以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
<システムの概要>
まず、本開示の実施の形態1に係るドアホンシステムの概要について、図1を用いて説明する。図1に示すように、ドアホンシステム1は、ロビーステーション100と、レピータ200と、室内モニタ300と、から構成される。ロビーステーション100は、集合住宅の来訪者が訪問先の居住者を呼び出すために使用される装置であり、例えば、集合住宅の建物の1階の共用玄関(ロビー)に設置される。レピータ200は、ロビーステーション100と室内モニタ300との間を中継する装置であり、例えば、建物の各階に設置される。室内モニタ300は、来訪者からの呼び出しを受けて居住者が応答するための装置であり、各部屋(あるいは各住戸)に設置される。
ロビーステーション100は、2線ケーブルを介して1つのレピータ200−1と接続される。
レピータ200は、2線ケーブルを介して、デイジーチェーン型配線で互いに接続される。具体的には、レピータ200−1は、前段のロビーステーション100と後段のレピータ200−2と接続される。他のレピータ200−i(iは2以上の整数)は、前段のレピータ200−i−1と後段のレピータ200−i+1に接続される。また、各レピータ200は、複数の室内モニタ300のそれぞれと、2線ケーブルを介して、スター型配線で接続される。
ロビーステーション100は、レピータ200を介して、通信相手の室内モニタ300に映像信号および音声信号を送信する。各室内モニタ300は、レピータ200を介して、ロビーステーション100に音声信号を送信する。また、各室内モニタ300は、ロビーステーション100のカメラを制御する。レピータ200は、ロビーステーション100と室内モニタ300との間で送受される信号を中継する。
なお、以下の説明において、ロビーステーション100から室内モニタ300への方向を「下り方向」といい、下り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「下りパケット」、「下り信号」という。また、室内モニタ300からロビーステーション100への方向を「上り方向」といい、上り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「上りパケット」、「上り信号」という。
<同期通信時のフレーム構成、タイムスロット構成>
次に、本実施の形態に係る同期通信時のフレーム構成、タイムスロット構成について図2Aを用いて説明する。図2Aに示すように、各フレームは、48000bitの領域を有し、10ms周期、4.8Mbpsのビットレートであり、24個のタイムスロットに分割される。したがって、各タイムスロットは、2000bit=250byteの領域を有し、0.416ms周期、4.8Mbpsのビットレートになる。
各タイムスロットは、54byteのガードスペース、4byteのプリアンブルフィールド(Preamble)、2byteのシンクフィールド(Sync)、8byteの制御データフィールド、MAX180byteの可変長のユーザデータフィールド、2byteのチェックサムフィールドに分けられている。
ガードスペースは、伝播遅延時間差やクロックジッタ等によるタイムスロットの衝突を避けるための時間である。プリアンブルフィールドには、所定のユニークパターンを有するプリアンブルデータ(後述)が書き込まれる。
シンクフィールドには、所定のシンクパターンが書き込まれる。シンクパターンとは、シンクフィールドに配置された既知のデータあるいはデータ列であって、受信データ受信時の同期を確立するために用いられ、受信データが正確なタイミングで受信されたことを確認するための予め規定した既知のデータパターンである。
制御データフィールドには、制御データが書き込まれる。ユーザデータフィールドには、ユーザデータ(画像データ、音声データ)が書き込まれる。チェックサムフィールドには、誤り検出符号の一種であるチェックサムが書き込まれる。以下の説明において、制御データ、ユーザデータおよびチェックサムを、単に「データ部」という場合もある。なお、上記データ部の構成は、一例であり、信号処理の都合により、その構成が異なる場合もある。
<制御データのフレームフォーマット>
次に、本実施の形態に係る制御データのフレームフォーマットについて図2Bを用いて説明する。
図2Bに示すように、8byteの制御データフィールドは、1byteの送信先IDフィールド、1byteの送信元IDフィールド、1byteのコマンドフィールド、1byteのユーザデータ長フィールド、4byteのその他の制御データフィールドに分けられている。
<ロビーステーションの構成>
次に、ロビーステーション100の構成について、図3のブロック図を用いて説明する。図3に示すように、ロビーステーション100は、ケーブル接続部101、キー入力部102、スピーカ103、マイク104、音声I/F部105、カメラ部106および制御部107を有する。制御部107は、内部に、第1クロック生成部131、パケット生成部132、データ再生部133、接続状態検出部134、識別子設定部135を有する。また、ロビーステーション100は、送信データ処理部108、送信ドライバ110、受信ドライバ111、受信データ処理部113、識別子記憶部114を有する。
ケーブル接続部101は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの一端と、送信ドライバ110および受信ドライバ111との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。なお、2線ケーブルの他端は、レピータ200(図1では、レピータ200−1)に接続される。
キー入力部102は、呼出ボタンを含み、呼出ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部107に出力する。
スピーカ103は、音声I/F部105から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク104は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部105に出力する。
音声I/F部105は、制御部107から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ103に出力する。また、音声I/F部105は、マイク104から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部107に出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部105は、マイク104から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部107に出力してもよい。また、音声I/F部105は、制御部107から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
カメラ部106は、デジタルカメラを含み、玄関の映像を撮影し、デジタル映像データを生成して、制御部107に出力する。なお、カメラ部106は、エンコーダモジュールを搭載していてもよい。すなわち、カメラ部106は、デジタルカメラから出力された映像データに対してH.264等の所定の動画圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル映像データとして制御部107に出力してもよい。
制御部107は、ロビーステーション100の各部の制御を行う。また、制御部107は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を送信ドライバ110および受信ドライバ111に出力する。
制御部107の第1クロック生成部131は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部113に出力する。
制御部107のパケット生成部132は、映像付き通話を実現するための下りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部132は、音声I/F部105から出力されたデジタル音声データおよびカメラ部106から出力されたデジタル映像データを適宜分割して各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込み、自機(ロビーステーション100)のID(固有の識別子)である送信元IDおよび通信相手の室内モニタ300のIDである送信先IDを含む制御データを各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、パケット生成部132は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、下りパケット(送信データ)を生成する。さらに、パケット生成部132は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部132は、下りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部108に出力する。
なお、レピータ200(あるいは室内モニタ300)との通信が、フレーム同期を維持した待機状態(制御チャネルのタイムスロットがビーコンとして動作する状態)において、呼出ボタンが操作される等の所定のイベントが発生すると、パケット生成部132は、同期フレーム内の所定のタイムスロットに必要なデータを書き込み、下りパケットを生成する。
制御部107のデータ再生部133は、受信データ処理部113からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部113から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部113から出力された上りパケット(復号データ)を取得する。
そして、データ再生部133は、上りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部134に出力する。データ再生部133は、接続状態検出部134において2線ケーブルが正接続であると判定された場合には、シンクパターン以降のデータ部(制御データ、ユーザデータおよびチェックサム)をそのままの状態にして誤り検出処理、抽出処理等の後処理を行う。一方、データ再生部133は、接続状態検出部134において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合には、シンクパターン以降のデータ部を反転して誤り検出処理、抽出処理等の後処理を行う。
そして、データ再生部133は、上りパケットに含まれるデジタル音声データを抽出して音声I/F部105に出力する。また、データ再生部133は、上りパケットに含まれる制御データのID情報を抽出して識別子設定部135に出力する。
制御部107の接続状態検出部134は、2線ケーブルが正接続である場合のチェック用シンクパターン(以下、「正接続チェック用シンクパターン」という(例えば、16bit全てが「0」))、および、正接続チェック用シンクパターンの逆のパターンであって、2線ケーブルが逆接続である場合のチェック用シンクパターン(以下、「逆接続チェック用シンクパターン」という(例えば、16bit全てが「1」))を記憶している。そして、接続状態検出部134は、データ再生部133から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部134は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。接続状態検出部134は、判定結果を示す信号をデータ再生部133に出力する。
制御部107の識別子設定部135は、識別子記憶部114から、自機(ロビーステーション100)のIDを送信元IDとして読み出し、通信相手の室内モニタ300のIDを送信先IDとして読み出し、送信元IDと送信先IDとをパケット生成部132に出力する。また、識別子設定部135は、データ再生部133から出力された下りパケットに含まれる送信先IDと識別子記憶部114に記憶されている自機のIDとを照合し、一致しなければ、下りパケットを破棄する。
送信データ処理部108は、パケット生成部132からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部132から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部132から出力された下りパケットのデータに対して変調処理を行って下り信号を生成し、送信ドライバ110に出力する。なお、送信データ処理部108の変調処理の詳細(具体例)については後述する。
送信ドライバ110は、制御部107からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、下り信号を、ケーブル接続部101を介してレピータ200に送信する。
受信ドライバ111は、レピータ200から送信された上り信号を、ケーブル接続部101を介して受信する。そして、受信ドライバ111は、制御部107からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、上り信号を、受信データ処理部113に出力する。
受信データ処理部113は、第1クロック生成部131から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、受信ドライバ111から出力された上り信号に含まれるプリアンブルデータを用いてレピータ200との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、受信データ処理部113は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部133に出力する。
また、受信データ処理部113は、受信ドライバ111から出力された上り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部133に出力する。また、受信データ処理部113は、第1クロック生成部131から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部133に出力する。なお、受信データ処理部113の構成の詳細については、後述する。
識別子記憶部114は、不揮発性記憶部であり、自機ID、各レピータ200のIDおよび各室内モニタ300のIDを記憶する。なお、各室内モニタ300のIDは、他のIDと重ならないように、製造工程あるいは設置時にあらかじめ設定される。また、各レピータ200のIDも、同様に、他のIDと重ならないように、製造工程あるいは設置時にあらかじめ設定される。また、ロビーステーション100のキー入力部102の呼出ボタンがダイレクトボタンである場合、識別子記憶部114は、各ボタンの番号と、該ボタンに対応する室内モニタ300のIDとを紐付けて記憶する。例えば、15個の室内モニタ300を設置する場合、ロビーステーション100のIDに「#0」を割り振り、各室内モニタ300のIDに「#1」〜「#15」を割り振る。ロビーステーション100の15個のダイレクトボタンのそれぞれには送信先(室内モニタ300)のID(「#1」〜「#15」)を割り振る。これにより、各ダイレクトボタンと各室内モニタ300のID「#1」〜「#15」とが紐付けされることになる。
なお、ロビーステーション100は、緊急通信等、すべての室内モニタ300に対して、画像データおよび音声データを同報送信(ブロードキャスト)することができる。この場合、ロビーステーション100は、スロットの送信先IDを全て「1」に設定する等の方法により、ブロードキャスト送信を指定する。その際、誤呼出防止のため、キー入力部102の複数の呼出ボタンを同時に押し下げる等の対応を採る。
また、各室内モニタ300から、ロビーステーション100のカメラ画像をモニタすることもできる。この場合、室内モニタ300の「モニタ」キーを押し下げる操作により、ロビーステーション100のカメラ画像を一定時間モニタできる。先押し優先で、1つの室内モニタ300によるカメラ画像のモニタが基本であるが、例えば、同期フレーム内のリザーブスロットを他の室内モニタ300のモニタ機能に割り当て、同期フレーム内の制御チャンネルの送信先IDを複数個併記できるようにして、それぞれのモニタ時間の管理をすれば、複数の室内モニタ300が同時にロビーステーション100のカメラ画像をモニタすることもできる。
<レピータの構成>
次に、レピータ200の構成について、図4のブロック図を用いて説明する。図4に示すように、レピータ200は、ケーブル接続部201および制御部207を有する。制御部207は、内部に、第1クロック生成部231、パケット生成部232、データ再生部233、接続状態検出部234、識別子設定部235を有する。また、レピータ200は、送信データ処理部208、送信ドライバ210、受信ドライバ211およびルーティング制御部212、受信データ処理部213、識別子記憶部214、転送データ処理部215を有する。なお、レピータ200は、ケーブル接続部201、送信ドライバ210および受信ドライバ211を、N個(Nは自然数)有する。
ケーブル接続部201−i(iは1からNまでの何れかの整数)は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの一端と、送信ドライバ210−iおよび受信ドライバ211−iとの間を、信号を伝送可能な状態で接続する。なお、各2線ケーブルの他端は、ロビーステーション100、室内モニタ300あるいは他のレピータ200に接続される。
制御部207は、レピータ200の各部の制御を行う。また、制御部207は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を各送信ドライバ210−i、各受信ドライバ211−iおよびルーティング制御部212に出力する。
制御部207の第1クロック生成部231は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部213および転送データ処理部215に出力する。
制御部207のパケット生成部232は、コマンド要求あるいは、コマンド要求に対する確認応答等の下りパケットあるいは上りパケットを生成する。さらに、パケット生成部232は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部232は、下りパケットあるいは上りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部208に出力する。
制御部207のデータ再生部233は、受信データ処理部213からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部213から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部213から出力された上りパケットあるいは下りパケットを取得する。
そして、データ再生部233は、上りパケットあるいは下りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部234に出力する。データ再生部233は、接続状態検出部234において2線ケーブルが正接続であると判定された場合には、シンクパターン以降のデータ部(制御データ、ユーザデータおよびチェックサム)をそのままの状態にして誤り検出処理、抽出処理等の後処理を行う。一方、データ再生部233は、接続状態検出部234において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合には、シンクパターン以降のデータ部を反転して誤り検出処理、抽出処理等の後処理を行う。
そして、データ再生部233は、上りパケットあるいは下りパケットに含まれる制御データのID情報を抽出して識別子設定部235に出力する。
制御部207の接続状態検出部234は、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンを記憶し、データ再生部233から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部234は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。接続状態検出部234は、判定結果を示す信号をデータ再生部233に出力する。
制御部207の識別子設定部235は、データ再生部233から出力された上りパケットあるいは下りパケットに含まれる送信先IDと識別子記憶部214に記憶されているIDとを照合する。そして、制御部207は、識別子設定部235において、送信先IDが自機(レピータ200)のIDと一致した場合には、パケットを受信して対応する。一方、制御部207は、識別子設定部235において、送信先IDが自機IDと一致しない場合にはパケットを無視する。
送信データ処理部208は、パケット生成部232からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部232から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部232から出力された下りパケットあるいは上りパケットのデータに対して変調処理を行って上り信号を生成し、ルーティング制御部212に出力する。
送信ドライバ210−iは、制御部207からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、下り信号あるいは上り信号を、ケーブル接続部201−iを介してロビーステーション100、自機に接続されている他のレピータ200あるいは室内モニタ300に送信する。
受信ドライバ211−iは、ロビーステーション100、自機に接続されている他のレピータ200あるいは室内モニタ300から送信された下り信号あるいは上り信号を、ケーブル接続部201−iを介して受信する。そして、受信ドライバ211−iは、制御部207からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、下り信号あるいは上り信号を、ルーティング制御部212に出力する。
ルーティング制御部212は、ロビーステーション100、自機に接続されている他のレピータ200あるいは室内モニタ300から送信され、受信ドライバ211−iから出力された下り信号あるいは上り信号を、受信データ処理部213に出力する。また、ルーティング制御部212は、識別子設定部235の指示に従って、送信データ処理部208および転送データ処理部215から出力された下り信号あるいは上り信号を、対応の送信ドライバ210−j(jはi以外の1からNまでの何れかの整数)に出力する。なお、ルーティング制御部212が行うルーティング制御の具体例については後述する。
受信データ処理部213は、第1クロック生成部231から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、ルーティング制御部212から出力された下り信号に含まれるプリアンブルデータを用いて、受信データのタイムスロット上のシンクパターンの先頭ビットのタイミング(ロビーステーション100との同期タイミング)を検出する。そして、受信データ処理部213は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部233に出力する。また、受信データ処理部213は、検出したユニークパターン検出通知を転送データ処理部215に出力する。
また、受信データ処理部213は、ルーティング制御部212から出力された下り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部233および転送データ処理部215に出力する。また、受信データ処理部213は、第1クロック生成部231から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部233および転送データ処理部215に出力する。
識別子記憶部214は、ロビーステーション100の識別子、自機に接続される他のレピータ200の識別子、および、自機に接続される室内モニタ300の識別子を記憶する。
転送データ処理部215は、プリアンブルデータを新規に生成し、受信データ処理部213から出力された復号データに新規なプリアンブルデータを合わせ、再度符号化処理して転送データを生成し、ルーティング制御部212に出力する。なお、転送データ処理部215の内部構成の詳細については後述する。
<室内モニタの構成>
次に、室内モニタ300の構成について、図5のブロック図を用いて説明する。図5に示すように、室内モニタ300は、ケーブル接続部301、キー入力部302、スピーカ303、マイク304、音声I/F(インターフェイス)部305、ディスプレイ部306および制御部307を有する。制御部307は、内部に、第1クロック生成部331、パケット生成部332、データ再生部333、接続状態検出部334、識別子設定部335を有する。また、室内モニタ300は、送信データ処理部308、送信ドライバ310、受信ドライバ311、受信データ処理部313、識別子記憶部314を有する。
ケーブル接続部301は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの一端と、受信ドライバ311および送信ドライバ310との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。なお、2線ケーブルの他端は、レピータ200に接続される。
キー入力部302は、応答ボタンを含み、応答ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部307に出力する。
スピーカ303は、音声I/F部305から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク304は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部305に出力する。
音声I/F部305は、制御部307から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ303に出力する。また、音声I/F部305は、マイク304から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部307に出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部305は、マイク304から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部307に出力してもよい。また、音声I/F部305は、制御部307から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
ディスプレイ部306は、液晶ディスプレイを含み、制御部307から出力されたデジタル映像データを再生し、玄関の映像を表示する。なお、制御部307から出力されたデジタル映像データが所定の動画圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の動画伸張処理を行って、映像表示を行う。
制御部307は、室内モニタ300の各部の制御を行う。また、制御部307は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を送信ドライバ310および受信ドライバ311に出力する。
制御部307の第1クロック生成部331は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部313に出力する。
制御部307のパケット生成部332は、映像付き通話を実現するための下りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部332は、音声I/F部305から出力されたデジタル音声データを適宜分割して各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込み、自機(室内モニタ300)に固有の識別子の送信元IDおよびロビーステーション100に固有の識別子の送信先IDを含む制御データを各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、パケット生成部332は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、上りパケット(送信データ)を生成する。さらに、パケット生成部332は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部332は、上りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部308に出力する。
なお、レピータ200との通信が、フレーム同期を維持した待機状態(制御チャネルのタイムスロットがビーコンとして動作する状態)において、呼出ボタンが操作される等の所定のイベントが発生すると、パケット生成部332は、同期フレーム内の所定のタイムスロットに必要なデータを書き込み、上りパケットを生成する。
制御部307のデータ再生部333は、受信データ処理部313からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部313から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部313から出力された下りパケット(復号データ)を取得する。に含まれるデジタル映像データをディスプレイ部306に出力し、下りパケットに含まれるデジタル音声データを音声I/F部305に出力し、下りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部334に出力する。
そして、データ再生部333は、下りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部334に出力する。データ再生部333は、接続状態検出部334において2線ケーブルが正接続であると判定された場合には、シンクパターン以降のデータ部(制御データ、ユーザデータおよびチェックサム)をそのままの状態にして誤り検出処理、抽出処理等の後処理を行う。一方、データ再生部333は、接続状態検出部334において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合には、シンクパターン以降のデータ部を反転して誤り検出処理、抽出処理等の後処理を行う。
そして、データ再生部333は、下りパケットに含まれるデジタル映像データをディスプレイ部306に出力し、下りパケットに含まれるデジタル音声データを音声I/F部305に出力する。また、データ再生部333は、下りパケットに含まれる制御データのID情報を抽出して識別子設定部335に出力する。
制御部307の接続状態検出部334は、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンを記憶し、データ再生部333から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部334は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。接続状態検出部334は、判定結果を示す信号をデータ再生部333に出力する。
制御部307の識別子設定部335は、識別子記憶部314から、自機(室内モニタ300)のIDを送信元IDとして読み出し、通信相手のロビーステーション100のIDを送信先IDとして読み出し、送信元IDと送信先IDとをパケット生成部332に出力する。また、識別子設定部335は、データ再生部333から出力された下りパケットに含まれる送信先IDと識別子記憶部314に記憶されている自機のIDとを照合し、一致しなければ、下りパケットを破棄する。
送信データ処理部308は、パケット生成部332からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部332から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部332から出力された上りパケットのデータに対して変調処理を行って上り信号を生成し、送信ドライバ310に出力する。
送信ドライバ310は、制御部307からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、上り信号を、ケーブル接続部301を介してレピータ200に送信する。
受信ドライバ311は、レピータ200から送信された下り信号を、ケーブル接続部301を介して受信する。そして、受信ドライバ311は、制御部307からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、下り信号を、受信データ処理部313に出力する。
受信データ処理部313は、第1クロック生成部331から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、受信ドライバ311から出力された下り信号に含まれるプリアンブルデータを用いて、受信データのタイムスロット上のシンクパターンの先頭ビットのタイミング(レピータ200との同期タイミング)を検出する。そして、受信データ処理部313は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部333に出力する。
また、受信データ処理部313は、受信ドライバ311から出力された下り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部333に出力する。また、受信データ処理部313は、第1クロック生成部331から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部333に出力する。
識別子記憶部314は、ロビーステーション100の識別子、自機に接続されるリピータ200の識別子、および、自機(室内モニタ300)の識別子を記憶する。
なお、ロビーステーション100、レピータ200および室内モニタ300は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ、および通信回路をそれぞれ有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
<変調処理の一例>
次に、送信データ処理部108(208、308)が行う変調処理の一例について図6、図7を用いて説明する。図6、図7では、マンチェスタ符号を採用した場合を示している。
送信データ処理部108(208、308)は、周期Tm毎に、パケットの各データ(1ビット)に対応する信号を1つ生成する。マンチェスタ符号を採用した場合、図6に示すように、送信データ処理部108(208、308)は、値「0」のデータ401にLowからHighへの立上りを発生させ、変調信号402を生成する。また、送信データ処理部108(208、308)は、値「1」のデータ411にHighからLowへの立下りを発生させ、変調信号412を生成する。
そして、図7に示すように、「0,0,1,・・・,1,0」というデータ列421に対して、送信データ処理部108(208、308)は、各ビットの値に対応して、周期Tm毎に立上りあるいは立下りを有する変調信号422を生成する。
<プリアンブルデータの一例>
次に、本実施の形態において使用されるプリアンブルデータの一例について図8を用いて説明する。
図8に示すように、本実施の形態において使用されるプリアンブルデータ(4byte=32bit)は、1byte目から3byte目までがすべて「1」のパターンであり、4byte目が、最初から6bitまでが「1」、7bitが「0」、8bit(最後の1bit)が「1」のパターンである。さらに、この場合、プリアンブルデータに続くシンクパターンの最初の1bitが「1」である。この結果、図8に示すプリアンブルデータは、4byte目の6bit目から8bit目にかけての隣接する立下りエッジ間T501の期間が他よりも長いユニークパターンとなっている。また、隣接する立下りエッジ間T501のH(High)の期間およびL(Low)の期間が他よりも長くなっている。なお、図8は、マンチェスタエンコード後のプリアンブルデータの波形を示している。
なお、本実施の形態では、プリアンブルデータが、図8に示すものが反転されたものであっても良い。すなわち、本実施の形態において使用されるプリアンブルデータ(4byte=32bit)は、1byte目から3byte目までがすべて「0」のパターンであり、4byte目が、最初から6bitまでが「0」、7bitが「1」、8bit(最後の1bit)が「0」のパターンであってもよい。この場合、プリアンブルデータに続くシンクパターンの最初の1bitが「0」である。
<受信データ処理部の内部構成>
次に、ロビーステーション100の受信データ処理部113の内部構成の詳細について、図9を用いて説明する。なお、その説明の際、本実施の形態の同期検出処理について理解を容易にするため、図9と併せて図10を用いる。図10の例において、プリアンブルデータおよびそのユニークパターンは、図8に示したものを用いる。すなわち、プリアンブルデータは、1byte目から3byte目までがすべて「1」のパターンであり、4byte目が、最初から6bitまでが「1」、7bitが「0」、8bit(最後の1bit)が「1」のパターンである。なお、図10では、第1クロック生成部131が48MHzのクロック(CLK)を生成し、第2クロック生成部156が4.8MHzのクロック(SSCK)を生成している場合を示している。
図9に示すように、受信データ処理部113は、繰り返しパターン数検出部150、第1のユニークパターン検出部151、第2のユニークパターン検出部152、イネーブル信号生成部153、タイミング調整部154、受信データ復号部155および第2クロック生成部156を有する。
受信ドライバ111から出力された受信データは、繰り返しパターン数検出部150、第1のユニークパターン検出部151、第2のユニークパターン検出部152、タイミング調整部154および受信データ復号部155に入力される。第1クロック生成部131のクロック(CLK)は、第1のユニークパターン検出部151、第2のユニークパターン検出部152、タイミング調整部154、受信データ復号部155および第2クロック生成部156に入力される。
繰り返しパターン数検出部150は、ユニークパターン以外の隣接する立下りエッジ間(あるいは、隣接する立上りエッジ間)検出用のクロックの第2規定数(例えば、「8」から「12」)、および、繰り返しパターン検出用の第3規定数(例えば、「16」)を記憶している。繰り返しパターン数検出部150は、第1のカウンタにより、プリアンブル波形の隣接する立下りエッジ間(あるいは、隣接する立上りエッジ間)のクロックを計数し、当該クロック数が第2規定数のいずれかに一致した場合に、第2のカウンタをカウントアップさせる。そして、繰り返しパターン数検出部150は、第2のカウンタのカウント値が第3規定数に達した場合に、第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152に対して動作開始を指示するトリガ信号を出力する。
第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152は、ユニークパターン検出用のクロックの第1規定数(例えば、「18」から「22」)を記憶している。
第1のユニークパターン検出部151は、繰り返しパターン数検出部150からトリガ信号を入力すると、第1クロック生成部131のクロックで、受信ドライバ111から出力された受信データに含まれるプリアンブルデータをサンプリングし、隣接する立下りエッジ間のクロックを計数する。第1のユニークパターン検出部151は、隣接する立下りエッジ間のクロック数が第1規定数のいずれかに一致した場合にユニークパターンを検出したと判定する。図10の例では、隣接する立下りエッジ間T501のクロック数「20」が、第1規定数の中の1つと一致する。そして、第1のユニークパターン検出部151は、所定のタイミングで、その旨を示す信号を、イネーブル信号生成部153に出力する。なお、転送データ処理部(図4参照)が搭載された機器では、第1のユニークパターン検出部151は、ユニークパターンを検出した旨を示す信号を転送データ処理部にも出力する。
第2のユニークパターン検出部152は、繰り返しパターン数検出部150からトリガ信号を入力すると、第1のユニークパターン検出部151と同一タイミングで、受信ドライバ111から出力された受信データに含まれるプリアンブルデータをサンプリングし、隣接する立上りエッジ間のクロックを計数する。第2のユニークパターン検出部152は、隣接する立上りエッジ間のクロック数が第1規定数のいずれかに一致した場合にユニークパターンを検出したと判定し、その旨を示す信号をイネーブル信号生成部153に出力する。なお、転送データ処理部(図4参照)が搭載された機器では、第2のユニークパターン検出部152は、ユニークパターンを検出した旨を示す信号を転送データ処理部にも出力する。
イネーブル信号生成部153は、第1のユニークパターン検出部151あるいは第2のユニークパターン検出部152のいずれかから、ユニークパターンを検出した旨を示す信号を入力すると(図10のタイミングT510)、データ再生動作を許可するイネーブル信号をタイミング調整部154およびデータ再生部133に出力する(図10の例では、イネーブル信号SSCSを立下げ、L(Low)信号とする(アクティブにする))。
タイミング調整部154は、内部にタイミング生成用カウンタを有し、イネーブル信号生成部153からイネーブル信号を入力すると、先頭の受信データ(シンクパターン1ビット目)の波形エッジを検出する。なお、先頭の受信データは、プリアンブルデータとシンクパターンの間の波形エッジであるデータ反転のタイミングT511から始まる。
そして、タイミング調整部154は、該波形エッジを検出した後に、第1周波数のクロックで、タイミング生成用カウンタによるカウントを行い、各受信データの波形エッジのタイミングにおけるカウンタ値を観測する。そして、該カウンタ値が正常な値と異なる場合、タイミング調整部154は、カウンタ値を補正し、補正後のカウンタ値を受信データ復号部155および第2クロック生成部156に出力する。これにより、カウンタ値が所定の値となる範囲であるデータ再生ウィンドウの範囲(図10の時間T502)の開始タイミングが調整される。なお、タイミング調整部154が行うカウンタ値の補正処理の詳細については後述する。
受信データ復号部155は、タイミング調整部154からカウンタ値を入力し、データ再生ウィンドウの範囲(図10の時間T502)で、受信データ1ビット分の波形の論理反転をスキャン検出し、当該受信データ1ビット分のマンチェスタエンコードされた波形の論理反転に対応したデータの復号処理を行い、復号データをデータ再生部133に出力する。図10の例では、受信データ復号部155は、時間T502において、波形が「H」から「L」に反転した場合には復号データ「1」を出力し、波形が「L」から「H」に反転した場合には復号データ「0」を出力する。2番目の受信データが受信データ復号部155に入力される時間とほぼ同じ時間に、先頭の受信データの復号データが受信データ復号部155から一定の時間遅延して出力される。なお、受信データ復号部155が行う受信データの復号処理の詳細については後述する。
第2クロック生成部156は、タイミング調整部154からカウンタ値を入力し、2番目の受信データのカウンタの値「0」(図10のタイミングT512)で、SSCKの出力(図10では「L」)を開始し、先頭の受信データのカウンタ値「5」(図10のタイミングT513)で、一定の遅延後にある先頭の復号データ用のSSCKの論理を「L」から「H」に反転し、2番目の受信データのカウンタ値「0」で、先頭の復号データと2番目の復号データの境界のSSCKの論理を「H」から「L」に反転する。その後、第2クロック生成部156は、再生クロックSSCKについて、カウント値「0」での「H」から「L」への論理反転およびカウント値「5」での「L」から「H」への論理反転を繰返す。そして、第2クロック生成部156は、「L」から「H」へ論理反転したタイミングで、第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)をデータ再生部133に出力する。
<ユニークパターンの検出の詳細説明>
次に、ユニークパターンの検出について、図11を用いて詳細に説明する。図11(A)は、2線ケーブルが正接続の場合の正常極性のユニークパターンおよびその近傍の受信波形を示し、図11(A)の(1)は、第1のユニークパターン検出部151によって計数されるクロック数を示し、図11(A)の(2)は、第2のユニークパターン検出部152によって計数されるクロック数を示す。図11(B)は、2線ケーブルが逆接続の場合の反転極性のユニークパターンおよびその近傍の受信波形を示し、図11(B)の(1)は、第1のユニークパターン検出部151によって計数されるクロック数を示し、図11(B)の(2)は、第2のユニークパターン検出部152によって計数されるクロック数を示す。
2線ケーブルが正接続の場合、図11(A)の(1)に示すように、第1のユニークパターン検出部151において計数されるクロック数は、ユニークパターン1の隣接する立下りエッジ間では「20」となり、第1規定数の中の1つと一致し、他の隣接する立下りエッジ間では「10」となり、第1規定数の中の何れにも一致しない。第1のユニークパターン検出部151がユニークパターン1を検出すると、イネーブル信号生成部153が所定のタイミングZでイネーブル信号(SSCS)を立下げる(アクティブにする)。一方、図11(A)の(2)に示すように、第2のユニークパターン検出部152において計数されるクロック数は、何れの隣接する立上りエッジ間でも「10」または「15」となり、第1規定数の中の何れにも一致しない。このため、第2のユニークパターン検出部152は、ユニークパターンを検出することができない。このように、2線ケーブルが正接続の場合、受信データ処理部113(第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152)において、サンプリングクロック数がユニークであるユニークパターン1が唯一検出される。
2線ケーブルが逆接続の場合、図11(B)の(2)に示すように、第2のユニークパターン検出部152において計数されるクロック数は、ユニークパターン2の隣接する立上りエッジ間では「20」となり、第1規定数の中の1つと一致し、他の隣接する立上りエッジ間では「10」となり、第1規定数の中の何れにも一致しない。第2のユニークパターン検出部152がユニークパターン2を検出すると、イネーブル信号生成部153が所定のタイミングYでイネーブル信号(SSCS)を立下げる(アクティブにする)。一方、図11(B)の(1)に示すように、第1のユニークパターン検出部151において計数されるクロック数は、何れの隣接する立下りエッジ間でも「10」または「15」となり、第1規定数の中の何れにも一致しない。このため、第1のユニークパターン検出部151は、ユニークパターンを検出することができない。このように、2線ケーブルが逆接続の場合、受信データ処理部113(第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152)において、サンプリングクロック数がユニークであるユニークパターン2が唯一検出される。
なお、図11(B)の受信波形は、図11(A)のの受信波形が反転されたものであって、正常極性のときに立下りエッジ間のクロック数が第1規定数となるユニークパターンが存在する場合は、必然的に、反転極性のときに立上がりエッジ間のクロック数が第1規定数となるユニークパターンが存在することになる。また、その場合のユニークパターン1とユニークパターン2の配置位置およびタイミングは同一となり、イネーブル信号(SSCS)を立下げる(アクティブにする)タイミングZとYも一致する(図10のタイミングT510)。
<カウンタ値の補正処理の詳細説明>
次に、タイミング調整部154が行うカウンタ値の補正処理(タイミング調整処理)の詳細について図12を用いて説明する。図12(A)は、受信データの開始の波形エッジおよび終了の波形エッジが遅延していない場合を示す。図12(B)は、受信データと第1周波数のサンプリングクロックとの非同期のメタステーブル処理において、受信データの開始の波形エッジが、から1サンプリングクロック分遅延した場合を示す。図12(C)は、受信データと第1周波数のサンプリングクロックとの非同期のメタステーブル処理において、受信データの終了の波形エッジが1サンプリングクロック分遅延した場合を示す。
タイミング調整部154は、プリアンブルのユニークパターンを検出した後にイネーブル信号(SSCS)がアクティブとなるタイミングT510から、先頭受信データの波形エッジが現れる波形エッジのタイミングT511を検出した直後に、第1周波数のクロック(48MHz)でカウントするタイミング生成用カウンタの動作を開始させる。
図12(A)の場合、受信データの開始/終了の波形エッジに遅延が生じておらず、2番目以降の受信データの開始の波形エッジが、カウンタ値「9」(正常な値)のタイミンとなっている。この場合、タイミング調整部154は、カウンタ値の補正を行わず、カウンタ値「9」でタイミング生成用カウンタをリセットし、カウント値「9」の次の値をカウント値「0」としてカウントを開始する。
図12(B)の場合、受信データの開始の波形エッジが図12(A)の場合より1サンプリングクロック分遅延し、2番目の受信データの開始の波形エッジが、カウンタ値「8」のタイミンとなっている。この場合、タイミング調整部154は、カウンタ値「9」をカウントせずにタイミング生成用カウンタをリセットし、カウント値「8」の次の値をカウント値「0」としてカウントを開始する。これにより、図12(B)の先頭の受信データと2番目の受信データのビット境界の波形エッジ(カウント値「8」)から2番目の受信データのデータ再生ウィンドウの最初のサンプリングポイント(カウント値「1」)までの時間を12(A)の場合に合わせることができる。
図12(C)の場合、受信データの終了の波形エッジが図12(A)の場合より1サンプリングクロック分遅延し、2番目の受信データの開始の波形エッジが、カウンタ値「0」のタイミンとなっている。この場合、タイミング調整部154は、タイミング生成用カウンタをリセットしてカウント値「0」した後、タイミング生成用カウンタを再リセットして次の値をカウント値「0」としてカウントを開始する。これにより、図12(C)の先頭の受信データと2番目の受信データのビット境界の波形エッジ(カウント値:最初の「0」)から2番目の受信データのデータ再生ウィンドウの最初のサンプリングポイント(カウント値「1」)までの時間を12(A)の場合に合わせることができる。
<受信データの復号処理の詳細説明>
次に、受信データ復号部155が行う受信データの復号処理の詳細について図13、図14、図15を用いて説明する。なお、図13は図12(A)に対応し、図14は図12(B)に対応し、図15は図12(C)に対応する。
図13、図14、図15の何れの場合も、受信データ復号部155は、カウンタ値「1」から「7」までのデータ再生ウィンドウの範囲において、受信データ1ビット分の波形の論理反転をスキャン検出し、当該受信データ1ビット分のマンチェスタエンコードされた波形の論理反転に対応したデータの復号処理を行う。具体的には、受信データ復号部155は、データ再生ウィンドウの範囲において、波形が「H」から「L」に反転した場合には復号データの値を「1」とし、波形が「L」から「H」に反転した場合には復号データの値を「0」とする。
受信データ復号部155は、各受信データについて、カウンタ値「8」のタイミングで復号データの値を確定し、次のカウンタ値「0」のタイミングにおいて、復号データの出力を一定の遅延後に開始し、さらにその次の受信データのカウンタ値「0」のタイミングが対応する一定の遅延のポイントまで復号データの出力を継続する。
なお、第2クロック生成部156は、各受信データのカウンタ値「5」のタイミングで、各受信データに対応する各復号データ用の第2周波数のクロック(SSCK)を「L」から「H」に変化させる。
図14の場合、先頭の受信データのカウンタ値「8」の次の値が「9」ではなく「0」となるので、先頭の復号データに対する第2周波数のクロック(SSCK)の「H」の期間が、通常のものより1サンプリング期間分だけ短くなる。また同様に先頭の第2周波数のクロック(SSCK)の「H」の出力期間に対応する先頭の復号データの出力期間は、通常のものより1サンプリング期間分だけ短くなる。
図15の場合、2番目の受信データのカウンタ値「0」が2回続くので、2番目の復号データに対する2番目の第2周波数のクロック(SSCK)の「L」の期間が通常のものより1サンプリング期間分だけ長くなる。また同様に2番目の第2周波数のクロック(SSCK)の「L」の出力期間に対応する2番目の復号データの出力期間は、通常のものより1サンプリング期間分だけ長くなる。なお、図15において、2番目の受信データのようにカウンタ値「0」が2回続く場合は、受信データの最初のカウンタ値「0」が、規定の時間遅延後に出力開始される隣接する復号データの境界となって、また、同タイミングでクロック(SSCK)が、「H」から「L」に立ち下がる。
このように、本実施の形態では、先頭の受信データの波形エッジを検出した後に第1周波数のクロックでカウントを行い、各受信データのビット毎の境界に波形エッジが発生する場合において、ビット毎の境界の波形エッジのタイミングにおけるカウンタ値が正常な値と異なる場合にはカウンタ値を補正する。これにより、マンチェスタエンコードされた波形の論理を判定する論理反転のタイミングが常に受信データのカウンタ値「1」から「7」のデータ再生ウィンドウの範囲に入るように、また各受信データのビット毎の境界に波形エッジが発生する場合は、ビットの境界の波形エッジがデータ再生ウィンドウ内に入らないように、データ再生ウィンドウの開始タイミングを調整することができる。
なお、レピータ200の受信データ処理部213の内部構成、および、室内モニタ300の受信データ処理部313の内部構成も、図9に示したロビーステーション100の受信データ処理部113の内部構成と同一である。ただし、レピータ200の受信データ処理部213では、第1のユニークパターン検出部151あるいは第2のユニークパターン検出部152が、ユニークパターンを検出した旨を示す信号を転送データ処理部215にも出力し、受信データ復号部155が、復号データを転送データ処理部215にも出力する。
<同期検出処理のフロー>
次に、ロビーステーション100(受信データ処理部113、接続状態検出部134)における同期検出処理のフローについて図16を用いて説明する。
ステップS601において、受信データ処理部113は、繰り返しパターン数検出部150により、第1クロック生成部131のクロックで、受信ドライバ111から出力された復調前の上り信号に含まれるプリアンブルデータをサンプリングし、隣接する立下りエッジ間(あるいは、隣接する立上りエッジ間)のクロック数が第2規定数のいずれかに一致した場合をカウントする。
カウント値が第3規定数に達するまでステップS601が繰り返される(S602:NO)。カウント値が第3規定数に達した場合(S602:YES)、ユニークパターン検出を開始するため、フローをステップS603へ進める。
ステップS603において、受信データ処理部113は、第1のユニークパターン検出部151および第2のユニークパターン検出部152により、第1クロック生成部131のクロックで、受信ドライバ111から出力された復調前の上り信号に含まれるプリアンブルデータをサンプリングし、隣接する立下りエッジ間あるいは隣接する立上りエッジ間の何れか一方である測定区間のクロック数に基づいてプリアンブルデータのユニークパターンのチェックを行う。
ユニークパターンを検出できた場合(S604:YES)、ビット同期を取ることができたとして、フローをステップS605へ進め、検出できていない場合(S604:NO)、フローをステップS603に戻し、ユニークパターンのチェックを再び行う。
ステップS605において、接続状態検出部134は、データ再生部133から出力された受信データのシンクパターンのチェックを行う。
受信データのシンクパターンが、正接続チェック用シンクパターンと一致した場合(S606:YES)、ステップS607において、接続状態検出部134は、2線ケーブルが正接続であると判定し、同期検出処理を終了する。
また、受信データのシンクパターンが、逆接続チェック用シンクパターンと一致した場合(S606:NO,S608:YES)、ステップS609において、接続状態検出部134は、2線ケーブルが逆接続であると判定し、同期検出処理を終了する。
また、受信データのシンクパターンが、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンのどちらにも一致しなかった場合(S606:NO,S608:NO)、ステップS610において、接続状態検出部134は、シンクパターンの検知に失敗したと判定し、フローをステップS601に戻し、ユニークパターンのチェックを再び行う。
<基本通信フレーム内のタイムスロット割当>
次に、本実施の形態に係る基本通信フレーム内のタイムスロット割当について図17を用いて説明する。
画像用タイムスロットに関して、1個のタイムスロットのユーザデータ領域に、例えば、150byteの画像データを割り当てた場合、基本通信フレームが1秒間に100個であり、1フレームの画像用のタイムスロット数は「16」であるので、画像転送能力は、150 x 8 x 16 x 100 = 1.92Mbpsとなる。なお、室内モニタ300同士の通信を行う場合には、16個のタイムスロットを、上り通信用と下り通信用に半分に分けても、それぞれ約1Mbpsの画像転送レートが確保できる。
音声用タイムスロットとして、上り通信と下り通信でそれぞれ1つのタイムスロットが確保されている。
ロビーステーション100から室内モニタ300への送信の場合、画像用のタイムスロットとして、必要な数のタイムスロットのみを使用しても良いし、画像用として16個のすべてのタイムスロットを使用しても良い。
通常、画像データが送信されるのは、ロビーステーション100から室内モニタ300への下り方向だけであるので、図17に示す基本通信フレームの「SL0〜SL17」を下り通信専用とし、「SL18」以降を上り通信専用としても良い。ただし、リザーブしてある「SL20〜SL23」は、下り通信用として使用しても良い。なお、上記SL0は、基本通信フレーム用の制御チャネルである。また、SL19は、コマンド用タイムスロットである。ロビーステーション100は、SL0で、指定の室内モニタ300に接続要求を送信する。接続要求を受けた(送信先IDが一致した)室内モニタ300は、SL19で、ロビーステーション100に接続要求確認を送信する。
<待機状態から通信状態までのシーケンス>
次に、本実施の形態に係る待機状態(フレーム同期状態)から通信状態までのシーケンスについて図18、図19を用いて説明する。
図18は、ロビーステーション100による起動の場合のシーケンスを示す。各機器間でデータが送受されない待機状態(フレーム同期状態)において(S701)、ロビーステーション100の呼出ボタンを押し下げる操作が行われた場合(S702)、ロビーステーション100は、SL0で、図2Bに示した制御データを含む接続要求をレピータ200に送信する(S703)。
レピータ200は、ロビーステーション100から送信された接続要求を捕捉し(S704)、送信先IDを確認する。なお、接続要求の捕捉とは、具体的には、第1周波数のクロックを用いて接続要求のサンプリングを行い、プリアンブル内のユニークパターンを検出してビット同期を確立し、第2周波数のクロックを用いて接続要求を再生してシンクパターンを検出することである。
レピータ200は、接続要求の送信先IDが、自機に接続されている室内モニタ300のものであることを確認すると、接続要求を該室内モニタ300に転送する(S705)。なお、レピータ200は、ロビーステーション100から送信された接続要求の送信先IDが、自機に接続されている室内モニタ300のものでないことを確認すると、接続要求を後段のレピータ200に転送する。
室内モニタ300は、レピータ200から転送された接続要求を捕捉し(S706)、送信先IDを確認する。室内モニタ300は、接続要求の送信先IDが自機のものであることを確認すると、SL19でレピータ200に接続要求確認を送信する(S707)。
レピータ200は、室内モニタ300から送信された接続要求確認をロビーステーション100に転送する(S708)。
ロビーステーション100が、接続要求確認を受信することにより、ロビーステーション100、レピータ200および室内モニタ300は、通信状態となる(S709)。
以降、ロビーステーション100が下りパケットによりレピータ200を介して室内モニタ300に音声データおよび画像データを送信し(S710)、室内モニタ300が上りパケットによりレピータ200を介してロビーステーション100に音声データを送信する(S711)。
図19は、室内モニタ300による起動の場合のシーケンスを示す。各機器間でデータが送受されない待機状態(フレーム同期状態)において(S801)、室内モニタ300のモニタボタンを押し下げる操作が行われた場合(S802)、室内モニタ300は、SL19で、図2Bに示した制御データを含む接続要求をレピータ200に送信する(S803)。
レピータ200は、室内モニタ300から送信された接続要求を捕捉し(S804)、送信先IDを確認する。レピータ200は、接続要求の送信先IDが、ロビーステーション100のものであることを確認すると、接続要求をロビーステーション100に転送する(S805)。
ロビーステーション100は、レピータ200から転送された接続要求を捕捉し(S806)、送信先IDを確認する。ロビーステーション100は、接続要求の送信先IDが自機のものであることを確認すると、SL0でレピータ200に接続要求確認を送信する(S807)。
レピータ200は、ロビーステーション100から送信された接続要求確認を室内モニタ300に転送する(S808)。
室内モニタ300が、接続要求確認を受信することにより、ロビーステーション100、レピータ200および室内モニタ300は、通信状態となり(S809)、ロビーステーション100からの音声データおよび画像データのモニタが可能になる(S810)。
<データ再生部の内部構成>
次に、ロビーステーション100のデータ再生部133の内部構成の詳細について、図20を用いて説明する。図20に示すように、データ再生部133は、受信バッファ171、データ反転部172、切替スイッチ173、誤り検出部174、データ抽出部175を有する。なお、受信バッファ171に入力されるデータは、デコード処理が完了したデコードデータである。
受信バッファ171は、受信データ処理部113から出力された上りパケットを取得し、上りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部134に出力する。また、受信バッファ171は、シンクパターン以降のデータ部(制御データ、ユーザデータおよびチェックサム)を一時的に保存する。データ反転部172は、受信バッファ171に保存されているデータ部の極性を反転させる。
切替スイッチ173は、接続状態検出部134の制御に基づいて接続先を切り替え、受信バッファ171に保存されているデータ、あるいは、データ反転部172で生成されたデータのいずれかを出力する。具体的には、切替スイッチ173は、接続状態検出部134において2線ケーブルが正接続であると判定された場合には、受信バッファ171に接続し、受信バッファ171に保存されているデータをそのままの論理で誤り検出部174に出力する。一方、切替スイッチ173は、接続状態検出部134において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合には、データ反転部172に接続し、データ反転部172で生成されたデータを誤り検出部174に出力する。
誤り検出部174は、切替スイッチ173から出力されたデータ部について、チェックサムを用いて誤り検出処理を行う。誤り検出部174は、誤りを検出した場合には、制御データ、ユーザデータを破棄し、誤りを検出しなかった場合には、データ抽出部175に制御データ、ユーザデータを出力する。
データ抽出部175は、誤り検出部174から出力された制御データ、ユーザデータから、所望のデータを抽出し、音声I/F部105および識別子設定部135に出力する。
これにより、スター型接続の通信機器間の初期設定において必要であった、2線ケーブルが正接続か逆接続かの検出、および、逆接続時における予め決められた送受信データの論理反転処理のシーケンスが不要になり、通常通信時に入力されたデータに対して、デイジーチェーン接続を含むすべてのトポロジーで、受信側だけの処理でリアルタイムに論理判定と論理修正が可能になる。したがって、各接続機器において、受信データが、正論理あるいは逆論理のいずれで入力された場合でも、正常通信を可能とし、さらにその通信品質の劣化を防ぐことができる。
なお、レピータ200のデータ再生部233の内部構成、および、室内モニタ300のデータ再生部333の内部構成も、図20に示したロビーステーション100のデータ再生部133の内部構成と同一である。
<転送データ処理部の内部構成>
次に、レピータ200の転送データ処理部215の内部構成の詳細について、図21を用いて説明する。図21に示すように、転送データ処理部215は、プリアンブルデータ極性判定部181、プリアンブルデータ記憶部182、データ反転部183、切替スイッチ184、遅延部185、転送データ生成部186、変調部187を有する。転送データ処理部215の基準クロックは、第1周波数のクロック(CLK)を用いる。
プリアンブルデータ極性判定部181は、入力したプリアンブルのユニークパターンが、第1のユニークパターン検出部151で検出されたものか、あるいは、第2のユニークパターン検出部152で検出されたものかによって、2線ケーブルが正接続か逆接続かを判定し、判定結果に基づいて切替スイッチ184を制御する。具体的には、正接続の場合(入力されたプリアンブルのユニークパターンが、第1のユニークパターン検出部151で検出された場合)、プリアンブルデータ極性判定部181は、プリアンブルデータ記憶部182と転送データ生成部186とを接続させるように、切替スイッチ184を制御する。これにより、プリアンブルデータ記憶部182に記憶された正接続時プリアンブルデータが転送データ生成部186に出力される。一方、逆接続の場合(入力されたプリアンブルのユニークパターンが、第2のユニークパターン検出部152で検出された場合)、プリアンブルデータ極性判定部181は、データ反転部183と転送データ生成部186とを接続させるように、切替スイッチ184を制御する。これにより、データ反転部183で生成された逆接続時プリアンブルデータが転送データ生成部186に出力される。
プリアンブルデータ記憶部182は、エンコードしていないデジタルデータである正接続時プリアンブルデータを記憶する。データ反転部183は、プリアンブルデータ記憶部182に記憶されている正接続時プリアンブルデータの極性を反転させ、逆接続時プリアンブルデータを生成する。
切替スイッチ184は、プリアンブルデータ極性判定部181の制御に基づいて接続先を切り替え、プリアンブルデータ記憶部182に記憶された正接続時プリアンブルデータ、あるいは、データ反転部183で生成された逆接続時プリアンブルデータのいずれかのプリアンブルデータを転送データ生成部186に出力する。
遅延部185は、受信データ復号部155から出力された復号データを所定期間遅延させる遅延調整処理を行い、復号データを転送データ生成部186に出力する。なお、遅延のためのレジスタ数削減のため、受信データ処理部213において生成された第2周波数のクロック(SSCK)を使用する。
転送データ生成部186は、第2周波数のクロック(SSCK)を使用して、遅延部185から出力された復号データに、切替スイッチ184から出力されたプリアンブルデータを合わせて変調前の転送データを組み立て、変調部187に出力する。
変調部187は、転送データ生成部186から出力された転送データに対して、図6、図7に示したマンチェスタ符号を採用した変調処理(マンチェスタエンコード処理)を行い、変調後の転送データをルーティング制御部212に出力する。
<ルーティング制御>
次に、本実施の形態に係るレピータ200のルーティング制御部212におけるルーティング制御の具体例について、図22、図23を用いて説明する。図22の例では、レピータ200が、いずれかのDRV(送信ドライバ(Tx)と受信ドライバ(Rx)のセット)1〜5を介して5個の機器(前段のロビーステーション100、後段の他のレピータ200、3個の室内モニタ300)と接続している場合を示している。DRV1は前段のロビーステーション100と接続し、DRV2は後段の他のレピータ200と接続し、DRV3−5は、それぞれ、室内モニタ300と接続しているものとする。図23は、ルーティング制御部212の内部構成を示す図である。図23に示すように、ルーティング制御部212は、内部に、切替スイッチ2121およびOR回路2122を有する。
設定パターンP1は、上り方向の待機時と通信時におけるルーティング(通信ルートの有効/無効)を示す。設定パターンP1では、レピータ200は、受信モード(送信を行わず、受信のみを行うモード)となり、制御部207は、SPI-RWの制御により、切替スイッチ2121の端子T3をT2に接続し、DRV1の送信ドライバ(Tx)を有効にし、DRV2−5の受信ドライバ(Rx)を有効にする。
この場合、他のレピータ200あるいは室内モニタ300からの上り方向のデータは、DRV2−5のいずれかから受信され、ルーティング制御部212のOR回路2122から受信データ処理部213へ出力される。そして、受信データ処理部213から出力されたデータは、復号用として制御部207に出力されると供に、転送用として転送データ処理部215に出力される。転送データ処理部215で生成された転送データは、切替スイッチ2121に出力される。切替スイッチ2121を通ったデータは、DRV1からロビーステーション100に送信される。なお、上りの場合、いずれかの室内モニタ300が、上りの指定タイムスロットを使用していることを制御チャネル等で通知し、すべての室内モニタ300が指定タイムスロットの使用可否が判断できるようにする。そして、上りの指定タイムスロットを、1つの室内モニタ300が使用している場合には、他の室内モニタ300は、データを送信しないようにする。これにより、DRV2−5のいずれかひとつのみが、パケットを受信することになる。
なお、設定パターンP1の状態から、レピータ200を介して、ロビーステーション100と室内モニタ300を接続が確定されると同時に、レピータ200が、該室内モニタ300のIDからパスを確認し、確認結果に応じて、パス以外のDRV2−5送信ドライバ(Tx)を有効にするようにしても良い。
設定パターンP2は、下り方向の待機時と通信時におけるルーティング(通信ルートの有効/無効)を示す。設定パターンP2では、制御部207は、SPI-RWの制御により、切替スイッチ2121の端子T3をT2に接続し、DRV1の受信ドライバ(Rx)を有効にし、DRV2−5の送信ドライバ(Tx)を有効にする。
この場合、ロビーステーション100からの下り方向のデータは、DRV1から受信され、ルーティング制御部212のOR回路2122から受信データ処理部213へ出力される。そして、受信データ処理部213から出力されたデータは、復号用として制御部207に出力されると供に、転送用として転送データ処理部215に出力される。転送データ処理部215で生成された転送データは、切替スイッチ2121に出力される。切替スイッチ2121を通ったデータは、DRV2から後段のレピータ200に送信され、DRV3−5から室内モニタ300に送信される。この時、通信フレームは、時分割複信の同期タイムスロットで通信しているため、DRV2−5が送信ドライバ(Tx)の時には、DRV2−5に外部接続機器からデータが入力されることは無い。また、DRV3−5に接続する各室内モニタ300は、入力したデータに含まれる送信先IDが自機のものでは無い場合には、該データを無視する。
<本実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態では、受信データを転送する際に、受信データのプリアンブルデータの極性を判定し、判定結果に基づいて正接続時あるいは逆接続時のプリアンブルデータを新規に生成する。そして、新規に生成したプリアンブルデータを復号データに合わせて転送データを生成する。これにより、データ転送時に、都度、プリアンブルデータを正しく整形することができるので、データ転送の回数が多くなっても、正確なデータ通信を行うことができる。したがって、複数の機器が2線ケーブルで互いに接続されるドアホンシステムにおいて、通信品質の劣化を防ぐことができる。
<システムのバリエーション1>
上記では、ロビーステーション100が、1つのレピータ200とのみ接続する場合について説明したが、本実施の形態は、ロビーステーション100が、例えば集合住宅の管理人室等に設置される他の機器(以下、「管理モニタ」という)に接続される場合にも適用できる。この場合、図24に示すように、ロビーステーション100には、レピータ200に接続するケーブル接続部101−1、送信ドライバ110−1、受信ドライバ111−1の他に、管理モニタに接続するケーブル接続部101−2、送信ドライバ110−2、受信ドライバ111−2が追加される。また、ロビーステーション100には、室内モニタ300からのデータを管理モニタに転送できるように、ルーティング制御部112および転送データ処理部115が追加される。ルーティング制御部112の内部構成は、図23に示したルーティング制御部212の内部構成と同一である。転送データ処理部115の内部構成は、図21に示した転送データ処理部215の内部構成と同一である。
<システムのバリエーション2>
また、本実施の形態は、図25に示すように、各室内モニタ300がレピータ200の役割も兼ね、室内モニタ300が、2線ケーブルを介して、デイジーチェーン型配線で互いに接続されるドアホンシステムにも適用することができる。
図25では、ロビーステーション100は、2線ケーブルを介して1つの室内モニタ300−1と接続される。室内モニタ300−1は、前段のロビーステーション100と後段の室内モニタ300−2と接続される。他の室内モニタ300−i(iは2以上の整数)は、前段の室内モニタ300−i−1と後段の室内モニタ300−i+1に接続される。
この場合、図26に示すように、室内モニタ300には、ロビーステーション100あるいは前段の室内モニタ300に接続するケーブル接続部301−1、送信ドライバ310−1、受信ドライバ311−1の他に、後段の室内モニタ300に接続するケーブル接続部301−2、送信ドライバ310−2、受信ドライバ311−2が追加される。また、室内モニタ300には、ルーティング制御部312および転送データ処理部315が追加される。ルーティング制御部312の内部構成は、図23に示したルーティング制御部212の内部構成と同一である。転送データ処理部315の内部構成は、図21に示した転送データ処理部215の内部構成と同一である。
(実施の形態2)
プリアンブルの再生成時のプリアンブル先頭データは、SSCKの立上り(図10のタイミングT513)をトリガに開始することになるため、最低でもSSCKで33クロック分の遅延が発生する。図10のタイミングT511で、プリアンブル32bit分の遅延となる。SSCKが、4.8MHzの場合、転送データ処理部215においてプリアンブルを新規に生成する毎に約7μsecの遅延が生じる。
遅延が大きくなると、タイムスロットのガードスペースを長くして遅延を吸収する必要性が生じ、その分、ユーザデータ領域を削減しなければならなくなる。したがって、遅延を低減しつつ、正確なデータ通信を行うことが重要である。
実施の形態2は、上記の点に鑑みて為されたものであり、データ転送の回数が多くなっても、遅延を低減しつつ、正確なデータ通信を行うことを実現するものである。
実施の形態2は、実施の形態1に対して、レピータ200の構成、および、ルーティング制御部212の内部構成が異なる。
図27に示すように、実施の形態2のレピータ200は、図4に示した実施の形態1のレピータ200に対して、受信データ処理部213から出力された、受信データの論理判定用の波形エッジの情報であるデューティ比調整情報が、ルーティング制御部212にも入力される点が異なる。
<ルーティング制御部の内部構成>
図28は、実施に形態2に係るレピータ200のルーティング制御部212の内部構成を示す図である。なお、図28において、図23と共通する部分には、図23と同一符号を付して、説明を省略する。
図28に示すルーティング制御部212は、図23に示したルーティング制御部212と比較して、デューティ比補正部2123、セレクタ2124、切替判定部2125を追加した構成を採る。
デューティ比補正部2123は、OR回路2122から出力された受信データのデューティ比を、受信データ処理部213から出力されたデューティ比調整情報に基づいて1ビットずつ補正して転送データを生成する。デューティ比調整情報は、プリアンブルによる同期後のデータのデコード時に得られる情報であり、シンクパターン先頭ビットからの受信データの情報になる。したがって、デューティ比を補正する場合、同期捕捉のためにあるプリアンブルデータの補正はできない。なお、デューティ比の補正処理の詳細については後述する。
セレクタ2124は、切替判定部2125の指示に基づいて、デューティ比補正部2123から出力された転送データ、あるいは、転送データ処理部215から出力された転送データのいずれかを、切替スイッチ2121に出力する。
切替判定部2125は、ディップスイッチの設定等によるユーザの指示に基づいて、デューティ比補正部2123から出力された転送データと、転送データ処理部215から出力された転送データのいずれを切替スイッチ2121に出力するのかを判定する。切替判定部2125は、判定結果に基づいてセレクタ2124を制御する。ここで、切替判定部2125への入力を、ディップスイッチの設定で、自機のID設定と兼用しても良い。その場合、例えば、切替判定部2125は、自機IDが奇数の場合、デューティ比補正部2123から出力された転送データを選択し、自機IDが偶数の場合、転送データ処理部215から出力された転送データを選ぶようにしても良い。
<デューティ比の補正処理の詳細説明>
次に、デューティ比の補正処理の詳細について説明する。デューティ比補正部2123は、データ再生ウィンドウのカウンタ値の中央値を記憶している。そして、デューティ比補正部2123は、入力した受信データの論理判定用の波形エッジ(マンチェスタエンコードされた受信データの論理判定用の立上りのタイミングあるいは立下りのタイミング)のカウンタ値が中央値からずれている場合、中央値に一致するように、論理判定用の波形エッジのタイミングを調整する。これにより、デューティ比が50%に近づくように補正される。
例えば、図29に示すように、カウンタ値が「1」から「7」のデータ再生ウィンドウの中央値は「4」となる。そして、入力した受信データの波形が「H」から「L」に反転するタイミングT521のカウンタ値が「2」であった場合(図29(A))、デューティ比補正部2123は、カウンタ値「2」から「4」までの範囲のサンプリングデータT522を「L」から「H」に反転し、入力した受信データの波形が「H」から「L」に反転するタイミングT523をカウンタ値「4」に一致させる(図29(B))。
同様に、デューティ比補正部2123は、タイミングT521のカウンタ値が「1」であった場合、カウンタ値「1」から「4」までの範囲のサンプリングデータT522を反転し、タイミングT521のカウンタ値が「3」であった場合、カウンタ値「3」から「4」までの範囲のサンプリングデータT522を反転し、タイミングT521のカウンタ値が「5」であった場合、カウンタ値「4」から「5」までの範囲のサンプリングデータT522を反転し、タイミングT521のカウンタ値が「6」であった場合、カウンタ値「4」から「6」までの範囲のサンプリングデータT522を反転し、タイミングT521のカウンタ値が「7」であった場合、カウンタ値「4」から「7」までの範囲のサンプリングデータT522を反転する。
このように、受信データを転送する際に、受信データのビット毎の受信波形のデューティ比のずれを高精度に補正してからデータを転送することにより、転送先の機器における受信データの復号精度を向上させることができる。
また、デューティ比の補正による遅延は、デューティ比調整情報を得て、転送データを補正し、出力するまで、第1周波数のクロック(CLK)で10クロック分程度の約0.2μsecであり、プリアンブルの新規生成による遅延(約7μsec)に比べて非常に少ない。
そこで、本実施の形態では、一部のレピータ200において、転送データ処理部215によるプリアンブルの新規生成を伴う転送データの生成を行い、他のレピータ200において、デューティ比補正部2123による受信データのデューティ比補正を伴う転送データの生成を行うようにする。
例えば、m(mは自然数)が偶数のレピータ200−mにおいて、転送データ処理部215による転送データの生成を行い、mが奇数のレピータ200−mにおいて、デューティ比補正部2123による転送データの生成を行う。あるいは、mが3の倍数のレピータ200−mにおいて、転送データ処理部215による転送データの生成を行い、mが3の倍数以外のレピータ200−mにおいて、デューティ比補正部2123による転送データの生成を行う。
すなわち、プリアンブルが破壊されない転送回数分(既知)では、デューティ比補正部2123による高速転送方式を行い、それ以外では転送データ処理部215によるプリアンブル新規生成方式を行う。
<本実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態では、一部のレピータ200において、転送データ処理部215によるプリアンブルの新規生成を伴う転送データの生成を行い、他のレピータ200において、デューティ比補正部2123による受信データのデューティ比補正を伴う転送データの生成を行う。これにより、遅延を低減しつつ、正確なデータ通信を行うことができる。
(実施の形態3)
<システムの概要>
次に、本開示の実施の形態3に係るドアホンシステムの概要について、図30を用いて説明する。図30に示すように、ドアホンシステム2は、室内モニタ親機400と、複数の玄関子機500と、から構成される。なお、図30では、室内モニタ親機400のケーブル接続部が1個の場合を示したが、本実施の形態ではこれに限られず、複数個のケーブル接続部があっても良い。
室内モニタ親機400は、例えば、住宅等の宅内に設けられ、2線ケーブルを介して1つの玄関子機500−1と接続される。室内モニタ親機400は、玄関子機500と通信を行い、玄関子機500から映像データ、音声データおよび制御データを受信し、音声データおよび制御データを送信する。なお、本実施の形態において、室内モニタ親機400が、十分な容量の電源を持ち、全ての玄関子機500に電源を供給するものとする。
玄関子機500は、例えば、住宅等の玄関先に設けられ、2線ケーブルを介して、デイジーチェーン型配線で互いに接続される。具体的には、玄関子機500−1は、前段の室内モニタ親機400と後段の玄関子機500−2と接続される。他の玄関子機500−i(iは2以上の整数)は、前段の玄関子機500−i−1と後段の玄関子機500−i+1に接続される。複数の玄関子機500をデイジーチェーン型配線で互いに接続することにより、複数の玄関子機500が比較的近い位置にある場合等に、配線作業が簡単になる。
なお、以下の説明において、ドアホン親機400から玄関子機500への方向を「下り方向」といい、下り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「下りパケット」、「下り信号」という。また、玄関子機500からドアホン親機400への方向を「上り方向」といい、上り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「上りパケット」、「上り信号」という。
<室内モニタ親機の構成>
次に、室内モニタ親機400の構成について、図31のブロック図を用いて説明する。図31に示すように、室内モニタ親機400は、ケーブル接続部401、キー入力部402、スピーカ403、マイク404、音声I/F(インターフェイス)部405、ディスプレイ部406および制御部407を有する。制御部407は、内部に、第1クロック生成部431、パケット生成部432、データ再生部433、接続状態検出部434、識別子設定部435を有する。また、室内モニタ親機400は、送信データ処理部408、送信ドライバ410、受信ドライバ411、受信データ処理部413、識別子記憶部414、電源部450を有する。
ケーブル接続部401は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの一端と、受信ドライバ411および送信ドライバ410との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。また、ケーブル接続部401は、電源部450から供給された玄関子機500用のDC電源を、2線ケーブルから玄関子機500に供給する。なお、2線ケーブルの他端は、玄関子機500に接続される。ケーブル接続部401の内部構成については後述する。
キー入力部402は、応答ボタンを含み、応答ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部407に出力する。
スピーカ403は、音声I/F部405から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク404は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部405に出力する。
音声I/F部405は、制御部407から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ403に出力する。また、音声I/F部405は、マイク404から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部407に出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部405は、マイク404から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部407に出力してもよい。また、音声I/F部405は、制御部407から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
ディスプレイ部406は、液晶ディスプレイを含み、制御部407から出力されたデジタル映像データを再生し、玄関の映像を表示する。なお、制御部407から出力されたデジタル映像データが所定の動画圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の動画伸張処理を行って、映像表示を行う。
制御部407は、室内モニタ親機400の各部の制御を行う。また、制御部407は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を送信ドライバ410および受信ドライバ411に出力する。
制御部407の第1クロック生成部431は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部413に出力する。
制御部407のパケット生成部432は、映像付き通話を実現するための下りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部432は、音声I/F部405から出力されたデジタル音声データを適宜分割して各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込み、自機(室内モニタ親機400)に固有の識別子の送信元IDおよび玄関子機500に固有の識別子の送信先IDを含む制御データを各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、パケット生成部432は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、上りパケット(送信データ)を生成する。さらに、パケット生成部432は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部432は、上りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部408に出力する。
なお、玄関子機500との通信が、フレーム同期を維持した待機状態(制御チャネルのタイムスロットがビーコンとして動作する状態)において、呼出ボタンが操作される等の所定のイベントが発生すると、パケット生成部432は、同期フレーム内の所定のタイムスロットに必要なデータを書き込み、下りパケットを生成する。
制御部407のデータ再生部433は、受信データ処理部413からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部413から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部413から出力された上りパケット(復号データ)に含まれるデジタル映像データをディスプレイ部406に出力し、上りパケットに含まれるデジタル音声データを音声I/F部405に出力し、上りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部434に出力する。
また、データ再生部433は、接続状態検出部434において2線ケーブルが正接続であると判定された場合には、シンクパターン以降のデータ部(制御データ、ユーザデータおよびチェックサム)をそのまま出力する。一方、データ再生部433は、接続状態検出部434において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合には、シンクパターン以降のデータ部を反転して出力する。
また、データ再生部433は、待機状態(フレーム同期状態)において所定のイベントが発生し、下り信号(接続要求)を入力した場合、下り信号を復調して下りパケットを取得し、下りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部434に出力する。データ再生部433は、接続状態検出部434において正確に接続要求を捕捉できたことを確認した後、接続要求の制御データを抽出する。
制御部407の接続状態検出部434は、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンを記憶し、データ再生部433から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部434は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。接続状態検出部434は、判定結果を示す信号をデータ再生部433に出力する。
制御部407の識別子設定部435は、識別子記憶部414から、自機(室内モニタ親機400)のIDを送信元IDとして読み出し、通信相手の玄関子機500のIDを送信先IDとして読み出し、送信元IDと送信先IDとをパケット生成部432に出力する。また、識別子設定部435は、データ再生部433から出力された上りパケットに含まれる送信先IDと識別子記憶部414に記憶されている自機のIDとを照合し、一致しなければ、上りパケットを破棄する。
送信データ処理部408は、パケット生成部432からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部432から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部432から出力された上りパケットのデータに対して変調処理を行って上り信号を生成し、送信ドライバ410に出力する。
送信ドライバ410は、制御部407からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、上り信号を、ケーブル接続部401を介して玄関子機500に送信する。
受信ドライバ411は、玄関子機500から送信された上り信号を、ケーブル接続部401を介して受信する。そして、受信ドライバ411は、制御部407からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、上り信号を、受信データ処理部413に出力する。
受信データ処理部413は、第1クロック生成部431から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、受信ドライバ411から出力された下り信号に含まれるプリアンブルデータを用いて、受信データのタイムスロット上のシンクパターンの先頭ビットのタイミング(玄関子機500との同期タイミング)を検出する。そして、受信データ処理部413は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部433に出力する。
また、受信データ処理部413は、受信ドライバ411から出力された上り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部433に出力する。また、受信データ処理部413は、第1クロック生成部431から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部433に出力する。
識別子記憶部414は、玄関子機500の識別子および自機(室内モニタ親機400)の識別子を記憶する。
電源部450は、室内モニタ親機400の各部に電源を供給する。また、電源部450は、玄関子機500用のDC電源を、ケーブル接続部401を介して、2線ケーブルから玄関子機500に供給する。
<玄関子機の構成>
次に、玄関子機500の構成について、図32のブロック図を用いて説明する。図32に示すように、玄関子機500は、ケーブル接続部501、キー入力部502、スピーカ503、マイク504、音声I/F部505、カメラ部506および制御部507を有する。制御部507は、内部に、第1クロック生成部531、パケット生成部532、データ再生部533、接続状態検出部534、識別子設定部535を有する。また、玄関子機500は、送信データ処理部508、送信ドライバ510、受信ドライバ511、ルーティング制御部512、受信データ処理部513、識別子記憶部514、転送データ処理部515、電源部550を有する。
ケーブル接続部501は、2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブルの一端と、送信ドライバ510および受信ドライバ511との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。なお、ケーブル接続部501−1に接続する2線ケーブルの他端は、室内モニタ親機400あるいは前段の玄関子機500に接続される。また、ケーブル接続部501−2に接続する2線ケーブルの他端は、後段の玄関子機500に接続される。なお、後段に玄関子機500が接続されない場合には、ケーブル接続部501−2はオープン(何も接続されない状態)となる。
ケーブル接続部501−1は、2線ケーブルから供給された玄関子機500用のDC電源を電源部550およびケーブル接続部501−2に供給する。また、ケーブル接続部501−2は、ケーブル接続部501−1から供給された玄関子機500用のDC電源を、2線ケーブルから後段の玄関子機500に供給する。
キー入力部502は、呼出ボタンを含み、呼出ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部507に出力する。
スピーカ503は、音声I/F部505から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク504は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部505に出力する。
音声I/F部505は、制御部507から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ503に出力する。また、音声I/F部505は、マイク504から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部507に出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部505は、マイク504から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部507に出力してもよい。また、音声I/F部505は、制御部507から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
カメラ部506は、デジタルカメラを含み、玄関の映像を撮影し、デジタル映像データを生成して、制御部507に出力する。なお、カメラ部506は、エンコーダモジュールを搭載していてもよい。すなわち、カメラ部506は、デジタルカメラから出力された映像データに対してH.264等の所定の動画圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル映像データとして制御部507に出力してもよい。
制御部507は、玄関子機500の各部の制御を行う。また、制御部507は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を送信ドライバ510および受信ドライバ511に出力する。
制御部507の第1クロック生成部531は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成し、受信データ処理部513に出力する。
制御部507のパケット生成部532は、映像付き通話を実現するための下りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部532は、音声I/F部505から出力されたデジタル音声データおよびカメラ部506から出力されたデジタル映像データを適宜分割して各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込み、自機(玄関子機500)のID(固有の識別子)である送信元IDおよび通信相手の室内モニタ300のIDである送信先IDを含む制御データを各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、パケット生成部532は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、下りパケット(送信データ)を生成する。さらに、パケット生成部532は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部532は、下りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部508に出力する。
なお、室内モニタ400(あるいは他玄関子機500)との通信が、フレーム同期を維持した待機状態(制御チャネルのタイムスロットがビーコンとして動作する状態)において、呼出ボタンが操作される等の所定のイベントが発生すると、パケット生成部532は、同期フレーム内の所定のタイムスロットに必要なデータを書き込み、上りあるいは、下りパケットを生成する。
制御部507のデータ再生部533は、受信データ処理部513からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、受信データ処理部513から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信データ処理部513から出力された上りパケット(復号データ)に含まれるデジタル音声データを音声I/F部505に出力し、上りパケット(復号データ)に含まれるシンクパターンを接続状態検出部534に出力する。
また、データ再生部533は、接続状態検出部534において2線ケーブルが正接続であると判定された場合には、シンクパターン以降のデータ部(制御データ、ユーザデータおよびチェックサム)をそのまま出力する。一方、データ再生部533は、接続状態検出部534において2線ケーブルが逆接続であると判定された場合には、シンクパターン以降のデータ部を反転して出力する。
また、データ再生部533は、待機状態(フレーム同期状態)において所定のイベントが発生し、上り信号(接続要求)を入力した場合、上り信号を復調して上りパケットを取得し、上りパケットに含まれるシンクパターンを接続状態検出部534に出力する。データ再生部533は、接続状態検出部534において正確に接続要求を捕捉できたことを確認した後、接続要求の制御データを抽出する。
制御部507の接続状態検出部534は、2線ケーブルが正接続である場合のチェック用シンクパターン(以下、「正接続チェック用シンクパターン」という(例えば、16bit全てが「0」))、および、正接続チェック用シンクパターンの逆のパターンであって、2線ケーブルが逆接続である場合のチェック用シンクパターン(以下、「逆接続チェック用シンクパターン」という(例えば、16bit全てが「1」))を記憶している。そして、接続状態検出部534は、データ再生部533から出力された受信データのシンクパターンを、正接続チェック用シンクパターンおよび逆接続チェック用シンクパターンと照合する。接続状態検出部534は、受信データのシンクパターンと正接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが正接続であると判定し、受信データのシンクパターンと逆接続チェック用シンクパターンが完全に一致した場合に2線ケーブルが逆接続であると判定する。接続状態検出部534は、判定結果を示す信号をデータ再生部533に出力する。
制御部507の識別子設定部535は、識別子記憶部514から、自機(玄関子機500)のIDを送信元IDとして読み出し、通信相手の室内モニタ300のIDを送信先IDとして読み出し、送信元IDと送信先IDとをパケット生成部532に出力する。また、識別子設定部535は、データ再生部533から出力された下りパケットに含まれる送信先IDと識別子記憶部514に記憶されている自機のIDとを照合し、一致しなければ、下りパケットを破棄する。
送信データ処理部508は、パケット生成部532からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部532から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部532から出力された下りパケットのデータに対して変調処理を行って下り信号を生成し、送信ドライバ510に出力する。なお、送信データ処理部508の変調処理の詳細(具体例)については後述する。
送信ドライバ510−1は、制御部507からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、上り信号を、ケーブル接続部501−1を介して室内モニタ親機400あるいは前段の玄関子機500に送信する。送信ドライバ510−2は、制御部507からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、下り信号を、ケーブル接続部501−2を介して後段の玄関子機500に送信する。
受信ドライバ511−1は、室内モニタ親機400あるいは前段の玄関子機500から送信された下り信号を、ケーブル接続部501−1を介して受信する。そして、受信ドライバ511−1は、制御部507からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、下り信号を、ルーティング制御部512に出力する。受信ドライバ511−2は、後段の玄関子機500から送信された下り信号を、ケーブル接続部501−2を介して受信する。そして、受信ドライバ511−2は、制御部507からの切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、下り信号を、ルーティング制御部512に出力する。
ルーティング制御部512は、受信ドライバ511−p(pは1または2のいずれか)から出力された下り信号あるいは上り信号を、受信データ処理部513に出力する。また、ルーティング制御部512は、識別子設定部535の指示に従って、送信データ処理部508および転送データ処理部515から出力された下り信号あるいは上り信号を、対応の送信ドライバ510−q(qは1または2のp以外の方)に出力する。
受信データ処理部513は、第1クロック生成部531から出力された第1周波数のクロック(CLK)を使用し、ルーティング制御部512から出力された上り信号に含まれるプリアンブルデータを用いて室内モニタ親機400との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、受信データ処理部513は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部533に出力する。また、受信データ処理部513は、検出したユニークパターンを転送データ処理部515に出力する。
また、受信データ処理部513は、受信ドライバ511から出力された上り信号(受信データ)を復号し、復号データをデータ再生部533および転送データ処理部515に出力する。また、受信データ処理部513は、第1クロック生成部531から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成し、データ再生部533に出力する。なお、受信データ処理部513の構成の詳細については、後述する。
識別子記憶部514は、不揮発性記憶部であり、自機IDおよび各室内モニタ300のIDを記憶する。
転送データ処理部515は、プリアンブルデータを新規に生成し、受信データ処理部513から出力された復号データに新規なプリアンブルデータを合わせて転送データを生成し、ルーティング制御部512に出力する。
電源部550は、ケーブル接続部501−1を介して入力した電源を、玄関子機500の各部に供給する。
<室内モニタ親機のケーブル接続部の内部構成>
図33は、室内モニタ親機400のケーブル接続部401の内部構成を示す図である。図33に示すように、ケーブル接続部401は、フィルタ461、462、コンデンサ463、464、パルストランス465、終端回路部466を有している。また、電源部450は、接続機器への電源の供給/停止を切り替えるON/OFFスイッチ451を有する。
電源部450は、商用電源から内部供給用の電源と、2線ケーブルを介して玄関子機500に供給される電源を生成する。玄関子機500に供給される電源は、DC通過のLPF(Low Pass Filter)であるフィルタ461、462を通して、2線ケーブルに渡される。フィルタ461、462は、2線ケーブル上のデータの帯域が影響を受けないようなLPFの設定にされる。
<玄関子機のケーブル接続部の内部構成>
図34は、玄関子機500のケーブル接続部501−1、501−2の内部構成を示す図である。図34に示すように、ケーブル接続部501−1は、フィルタ561、562、コンデンサ563、564、パルストランス565、終端回路部566、ダイオード回路567を有している。また、ケーブル接続部501−2は、フィルタ571、572、コンデンサ573、574、パルストランス575、終端回路部576を有している。
玄関子機500は、室内モニタ親機400からのデイジーチェーンによる電源供給をケーブル接続部501−1で受ける。ケーブル接続部501−1は、DC通過のLPFであるフィルタ561、562、逆接続対応のダイオード回路567を通して、内部電源を生成する電源部550へ渡す。これにより、玄関子機500の内部への電源供給が可能になる。
また、後段の玄関子機500に供給される電源は、DC通過のLPFであるフィルタ571、572を通して、2線ケーブルに渡される。これにより、後段の玄関子機500への電源供給が可能になる。
<システムのバリエーション>
本実施の形態は、図35に示すように、複数(図35では3個)の玄関子機500をデイジーチェーン型配線で互いに接続し、デイジーチェーン型配線の一端に室内モニタ親機400を接続し、他端に室内モニタ子機600を接続するドアホンシステムにも適用することができる。
このシステムは、例えば、2世帯住宅で、2つの玄関子機がすぐ近くにある場合や、2つの室内モニタ400、600の間の配線が困難であるが、それぞれの玄関子機500までの配線は可能な場合等に有効である。
室内モニタ子機600の構成は、図31に示した室内モニタ親機400と同一である。なお、室内モニタ子機600は、前段の玄関子機500から電源の供給を受けることも可能である。
図35のシステムでは、下り方向、上り方向に信号が流れるように、各機器のバスドライバが切替えられる。また、図35のシステムの基本通信フレームは、図36に示すように、下り用のタイムスロットと上り用のタイムスロットに振り分けられている。
玄関子機500−1の呼出ボタンが押された場合、玄関子機500−1は、SL10およびSL21の両方のコマンド用タイムスロットで接続要求を送信する。この場合、SL21は、上り方向に転送されるので、室内モニタ親機400に受信され、下り方向には転送されないので、室内モニタ子機600には受信されない。一方、SL10は、下り方向に転送されるので、室内モニタ子機600に受信され、上り方向には転送されないので、室内モニタ親機400には受信されない。
例えば、来訪者が、室内モニタ親機400との通信のために、玄関子機500−1の呼出ボタンを押し下げると、玄関子機500−1は、SL10およびSL21の両方で、送信元ID(自機ID)および送信先ID(室内モニタ親機400のID)を含む接続要求を送信する。
室内モニタ親機400は、SL21で接続要求を受信し、送信先IDに基づいて自機宛の接続要求であることを確認すると、SL11で接続要求確認を送信し、玄関子機500−1と通信状態になる。通信状態において、玄関子機500−1は、室内モニタ親機400に対して、上り方向のSL12〜SL19で画像データを送信し、SL20で音声データを送信する。また、室内モニタ親機400は、玄関子機500−1に対して、下り方向のSL9で音声データを送信する。
室内モニタ子機600は、SL10で接続要求を受信し、送信先IDに基づいて自機宛の接続要求ではないことを確認すると、接続要求を無視し、接続要求確認を送信しない。
なお、本システムでは、玄関子機500から、室内モニタ親機400と室内モニタ子機600の双方に接続要求することもできる。
また、室内モニタ親機400および室内モニタ子機600にカメラが内蔵されていれば、室内モニタ親機400と室内モニタ子機600との間で映像付きの音声通話を行うことができる。