JP6480827B2 - 水素ドープシリカ粉の保管方法及びシリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造方法 - Google Patents

水素ドープシリカ粉の保管方法及びシリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造方法 Download PDF

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本発明は、水素ドープシリカ粉の保管方法及びシリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造方法に関する。
従来、単結晶半導体材料のような単結晶物質の製造には、いわゆるチョクラルスキー法と呼ばれる方法が広く採用されている。この方法は多結晶シリコンを容器内で溶融させ、この溶融浴(融液)内に種結晶の端部を浸けて回転させながら引き上げるものである。この方法では、種結晶の下に同一の結晶方位を持つ単結晶が成長する。単結晶シリコンを引き上げる場合、この単結晶引き上げ容器には石英ガラスるつぼが一般的に使用されている。この石英ガラスるつぼは、一般に、気泡を含有する不透明石英ガラスからなる外層と、実質的に気泡を含有しない透明石英ガラスからなる内層とを有している。
多結晶シリコンを石英ガラスるつぼ中で溶融して単結晶シリコンを引き上げる際、減圧、高温下では石英ガラスるつぼ内層に気泡が発生し、膨張してルツボ内表面が剥離し、その剥離片が単結晶シリコンインゴットに取り込まれることで単結晶シリコンの結晶性を低下させることが問題となっていた。
上記のような問題を解決するべく、例えば特許文献1には、石英ガラスるつぼ内層に使用するシリカ粉に水素をドープし、るつぼ内層の気泡の発生、膨張を抑制することで単結晶シリコンの歩留りを向上させるという技術が開示されている。
特許第4549008号
上記のように、特許文献1には、石英ガラスるつぼ内層に使用するシリカ粉に水素をドープする技術が開示されている。しかしながら、ドープされた水素はシリカ粉から放出され易く、水素ドープ処理完了からの経過時間とともに気泡抑制効果が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、水素ドープされたシリカ粉を保管しておいても、ドープされた水素が放出されにくい水素ドープシリカ粉の保管方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、水素ドープシリカ粉の保管方法であって、原料となるシリカ粉に対して水素ドープ処理を行って前記水素ドープシリカ粉を作製した後に、該水素ドープシリカ粉を常温よりも低温にした冷却状態で保管することを特徴とする水素ドープシリカ粉の保管方法を提供する。
このように、冷却状態で水素ドープシリカ粉を保管することにより、水素ドープシリカ粉から水素が放出されにくい状態で保管をすることができる。
このとき、前記冷却状態での保管を、0℃以下の温度で行うことが好ましい。
このように、0℃以下の温度で水素ドープシリカ粉を保管することにより、より長期間水素の放出を抑制して保管することができる。
また、本発明の水素ドープシリカ粉の保管方法では、前記冷却状態での保管を、大気雰囲気下又は大気以外のガス雰囲気下で、常圧下又は加圧下において行うことができる。
本発明の保管方法においては、このような条件下で冷却状態での保管を行うことができる。
また、前記冷却状態で保管する水素ドープシリカ粉を、シリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造に使用するものとすることができる。
本発明の水素ドープシリカ粉の保管方法は、シリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造に用いるシリカ粉に特に好ましく適用することができる。
この場合、本発明の水素ドープシリカ粉の保管方法では、前記水素ドープシリカ粉に含有される水素濃度を、前記石英ガラスるつぼの製造に使用するまで、0.70×1019分子/cm以上に保持することが好ましい。
このような濃度でシリカ粉内に水素を保持しておくことにより、水素ドープシリカ粉の気泡抑制効果を持続させることができる。これにより、製造される石英ガラスるつぼの内層の気泡状態を良好にすることができる。
また、本発明は、上記のいずれかの水素ドープシリカ粉の保管方法により保管された水素ドープシリカ粉を用いて、前記石英ガラスるつぼの内層を形成することを特徴とするシリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造方法を提供する。
本発明の水素ドープシリカ粉の保管方法により、長期間保管しても水素の放出を抑制することができるので、石英ガラスるつぼを製造するまでに、水素を高濃度で保持することができる。その結果、水素ドープシリカ粉の気泡抑制効果を持続させることができる。これを石英ガラスるつぼの内層の形成に用いることにより、石英ガラスるつぼの内層の気泡状態を良好にすることができる。
また、この場合、シリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造方法は、回転するモールド内に外層用シリカ粉を供給し、前記石英ガラスるつぼの外層となる粉体層をるつぼ形状に成型する工程と、前記粉体層を内面側から加熱溶融することによって気泡を含有する不透明石英ガラスからなる外層を形成するとともに、前記粉体層の内表面に前記保管された水素ドープシリカ粉を供給することによって前記外層の内表面上に実質的に気泡を含まない透明石英ガラスからなる内層を形成する工程とを有することが好ましい。
石英ガラスるつぼの製造方法は、より具体的にはこのようにすることができる。
本発明の水素ドープシリカ粉の保管方法は、冷却状態で水素ドープシリカ粉を保管することにより、水素ドープシリカ粉から水素が放出されにくい状態で保管をすることができる。また、本発明の保管方法により保管された水素ドープシリカ粉は、シリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造に用いることができ、石英ガラスるつぼの内層の気泡状態を良好にすることができる。これにより、水素ドープされたシリカ粉の気泡抑制効果を持続させ、内層透明層の気泡状態が良好な単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼを安定的に提供できる。
水素ドープシリカ粉に含有される水素の濃度の減衰の様子を示すシミュレーション結果である。 単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼの一例の概略断面図である。
上記のように、従来、水素ドープシリカ粉からは水素が放出されやすく、水素ドープ処理完了からの経過時間とともに、水素濃度が減衰してしまうという問題があった。特に、石英ガラスるつぼを製造する場合には、水素ドープ処理完了からの経過時間とともに、気泡抑制効果が低下してしまうという問題があった。この問題を解決するため、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させた。
以下、本発明をより具体的に説明する。
本発明は、水素ドープシリカ粉の保管方法である。まず、原料となるシリカ粉に対して水素ドープ処理を行って水素ドープシリカ粉を作製する(ステップ1)。次に、ステップ1で水素ドープを行った水素ドープシリカ粉を、常温よりも低温にした冷却状態で保管する(ステップ2)。本発明の適用できるシリカ粉に特別の限定はなく、天然シリカ粉、合成シリカ粉いずれでもよい
水素ドープ(ステップ1)における水素ドープ方法は公知の種々の方法を適用することができる。例えば、原料となるシリカ粉を水素雰囲気下で加熱して所定時間保持することにより水素ドープを行うことができる。水素ドープの条件は適宜設定することができ、例えば、0.1MPa以上10MPa以下の水素雰囲気下で、150℃以上800℃以下、1時間以上100時間以下で行うことができる。加熱が終了した後は自然放冷等により、水素ドープシリカ粉は常温まで降温される。本発明の説明においては、常温に降温されるまでを水素ドープ処理と定義する。
冷却状態での保管(ステップ2)は、常温よりも低温にて保管する。これにより、常温での保管よりも、水素の放出を抑制することができる。ここでの常温とは、特に冷やしたり熱したりしない平常の温度である。この冷却状態での保管は、水素の放出をより抑えるため、温度が低いほど好ましく、0℃以下の温度で行うことがさらに好ましい。冷却状態での保管は、水素ドープ処理の終了後(加熱後の常温までの降温後)、すぐに開始することが好ましい。ただし、短時間(例えば10時間程度)であれば常温で放置されても、その後冷却状態での保管を開始すれば本発明の効果を得ることができる。
常温よりも低温の冷却状態で水素ドープシリカ粉を保管する理由を、図1に示したコンピュータシミュレーション結果を参照して説明する。1.0×1019分子/cmの濃度で水素分子をドープしたシリカ粉を、温度を一定にして放置したときに、時間経過とともにシリカ粉内に残留する水素分子がどれだけ減衰するかを示したものである。このシミュレーション結果は、実験における実際の傾向と同様である。図1に示したように、20℃で保管した場合、最初に1.0×1019分子/cmの水素分子をシリカ粉にドープしても、10日の時点で0.7×1019分子/cm未満に減衰してしまっている。これが10℃での保管であると10日で約0.7×1019分子/cm、0℃での保管であると10日で0.7×1019分子/cm以上の水素濃度を維持することができる。この傾向は保管温度が低いほど顕著である。すなわち、上記のように、保管温度は0℃以下が好ましく、−10℃以下がさらに好ましく、−20℃以下が特に好ましい。
冷却状態での保管の間、温度は一定にする必要はなく、常温より低温を保つのであれば変動させることもできる。
本発明の水素ドープシリカ粉の保管方法では、冷却状態での保管を、大気雰囲気下で行うことができる。また、冷却状態での保管は、大気以外のガス雰囲気下で行うこともできる。例えば、水素雰囲気下で保管してもよい。いずれの雰囲気下でも、常温より低温とする冷却状態で保管することにより、本発明の効果を得ることができる。また、冷却状態での保管は常圧下で行ってもよいし、加圧下で行ってもよい。常圧下でも本発明の効果を得ることができ、加圧下であればより顕著に本発明の効果を得ることができる。
このような本発明の水素ドープシリカ粉の保管方法では、水素ドープシリカ粉から水素が放出されにくい状態で保管をすることができる。このようにして水素濃度が高いまま維持された水素ドープシリカ粉は、シリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造に好適に用いることができる。
図2に、石英ガラスるつぼの一例の概略断面図を示す。石英ガラスるつぼ11は、一般的に、気泡を含有する不透明石英ガラスからなる外層13と、実質的に気泡を含有しない透明石英ガラスからなる内層12とを有する。本発明の保管方法により保管した水素ドープシリカ粉は、石英ガラスるつぼ11の内層12を形成するためのシリカ粉として特に好適である。
石英ガラスるつぼ11は、一般的に、底部、湾曲部、及び直胴部とからなり、直胴部とはるつぼ形状のうち略円筒形の部分を指す。直胴部と底部の間の領域を湾曲部と称する。るつぼの底部は、例えば、るつぼの外径の約3分の2の直径を有する部分と定義することができる。直胴部の高さは、例えば、るつぼの高さのうち上部4分の3の部分と定義することもできるが、るつぼの形状によりまちまちである。内層12及び外層13の厚さは通常用いられる石英ガラスるつぼにおける厚さと同様にすることができ、特に限定されない。例えば、内層12の厚さは1mm以上とすることができるが、これより薄くてもよい。一般に内層12はシリコン融液と直接接触するため高純度石英ガラスで形成され、外層13はるつぼの強度を保つこととコストの点から内層12より低純度とされる。
石英ガラスるつぼ11において、単結晶シリコンを引き上げる際、減圧、高温下では石英ガラスるつぼ内層12に気泡が発生してしまうが、内層12を形成するためのシリカ粉に水素ドープされたシリカ粉を使用することで、内層12に発生する気泡を抑制することができる。この気泡抑制効果は、水素ドープシリカ粉を保管するうちに、時間とともに減衰し、やがて消失してしまうが、本発明では、水素ドープシリカ粉を低温保管することにより効果を持続させることができる。
例えば、以下のようにして石英ガラスるつぼ11を製造することができる。まず、回転するモールド内に外層13用シリカ粉を供給し、石英ガラスるつぼ11の外層13となる粉体層をるつぼ形状に成型する。次に、この外層13用の粉体層を内面側から加熱溶融することによって気泡を含有する不透明石英ガラスからなる外層13を形成するとともに、粉体層の内表面に保管された水素ドープシリカ粉を供給する。これにより外層13の内表面上に実質的に気泡を含まない透明石英ガラスからなる内層12を形成する。
水素ドープシリカ粉に含有される水素濃度を、石英ガラスるつぼの製造に使用するまで、0.70×1019分子/cm以上に保持することが好ましく、0.80×1019分子/cm以上に保持することがさらに好ましい。このような濃度でシリカ粉内に水素を保持しておくことにより、水素ドープシリカ粉の気泡抑制効果を持続させることができる。これにより、石英ガラスるつぼの内層の気泡状態を良好にすることができる。気泡状態は気泡の数が少ないほど良好であり、また、気泡の大きさが小さい方が良好である。水素ドープした後のシリカ粉の水素濃度は、図1に示したシミュレーション結果からわかるように減衰していく。本発明の保管方法により保管した水素ドープシリカ粉は従来と比べて長期間保管することができる。特に0℃で保管した場合は、水素濃度0.70×1019分子/cm以上を10日以上維持することができる。また、−10℃の保管であれば水素濃度0.70×1019分子/cm以上を20日以上、−20℃での保管であれば、0.70×1019分子/cm以上という水素濃度を30日以上維持することができる。水素ドープ処理を行ってもすぐに石英ガラスるつぼの製造に使用できる場合ばかりではないため、本発明の水素ドープシリカ粉の保管方法は石英ガラスるつぼの製造に有用である。本発明により、水素ドープされたシリカ粉の気泡抑制効果を持続させることができるので、内層透明層の気泡状態が良好な単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼを安定的に提供することができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない限り様々の変形が可能であることは勿論である。
(実施例1)
水素濃度が1.0×1019分子/cmとなるよう、合成シリカガラス粉に水素をドープし、水素ドープシリカ粉の調整を行った。調整完了後、その水素ドープシリカ粉を常圧(0.10MPa)の大気雰囲気、10℃の状態で保管した。調整完了後1日間(24時間)経過時点での水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.89×1019分子/cmであった。調整完了後1日経過した時点で、その水素ドープシリカ粉を使用し、図2に示す単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ11を、以下の工程を経て作製した。まず、粒径50〜500μmの天然石英粉(外層13用のシリカ粉)を回転する内径570mmのモールド内に供給し、外層となる厚さ25mmの粉体層からなる成型体を成型した。次に、アーク放電により該成型体の内部から加熱溶融すると同時に、その高温雰囲気中に、上記のように保管した水素ドープシリカ粉を100g/分の割合で供給し、透明ガラス層(内層12)を全内面領域にわたり、1〜3mmの厚さで形成した。溶融が終了した後、冷却して直径555〜560mmの石英ガラスるつぼを得た。
次に、上記のようにして作製した石英ガラスるつぼ11のR部(湾曲部)を採取し、真空雰囲気中で1600℃、2時間の加熱処理を行い、内層(透明ガラス層)内の気泡状態の確認を行ったところ、気泡は見受けられず良好な状態であった。
(実施例2)
実施例1と比べて、水素ドープ処理完了後、保管開始からの経過時間を5日間(120時間)に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。5日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.78×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡が少量存在していた。これは実施例1よりも悪化している状態ではあるが、問題ないレベルである。実施例1よりも悪化した理由は、水素ドープシリカ粉の保管経過時間が実施例1よりも長くなり、水素ドープによる気泡抑制効果が低下したためと考えられる。
(実施例3)
実施例1と比べて、保管温度を5℃に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。1日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.92×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡は見受けられず良好な状態であった。
(実施例4)
実施例3と比べて、水素ドープ処理完了後、保管開始からの経過時間を5日間(120時間)に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。5日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.82×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡は見受けられず良好な状態であった。
(実施例5)
実施例4と比べて、保管温度を0℃に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。5日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.84×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡は見受けられず良好な状態であった。
(実施例6)
実施例5と比べて、水素ドープ処理完了後、保管開始からの経過時間を10日間(240時間)に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。10日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.73×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡が少量存在していた。これは実施例1や、保管期間以外の条件が同じ実施例5よりも悪化している状態ではあるが、問題ないレベルである。実施例5よりも悪化した理由は、水素ドープシリカ粉の保管経過時間が実施例5よりも長くなり、水素ドープによる気泡抑制効果が低下したためと考えられる。
(実施例7)
実施例6と比べて、保管状態を大気雰囲気で0.50MPaに加圧した状態に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。10日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.76×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡が少量存在していた。これは実施例1や、保管期間及び圧力以外の条件が同じ実施例5よりも悪化している状態ではあるが、問題ないレベルである。実施例5よりも悪化した理由は、水素ドープシリカ粉の保管経過時間が実施例5よりも長くなり、水素ドープシリカ粉の保管状態を大気で加圧してもドープされた水素発散が進み、水素ドープによる気泡抑制効果が低下したためと考えられる。また、この実施例7は、常圧で保管した実施例6と比べて加圧した点が異なり、保管終了時の残留水素濃度は実施例6に比べて高くなっている。
(実施例8)
実施例6と比べて、保管温度を−10℃に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。10日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.82×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスルツボ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡は見受けられず良好な状態であった。
(実施例9)
実施例8と比べて、水素ドープ処理完了後、保管開始からの経過時間を15日間(360時間)に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。15日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.76×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスルツボ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡が少量存在していた。これは実施例1や、保管期間以外の条件が同じ実施例8よりも悪化している状態ではあるが、問題ないレベルである。実施例8よりも悪化した理由は、水素ドープシリカ粉の保管経過時間が実施例8よりも長くなり、水素ドープによる気泡抑制効果が低下したためと考えられる。
(実施例10)
実施例9と比べて、保管温度を−20℃に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。15日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.85×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスルツボ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡は見受けられず良好な状態であった。
(実施例11)
実施例10と比べて、水素ドープ処理完了後、保管開始からの経過時間を30日間(720時間)に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。30日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.81×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスルツボ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡は見受けられず良好な状態であった。
(比較例1)
実施例1と比べて、保管温度を25℃(常温)に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。1日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.87×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、気泡は見受けられず良好な状態であった。常温での保管であるが、保管期間が1日間(24時間)と短いので石英ガラスるつぼの製造に問題はなかった。ただし、1日間経過後の水素ドープシリカ粉の残留水素濃度は実施例1の数値より低かった。
(比較例2)
実施例2と比べて保管温度を25℃(常温)に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。5日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.69×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、るつぼ内層に気泡が多く存在していた。これは実施例2よりも悪化している状態であり、単結晶シリコンインゴットの引上げに悪影響を及ぼすおそれがあるものであった。これは、常温での保管によりドープされた水素が放出され易くなり、水素ドープによる気泡抑制効果が低下したためと考えられる。
(比較例3)
比較例2と比べて、保管状態を大気雰囲気で0.05MPaに減圧した状態に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。5日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.67×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、るつぼ内層に気泡が多く存在しており、比較例2よりもさらに悪化している状態であった。これは、水素ドープシリカ粉の保管状態を減圧雰囲気にするとドープされた水素発散を促進してしまい、その結果、気泡抑制効果が低下したためと考えられる。
(比較例4)
比較例3と比べて、保管状態を大気雰囲気で0.50MPaに加圧した状態に変更して水素ドープシリカ粉の保管を行った。5日間経過後の水素ドープシリカ粉の水素濃度は0.72×1019分子/cmであった。この水素ドープシリカ粉を用いて、実施例1と同様に石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様に気泡状態の確認を行ったところ、比較例2及び比較例3より良好な気泡状態であった。ただし、保管期間が同じで加圧していない実施例2(保管温度10℃)、実施例4(保管温度5℃)、実施例5(保管温度0℃)よりも残留水素濃度が少なく、単結晶シリコンの引上げに問題ないレベルの範囲内とはいえ、満足できる気泡抑制効果は得られなかった。これは、加圧雰囲気によりドープされた水素の放出抑制効果が得られるものの、常温での保管によりドープされた水素が放出され易くなったためと考えられる。
実施例1〜11、及び比較例1〜4の水素ドープシリカ粉の保管温度、保管圧力、水素ドープ処理終了後の経過時間、並びに、石英ルツボ気泡状態の結果を表1にまとめた。表中の記号「○」は結果が非常に良好であること、記号「△」は結果が問題ないレベルであること、記号「×」は結果が不良であることを示している。
Figure 0006480827
実施例1〜11、及び比較例1〜4の結果から、水素ドープされたシリカ粉の保管状態を低温とすることで気泡抑制効果の持続期間が延長され、内層の気泡を抑制したシリコン単結晶引上げ用石英ガラスルツボを得ることができる。比較例1のように、25℃(常温)の保存であっても水素ドープ処理完了後1日であれば、問題なく石英ガラスるつぼの製造をすることができるが、比較例2のように5日経過すると石英ガラスるつぼ内層の気泡状態がかなり悪化してしまう。本発明の方法であれば、保管期間として5日経過した場合であっても、実施例2(保管温度10℃)、実施例4(保管温度5℃)、実施例5(保管温度0℃)のように、石英ガラスるつぼの内層の気泡状態を良好な状態か問題ないレベルで形成することができる。これらの結果は、製造工程上大きな利点となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
11…石英ガラスるつぼ、 12…内層、 13…外層。

Claims (7)

  1. 水素ドープシリカ粉の保管方法であって、
    原料となるシリカ粉に対して水素ドープ処理を行って前記水素ドープシリカ粉を作製した後に、
    該水素ドープシリカ粉を常温よりも低温にした冷却状態で保管することを特徴とする水素ドープシリカ粉の保管方法。
  2. 前記冷却状態での保管を、0℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項1に記載の水素ドープシリカ粉の保管方法。
  3. 前記冷却状態での保管を、大気雰囲気下又は大気以外のガス雰囲気下で、常圧下又は加圧下において行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素ドープシリカ粉の保管方法。
  4. 前記冷却状態で保管する水素ドープシリカ粉を、シリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造に使用するものとすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水素ドープシリカ粉の保管方法。
  5. 前記水素ドープシリカ粉に含有される水素濃度を、前記石英ガラスるつぼの製造に使用するまで、0.70×1019分子/cm以上に保持することを特徴とする請求項4に記載の水素ドープシリカ粉の保管方法。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の水素ドープシリカ粉の保管方法により保管された水素ドープシリカ粉を用いて、前記石英ガラスるつぼの内層を形成することを特徴とするシリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造方法。
  7. 請求項6に記載のシリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造方法であって、
    回転するモールド内に外層用シリカ粉を供給し、前記石英ガラスるつぼの外層となる粉体層をるつぼ形状に成型する工程と、
    前記粉体層を内面側から加熱溶融することによって気泡を含有する不透明石英ガラスからなる外層を形成するとともに、前記粉体層の内表面に前記保管された水素ドープシリカ粉を供給することによって前記外層の内表面上に実質的に気泡を含まない透明石英ガラスからなる内層を形成する工程と
    を有することを特徴とするシリコン単結晶引上げ用石英ガラスるつぼの製造方法。
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