JP6480748B2 - 眼科装置 - Google Patents

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Description

この発明は、眼科装置に関する。
眼科装置は、被検眼情報を光学的に取得することが可能な装置である。眼科装置は、一般的に、自動的にアライメントを行った後に被検眼情報を取得する。
このような眼科装置は、たとえば、ベースに対して左右方向、上下方向、および前後方向に移動可能に設けられた測定ヘッドを含んで構成される。測定ヘッドには、被検眼情報を光学的に取得するための光学系と、被検眼に対して光学系の位置合わせを行うためのアライメント手段等とが設けられている。アライメント手段は、たとえば、被検眼の瞳孔重心位置や角膜頂点位置を測定位置(検査位置)として、当該測定位置に光学系の位置を合わせる。
ところが、被検眼が有する眼疾患の種別によっては、測定位置において被検眼情報を取得することができない場合がある。たとえば、被検眼が白内障眼である場合、水晶体の混濁状態によっては、測定位置において被検眼に照射した光が拡散され、十分な光量が眼底に到達しなかったり、被検眼からの戻り光を検出することができなかったりする。
そこで、従来の眼科装置では、コントロールレバー等の操作手段を用いて医師等のユーザが測定ヘッドを移動させることにより測定位置をずらしていた。
特開2014−140482号公報
しかしながら、従来では、ユーザが操作手段を用いて測定位置をずらしながら測定可能な位置を探索し、探索された位置において手動でピント調整等を行う必要があったため、検眼作業が煩雑となる問題や、測定時間(検査時間)が長くなるという問題があった。また、ユーザが操作手段を用いて測定位置を探索するため、測定ヘッドを所望の測定位置に短時間かつ高精度で配置させることが困難であった。従って、眼疾患の種別によっては被検眼情報の精度が低くなる場合があった。
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、疾患を伴う被検眼であっても高精度な被検眼情報を取得することが可能な眼科装置を提供することにある。
実施形態に係る眼科装置は、被検眼に光を照射し、被検眼からの戻り光に基づいて被検眼情報を取得する光学系と、被検眼に対して光学系を相対移動する移動機構と、被検眼における2以上の標的位置の配列を示す標的位置パターン情報をあらかじめ記憶するパターン記憶部と、標的位置パターン情報に基づいて被検眼に対して2以上の標的位置を順次に指定する位置指定部と、位置指定部により指定された標的位置に光学系の位置を合わせるように移動機構を制御する制御部と、光学系により取得された被検眼情報がエラーであるか否かを判定する判定部と、を含み、判定部によりエラーであると判定されたとき、制御部は、位置指定部により指定された新たな標的位置に光学系の位置を合わせるように移動機構を制御し、光学系は、新たな標的位置に位置合わせが行われた状態で被検眼の新たな情報を取得し、判定部によりエラーではないと判定されるまで位置指定部による新たな標的位置の指定と制御部による移動機構の制御とを繰り返す
この発明に係る眼科装置によれば、疾患を伴う被検眼であっても高精度な被検眼情報を取得することが可能になる。
実施形態に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の構成例を示すフロー図である。 実施形態に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。
実施形態に係る眼科装置は、任意の自覚検査および/または任意の他覚検査を実行することが可能である。以下の実施形態に係る眼科装置は、自覚検査として、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査などを実行可能であり、かつ、他覚検査として、他覚屈折測定、角膜形状測定などを実行可能な検眼装置(オートレフケラトメータ)である。しかし、本発明に係る眼科装置はこれに限定されるものではなく、被検眼情報を光学的に取得する光学系と、被検眼に対して光学系を相対移動する手段とを含んで構成される装置であればよい。本発明を適用可能な眼科装置として、以下の実施形態に係る検眼装置の他に、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:以下、OCT)装置や、眼軸長測定装置や、眼圧計などがある。OCT装置は、眼底や前眼部などの被検眼の任意の部位に対してOCTを実行する装置である。眼軸長測定装置は、たとえば、被検眼に光を照射することにより角膜頂点位置から網膜前面までの距離を眼軸長として測定する装置である。眼圧計は、たとえば、圧縮空気が吹き付けられた被検眼の前眼部を照明することにより取得された角膜からの戻り光の光量と圧縮空気の圧力等とに基づいて眼圧を測定する装置である。
[構成]
(眼科装置の外観構成)
実施形態に係る眼科装置の外観構成を図1に示す。眼科装置1は、ベース2と、架台3と、ヘッド部4と、顔受け部5と、ジョイスティック8と、表示部10とを有する。なお、眼科装置1は、単体の装置でもよいし、2以上の装置の組み合わせでもよい。後者の場合、以下において説明される複数の構成要素が2以上の装置に分散配置される。たとえば、眼科装置1は、検査を行うための光学系や駆動機構や制御基板等を含む装置と、当該装置に対する制御や情報入力、当該装置からの出力情報の処理を行うための装置とを含んで構成される。
架台3は、ベース2に対して前後左右に移動可能とされる。ヘッド部4は、架台3と一体的に構成されている。顔受け部5は、ベース2と一体的に構成されている。
顔受け部5には、顎受け6と額当て7とが設けられている。顔受け部5により被検者(図示を略す)の顔が固定される。検者は、たとえば、眼科装置1を挟んで被検者の反対側に位置して検査を行う。ジョイスティック8および表示部10は、検者側の位置に配置されている。ジョイスティック8は、架台3上に設けられている。表示部10は、ヘッド部4の検者側の面に設けられている。表示部10は、たとえば、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイである。表示部10は、タッチパネル式の表示画面10aを有する。
ヘッド部4は、ジョイスティック8の傾倒操作によって前後左右に移動される。また、ヘッド部4は、ジョイスティック8をその軸に対して回転させることにより上下方向に移動される。これら操作によって、顔受け部5に保持されている被検者の顔に対するヘッド部4の位置が変わる。なお、左右方向の移動は、たとえば、眼科装置1による検査対象を左眼から右眼にまたは右眼から左眼に切り替えるために行われる。
眼科装置1には外部装置11が接続されている。外部装置11は、任意の装置であってよく、また、眼科装置1と外部装置11との間の接続態様(通信形態等)も任意であってよい。外部装置11は、たとえば、レンズの光学特性を測定するための眼鏡レンズ測定装置を含む。眼鏡レンズ測定装置は、被検者が装用する眼鏡レンズの度数等を測定し、この測定データを眼科装置1に入力する。また、外部装置11は、他の任意の眼科装置であってよい。また、外部装置11は、記録媒体から情報を読み取る機能を有する装置(リーダ)や、記録媒体に情報を書き込む機能を有する装置(ライタ)であってよい。
外部装置11の他の例として、当該医療機関内にて使用されるコンピュータがある。このような院内コンピュータは、たとえば、病院情報システム(HIS)サーバ、DICOMサーバ、医師端末などを含む。外部装置11は、当該医療機関の外部にて使用されるコンピュータを含んでよい。このような院外コンピュータは、たとえば、モバイル端末、個人端末、眼科装置1のメーカ側のサーバや端末、クラウドサーバなどがある。
(光学系の構成)
眼科装置1は被検眼の検査を行うための光学系を有する。この光学系の構成例について図2を参照して説明する。光学系はヘッド部4内に設けられている。光学系は、観察系12と、固視標投影系13と、他覚式測定系14と、自覚式測定系15と、アライメント系16および17とを含む。符号9は、各種の処理を実行する処理部を示す。
観察系12は、被検眼Eの前眼部を観察するための機能を有する。固視標投影系13は、被検眼Eに固視標を提示するための機能を有する。他覚式測定系14は、他覚検査を行うための機能を有する。本例の他覚式測定系14は、被検眼Eの眼底Efに所定の測定パターンを投影する機能と、眼底Efに投影された測定パターンの像を検出する機能とを有する。自覚式測定系15は、自覚検査を行うための機能を有する。本例の自覚式測定系15は、被検眼Eに視標を提示する機能を有する。アライメント系16および17は、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための機能を有する。アライメント系16は、観察系12の光軸に沿う方向(前後方向)のアライメントを行うための機能を有する。アライメント系17は、観察系12の光軸に直交する方向(上下方向、左右方向)のアライメントを行うための機能を有する。
(観察系12)
観察系12は、対物レンズ12aと、ダイクロイックフィルタ12bと、ハーフミラー12cと、リレーレンズ12dと、ダイクロイックフィルタ12eと、結像レンズ12fと、撮像素子(CCD)12gとを含む。撮像素子12gの出力は、処理部9に入力される。処理部9は、撮像素子12gから入力された信号に基づいて、表示部10に前眼部像E’を表示させる。
対物レンズ12aと被検眼Eとの間には、ケラト板12hが設けられている。ケラト板12hは、角膜形状を測定するためのリング状光束を被検眼Eの角膜Cに投影するために用いられる。ケラト板12hの構成例を図3に示す。
(アライメント系16および17)
ケラト板12hの後方にはアライメント系16が設けられている。前述したように、アライメント系16は、前後方向のアライメントに用いられる。アライメント系16は、アライメント光源16aと、投影レンズ16bとを有する。投影レンズ16bは、アライメント光源16aから出力された光束を平行光束に変換して角膜Cに投影する。ユーザまたは処理部9は、アライメント系16により角膜Cに投影された像(輝点像)を参照してヘッド部4を前後方向に移動させることによりアライメントを行う。
アライメント系17は、ハーフミラー12cを介して観察系12から分岐した光路を形成している。前述したように、アライメント系17は、上下方向および左右方向のアライメントに用いられる。アライメント系17は、アライメント光源17aと、投影レンズ17bとを有する。投影レンズ17bは、アライメント光源17aから出力された光束を平行光束に変換する。この平行光束は、ハーフミラー12cにより反射され、観察系12の光路を通じて角膜Cに投影される。ユーザまたは処理部9は、アライメント系17により角膜Cに投影された像(輝点像)に基づいてヘッド部4を上下方向および左右方向に移動させることによりアライメントを行う。
図2に示すように、表示画面10aには、前眼部像E’とともに、アライメントマークALと指標像(輝点像)Brとが表示される。前後方向のアライメントは、たとえば、アライメント光源17aによる指標像Brのピントが合うようにヘッド部4の位置を調整することにより行われる。また、アライメント光源16aによる2個の輝点像の間隔とケラトリング像の径の比率が所定範囲になるようにヘッド部4の位置を調整することによって、前後方向のアライメントを行ってもよい。
手動でアライメントを行う場合、ユーザは、たとえば、表示画面10aに表示されている情報を参照しつつジョイスティック8を操作してヘッド部4の位置調整を行う。このとき、処理部9は、たとえば、上記比率からアライメントのずれ量を算出し、このずれ量を表示画面10aに表示させてよい。処理部9は、アライメントが完了したことに対応して測定を開始するように制御を行うことができる。
自動でアライメントを行う場合、処理部9は、たとえば、上記比率からアライメントのずれ量を算出し、このずれ量がキャンセルされるように電動の機構を制御してヘッド部4を移動させる。この機構は、駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力をヘッド部4に伝達する部材とを含む。処理部9は、アライメントが完了したことに対応して測定を開始するように制御を行うことができる。
この実施形態において、左右方向をX方向(第1方向)とすると、上下方向は左右方向に直交するY方向(第2方向)となり、前後方向は左右方向および上下方向の双方に直交するZ方向(第3方向)となる。
(固視標投影系13、自覚式測定系15)
固視標投影系13(自覚式測定系15)は、白色光を発生するLED光源13aと、色補正フィルタ13bと、コリメータレンズ13b’と、チャート板13cと、ハーフミラー13dと、リレーレンズ13eと、反射ミラー13fと、合焦レンズ13gと、リレーレンズ13hと、フィールドレンズ13iと、バリアブルクロスシリンダレンズ(VCC)13jと、反射ミラー13kと、ダイクロイックフィルタ13mおよび12bと、対物レンズ12aとを含む。また、自覚式測定系15は、被検眼Eにグレア光を照射するグレア光源13nを有する。
チャート板13cには、固視標と、視標チャートとが形成されている。固視標は、被検眼Eを固視させるための視標である。本例の固視標は、たとえば風景チャートである。視標チャートは、被検眼Eの視力値や矯正度数(遠用度数、近用度数等)を自覚的に測定するための視標である。本例では、複数の視標チャートがチャート板13cに形成されている。
他覚検査(他覚屈折測定等)においては、風景チャートが眼底Efに投影される。この風景チャートを被検者に凝視させつつアライメントが行われ、雲霧視状態で眼屈折力が測定される。
(他覚式測定系14)
他覚式測定系14は、リング状光束投影系14Aと、リング状光束受光系14Bとを含む。リング状光束投影系14Aは、リング状の測定パターンを眼底Efに投影する。リング状光束受光系14Bは、この測定パターンの眼底Efからの反射光を検出する。
リング状光束投影系14Aは、レフ測定ユニット部14aと、リレーレンズ14bと、瞳リング14cと、フィールドレンズ14dと、穴開きプリズム14eと、ロータリープリズム14fと、ダイクロイックフィルタ13mおよび12bと、対物レンズ12aとを含む。レフ測定ユニット部14aは、レフ測定用の光源(LED)14hと、コリメータレンズ14iと、円錐プリズム14jと、リング状測定パターン形成板14kとを含む。
リング状光束受光系14Bは、対物レンズ12aと、ダイクロイックフィルタ12bと、ダイクロイックフィルタ13mと、ロータリープリズム14fと、穴開きプリズム14eと、フィールドレンズ14mと、反射ミラー14nと、リレーレンズ14pと、合焦レンズ14qと、反射ミラー14rと、ダイクロイックフィルタ12eと、結像レンズ12fと、撮像素子(CCD)12gとを含む。
眼科装置1の各部は処理部9によって制御される。たとえば、処理部9は、LED光源13a、光源14h、グレア光源13n、アライメント光源16aおよび17a、ケラト板12hのケラトリング光源12h’、レフ測定ユニット部14a、合焦レンズ13gおよび14q、チャート板13c、バリアブルクロスシリンダレンズ13j、表示部10などを制御する。
(アライメント)
眼科装置1は、顔受け部5に固定された被検者の被検眼に対しヘッド部4を移動することにより、被検眼Eに対して被検眼の各種情報を取得するための上記の光学系の位置合わせ(アライメント)を行うことが可能である。
アライメントを行うとき、処理部9はアライメント光源16a、17aを点灯させる。アライメント光源16aから出力された光束は、投影レンズ16b、ケラト板12hを経由して角膜Cに投影される。角膜Cに投影された光束は、ケラト板12h、対物レンズ12a、ダイクロイックフィルタ12b、ハーフミラー12c、リレーレンズ12d、ダイクロイックフィルタ12e、結像レンズ12fを経由して、撮像素子12gに導かれる。これにより、撮像素子12gに、アライメント光源16aの2つの指標像(輝点像)が結像される。表示画面10aには、前眼部像E’(図4に示す角膜像C’、瞳孔像P’)上に指標像(輝点像)Lr1、Lr2が表示される。処理部9は、たとえば、指標像Lr1、Lr2が所定の位置関係となるようにアクチュエータを制御することによりヘッド部4を前後方向に移動させて前後方向のアライメントを行う。
アライメント光源17aから出力された光束は、投影レンズ17b、ハーフミラー12c、ダイクロイックフィルタ12b、対物レンズ12a、ケラト板12hを経由して角膜Cに投影される。アライメント光源17aにより角膜Cに投影された光束は、アライメント光源16aにより角膜Cに投影された光束と同様の経路で、撮像素子12gに導かれる。これにより、撮像素子12gに、アライメント光源17aの指標像(輝点像)が結像される。表示画面10aには、前眼部像E’(図4に示す角膜像C’、瞳孔像P’)上に指標像Brが表示される。処理部9は、たとえば、指標像Brの位置とアライメントマークAL内の標的位置画像に対応する標的位置とのずれ量がキャンセルされるようにアクチュエータを制御することによりヘッド部4を左右方向および上下方向に移動させて左右方向および上下方向のアライメントを行う。
(角膜形状測定機能)
角膜形状測定モードが選択されると、処理部9はケラトリング光源12h’を点灯させる。ケラトリング光源12h’から出力された光束は、角膜形状測定用リング状光束として角膜Cに投影される。ダイクロイックフィルタ12bは、角膜Cに投影された角膜形状測定用リング状光束を透過させる。これにより、撮像素子12gが角膜形状測定用リング状光束の像(図示を略す)を検出する。
(他覚測定機能)
他覚測定モードが選択されると、処理部9は光源14hを点灯させる。また、レフ測定ユニット部14aが光軸方向に移動され、かつ、これに対応して合焦レンズ13gが光軸方向に移動される。
リング状の測定パターン(光束)は、リレーレンズ14b、瞳絞り14c、フィールドレンズ14d、穴開きプリズム14eの反射面14e’を経由してダイクロイックフィルタ13mに導かれる。ダイクロイックフィルタ13mにより反射された測定パターンは、ダイクロイックフィルタ12bを経由して対物レンズ12aに導かれ、眼底Efに投影される。
眼底Efに形成されたリング状の測定パターンは、対物レンズ12aにより集光され、ダイクロイックフィルタ12bおよび13m、ロータリープリズム14f、穴開きプリズム14eの穴部14e”、フィールドレンズ14m、反射ミラー14n、リレーレンズ14p、合焦レンズ14q、反射ミラー14r、ダイクロイックフィルタ12eを経由し、結像レンズ12fによって撮像素子12gに結像される。これにより、撮像素子12gがリング状の測定パターンの像(図示を略す)を検出する。
(自覚測定機能)
自覚測定モードが選択されると、処理部9は光源13aを点灯させる。光源13aから出力された光束は、色補正フィルタ13bを介してチャート板13cを照明する。チャート板13cには、各種の視標(チャート)が設けられている。また、処理部9は、他覚測定の結果に応じた位置に合焦レンズ13gを移動させる。同様に、処理部9は、他覚測定で得られた被検眼Eの乱視状態(乱視度、乱視軸)に基づいて、この乱視状態が矯正されるようにバリアブルクロスシリンダレンズ13jを制御する。
検者または処理部9により視標が選択されると、処理部9は、選択された視標が光路に配置されるようにチャート板13cを制御する。この視標を経由した光束は、ハーフミラー13d、リレーレンズ13e、反射ミラー13f、合焦レンズ13g、リレーレンズ13h、フィールドレンズ13i、バリアブルクロスシリンダレンズ13j、反射ミラー13k、ダイクロイックフィルタ13mおよび12b、対物レンズ12aを経由して眼底Efに投影される。
被検者は、眼底Efに投影された視標に対する応答を行う。視標の選択とそれに対する応答が、検者または処理部9の判断により繰り返し行われる。検者または処理部9は、被検者からの応答に基づいて処方値を決定する。また、グレア検査が行われる場合、処理部9はグレア光源13nを点灯させる。そして、この状態で自覚測定が行われる。
他覚式測定系14の構成、自覚式測定系15の構成、アライメント系16および17の構成、ケラト系の構成、眼屈折力(レフ)の測定原理、自覚測定の測定原理、角膜形状の測定原理などは公知であるので、詳細な説明は省略する。
(情報処理系の構成)
眼科装置1の情報処理系について説明する。眼科装置1の情報処理系の機能的構成の例を図5に示す。情報処理系は、制御部100と、検査部110と、表示部130と、操作部140と、通信部150とを含む。制御部100は、検査部110、表示部130および通信部150を制御する。
(検査部110)
検査部110は、複数の異なる種別の検査を行うことが可能である。図2に示す構成を有する眼科装置1においては、他覚屈折測定、自覚屈折測定(遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査など)、角膜形状測定を含む、複数の検査を実行することができる。
検査部110は、光学系111と、移動機構112とを含んで構成される。光学系111は、被検眼情報を光学的に取得する。この実施形態では、光学系111は、図2に示すように、観察系12と、固視標投影系13と、他覚式測定系14と、自覚式測定系15と、アライメント系16および17とを含む光学系である。移動機構112は、被検眼に対して光学系111を相対移動する。この実施形態では、移動機構112は、光学系111や光学系111を構成する光学部材を駆動する機構であり、制御部100により制御可能な駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を光学系111や光学系111を構成する光学部材に伝達する部材とを含む。また、検査部110は、光学系によって取得されたデータを解析することにより検査結果を求める機能を含んでよい。その場合、検査部110は、図2に示す処理部9の少なくとも一部を含む。
(表示部130、操作部140)
表示部130は、制御部100による制御を受けて情報を表示する。表示部130は、図1に示す表示部10を含む。
操作部140は、眼科装置1を操作するために使用される。操作部140は、眼科装置1に設けられた各種のハードウェアキー(ジョイスティック8、ボタン、スイッチ等)を含む。また、操作部140は、タッチパネル式の表示画面10aに表示される各種のソフトウェアキー(ボタン、アイコン、メニュー等)を含む。
表示部130および操作部140の少なくとも一部が一体的に構成されていてもよい。その典型例として、タッチパネル式の表示画面10aがある。
(通信部150)
通信部150は、図1に示す外部装置11と通信するための機能を有する。通信部150は、たとえば処理部9に設けられている。通信部150は、外部装置11との通信の形態に応じた構成を有する。
(制御部100)
情報処理系は、制御部100を中心に構成される。制御部100は、演算処理や制御処理など、各種の情報処理を実行する。制御部100は、図2に示す処理部9の少なくとも一部を含む。制御部100は、位置指定部101と、位置合わせ部102と、判定部103と、記憶部104と、表示制御部105とを含む。記憶部104は、パターン記憶部104Aと、位置記憶部104Bとを含む。
(位置指定部101)
位置指定部101は、被検眼Eに対してアライメントの標的位置を指定する。位置指定部101は、操作部140を用いてユーザにより指定された位置に対応した標的位置を指定することが可能である。たとえば、ユーザは、表示部130に表示された被検眼の前眼部像上で標的位置を指定することが可能である。位置指定部101は、所定の第1座標系(表示部130の表示座標系)においてユーザにより指定された位置を光学系111の位置が定義される第2座標系(位置合わせ部102による制御座標系)における位置に変換し、変換後の位置をアライメントの標的位置として記憶部104等に保存する。
また、位置指定部101は、あらかじめ記憶部104に記憶された位置に対応した標的位置を指定することが可能である。たとえば、位置指定部101は、事前に記憶部104に記憶された位置を読み出し、読み出された位置を必要に応じて第2座標系における位置に変換し、第2座標系の位置をアライメントの標的位置として記憶部104等に保存する。
(位置合わせ部102)
位置合わせ部102は、位置指定部101により指定された標的位置に光学系111の位置を合わせるように移動機構112を制御する。たとえば、操作部140を用いてユーザにより標的位置が指定された場合、位置合わせ部102は、操作部140を用いてユーザにより指定された標的位置に光学系111の位置を合わせるように移動機構112を制御する。その具体例として、位置合わせ部102は、位置指定部101により変換された第2座標系における標的位置と光学系111の現在位置とのずれ量がキャンセルされるように移動機構112を制御して光学系111を移動させる。
また、操作部140を用いてユーザにより2以上の標的位置およびそれらの順序が指定されてもよい。この場合、位置合わせ部102は、操作部140を用いてユーザにより(または、既定のアルゴリズムに従い制御部100により)指定された順序で2以上の標的位置に順次に光学系111の位置を合わせるように移動機構を段階的に制御することが可能である。移動機構112の制御のそれぞれの段階では、光学系111により被検眼情報が取得される。
また、位置合わせ部102は、記憶部104にあらかじめ記憶された標的位置に光学系111の位置を合わせるように移動機構112を制御することが可能である。たとえば、制御部100は、操作部140を用いてユーザにより指定された位置を第2座標系における位置に変換し、変換後の標的位置を記憶部104に記憶させる。位置合わせ部102は、記憶部104に記憶された標的位置に光学系111の位置を合わせるように移動機構112を制御する。その具体例として、位置合わせ部102は、記憶部104から読み出された第2座標系における標的位置と光学系111の現在位置とのずれ量がキャンセルされるように移動機構112を制御して光学系111を移動させる。なお、記憶部104には、第1座標系における位置が記憶され、位置合わせ部102が、当該位置を第2座標系における標的位置に変換し、変換後の標的位置と光学系111の現在位置とのずれ量がキャンセルされるように移動機構112を制御して光学系111を移動させるようにしてもよい。
位置合わせ部102は、記憶部104にあらかじめ記憶された2以上の標的位置について順次に光学系111の位置を合わせるように移動機構112を段階的に制御することが可能である。移動機構112の制御のそれぞれの段階では、光学系111により被検眼情報が取得される。
(判定部103)
判定部103は、所定の標的位置(第1標的位置)への位置合わせが行われた光学系111により取得される被検眼に関する情報である被検眼情報(測定値、検査値、または測定値(検査値)により求められる値)がエラーであるか否かを判定する。所定の標的位置(第1標的位置)には、デフォルトの標的位置(たとえば、瞳孔重心位置や角膜頂点位置)や、操作部140を用いてユーザにより指定された標的位置や、あらかじめ指定された2以上の標的位置の1つ等がある。
判定部103は、光学系111により被検眼に対して照射された光の前眼部または眼底からの戻り光の強度が低く、光学系111により取得される被検眼情報の誤差が所定の閾値以上になると判断されたとき、当該被検眼情報がエラーであると判定する。判定部103は、たとえば、光学系111により被検眼に対して照射された光の前眼部または眼底からの戻り光の強度が第1閾値以下のとき、光学系111により取得される被検眼情報がエラーであると判定することが可能である。また、判定部103は、たとえば、撮像素子12gにおいて検出された像(リング像等)を解析することにより像の形状や像の輪郭形状や像のコントラストを取得し、この取得された情報に基づいて、光学系111により取得された被検眼情報がエラーであるか否かを判定することが可能である。
(記憶部104)
記憶部104は、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。コンピュータプログラムには、各種の検査を眼科装置1に実行させるための演算プログラムや制御プログラムが含まれる。データには、各種の検査において使用されるデータが含まれる。このようなデータの例として、標的位置パターン情報と、取得位置情報とがある。
(標的位置パターン情報)
標的位置パターン情報は、2以上の標的位置の配列(標的位置パターン)を示す情報である。標的位置パターン情報は、2以上の標的位置の指定順序をさらに含んでもよい。標的位置パターン情報は、事前に生成され、制御部100によってパターン記憶部104Aに記憶される。制御部100は、パターン記憶部104Aに記憶された標的位置パターン情報に基づいて標的位置を順次に指定することが可能である。なお、標的位置パターン情報が上記の指定順序を含まない場合、ユーザまたは制御部100が指定順序を設定することができる。
(取得位置情報)
取得位置情報は、当該被検眼について過去に被検眼情報が取得されたときの光学系111の位置を示す情報である。なお、取得位置情報は、当該被検眼にかかわらず、眼疾患の種別や被検者(被検眼)の属性などに応じて一般的に高精度な被検眼情報を取得する可能性が高いと考えられる光学系111の位置(既定位置)を示す情報であってもよい。取得位置情報は、事前に生成され、制御部100によって位置記憶部104Bに記憶される。制御部100は、位置記憶部104Bに記憶された取得位置情報に基づいて標的位置を指定することが可能である。また、制御部100は、標的位置パターン情報と取得位置情報とに基づいて標的位置(およびその順序)を指定することが可能である。たとえば、標的位置パターン情報に示す標的位置の少なくともいずれかと取得位置情報に基づく標的位置とを含む複数の標的位置を指定することが可能である。
(表示制御部105)
表示制御部105は、表示部130に対して各種情報を表示させる。この実施形態では、表示制御部105は、タッチパネル式の表示画面10aを有する表示部130(表示部10)に、表示画面10aにおける標的位置に対応した位置に標的位置画像を表示させる。表示制御部105は、さらに、アライメントマークALを表示部130に表示させてもよい。また、表示制御部105は、さらに、被検眼の画像を表示部130に表示させてもよい。表示制御部105は、当該被検眼の画像上に標的位置画像を表示させてもよい。被検眼の画像として、被検眼のリアルタイム画像、過去に取得された当該被検眼の画像、あらかじめ登録された被検眼の画像、被検眼を模式的に表す画像(模式図)等がある。被検眼のリアルタイム画像は、撮像素子12gの検出結果により得られる前眼部像であってよい。
図6に、実施形態に係る表示画面10aの一例を模式的に示す。図6において、図4と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
操作部140を用いてユーザにより標的位置が指定される場合、たとえば、制御部100は、前眼部像E’が表示された表示画面10a内においてユーザによるタッチ操作が可能な操作可能領域を設定する。表示制御部105は、制御部100により設定された操作可能領域に対応して操作用画像ARを表示させる。操作用画像ARは、たとえば、図6に示すように、操作可能領域を表す操作領域画像TR、標的位置画像T、操作可能領域の中心位置に対応した中心位置画像CN等を含む。たとえば、制御部100は、被検眼の画像を解析することにより瞳孔重心位置または角膜頂点位置を特定し、特定された瞳孔重心位置または角膜頂点位置に対してトラッキングを行う。表示制御部105は、制御部100によるトラッキング制御に基づいて、操作可能領域の中心位置が瞳孔重心位置または角膜頂点位置と一致するように中心位置画像CNを表示させることが可能である。
ユーザは、タッチ操作(たとえば、ドラッグ操作)により標的位置画像Tを左右方向および上下方向に移動させることによって、標的位置画像Tに対応した標的位置をXY方向に移動させることが可能である。
また、操作用画像ARは、図6に示すように、標的位置の前後方向(Z方向)における位置を移動するための操作キーUK、DKを含んでもよい。ユーザは、操作キーUK、DKに対するタッチ操作により標的位置をZ方向に移動させることが可能である。
さらに、表示制御部105は、図6に示すように、被検眼の画像(前眼部像E’)を表示画面10aに表示させることが可能である。表示制御部105は、標的位置画像Tの位置に対応した前眼部像E’上の位置を示す標的位置画像T’と標的位置画像T’を中心とするアライメントマークALとを前眼部像E’上に表示させる。また、表示制御部105は、中心位置画像CNの位置に対応した前眼部像E’上の位置に中心位置画像CN’を表示させる。
なお、表示制御部105は、前眼部像E’を表示画面10aに表示させることなく操作用画像ARのみを表示させるようにしてもよい。また、表示制御部105は、操作用画像ARを表示画面10aに表示させることなく、前眼部像E’を表示画面10aに表示させるようにしてもよい。この場合、表示制御部105は、図7に示すように、前眼部像E’上に標的位置画像T’を表示させ、且つ、操作キーUK、DKを表示させる。ユーザは、タッチ操作(たとえば、ドラッグ操作)により標的位置画像T’を左右方向および上下方向に移動させることによって、標的位置画像Tに対応した標的位置をXY方向に移動させることが可能である。ユーザは、操作キーUK、DKのタッチ操作により標的位置をZ方向に移動させることが可能である。
位置指定部101は、上記のいずれかの手法で操作部140(図6および図7では、タッチパネル式の表示画面10a)を用いて指定された標的位置画像Tの位置に基づいて標的位置のX方向、Y方向、およびZ方向の座標を指定することにより、標的位置を指定することが可能である。
[動作例]
眼科装置1の動作について説明する。
図8に、眼科装置1の動作例のフロー図を示す。図8は、上記の眼科装置1において、被検眼情報として屈折力を取得する場合の動作例を表す。
(S1)
まず、ユーザが眼科装置1の電源をオンにし、顔受け部5に被検者の顔を載せ、操作部140を用いて測定開始を指示すると、眼科装置1は、固視標投影系13(自覚式測定系15)のLED光源13aを点灯させる。LED光源13aの点灯により被検眼Eの前眼部が照明される。前眼部を照明することにより、観察系12の撮像素子12gの撮像面上に前眼部像が結像され、処理部9の図示しないフレームメモリに前眼部像が記憶される。眼科装置1は、表示部10の表示画面10aに前眼部像E’を表示させる。
(S2)
続いて、眼科装置1は、デフォルトの標的位置に対してオートアライメントを行う。すなわち、眼科装置1は、まず、XY方向のアライメントを行うために、アライメント系17のアライメント光源17aを点灯し、投影レンズ17bにより変換された平行光束を被検眼Eに投影する。被検眼Eに投影された平行光束は、被検眼Eの角膜Cにおいて反射され、観察系12における撮像素子12g上に指標像Brが投影される。この指標像Brが前眼部像E’とともに図4に示すように表示される。
制御部100は、S1においてフレームメモリに記憶された前眼部像を公知の手法で解析することにより被検眼Eの瞳孔重心位置または角膜頂点位置を、デフォルトの標的位置として特定する。位置合わせ部102は、制御部100により特定されたデフォルトの標的位置に光学系111の位置を合わせるように移動機構112を制御して、光学系111をXY方向に移動させる。たとえば、位置合わせ部102は、位置合わせ部102による制御座標系において制御部100により特定されたデフォルトの標的位置と光学系111の位置とのずれ量がキャンセルされるように移動機構112を制御して光学系111を移動させる。こうすることにより、XY方向のアライメントが完了する。
(S3)
次に、眼科装置1は、Z方向のアライメントを行うために、アライメント系16のアライメント光源16aを点灯し、投影レンズ16bにより変換された平行光束を被検眼Eに投影する。被検眼Eに投影された平行光束は、被検眼Eの角膜Cにおいて反射され、観察系12における撮像素子12g上に2つの指標像Lr1、Lr2が投影される。この指標像Lr1、Lr2が前眼部像E’とともに図4に示すように表示される。
位置合わせ部102は、制御部100により特定されたデフォルトの標的位置に光学系111の位置を合わせるように移動機構112を制御して、光学系111をZ方向に移動させる。たとえば、位置合わせ部102は、指標像Lr1、Lr2が所定の位置関係となるように移動機構112を制御して光学系111を移動させる。その具体例として、位置合わせ部102は、指標像Lr1、Lr2が所定の位置関係となる目標位置と光学系111のZ方向の座標位置とのずれ量がキャンセルされるようにアクチュエータを制御することによりヘッド部4を前後方向に移動させて前後方向のアライメントを行う。こうすることにより、Z方向のアライメントが完了する。
(S4)
S3におけるZ方向のアライメントが完了すると、眼科装置1は、被検眼Eの屈折力測定を実行し、被検眼情報として被検眼Eの屈折力を取得する。S4では、たとえば、上記の他覚測定機能により他覚値としての屈折力を取得した後、取得された屈折力(他覚値)に基づき上記の自覚測定機能により自覚値としての屈折力を測定する。なお、他覚測定の前または自覚測定の後に上記の角膜形状測定機能により角膜形状を取得するようにしてもよい。なお、屈折力等の各種の被検眼情報の測定原理は公知であるため、詳細な説明は省略する。
(S5)
続いて、制御部100は、判定部103により、S4において取得された屈折力がエラーであるか否かを判定する。判定部103は、上記のように屈折力がエラーか否かを判断することが可能である。判定部103によりS4において取得された屈折力がエラーであると判定されたとき(S5:Y)、眼科装置1の処理はS6に移行する。判定部103によりS4において取得された屈折力がエラーではないと判定されたとき(S5:N)、眼科装置1の処理は終了する(エンド)。
(S6)
判定部103によりS4において取得された屈折力がエラーであると判定されたとき(S5:Y)、眼科装置1は、上記のように操作部140を用いたユーザによる標的位置の指定を受け付ける。すなわち、操作部140を用いてユーザにより標的位置が指定されると、制御部100は、位置指定部101において上記のように位置指定部101により被検眼Eに対して標的位置を指定する。また、制御部100は、位置指定部101において、位置記憶部104Bに記憶された過去に被検眼情報が取得されたときの光学系111の位置を表す取得位置情報に基づいて、被検眼Eに対して標的位置を指定してよい。
(S7)
次に、眼科装置1は、S6において指定された標的位置に対して、S2と同様にXY方向のアライメントを行う。すなわち、位置合わせ部102は、S6において指定された標的位置のX方向の座標位置およびY方向の座標位置に光学系111の位置を合わせるように移動機構112を制御して、光学系111をXY方向に移動させることにより、標的位置に対してXY方向のアライメントを行う。
(S8)
続いて、眼科装置1は、S6において指定された標的位置に対して、S2と同様にZ方向のアライメントを行う。すなわち、位置合わせ部102は、S7において指定された標的位置に基づいて移動機構112を制御して、光学系111をZ方向に移動させることにより、標的位置に対してZ方向のアライメントを行う。
(S9)
S8におけるZ方向のアライメントが完了すると、眼科装置1は、S4と同様に、被検眼Eの屈折力測定を実行する。以上で、眼科装置1の動作は終了する(エンド)。
なお、S9の測定が完了後、S5と同様に、S9において取得された屈折力がエラーであるか否かを判定するようにしてもよい。エラーではないと判定されるまでS6〜S9を繰り返したり、エラーではないと判定された後に所定回数だけS6〜S9を繰り返したりしてもよい。
なお、S6では、被検眼に対して1つの標的位置が指定された場合について説明したが、事前に2以上の標的位置およびそれらの順序が指定され、S9の測定が完了後、S6において位置指定部101により指定された順序で、当該2以上の標的位置に順次にXY方向のアライメントおよびZ方向のアライメントを段階的に行い、当該制御のそれぞれの段階において屈折力を取得するようにしてもよい。事前に指定された2以上の標的位置は、標的位置パターンとしてあらかじめパターン記憶部104Aに記憶され、制御部100は、位置指定部101において、標的位置パターンに基づいて、被検眼Eに対して標的位置を順次に指定してよい。たとえば、図9に示すように、標的位置をP1、P2、P3、P4、P5の順序で指定することができる。
また、上記の実施形態では、標的位置に対してXY方向のアライメントおよびZ方向のアライメントの双方を行う場合について説明したが、標的位置に対してXY方向のアライメントおよびZ方向のアライメントの一方のみを行うようにしてもよい。
(作用・効果)
実施形態に係る眼科装置の作用および効果について説明する。
実施形態に係る眼科装置(たとえば、眼科装置1)は、光学系(たとえば、光学系111)と、移動機構(たとえば、移動機構112)と、位置指定部(たとえば、位置指定部101)と、制御部(たとえば、制御部100)とを含む。光学系は、被検眼(たとえば、被検眼E)に光を照射し、被検眼からの戻り光に基づいて被検眼情報(たとえば、屈折力)を取得する。移動機構は、被検眼に対して光学系を相対移動する。位置指定部は、被検眼に対して標的位置を指定する。制御部は、位置指定部により指定された標的位置に光学系の位置を合わせるように移動機構を制御する。
このような構成によれば、位置指定部により指定された標的位置に光学系の位置を合わせるように移動機構を制御することができるため、繁雑な作業を伴うことなく、光学系を所望の位置に短時間かつ高精度で配置させることが可能になる。これにより、測定時間の短縮化を図り、疾患を伴う被検眼であっても高精度な被検眼情報を取得することが可能になる。
また、位置指定部は、被検眼に対して2以上の標的位置およびそれらの順序を指定し、制御部は、位置指定部により指定された順序で2以上の標的位置に順次に光学系の位置を合わせるように移動機構を段階的に制御し、光学系は、当該制御のそれぞれの段階において被検眼情報を取得するようにしてもよい。
このような構成によれば、眼疾患の状態が不明な場合であっても、短い測定時間内で、高精度な被検眼情報を取得することが可能になる。
また、眼科装置は、パターン記憶部(たとえば、パターン記憶部104A)を含んでもよい。パターン記憶部は、2以上の標的位置の配列を示す標的位置パターン情報をあらかじめ記憶する。位置指定部は、パターン記憶部に記憶された標的位置パターン情報に基づいて2以上の標的位置を順次に指定する。
このような構成によれば、ユーザが標的位置を指定する必要がなくなるため、より一層作業を簡略化しつつ、短い測定時間内で、高精度な被検眼情報を取得することが可能になる。
また、眼科装置は、判定部(たとえば、判定部103)を含んでもよい。判定部は、第1標的位置に位置合わせが行われた光学系により取得された被検眼の第1被検眼情報がエラーであるか否かを判定する。判定部により第1被検眼情報がエラーであると判定されたとき、制御部は、位置指定部により指定された標的位置に前記光学系の位置を合わせるように移動機構を制御し、光学系は、標的位置に位置合わせが行われた状態で被検眼の新たな情報(たとえば、新たな被検眼情報)を取得する。
このような構成によれば、通常のオートアライメントを行った後に取得された被検眼情報に応じて、標的位置に対するオートアライメントを行うことができる。これにより、標的位置の指定が不要な被検眼(たとえば、眼疾患がない被検眼)に対してもオートアライメントを行って、被検眼情報の取得が可能な眼科装置を提供することができる。
また、眼科装置は、位置記憶部(たとえば、位置記憶部104B)を含んでもよい。位置記憶部は、過去に被検眼情報が取得されたときの光学系の位置をあらかじめ記憶する。制御部は、位置記憶部に記憶された位置に光学系の位置を合わせるように移動機構を制御し、光学系は、位置記憶部に記憶された位置に位置合わせが行われた状態で被検眼情報を取得する。
このような構成によれば、たとえば、当該被検眼について過去の被検眼情報の取得が可能な位置において、新たな被検眼情報の取得が可能になるため、オートアライメントの標的位置の探索を繰り返す可能性を大幅に低減することが可能になる。
また、眼科装置は、表示制御部(たとえば、表示制御部105)と、操作部(たとえば、操作部140)とを含んでもよい。表示制御部は、標的位置画像を表示手段(たとえば、表示部130)に表示させる。操作部は、標的位置画像を移動させるために用いられる。位置指定部は、操作部を用いて指定された標的位置画像の位置に対応する位置を標的位置として指定する。
このような構成によれば、標的位置画像が表示された表示手段を見ながら標的位置を指定することができるので、ユーザによる所望の標的位置の指定が容易になる。
また、眼科装置は、表示制御部(たとえば、表示制御部105)と、操作部(たとえば、操作部140)とを含んでもよい。表示制御部は、被検眼の画像を表示手段(たとえば、表示部130)に表示させ、且つ、被検眼の画像上に標的位置画像を表示させる。操作部は、標的位置画像を移動させるために用いられる。位置指定部は、操作部を用いて指定された標的位置画像の位置に対応する位置を標的位置として指定する。
このような構成によれば、被検眼の画像上に標的位置画像が表示された標的位置を指定することができるので、ユーザによる所望の標的位置の指定が容易になる。
また、制御部は、光学系の光軸に直交する第1方向(たとえば、X方向)および第2方向(たとえば、Y方向)、並びに光軸に平行な第3方向(たとえば、Z方向)のうち少なくとも第1方向および第2方向に移動機構を移動する。
このような構成によれば、標的位置に対して光学系の光軸に直交する平面内や光軸方向にアライメントを行うことで、疾患を伴う被検眼であっても高精度な被検眼情報を取得することが可能になる。
(変形例)
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
たとえば、上記の眼科装置の動作モードとして、第1動作モードと第2動作モードとを設けてもよい。第1動作モードでは瞳孔重心位置や角膜頂点位置等に対してオートアライメントを行って被検眼情報を取得する通常動作モードとし、第2動作モードでは図8に示すフローまたは標的位置の指定が可能な動作モードとする。
上記の実施形態では、少なくとも自覚屈折測定が可能であり、さらに他覚屈折測定(および角膜形状測定)が可能な眼科装置について説明した。しかし、この発明を適用可能な眼科装置はこれらに限定されるものではない。たとえば、眼軸長測定機能、眼圧測定機能、眼底撮影機能、前眼部撮影機能、光干渉断層撮影(OCT)機能、超音波検査機能など、眼科分野において使用可能な任意の機能を有する装置に対して、この発明を適用することが可能である。なお、眼軸長測定機能は光干渉断層計等により実現される。眼圧測定機能は眼圧計等により実現される。眼底撮影機能は眼底カメラや走査型検眼鏡(SLO)等により実現される。前眼部撮影機能はスリットランプ等により実現される。OCT機能は光干渉断層計等により実現される。超音波検査機能は超音波診断装置等により実現される。また、このような機能のうち2つ以上を具備した装置(複合機)に対してこの発明を適用することも可能である。従って、実施形態に係る被検眼情報として、眼軸長、眼圧、眼底に関する情報、前眼部に関する情報、OCTにより取得されたOCT情報、超音波により取得された超音波情報等であってもよい。
1 眼科装置
100 制御部
101 位置指定部
102 位置合わせ部
103 判定部
104 記憶部
104A パターン記憶部
104B 位置記憶部
105 表示制御部
110 検査部
111 光学系
112 移動機構
130 表示部
140 操作部
150 通信部

Claims (5)

  1. 被検眼に光を照射し、前記被検眼からの戻り光に基づいて被検眼情報を取得する光学系と、
    前記被検眼に対して前記光学系を相対移動する移動機構と、
    前記被検眼における2以上の標的位置の配列を示す標的位置パターン情報をあらかじめ記憶するパターン記憶部と、
    前記標的位置パターン情報に基づいて前記被検眼に対して前記2以上の標的位置を順次に指定する位置指定部と、
    前記位置指定部により指定された前記標的位置に前記光学系の位置を合わせるように前記移動機構を制御する制御部と
    前記光学系により取得された前記被検眼情報がエラーであるか否かを判定する判定部と、
    を含み、
    前記判定部によりエラーであると判定されたとき、前記制御部は、前記位置指定部により指定された新たな標的位置に前記光学系の位置を合わせるように前記移動機構を制御し、前記光学系は、前記新たな標的位置に位置合わせが行われた状態で前記被検眼の新たな情報を取得し、
    前記判定部によりエラーではないと判定されるまで前記位置指定部による新たな標的位置の指定と前記制御部による前記移動機構の制御とを繰り返す、眼科装置。
  2. 過去に前記被検眼情報が取得されたときの前記光学系の位置をあらかじめ記憶する位置記憶部を含み、
    前記制御部は、前記位置記憶部に記憶された位置に前記光学系の位置を合わせるように前記移動機構を制御し、
    前記光学系は、前記位置記憶部に記憶された位置に位置合わせが行われた状態で前記被検眼情報を取得する
    ことを特徴とする請求項に記載の眼科装置。
  3. 標的位置画像を表示手段に表示させる表示制御部と、
    前記標的位置画像を移動させるための操作部と
    を含み、
    前記位置指定部は、前記操作部を用いて指定された前記標的位置画像の位置に対応する位置を前記標的位置として指定する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
  4. 前記被検眼の画像を表示手段に表示させ、且つ、前記被検眼の画像上に標的位置画像を表示させる表示制御部と、
    前記標的位置画像を移動させるための操作部と
    を含み、
    前記位置指定部は、前記操作部を用いて指定された前記標的位置画像の位置に対応する位置を前記標的位置として指定する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の眼科装置。
  5. 前記制御部は、前記光学系の光軸に直交する第1方向および第2方向、並びに前記光軸に平行な第3方向のうち少なくとも前記第1方向および前記第2方向に前記移動機構を移動する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の眼科装置。
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