JP6482163B2 - 折畳式車両 - Google Patents

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Description

本発明は、階段等の段差を上らせることが可能な折畳式車両に関するものである。
従来より、階段等の段差を上らせることが可能な車両に関する技術が種々提案されている。例えば、下記特許文献1に記載された車椅子では、椅子部の両側面の前後にそれぞれ設けられ、両端に車輪を有し、側面内において両車輪を一体に旋回およびスライド可能な旋回スライド車輪機構を備え、前輪および車輪のうち左右それぞれ2輪以上を接地させるよう旋回スライド車輪機構を制御するように構成したので、簡易な構成で、転倒する恐れがなく、階段等の昇降が可能となる。
特開2013−208245号公報
しかしながら、上述した技術は、椅子部に搭乗者が座った状態で車椅子が階段等を昇降可能となるように提案されたものであることから、折畳状態の車両に適用することは困難であった。
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、折畳状態で階段等の段差を楽に上らせることが可能な折畳式車両を提供することを課題とする。
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、走行のための展開状態と収納搬送のための折畳状態との切り替えが可能な折畳式車両であって、折畳状態において、少なくとも1つの車輪が他の車輪の上部に隣接して配置され、少なくとも1つの車輪は、折畳状態での段差の昇段時に、段差の上段面において支点となり、上端部にハンドルが取り付けられると共に下端部に前輪が取り付けられるハンドルフレームと、前端部がハンドルフレームに軸支され、ハンドルフレームに対して回動可能とされるベースフレームと、後端部に後輪が取り付けられており、前端部がベースフレームに軸支され、ベースフレームに対して回動可能とされるリアフレームと、ベースフレームに軸支され、ベースフレームに対して回動可能とされる補助輪とを備え、ハンドルフレームとベースフレームとを略V字状に近接させると共にベースフレームとリアフレームとを略逆V字状に近接させて折畳状態とすることにより、補助輪が後輪の上部に隣接して配置されることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の折畳式車両であって、折畳状態での重心が支点より上方にあることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の折畳式車両であって、電動走行のためのバッテリーを備え、バッテリーは、折畳状態において展開状態に比して上方に配置されることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の折畳式車両であって、少なくとも1つの車輪は、展開状態において走行面から離間してなることを特徴とする。
請求項に係る発明は、走行のための展開状態と収納搬送のための折畳状態との切り替えが可能な折畳式車両であって、折畳状態において、少なくとも1つの車輪が他の車輪の上部に隣接して配置され、少なくとも1つの車輪は、折畳状態での段差の昇段時に、段差の上段面において支点となり、走行方向に対して左右に一対の車輪を備え、少なくとも1つの車輪は、一対の車輪の一方であり、他の車輪は、一対の車輪の他方であることを特徴とする。
請求項に係る発明は、走行のための展開状態と収納搬送のための折畳状態との切り替えが可能な折畳式車両であって、折畳状態において、少なくとも1つの車輪が他の車輪の上部に隣接して配置され、少なくとも1つの車輪は、折畳状態での段差の昇段時に、段差の上段面において支点となり、ベースフレームと、前端部がベースフレームに軸支され、ベースフレームに対して回動可能とされる、展開状態において、走行方向に対して左右に一対のリアフレームと、一対のリアフレームの後端部にそれぞれ取り付けられる一対の後輪とを備え、一対のリアフレームの一方は、前端部がベースフレームに軸支される第1フレームと、後端部に一対の後輪の一方が取り付けられる第2フレームと、第1フレームの後端部と第2フレームの前端部とを連結し、第2フレームを第1フレームに向けて回動させる付勢力を有するスプリング内蔵ヒンジと、スプリング内蔵ヒンジの付勢力に対抗して一対のリアフレームの一方を一対のリアフレームの他方と対をなす状態でロックするロック機構とを備え、ベースフレームと一対のリアフレームとを略逆V字状に近接させると共に一対の後輪の一方を第1フレームに隣接させて折畳状態とすることを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の折畳式車両であって、折畳状態で段差の昇段時に段差の下り方向に伸び出す支え棒を備え、支え棒が段差に突き当たることにより転倒を防止することを特徴とする。
請求項1に係る発明の折畳式車両では、折畳状態において、少なくとも1つの車輪が他の車輪の上部に隣接して配置され、少なくとも1つの車輪は、折畳状態での段差の昇段時に、段差の上段面において支点となり、回転することから、折畳状態で階段等の段差を楽に上らせることが可能である。
請求項1に係る発明の折畳式車両では、ハンドルフレームとベースフレームとを略V字状に近接させると共にベースフレームとリアフレームとを略逆V字状に近接させて折畳状態とすることにより、補助輪が後輪の上部に隣接して配置されることから、補助輪を加えるだけで、折畳状態で階段等の段差を楽に上らせることが実現できる。
請求項2に係る発明の折畳式車両では、折畳状態での重心が支点より上方にあることから、折畳状態での段差の昇段時に、支点を中心にした昇段が容易となる。
請求項3に係る発明の折畳式車両では、電動走行のためのバッテリーが折畳状態において展開状態に比して上方に配置されることから、折畳状態での段差の昇段時に、支点を中心にした昇段が容易となる。
請求項4に係る発明の折畳式車両では、少なくとも1つの車輪は、展開状態において走行面から離間してなることから、走行機能を担う部品に変更を加えることなく、折畳状態で階段等の段差を楽に上らせることが実現できる。
請求項に係る発明の折畳式車両では、走行方向に対して左右に一対の車輪を備え、少なくとも1つの車輪は、一対の車輪の一方であり、他の車輪は、一対の車輪の他方であることから、走行機能を担う一対の車輪を利用することで、折畳状態で階段等の段差を楽に上らせることが実現できる。
請求項に係る発明の折畳式車両では、ベースフレームと一対のリアフレームとを略逆V字状に近接させると共に一対の後輪の一方を第1フレームに隣接させて折畳状態とすることが実現できる。
請求項に係る発明の折畳式車両では、折畳状態で段差の昇段時に段差の下り方向に伸び出す支え棒を備え、支え棒が段差に突き当たることにより転倒を防止する。
第1実施形態の折畳式車両の基本的構成を説明するための模式図である。 同折畳式車両の折畳状態を説明するための模式図である。 同折畳式車両が折畳状態での段差の昇段を説明するための模式図である。 同折畳式車両が折畳状態での段差の昇段を説明するための模式図である。 同折畳式車両が折畳状態での段差の昇段を説明するための模式図である。 第2実施形態の折畳式車両の基本的構成を説明するための斜視図である。 同折畳式車両の展開状態を説明するための部分斜視図である。 同折畳式車両の展開状態を説明するための部分斜視図である。 同折畳式車両の折畳状態を説明するための部分斜視図である。 同折畳式車両の折畳状態を説明するための模式図である。 同折畳式車両が折畳状態での段差の昇段を説明するための模式図である。 同折畳式車両が折畳状態での段差の昇段を説明するための模式図である。 同折畳式車両が折畳状態での段差の昇段を説明するための模式図である。
以下、本発明に係る折畳式車両について、具体化した各実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。各実施形態の折畳式車両は、フレームを折り畳むことが可能な電動三輪車である。尚、以下の説明に用いる各図面では、基本的構成の各部等が描かれているが、それらの寸法比等は必ずしも正確ではない。
[1−1 第1実施形態における基本構成]
図1に表すように、第1実施形態の折畳式車両100は、ヘッドフレーム102、フロントフレーム104、ベースフレーム106、及びスイングアーム108を備えている。ヘッドフレーム102の上端部前側には、ハンドル110が固定されている。一方、ヘッドフレーム102の下端には、前輪112が回動可能に支持されている。
ヘッドフレーム102の中央付近には、フロントフレーム104が連続して設けられている。フロントフレーム104の後端には、ベースフレーム106が第1回動部114を介して取り付けられている。第1回動部114では、ベースフレーム106が、不図示の回動軸によって、フロントフレーム104に対して回動可能に支持されている。ベースフレーム106は、側面視で湾曲して形成されている。
ベースフレーム106の中央付近には、前方向に対する左右の両側において、一対のスイングアーム108が第2回動部116を介して取り付けられている。第2回動部116では、一対のスイングアーム108が、不図示の回動軸によって、ベースフレーム106に対して回動可能に支持されている。図1では、一対のスイングアーム108のうち、図1視の紙面手前側(前方に向かって左側)のものが描かれ、図1視の紙面奥側(前方に向かって右側)のものは省略されている。この省略は、後述する図2乃至図5においても、同様である。
ベースフレーム106では、第1回動部114と第2回動部116に挟まれた部分において、補助輪118が不図示の回動軸を介して回動可能に支持されている。尚、補助輪118の幅は、一対のスイングアーム108の間隔より小さい。
ベースフレーム106の上端には、サドル120が取り付けられている。サドル120の下側では、バッテリー122がベースフレーム106の上端部に固定されている。バッテリー122は、折畳式車両100の電動走行の駆動源であり、折畳式車両100を構成する他の部品と比べ重い。
一対のスイングアーム108の後端には、一対の後輪124がそれぞれ回動可能に支持されている。一対の後輪124の一方は、バッテリー122によって生じた動力が伝えられる駆動輪である。図1では、一対の後輪124のうち、図1視の紙面手前側(前方向に向かって左側)のものが描かれ、図1視の紙面奥側(前方に向かって右側)のものは省略されている。この省略は、後述する図2乃至図5においても、同様である。
第1実施形態の折畳式車両100は、図1に表す展開状態では、前輪112及び一対の後輪124が路面S上を回転しながら移動することにより走行する。走行時には、補助輪118は、路面Sから離間しており、路面S上を回転することはない。
尚、第1実施形態では、ブレーキ関係や電気配線関係の各部品等は省略されている。
[1−2 第1実施形態における折畳状態]
第1実施形態の折畳式車両100は、図2に表すように折り畳まれる。図2に表す折畳状態にするには、例えば、サドル120をハンドル110に接近させることにより、第1回動部114を回動中心にして、ベースフレーム106をヘッドフレーム102及びフロントフレーム104に向けて図1視上反時計回りに回動させる。これにより、ヘッドフレーム102及びフロントフレーム104とベースフレーム106とが略V字状に近接される。
このとき、例えば、一対の後輪124が路面S上を回転しながら前側に移動することにより、一対のスイングアーム108が第2回動部116を回動中心にしてベースフレーム106に向けて図1視上時計回りに回動し、一対のスイングアーム108がフロントフレーム104の後端部付近まで移動する。これにより、ベースフレーム106と一対のスイングアーム108とが略逆V字状に近接される。
このようにして、第1実施形態の折畳式車両100が折畳状態になると、補助輪118が一対の後輪124の上部に隣接するように配置される。
尚、展開状態から折畳状態になると、バッテリー122がハンドル110の高さまで上方に移動される。また、前輪112と一対の後輪124とが近接される。
[1−3 第1実施形態における段差の昇段]
以下、第1実施形態の折畳式車両100が段差を昇段する場合を説明する。先ず、例えば、折畳状態にある折畳式車両100のハンドル110又はサドル120等を搬送者が持って進むことにより、図3に表すようにして、前輪112と一対の後輪124とを路面S上で回転させながら進行方向Tに移動させる。これにより、折畳式車両100を一対の後輪124側から階段10の一段目の蹴込面11Aに接近させ、補助輪118を階段10の一段目の踏面11Bに接触させる。
そして、例えば、搬送者がハンドル110又はサドル120等を階段10に向けて押し下げることにより、補助輪118と踏面11Bとの接触箇所を支点Fにして、前輪112及び一対の後輪124を路面Sから浮かせる。このとき、サドル120付近にバッテリー122があるため、搬送者はハンドル110又はサドル120等を階段10に向けて押し下げる操作を行い易い。
次に、図4に表すように、前輪112及び一対の後輪124を路面Sから浮かせた状態を保ちつつ、補助輪118を踏面11B上で回転させながら進行方向Tに移動させ、一対の後輪124を蹴込面11Aから踏面11Bに接触させる。
そして、例えば、搬送者がハンドル110又はサドル120等を階段10から離れるように押し上げることにより、図5に表すようにして、一対の後輪124を踏面11Bに乗り上げさせる。
さらに、一対の後輪124を踏面11B上で回転させながら進行方向Tに移動させることにより、折畳式車両100を一対の後輪124側から階段10の二段目の蹴込面12Aに接近させ、補助輪118を階段10の二段目の踏面12Bに接触させる。
以降、図3乃至図5の各動作が繰り返されることにより、一対の後輪124を踏面12Bに乗り上げさせることができ、さらに、一対の後輪124を階段10の三段目の踏面13Bに乗り上げさせることができる。このようにして、第1実施形態の折畳式車両100は、階段10を上りながら進行方向Tに移動させることができる。尚、符号13Aは、階段10の三段目の蹴込面である。
[1−4 第1実施形態における纏め]
第1実施形態では、折畳状態の折畳式車両100において、補助輪118が一対の後輪124の上部に隣接するように配置され、補助輪118は、折畳状態での階段10の昇段時に、階段10の段差を構成する各踏面11B,12B,13Bにおいて支点Fとなり、回転する。これにより、第1実施形態の折畳式車両100は、折畳状態で階段10の段差を楽に上らせることが可能である。
第1実施形態の折畳式車両100では、折畳状態でハンドル110付近にあるバッテリー122が重量物であるため、折畳状態での重心が支点Fより上方にある。これにより、折畳状態での階段10の昇段時に、支点Fにより折畳式車両100が持ち上げられるので、その後、補助輪118が回転して昇段し易い。
第1実施形態の折畳式車両100では、展開状態から折畳状態になると、電動走行のためのバッテリー122がハンドル110の高さまで上方に移動され、バッテリー122が折畳状態において展開状態に比して上方に配置される。これにより、折畳状態での階段10の昇段時に、支点Fにより折畳式車両100が持ち上げられるので、その後、補助輪118が回転して昇段し易い。
第1実施形態の折畳式車両100では、補助輪118は、展開状態において路面Sから離間してなる。これにより、第1実施形態の折畳式車両100は、走行機能を担う部品に変更を加えることなく、折畳状態で階段10の段差を楽に上らせることを実現可能にしている。
第1実施形態の折畳式車両100では、ヘッドフレーム102及びフロントフレーム104とベースフレーム106とを略V字状に近接させると共に、ベースフレーム106と一対のスイングアーム108とを略逆V字状に近接させて折畳状態とし、補助輪118が一対の後輪124の上部に隣接して配置される。これにより、第1実施形態の折畳式車両100は、補助輪118を加えるだけで、折畳状態で階段10の段差を楽に上らせることを実現可能にしている。
ちなみに、第1実施形態において、補助輪118は、「少なくとも一つの車輪」の一例である。一対の後輪124は、「他の車輪」の一例である。各踏面11B,12B,13Bは、「上段面」の一例である。路面Sは、「走行面」の一例である。ヘッドフレーム102及びフロントフレーム104は、「ハンドルフレーム」の一例である。一対のスイングアーム108は、「リアフレーム」の一例である。
[1−5 第1実施形態における変更例]
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、複数個の補助輪118を、前方向に対する左右方向にて、一対のスイングアーム108の間隔内に収まるように並べて設けてもよい。
[2−1 第2実施形態の基本構成]
第2実施形態を説明する。以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図6に表すように、第2実施形態の折畳式車両200は、右スイングアーム202、フロント側左スイングアーム204、及びリア側左スイングアーム206を備えている。
右スイングアーム202は、前方に向かって右側において、ベースフレーム106の中央付近に第2回動部116を介して取り付けられている。フロント側左スイングアーム204は、前方に向かって左側において、ベースフレーム106の中央付近に第2回動部116を介して取り付けられている。
フロント側左スイングアーム204の後端には、リア側左スイングアーム206が第3回動部208を介して取り付けられている。右スイングアーム202の後端には、右後輪210が回動可能に支持されている。リア側左スイングアーム206の後端には、左後輪212が回動可能に支持されている。
図7に表すように、第2回動部116では、回動軸214によって、フロント側左スイングアーム204がベースフレーム106の左側において回動可能に支持されている。図7では省略されているが、第2回動部116では、回動軸214によって、右スイングアーム202がベースフレーム106の右側において回動可能に支持されている。
第3回動部208では、フロント側左スイングアーム204の後端部とリア側左スイングアーム206の前端部とを連結するようにして、スプリング内蔵ヒンジ216の各羽根板が固定されている。スプリング内蔵ヒンジ216の軸の反対側では、フロント側左スイングアーム204の後端部とリア側左スイングアーム206の前端部が対向する付近にて、ホルダー218が形成されている。ホルダー218には、ロックピン220の先端が嵌め入れられている。ロックピン220は、第2回動部116とサドル120に挟まれたベースフレーム106の左側部分から突き出すように設けられている。
図8に表すように、ホルダー218は、一対のフロント側ホルダー222及びリア側ホルダー224を備えている。
一対のフロント側ホルダー222は、フロント側左スイングアーム204の後端部の上部及び下部において、リア側ホルダー224の上下方向の厚み距離を空けて、向かい合うようにそれぞれ設けられている。リア側ホルダー224は、リア側左スイングアーム206の前端部の上下方向中央において設けられている。
フロント側左スイングアーム204の後端部とリア側左スイングアーム206の前端部とがスプリング内蔵ヒンジ216の各羽根板が重ね合わされることにより対向すると、一対のフロント側ホルダー222の間にリア側ホルダー224が嵌装される。この状態では、一対のフロント側ホルダー222に上下方向で貫き設けられた第1中空部とリア側ホルダー224に上下方向で貫き設けられた第2中空部とが一続きとなって、ホルダー218の連続中空部226が形成される。
ホルダー218の連続中空部226にロックピン220の先端が嵌め入れられることにより、フロント側左スイングアーム204の後端部とリア側左スイングアーム206の前端部とが対向した状態が保持される。
これに対して、ホルダー218の連続中空部226からロックピン220の先端が抜かれると、スプリング内蔵ヒンジ216の付勢力によって、図9に表すように、リア側左スイングアーム206がスプリング内蔵ヒンジ216の軸を回動中心にしてフロント側左スイングアーム204にまで図9視上時計回りに回動移動する。これにより、第3回動部208にて、リア側左スイングアーム206が折り畳まれる。さらに、左後輪212は、フロント側左スイングアーム204に対向し、第2回動部116付近まで移動する。尚、符号228は、右後輪210を電動駆動させるためのモーターである。
第2実施形態の折畳式車両200は、図6に表す展開状態では、前輪112、右後輪210、及び左後輪212が路面上を回転しながら移動することにより走行する。
さらに、展開状態の折畳式車両200では、図7及び図8に表すように、フロント側左スイングアーム204の後端部とリア側左スイングアーム206の前端部とが対向する。これにより、フロント側左スイングアーム204及びリア側左スイングアーム206は、ベースフレーム106を対称軸として、右スイングアーム202とは左右対称の形状にある(図9参照)。
[2−2 第2実施形態における折畳状態]
第2実施形態の折畳式車両200は、図10に表すように折り畳まれる。図10に表す折畳状態にするには、例えば、サドル120をハンドル110に接近させることにより、第1回動部114を回動中心にして、ベースフレーム106をヘッドフレーム102及びフロントフレーム104に向けて図6視上反時計回り(矢印A1回り)に回動させる。これにより、ヘッドフレーム102及びフロントフレーム104とベースフレーム106とが略V字状に近接される。
このとき、ベースフレーム106の回動に付随して、ベースフレーム106のロックピン220の先端が、上方に移動しホルダー218の連続中空部226から抜かれる。これにより、リア側左スイングアーム206には、スプリング内蔵ヒンジ216の付勢力が作用する。このため、リア側左スイングアーム206は、第3回動部208を回動中心にして、フロント側左スイングアーム204に向けて図9視上時計回り(矢印A2回り)に回動する。これにより、リア側左スイングアーム206が折り畳まれ、リア側左スイングアーム206とフロント側左スイングアーム204とが近接される。
また、フロント側左スイングアーム204及びリア側左スイングアーム206が、第2回動部116を回動中心にして、ベースフレーム106に向けて図6視上時計回り(矢印A3回り)に回動する。このため、フロント側左スイングアーム204及びリア側左スイングアーム206が、ベースフレーム106の第1回動部114と第2回動部116に挟まれた部分にまで移動する。これにより、フロント側左スイングアーム204とベースフレーム106とが略逆V字状に近接されると共に、リア側左スイングアーム206とベースフレーム106とが略逆V字状に近接される。
さらに、例えば、右後輪210が路面上を回転しながら前側に移動することにより、右スイングアーム202が第2回動部116を回動中心にしてベースフレーム106に向けて図6視上時計回り(矢印A4回り)に回動し、右スイングアーム202がフロントフレーム104の後端部付近まで移動する。これにより、ベースフレーム106と右スイングアーム202とが略逆V字状に近接される。
このようにして、第2実施形態の折畳式車両200が折畳状態になると、左後輪212が右後輪210の上部に隣接するように配置される。
尚、展開状態から折畳状態になると、前輪112と右後輪210とが近接される。
[2−3 第2実施形態における段差の昇段]
以下、第2実施形態の折畳式車両200が段差を昇段する場合を説明する。先ず、例えば、折畳状態にある折畳式車両200のハンドル110又はサドル120等を搬送者が持って進むことにより、図11に表すようにして、前輪112と右後輪210とを路面S上で回転させながら進行方向Tに移動させる。これにより、折畳式車両200を右後輪210側から階段10の一段目の蹴込面11Aに接触させると共に、左後輪212を階段10の一段目の踏面11Bに接触させる。
そして、例えば、搬送者がハンドル110又はサドル120等を階段10に向けて押し下げることにより、左後輪212と踏面11Bとの接触箇所を支点Fにして、前輪112及び右後輪210を路面Sから浮かせる。
次に、図12に表すように、前輪112及び右後輪210を路面Sから浮かせた状態を保ちつつ、左後輪212を踏面11B上で回転させながら進行方向Tに移動させ、右後輪210を蹴込面11Aから踏面11Bに接触させる。
そして、例えば、搬送者がハンドル110又はサドル120等を階段10から離れるように押し上げることにより、図13に表すようにして、右後輪210を踏面11Bに乗り上げさせる。
さらに、右後輪210を踏面11B上で回転させながら進行方向Tに移動させることにより、折畳式車両200を右後輪210側から階段10の二段目の蹴込面12Aに接近させ、左後輪212を階段10の二段目の踏面12Bに接触させる。
以降、図11乃至図13の各動作が繰り返されることにより、右後輪210を踏面12Bに乗り上げさせることができ、さらに、右後輪210を階段10の三段目の踏面13Bに乗り上げさせることができる。このようにして、第2実施形態の折畳式車両200は、階段10を上りながら進行方向Tに移動させることができる。
特に、第2実施形態では、各踏面11B,12B,13B上で支点Fを形成する左後輪212は、進行方向Tに対する左右方向において、各蹴込面11A,12A,13Aに接近又は接触する右後輪210に近接しているため、右後輪210を各踏面11B,12B,13Bに乗り上げさせ易い。
[2−4 第2実施形態における纏め]
第2実施形態では、折畳状態の折畳式車両200において、左後輪212が右後輪210の上部に隣接するように配置され、左後輪212は、折畳状態での階段10の昇段時に、階段10の段差を構成する各踏面11B,12B,13Bにおいて支点Fとなり、回転する。これにより、第2実施形態の折畳式車両200は、折畳状態で階段10の段差を楽に上らせることが可能である。
第2実施形態の折畳式車両200は、右後輪210及び左後輪212によって、前方向に対して左右に一対の後輪を備える。一対の後輪については、折畳状態の折畳式車両200において、左後輪212が右後輪210の上部に隣接するように配置される。これにより、第2実施形態の折畳式車両200は、走行機能を担う右後輪210及び左後輪212を利用することで、折畳状態で階段10の段差を楽に上らせることを実現可能にしている。
第2実施形態の折畳式車両200では、ベースフレーム106と右スイングアーム202とを略逆V字状に近接させ、ベースフレーム106とフロント側左スイングアーム204及びリア側左スイングアーム206とを略逆V字状に近接させると共に、左後輪212をフロント側左スイングアーム204に隣接させて、折畳状態とすることが実現できる。
ちなみに、第2実施形態において、左後輪212は、「少なくとも1つの車輪」の一例である。右後輪210は、「他の車輪」の一例である。各踏面11B,12B,13Bは、「上段面」の一例である。進行方向Tは、「走行方向」の一例である。右後輪210及び左後輪212は、「一対の車輪」の一例である。左後輪212は、「一対の車輪の一方」の一例である。右後輪210は、「一対の車輪の他方」の一例である。
右スイングアーム202、フロント側左スイングアーム204及びリア側左スイングアーム206は、「一対のリアフレーム」の一例である。右後輪210及び左後輪212は、「一対の後輪」の一例である。フロント側左スイングアーム204及びリア側左スイングアーム206は、「一対のリアフレームの一方」の一例である。フロント側左スイングアーム204は、「第1フレーム」の一例である。左後輪212は、「一対の後輪の一方」の一例である。リア側左スイングアーム206は、「第2フレーム」の一例である。ロックピン220、一対のフロント側ホルダー222、リア側ホルダー224、及び連続中空部226は、「ロック機構」の一例である。
[2−5 第2実施形態における変更例]
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第2実施形態では、ロックピン220がベースフレーム106の左側部分に突き出すように設けられているが、ロックピン220をベースフレーム106とは切り離して個別に用意してもよい。
第2実施形態では、モーター228の駆動源であるバッテリー122の取付位置を明示しなかったが、第1実施形態と同様にして、サドル120付近にバッテリー122を取り付けてもよい。
[3 その他]
各折畳式車両100,200では、折畳状態で階段10の段差を昇段する際に、階段10の下り方向に向けて伸び出す支え棒を設けてもよい。伸び出す支え棒が路面Sや階段10の各踏面11B,12B,13Bに突き当たることで、各折畳式車両100,200が階段10の段差等から転倒することを防止できる。
11B,12B,13B 階段の踏面
100 折畳式車両
102 ヘッドフレーム
104 フロントフレーム
106 ベースフレーム
108 スイングアーム
118 補助輪
122 バッテリー
124 一対の後輪
200 折畳式車両
202 右スイングアーム
204 フロント側左スイングアーム
206 リア側左スイングアーム
210 右後輪
212 左後輪
216 スプリング内蔵ヒンジ
220 ロックピン
222 一対のフロント側ホルダー
224 リア側ホルダー
226 連続中空部
F 支点
S 路面
T 進行方向

Claims (7)

  1. 走行のための展開状態と収納搬送のための折畳状態との切り替えが可能な折畳式車両であって、
    前記折畳状態において、少なくとも1つの車輪が他の車輪の上部に隣接して配置され、
    前記少なくとも1つの車輪は、前記折畳状態での段差の昇段時に、前記段差の上段面において支点となり、
    上端部にハンドルが取り付けられると共に下端部に前輪が取り付けられるハンドルフレームと、
    前端部が前記ハンドルフレームに軸支され、前記ハンドルフレームに対して回動可能とされるベースフレームと、
    後端部に後輪が取り付けられており、前端部が前記ベースフレームに軸支され、前記ベースフレームに対して回動可能とされるリアフレームと、
    前記ベースフレームに軸支され、前記ベースフレームに対して回動可能とされる補助輪とを備え、
    前記ハンドルフレームと前記ベースフレームとを略V字状に近接させると共に前記ベースフレームと前記リアフレームとを略逆V字状に近接させて前記折畳状態とすることにより、前記補助輪が前記後輪の上部に隣接して配置されることを特徴とする折畳式車両。
  2. 前記折畳状態での重心が前記支点より上方にあることを特徴とする請求項1に記載の折畳式車両。
  3. 電動走行のためのバッテリーを備え、
    前記バッテリーは、前記折畳状態において前記展開状態に比して上方に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の折畳式車両。
  4. 前記少なくとも1つの車輪は、前記展開状態において走行面から離間してなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の折畳式車両。
  5. 走行のための展開状態と収納搬送のための折畳状態との切り替えが可能な折畳式車両であって、
    前記折畳状態において、少なくとも1つの車輪が他の車輪の上部に隣接して配置され、
    前記少なくとも1つの車輪は、前記折畳状態での段差の昇段時に、前記段差の上段面において支点となり、
    走行方向に対して左右に一対の車輪を備え、
    前記少なくとも1つの車輪は、前記一対の車輪の一方であり、
    前記他の車輪は、前記一対の車輪の他方であることを特徴とする折畳式車両。
  6. 走行のための展開状態と収納搬送のための折畳状態との切り替えが可能な折畳式車両であって、
    前記折畳状態において、少なくとも1つの車輪が他の車輪の上部に隣接して配置され、
    前記少なくとも1つの車輪は、前記折畳状態での段差の昇段時に、前記段差の上段面において支点となり、
    ベースフレームと、
    前端部が前記ベースフレームに軸支され、前記ベースフレームに対して回動可能とされる、前記展開状態において、走行方向に対して左右に一対のリアフレームと、
    前記一対のリアフレームの後端部にそれぞれ取り付けられる一対の後輪とを備え、
    前記一対のリアフレームの一方は、
    前端部が前記ベースフレームに軸支される第1フレームと、
    後端部に前記一対の後輪の一方が取り付けられる第2フレームと、
    前記第1フレームの後端部と前記第2フレームの前端部とを連結し、前記第2フレームを前記第1フレームに向けて回動させる付勢力を有するスプリング内蔵ヒンジと、
    前記スプリング内蔵ヒンジの前記付勢力に対抗して前記一対のリアフレームの一方を前記一対のリアフレームの他方と対をなす状態でロックするロック機構とを備え、
    前記ベースフレームと前記一対のリアフレームとを略逆V字状に近接させると共に前記一対の後輪の一方を前記第1フレームに隣接させて前記折畳状態とすることを特徴とする折畳式車両。
  7. 前記折畳状態で前記段差の昇段時に前記段差の下り方向に伸び出す支え棒を備え、前記支え棒が前記段差に突き当たることにより転倒を防止することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の折畳式車両。
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