JP2019058437A - 眼科装置 - Google Patents

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俊一 森嶋
Shunichi Morishima
俊一 森嶋
陽子 多々良
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陽子 多々良
北村 和男
Kazuo Kitamura
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Abstract

【課題】被検者への負担を軽減しつつ、信頼性の高い眼屈折力値の取得が可能な眼科装置を提供する。【解決手段】眼科装置は、被検眼の眼底と光学的に略共役な位置に配置された光源からの光を被検眼に投射する投射系と、投射系により投射された光の眼底からの戻り光を受光する受光系と、受光系による戻り光の受光結果に基づいて被検眼の眼屈折力値を求める解析部と、を含み、投射系は、被検眼の瞳孔と光学的に略共役な位置に配置され、所定のパターン状の透光部が形成された絞りと、光源からの光を偏向して透光部に導く偏向部材と、を含み、透光部を透過した光を被検眼に投射する。【選択図】図1

Description

この発明は、眼科装置に関する。
眼科装置として、被検眼の眼屈折力の測定が可能なものが知られている。例えば、被検眼にリング状の光束を投射することにより眼底にリング状の測定パターンを投射し、眼底からの反射光を瞳孔の中心部から取り出し、取得された眼底リング像の大きさや変形の度合いから眼屈折力値を算出する眼科装置が知られている。
このような眼科装置において取得された眼底リング像が睫毛や白内障に起因した水晶体の混濁等によって不鮮明な場合、算出された眼屈折力値の信頼性が低下する。
例えば、特許文献1には、取得されたリング像を近似して得られた楕円から所定距離以内の範囲の領域を抽出し、抽出された領域内のリング像を近似して得られた新たな楕円から眼屈折力値を算出する眼科装置が開示されている。
特開2017−051430号公報
しかしながら、得られたリング像が不鮮明な場合、被検眼に入射する光量を多くして再測定を行うことが望ましい。従って、再測定により被検者に負担がかかることは変わらない。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、被検者への負担を軽減しつつ、信頼性の高い眼屈折力値の取得が可能な眼科装置を提供することにある。
実施形態の第1態様は、被検眼の眼屈折力を測定する眼科装置であって、前記被検眼の眼底と光学的に略共役な位置に配置された光源からの光を前記被検眼に投射する投射系と、前記投射系により投射された光の前記眼底からの戻り光を受光する受光系と、前記受光系による前記戻り光の受光結果に基づいて前記被検眼の眼屈折力値を求める解析部と、を含み、前記投射系は、前記被検眼の瞳孔と光学的に略共役な位置に配置され、所定のパターン状の透光部が形成された絞りと、前記光源からの光を偏向して前記透光部に導く偏向部材と、を含み、前記透光部を透過した光を前記被検眼に投射する、眼科装置である。
また、実施形態の第2態様では、第1態様において、前記投射系は、前記偏向部材と前記絞りとの間に配置されたフィールドレンズを含んでもよい。
また、実施形態の第3態様では、第2態様において、前記フィールドレンズのレンズ面に前記絞りが貼り付けられていてもよい。
また、実施形態の第4態様では、第1態様において、前記偏向部材における前記偏向された光の出射面に前記絞りが貼り付けられていてもよい。
また、実施形態の第5態様では、第1態様〜第4態様のいずれかにおいて、前記絞りは、前記透光部がリング状に形成されたリング絞りであってよい。
また、実施形態の第6態様では、第1態様〜第5態様のいずれかにおいて、前記偏向部材は、円錐面に入射した前記光源からの光を偏向し底面から出射する円錐プリズムを含んでもよい。
また、実施形態の第6態様では、第1態様〜第5態様のいずれかにおいて、前記偏向部材は、リングレンズを含んでもよい。
本発明によれば、被検者への負担を軽減しつつ、信頼性の高い眼屈折力値の取得が可能な眼科装置を提供することができる。
実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の処理系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の処理系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作例のフローを示す概略図である。 実施形態の変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態の変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。
この発明に係る眼科装置の実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
実施形態に係る眼科装置は、他覚測定と自覚検査とを実行可能である。他覚測定は、被検者からの応答を参照することなく、主に物理的な手法を用いて被検眼に関する情報を取得する測定手法である。
他覚測定には、被検眼の特性を取得するための測定と、被検眼の画像を取得するための撮影とが含まれる。他覚測定には、他覚屈折測定、角膜形状測定、眼圧測定、眼底撮影、光干渉計測等がある。一方、自覚検査は、被検者からの応答を利用して情報を取得する測定手法である。自覚検査には、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査等の自覚屈折測定や、視野検査などがある。
実施形態に係る眼科装置は、少なくとも眼屈折特性の他覚測定を実行可能である。
以下、眼底共役位置は、アライメントが完了した状態での被検眼の眼底と光学的に略共役な位置であり、被検眼の眼底と光学的に共役な位置又はその近傍を意味するものとする。同様に、瞳孔共役位置は、アライメントが完了した状態での被検眼の瞳孔と光学的に略共役な位置であり、被検眼の瞳孔と光学的に共役な位置又はその近傍を意味するものとする。
<光学系の構成>
図1に、実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。眼科装置1000は、被検眼Eの検査を行うための光学系として、Zアライメント系1、XYアライメント系2、ケラト測定系3、視標投影系4、前眼部観察系5、レフ測定投射系6、及びレフ測定受光系7を含む。
(前眼部観察系5)
前眼部観察系5は、被検眼Eの前眼部を動画撮影する。前眼部観察系5を経由する光学系において、撮像素子59の撮像面は瞳孔共役位置Qに配置されている。前眼部照明光源51は、被検眼Eの前眼部に照明光(例えば、赤外光)を照射する。被検眼Eの前眼部により反射された光は、対物レンズ52を通過し、ダイクロイックミラー53を透過し、ハーフミラー54を透過し、リレーレンズ55及び56を通過し、ダイクロイックミラー57を透過する。ダイクロイックミラー57を透過した光は、結像レンズ58により撮像素子59(エリアセンサ)の撮像面に結像される。撮像素子59は、所定のレートで撮像及び信号出力を行う。撮像素子59の出力(映像信号)は、後述の処理部9に入力される。処理部9は、この映像信号に基づく前眼部像を後述の表示部の表示画面に表示させる。前眼部像は、例えば赤外動画像である。
(Zアライメント系1)
Zアライメント系1は、前眼部観察系5の光軸方向(前後方向、Z方向)におけるアライメントを行うための光(赤外光)を被検眼Eに投射する。Zアライメント光源11から出力された光は、被検眼Eの角膜に投射され、角膜により反射され、結像レンズ12によりラインセンサ13のセンサ面に結像される。角膜頂点の位置が前眼部観察系5の光軸方向に変化すると、ラインセンサ13のセンサ面における光の投射位置が変化する。処理部9は、ラインセンサ13のセンサ面における光の投射位置に基づいて被検眼Eの角膜頂点の位置を求め、これに基づき光学系を移動させる機構を制御してZアライメントを実行する。
(XYアライメント系2)
XYアライメント系2は、前眼部観察系5の光軸に直交する方向(左右方向(X方向)、上下方向(Y方向))のアライメントを行うための光(赤外光)を被検眼Eに照射する。XYアライメント系2は、ハーフミラー54により前眼部観察系5から分岐された光路に設けられたXYアライメント光源21を含む。XYアライメント光源21から出力された光は、ハーフミラー54により反射され、前眼部観察系5を通じて被検眼Eに投射される。被検眼Eの角膜による反射光は、前眼部観察系5を通じて撮像素子59に導かれる。
この反射光に基づく像(輝点像)は前眼部像に含まれる。処理部9は、輝点像を含む前眼部像とアライメントマークとを表示部の表示画面に表示させる。手動でXYアライメントを行う場合、ユーザは、アライメントマーク内に輝点像を誘導するように光学系の移動操作を行う。自動でアライメントを行う場合、処理部9は、アライメントマークに対する輝点像の変位がキャンセルされるように、光学系を移動させる機構を制御する。
(ケラト測定系3)
ケラト測定系3は、被検眼Eの角膜の形状を測定するためのリング状光束(赤外光)を角膜に投射する。ケラト板31は、対物レンズ52と被検眼Eとの間に配置されている。ケラト板31の背面側(対物レンズ52側)にはケラトリング光源(図示せず)が設けられている。ケラトリング光源からの光でケラト板31を照明することにより、被検眼Eの角膜にリング状光束が投射される。被検眼Eの角膜からの反射光(ケラトリング像)は撮像素子59により前眼部像とともに検出される。処理部9は、このケラトリング像を基に公知の演算を行うことで、角膜の形状を表す角膜形状パラメータを算出する。
(視標投影系4)
視標投影系4は、固視標や自覚検査用視標等の各種視標を被検眼Eに呈示する。光源41から出力された光(可視光)は、コリメートレンズ42により平行光束とされ、視標チャート43に照射される。視標チャート43は、例えば透過型の液晶パネルを含み、視標を表すパターンを表示する。視標チャート43を透過した光は、リレーレンズ44及び45を通過し、反射ミラー46により反射され、ダイクロイックミラー68を透過し、ダイクロイックミラー53により反射される。ダイクロイックミラー53により反射された光は、対物レンズ52を通過して眼底Efに投射される。光源41、コリメートレンズ42及び視標チャート43は、一体となって光軸方向に移動可能である。
自覚検査を行う場合、処理部9は、他覚測定の結果に基づき光源41、コリメートレンズ42及び視標チャート43を光軸方向に移動させ、視標チャート43を制御する。処理部9は、検者又は処理部9により選択された視標を視標チャート43に表示させる。それにより、当該視標が被検者に呈示される。被検者は視標に対する応答を行う。応答内容の入力を受けて、処理部9は、更なる制御や、自覚検査値の算出を行う。例えば、視力測定において、処理部9は、ランドルト環等に対する応答に基づいて、次の視標を選択して呈示し、これを繰り返し行うことで視力値を決定する。
(レフ測定投射系6、レフ測定受光系7)
レフ測定投射系6及びレフ測定受光系7は他覚屈折測定(レフ測定)に用いられる。レフ測定投射系6は、他覚測定用のリング状光束(赤外光)を眼底Efに投射する。レフ測定受光系7は、このリング状光束の被検眼Eからの戻り光を受光する。
レフ測定光源61は、発光径が所定のサイズ以下の高輝度光源であるSLD(Superluminescent Diode)光源であってよい。レフ測定光源61は、光軸方向に移動可能であり、眼底共役位置Pに配置される。リング絞り65(具体的には、透光部)は、瞳孔共役位置Qに配置されている。ダイクロイックミラー53とダイクロイックミラー68との間やリレーレンズ73と合焦レンズ74との間に、眼底共役位置Pが配置される。合焦レンズ74は、光軸方向に移動可能である。レフ測定受光系7を経由する光学系において、撮像素子59の撮像面は眼底共役位置Pに配置されている。
レフ測定光源61から出力された光は、リレーレンズ62を通過し、円錐プリズム63の円錐面に入射する。円錐面に入射した光は偏向され、円錐プリズム63の底面から出射する。円錐プリズム63の底面から出射した光は、フィールドレンズ64を通過し、リング絞り65にリング状に形成された透光部を通過する。リング絞り65の透光部を通過した光(リング状光束)は、孔開きプリズム66の反射面により反射され、ロータリープリズム67を通過し、ダイクロイックミラー68により反射される。ダイクロイックミラー68により反射された光は、ダイクロイックミラー53により反射され、対物レンズ52を通過し、被検眼Eに投射される。ロータリープリズム67は、眼底Efの血管や疾患部位に対するリング状光束の光量分布を平均化や光源に起因するスペックルノイズの低減のために用いられる。
円錐プリズム63は、レフ測定投射系6の大型化を回避しつつ、瞳孔共役位置Qに可能な限り近い位置に配置されることが望ましい。
図2に、フィールドレンズ64の断面図を模式的に示す。例えば、図2に示すように、フィールドレンズ64の被検眼Eの側のレンズ面にリング絞り65が貼り付けられていてもよい。この場合、例えば、フィールドレンズ64のレンズ面には、リング状の透光部が形成されるように遮光膜が蒸着される。
また、レフ測定投射系6は、フィールドレンズ64が省略された構成を有していてもよい。
図3に、円錐プリズム63の断面図を模式的に示す。例えば、図3に示すように、リレーレンズ62を通過した光が円錐面63aに入射する円錐プリズム63の底面63bにリング絞り65が貼り付けられていてもよい。この場合、例えば、円錐プリズム63の底面63bには、リング状の透光部が形成されるように遮光膜が蒸着される。
リング絞り65は、所定のパターン状の透光部が形成された絞りであってよい。この絞りには、レフ測定投射系6の光軸に対して偏心した位置に透光部が形成されていてよい。また、絞りには、2以上の透光部が形成されていてもよい。
眼底Efに投射されたリング状光束の戻り光は、対物レンズ52を通過し、ダイクロイックミラー53及びダイクロイックミラー68により反射される。ダイクロイックミラー68により反射された戻り光は、ロータリープリズム67を通過し、孔開きプリズム66の孔部を通過し、リレーレンズ71を通過し、反射ミラー72により反射され、リレーレンズ73及び合焦レンズ74を通過する。合焦レンズ74を通過した光は、反射ミラー75により反射され、ダイクロイックミラー57により反射され、結像レンズ58により撮像素子59の撮像面に結像される。処理部9は、撮像素子59からの出力を基に公知の演算を行うことで被検眼Eの屈折力値を算出する。例えば、屈折力値は、球面度数、乱視度数及び乱視軸角度を含む。
孔開きプリズム66とリレーレンズ71との間に、瞳孔上の光束径を制限する絞りが配置されていてもよい。この絞りの透光部は、瞳孔共役位置に配置される。
処理部9は、算出された屈折力値に基づいて、眼底Efとレフ測定光源61と撮像素子59の撮像面とが光学的に共役になるように、レフ測定光源61と合焦レンズ74とをそれぞれ光軸方向に移動させる。更に、処理部9は、レフ測定光源61及び合焦レンズ74の移動に連動して視標ユニットをその光軸方向に移動させる。光源41、コリメートレンズ42及び視標チャート43を含む視標ユニットと、レフ測定光源61と、合焦レンズ74とは、連動してそれぞれの光軸方向に移動可能であってよい。
<処理系の構成>
眼科装置1000の処理系の構成について説明する。眼科装置1000の処理系の機能的構成の例を図4及び図5に示す。図4は、眼科装置1000の処理系の機能ブロック図の一例を表したものである。図5は、図4の演算処理部120の機能ブロック図の一例を表したものである。
処理部9は、眼科装置1000の各部を制御する。また、処理部9は、各種演算処理を実行可能である。処理部9は、プロセッサを含む。プロセッサの機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路により実現される。処理部9は、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
処理部9は、制御部110と、演算処理部120とを含む。また、眼科装置1000は、表示部170と、操作部180と、通信部190とを含む。
(制御部110)
制御部110は、眼科装置1000の各部を制御する。制御部110は、主制御部111と、記憶部112とを含む。
主制御部111は、眼科装置1000の各種制御を行う。主制御部111は、Zアライメント系1のZアライメント光源11やラインセンサ13、XYアライメント系2のXYアライメント光源21、ケラト測定系3のケラトリング光源を制御する。それにより、Zアライメント光源11やXYアライメント光源21やケラトリング光源から出力される光の光量が変更されたり、点灯や非点灯が切り替えられたりする。また、ラインセンサ13により検出された信号が取り込まれ、取り込まれた信号に基づくアライメント制御等が行われる。
主制御部111は、視標投影系4の光源41、及び視標チャート43を制御する。それにより、光源41から出力される光の光量が変更されたり、点灯や非点灯が切り替えられたりする。また、視標チャート43における視標や固視標の表示のオン・オフや、視標や固視標が切り替えられる。また、主制御部111は、光源41、コリメートレンズ42、及び視標チャート43を含む視標ユニットを光軸方向に移動する移動機構(図示せず)を制御することができる。
主制御部111は、前眼部観察系5の前眼部照明光源51や撮像素子59を制御する。それにより、前眼部照明光源51から出力される光の光量が変更されたり、点灯や非点灯が切り替えられたりする。また、撮像素子59により取得された信号が取り込まれ、演算処理部120により画像の形成等が行われたりする。
主制御部111は、レフ測定投射系6のレフ測定光源61やロータリープリズム67、レフ測定受光系7の合焦レンズ74を制御する。それにより、レフ測定光源61から出力される光の光量が変更されたり、点灯や非点灯が切り替えられたりする。また、ロータリープリズム67が回転される。また、合焦レンズ74の光軸方向の位置が変更される。また、主制御部111は、レフ測定光源61を光軸方向に移動する移動機構(図示せず)を制御することができる。
また、主制御部111は、記憶部112にデータを書き込む処理や、記憶部112からデータを読み出す処理を行う。
記憶部112は、各種のデータを記憶する。記憶部112に記憶されるデータとしては、ケラト測定系3により得られた測定情報、レフ測定投射系6及びレフ測定受光系7により得られた測定情報、撮像素子59により取得された画像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。ケラト測定系3により得られた測定情報は、眼科装置1000にて被検眼Eのケラト測定が行われたときに記憶部112に保存される。レフ測定投射系6及びレフ測定受光系7により得られた測定情報は、眼科装置1000にて被検眼Eのレフ測定が行われたときに記憶部112に保存される。記憶部112は、角膜形状パラメータの算出処理や眼屈折力値の算出処理の作業メモリとして用いられてもよい。また、記憶部112には、眼科装置1000を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(演算処理部120)
演算処理部120は、例えば、角膜形状パラメータや眼屈折力値など、眼屈折力を表すパラメータを求めるための各種の演算を実行する。演算処理部120は、解析部121を含む。
解析部121は、レフ測定投射系6により眼底Efに投射されたリング状光束(リング状の測定パターン)の戻り光を撮像素子59が受光することにより得られたリング像(パターン像)を解析する。例えば、解析部121は、得られたリング像が描出された画像における輝度分布からリング像の重心位置を求め、この重心位置から放射状に延びる複数の走査方向に沿った輝度分布を求め、この輝度分布からリング像を特定する。続いて、解析部121は、特定されたリング像の近似楕円を求め、この近似楕円の長径及び短径を公知の式に代入することによって球面度数、乱視度数及び乱視軸角度を求める。
或いは、解析部121は、基準パターンに対するリング像の変形及び変位に基づいて眼屈折力のパラメータを求めることができる。
また、解析部121は、前眼部観察系5により取得されたケラトリング像に基づいて、角膜屈折力、角膜乱視度及び角膜乱視軸角度を算出する。例えば、解析部121は、ケラトリング像を解析することにより角膜前面の強主経線や弱主経線の角膜曲率半径を算出し、角膜曲率半径に基づいて上記パラメータを算出する。
(表示部170、操作部180)
表示部170は、制御部110による制御を受けて情報を表示する。操作部180は、眼科装置1000の操作や情報入力に使用される。操作部180は、各種のハードウェアキー(ジョイスティック、ボタン、スイッチなど)、及び/又は、表示部170に提示される各種のソフトウェアキー(ボタン、アイコン、メニューなど)を含む。
(通信部190)
通信部190は、外部装置と通信する機能を持つ。通信部190は、外部装置との接続形態に応じた通信インターフェイスを備える。外部装置の例として、レンズの光学特性を測定するための眼鏡レンズ測定装置がある。眼鏡レンズ測定装置は、被検者が装用する眼鏡レンズの度数などを測定し、この測定データを眼科装置1000に入力する。また、外部装置は、任意の眼科装置、記録媒体から情報を読み取る装置(リーダ)や、記録媒体に情報を書き込む装置(ライタ)などでもよい。更に、外部装置は、病院情報システム(HIS)サーバ、DICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)サーバ、医師端末、モバイル端末、個人端末、クラウドサーバなどでもよい。
レフ測定投射系6は、実施形態に係る「投射系」の一例である。レフ測定受光系7は、実施形態に係る「受光系」の一例である。リング絞り65は、実施形態に係る「絞り」の一例である。円錐プリズム63は、実施形態に係る「偏向部材」の一例である。
<動作例>
実施形態に係る眼科装置1000の動作について説明する。眼科装置1000の動作の一例を図6に示す。図6は、眼科装置1000の動作例のフロー図を表したものである。以下では、光源41、コリメートレンズ42及び視標チャート43を含む視標ユニットが光軸方向に移動されるものとする。
(S1:アライメント)
図示しない顔受け部に被検者の顔が固定された状態で、検者が操作部180に対して所定の操作を行うことで、眼科装置1000は、光源41及び視標チャート43により固視標として輝点を被検眼Eに投射し、アライメントを実行する。
具体的には、主制御部111は、Zアライメント光源11やXYアライメント光源21や光源41を点灯させる。処理部9は、撮像素子59の撮像面上の前眼部像の撮像信号を取得し、表示部170に前眼部像を表示させる。その後、図1に示す光学系が被検眼Eの検査位置に移動される。検査位置とは、被検眼Eの検査を十分な精度内で行うことが可能な位置である。前述のアライメント(Zアライメント系1及びXYアライメント系2と前眼部観察系5とによるアライメント)を介して被検眼Eが検査位置に配置される。光学系の移動は、ユーザによる操作若しくは指示又は制御部110による指示にしたがって、制御部110によって実行される。すなわち、被検眼Eの検査位置への光学系の移動と、他覚測定を行うための準備とが行われる。
また、主制御部111は、レフ測定光源61と、合焦レンズ74と、上記の視標ユニットをそれぞれの光軸に沿って原点の位置(例えば、0Dに相当する位置)に移動させる。
(S2:ケラト測定)
主制御部111は、光源41及び視標チャート43により固視標を被検眼Eに呈示させ、ケラト測定を実行させる。
すなわち、主制御部111は、ケラトリング光源を点灯させる。ケラトリング光源から光が出力されると、被検眼Eの角膜に角膜形状測定用のリング状光束が投射される。解析部121は、撮像素子59によって取得された像に対して演算処理を施すことにより、角膜曲率半径を算出し、算出された角膜曲率半径から角膜屈折力、角膜乱視度及び角膜乱視軸角度を算出する。制御部110では、算出された角膜屈折力などが記憶部112に記憶される。主制御部111からの指示、又は操作部180に対するユーザの操作若しくは指示により、眼科装置1000の動作はステップS3に移行する。
(S3:レフ測定)
主制御部111は、光源41及び視標チャート43を制御することにより固視標を被検眼Eに呈示させ、レフ測定を実行させる。
レフ測定では、主制御部111は、前述のようにレフ測定のためのリング状の測定パターン光束を被検眼Eに投射させる。被検眼Eからの測定パターン光束の戻り光に基づくリング像が撮像素子59の撮像面に結像される。主制御部111は、撮像素子59により検出された眼底Efからの戻り光に基づくリング像を取得できたか否かを判定する。例えば、主制御部111は、撮像素子59により検出された戻り光に基づく像のエッジの位置(画素)を検出し、像の幅(外径と内径との差)が所定値以上であるか否かを判定する。或いは、主制御部111は、所定の高さ(リング径)以上の点(像)に基づいてリングを形成できるか否かを判定することにより、リング像を取得できたか否かを判定してもよい。
リング像を取得できたと判定されたとき、解析部121は、被検眼Eに投射された測定パターン光束の戻り光に基づくリング像を公知の手法で解析し、仮の球面度数及び乱視度数を求める。主制御部111は、仮の球面度数及び乱視度数に基づき、レフ測定光源61、合焦レンズ74、及び視標ユニットを等価球面度数(S+C/2)の位置(仮の遠点に相当する位置)へ移動させる。主制御部111は、その位置から視標ユニットを更に雲霧位置に移動させた後、本測定としてレフ測定投射系6及びレフ測定受光系7を制御することによりリング像を再び取得させる。主制御部111は、前述と同様に得られたリング像の解析結果と合焦レンズ74の移動量から球面度数、乱視度数及び乱視軸角度を解析部121に算出させる。
また、解析部121は、求められた球面度数及び乱視度Cから被検眼Eの遠点に相当する位置(本測定により得られた遠点に相当する位置)を求める。主制御部111は、求められた遠点に相当する位置に視標ユニットを移動させる。制御部110では、合焦レンズ74の位置や算出された球面度数などが記憶部112に記憶される。主制御部111からの指示、又は操作部180に対するユーザの操作若しくは指示により、眼科装置1000の動作はステップS4に移行する。
リング像を取得できないと判定されたとき、主制御部111は、強度屈折異常眼である可能性を考慮して、レフ測定光源61及び合焦レンズ74をあらかじめ設定したステップでマイナス度数側(例えば−10D)、プラス度数側(例えば+10D)へ移動させる。主制御部111は、レフ測定受光系7を制御することにより各位置でリング像を検出させる。それでもリング像を取得できないと判定されたとき、主制御部111は、所定の測定エラー処理を実行する。このとき、眼科装置1000の動作はステップS4に移行してもよい。制御部110では、レフ測定結果が得られなかったことを示す情報が記憶部112に記憶される。
(S4:自覚測定)
制御部110は、例えば、操作部180に対するユーザの指示に基づき、視標チャート43を制御することにより所望の視標を表示させる。また、制御部110は、他覚測定の結果に応じた位置に視標ユニットを移動する。制御部110は、操作部180に対するユーザの指示に応じた位置に視標ユニットを移動させてもよい。
被検者は、眼底Efに投射された視標に対する応答を行う。例えば、視力測定用の視標の場合には、被検者の応答により被検眼の視力値が決定される。視標の選択とそれに対する被検者の応答が、検者又は制御部110の判断により繰り返し行われる。検者又は制御部110は、被検者からの応答に基づいて視力値或いは処方値(S、C、A)を決定し、眼科装置1000の動作は終了する(エンド)。
以上説明したように、眼底共役位置Pにレフ測定光源61を配置し、且つ瞳孔共役位置Qにリング絞り65を配置し、瞳孔共役位置Qの近傍に円錐プリズム63を配置するようにしたので、眼底Efに細く輝度の高い(内径と外径の幅が狭い)リング状の測定パターン光束を投射することができるようになる。従って、被検眼Eに入射する測定パターン光束の光量を小さくすることができ、被検者の負担を軽減しつつ、信頼性の高い眼屈折力値を取得することができるようになる。また、瞳孔にも細いリング状光束を入射することができるため、睫毛や白内障に起因した水晶体の混濁部分で入射光束の一部が遮られた場合においても測定エラーや測定値のバラツキの発生を抑えることができるようになる。
実施形態に係る眼科装置1000の光学系の構成は図1に示す構成に限定されるものではない。
図7に、実施形態の変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図7において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
変形例に係る眼科装置1000aの構成が眼科装置1000の構成と異なる点は、レフ測定投射系6に代えてレフ測定投射系6aが設けられている点である。レフ測定投射系6aの構成がレフ測定投射系6の構成と異なる点は、円錐プリズム63及びフィールドレンズ64に代えてリングレンズ69が設けられている点である。リングレンズ69は、遮光領域として形成された中心領域と、当該中心領域の周囲にリング状に形成されたレンズ部とを含む。リングレンズ69に入射した光束は、リング状光束として出射する。
本変形例において、リングレンズ69は、レフ測定投射系6aの大型化を回避しつつ、瞳孔共役位置Qに可能な限り近い位置に配置されることが望ましい。
図8に、リングレンズ69の断面図を模式的に示す。例えば、図8に示すように、リングレンズ69の被検眼Eの側のレンズ面にリング絞り65が貼り付けられている。この場合、例えば、リングレンズ69のレンズ面には、リング状の透光部が形成されるように遮光膜が蒸着される。
本変形例に係る眼科装置1000aの動作は実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
本変形例においても、実施形態と同様に、被検眼Eに入射する測定パターン光束の光量を小さくすることができ、被検者の負担を軽減しつつ、信頼性の高い眼屈折力値を取得することができるようになる。また、瞳孔にも細いリング状光束を入射することができるため、睫毛や白内障に起因した水晶体の混濁部分で入射光束の一部が遮られた場合においても測定エラーや測定値のバラツキの発生を抑えることができるようになる。
[作用・効果]
実施形態又は変形例に係る眼科装置の作用及び効果について説明する。
実施形態に係る眼科装置(1000、1000a)は、被検眼Eの眼屈折力を測定する。眼科装置は、投射系(レフ測定投射系6、6a)と、受光系(レフ測定受光系7)と、解析部(121)と、を含む。投射系は、被検眼の眼底(Ef)と光学的に略共役な位置(眼底共役位置P)に配置された光源(レフ測定光源61)からの光を被検眼に投射する。受光系は、投射系により投射された光の眼底からの戻り光を受光する。解析部は、受光系による戻り光の受光結果に基づいて被検眼の眼屈折力値を求める。投射系は、記被検眼の瞳孔と光学的に略共役な位置(瞳孔共役位置Q)に配置され、所定のパターン状の透光部が形成された絞り(リング絞り65)と、光源からの光を偏向して透光部に導く偏向部材(円錐プリズム63、リングレンズ69)と、を含み、透光部を透過した光を被検眼に投射する。
このような構成によれば、眼底に輝度が高く細い(内径と外径との幅が狭い)測定パターン光束を投射することができるようになるので、被検眼に入射する測定パターン光束の光量を小さくすることができ、被検者の負担を軽減しつつ、信頼性の高い眼屈折力値を取得することができるようになる。また、瞳孔にも細い測状パターン光束を入射することができるため、睫毛や白内障に起因した水晶体の混濁部分で入射光束の一部が遮られた場合でも測定エラーや測定値のバラツキの発生を抑えることができるようになる。
また、実施形態に係る眼科装置では、投射系は、偏向部材と絞りとの間に配置されたフィールドレンズ(64)を含んでもよい。
このような構成によれば、フィールドレンズを配置することにより投射系における光学的な距離を短くすることができるので、眼科装置に含まれる光学系(特に、投射系)のサイズの小型化に寄与することができるようになる。
また、実施形態に係る眼科装置では、フィールドレンズのレンズ面に絞りが貼り付けられていてもよい。
このような構成によれば、構造が簡略化され、眼科装置に含まれる光学系(特に、投射系)のサイズのより一層の小型化に寄与することができるようになる。
また、実施形態に係る眼科装置では、偏向部材における偏向された光の出射面に絞りが貼り付けられていてもよい。
このような構成によれば、構造が簡略化され、眼科装置に含まれる光学系(特に、投射系)のサイズのより一層の小型化に寄与することができるようになる。
また、実施形態に係る眼科装置では、絞りは、透光部がリング状に形成されたリング絞り(65)であってよい。
このような構成によれば、眼底に輝度が高く、細い(内径と外径との幅が狭い)リング状光束を投射することができるようになるので、被検眼に入射するリング状光束の光量を小さくすることができ、被検者の負担を軽減しつつ、信頼性の高い眼屈折力値を取得することができるようになる。また、瞳孔にも細いリング状光束を入射することができるため、睫毛や白内障に起因した水晶体の混濁部分で入射光束が部分的に遮られる場合であっても測定エラーや測定値のバラツキの発生を抑えることができるようになる。
また、実施形態に係る眼科装置では、偏向部材は、円錐面(63a)に入射した光源からの光を偏向し底面(63b)から出射する円錐プリズム(63)を含んでもよい。
このような構成によれば、被検者の負担を軽減しつつ、信頼性の高い眼屈折力値を取得する眼科装置の低コスト化や小型化を図ることができるようになる。
また、実施形態に係る眼科装置では、偏向部材は、リングレンズ(69)を含んでもよい。
このような構成によれば、被検者の負担を軽減しつつ、信頼性の高い眼屈折力値を取得する眼科装置の低コスト化や小型化を図ることができるようになる。
<変形例>
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
前述の実施形態では、視標チャート43として透過型の液晶パネルを用いた場合について説明したが、実施形態に係る眼科装置の構成はこれに限定されるものではない。視標チャート43は、光学式チャートであってもよい。
1 Zアライメント系
2 XYアライメント系
3 ケラト測定系
4 視標投影系
5 前眼部観察系
6、6a レフ測定投射系
7 レフ測定受光系
9 処理部
63 円錐プリズム
64 フィールドレンズ
65 リング絞り
69 リングレンズ
110 制御部
111 主制御部
121 解析部
1000、1000a 眼科装置

Claims (7)

  1. 被検眼の眼屈折力を測定する眼科装置であって、
    前記被検眼の眼底と光学的に略共役な位置に配置された光源からの光を前記被検眼に投射する投射系と、
    前記投射系により投射された光の前記眼底からの戻り光を受光する受光系と、
    前記受光系による前記戻り光の受光結果に基づいて前記被検眼の眼屈折力値を求める解析部と、
    を含み、
    前記投射系は、
    前記被検眼の瞳孔と光学的に略共役な位置に配置され、所定のパターン状の透光部が形成された絞りと、
    前記光源からの光を偏向して前記透光部に導く偏向部材と、
    を含み、前記透光部を透過した光を前記被検眼に投射する、
    眼科装置。
  2. 前記投射系は、前記偏向部材と前記絞りとの間に配置されたフィールドレンズを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
  3. 前記フィールドレンズのレンズ面に前記絞りが貼り付けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
  4. 前記偏向部材における前記偏向された光の出射面に前記絞りが貼り付けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
  5. 前記絞りは、前記透光部がリング状に形成されたリング絞りである
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の眼科装置。
  6. 前記偏向部材は、円錐面に入射した前記光源からの光を偏向し底面から出射する円錐プリズムを含む
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の眼科装置。
  7. 前記偏向部材は、リングレンズを含む
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の眼科装置。
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