JP6485614B2 - 食感改良剤を用いた非テンパリング型チョコレート類 - Google Patents

食感改良剤を用いた非テンパリング型チョコレート類 Download PDF

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Description

本発明は、簡便な方法で食感を改良した非テンパリングチョコレート類に関する。
チョコレート類は、カカオマス、ココアバター、砂糖、粉乳等から製造され、POSt、StOSt、POP(P:パルミチン酸、O:オレイン酸、St:ステアリン酸)等のトリグリセリドを主成分とするココアバターは、単独菓子として喫食される典型的なチョコレートに約32重量%存在する。チョコレート類の製造において、製造コストの節約や物性改良の目的で、ココアバターの一部または全部に代えて代替脂を使用することがあり、テンパリング型油脂と非テンパリング型油脂に大別される。
一般に、テンパリング型油脂は、シア脂,サル脂,イリッペ脂,パーム油等、またはこれらの分画油から得られる。主要なトリグリセリド組成は、カカオ脂同様、1,3−ジ飽和−2−不飽和トリグリセリド(SUS;S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸)からなり、この飽和脂肪酸パルミチン酸(P)及びステアリン酸(St)が主体である。このようなSUSに富むテンパリング型油脂は、酵素によるエステル交換技術を利用して得ることも可能である。テンパリング型油脂は構造上ココアバターと類似しているため、ココアバターと併用することによるブルーミングや耐熱性低下等の問題はないが、単独で喫食されるチョコレート類においては、好ましい外観,食感,風味を得るために、テンパリング操作が必要とされる。
上記テンパリング操作は、煩雑且つ熟練を要するため、特に製菓業界において、テンパリングを必要としない製法が望まれてきた。この要望に満たすココアバター代替脂として、非テンパリング型油脂が開発・上市され、代表的なものとしてトランス酸型油脂、ラウリン酸型油脂が挙げられる。トランス酸型油脂は、例えばパーム油等の分画軟質部や大豆油等の液状油をトランス異性化硬化することにより得られ、構成脂肪酸中にトランス脂肪酸を比較的多く含むトリグリセリドからなる。一方、ラウリン酸型油脂は、例えばヤシ油,パーム核油,ババス油等またはこれらの分画油から得られ、構成脂肪酸中にラウリン酸を比較的多く含むトリグリセリドからなる。また近年では、栄養学的見地からトランス脂肪酸の健康に与えるリスクが懸念されており、チョコレート類の製造に好適な非トランス酸・非ラウリン酸型油脂が開発・上市されている(特許文献1)。
しかしながら、上記非テンパリング型油脂を配合したチョコレート生地を融液状態から固化させる冷却条件によっては、チョコレート類に求められる、適度な噛み出しの硬さや良好なスナップ性といった、望ましい食感を満足に得られない場合がある。特に、冷却温度が高いあるいは冷却速度が遅くなるような緩慢冷却条件下において、このような問題が現れる傾向にある。非テンパリング型チョコレート類に関わる従来文献(例えば特許文献1,2)にはこのような問題は取り上げられておらず、最終的に得られるチョコレート類の口溶け/風味に悪影響を与えることなく、問題を解決する有効な食感改良方法は未だ提示されていない。
WO2012/002373 特開2011−244708号公報
本発明の目的は、口溶けや風味を悪化させることなく、適度な噛み出しの硬さ及び/又は良好なスナップ性を有する非テンパリング型チョコレートを提供することにある。
本発明者らは、上記背景技術に鑑み鋭意検討した結果、タルク粉末を食感改良剤として添加することで、適度な噛み出しの硬さまたは良好なスナップ性を有する非テンパリング型チョコレートが得られるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(1)食感改良剤としてタルクを用いたチョコレート類であって、チョコレート類に含まれるココアバター及び粉乳由来の乳脂以外の油脂が非テンパリング型油脂であることを特徴とする、非テンパリング型チョコレート類。(2)食感改良効果が、噛み出しの硬さの上昇またはスナップ性の向上から選ばれる1以上に関するものである、1記載の非テンパリング型チョコレート類。(3)タルクの粒子径(メジアン径)が20μm以下である、1記載の非テンパリング型チョコレート類。(4)チョコレート類中のタルク含量が10重量%以下である、1記載の非テンパリング型チョコレート類。(5)チョコレート類中の無脂カカオ固形分が10重量%以下である、1記載の非テンパリング型チョコレート類。を骨子とする。
本発明によれば、適度な噛み出しの硬さ及び/又は良好なスナップ性を有する非テンパリング型チョコレート類を製造することが可能となる。
実施例1及び比較例1の、超純水洗浄後のX線回折測定結果である。
以下に本発明をより詳細に説明する。
(チョコレート類)
本発明のチョコレート類とは、規約(「チョコレート類の表示に関する公正規約」)乃至法規上の規定により限定されるものではなく、油脂類を必須成分とし、必要により糖類,粉乳類,ココアバター,果汁粉末,果実粉末,呈味剤,乳化剤,香料,着色料等の副原料を任意の割合で配合したものを指し、スイートチョコレート(ダークチョコレート,ビターチョコレート,ブラックチョコレート,プレーンチョコレートとも称される)、ミルクチョコレート,ホワイトチョコレート,カラーチョコレート等の各種チョコレート類を包含する。これらチョコレート類は、単独菓子として喫食されるものに限定されず、ビスケットやクッキー等の生地と組み合わせた複合菓子に用いられるものでも良い。
(非テンパリング型チョコレート類)
従来のテンパリング型チョコレート類では、砂糖、カカオマス、ココアバター、粉乳等に必要に応じてテンパリング型油脂を加えて融液状態で混合し、磨砕・コンチング工程を経て得られた融液状態のチョコレート生地を冷却固化する際に、ココアバターの結晶多形(I〜VI型)のうちV型を選択的に結晶化させる目的で、いわゆるテンパリング処理が施されている。なお、本発明における融液状態とは、チョコレート生地中の油脂結晶がすべて融解している状態を指す。
テンパリング処理とは、例えば40〜50℃で融解状態にあるチョコレート生地を、品温が25〜26℃になるまで冷却して一定時間保持し、30〜31℃に加温・保持することにより生じたココアバターの結晶をV型へ転移させる操作である。ココアバターのV型結晶は、チョコレート類の型離れ,スナップ性,光沢感,耐熱性及び口溶け等において良いとされているが、融解状態から急冷固化するだけで準安定な結晶多形を示す非テンパリング型油脂を用いた非テンパリング型チョコレート類の場合、このような煩雑且つ熟練を要するテンパリング操作を省略することができる。このような非テンパリング型油脂として、従来のトランス酸型油脂及びラウリン酸型油脂に加え、1,2−ジ飽和、3-不飽和トリグリセリド(SSU;S:炭素数16〜18の飽和脂肪酸、U:炭素数18の不飽和脂肪酸)を主成分とする油脂等の非トランス酸・非ラウリン酸型油脂が開発・上市されている。
本発明における非トランス酸型油脂とは、極度硬化油を除く硬化油を実質的に原料に用いない油脂を指し、具体的には、油脂の構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸の割合が2重量%未満、より好ましくは1重量%未満である。また、本発明における非ラウリン酸型油脂とは、ヤシ油やパーム核油などのラウリン系油脂を実質的に原料に用いない油脂を指し、具体的には、油脂の構成脂肪酸に占める炭素数6〜12の脂肪酸の割合が5重量%未満、より好ましくは3重量%未満である。
(タルク)
タルクは滑石とも称され、組成式Mg3Si4O10 (OH) 2で表される。タルクは、水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる結晶性の層状珪酸塩鉱物で、光沢剤や凝固防止剤等として工業用途で利用されているほか、ベビーパウダー等の化粧品類やガム,キャンデー,チョコレート等の食品類等でも利用されている。
(食感改良効果)
本発明における、タルクによる食感改良効果は、非テンパリング型チョコレート類の噛み出しの硬さの上昇またはスナップ性(パキッと割れる性質)の向上から選ばれる1以上に関するものであるが、口溶けや風味を損ねるものではない。
(タルク添加量と粒子径)
タルクは、その粒子表面とチョコレート類の構成成分との相互作用により、本発明における食感改良効果を発現すると考えられ、微量でもその効果を得ることができるが、添加量が多いほど、また粒子径が小さくなるほど総表面積が増加し、大きな効果を得ることができる。ただし、種類や形状、アスペクト比等によって、効果が大きく変わるため、期待する効果に合わせてタルクの粒子径、添加量を選択する。
例えば、非テンパリング型チョコレート類の食感改良を主な目的として、粒子径(メジアン径)が14μmのタルク粒子を該チョコレート類に添加する場合、該チョコレート類に対して0.1重量%以上の添加量が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上である。また、10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。タルク添加量が0.1重量%未満であると、冷却条件や上記チョコレート類に含まれる他原料の影響により、本発明の食感改良効果を十分に得られない場合がある。一方、タルク添加量が10重量%を超えると、上記チョコレート類の物性が脆くなり、粉っぽい食感になる上、コスト上昇等が懸念される。
同じく非テンパリング型チョコレート類の食感改良を主な目的として、タルク粒子を該チョコレート類に対して添加する場合、粒子径(メジアン径)が20μm以下のものを用いるのが好ましく、より好ましくは同5μm以下、さらに好ましくは同1μm以下である。また、粒子径(メジアン径)が0.1μm以上のものを用いるのが好ましく、より好ましくは同0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上である。タルク粒子の粒子径(メジアン径)が20μmを上回ると、総表面積が減少する上、沈降・堆積等に伴う実質的な表面積の減少、あるいは該タルク粒子を含有する本発明の非テンパリング型チョコレート類の物性やテクスチャーへの悪影響が懸念される。一方、タルク粒子の粒子径(メジアン径)が0.1μm未満であると、凝集による総表面積の減少が懸念される。特に、サブミクロンオーダーの粒子が大半を占める場合、人体への悪影響が懸念されるため、好ましくない場合がある。
(無脂カカオ固形分)
本発明の無脂カカオ固形分とは、カカオ豆由来の固形分のうちココアバターを除いた部
分を指す。無脂カカオ固形分は、カカオリカー,カカオリカーを冷却固化して得られるカカオマス,カカオリカーからココアバターを搾り取った残余であるココアケーキ,ココアケーキを粉砕して粉末状にしたココアパウダー等を使用することにより、それぞれに含まれるココアバター含量を減じた固形分相当量として供給される。例えば、カカオマスには45重量%前後の無脂カカオ固形分が、ココアパウダーには76〜90%前後の無脂カカオ固形分が含まれる。本発明の食感改良効果が明確に発現するのは、上記非テンパリング型チョコレート類に含まれる無脂カカオ固形分が少ない場合であり、無脂カカオ固形分が10重量%以下である該チョコレート類の場合により明確であり、無脂カカオ固形分が5重量%以下である該チョコレート類の場合にさらに明確である。ココアバター以外のカカオ豆由来原料を使用しないホワイトチョコレート及びカラーチョコレートの場合が最も明確な食感改良効果が得られる。
(利用)
次に、本発明の好ましい利用方法について説明する。本発明によれば、冷却固化させる前の融液状態のチョコレート生地にタルクが分散していればタルクの添加方法に特に制限はなく、一般的な製法により調製するチョコレート生地の原料の一つとしてタルクを添加する方法以外に、融解した上記非テンパリング型油脂またはココアバターにタルクを分散させ、該分散液とその他原料で調製したチョコレート生地とを融液状態で混合する方法が例示される。ただし、いずれの添加方法においても、混合が不十分であれば、沈降,堆積,凝集等によりタルク粒子の実質的な総表面積が減少し、十分な食感改良効果を得られない場合がある。
なお、本発明の非テンパリング型チョコレート類において、融液状態のチョコレート生地を急冷固化させた場合、食感改良剤としてタルクを添加しない場合でも、十分な噛み出しの硬さや良好なスナップ性を得られるため、タルクの添加を必ずしも必要としない。。本発明のタルク添加はチョコレート生地が緩慢冷却により固化される場合に、明確な食感改良効果を発揮する。例えば、、上記チョコレート生地を固化させるための冷却条件として、例えば一定速度で冷却する場合、その冷却速度は毎分5℃以下、毎分3℃以下、さらには毎分1℃以下のような冷却の場合である。、一定温度条件下で冷却する場合、その冷却温度は該チョコレート生地に含まれる油脂全体としての融点を15℃〜20℃下回る温度、該融点を10〜15℃下回る温度、さらには該融点を5〜10℃下回る温度での冷却の場合である。上記チョコレート生地中の無脂カカオ固形分が高い場合は、該固形分の影響でタルク添加効果がやや不明確であるが、さらに緩慢な冷却条件の場合に本発明のタルク添加の効果が明確に得られる。
また、本発明の非テンパリング型チョコレート類は、生クリーム,バター,ミルク等の水相を含む乳製品や洋酒等を添加したガナッシュ等であっても良いが、特に明瞭な乳化油脂組成物を形成する場合においては、タルクが水相または油水界面に移行し本発明の食感改良効果が弱まるのを極力抑えるため、タルクをあらかじめ乳化前のチョコレート生地または融解した油脂に分散して使用することが好ましい。万が一、一部のタルク粒子が上記油水界面に移行した場合でも、界面を形成する乳化油脂組成物の分散安定性向上等の副次的な効果が期待される。
従って、本発明の食感改良効果は、様々な組成の非テンパリング型チョコレート類のみならず、これらを含む種々のチョコレート類加工製品にも利用することができる。
本発明における、食感改良剤としてタルクを使用した非テンパリング型チョコレート類の製造方法は、上述したタルクの添加方法の他に、特に制限はなく、通常の製造方法を適用することができる。例えば、原料混合,微粒化,精錬,充填,冷却工程を経て製造することができる。結晶構造制御の対象となる脂質組成物を加熱融解する工程、該脂質組成物と上記結晶構造制御剤とを混合する工程、及び該混合物(調製物)を冷却する工程を含むものであれば、いかなる製造方法でも良く、攪拌,掻取,混練,加圧,成形,あるいはテンパリング及び熟成等の工程を任意に含むことができる。
(食感改良効果の評価)
本発明では、上記食感改良効果を具体的に次の(1)〜(3)に挙げる方法よって、食感改良剤を添加しない非テンパリング型チョコレートを対照に比較評価した。
(1)噛み出しの硬さ
カップ充填品を5名のパネラーで試食し、「変化なし」,「低下した」,「上昇した」のいずれかで評価した。「上昇した」と回答した場合のみ、「やや上昇した(1点)」,「上昇した(2点)」,「顕著に上昇した(3点)」のいずれかを選択し、「上昇した」と回答したパネラーの人数で割った平均点を算出した。3名以上のパネラーが「変化なし」または「低下した」と回答した場合は「上昇効果なし(-)」と判断した。3名以上のパネラーが「上昇した」と回答した場合、上記平均点により、1.5点未満を「やや上昇(+)」,1.5点以上2.5点未満を「上昇(++)」,2.5点以上を「顕著に上昇(+++)」と定義した。
(2)スナップ性
モールド成形品の破断強度(最大荷重)を測定し、数値の低下または5%未満の数値上昇を「向上効果なし(-)」,5%以上10%未満の数値上昇を「やや向上(+)」,10%以上15%未満の数値上昇を「向上(++)」、15%以上の数値上昇を「顕著に向上(+++)」と定義した。
(3)口溶け・ワキシー感
カップ充填品を上記パネラー5名で試食し、口溶け及びワキシー感それぞれについて、「悪化した」,「変化なし」,「改善した」のいずれかで評価した。3名以上のパネラーが、「悪化した」と回答した場合は「悪化(×)」、「改善した」と回答した場合は「改善(○)」、それ以外の場合を「変化なし(−)」と定義した。
次に、実施例、比較例等を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載において、「部」はすべて「重量部」を意味する。
〔実施例1〜4、比較例1〕
表1に示した配合に従って、チョコレート生地ベース及びタルク分散油脂を調製し、これらを60℃に調温して融液状態で混合した後、45℃まで撹拌しながら冷却した。得られた融液状態のチョコレート生地を、モールド型及びアルミカップに充填し、それぞれ10℃30分冷却、10℃30分及び20℃30分冷却することにより、非テンパリング型チョコレートのモールド成形品(厚み約6mm,約7〜9g/個)及びカップ充填品(約5g/個)を得た。これらを20℃で12日間保存し、パネラーによる試食評価及び以下に示すクリープメータを用いた破断強度測定により、食感改良効果を評価した。以降に示す実施例及び比較例は、すべて同じ方法で調製・評価した。実施例1〜4及び比較例1では、ミルクチョコレート生地ベースを用い、非テンパリング型油脂として非トランス酸・非ラウリン酸型油脂である油脂A(商品名:メラノNT-R、不二製油株式会社製、融点40.0℃)を使用した。
<クリープメータ測定条件>
装置:山電社製RHEONERII(型式:RE2-33005S)、プランジャー:くさび型(型式P-49)/プランジャーガイド(型式PG-101)、進入速度:1mm/秒、歪率:100%、測定時雰囲気温度:20℃
タルク粉末を使用していない比較例1に対し、タルク粉末を使用した実施例1〜3では、冷却温度に関わらず、噛み出しの硬さが上昇且つスナップ性が向上し、冷却温度が高い方がこれらの食感改良効果が高い傾向にあった。また、実施例1で使用したものと同じ粒子径(メジアン径)のタルク粉末を増量して使用した実施例2、及び実施例1で使用したものより粒子径(メジアン径)の小さいタルク粉末を等量使用した実施例3では、10℃冷却または20℃冷却から選ばれる少なくとも1以上の冷却条件で、噛み出しの硬さがさらに上昇し且つスナップ性がさらに向上した。これらの結果から、タルク粉末には非テンパリング型ミルクチョコレートの食感改良効果があり、冷却条件が緩慢であるほど、タルクの使用量が多いほど、またタルクの粒子径(メジアン径)が小さいほど、食感改良効果が大きいことが分かった。なお、比較例1と比較して、実施例1では口溶け・ワキシー感に変化は見られなかったが、より食感改良効果の大きい実施例2,3では口溶け・ワキシー感が改善した。
上記食感改良効果は、上記ミルクチョコレートの密度測定結果によっても裏付けられており、例えば、比較例1の20℃冷却カップ充填品の密度が1.235g/cmであったのに対し、実施例1では同密度が1.268g/cmと上昇していた。また、これらの食感改良効果は、上記ミルクチョコレートに含まれる油脂(非テンパリング型,ココアバター,乳脂肪)の結晶多形が異なることで発現する可能性も考えられたため、20℃以下の温度でチョコレートに含まれる砂糖を超純水で洗浄し(リンス法)、20℃でX線回折測定(X線源:Cu-Kα(40kV,40mA)、測定法:反射法、スキャンスピード:3°/分(シンチレーションカウンタ)、2θ=1〜30°)を行なった結果、比較例1と実施例1との間でX線回折パターンに違いは見られず、チョコレート中に存在する油脂の結晶多形が同じであることが判明した。
表1に、無添加の非テンパリング型ミルクチョコレートと比較したときの、タルク添加による食感改良効果に関する評価結果をまとめた。また、図1に、実施例1及び比較例1の、超純水洗浄後のX線回折測定結果を示した。
表1 配合(単位:部)及び評価結果
Figure 0006485614
*1 噛み出し硬さ +:やや上昇、++:上昇、+++:顕著に上昇
*2 スナップ性 ++:向上、+++:顕著に向上
*3 口溶け・ワキシー感 −:変化なし、○:改善
※1 タルク粉末Aは、日本タルク社製(商品名:タルクMS、メジアン径14μm)を使用
※2 タルク粉末Bは、日本タルク社製(商品名:NANO ACE D-1000、メジアン径1μm)を使用
〔実施例4,5、比較例2,3〕
表2に示した配合に従って、無脂カカオ固形分が上記実施例1及び比較例1より多い非テンパリング型チョコレート(実施例4及び比較例2)、及び無脂カカオ固形分を含まない非テンパリング型ホワイトチョコレート(実施例5及び比較例3)を調製した。非テンパリング型油脂には、実施例1及び比較例1で使用したものと同じ油脂Aを使用した。
タルク粉末を使用していない比較例2,3に対し、タルク粉末を使用した実施例4,5では、少なくとも一方の冷却条件において、噛み出しの硬さが上昇且つスナップ性が向上し、冷却温度が高い方がこれらの食感改良効果が高い傾向にあった。また、実施例1,4,5の結果から、無脂カカオ固形分が少ないほど、タルクによる食感改良効果が大きいことが分かり、無脂カカオ固形分を含まない上記ホワイトチョコレートに至っては、比較例3のモールド成形品の破断強度(最大荷重)が1,207gfであったのに対し、タルク粉末を使用した実施例5では同1,873gfまで上昇した。なお、比較例2,3と実施例4,5との間で、口溶け・ワキシー感の差を感じるパネラーは一人もいなかった。
表2に、無添加の各非テンパリング型チョコレートと比較したときの、タルク添加による食感改良効果に関する評価結果をまとめた。
表2 配合(単位:部)及び評価結果
Figure 0006485614
*1 噛み出し硬さ −:上昇効果なし、+:やや上昇、++:上昇、+++:顕著に上昇
*2 スナップ性 +:やや向上、+++:顕著に向上
*3 口溶け・ワキシー感 −:変化なし
〔実施例6,7、比較例4〜6〕
表3に示した配合に従って、非テンパリング型ミルクチョコレートを調製した(実施例6,7、及び比較例4〜6)。実施例6及び比較例4では、非テンパリング型油脂としてトランス酸型油脂である油脂B(商品名:メラノ-STS、不二製油株式会社製、融点36.0℃)及び油脂C(商品名:メラノ-STM、不二製油株式会社製、融点37.5℃)を、実施例7及び比較例5では、非テンパリング型油脂としてラウリン酸型油脂である油脂D(商品名:PALKENA-S、不二製油株式会社製、融点32.5℃)を使用した。比較例6は、比較例5の配合から、油脂Dの一部を油脂E(商品名:硬化パーム油K、不二製油株式会社製、融点58.5℃)に置換して、固化促進を図ったものである。
タルク粉末を使用していない比較例4,5に対し、タルク粉末を使用した実施例6,7では、冷却条件に関わらず、噛み出しの硬さが上昇且つスナップ性が向上し、冷却温度が高い方がこれらの食感改良効果が高い傾向にあった。中でも、比較例5のモールド成形品の破断強度(最大荷重)が1,999gfであったのに対し、タルク粉末を使用した実施例7では同2,903gfまで上昇し、顕著なスナップ性向上効果を示した。比較例4,5と比較して、実施例6,7では口溶け・ワキシー感に変化は見られなかった。一方、比較例5の配合から、油脂Dの一部をパーム油極度硬化油である油脂Eに置換した比較例6では、上記チョコレート調製時と同じ温度条件で測定した示差走査熱量分析(DSC)において、冷却条件に関わらず結晶化開始温度が比較例5より約5℃上昇していたが、スナップ性が著しく向上するのみで、噛み出しの硬さが低下すると同時に、口溶け・ワキシー感が悪化し、ねちゃついた食感となってしまった。
表3に、無添加の各非テンパリング型ミルクチョコレートと比較したときの、タルク添加による食感改良効果に関する評価結果をまとめた。
表3 配合(単位:部)及び評価結果
Figure 0006485614
*1 噛み出し硬さ −:上昇効果なし、+:やや上昇、++:上昇、+++:顕著に上昇
*2 スナップ性 +:やや向上、+++:顕著に向上
*3 口溶け・ワキシー感 −:変化なし、×:悪化
本発明により、口溶けや風味を悪化させることなく、適度な噛み出しの硬さまたは/及び良好なスナップ性を有する非テンパリング型チョコレートを提供することができる。

Claims (2)

  1. チョコレート類に含まれるココアバター及び粉乳由来の乳脂以外の油脂が非テンパリング型油脂であるチョコレート類の製造方法であって、冷却固化させる前の融液状態のチョコレート生地に、粒子径(メジアン径)が20μm以下であるタルクを当該チョコレート類中0.1重量%以上、10重量%以下分散させ、緩慢冷却することを特徴とする非テンパリング型チョコレート類の製造方法。
    但し、当該緩慢冷却とは、一定速度で冷却する場合、冷却速度が毎分5℃以下の冷却をいい、一定温度条件下で冷却する場合、当該チョコレート生地に含まれる油脂全体としての融点を15℃〜20℃下回る温度、当該融点を10〜15℃下回る温度、又は当該融点を5〜10℃下回る温度での冷却をいう。
  2. チョコレート類中の無脂カカオ固形分が10重量%以下である、請求項1記載の非テンパリング型チョコレート類の製造方法。
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