JP6481712B2 - 燃料ポンプ及びその制御方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、燃料ポンプと内燃機関とを接続する燃料配管を流れる燃料にベーパが発生した場合、燃料ポンプが吐出する燃料の目標燃圧を高く設定することにより、燃料配管内でベーパロックが生じることを防ぐ技術が記載されている。
しかしながら、燃料ポンプが低流量を吐出するとき、燃料ポンプ内で燃料を昇圧するポンプ室の燃料にベーパが発生すると、そのベーパをポンプ室から燃料と共に排出することが困難である。
この場合、特許文献1に記載の技術を用いて燃料ポンプが吐出する燃料の目標燃圧を高く設定しても、それに追従して駆動制御されるインペラの回転によってポンプ室からベーパを排出することは困難である。
仮に、燃料ポンプのポンプ室にベーパが多量に蓄積された場合、燃料ポンプがベーパロックし、燃料を吐出しなくなるおそれがある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、燃料を昇圧するポンプ室のベーパロックを防ぐことの可能な燃料ポンプを提供することを目的とする。
これにより、燃料ポンプの制御は、ポンプ室にベーパが発生したとき、通常制御によるものから、ベーパを排出するための制御に切り替わる。そのため、ポンプ室のベーパは、燃料ポンプの外側へ確実に排出される。したがって、燃料ポンプは、ベーパロックすることなく、要求された流量を吐出することができる。
第1発明は、ベーパ排出孔を備えている。ベーパ排出孔は、燃料流路からケーシングの外側へベーパを排出可能である。ベーパ排出孔は、燃料流路に連通する第1流路と、その第1流路よりも内径が小さく形成され第1流路の反燃料流路側に連通する第2流路とを有する。第1流路の入口から第2流路の出口まで、流路面積が徐々に小さくなっている。
これにより、燃料ポンプは、ベーパロックを防ぐことができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1から図15に示す。本実施形態の燃料ポンプ1は、可変燃圧システムによる燃料供給系統に用いられ、燃料タンク2の燃料を燃料配管3を通じて内燃機関4に圧送するものである。
図1に示すように、この制御システムでは、内燃機関4が必要とする燃圧及び流量に応じたインペラの回転数を車両の電子制御装置(ECU)5が検出し、その指令値を燃料ポンプ1のコントローラ(FPC)6に伝送する。FPC6は、その指令値に応じた三相交流を燃料ポンプ1のモータに供給する。
燃料ポンプ1から燃料配管3に吐出された燃料の圧力は、圧力センサ7によって検出され、その信号がECU5に伝送される。ECU5は、圧力センサ7が検出した燃圧と目標燃圧とが一致するよう、FPC6を経由して燃料ポンプ1をフィードバック制御する。
また、本実施形態のECU5は、圧力センサ7の信号から燃料ポンプ1のポンプ室にベーパが発生したことが検出されると、所定のフィードフォワード制御により、ベーパをベーパ排出孔へ排出するための制御を行う。
図2に示すように、燃料ポンプ1は、ポンプ部10、モータ部30、ハウジング39及びモータカバー40等から構成される。燃料ポンプ1は、ポンプ部10の備えるインペラ11の回転により、図2の下方に示す吸入口12から燃料を吸入し、その燃料を昇圧して、図2の上方に示す燃料吐出管41から吐出する。
インペラ11は、円盤状に形成され、周方向に並ぶ複数の羽根溝15を有する。インペラ11は、モータ部30のシャフト31に固定され、シャフト31と共に回転する。
上ケーシング13と下ケーシング14との間には、インペラ11を収容するポンプ室16が形成される。
下ケーシング14は、燃料ポンプ1の外側からポンプ室16に燃料を導入する吸入口12を有する。
上ケーシング13は、ポンプ室16からモータ部30へ燃料を吐出する吐出口17を有する。
図2に示すように、上ケーシング13も、下ケーシング14と同様に、吸入口12から吐出口17に亘り、インペラ11の羽根溝15に対応して環状に形成された燃料流路19を有する。上ケーシング13及び下ケーシング14の燃料流路18,19は、ポンプ室16に連通している。
モータのシャフト31と共にインペラ11が回転すると、吸入口12からポンプ室16及び燃料流路18,19に燃料が吸入される。その燃料は、インペラ11の回転により、羽根溝15と燃料流路18,19との間を螺旋状の旋回流となって流れ、吸入口12から吐出口17に向かうに従い昇圧され、吐出口17から吐出する。
ステータ32は、円筒状を呈し、ステータコア33、インシュレータ34、巻線35を有している。ステータコア33は、鉄等の磁性材料で形成される。インシュレータ34は、ステータコア33を樹脂モールドする。巻線35は、インシュレータ34に巻回され、三相巻線を構成する。巻線35が巻回されたインシュレータ34は、さらにモータカバー40によって一体に樹脂成形される。したがって、ステータ32は、モータカバー40と一体に形成される。
シャフト31は、ロータ36の中心に圧入固定され、ロータ36とともに回転する。シャフト31は、その一端がモータカバー40に設けられた軸受42に回転可能に支持され、他端が上ケーシング13に設けられた軸受43に回転可能に支持される。
モータカバー40に設けられたU相、V相、W相の端子44から、ステータ32の各相の巻線35に三相電力が供給されると、ステータ32に回転磁界が生じ、ロータ36とシャフト31が回転する。
モータカバー40は、図1の上方へ突出する燃料吐出管41を有する。ポンプ部10によって昇圧された燃料は、モータ部30のステータ32とロータ36との隙間を通り、燃料吐出管41から吐出する。
図3に示すように、ベーパ排出孔20は、吸入口12の位置を0°としたときの角度θaが、約110°から130°の範囲に設けられている。吸入口12からポンプ室16に吸入される燃料には、吸入負圧によりベーパが発生することがある。ベーパ排出孔20は、吸入口12の付近で発生したベーパを燃料ポンプ1の外側へ排出するものである。
吸入口12から負圧により燃料流路18及びポンプ室16に導入された燃料は、徐々に昇圧され、ベーパ排出孔20の付近で数十kPaとなる。そのため、燃料流路18の燃料は、ベーパ排出孔20から燃料ポンプ1の外側へ排出される。
燃料流路18を流れる燃料には、インペラ11の回転による遠心力が作用するので、燃料流路18の径方向外側を流れる燃料の圧力が高い。燃料に含まれるベーパは燃料よりも質量が小さいので、燃料流路18の径方向内側を流れる。したがって、ベーパ排出孔20を燃料流路18の内曲面部183に接続することで、燃料流路18を流れるベーパをベーパ排出孔20に確実に導入することが可能である。
第1流路21は、燃料流路18の内曲面部183に接続し、燃料流路18と連通する。第1流路21は、燃料流路18からベーパ排出孔20に燃料が流入する際、ベーパ排出孔20の内壁から燃料が剥離することを防ぐ。
第2流路22は、第1流路21よりも内径が小さく形成され、第1流路21の反燃料流路側に連通する。第2流路22の内径と長さの設定により、ベーパ排出孔20を流れる燃料の流量が調整される。
第1テーパ部24は、第1流路21と第2流路22との接続箇所に設けられ、第1流路21と第2流路22との段差を流れる燃料に渦流が生じることを防ぐ。第1テーパ部24は、第1流路21と第2流路22との間に設けられた段差の径外側に環状に設けられる。
図5に示すように、第1テーパ部24は、その内角θbが120°以下に形成される。これは、仮に内角が120°よりも大きいと、そこを流れる燃料に渦流が生じ易くなるからである。
図6では、インペラ回転数を、燃料ポンプ1として一般的な3000から10000rpmとしたときの d/Lとベーパ排出量比との関係を示している。
このとき、1≦d/L≦6の範囲でベーパ排出量比が96.5%以上である。また、2≦d/L≦5の範囲で、ベーパ排出量比が99%以上である。このように、第1流路21の長さLとその内径dとの関係を調整することで、第1流路21から第2流路22へ流れ込む燃料の角度にベーパ排出孔20の形状を合わせることが可能である。これにより、燃料流路18からベーパ排出孔20へ燃料と共に排出されるベーパを増加することができる。
図7に示すように、比較例のベーパ排出孔200は、第2流路220が燃料流路18に直接接続されており、第1流路21及び第1テーパ部24を有していない。また、比較例の第3流路230のテーパ角は、第1実施形態の第3流路23のテーパ角よりも大きく形成されている。この場合、燃料流路18からベーパ排出孔に流入する燃料は、矢印Aに示すように、ベーパ排出孔200の上流側の内壁から剥離して流れる。そのため、その剥離が生じたベーパ排出孔200の上流側の内壁の近傍では、破線Bに示すように、渦流が生じ、燃圧が低下する。そのため、その渦流からベーパが生じると、そのベーパの容積分、燃料流路18から排出されるベーパ排出量が低下する。
また、比較例のベーパ排出孔200は、矢印Cに示すように、燃料は第3流路230の一部のみを流れる。第3流路230のその他の部分には、矢印Dに示すように、第3流路230の外側から燃料を引き込む流れが生じる。これにより、比較例のベーパ排出孔200は、燃料流路18から排出されるベーパ排出量が少ないものとなる。
また、矢印Fに示すように、第1実施形態のベーパ排出孔20の第3流路23は、第3流路23の外側から燃料を引き込むことなく、第2流路22からの燃料流れを燃料ポンプ1の外側へ排出することが可能である。したがって、第1実施形態のベーパ排出孔20は、比較例のベーパ排出孔200に比べて、燃料流路18から排出されるベーパ排出量を増加することができる。
燃料ポンプ1の制御は、エンジンの始動と共に開始される。この制御が開始されると、ECU5は、内燃機関4が必要とする目標燃圧に応じたモータの回転数を定め、FPC6を経由して燃料ポンプ1のモータに電力を供給する。なお、本実施形態の燃料ポンプ1は、モータの回転数とインペラ回転数が一致している。
ステップ1で、ECU5は、圧力センサ7の信号により、燃料ポンプ1から吐出された燃料圧力を検出する。
続いて、ステップ2で、ECU5は、目標燃圧と、圧力センサ7が検出した燃圧とが一致するよう、比例積分制御(PI制御)により、燃料ポンプ1のモータの回転数をフィードバック制御する。
一般に、ベーパは、吸入口12の付近で吸入負圧により発生し、燃料の昇圧を妨げる。そのため、燃料ポンプ1の吐出する燃圧の低下に基づき、ベーパの発生を検出することが可能である。
ECU5は、所定の閾値よりも燃圧が低下した場合、ポンプ室16の燃料にベーパが発生したと判断する。所定の閾値は、例えば10kPaに設定される。
一方、ECU5は、ベーパが発生したと判断したとき、ステップ4に移行し、ポンプ室16のベーパをベーパ排出孔20へ排出するため、燃料ポンプ1の制御をフィードフォワード制御に切り換える。
ステップ4では、ECU5は、モータの回転数の上昇率を増加し、FPC6を介してモータに電力を供給する。そして、ステップ5では、所定時間経過したか否かを検出し、所定時間が経過するまで、ステップ4で実行した回転数の上昇率を維持する。
ステップ5で、所定時間が経過すると、処理は、再びステップ1に戻り、フィードバック制御を行う。
上述したステップ3において、本実施形態の圧力センサ7とECU5は、特許請求の範囲に記載の「検出手段」として機能する。
上述したステップ4及び5において、本実施形態のECU5とFPC6が燃料ポンプ1を所定のフィードフォワード制御するとき、これらは、特許請求の範囲に記載の「ベーパ制御手段」として機能する。
燃料ポンプ1から吐出した燃料は、プレッシャーレギュレータ50を通り、流量計51によりその流量が計測された後、ウォータバス52の中の配管53で所定温度に高められ、燃料タンク2に戻される。燃料タンク2の気圧は、負圧吸引機54により所定の気圧に設定される。これにより、車両に設置された燃料ポンプ1が高温かつ低気圧の環境下で使用される状態と同じ状態が作られる。
図11において、各実線G、H、Iは、燃料ポンプ1を「従来の制御」により駆動したときの試験データである。「従来の制御」とは、ECU5が上述したフィードバック制御(S1)のみを行い、上述した所定のフィードフォワード制御(S4,S5)を行わない制御ことをいうものとする。実線Gは燃圧を示し、実線Hはインペラ回転数を示し、実線Iは流量を示している。
一方、各破線J,K,Lは、図9のフローチャートで説明した本実施形態の制御のとおり、ECU5がフィードバック制御(S1)と、所定のフィードフォワード制御(S4,S5)の両方を行なった場合の目標値である。破線Jは燃圧を示し、破線Kはインペラ回転数を示し、破線Lは流量を示している。
時刻t1以降、ECU5のフィードバック制御により、実線Hに示す回転数が上昇する。しかし、実線Gに示す燃圧と実線Iに示す流量は共に低下し、時刻t2で流量が0となり、燃料ポンプ1がベーパロックした状態となる。
実線Mは燃圧を示し、破線Nはインペラ回転数を示し、一点鎖線Oは流量を示している。
ECU5は、時刻txでベーパの発生を検出すると、燃料ポンプ1の制御を、フィードバック制御(S1)から所定のフィードフォワード制御(S4,S5)に切り換える。すなわち、破線Nに示すように、ECU5は、時刻txから時刻tyの間のみ、回転数の上昇率を大きくすることで、回転数を急速に増加する。
これにより、実線Mに示すように、燃圧は脈動を打つものの、目標燃圧に近い値を維持する。また、一点鎖線Oに示すように、燃料ポンプ1から吐出する流量は維持される。
図13(A)に燃圧の変化を示し、図13(B)にインペラ回転数の上昇率の変化を示す。
破線P、Qは、ECU5が「従来の制御」を行った場合の試験データである。破線Pでは、ECU5はフィードバック制御において、燃料ポンプ1から吐出された燃圧が、ベーパ発生検出の閾値である例えば10kPa低下した際、インペラ回転数の上昇率を1000rpm/sとしている。この場合、破線Qに示すように、燃圧は下降を続けている。
実線Rでは、ECU5はポンプ室16にベーパが発生した場合、時刻txからtyの0.1秒間のみ、インペラ回転数の上昇率を30000rpm/sとしている。この場合、実線Sに示すように、燃圧は脈動を打つものの、目標燃圧に近い値を維持する。
なお、インペラ回転数の上昇率を維持する時間(時刻txからty)は、実験等により任意に設定することが可能である。本実施形態では、時刻txからtyを0.1秒としたが、この時間は例えば燃料ポンプ1の体格などに応じて、0.1秒よりも短く又は長くしてもよい。
一点鎖線Vでは、ECU5はポンプ室16にベーパが発生した場合、インペラ回転数の上昇率を10000rpm/sとしている。この場合、一点鎖線Wに示すように、燃圧は下降している。
ポンプ室16にベーパが発生した場合、インペラ回転数の上昇率20000rpm/s以上にすると、燃料ポンプ1が吐出する流量の低下率が減少する。そして、インペラ回転数の上昇率30000rpm/sとしたとき、燃料ポンプ1が吐出する流量の低下率が0となる。
なお、インペラ回転数の上昇率20000rpm/sは、フィードバック制御によるインペラ回転数の上昇率1000rpm/sに対し、20倍である。したがって、ポンプ室16にベーパが発生した場合、インペラ回転数の上昇率を、フィードバック制御によるインペラ回転数の上昇率の20倍以上にすると、燃料ポンプ1が吐出する流量の低下率が減少する。
図15の実線Yは、ECU5が燃料ポンプ1を「従来の制御」により駆動したときの負圧限界と流量との関係を示すデータである。
実線Xにおける流量Lcの負圧限界Peは、実線Yにおける流量Lcの負圧限界Pbよりも4kPa以上低い値を示した。したがって、実線Xに示す本実施形態の制御による燃料ポンプ1は、実線Yに示す従来の制御による燃料ポンプ1に対し、所定流量Lcにおいて、負圧限界を4kPa以上下げることが可能である。即ち、本実施形態の制御による燃料ポンプ1は、低気圧条件において低流量化が可能である。
本実施形態の燃料ポンプ1は、次の作用効果を奏する。
(1)本実施形態では、ポンプ室16にベーパが発生したとき、インペラ回転数を所定時間、通常制御による回転数よりも高くすることにより、ポンプ室16のベーパをベーパ排出孔20へ排出する。
すなわち、燃料ポンプ1の制御は、ポンプ室16にベーパが発生したとき、通常のフィードバック制御によるものから、ベーパをベーパ排出20孔へ排出するためのフィードフォワード制御に切り替わる。そのため、ポンプ室16のベーパは、ベーパ排出孔20から燃料ポンプ1の外側へ確実に排出される。したがって、燃料ポンプ1は、ベーパロックすることなく、要求された流量を吐出することができる。
これにより、燃料ポンプ1のベーパロックを確実に防ぐことができる。
これにより、燃料ポンプ1のベーパロックを確実に防ぐことができる。
このように、短時間のフィードフォワード制御により、燃料ポンプ1はベーパの排出に必要な流量のみを吐出し、それよりも多くの流量を吐出することが抑制される。
これにより、ポンプ室16のベーパを確実に排出することができる。
これにより、フィードフォワード制御を極めて短い時間のみ行うことで、燃料ポンプ1はベーパの排出に必要な流量のみを吐出し、それよりも多くの流量を吐出することが抑制される。
通常時、燃料ポンプ1のモータは目標圧に応じた回転数にフィードバック制御されるので、通常時に燃料ポンプ1が吐出する燃圧は目標圧を維持する。そのため、燃料ポンプ1が吐出する燃圧が目標圧から所定圧以上低下したとき、ポンプ室16にベーパが発生したことを推定可能である。
これにより、燃料流路18を流れる燃料は、ベーパ排出孔20の上流側の内癖から剥離することなく、第1流路21、第1テーパ部24及び第2流路22の内壁に沿って速やかに流れる。そのため、第1流路21の内壁の内側に燃料の渦流が形成されることなく、ベーパ排出孔20の流路の全てに燃料を流すことが可能になる。したがって、燃料流路18のベーパがベーパ排出孔20から確実に排出されるので、燃料ポンプ1のベーパロックを防ぐことができる。
これにより、燃料流路18を流れる燃料は、第1流路21から、第1テーパ部24及び第2流路22へ速やかに流れる。
これにより、インペラ回転数を例えば3000から10000rpmとしたとき、燃料流路18から第1流路21を通じて第2流路22に流れ込む燃料の角度に、第1流路21の形状を合わせることが可能である。したがって、2≦d/L≦5の範囲で、燃料流路18からベーパ排出孔20へ流れ込む燃料を最も多くすることができる。
これにより、燃料絞り部となる第2流路22を必要以上に長くすることなく、燃料流路18から適切な流量を排出することが可能である。
これにより、第3流路23の加工性を高めることができる。また、ベーパ排出孔20を形成する際、第2流路22と第3流路23との接続箇所などに生じたバリを容易に除去することが可能である。
また、第3流路23のテーパ角を小さくすることで、下ケーシング14の外側から第3流路23に燃料が引き込まれることが防がれる。したがって、ベーパ排出孔20からのベーパの排出量を増加することができる。
燃料流路18を流れる燃料には、インペラ11の回転による遠心力が作用するため、燃料流路18の径方向外側を流れる燃料の圧力が高い。そのため、燃料に含まれるベーパは燃料よりも質量が小さいので、燃料流路18の径方向内側を流れる。したがって、ベーパ排出孔20の第1流路21を燃料流路18の内曲面部183に接続することで、燃料流路18を流れるベーパをベーパ排出孔20に確実に導入することができる。
第2実施形態の燃料ポンプの要部拡大図を図16に示す。以下、複数の実施形態について、上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、ベーパ排出孔20は、第1テーパ部25の径内側の内周と、第2流路の燃料流路側の内周とが接続している。そのため、ベーパ排出孔20の第1テーパ部25は、第1流路21と第2流路22との間に設けられた段差の全部に設けられる。したがって、第2実施形態では、第1流路21と第2流路22との段差が無しになる。
第2実施形態においても、第1テーパ部25によって、第1流路21から第2流路22へ流れる燃料に渦流が生じることが防がれる。そのため、ベーパ排出孔20の流路の全てに燃料を流すことが可能になり、燃料流路18のベーパをベーパ排出孔20から確実に排出することができる。
第3実施形態の燃料ポンプの要部拡大図を図10に示す。第3実施形態では、ベーパ排出孔20の第1テーパ部26は、燃料流路18に接続している。
第3実施形態においても、第1流路21と第2流路22との段差が無しになり、第1流路21または第1テーパ部26から第2流路22へ流れる燃料に渦流が生じることが防がれる。そのため、燃料流路18のベーパをベーパ排出孔20から確実に排出することができる。
(1)上述した実施形態では、可変燃圧システムに用いられる燃料ポンプについて説明した。これに対し、他の実施形態では、燃料ポンプは、一般の燃料供給システムに用いることも可能である。
(2)上述した実施形態では、ブラシレスモータを備えた燃料ポンプについて説明した。これに対し、他の実施形態では、燃料ポンプは、ブラシ付きのモータを備えるものであってもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記複数の実施形態を組み合わせることに加え、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
7 ・・・圧力センサ(検出手段)
5 ・・・ECU(通常制御手段、ベーパ制御手段、検出手段)
6 ・・・FPC(通常制御手段、ベーパ制御手段)
11・・・インペラ
13・・・上ケーシング(ケーシング)
14・・・下ケーシング(ケーシング)
16・・・ポンプ室
18,19・・・燃料流路
20・・・ベーパ排出孔
Claims (14)
- 周方向に複数の羽根溝を有するインペラ(11)と、
前記インペラを回転するモータ部(30)と、
前記インペラを回転可能に収容するポンプ室(16)を有するケーシング(13,14)と、
前記ケーシングの外側から前記ポンプ室に燃料を導入する吸入口(12)と、
前記ポンプ室から前記ケーシングの外側へ燃料を吐出する吐出口(17)と、
前記吸入口から前記吐出口に亘り、前記インペラの羽根溝に対応して前記ケーシングに環状に形成された燃料流路(18,19)と、
前記ポンプ室及び前記燃料流路にベーパが発生したことを検出する検出手段(7,5)と、
前記モータ部を制御して前記インペラの回転数を目標燃圧に応じた回転数にする通常制御手段(5,6)と、
前記検出手段がベーパの発生を検出したとき、前記インペラの回転数を、前記通常制御手段が定める目標回転数よりも高くするベーパ制御手段(5,6)と、
前記燃料流路から前記ケーシングの外側へベーパを排出可能なベーパ排出孔(20)と、を備え、
前記ベーパ排出孔は、
前記燃料流路に連通する第1流路(21)と、
その第1流路よりも内径が小さく形成され前記第1流路の反燃料流路側に連通する第2流路(22)とを有し、
前記第1流路の入口から前記第2流路の出口まで、流路面積が徐々に小さくなっていることを特徴とする燃料ポンプ(1)。 - 前記ベーパ制御手段は、前記インペラの回転数の上昇率を20000rpm/s以上にすることを特徴とする請求項1に記載の燃料ポンプ。
- 前記通常制御手段は、前記インペラの回転数を目標燃圧に応じた回転数にフィードバック制御するものであり、
前記ベーパ制御手段は、前記インペラの回転数の上昇率を、前記通常制御手段が燃圧低下に応じて定める前記インペラの回転数の上昇率に対し、20倍以上にすることを特徴とする請求項1に記載の燃料ポンプ。 - 前記ベーパ制御手段は、前記検出手段がベーパの発生を検出したとき、前記インペラの回転数をベーパ排出に必要な時間のみ制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
- 前記検出手段がベーパの発生を検出したとき、前記通常制御手段が行う前記モータ部のフィードバック制御を、前記ベーパ制御手段が行うフィードフォワード制御に切り替えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
- 前記ベーパ制御手段が前記フィードフォワード制御を所定時間行った後、前記通常制御手段による前記フィードバック制御に切り替えることを特徴とする請求項5に記載の燃料ポンプ。
- 前記検出手段は、前記吐出口から吐出する燃料の圧力が目標圧から所定圧以上低下したとき、ベーパが発生したことを検出することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
- 前記ベーパ排出孔は、前記第1流路と前記第2流路との接続箇所に設けられた第1テーパ部(24,25,26)をさらに有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
- 前記第1流路と前記第2流路と前記第1テーパ部とは、同軸に設けられることを特徴とする請求項8に記載の燃料ポンプ。
- 前記燃料流路と前記第1流路との接続位置のうち最も前記第2流路に近い位置から前記第1流路と前記第2流路との接続位置までの距離をLとし、前記第1流路の内径をdとしたとき、2≦d/L≦5であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
- 前記ベーパ排出孔は、前記第2流路の反第1流路側に連通する第3流路(23)をさらに有し、
前記第3流路の内径は、前記第2流路の内径よりも大きいことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。 - 前記第3流路の内壁は、前記ケーシングを形成する際、前記ケーシングを構成する材料から前記第3流路を形成する金型を抜くための抜き勾配程度のテーパを有することを特徴とする請求項11に記載の燃料ポンプ。
- 前記燃料流路は、
径外側から径内側に向かい徐々に深くなる外曲面部(181)と、
その外曲面部の径内側に設けられ、深さが一定の平面部(182)と、
その平面部の径内側に設けられ、前記平面部から径内側に向かい徐々に浅くなる内曲面部(183)と、を有し、
前記ベーパ排出孔の前記第1流路は、前記内曲面部に接続することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。 - 請求項1から13のいずれか一項に記載の燃料ポンプの駆動を制御する制御方法において、
前記ポンプ室及び前記燃料流路にベーパが発生したことを検出する検出行程(S3)と、
前記モータ部を制御して前記インペラの回転数を目標燃圧に応じた回転数にする通常制御行程(S2)と、
前記検出手段がベーパの発生を検出したとき、前記インペラの回転数を、前記通常制御手段が定める目標回転数よりも高くするベーパ制御行程(S4,S5)と、を含むことを特徴とする燃料ポンプの制御方法。
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