JP6485272B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
そしてシートクッション4は、図1及び図5を参照して、基本構成4F,4P,4Sと、面状の機能部材FMを有する(各部材の詳細は後述)。本実施例では、後述するようにシートパッド4Pを、シートフレーム4F上に配置しつつシートカバー4Sで被覆する。このときシートパッド4Pの裏面を、シートフレーム4Fの枠内に設けられた図2のSばね10にて支持する。そしてシートパッド4Pの着座面には、図3を参照して、複数の溝部4Pc,4Pdが設けられており、これら複数の溝部4Pc,4Pdに、必要に応じて図5に示すようにシートカバー4Sの一部を引込み状に取付けることができる。
ここで機能部材FMは、図3〜図5を参照して、機能部材FMの外形をなす基材2fと、基材2fに設けられた配線(図示省略)とからなる帯状の面材であり、プロテクタPMと、コネクタ10fを有する。機能部材FMをなす基材2fの材質は特に限定しないが、典型的には適度な可撓性を備えた樹脂やエラストマやゴムにて形成できる。そしてプロテクタPMは、断面視で略U字状をなす平板部材であり、後述する第二溝部4Pdの貫通部34に嵌め込み可能な寸法を有する。このプロテクタPMは、基材2fよりも硬く変形しにくい金属や硬質樹脂などの素材にて形成されており、貫通部34に嵌装された状態においても実質的にその形状が維持される。
シートフレーム4Fは、図2を参照して、上面視で略矩形の枠状部材であり、フロントフレーム4Faと、一対のサイドフレーム4Fbと、補強フレーム4Fcと、リアフレーム4Fdと、後述のSばね10を有する。フロントフレーム4Faは、シートフレーム4F前部を構成する平板状の部材である。また一対のサイドフレーム4Fbは、それぞれシートフレーム4F側部を構成する平板状の部材であり、シート左右で互いに対面状に配置する。また補強フレーム4Fcは、シート幅方向に長尺なパイプ状の部材であり、一対のサイドフレーム4Fbの前端に配置してこれらの間に橋渡し状に設けられる。またリアフレーム4Fdは、シート幅方向に長尺なパイプ状の部材であり、一対のサイドフレーム4Fbの後部でこれらの間に橋渡し状に設けられる。このリアフレーム4Fdは、シート前後方向において補強フレーム4Fcから適宜の間隔で離間しており、これら両フレーム4Fc,4Fdの間に後述するSばね10が配設される。
シートパッド4Pは、図3を参照して、シート外形をなす上方視で略矩形の部材であり、乗員を弾性的に支持できる。シートパッド4Pの材質は特に限定しないが、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)などの発泡樹脂を例示できる。このシートパッド4Pは、着座部4Pa(後述の第一部位A1及び第二部位A2)と、一対の土手部4Pbと、引込孔部4Peと、一対の第一溝部4Pcと、第二溝部4Pdと、後述の案内部50を有する。着座部4Paは、シート幅方向におけるシートパッド4P中央の平坦な部位である。また一対の土手部4Pbは、それぞれ着座部4Paの側方に配置する突出部位であり、例えばコーナリング走行時に乗員の側部を支持できる。また引込孔部4Peは、シートパッド4Pを厚み方向に貫通する孔部であり、機能部材FMの接続部位8fを、コネクタ10fとともに挿入してシートパッド4P裏面側に導くことができる。この引込孔部4Peは、着座部4Paの後端中央に形成されており、後述する第二溝部4Pdの後方で且つ貫通部34の近傍に配置する。
ここでシートパッド4Pの裏面は、図5を参照して、面状の裏打材20で覆うことができる。この種の裏打材20の素材として、フェルト、天然繊維や合成繊維の布帛(織物,編物,不織布)、皮革(天然皮革,合成皮革)を例示できる。この裏打材20は、後述する貫通部34の内壁をなすシートパッド部分(前壁34a,後壁34b)よりも低摩擦係数を有して滑りやすい面材である。なおシートパッド4Pに対する裏打材20の取付け方法は特に限定しないが、シートパッド4Pの成形と同時に取付けることができ、また接着や融着や貼着等の手法で取付けることもできる。
また各第一溝部4Pcと第二溝部4Pdは、図3を参照して、それぞれシートパッド4Pの着座面を凹ましてなる線状の凹部である。一対の第一溝部4Pcは、左右いずれかの土手部4Pbと着座部4Paの間に形成されてシート前後方向に延びる。また第二溝部4Pdは、着座部4Paの後部を横断しながらシート幅方向に延びており、シート幅方向で見た両端がそれぞれ左右の第一溝部4Pcにつながる。そして第二溝部4Pdは、図5を参照して、係止部32と、貫通部34と、後述の低抵抗部(36a,36b)を有する。係止部32は、後述するシートカバー4Sの一部としての縫合部40を取付け可能な部材であり、平板状の基部32aと、基部32aから立設する略U字状の係止爪32bを有する。本実施例では、第二溝部4Pdの底面に基部32aを埋設状に固定しつつ、係止爪32bを、着座側に向けて突出配置する。この係止爪32bの先端は内向き且つ下方に折り返されており、後述する被係止部材42の先端43を係止可能である。なお着座部4Paの前部には、シート幅方向に延びる別の溝部(図示省略)を設けることができる。
そして貫通部34は、図5を参照して、シートパッド4Pを厚み方向に貫通してなる孔部であり、係止部32の配置箇所とは異なる第二溝部4Pdの適宜の位置に設けることができる。本実施例では、この貫通部34を境として、着座部4Paが、シート前方に配置する第一部位A1と、シート後方に配置する第二部位A2に区分けされており、この第二部位A2が、Sばね10の第二連結部16の上方に配置する。
低抵抗部(第一低抵抗部36a,第二低抵抗部36b)は、貫通部34の内壁34a,34bをそのままの状態とした場合に比してプロテクタPMが移動する際の抵抗が少ない部位である。本実施例では、第一低抵抗部36aを、貫通部34の前壁34aに設けるとともに、第二低抵抗部36bを、貫通部34の後壁34bに設ける。このとき前壁34aの第一低抵抗部36aを、第一部位A1の裏面に設けられた裏打材20を貫通部34に引き込みつつ前壁34aに取付けることで形成できる。また後壁34bの第二低抵抗部36bを、第二部位A2の裏面に設けられた裏打材20を貫通部34に引き込みつつ後壁34bに取付けることで形成できる。これら各低抵抗部36a,36bは、滑りやすい裏打材20で形成されることで、前壁34a又は後壁34bに比してプロテクタPMが移動する際の抵抗が少なくされる。こうしてシートパッド4Pの裏面に配設された裏打材20を利用して各低抵抗部36a,36bを設けることで、シートのシンプル化に資する構成となる。そして各低抵抗部36a,36bは、貫通部34のシートパッド4P裏面側の開口から上方に延びており、嵌装状態のプロテクタPMに当接可能な位置まで設けられる。そしてプロテクタPMが、後述するように各低抵抗部36a,36bに適宜当接しながら、シートパッド4Pの厚み方向における貫通部34の延びる方向に移動可能とされる。
案内部50は、図5及び図6を参照して、貫通部34内でプロテクタPMが移動する際において、他部材としての第二連結部16の配置箇所に向かう方向D1とは異なる方向D2にプロテクタPMを案内する部位である。本実施例では、この案内部50が、シートパッド4Pの第二部位A2で構成されて、第二連結部16に乗り上げられた状態で配置する。そして案内部50としての第二部位A2にて、本発明の他部材寄りの内壁部分に相当する後壁34bが形成される。この後壁34bは、第二連結部16の配置箇所からシート前方に離間した位置に配置しつつシートパッド4Pの裏面側に延びる。そして後述するように、プロテクタPMが、後壁34bに沿って貫通部34の奥方に移動することとなる。
シートカバー4Sは、図5を参照して、シートパッド4Pを被覆可能な面状部材であり、例えば天然繊維又は合成繊維からなる布帛(織物,編物,不職布)や皮革(天然皮革,合成皮革)で形成できる。このシートカバー4Sは、複数の表皮ピースを縫合して形成されており、例えばシートカバー4Sの中央をなす部分が、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2を縫合することで形成される。第一表皮ピースSP1は、上方視で略矩形の表皮ピースであり、着座部4Pa前部をなす第一部位A1を被覆する。また第二表皮ピースSP2も、上方視で略矩形の表皮ピースであり、着座部4Pa後部をなす第二部位A2を被覆する。これら第一表皮ピースSP1の後端と第二表皮ピースSP2の前端は中表状に縫合されており、これら両表皮ピースの縫い代である縫合部40がシート幅方向に連続的に形成される。そして縫合部40は、シートカバー4Sの被覆時においてシート内方に突出して配置するとともに、被係止部材42を介して第二溝部4Pdに引込状に取付け可能である。この被係止部材42は、シート幅方向に長尺な略矩形の平板材であり、縫合部40に沿って取付けられている。そして被係止部材42の先端43は、断面視で略三角形状をなして厚み方向に突出しており、係止部32の係止爪32bに係止可能である。
図3〜図5を参照して、シートパッド4Pに機能部材FMを取付けたのち、これらをシートカバー4Sで被覆する。このとき図3及び図4を参照して、機能部材FMを、シート前後方向に向けながらシートパッド4P後部の着座面にあてがう。そしてプロテクタPMを、図5を参照して、凹み部位6fとともに第二溝部4Pd内に嵌め込みながら貫通部34内に配置する。本実施例では、プロテクタPMが、狭小部4Pfを押し広げながら挿入されて、貫通部34の奥方に配置する。こうしてプロテクタPMが貫通部34の奥方に嵌装されることで、プロテクタPMの外面が、貫通部34の内壁をなす前壁34aと後壁34bにそれぞれ当接可能に配置する。つぎに検出部位4fを、第二溝部4Pd前方のシートパッド4Pの着座面に貼着部材ADMを介して貼着するとともに、接続部位8fの前部を、第二溝部4Pd後方のシートパッド4Pの着座面に貼着部材ADMを介して貼着する。そして接続部位8fの後部を、コネクタ10fとともに引込孔部4Peに引込みつつシートパッド4Pの裏面に導いたのち、コネクタ10fを、図示しない制御部のコネクタに接続する。こうして機能部材FMを、シート前後方向に向けつつ、第二溝部4Pdを跨ぐようにシートパッド4Pの後部に取付けることができる。
上述のシート構成においては、図6を参照して、シートパッド4Pの着座面後部が過度に押圧されることで、第二溝部4Pdの角部X1等が下方に押しつぶされることがある(図6の二点破線で示す状態から実線で示す状態を参照)。例えばシートクッション4の後部で乗員が片膝をつくことで、第二溝部4Pdの角部X1が下方に押しつぶされながら、シートパッド4Pが下方に凹み変形する。そして本実施例では、第二溝部4Pd内に配置する凹み部位6fに、貫通部34の内壁に固定されておらず比較的自由に撓み変形する可撓部位5f,7fが設けられている。このためシートパッド4Pの押圧時において、例えば第二溝部4Pdの角部X1がつぶれて第一可撓部位5fとの間に周長差が生じることにより、第一可撓部位5fが角部X1から離れる方向に大きく撓むことが懸念される。
本実施例の乗物用シートは、実施例1の乗物用シート2とほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造は対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。本実施例のシートクッション4では、図7を参照して、貫通部34Aが、実施例1と同一構成の前壁34aと、後壁34cを有する。この後壁34cは、上方から下方に向かうにつれて次第にシート後方に傾斜しており、後壁34cの下端が、Sばね10の第二連結部16よりもシート後方に配置する。このため第二連結部16が、樹脂ブラケット18とともに貫通部34Aの裏面側の開口から露出して、プロテクタPMの移動を邪魔するおそれがある。
本実施例の乗物用シートは、実施例2の乗物用シートとほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造は対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。本実施例のシートクッション4では、図8を参照して、貫通部34Aが、実施例1と同一構成の前壁34aと、実施例2と同一構成の後壁34cを有する。このため第二連結部16が、樹脂ブラケット18とともに貫通部34Aの裏面側の開口から露出して、プロテクタPMの移動を邪魔するおそれがある。
本実施例の乗物用シートは、実施例2の乗物用シートとほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造は対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。本実施例のシートクッション4では、図8を参照して、貫通部34Aが、実施例1と同一構成の前壁34aと、実施例2と同一構成の後壁34cを有する。このため第二連結部16が、樹脂ブラケット18とともに貫通部34Aの裏面側の開口から露出して、プロテクタPMの移動を邪魔するおそれがある。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
4F シートフレーム
4P シートパッド
4S シートカバー
10 Sばね
16 第二連結部(本発明の他部材)
34 貫通部
36a,36b 低抵抗部
50 案内部
FM 機能部材
2f 基材
4f 検出部位
6f 凹み部位
8f 接続部位
10f コネクタ
X1 シートパッドの溝部の角部
PM プロテクタ
Claims (3)
- シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッドと、前記シートパッドと別体で且つ前記シートパッドの裏面側に配置される他部材と、前記シートパッドを厚み方向に貫通する貫通部と、前記シートパッドの着座面に固定される面状の機能部材とを備え、前記機能部材が、前記貫通部内に配置可能な凹み部位と、前記凹み部位の形状を保持するプロテクタとを有し、前記シートパッドの着座面に前記機能部材を取付けつつ、前記プロテクタを、前記凹み部位とともに前記貫通部内に配置する構成の乗物用シートにおいて、
前記プロテクタを、前記シートパッドの厚み方向における前記貫通部の延びる方向に移動可能として配置させるとともに、前記貫通部の内壁には、前記内壁をそのままの状態とした場合に比して前記プロテクタが移動する際の抵抗が少ない低抵抗部が設けられており、
前記乗物用シートに、前記プロテクタが前記低抵抗部に沿って前記貫通部内で移動する際に、前記貫通部の裏面側の開口付近に配置された前記他部材の配置箇所に向かう方向とは異なる方向に前記プロテクタを案内する案内部を設けた乗物用シート。 - 前記案内部が、前記他部材に乗り上げられた状態で配置するシートパッド部分で構成されるとともに、前記案内部によって形成された前記貫通部の他部材寄りの内壁部分が、前記他部材の配置箇所から離間した位置に配置しつつ前記シートパッドの裏面側に延び、
前記プロテクタが、前記貫通部の前記他部材寄りの内壁部分に沿って移動しつつ、前記他部材の配置箇所に向かう方向とは異なる方向に案内される構成とした請求項1に記載の乗物用シート。 - 前記案内部が、前記シートパッドと同材質の樹脂で形成される請求項2に記載の乗物用シート。
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