11、101a−1、101a−2、301a、101b−1、101b−2、301bのそれぞれは、1対の銅線から成る2線ケーブルである。
なお、以下では、第1のドアホン親機200aおよび第2のドアホン親機200bは、同一の構成を有するため、適宜「ドアホン親機200」として纏めて説明を行う。また、第1の玄関子機100a−1、100a−2および第2の玄関子機100b−1、100b−2は、同一の構成を有するため、適宜「玄関子機100」として纏めて説明を行う。また、第1の増設モニタ300aおよび第2の増設モニタ300bは、同一の構成を有するため、適宜「増設モニタ300」として纏めて説明を行う。
玄関子機100は、親世帯の住居スペースおよび子世帯の住居スペースのそれぞれの玄関先に設けられる。ドアホン親機200および増設モニタ300は、親世帯の住居スペースおよび子世帯の住居スペースのそれぞれの宅内に設けられ、壁に固定されたり、テーブルまたは台の上などに載置されたりする。
玄関子機100は、呼出ボタンの操作等の所定の操作が行われたとき、呼出信号を含む制御信号を生成し、玄関周辺の映像を撮影して映像データを生成し、玄関周辺の音声を取得して音声データを生成する。また、玄関子機100は、ドアホン親機200から受信した音声データおよび制御情報に従って、音声の出力等を行う。
ドアホン親機200は、玄関子機100と通信を行い、玄関子機100から制御信号、映像データ、および音声データを受信し、音声データおよび制御情報を送信する。また、ドアホン親機200は、増設モニタ300と通信を行う。そして、ドアホン親機200は、玄関子機100から受信した制御信号、映像データおよび音声データ(以下、適宜「各種子機データ」という)を増設モニタ300へ転送し、増設モニタ300から受信した音声データおよび制御情報を玄関子機100へ転送する。
ドアホン親機200は、玄関子機100から呼出信号を受信したとき、呼出音の出力を行うと共に、玄関周辺の映像および音声を出力する。そして、応答ボタンの操作等の所定の操作が行われると、ドアホン親機200周辺の音声を取得して音声データを生成し、制御情報と共に玄関子機100へ送信する。
また、ドアホン親機200は、ドアホンシステム1の他のドアホン親機200と通信を行い、玄関子機100から受信した各種子機データを他のドアホン親機200へ転送し、他のドアホン親機200から受信した各種子機データに対し、音声/映像出力や転送等の所定の処理を行う。
増設モニタ300は、ドアホン親機200から呼出信号を受信したとき、呼出音の出力を行うと共に、玄関周辺の映像および音声を出力する。そして、応答ボタンの操作等の所定の操作が行われると、増設モニタ300周辺の音声を取得して音声データを生成し、制御情報と共にドアホン親機200へ送信する。
なお、以下の説明において、玄関子機100あるいは増設モニタ300からドアホン親機200への方向を「上り方向」といい、玄関子機100あるいは増設モニタ300から上り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「上りパケット」、「上り信号」という。また、ドアホン親機200から玄関子機100あるいは増設モニタ300への方向を「下り方向」といい、ドアホン親機200から下り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「下りパケット」、「下り信号」という。
<フレーム構成、タイムスロット構成>
次に、本実施の形態に係る同期通信時のフレーム構成、タイムスロット構成について図2Aを用いて説明する。図2Aに示すように、各フレームは、48000bitの領域を有し、10ms周期、4.8Mbpsのビットレートであり、24個のタイムスロットに分割される。したがって、各タイムスロットは、2000bit=250byteの領域を有し、0.416ms周期、4.8Mbpsのビットレートになる。
各タイムスロットは、52byteのガードスペース(Guard)、4byteのプリアンブルフィールド、2byteのシンクフィールド(Sync)、32byteの制御データフィールド、160byteのユーザデータフィールドに分けられている。
ガードスペースは、伝播遅延時間差やクロックジッタ等によるタイムスロットの衝突を避けるための時間である。プリアンブルフィールドには、所定のユニークパターンを有するプリアンブルデータ(後述)が付加される。シンクフィールドには、所定のシンクパターンが付加される。制御データフィールドには、制御データが付加される。ユーザデータフィールドには、画像データおよび音声データが付加される。ここでシンクパターンとは、シンクフィールドに配置された既知のデータあるいはデータ列であって、受信データ受信時の同期を確立するために用いられ、受信データが正確なタイミングで受信されたことを確認するための予め規定した既知のデータパターンである。
<割り込み信号の構成>
次に、本実施の形態に係る非同期通信時の割り込み信号の構成について図2Bを用いて説明する。
図2Bに示すように、割り込み信号は、4byteのプリアンブルフィールド、2byteのシンクフィールド(Sync)、32byteの制御データフィールドに分けられている。さらに、図2Bに示す割り込み信号には、将来の拡張用として、30byteのユーザデータフィールドが設けられている。
割り込み信号のプリアンブルデータおよびシンクパターンは、図2Aに示した同期通信時のタイムスロットと同一のものである。これにより、同期通信時と非同期通信時とで受信部等を共用できるため、コストを抑えることができる。
割り込み信号の制御データフィールドには、メッセージ種別(同期要求等)、送信元機器番号(ID)等の制御情報が書き込まれる。割り込み信号のユーザデータフィールドは、機器異常情報(機器の異常を検知したことを示す情報)等、メッセージ種別に応じた詳細情報を通知するフィールドとして使用しても良い。
なお、図2Bに示す割り込み信号は、接続機器の初期登録時にも使用される。
<玄関子機の構成>
次に、玄関子機100の構成について、図3のブロック図を用いて説明する。図3に示すように、玄関子機100は、ケーブル接続部101、キー入力部102、スピーカ103、マイク104、音声I/F(インターフェイス)部105、カメラ部106および制御部107を有する。制御部107は、内部に、第1クロック生成部131、パケット生成部132、データ再生部133、接続状態検出部134、水晶発振周波数制御部135、水晶発振部136を有する。また、玄関子機100は、送信データ処理部108、送信データ反転部109、送信ドライバ110、受信ドライバ111、受信データ反転部112、受信データ処理部113、識別子記憶部114を有する。
ケーブル接続部101は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの玄関側の一端と、受信ドライバ111および送信ドライバ110との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。なお、2線ケーブルの他端は、ドアホン親機200に接続される。
キー入力部102は、呼出ボタンを含み、呼出ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部107に出力する。
スピーカ103は、音声I/F部105から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク104は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部105に出力する。
音声I/F部105は、制御部107から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ103に出力する。また、音声I/F部105は、マイク104から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部107に出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部105は、マイク104から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部107に出力してもよい。また、音声I/F部105は、制御部107から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
カメラ部106は、デジタルカメラを含み、玄関の映像を撮影し、デジタル映像データを生成して、制御部107に出力する。なお、カメラ部106は、エンコーダモジュールを搭載していてもよい。すなわち、カメラ部106は、デジタルカメラから出力された映像データに対してH.264等の所定の動画圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル映像データとして制御部107に出力してもよい。
制御部107は、玄関子機100の各部の制御を行う。また、制御部107は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を送信ドライバ110および受信ドライバ111に出力する。
制御部107の第1クロック生成部131は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振部136の発振周波数を基準に、受信データのビットレートのn倍(nは1以上)に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部113に出力する。
制御部107のパケット生成部132は、映像付き通話を実現するための上りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部132は、音声I/F部105から出力されたデジタル音声データおよびカメラ部106から出力されたデジタル映像データを適宜分割して各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込み、自機(玄関子機100)に固有の識別子(以下、「自機IDslave」という)および通信相手のドアホン親機200の識別子(以下、「IDmaster」という)を含む制御データを各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、パケット生成部132は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、上りパケット(送信データ)を生成する。さらに、パケット生成部132は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部132は、上りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部108に出力する。なお、クロック(SSCK)は、水晶発振部136の発振周波数を基準にして生成される。
なお、玄関子機100とドアホン親機200との間でデータが送受されない待機状態では、パケット生成部132は、上りパケットを生成しない。また、待機状態(非同期通信時)において、呼出ボタンが操作される等の所定のイベントが発生すると、パケット生成部132は、プリアンブルデータ、シンクパターン、制御データを書き込んだ上りパケット(割り込み信号)を生成する。なお、非同期通信時の割り込み信号において使用されるプリアンブルとシンクパターンは、同期通信時に使用されるものと同一である。
制御部107のデータ再生部133は、受信データ処理部113からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部113から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部113から出力された下りパケットを再生し、再生した下りパケット(復号データ)に含まれるデジタル音声データを音声I/F部105に出力し、シンクパターンを接続状態検出部134に出力する。また、データ再生部133は、再生した下りパケット(デジタル通信フレーム)を水晶発振周波数制御部135に出力する。なお、データ再生部133は、初期登録時に、下りパケットに含まれる自機IDslaveおよびIDmasterを識別子記憶部114に記憶させる。
また、データ再生部133は、待機状態(非同期通信時)において所定のイベントが発生し、下り信号(割り込み信号)を入力した場合、下り信号を復調して下りパケットを取得し、下りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部134に出力する。データ再生部133は、接続状態検出部134において正確に割り込み信号を捕捉できたことを確認した後、割り込み信号の制御データを抽出する。制御データが同期要求であれば、玄関子機100は、ドアホン親機200との同期処理に移行する。
制御部107の接続状態検出部134は、2線ケーブルが正接続である場合のチェック用シンクパターン(以下、「正接続チェック用シンクパターン」という(例えば、16bit全てが「0」))、および、正接続チェック用シンクパターンの逆のパターンであって、2線ケーブルが逆接続である場合のチェック用シンクパターン(以下、「逆接続チェック用シンクパターン」という(例えば、16bit全てが「1」))を記憶している。そして、接続状態検出部134は、データ再生部133から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部134は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。そして、接続状態検出部134は、判定結果を示す反転制御信号(INV CON)を、送信データ反転部109および受信データ反転部112に出力する。
制御部107の水晶発振周波数制御部135は、データ再生部133から出力された再生データの規定のデータ数が占める時間と、この規定のデータ数に対応する内部の計測用クロックのカウントによる時間との時間差を減らすように、水晶発振部136の発振周波数を制御する。なお、水晶発振周波数制御部135の構成の詳細については後述する。
制御部107の水晶発振部136は、水晶発振子を有し、発振周波数の電圧振幅信号(周波数信号)を第1クロック生成部131、パケット生成部132および水晶発振周波数制御部135に出力する。また、水晶発振部136は、水晶発振周波数制御部135の制御に基づき、発振周波数を微調整する。なお、水晶発振部136の構成の詳細については後述する。
送信データ処理部108は、パケット生成部132からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部132から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部132から出力された上りパケットのデータに対して変調処理を行って上り信号を生成し、送信データ反転部109に出力する。なお、送信データ処理部108の変調処理の詳細(具体例)については後述する。
送信データ反転部109は、接続状態検出部134において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合、送信データ処理部108から出力された上り信号を反転させて送信ドライバ110に出力する。一方、送信データ反転部109は、接続状態検出部134において2線ケーブルが正接続であると判定された場合、送信データ処理部108から出力された上り信号をそのまま送信ドライバ110に出力する。
送信ドライバ110は、制御部107からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、上り信号を、ケーブル接続部101を介してドアホン親機200に送信する。
受信ドライバ111は、ドアホン親機200から送信された下り信号を、ケーブル接続部101を介して受信する。そして、受信ドライバ111は、制御部107からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、下り信号を、受信データ反転部112に出力する。
受信データ反転部112は、接続状態検出部134において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合、受信ドライバ111から出力された下り信号を反転させて受信データ処理部113に出力する。一方、受信データ反転部112は、接続状態検出部134において2線ケーブルが正接続であると判定された場合、受信ドライバ111から出力された下り信号をそのまま受信データ処理部113に出力する。
受信データ処理部113は、第1クロック生成部131から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、受信ドライバ111から出力された下り信号に含まれるプリアンブルデータを用いてドアホン親機200との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、受信データ処理部113は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部133に出力する。
また、受信データ処理部113は、受信データ反転部112から出力された下り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部133に出力する。また、受信データ処理部113は、第1クロック生成部131から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部133に出力する。なお、受信データ処理部113の構成の詳細については、後述する。
識別子記憶部114は、ドアホン親機200から受信した自機IDslaveおよびIDmasterを記憶する。
<ドアホン親機の構成>
次に、ドアホン親機200の構成について、図4のブロック図を用いて説明する。図4に示すように、ドアホン親機200は、ケーブル接続部201、キー入力部202、スピーカ203、マイク204、音声I/F部205、ディスプレイ部206および制御部207を有する。制御部207は、内部に、第1クロック生成部231、パケット生成部232、データ再生部233、接続状態検出部234、水晶発振周波数制御部235、水晶発振部236を有する。また、ドアホン親機200は、送信データ処理部208、送信データ反転部209、送信ドライバ210、受信ドライバ211およびルーティング制御部212、受信データ処理部213、識別子記憶部214、不揮発性メモリ215を有する。なお、ドアホン親機200は、ケーブル接続部201、送信ドライバ210および受信ドライバ211を、N個(Nは自然数)有する。
ケーブル接続部201−i(iは1からNまでの何れかの整数)は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの室内側の一端と、送信ドライバ210−iおよび受信ドライバ211−iとの間を、信号を伝送可能な状態で接続する。なお、各2線ケーブルの他端は、玄関子機100、増設モニタ300あるいは他のドアホンシステムの親機に接続される。図4では、ケーブル接続部201−1が、他のドアホンシステムの親機に接続されている場合を例示している。
キー入力部202は、応答ボタンを含み、応答ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部207に出力する。
スピーカ203は、音声I/F部205から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク204は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部205に出力する。
音声I/F部205は、制御部207から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ203に出力する。また、音声I/F部205は、マイク204から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部207に出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部205は、マイク204から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部207に出力してもよい。また、音声I/F部205は、制御部207から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
ディスプレイ部206は、液晶ディスプレイを含み、制御部207から出力されたデジタル映像データを再生し、玄関の映像を表示する。なお、制御部207から出力されたデジタル映像データが所定の動画圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の動画伸張処理を行って、映像表示を行う。
制御部207は、ドアホン親機200の各部の制御を行う。また、制御部207は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を各送信ドライバ210−i、各受信ドライバ211−iおよびルーティング制御部212に出力する。
制御部207の第1クロック生成部231は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振部236の発振周波数を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部213に出力する。
制御部207のパケット生成部232は、映像付き通話を実現するための下りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部232は、音声I/F部205から出力されたデジタル音声データを適宜分割して各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込み、自機(ドアホン親機200)に固有の識別子(以下、「自機IDmaster」という)および通信相手の機器の識別子を含む制御データを各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、パケット生成部232は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、下りパケット(送信データ)を生成する。さらに、パケット生成部232は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部232は、下りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部208に出力する。なお、クロック(SSCK)は、水晶発振部236の発振周波数を基準にして生成される。
また、パケット生成部232は、ドアホン親機200の動作あるいは玄関子機100の動作に関する制御データを、玄関子機100への送信の対象となるデータとして送信データ処理部208に出力してもよい。かかる制御データには、例えば、ドアホン親機200から玄関子機100のカメラ動作(データレート、パン、チルト、ライト、シャッター、およびフィルタ等の動作)や、玄関子機100に備えられた各種センサデバイスの動作を、ドアホン親機200から制御するための制御信号が含まれる。また、かかる制御データには、玄関子機100に備えられた無線通信回路等(図示せず)を介して屋外に配置されたデバイス(門の電子鍵等)の動作を制御するための制御信号が含まれる。
なお、玄関子機100(あるいは増設モニタ300)とドアホン親機200との間でデータが送受されない待機状態では、パケット生成部232は、下りパケットを生成しない。また、待機状態(非同期通信時)において、応答ボタンが操作される等の所定のイベントが発生すると、パケット生成部232は、プリアンブルデータ、シンクパターン、制御データを書き込んだ下りパケット(割り込み信号)を生成する。なお、非同期通信時の割り込み信号において使用されるプリアンブルとシンクパターンは、同期通信時に使用されるものと同一である。
制御部207のデータ再生部233は、受信データ処理部213からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部213から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部213から出力された上りパケットを再生し、再生した上りパケット(復号データ)に含まれるデジタル音声データを音声I/F部205に出力し、デジタル映像データをディスプレイ部206に出力し、シンクパターンを接続状態検出部234に出力する。また、データ再生部233は、再生した下りパケット(デジタル通信フレーム)を水晶発振周波数制御部235に出力する。
また、データ再生部233は、待機状態(非同期通信時)において所定のイベントが発生し、上り信号(割り込み信号)を入力した場合、上り信号を復調して上りパケットを取得し、上りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部234に出力する。データ再生部233は、接続状態検出部234において正確に割り込み信号を捕捉できたことを確認した後、割り込み信号の制御データを抽出する。制御データが同期要求であれば、ドアホン親機200は、玄関子機100あるいは増設モニタ300との同期処理に移行する。
制御部207の接続状態検出部234は、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンを記憶し、データ再生部233から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部234は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。そして、接続状態検出部234は、判定結果を示す反転制御信号(INV CON)を、送信データ反転部209に出力する。
制御部207の水晶発振周波数制御部235は、データ再生部233から出力された再生データの規定のデータ数が占める時間と、この規定のデータ数に対応する内部の計測用クロックのカウントによる時間との時間差を減らすように、水晶発振部236の発振周波数を制御する。なお、水晶発振周波数制御部235は、受信データ処理部213からのイネーブル信号で、水晶発振部236に対する制御動作をオン/オフする。具体的には、水晶発振周波数制御部235は、ドアホン親機200が、スロット管理を行うマスタ親機である場合には、水晶発振部236の発振周波数を調整しない。一方、水晶発振周波数制御部235は、ドアホン親機200が、スロット管理を行わないスレーブ親機である場合には、水晶発振部236の発振周波数を調整する。
制御部207の水晶発振部236は、水晶発振子を有し、発振周波数の電圧振幅信号(周波数信号)を第1クロック生成部231、パケット生成部232および水晶発振周波数制御部235に出力する。また、水晶発振部236は、水晶発振周波数制御部235の制御に基づき、発振周波数を微調整する。
送信データ処理部208は、パケット生成部232からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部232から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部232から出力された下りパケットのデータに対して変調処理を行って下り信号を生成し、ルーティング制御部212に出力する。
送信データ反転部209は、接続状態検出部234において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合、ルーティング制御部212から出力された下り信号を反転させて送信ドライバ210−1に出力する。一方、送信データ反転部209は、接続状態検出部234において2線ケーブルが正接続であると判定された場合、ルーティング制御部212から出力された下り信号をそのまま送信ドライバ210−1に出力する。
送信ドライバ210−1は、制御部207からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、下り信号を、ケーブル接続部201−1を介して他のドアホンシステムの親機に送信する。送信ドライバ210−i(この場合、iは1以外)は、制御部207からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、下り信号を、ケーブル接続部201−iを介して玄関子機100あるいは増設モニタ300に送信する。
受信ドライバ211−iは、玄関子機100、増設モニタ300あるいは他のドアホンシステムの親機から送信された上り信号を、ケーブル接続部201−iを介して受信する。そして、受信ドライバ211−iは、制御部207からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、上り信号を、ルーティング制御部212に出力する。
ルーティング制御部212は、玄関子機100から送信され、受信ドライバ211−iから出力された上り信号を、ドアホン親機200宛である場合には受信データ処理部213に出力し、増設モニタ300宛である場合には対応の送信ドライバ210−iに出力する。また、ルーティング制御部212は、送信データ処理部208から出力された玄関子機100宛の下り信号を、対応の送信ドライバ210−iに出力する。また、ルーティング制御部212は、増設モニタ300から送信され、受信ドライバ211−iから出力された玄関子機100宛の上り信号を、対応の送信ドライバ210−iに出力する。また、ルーティング制御部212は、ルーティング(通信ルートの有効/無効)の制御を行う。なお、ルーティング制御部212が行うルーティング制御の具体例については後述する。
受信データ処理部213は、第1クロック生成部231から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、ルーティング制御部212から出力された上り信号に含まれるプリアンブルデータを用いて玄関子機100との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、受信データ処理部213は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部233および水晶発振周波数制御部235に出力する。
また、受信データ処理部213は、ルーティング制御部212から出力された上り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部233に出力する。また、受信データ処理部213は、第1クロック生成部231から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部233に出力する。
識別子記憶部214は、自機IDmaster、および、各機器(玄関子機100、増設モニタ300、他のドアホンシステムの親機)の識別子を記憶する。
不揮発性メモリ215は、水晶発振部236のレジスタの初期値等を保持する。
<増設モニタの構成>
次に、増設モニタ300の構成について、図5のブロック図を用いて説明する。図5に示すように、増設モニタ300は、ケーブル接続部301、キー入力部302、スピーカ303、マイク304、音声I/F(インターフェイス)部305、ディスプレイ部306および制御部307を有する。制御部307は、内部に、第1クロック生成部331、パケット生成部332、データ再生部333、接続状態検出部334、水晶発振周波数制御部335、水晶発振部336を有する。また、増設モニタ300は、送信データ処理部308、送信データ反転部309、送信ドライバ310、受信ドライバ311、受信データ反転部312、受信データ処理部313、識別子記憶部314を有する。
ケーブル接続部301は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの増設モニタ側の一端と、受信ドライバ311および送信ドライバ310との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。なお、2線ケーブルの他端は、ドアホン親機200に接続される。
キー入力部302は、呼出ボタンを含み、呼出ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部307に出力する。
スピーカ303は、音声I/F部305から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク304は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部305に出力する。
音声I/F部305は、制御部307から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ303に出力する。また、音声I/F部305は、マイク304から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部307に出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部305は、マイク304から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部307に出力してもよい。また、音声I/F部305は、制御部307から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
ディスプレイ部306は、液晶ディスプレイを含み、制御部307から出力されたデジタル映像データを再生し、玄関の映像を表示する。なお、制御部307から出力されたデジタル映像データが所定の動画圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の動画伸張処理を行って、映像表示を行う。
制御部307は、増設モニタ300の各部の制御を行う。また、制御部307は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を送信ドライバ310および受信ドライバ311に出力する。
制御部307の第1クロック生成部331は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振部336の発振周波数を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部313に出力する。
制御部307のパケット生成部332は、映像付き通話を実現するための上りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部332は、音声I/F部305から出力されたデジタル音声データを適宜分割して各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込み、自機(増設モニタ300)に固有の識別子(以下、「自機IDmonitor」という)およびIDmasterを含む制御データを各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、パケット生成部332は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、上りパケット(送信データ)を生成する。さらに、パケット生成部332は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部332は、上りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部308に出力する。なお、クロック(SSCK)は、水晶発振部336の発振周波数を基準にして生成される。
なお、増設モニタ300とドアホン親機200との間でデータが送受されない待機状態では、パケット生成部332は、上りパケットを生成しない。また、待機状態(非同期通信時)において、呼出ボタンが操作される等の所定のイベントが発生すると、パケット生成部332は、プリアンブルデータ、シンクパターン、制御データを書き込んだ上りパケット(割り込み信号)を生成する。なお、非同期通信時の割り込み信号において使用されるプリアンブルとシンクパターンは、同期通信時に使用されるものと同一である。
制御部307のデータ再生部333は、受信データ処理部313からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部313から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部313から出力された下りパケットを再生し、再生した下りパケット(復号データ)に含まれるデジタル映像データをディスプレイ部306に出力し、デジタル音声データを音声I/F部305に出力し、シンクパターンを接続状態検出部334に出力する。また、データ再生部333は、再生した下りパケット(デジタル通信フレーム)を水晶発振周波数制御部335に出力する。なお、データ再生部333は、初期登録時に、下りパケットに含まれる自機IDmonitorおよびIDmasterを識別子記憶部314に記憶させる。
また、データ再生部333は、待機状態(非同期通信時)において所定のイベントが発生し、下り信号(割り込み信号)を入力した場合、下り信号を復調して下りパケットを取得し、下りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部334に出力する。データ再生部333は、接続状態検出部334において正確に割り込み信号を捕捉できたことを確認した後、割り込み信号の制御データを抽出する。制御データが同期要求であれば、増設モニタ300は、ドアホン親機200との同期処理に移行する。
制御部307の接続状態検出部334は、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンを記憶し、データ再生部333から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部334は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。そして、接続状態検出部334は、判定結果を示す反転制御信号(INV CON)を、送信データ反転部309および受信データ反転部312に出力する。
制御部307の水晶発振周波数制御部335は、データ再生部333から出力された再生データの規定のデータ数が占める時間と、この規定のデータ数に対応する内部の計測用クロックのカウントによる時間との時間差を減らすように、水晶発振部336の発振周波数を制御する。
制御部307の水晶発振部336は、水晶発振子を有し、発振周波数の電圧振幅信号(周波数信号)を第1クロック生成部331、パケット生成部332および水晶発振周波数制御部335に出力する。また、水晶発振部336は、水晶発振周波数制御部335の制御に基づき、発振周波数を微調整する。
送信データ処理部308は、パケット生成部332からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部332から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部332から出力された上りパケットのデータに対して変調処理を行って上り信号を生成し、送信データ反転部309に出力する。
送信データ反転部309は、接続状態検出部334において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合、送信データ処理部308から出力された上り信号を反転させて送信ドライバ310に出力する。一方、送信データ反転部309は、接続状態検出部334において2線ケーブルが正接続であると判定された場合、送信データ処理部308から出力された上り信号をそのまま送信ドライバ310に出力する。
送信ドライバ310は、制御部307からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、上り信号を、ケーブル接続部301を介してドアホン親機200に送信する。
受信ドライバ311は、ドアホン親機200から送信された下り信号を、ケーブル接続部301を介して受信する。そして、受信ドライバ311は、制御部307からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、下り信号を、受信データ反転部312に出力する。
受信データ反転部312は、接続状態検出部334において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合、受信ドライバ311から出力された下り信号を反転させて受信データ処理部313に出力する。一方、受信データ反転部312は、接続状態検出部334において2線ケーブルが正接続であると判定された場合、受信ドライバ311から出力された下り信号をそのまま受信データ処理部313に出力する。
受信データ処理部313は、第1クロック生成部331から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、受信ドライバ311から出力された下り信号に含まれるプリアンブルデータを用いてドアホン親機200との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、受信データ処理部313は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部333に出力する。
また、受信データ処理部313は、受信データ反転部312から出力された下り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部333に出力する。また、受信データ処理部313は、第1クロック生成部131から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部333に出力する。
識別子記憶部314は、ドアホン親機200から受信した自機IDmonitorおよびIDmasterを記憶する。
なお、玄関子機100、ドアホン親機200および増設モニタ300は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ、および通信回路をそれぞれ有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
<変調処理の一例>
次に、送信データ処理部108(208、308)が行う変調処理の一例について図6、図7を用いて説明する。図6、図7では、マンチェスタ符号を採用した場合を示している。
送信データ処理部108(208、308)は、周期Tm毎に、パケットの各データ(1ビット)に対応する信号を1つ生成する。マンチェスタ符号を採用した場合、図6に示すように、送信データ処理部108(208、308)は、値「0」のデータ401にLowからHighへの立上りを発生させ、変調信号402を生成する。また、送信データ処理部108(208、308)は、値「1」のデータ411にHighからLowへの立下りを発生させ、変調信号412を生成する。
そして、図7に示すように、「0,0,1,・・・,1,0」というデータ列421に対して、送信データ処理部108(208、308)は、各ビットの値に対応して、周期Tm毎に立上りあるいは立下りを有する変調信号422を生成する。
<プリアンブルデータの一例>
次に、本実施の形態において使用されるプリアンブルデータの一例について図8を用いて説明する。
図8に示すように、本実施の形態において使用されるプリアンブルデータ(4byte=32bit)は、1byte目から3byte目までがすべて「1」のパターンであり、4byte目が、最初から6bitまでが「1」、7bitが「0」、8bit(最後の1bit)が「1」のパターンである。さらに、この場合、プリアンブルデータに続くシンクパターンの最初の1bitが「1」である。この結果、図8に示すプリアンブルデータは、4byte目の6bit目から8bit目にかけての隣接する立下りエッジ間501の期間が他よりも長いユニークパターンとなっている。また、隣接する立下りエッジ間501のH(High)の期間およびL(Low)の期間が他よりも長くなっている。なお、図8は、マンチェスタエンコード後のプリアンブルデータの波形を示している。
なお、本実施の形態では、プリアンブルデータが、図8に示すものが反転されたものであっても良い。すなわち、本実施の形態において使用されるプリアンブルデータ(4byte=32bit)は、1byte目から3byte目までがすべて「0」のパターンであり、4byte目が、最初から6bitまでが「0」、7bitが「1」、8bit(最後の1bit)が「0」のパターンであってもよい。この場合、プリアンブルデータに続くシンクパターンの最初の1bitが「0」である。
<受信データ処理部の内部構成>
次に、玄関子機100の受信データ処理部113の内部構成の詳細について、図9を用いて説明する。なお、その説明の際、本実施の形態の同期検出処理について理解を容易にするため、図9と併せて図10を用いる。図10の例において、プリアンブルデータおよびそのユニークパターンは、図8に示したものを用いる。なお、図10では、第1クロック生成部131が48MHzのクロック(CLK)を生成し、第2クロック生成部156が4.8MHzのクロック(SSCK)を生成している場合を示している。
図9に示すように、受信データ処理部113は、第1のユニークパターン検出部151、第2のユニークパターン検出部152、イネーブル信号生成部153、タイミング調整部154、受信データ復号部155および第2クロック生成部156を有する。
受信データ反転部112から出力された受信データは、第1のユニークパターン検出部151、第2のユニークパターン検出部152、タイミング調整部154および受信データ復号部155に入力される。第1クロック生成部131のクロック(CLK)は、第1のユニークパターン検出部151、第2のユニークパターン検出部152、タイミング調整部154、受信データ復号部155および第2クロック生成部156に入力される。
第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152は、ユニークパターン検出用のクロックの第1規定数(例えば、「18」から「22」)を記憶している。
第1のユニークパターン検出部151は、第1クロック生成部131のクロックで、受信データ反転部112から出力された受信データに含まれるプリアンブルデータをサンプリングし、隣接する立下りエッジ間のクロックを計数する。第1のユニークパターン検出部151は、隣接する立下りエッジ間のクロック数が第1規定数のいずれかに一致した場合にユニークパターンを検出したと判定する。図10の例では、隣接する立下りエッジ間501のクロック数「20」が、第1規定数の中の1つと一致する。そして、第1のユニークパターン検出部151は、所定のタイミングで、その旨を示す信号を、イネーブル信号生成部153に出力する。
第2のユニークパターン検出部152は、第1のユニークパターン検出部151と同一タイミングで、受信データ反転部112から出力された受信データに含まれるプリアンブルデータをサンプリングし、隣接する立上りエッジ間のクロックを計数する。第2のユニークパターン検出部152は、隣接する立上りエッジ間のクロック数が第1規定数のいずれかに一致した場合にユニークパターンを検出したと判定し、その旨を示す信号をイネーブル信号生成部153に出力する。
イネーブル信号生成部153は、第1のユニークパターン検出部151あるいは第2のユニークパターン検出部152のいずれかから、ユニークパターンを検出した旨を示す信号を入力すると(図10のタイミング510)、データ再生動作を許可するイネーブル信号をタイミング調整部154およびデータ再生部133に出力する(図10の例では、イネーブル信号SSCSを立下げ、L(Low)信号とする(アクティブにする))。
タイミング調整部154は、内部にタイミング生成用カウンタを有し、イネーブル信号生成部153からイネーブル信号を入力すると、先頭の受信データ(シンクパターン1ビット目)の波形エッジを検出する。なお、先頭の受信データは、プリアンブルデータとシンクパターンの間の波形エッジであるデータ反転のタイミング511から始まる。
そして、タイミング調整部154は、該波形エッジを検出した後に、第1周波数のクロックで、タイミング生成用カウンタによる「0」から「9」までのカウントを繰り返し行い、各受信データの波形エッジのタイミングにおけるカウンタ値を観測する。そして、該カウンタ値が正常な値と異なる場合、タイミング調整部154は、カウンタ値を補正し、補正後のカウンタ値を受信データ復号部155および第2クロック生成部156に出力する。これにより、カウンタ値が所定の値となる範囲であるデータ再生ウィンドウの範囲(図10の範囲502)の開始タイミングが調整される。
受信データ復号部155は、タイミング調整部154からカウンタ値を入力し、データ再生ウィンドウの範囲(図10の範囲502)で、受信データ1ビット分の波形の論理反転をスキャン検出し、当該受信データ1ビット分のマンチェスタエンコードされた波形の論理反転に対応したデータの復号処理を行い、復号データをデータ再生部133に出力する。図10の例では、受信データ復号部155は、範囲502において、波形が「H」から「L」に反転した場合には復号データ「1」を出力し、波形が「L」から「H」に反転した場合には復号データ「0」を出力する。2番目の受信データが受信データ復号部155に入力される時間とほぼ同じ時間に、先頭の受信データの復号データが受信データ復号部155から一定の時間遅延して出力される。なお、受信データ復号部155が行う受信データの復号処理の詳細については後述する。
第2クロック生成部156は、タイミング調整部154からカウンタ値(「0」〜「9」)を入力し、2番目の受信データのカウンタ値「0」(図10のタイミング512)で、SSCKの出力(図10では「L」)を開始し、先頭の受信データのカウンタ値「5」で、一定の遅延後にある先頭の復号データ用のSSCKの論理を「L」から「H」に反転し、2番目の受信データのカウンタ値「0」で、先頭の復号データと2番目の復号データの境界のSSCKの論理を「H」から「L」に反転する。その後、第2クロック生成部156は、再生クロックSSCKについて、カウント値「0」での「H」から「L」への論理反転およびカウント値「5」での「L」から「H」への論理反転を繰返す。そして、第2クロック生成部156は、「L」から「H」へ論理反転したタイミングで、第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)をデータ再生部133に出力する。
ドアホン親機200の受信データ処理部213の内部構成および増設モニタ300の受信データ処理部313の内部構成は、玄関子機100の受信データ処理部113の内部構成と同一である。
<水晶発振周波数の要件>
次に、本実施の形態の水晶発振周波数の要件について、図11を用いて説明する。
送信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成したクロックでサンプリングして生成されたデータのタイムスロットを、受信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成したクロックでサンプリングした場合、本実施の形態のシステムはタイムスロット内のシンクパターンの第1ビットで再同期するシステムであるため、同タイムスロット内のシンクパターンの第1ビットから1552ビット(= 2 + 32 + 160 ) x 8)後のユーザデータの最終ビットのデータにおいて、送信側のクロックに対する受信側のクロックのずれが最大となる。なお、本システムでは、次のタイムスロットにおいて、シンクパターンの第1ビットで再同期する。
ここで、システム要件として、上記タイムスロットの1552ビットのデータをサンプリングした場合のクロックのずれの許容範囲が、1ビットデータ長の1/5(前後1/10)まで、すなわち±64ppm(= 1/1552 x 1/5 x 1/2)以内とする。送信側のクロックを規準にした場合、受信側のクロックのずれが、常に±64ppm以内になるように受信側の水晶発振周波数が調整されていれば、受信側の機器は受信データを復号処理できる。
そこで、本実施の形態では、図11に示すように、規定のデータ数(例えば100フレーム分のデータ数)で、送信側データ時間601と受信側の計測時間602との時間差603を検出し、その時間差に応じて、受信側の水晶発振周波数を調整する。送信側データ時間601とは、送信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成された通信用クロックでサンプリングした送信データの規定のデータ数が占める時間である。受信側の計測時間602とは、受信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成された通信クロックでカウントした規定のデータ数に相当する時間である。
なお、1つのタイムスロットあるいは1つのフレーム(24個のタイムスロット)にて、送信側データ時間と受信側の計測時間との時間差を検出しようとすると、差分の累積が小さく、時間差が短いため、高速のクロックが必要となってしまう。
また、本実施の形態では、調整幅の最小レンジを、例えばMAX±5ppm等、システム要件に応じて予め決定しておく。調整幅の最小レンジにより、時間差を検出するための計測用クロックの周波数が決まる。
<水晶発振周波数制御部の内部構成>
次に、玄関子機100の水晶発振周波数制御部135の内部構成の詳細について、図12を用いて説明する。図12に示すように、水晶発振周波数制御部135は、計測用クロック生成部181、送信側データ時間計測部182、受信側内部時間計測部183、受信側時間差計算部184および調整値設定部185を有する。
計測用クロック生成部181は、水晶発振部136の水晶発振周波数を基準に、調整幅の最小レンジに基づく周波数(例えば、48MHz)の計測用クロックを生成し、受信側内部時間計測部183および送信側データ時間計測部182に計測用クロックを継続的に出力する。ここで、計測用クロックおよび通信用クロックの周波数は、何れも、受信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成された既知の値であり、計測用クロックの周波数は通信用クロックの周波数と等しくても良い。
送信側データ時間計測部182は、データ再生部133から出力された再生データの規定のデータ数が占める時間(受信データのカウント開始ポイントからカウント終了ポイントまでの時間)(以下、「基準時間」という)を計測する。この基準時間は、送信側の機器であるドアホン親機200において、内部の水晶発振部236の発振周波数に基づいて生成された通信用クロックでサンプリングした送信データの規定のデータ数が占める時間(図11の601)に相当する。
受信側内部時間計測部183は、通信用クロックでカウントした規定のデータ数に相当する時間を計測用クロックのカウント数に換算し、計測用クロック生成部181から出力された計測用クロックを、カウント開始ポイントから、規定のデータ数に相当する数だけカウントし、計測用クロックのカウント開始から終了までの時間(図11の602)(以下、「比較時間」という)を計測する。
なお、送信側データ時間計測部182および受信側内部時間計測部183におけるカウント開始ポイントに特に限定は無く、例えば、第1番目のフレーム内の第1タイムスロットのプリアンブルのユニークパターン検出後にSSCSが「H」から「L」に立ち下がったポイント(図10の510)とすれば良い。この場合、送信側データ時間計測部182におけるカウント終了ポイントは、規定数が100個であれば、第101番目のフレーム内の第1タイムスロットのSSCSが「H」から「L」に立ち下がったポイントとなる。また、プリアンブルとシンクパターンの境目のエッジ(図10の511)をカウント開始ポイントおよびカウント終了ポイントとしても良い。ここで、受信データ処理部113で出力され、データ再生部133を経由して、水晶発振周波数制御部135に入力されるSSCSが「H」から「L」に立ち下がったポイントを、送信側データの計測の開始ポイントおよび終了ポイントとして使用する場合、カウント開始ポイントのSSCSトリガからカウント終了ポイントのSSCSトリガまでの期間を、計測用クロック生成部181で生成された計測用クロックで計測する。
受信側時間差計算部184は、送信側データ時間計測部182で計測された基準時間と受信側内部時間計測部183で計測された比較時間との差(図11の603)を計算する。
調整値設定部185は、基準時間と比較時間とのずれを減らすために、受信側時間差計算部184で計算された時間差に対応する既知の容量値を水晶発振部136のレジスタ199(図13参照)に設定し、水晶発振部136の発振周波数を調整する。なお、受信側時間差計測部184で計算された時間差が所定の閾値以下になった場合には、調整値設定部185は、発振周波数の調整を停止しても良い。また、閾値にはヒステリシスを持たせても良い。
なお、本実施の形態では、上記の水晶発振周波数の調整動作を、通常動作時の受信データ処理と並行して、バックグランドで実施することができる。これにより、調整用の時間を設定する必要がなく、通常の受信動作で受信データのビットエラーが発生しない初期調整のばらつき範囲内であれば、高精度なデジタル通信を行うことができる。
また、本実施の形態では、計測用クロック生成部181が生成する計測用クロックの代わりに、第1クロック生成部131が生成するクロックを計測用クロックとして使用しても良い。
また、ドアホン親機200の水晶発振周波数制御部235の内部構成および増設モニタ300の水晶発振周波数制御部335の内部構成は、玄関子機100の水晶発振周波数制御部135の内部構成と同一である。
ただし、2世帯ドアホンシステムのドアホン親機200では、イネーブル信号で、水晶発振周波数制御部235の制御動作をオン/オフする。ドアホン親機200が、スロット管理を行うマスタ親機である場合には、水晶発振部236の発振周波数を調整しないため、レジスタ値を現状維持にする等、水晶発振周波数制御部235の動作をオフし、スロット管理を行わないスレーブ親機である場合には、水晶発振周波数制御部235の動作をオンする。また、電源ブレーカが切断された等の理由によりマスタ親機が通信不能になり、スレーブ親機が、規定の時間あるいは規定の回数においてマスタ親機からの応答がないことを検知すると、動作可能なスレーブ親機が、マスタ親機として動作を開始する。この場合、新たなマスタ親機の水晶発振周波数が調整の基準となり、新たなマスタ親機は水晶発振周波数制御部235の動作をオフする。
他のドアホンシステムと接続しない単独のドアホンシステムの場合(図1においてドアホンシステム1a、1bが通信ケーブル11で接続しない場合)、ドアホン親機200は、常に水晶発振周波数制御部235の動作をオフする、あるいは、水晶発振周波数制御部235を具備しない。
また、基準となる水晶発振周波数を持つドアホン親機200がリセットで再起動する場合、ドアホン親機200は、不揮発性メモリ215に保持されている初期値にレジスタ値を設定し、通常動作前に全ての接続機器の水晶発振周波数の調整を完了させてから、通常動作に移行する。
<水晶発振部の内部構成>
次に、玄関子機100の水晶発振部136の内部構成の詳細について、図13を用いて説明する。図13に示すように、水晶発振部136は、水晶発振子190(振動周波数X1)、インバータ191、帰還抵抗192(抵抗値Rf)、ダンピング抵抗193(抵抗値Rd)、バッファ194、入力容量195(容量値C2)、出力容量196(容量値C3)からなる一般的なCMOSインバータ水晶発振回路に、入力容量197(容量値C1)、出力容量198(容量値C4)、レジスタ199を追加した構成を採る。
入力容量197の容量値C1および出力容量198の容量値C4は、予め、レジスタ199の初期値に対応する規定値になるように設定される。
水晶発振周波数制御部135(調整値設定部185)によってレジスタ199に新たな値が設定されると、この値に応じて、入力容量197の容量値C1あるいは出力容量198の容量値C4が調整される。これにより、水晶発振部136の発振周波数は、送信側のドアホン親機200の水晶発振周波数に合うように微調整される。水晶発振部136の出力信号である発振周波数の電圧振幅信号(周波数信号)は、水晶発振周波数制御部135および第1クロック生成部131に出力される。
<同期検出処理のフロー>
次に、玄関子機100(受信データ処理部113、接続状態検出部134)における同期検出処理のフローについて図14を用いて説明する。
ステップS610において、受信データ処理部113は、第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152により、第1クロック生成部131のクロックで、受信ドライバ111から出力された復調前の下り信号に含まれるプリアンブルデータをサンプリングし、隣接する立下りエッジ間あるいは隣接する立上りエッジ間の何れか一方である測定区間のクロック数に基づいてプリアンブルデータのユニークパターンのチェックを行う。
ユニークパターンを検出できた場合(S620:YES)、ビット同期を取ることができたとして、フローをステップS630へ進め、検出できていない場合(S620:NO)、フローをステップS610に戻し、ユニークパターンのチェックを再び行う。
ステップS630において、接続状態検出部134は、データ再生部133から出力された受信データのシンクパターンのチェックを行う。
受信データのシンクパターンが、正接続チェック用シンクパターンと一致した場合(S640:YES)、ステップS650において、接続状態検出部134は、2線ケーブルが正接続であると判定し、同期検出処理を終了する。
また、受信データのシンクパターンが、逆接続チェック用シンクパターンと一致した場合(S640:NO,S660:YES)、ステップS670において、接続状態検出部134は、2線ケーブルが逆接続であると判定し、同期検出処理を終了する。
また、受信データのシンクパターンが、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンのどちらにも一致しなかった場合(S640:NO,S660:NO)、ステップS680において、接続状態検出部134は、シンクパターンの検知に失敗したと判定し、フローをステップS610に戻し、ユニークパターンのチェックを再び行う。
<初期登録までのシーケンス>
次に、本実施の形態に係る初期登録までのシーケンスについて図15を用いて説明する。
玄関子機100とドアホン親機200が2線ケーブルで接続され、電源がONされた場合(S701)、ドアホン親機200は、玄関子機100に対して、制御データフィールドに登録開始情報が書き込まれた割り込み信号を送信する(S702)。
玄関子機100は、ドアホン親機200からの割り込み信号を捕捉し、割り込み信号の制御データ(登録開始情報)を確認する(S703)。なお、割り込み信号の捕捉とは、具体的には、第1周波数のクロックを用いて割り込み信号のサンプリングを行い、プリアンブル内のユニークパターンを検出してビット同期を確立し、第2周波数のクロックを用いて割り込み信号を再生してシンクパターンを検出することである。
また、玄関子機100は、割り込み信号のシンクパターンを用いて、2線ケーブルの反転検出(正接続/逆接続の判定)を行い、2線ケーブルが逆接続である場合、送信データ反転部109および受信データ反転部112に対して反転設定を行う(S704)。
その後、玄関子機100は、制御データフィールドに登録開始情報の受領確認が書き込まれた割り込み信号をドアホン親機200に送信する(S705)。
ドアホン親機200は、玄関子機100からの割り込み信号を捕捉し、割り込み信号の制御データ(登録開始情報受領)を確認する(S706)。
そして、ドアホン親機200は、玄関子機100に割り当てた固有の識別子(端末ID)が制御データフィールドに書き込まれた割り込み信号を送信する(S707)。
玄関子機100は、割り込み信号の制御データ(端末ID)を確認し、制御データフィールドに端末IDの受領確認が書き込まれた割り込み信号をドアホン親機200に送信する(S708)。
以上の処理により、初期登録が完了する(S709)。
<待機状態から通信状態までのシーケンス>
次に、本実施の形態に係る待機状態(非同期通信時)から通信状態までのシーケンスについて図16を用いて説明する。なお、図16では、玄関子機100−1、100−2および増設モニタ300がドアホン親機200と接続している場合のシーケンスを示す。
各機器とドアホン親機200との間でデータが送受されない待機状態(非同期通信時)において(S801)、玄関子機100−2の呼出ボタンが操作された場合(S802)、玄関子機100−2は、制御データフィールドに同期要求が書き込まれた割り込み信号をドアホン親機200に送信することにより同期要求を行う(S803)。
ドアホン親機200は、割り込み信号を捕捉し(S804)、割り込み信号に含まれる同期要求を確認する。なお、割り込み信号の捕捉とは、具体的には、第1周波数のクロックを用いて割り込み信号のサンプリングを行い、プリアンブル内のユニークパターンを検出してビット同期を確立し、第2周波数のクロックを用いて割り込み信号を再生してシンクパターンを検出することである。
ドアホン親機200は、玄関子機100−2からの同期要求を確認すると、各機器と同期通信するためのフレームタイミングを決定し(S805)、各機器に同期スロット信号を送信する(S806)。
各機器は、同期スロット信号に従って、ドアホン親機200と同期を取る(S807)。これにより、各機器とドアホン親機200との間は、同期状態となる(S808)。
その後、玄関子機100−2は、制御データフィールドに画像接続要求が書き込まれた上りパケットを親機200に送信することにより画像接続要求を行う(S809)。ドアホン親機200は、画像接続要求を確認すると、制御データフィールドに画像接続確認が書き込まれた下りパケットを玄関子機100−2に送信することにより画像接続確認を行う(S810)。以降、玄関子機100−2が上りパケットによりドアホン親機200に画像データを送信し、ドアホン親機200が当該画像データを表示する画像データ通信状態となる(S811)。なお、玄関子機100−2から送信された画像データは、ドアホン親機200から他の機器(玄関子機100−1、増設モニタ300)に同報送信され、増設モニタ300においても、画像データが表示可能になる。
<各装置の動作>
次に、各装置の動作について説明する。
<玄関子機の動作>
図17は、玄関子機100の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS1010において、制御部107は、呼出ボタンが操作されたか否かを判定する。制御部107は、呼出ボタンが操作された場合(S1010:YES)、フローをステップS1020へ進め、操作されていない場合(S1010:NO)、フローを後述のステップS1100へ進める。
ステップS1020において、制御部107は、呼出信号をドアホン親機200へ送信する。
ステップS1030において、制御部107は、ドアホン親機200から応答信号を受信したか否かを判定する。制御部107は、応答信号を受信していない場合(S1030:NO)、フローをステップS1020へ戻し、応答信号を受信した場合(S1030:YES)、フローをステップS1040へ進める。なお、制御部107は、呼出信号を所定回数送信しても応答信号を受信しない場合、フローを、後述のステップS1100へ進めてもよい。
ステップS1040において、制御部107は、マイク104、音声I/F部105、およびカメラ部106を用いて、音声入力および映像撮影を開始する。また、制御部107は、パケット生成部132および送信データ処理部108を用いて、送信の対象となる各種データ(制御データ/デジタル音声データ/デジタル映像データ)のパケット化および符号化を開始する。なお、制御部107は、デジタル音声データおよびデジタル映像データの送信レート制御を行ってもよい。
ステップS1050において、制御部107は、子機側送信区間であるか否かを判定する。制御部107は、送信区間である場合(S1050:YES)、フローをステップS1060へ進め、送信区間ではない場合(S1050:NO)、フローを後述のステップS1070へ進める。
ステップS1060において、制御部107は、送信ドライバ110を用いて、符号化により生成された上り信号を、2線ケーブルを介してドアホン親機200へ送信する。なお、制御部107は、送信区間が終了したとき、上り信号の送信を停止する。
ステップS1070において、制御部107は、親機側送信区間であるか否かを判定する。制御部107は、送信区間である場合(S1070:YES)、フローをステップS1080へ進め、送信区間ではない場合(S1070:NO)、フローを後述のステップS1090へ進める。
ステップS1080において、制御部107は、下り信号の受信、各種データ(制御データ/音声データ)の抽出、および音声の出力を開始する。なお、制御部107は、送信区間が終了したとき、下り信号の受信あるいは各種データの抽出を停止する。
ステップS1090において、制御部107は、玄関子機100とドアホン親機200との間の通話が終了したか否かを判定する。例えば、制御部107は、ドアホン親機200で通話終了の操作が行われたことを示す信号をドアホン親機200から受信したとき、通話が終了したと判定する。制御部107は、通話が終了していない場合(S1090:NO)、フローをステップS1050へ戻し、通話が終了した場合(S1090:YES)、フローをステップS1100へ進める。
ステップS1100において、制御部107は、ドアホン機能に関する処理の終了を指示されたかを判定する。例えば、制御部107は、ドアホン親機200でドアホン機能の停止の操作が行われたことを示す信号をドアホン親機200から受信したとき、上記処理の終了を指示されたと判定する。制御部107は、上記処理の終了を指示されていない場合(S1100:NO)、フローをステップS1010へ戻し、上記処理の終了を指示された場合(S1100:YES)、一連の処理を終了する。
<ドアホン親機の動作>
図18は、ドアホン親機200の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS2010において、制御部207は、玄関子機100から呼出信号を受信したか否かを判定する。制御部207は、呼出信号を受信した場合(S2010:YES)、フローをステップS2020へ進め、呼出信号を受信していない場合(S2010:NO)、フローを後述のステップS2090へ進める。
ステップS2020において、制御部207は、応答信号を玄関子機100へ送信するとともに、音声I/F部205およびスピーカ203を用いて、呼出音を出力する。
ステップS2030において、制御部207は、マイク204および音声I/F部205を用いて、音声入力を開始する。また、制御部207は、パケット生成部232および送信データ処理部208を用いて、送信の対象となる各種データ(制御データ/デジタル音声データ)のパケット化および符号化を開始する。なお、制御部207は、デジタル音声データの送信レート制御を行ってもよい。
ステップS2040において、制御部207は、子機側送信区間であるか否かを判定する。制御部207は、送信区間である場合(S2040:YES)、フローをステップS2050へ進め、送信区間ではない場合(S2040:NO)、フローを後述のステップS2060へ進める。
ステップS2050において、制御部207は、上り信号の受信および各種データ(制御データ/音声データ/映像データ)の抽出を開始する。また、制御部207は、音声I/F部205、スピーカ203および液晶ディスプレイを用いて、音声および映像の出力を開始する。なお、制御部207は、送信区間が終了したとき、上り信号の受信あるいは各種データの抽出を停止する。
ステップS2060において、制御部207は、親機側送信区間であるか否かを判定する。制御部207は、送信区間である場合(S2060:YES)、フローをステップS2070へ進め、送信区間ではない場合(S2060:NO)、フローを後述のステップS2080へ進める。
ステップS2070において、制御部207は、送信ドライバ210を用いて、符号化により生成された下り信号を、2線ケーブルを介して玄関子機100へ送信する。但し、制御部207は、上述の通り、応答ボタンが操作されるまでは、デジタル音声データの送信を行わないことが望ましい。なお、制御部207は、送信区間が終了したとき、下り信号の送信を停止する。
ステップS2080において、制御部207は、玄関子機100とドアホン親機200との間の通話が終了したか否かを判定する。例えば、制御部207は、ドアホン親機200で通話終了の操作が行われたこと検知したとき、通話が終了したと判定する。なお、制御部207は、かかる通話終了の操作が行われたとき、その旨を示す信号を玄関子機100に送信することが望ましい。制御部207は、通話が終了していない場合(S2080:NO)、フローをステップS2040へ戻し、通話が終了した場合(S2080:YES)、フローをステップS2090へ進める。
ステップS2090において、制御部207は、ドアホン機能に関する処理の終了を指示されたかを判定する。例えば、制御部207は、ドアホン親機200でドアホン機能の停止の操作が行われたことを検知したとき、上記処理の終了を指示されたと判定する。なお、制御部207は、かかるドアホン機能の停止の操作が行われたとき、その旨を示す信号を玄関子機100に送信することが望ましい。制御部207は、上記処理の終了を指示されていない場合(S2090:NO)、フローをステップS2010へ戻し、上記処理の終了を指示された場合(S2090:YES)、一連の処理を終了する。
<通常動作時のルーティング制御>
次に、本実施の形態に係るドアホン親機200の通常動作時のルーティング制御の具体例について、図19、図20を用いて説明する。図19の例では、ドアホン親機200(制御部207(図19では「親機制御部」と記載))が、いずれかのDRV(送信ドライバ(Tx)と受信ドライバ(Rx)のセット)1〜5を介して5個の機器(玄関子機100、増設モニタ300、他のドアホンシステムの親機)と接続している場合を示している。この場合、7種類の設定パターン(P1〜P7)が用意される。図20は、ルーティング制御部212の内部構成を示す図である。図20に示すように、ルーティング制御部212は、内部に、切替スイッチ2121およびOR回路2122を有する。
設定パターンP1は、ドアホン親機200がいずれの機器ともデータの送受を行っていない待機状態におけるルーティング(通信ルートの有効/無効)を示す。設定パターンP1では、ドアホン親機200は、受信モード(送信を行わず、受信のみを行うモード)となり、制御部207は、図19に示すように受信モードであるため、SPI-RWの制御により、切替スイッチ2121の端子T3をT2に接続し、各機器からのデータ受信が可能となるように各DRVの受信ドライバ(Rx)を有効にし、各接続機器からの割り込みを待っている状態となる。なお、設定パターンP1で、各接続機器からの割り込みを待っている状態において、すべてのDRVの受信ドライバ(Rx)の出力は「L」とする。
待機状態において、いずれかの機器から非同期の割り込み信号を受信した場合、ドアホン親機200は、当該割り込み信号を送信した機器との間で同期を確立する。例えば、ドアホン親機200は、DRV1から割り込み信号を受信した場合、DRV1と接続する機器と同期を確立し、データの送受を行う(P2(送信時)またはP3(受信時)に移行する)。
設定パターンP2は、ドアホン親機200が全ての機器に対してデータを送信する一斉送信時(Broadcast)におけるルーティングを示す。設定パターンP2では、ドアホン親機200は、送信モード(受信を行わず、送信のみを行うモード)となり、制御部207は、切替スイッチ2121の端子T3を端子T1と接続させ、各機器へのデータ送信が可能となるように各DRVの送信ドライバ(Tx)を有効にする。このとき、いずれかの機器からドアホン親機200にデータが送信されても、各DRVにおいて受信できず、親機200において当該データは破棄される。なお、設定パターンP2では、ドアホン親機200が、接続中のすべての機器に対してデータ送信を行うが、下りパケットの制御データフィールドには通信相手の機器の識別子のみが記載されているため、他の機器は、データを受信しても破棄する。なお、設定パターンP2で、すべてのDRVの受信ドライバ(Rx)の出力は「L」とする。
設定パターンP3からP7は、ドアホン親機200がいずれか1つの機器からデータを受信する個別受信時におけるルーティングを示す。設定パターンP3からP7では、ドアホン親機200は受信モードとなり、制御部207は、切替スイッチ2121の端子T3を端子T2と接続させ、各設定パターンに対応する1つのDRVの受信ドライバ(Rx)を有効にし、他のDRVの送信ドライバ(Tx)を有効にする。これにより、ドアホン親機200は、受信ドライバ(Rx)が選択されたDRVから受信したデータを、ルーティング制御部212において、受信データ処理部213に出力すると同時に、当該データをそのまま、送信ドライバ(Tx)が選択されたすべてのDRVに接続されている他の機器に同報送信することができる。したがって、同報送信する際に、受信データを復号して解析する必要がない。なお、送信ドライバ(Tx)が選択されているすべてのDRVの受信ドライバ(Rx)の出力は「L」とする。
例えば、ドアホン親機200が、玄関子機100のデータをDRV2から受信する場合、制御部207は、DRV2の受信ドライバ(Rx)を有効とし、他のDRVの送信ドライバ(Tx)を有効にする。この場合、玄関子機100からのデータは、DRV2から受信され、ルーティング制御部212のOR回路2122を通り、復号用として受信データ処理部213へ出力される。さらに、OR回路2122を通ったデータは、切替スイッチ2121を経由して、DRV1、3、4、5に送信され、各接続機器に同報送信される。その際、DRV2は、受信ドライバ(Rx)のみが有効であり、送信ドライバ(Tx)が無効であるため、OR回路2122を通ったデータは、DRV2からは同報送信されない。また、この時、他の機器からドアホン親機200にデータが送信されても、DRV1、3、4、5において受信できず、親機200において当該データは破棄される。
<初期登録時のルーティング制御>
次に、本実施の形態に係るドアホン親機200の初期登録時のルーティング制御の具体例について、図20、図21を用いて説明する。図21の例では、ドアホン親機200(制御部207(図21では「親機制御部」と記載))が、いずれかのDRV1〜5を介して5個の機器と接続している場合を示している。この場合、5種類の設定パターン(EP1〜EP5)が用意される。
設定パターンEP1からEP5は、ドアホン親機200がいずれか1つの機器を登録する初期登録時におけるルーティングを示す。設定パターンEP1からEP5では、ドアホン親機200は送信モードとなり、制御部207は、切替スイッチ2121の端子T3を端子T1と接続させ、登録対象の機器に対応するDRVの送信ドライバ(Tx)を有効にし、他のDRVの受信ドライバ(Rx)を有効にする。これにより、ドアホン親機200は、パケットを送信する区間において、登録対象以外の機器に対してパケットの送信を行わず、登録対象の機器のみにパケットの送信を行うことができる。なお、このとき、他のDRVの受信ドライバ(Rx)が有効になるが、ドアホン親機200が送信の場合は、全ての機器からのパケットの受信を遮断する論理とし、それらのDRVからのパケットの受信を受け付けない(SPI-RWで制御部207は送信を選択する)。なお、各登録対象の機器からドアホン親機200へのパケットの送信は、図19のP3からP7の設定を使用する。この場合、他接続機器への同報送信の機能が働くが、ドアホン親機200のみへの送信であるため、他接続機器はこれを無視する。これにより、ドアホン親機200が、各玄関子機100等の登録対象機器と1対1に通信することができる。なお、送信ドライバ(Tx)が選択されているすべてのDRVの受信ドライバ(Rx)の出力は「L」とする。また、DRVの受信ドライバ(Rx)が選択され、各接続機器からの割り込みを待っている状態においては、受信ドライバ(Rx)の出力は「L」とする。
<本実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態では、受信側の機器が、内部の水晶発振部の発振周波数に基づくクロックと送信側の機器の水晶発振周波数に基づくクロックとのずれを計算し、このクロックのずれを減らすように内部の水晶発振部の発振周波数を調整することにより、機器間の水晶発振周波数のずれをシステム動作の許容範囲に抑えることができる。
また、本実施の形態では、規定数(例えば、100個)のフレームにおける送信側と受信側との時間差を検出することにより、安価な水晶発振子を使用しても、送信側と受信側とのクロックのずれを高精度に計算することができる。
なお、本実施の形態では、時分割複信のデジタル通信を例に説明したが、本発明はこれに限られず、それぞれのシステム要件を満たすように水晶発振部の発振周波数を設定することにより、他のデジタル通信にも適用できる。例えば、その他の応用機器として、ビジネスホン(内線電話機と制御装置間)、ホームセキュリティ装置(監視カメラ装置と室内モニタ間、各種センサーノードと制御装置間)等の制御装置(通信装置)などであっても、同様の効果が得られる。