JP6479953B2 - 電子デバイス、および電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物 - Google Patents

電子デバイス、および電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、電子デバイス、および、その電子デバイスにおける、電気絶縁膜、半導体膜、誘電体膜といった機能膜の形成材料として用いられる、電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物に関するものである。
各種の電子デバイスを構成する、電気絶縁膜、半導体膜、誘電体膜といった機能膜は、例えば、その形成材料である無機粒子が分散された塗布液をコーティングした後、その塗膜を加熱により焼結させることにより、形成することが可能である。上記塗布液においては、無機粒子や溶媒の他、塗布液の安定性、塗布環境の制御等の観点から、通常、バインダーが添加される。
しかしながら、無機粒子を含有する塗布液中にバインダーを添加すると、無機粒子が凝集しやすくなる。このような無機粒子の凝集は、塗膜の均一性の悪化を引き起し、それに起因し、強度、絶縁性、導電性、熱伝導性等といった皮膜性能の悪化を生じる。したがって、上記塗布液には、液中の無機粒子が充分な分散性(均一分散性)を示すことが求められている。また、長期にわたって安定に保存できるように、その均一分散性を長期間維持することも求められている。
これらの課題を解決する手段として、従来では、例えば、無機粒子に表面処理を施す方法(特許文献1参照)や、分散剤を添加する方法(特許文献2,3参照)等が提案されている。
特開2007−84374号公報 特開平5−120921号公報 特開2006−73300号公報
しかしながら、上記無機粒子に表面処理を施す方法では、求められる性能を保持したまま、無機粒子の凝集が完全に抑制されるレベルまで表面処理を行なうことは非常に困難である。また、上記分散剤を添加する方法では、無機粒子が小さいほどその表面積が増大するため、無機粒子を充分に安定化させるためには大量の分散剤が必要になる。しかし、塗布液に大量の分散剤を配合すると、形成した皮膜にも分散剤が残存するため、強度、絶縁性、導電性、熱伝導性等の皮膜性能の悪化が生じるといった問題がある。
また、前記機能膜形成用の塗布液を、例えばスプレー法によってコーティングする場合において、大量に吹き付けた際、液だれが生じやすく塗膜厚が不均一になるといった問題もある。これを解決するため、従来では少量ずつ吹き付ける方法がとられていたが、この方法では生産性の点で劣る。また、単に塗布液の粘度を高めて液だれを防止するといった手法では、スプレー性に支障をきたすおそれもある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、電気絶縁膜,半導体膜,誘電体膜といった機能膜を備え、その皮膜が均一で良好な皮膜性能を有する電子デバイス、および上記機能膜の形成材料として用いられ、無機粒子の均一分散性に優れ、保存安定性に優れるとともに、スプレー性、液だれ防止性に優れる、電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、無機基材上に、電気絶縁膜,半導体膜または誘電体膜である無機粒子含有機能膜と、電極層とが形成されてなる電子デバイスであって、上記無機基材上の一部もしくは全面に、上記無機粒子含有機能膜として、下記の(α)に示す無機粒子含有機能膜形成用組成物の焼結膜を備えている電子デバイスを第1の要旨とする。
(α)下記の(A)〜(C)成分を含有する無機粒子含有機能膜形成用組成物。
(A)ホウ素、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ニオブ、テルル、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、リン、およびビスマスからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む無機粒子であって、その平均粒径が100nm〜30μmである無機粒子。
(B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基、アルデヒド基,およびケトン基のいずれかに酸化変性されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるとともに、そのセルロースの非晶領域量が10〜25%である、セルロース繊維。
(C)極性溶媒。
また、本発明は、アルミニウム箔からなる基材上に半導体膜と電極層とが形成されてなる、太陽光発電機能を有する電子デバイスであって、上記基材の少なくとも一方の面に、上記半導体膜として、下記の(α)に示す無機粒子含有機能膜形成用組成物の焼結膜に不純物がドープされP型及びN型の半導体部分を有する半導体膜を備えている電子デバイスを第2の要旨とする。
(α)下記の(A)〜(C)成分を含有する無機粒子含有機能膜形成用組成物。
(A)ホウ素、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ニオブ、テルル、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、リン、およびビスマスからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む無機粒子であって、その平均粒径が100nm〜30μmである無機粒子。
(B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基、アルデヒド基,およびケトン基のいずれかに酸化変性されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるとともに、そのセルロースの非晶領域量が10〜25%である、セルロース繊維。
(C)極性溶媒。
また、本発明は、上記第1の要旨または第2の要旨の電子デバイスにおける、電気絶縁膜,半導体膜または誘電体膜の形成材料である、電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物であって、下記の(A)〜(C)成分を含有する電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物を第3の要旨とする。
(A)ホウ素、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ニオブ、テルル、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、リン、およびビスマスからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む無機粒子であって、その平均粒径が100nm〜30μmである無機粒子。
(B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基、アルデヒド基,およびケトン基のいずれかに酸化変性されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるとともに、そのセルロースの非晶領域量が10〜25%である、セルロース繊維。
(C)極性溶媒。
すなわち、本発明者らは、無機粒子の均一分散性に優れ、保存安定性に優れるとともに、スプレー性、液だれ防止性に優れる塗布液を得るため、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基、アルデヒド基,およびケトン基のいずれかに酸化変性されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるとともに、そのセルロースの非晶領域量が10〜25%である、微細なセルロース繊維(B)に着目した。そして、要求する皮膜性能に応じ、特定元素を含む、特定粒径の無機粒子(A)を用い、その無機粒子(A)と、上記特殊なセルロース繊維(B)とを組み合わせて、極性溶媒(C)に希釈し、機能膜形成用組成物(塗布液)を調製したところ、上記特殊なセルロース繊維(B)がバインダーとして機能するとともに、無機粒子(A)の凝集が抑制されて均一に分散するようになり、コーティングした際の塗膜の均一性に優れるようになることから、無機粒子(A)の特性に従い、強度、絶縁性、導電性、熱伝導性等といった皮膜性能が良好に得られるようになることを突き止めた。また、上記組成物は、長期保存しても粘度低下が殆どなく、保存安定性に優れるようになり、しかも、静置状態では高い粘性を示すが、せん断力を加えると粘性が低下するようになることから、スプレー性と液だれ防止性との双方が両立するようになり、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。なお、上記特殊なセルロース繊維(B)は、特に、非晶領域を特定量有するとともに、アルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であり、この点が、本出願人が予てから使用してきたセルロース繊維(例えば、特願2012−127293号参照)と異なるのであるが、本発明者らは、今回の研究の結果、上記のように非晶領域を特定量有するセルロース繊維(B)を用いることにより、従来では得ることのできなかった、極性溶媒(C)に対する優れた分散性を持ち、無機粒子(A)の高い分散安定性が顕著に得られるようになることを突き止めたことから、本発明の電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物では、特願2012−127293号に記載の発明に対して、主に、この点における改良が見込まれるものとなる。
このように、本発明の電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物は、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基、アルデヒド基,およびケトン基のいずれかに酸化変性されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるとともに、そのセルロースの非晶領域量が10〜25%である、微細なセルロース繊維(B)を、要求する皮膜性能に応じて選定された特定元素を含む特定粒径の無機粒子(A)とともに含有し、これらが極性溶媒(C)に希釈されてなるものである。本発明の電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物においては、上記セルロース繊維が無機粒子を安定に担持するため、界面活性剤等の分散剤を使用することなく、上記無機粒子の凝集を抑制することができ、上記無機粒子が均一に分散するようになる。また、本発明の電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物は、コーティングした際の塗膜の均一性が高いことから、無機粒子の特性に従って、強度、絶縁性、導電性、熱伝導性等といった皮膜性能を良好に得ることができる。よって、上記組成物からなる皮膜は、電気絶縁膜、半導体膜、誘電体膜といった機能膜として優れた性能を発揮することができる。さらに、本発明の電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物は、上記無機粒子の均一分散状態を長期間保持することができ、長期保存しても粘度低下が殆どないことから、保存安定性に優れ、しかも、スプレー性と液だれ防止性との双方が良好であることから、スプレー法によって大量に吹き付けても液だれが少なく、優れた作業性が得られるようになる。
したがって、無機基材上に、電気絶縁膜,半導体膜または誘電体膜である無機粒子含有機能膜と電極層とが形成されてなる電子デバイスや、アルミニウム箔からなる基材上に半導体膜と電極層とが形成されてなる、太陽光発電機能を有する電子デバイスにおいて、その無機粒子含有機能膜や半導体膜を、本発明の電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物を塗布して焼結させることにより形成すると、優れた作業性で、均一な無機粒子含有機能膜や半導体膜を形成することができ、それによって優れた電子デバイスを製造することができる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物(以下、「機能膜形成用組成物」と略記する。)は、下記の(A)〜(C)成分を用いて得ることができる。
(A)ホウ素、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、テルル、銅、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、リン、ガリウム、インジウム、スズ、鉛およびビスマスからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む無機粒子であって、その平均粒径が100nm〜30μmである無機粒子。
(B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基、アルデヒド基,およびケトン基のいずれかに酸化変性されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるとともに、そのセルロースの非晶領域量が10〜25%である、セルロース繊維。
(C)極性溶媒。
《無機粒子(A)》
上記無機粒子(A)は、平均粒径が100nm〜30μmの範囲であることが必要であり、好ましくは0.3〜15μm、特に好ましくは0.5〜8μmである。すなわち、平均粒径が小さすぎると、分散に必要なセルロース繊維が多く必要となり、焼結の際の緻密性が悪くなり、逆に、平均粒径が大きすぎると、無機粒子の種類に応じた機能発現性が悪くなるからである。
なお、上記平均粒径は、例えば、レーザー回折・光散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
そして、上記無機粒子(A)としては、機能膜形成用途の観点から、ホウ素(B)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、テルル(Te)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)およびビスマス(Bi)からなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む無機粒子が用いられる。
また、上記無機粒子(A)は、加熱により酸化された無機粒子や、加熱によりガラス化された無機粒子であってもよく、それらの混合粒子であってもよい。なお、上記無機粒子(A)が、加熱により酸化された無機粒子であると、焼結の際の反応性に富み、低温で焼結し易くなるなどの観点から優れており、上記無機粒子(A)が、加熱によりガラス化された無機粒子であると、機能膜としての緻密性、密閉性に優れた膜が形成されるため、電気絶縁性の観点から優れている。
上記無機粒子(A)の含有量は、均一分散性、皮膜性能の点から、機能膜形成用組成物全体の0.01〜90重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは0.1〜70重量%の範囲である。
《セルロース繊維(B)》
上記セルロース繊維(B)としては、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基、アルデヒド基,およびケトン基のいずれかに酸化変性されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるとともに、そのセルロースの非晶領域量が10〜25%である、微細なセルロース繊維が用いられる。上記セルロース繊維において、その非晶領域量は、好ましくは15〜20%である。そして、この非晶領域は、例えば、原料セルロースを限定することや、反応前処理である粉砕条件を限定することにより形成することができる。通常、天然由来のセルロース固体原料は、そのままでは、I型結晶構造を100%〜50%有する。またこれまでの調製方法では非晶領域量を10%〜25%の範囲内にコントロールできなかったが、本発明においては、例えば上記手法にもとづき、上記特定範囲内の非晶領域量を設けたセルロース繊維が用いられる。
上記非晶領域量は、構造全体から結晶性部分を引いた値として求められる。セルロースの結晶化度はX線回折法などにより測定することができる。すなわち、セルロースにおけるX線回折スペクトルを測定した時、そのピーク強度IおよびIaに基づき、下記の式(1)により、結晶化度を算出することができる。よって、セルロースの非晶領域量は、下記の式(2)により算出することができる。
結晶化度(%)=(I−Ia)/I×100 ……(1)
I:2θ=14.60°のピーク強度
Ia:2θ=12°と18°の強度を結んだ直線と2θ=14.60°の強度から真 直ぐ下ろした直線が交わる点の強度(非晶領域のピーク強度)
非晶領域量(%)=100−(I−Ia)/I×100 ……(2)
また、上記特定のセルロース繊維(B成分)の数平均繊維径は、2〜150nmであり、分散安定性の点から、好ましくは数平均繊維径が2〜100nmであり、特に好ましくは3〜80nmである。すなわち、上記数平均繊維径が上記範囲未満であると、本質的に分散媒体に溶解してしまい、逆に上記数平均繊維径が上記範囲を超えると、セルロース繊維が沈降してしまい、セルロース繊維を配合することによる機能性を発現することができないからである。また、上記セルロース繊維の最大繊維径は、1000nm以下であることが好ましく、特に好ましくは500nm以下である。すなわち、上記セルロース繊維の最大繊維径が上記範囲を超えると、セルロース繊維が沈降してしまい、セルロース繊維を配合することによる機能性を発現することができないからである。
上記特定のセルロース繊維(B成分)の数平均繊維径・最大繊維径は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、固形分率で0.05〜0.1重量%の微細セルロースの水分散体を調製し、その分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径のデータにより、最大繊維径および数平均繊維径を算出する。
そして、上記特定のセルロース繊維(B成分)は、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなったものであり、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/gである。好ましくは、1.5〜2.0mmol/gの範囲のカルボキシル基含量である。このようにカルボキシル基の含量を特定範囲内に設定することにより、本発明の機能膜形成用組成物において、従来以上の、高い保存安定性、液だれ防止性等を得ることができる。なお、上記カルボキシル基量が上記範囲未満であると、上記のような本発明の効果が充分に得られず、さらにセルロース繊維の沈降や凝集を生じる場合もあり、逆に上記カルボキシル基量が上記範囲を超えると、水溶性が強くなり過ぎるおそれがある。
上記特定のセルロース繊維(B成分)のカルボキシル基量の測定は、例えば、乾燥重量を精秤したセルロース試料から0.5〜1重量%スラリーを60ml調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記の式(3)に従いカルボキシル基量を求めることができる。
カルボキシル基量(mmol/g)=V(ml)×〔0.05/セルロース重量〕 ……(3)
なお、カルボキシル基量の調整は、後述するように、セルロース繊維の酸化工程で用いる共酸化剤の添加量や反応時間を制御することにより行うことができる。
また、上記特定のセルロース繊維(B成分)は、前記酸化変性後、還元剤により還元させることが好ましい。これにより、アルデヒド基およびケトン基の一部ないし全部は還元され、水酸基に戻る。なお、カルボキシル基は還元されない。そして、上記還元により、上記特定のセルロース繊維(B成分)の、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量を、0.3mmol/g未満とすることが好ましく、より好ましくは0〜0.1mmol/gの範囲であり、さらに好ましくは実質的に0mmol/gである。これにより、単に酸化変性させたものよりも、増粘性、分散安定性が増し、特に気温等に左右されず長期にわたり分散安定性に優れるようになる。また、上記のように、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるセルロース繊維を、上記(B)成分のセルロース繊維として本発明の機能膜形成用組成物に用いると、長期保存による凝集物の発生をより抑えることができる。なお、アルデヒド基とケトン基の合計が0.3mmol/g以上であると、長期保存による凝集物の発生や、機能膜形成用組成物の粘度が時間経過と共に著しく低下するといったおそれがある。
そして、上記特定のセルロース繊維(B成分)が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)等のN−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであり、上記酸化反応により生じたアルデヒド基およびケトン基が、還元剤により還元されたものであると、上記特定のセルロース繊維を容易に得ることができるようになり、機能膜形成用組成物として、より良好な結果を得ることができるようになるため、好ましい。また、上記還元剤による還元が、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)によるものであると、上記観点から、より好ましい。
ところで、セミカルバジド法による、アルデヒド基とケトン基との合計含量の測定は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、まず、乾燥させた試料に、リン酸緩衝液によりpH=5に調整したセミカルバジド塩酸塩3g/l水溶液を正確に50ml加え、密栓し、二日間振とうする。ついで、この溶液10mlを正確に100mlビーカーに採取し、5N硫酸を25ml、0.05Nヨウ素酸カリウム水溶液5mlを加え、10分間撹拌する。その後、5%ヨウ化カリウム水溶液10mlを加えて、直ちに自動滴定装置を用いて、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液にて滴定し、その滴定量等から、下記の式(4)に従い、試料中のカルボニル基量(アルデヒド基とケトン基との合計含量)を求めることができる。なお、セミカルバジドは、アルデヒド基やケトン基と反応しシッフ塩基(イミン)を形成するが、カルボキシル基とは反応しないことから、上記測定により、アルデヒド基とケトン基のみを定量できると考えられる。
カルボニル基量(mmol/g)=(D−B)×f×〔0.125/w〕 ……(4)
D:サンプルの滴定量(ml)
B:空試験の滴定量(ml)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター(−)
w:試料量(g)
本発明における上記特定のセルロース繊維(B成分)は、繊維表面上のセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなっている。このセルロース繊維表面上のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されているかどうかは、例えば、13C−NMRチャートにより確認することができる。すなわち、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりにカルボキシル基等に由来するピーク(178ppmのピークはカルボキシル基に由来するピーク)が現れる。このようにして、グルコース単位のC6位水酸基が選択的にカルボキシル基等に酸化されていることを確認することができる。
また、上記特定のセルロース繊維(B成分)におけるアルデヒド基の検出は、例えば、フェーリング試薬により行うこともできる。すなわち、例えば、乾燥させた試料に、フェーリング試薬(酒石酸ナトリウムカリウムと水酸化ナトリウムとの混合溶液と、硫酸銅五水和物水溶液)を加えた後、80℃で1時間加熱したとき、上澄みが青色、セルロース繊維部分が紺色を呈するものは、アルデヒド基は検出されなかったと判断することができ、上澄みが黄色、セルロース繊維部分が赤色を呈するものは、アルデヒド基は検出されたと判断することができる。
上記特定のセルロース繊維(B成分)は、例えば、(1)酸化反応工程、(2)還元工程、(3)精製工程、(4)分散工程(微細化処理工程)等を行うことにより得ることができる。以下、各工程を順に説明する。
(1)酸化反応工程
天然セルロースと、N−オキシル化合物とを水(分散媒体)に分散させた後、共酸化剤を添加して、反応を開始する。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10〜11に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なす。ここで、共酸化剤とは、直接的にセルロース水酸基を酸化する物質ではなく、酸化触媒として用いられるN−オキシル化合物を酸化する物質のことである。
上記天然セルロースは、植物,動物,バクテリア産生ゲル等のセルロースの生合成系から単離した精製セルロースを意味する。より具体的には、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター,コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ,バガスパルプ等の非木材系パルプ、バクテリアセルロース(BC)、ホヤから単離されるセルロース、海草から単離されるセルロース等をあげることができる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ,バガスパルプ等の非木材系パルプが好ましい。上記天然セルロースは、叩解等の表面積を高める処理を施すと、反応効率を高めることができ、生産性を高めることができるため好ましい。また、上記天然セルロースとして、単離、精製の後、乾燥させない(ネバードライ)で保存していたものを使用すると、ミクロフィブリルの集束体が膨潤しやすい状態であるため、反応効率を高め、微細化処理後の数平均繊維径を小さくすることができるため好ましい。
上記反応における天然セルロースの分散媒体は水であり、反応水溶液中の天然セルロース濃度は、試薬(天然セルロース)の充分な拡散が可能な濃度であれば任意である。通常は、反応水溶液の重量に対して約5%以下であるが、機械的撹拌力の強い装置を使用することにより反応濃度を上げることができる。
また、上記N−オキシル化合物としては、例えば、一般に酸化触媒として用いられるニトロキシラジカルを有する化合物があげられる。上記N−オキシル化合物は、水溶性の化合物が好ましく、なかでもピペリジンニトロキシオキシラジカルが好ましく、特に2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)または4−アセトアミド−TEMPOが好ましい。上記N−オキシル化合物の添加は、触媒量で充分であり、好ましくは0.1〜4mmol/l、さらに好ましくは0.2〜2mmol/lの範囲で反応水溶液に添加する。
上記共酸化剤としては、例えば、次亜ハロゲン酸またはその塩、亜ハロゲン酸またはその塩、過ハロゲン酸またはその塩、過酸化水素、過有機酸等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なかでも、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好ましい。そして、上記次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属の存在下で反応を進めることが、反応速度の点において好ましい。上記臭化アルカリ金属の添加量は、上記N−オキシル化合物に対して約1〜40倍モル量、好ましくは約10〜20倍モル量である。
上記反応水溶液のpHは約8〜11の範囲で維持されることが好ましい。水溶液の温度は約4〜40℃において任意であるが、反応は室温(25℃)で行うことが可能であり、特に温度の制御は必要としない。
目的とするカルボキシル基量等を得るために、酸化の程度を共酸化剤の添加量と反応時間により制御する。通常、反応時間は約5〜120分、長くとも240分以内に完了する。
(2)還元工程
前記特定のセルロース繊維(B成分)は、上記酸化反応後、更に還元反応を行うことが好ましい。具体的には、酸化反応後の微細酸化セルロースを精製水に分散し、水分散体のpHを約10に調整し、各種還元剤により還元反応を行う。本発明に使用する還元剤としては、一般的なものを使用することが可能であるが、好ましくは、LiBH4、NaBH3CN、NaBH4があげられる。なかでも、NaBH4は、コスト及び利用可能性という観点から特に好ましい。
微細酸化セルロースを基準として、還元剤の量は、0.1〜4重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜3重量%の範囲内である。反応条件は室温または室温より若干高い温度で、10分〜10時間、好ましくは30分〜2時間行なわれる。
上記の反応終了後、各種の酸により反応混合物のpHを約2に調整し、精製水をふりかけながら遠心分離機で固液分離を行い、ケーキ状の微細酸化セルロースを得る。固液分離は濾液の電気伝導度が5mS/m以下となるまで行う。
(3)精製工程
つぎに、未反応の共酸化剤(次亜塩素酸等)や、各種副生成物等を除く目的で精製を行う。反応物繊維は通常、この段階ではナノファイバー単位までばらばらに分散しているわけではないため、通常の精製法、すなわち水洗とろ過を繰り返すことで高純度(99重量%以上)の反応物繊維と水の分散体とする。
上記精製工程における精製方法は、遠心脱水を利用する方法(例えば、連続式デカンダー)のように、上述した目的を達成できる装置であればどのような装置を利用しても構わない。こうして得られる反応物繊維の水分散体は、絞った状態で固形分(セルロース)濃度としておよそ10重量%〜50重量%の範囲にある。この後の分散工程を考慮すると、50重量%よりも高い固形分濃度とすると、分散に極めて高いエネルギーが必要となることから好ましくない。
(4)分散工程(微細化処理工程)
上記精製工程にて得られる水を含浸した反応物繊維(水分散体)を、分散媒体中に分散させ分散処理を行う。処理に伴って粘度が上昇し、微細化処理されたセルロース繊維の分散体を得ることができる。その後、上記セルロース繊維の分散体を乾燥することによって、特定のセルロース繊維(B成分)を得ることができる。なお、上記セルロース繊維の分散体を乾燥することなく、分散体の状態で機能膜形成用組成物に用いても差し支えない。
そして、上記のようにして得られた特定のセルロース繊維(B成分)の分散媒体には、水や、水と有機溶媒の混合溶液が用いられる。
上記分散工程で使用する分散機としては、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散処理、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダー等の強力で叩解能力のある装置を使用することにより、より効率的かつ高度なダウンサイジングが可能となり、経済的に有利に機能膜形成用組成物を得ることができる点で好ましい。なお、上記分散機としては、例えば、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサー等を用いても差し支えない。
上記セルロース繊維の分散体の乾燥法としては、例えば、分散媒体が水である場合は、スプレードライ,凍結乾燥法等が用いられ、分散媒体が水と有機溶媒の混合溶液である場合は、ドラムドライヤーによる乾燥法,スプレードライヤーによる噴霧乾燥法等が用いられる。
以上のようにして得られたセルロース繊維(B成分)をバインダーとし、本発明の機能膜形成用組成物は調製される。そして、本発明の機能膜形成用組成物において、より一層、保存安定性、スプレー性、液だれ防止性に優れるようになる観点から、上記セルロース繊維(B成分)の固形分の含有量が、前記無機粒子(A成分)の固形分100重量部に対して、0.1〜2重量部の範囲であることが好ましい。
そして、本発明の機能膜形成用組成物の分散媒としては、極性溶媒(C成分)が用いられる。上記極性溶媒は、プロトン性であっても非プロトン性であってもよいが、セルロース繊維(B成分)が有する水酸基およびカルボキシル基との親和性の観点から、好ましくは、誘電率が6F/m以上の極性溶媒が用いられる。このような極性溶媒としては、具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
ここで、本発明の機能膜形成用組成物の調製は、例えば、無機粒子(A成分)とともに、上記特定のセルロース繊維(B成分)を分散媒中に配合し、さらに必要に応じてその他の材料を配合した後、これらを混合処理等することにより行われる。
上記その他の材料としては、例えば、防腐剤、防菌剤、酸化防止剤、熱安定剤、界面活性剤、耐候剤、セルロース系材料(微粉砕セルロース、カルボキシメチルセルロース、多価カルボキシメチルセルロース、長鎖カルボキシセルロース、1級アミノセルロース、カチオン化セルロース、2級アミノセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロース、長鎖アルキルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース等)、水溶性ポリアクリル系樹脂(ポリアクリル酸、メタアクリル酸アルキルエステル等)、天然系水溶性ポリマー(キサンタンガム、デキストラン、プルラン、マンナン、ペクチン、植物性由来ガム類、寒天、アルギン酸、ヒアルロン酸、デンプン、ゼラチン等)、合成系水溶性ポリマー(カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン等)、ウレタン樹脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂などのポリマーエマルジョン等を配合しても差し支えない。
上記混合処理としては、例えば、真空ホモミキサー、ディスパー、プロペラミキサー、ニーダー等の各種混練器、ブレンダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ペブルミル、ビーズミル粉砕機、高圧ホモジナイザー(超高圧ホモジナイザー等)、等を用いた混合処理があげられる。
なお、本発明の機能膜形成用組成物の、B型粘度計(回転数2.5rpm)による20℃環境下での粘度は、10,000〜100,000mPa・sの範囲であることが好ましく、特に好ましくは40,000〜80,000mPa・sの範囲である。
本発明の機能膜形成用組成物は、ウェットコート方式、凸版印刷方式、フレクソ印刷方式、ドライオフセット印刷方式、グラビア印刷方式、グラビアオフセット印刷方式、オフセット印刷方式、スクリーン印刷方式、スプレー塗装方式、ダイコーター方式、インクジェット印刷方式、浸漬方式、刷毛塗り、バーコーター方式等により、機能膜形成に供されるものであり、その粘度の調整等により、上記各種の使用形態に適した態様をとることができる。さらに、本発明の機能膜形成用組成物は、無機粒子(A成分)の選択や配合割合等により、電気絶縁膜、半導体膜、誘電体膜といった各種の機能膜の形成用途に用いることができる。なお、上記機能膜の厚みは、その機能膜の使用用途により異なるが、通常、0.5μm〜100μm、好ましくは1.0〜25μmである。
つぎに、本発明の機能膜形成用組成物を用いた、電子デバイスの製法の一例について説明する。すなわち、まず、無機基材上の一部もしくは全面に、本発明の機能膜形成用組成物を塗布し、その塗膜を加熱により焼結させて、電気絶縁膜,半導体膜または誘電体膜である機能膜を形成し、その機能膜上の一部もしくは無機基材上に電極層を形成する。上記機能膜形成用組成物の塗布方法は、スプレー法、超音波スプレー法により行うことが好ましい。また、上記電極層の形成は、無機粒子含有機能膜上に金属層を形成し、その金属層にエッチング処理して配線パターンを形成することにより行うことが好ましい。なお、上記無機基材としては、金属基板、金属箔、コイルやインダクタ等の金属部材等があげられる。
そして、上記機能膜と電極層とを形成した後の無機基材には、さらに、半導体チップを実装するようにしてもよい。
なお、上記無機基材が、アルミニウム、銅、または鉄といった金属を主成分とするものであり、上記機能膜が、電気絶縁膜、半導体膜、または誘電体膜であるといった組合せの場合、電子デバイスの用途上、好ましい。このような電子デバイスとしては、例えば、LED素子、DC−DCコンバータ、オーディオアンプ、モーターインバータ等があげられる。
また、上記無機基材が、鉄を主成分とする磁性基材であり、上記機能膜が、ガラスからなる電気絶縁膜であるといった組合せの場合も、電子デバイスの用途上、好ましい。このような電子デバイスとしては、例えば、パワー用電源デバイス、インダクタ素子、チョークコイル、コモンモードフィルター等があげられる。
また、上記無機基材が、金属酸化物を主成分とするセラミック基材であり、上記機能膜が、ガラスからなる電気絶縁膜であるといった組合せの場合も、電子デバイスの用途上、好ましい。このような電子デバイスとしては、例えば、アレスタ素子、バリスタ素子、インダクタ素子、チョークコイル、コモンモードフィルター等があげられる。
ここで、酸化亜鉛バリスタからなるセラミックアレスタ素子(避雷器)は、酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化アンチモンなどの添加物を加えて空気中で焼結させると、n型半導体である酸化亜鉛からなるグレイン(粒子)と、酸化ビスマスを主成分とする液相の粒界(バウンダリー)から構成される多結晶体のセラミックスが得られる。このセラミックス焼結体に電圧を印加すると、比較的抵抗が低い酸化亜鉛粒子間に存在する高い絶縁性の酸化ビスマス系粒界に電界が掛かり、一定電圧を超えるとトンネル効果により一気に低抵抗となる。この特性を利用して、電源ラインに並列に接続することで、電源に一定電圧以上の電圧が掛かると短絡する特性から、数百V以下の低電圧領域ではバリスタ素子とし、1千V以上では避雷器として利用されている。酸化亜鉛バリスタをアレスタ(避雷器)として利用する場合、常に電源電圧が印加された状態となり、大気中の水分や不純物により焼結体の縁面が低抵抗となり沿面で放電が起こると、漏れ電流として損失となる。また一定電流以上の漏れ電流が発生すると、それを起点として絶縁破壊に至るケースが生じる場合がある。そのためアレスタ素子の縁面に高い絶縁抵抗を有するガラス層を塗布焼成し、漏れ電流の発生を抑制している。しかしこの縁面のガラス絶縁層は刷毛塗りで行うため、均一とはならず絶縁性にばらつきを有している。一方で均一に塗布する目的でスプレー法が検討されたが、スプレー液の沈降により塗布できなくなる場合や、塗布してもダレが生じて均一な絶縁機能膜にはならない場合が多発した。そのため、上記セラミックアレスタ素子の絶縁機能膜材料として、本発明の機能膜形成用組成物が有効となる。
また、アルミニウム箔からなる基材上に半導体膜と電極層とが形成されてなる、太陽光発電機能を有する電子デバイスの製法においても、本発明の機能膜形成用組成物を用いることができる。すなわち、上記基材の少なくとも一方の面に、本発明の機能膜形成用組成物であって、その無機粒子の主成分をケイ素とするものを塗布した後、その塗膜を加熱により焼結させて半導体膜を形成し、さらにその半導体膜に不純物をドープさせてP型及びN型の半導体部分を形成し、上記P型及びN型の半導体部分が形成された半導体膜上に電極層を形成することにより、上記電子デバイスを製造することができる。
上記各種製法において、上記のように本発明の機能膜形成用組成物を用いることにより、優れた作業性で、均一な機能膜や半導体膜を形成することができ、さらに、その皮膜性能(強度、絶縁性、導電性、熱伝導性等)を良好に得ることができることから、従来よりも優れた電子デバイスを製造することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、無機粒子G001〜G005を作製した。
〔無機粒子G001〜G005の作製〕
無機粒子G001〜G005を、下記の表1に示す添加量で所定のガラス粉末および所定の無機添加物を混合することにより得た。
上記所定の無機添加物としては、表1に示すように、Al23粉末(平均粒径5μm)、BaTiO3粉末(平均粒径0.3μm)、Si粉末(平均粒径0.2μm)のいずれかを用いた。
また、上記所定のガラス粉末は、以下のようにして作製した。すなわち、まず、表1に示すガラス組成(wt%)となるよう、ガラス原料を雷潰機に入れ、60分間混合した。次いで、上記混合した原料を、SSA−Hアルミナ坩堝につめ、そのアルミナ坩堝を、予め1300℃に加熱保持した電気炉に入れ、上記原料を20分間溶融させた。そして、上記原料が充分ガラス状態となったときに、電気炉より坩堝を取り出し、蒸留水を入れたステンレス容器内に溶融滴下させ、急冷することで、ガラス固化させた。このようにして冷却させた固化ガラスを、蒸留水と共にアルミトレーに取り出し、150℃で1時間、乾燥機中で乾燥させた。そして、乾燥後のガラス塊を、雷潰機に投入し、1時間粗粉砕した。このようにして粗粉砕したガラス粉から、70メッシュ篩により粗粒を取り除いた後、さらに二次粉砕を行った。なお、上記二次粉砕は、円筒状のアルミナ容器にガラス粗粉(約100g程度)を投入し、メタノール(150cc)を入れ、更にアルミナ玉石(10mmφのものと、15mmφのものとを、各200g)を入れ、ガラス粗粉を投入したアルミナ容器を回転架台に載せて、80回転/分で72時間の粉砕を行った。そして、二次粉砕後、ビーカーに粉砕済みガラス(メタノール含む)を入れ、防爆型乾燥機中にてメタノールを蒸発させて、さらに300メッシュ篩により粗粒を除去することにより、目的とするガラス粉末を得た。
なお、無機粒子G001〜G005中のガラス粉末及び無機添加物の平均粒径は、レーザー回折・光散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した。
また、表1に示すガラス原料について、BaOは、BaCO3、CaOはCaCO3、B23は、ホウ酸(H3BO3)を用いた。すなわち、これらが、化学的に安定な材料であり、焼成後も酸化物となり、安定なガラスが形成できるからである。
Figure 0006479953
また、実施例および比較例に先立ち、実施例用のセルロース水分散体A1〜A4および比較例用のセルロース水分散体B1〜B4を、以下のようにして作製した。
〔セルロース水分散体A1(実施例用)の作製〕
(1)酸化工程
TEMPOを0.5g(0.08mmol/g)と、臭化ナトリウム5.0g(1.215mmol/g)を、精製水1600gに溶解させ、10℃に冷却した。この溶液に、乾燥重量で200g相当分の未乾燥の亜硫酸漂白針葉樹パルプ(NBKP)(主に1000nmを超える繊維径の繊維からなる)を分散させた後、12重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、固形分換算で15.0g(5mmol/g)を加えて反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するので、24%NaOH水溶液を適宜加えながらpH=10〜10.5となるように調整し0.5時間反応させた。
(2)還元工程
上記反応物を遠心分離機で固液分離した後、精製水を加え固形分濃度4%に調整した。その後、24%NaOH水溶液にてスラリーのpHを10に調整した。スラリーの温度を30℃としてNaBH4を0.3g(0.2mmol/g)を加え2時間反応させた。(3)精製工程
上記反応物をガラスフィルターにてろ過した後、充分な量のイオン交換水による水洗、ろ過を行い、得られたろ液の電気伝導度を測定した。水洗を繰り返しても、ろ液の電気伝導度に変化がなくなった時点で精製工程を終了した。このようにして、水を含んだ固形分量15重量%のセルロース繊維を得た。
(4)水分散工程
上記セルロース繊維に水を加え2重量%のスラリーとして、ディスパー型ミキサーを用いて回転数8000rpmで10分間微細化処理を行い、セルロース水分散体A1を得た。
〔セルロース水分散体A2〜A4(実施例用)、セルロース水分散体B1〜B4(比較例用)の作製〕
セルロースの原料種(NBKP、リンターパルプ(再生セルロース))や、酸化工程の際に添加する次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)仕込量(mmol/g)や、還元工程の際に添加する水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)仕込量(mmol/g)を、下記の表2に示すように変更する以外は、セルロース水分散体A1の作製に準じて、セルロース水分散体A2〜A4,B1〜B4を、それぞれ作製した。
Figure 0006479953
なお、上記表2に示す、セルロース水分散体A1〜A4,B1〜B4に関する各項目の測定は、下記の基準に従って行った。
〔COOH量(カルボキシル基量)の測定〕
セルロース水分散体を60ml(セルロース重量:0.25g)調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが約11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下の式(6)に従いカルボキシル基量を求めた。
カルボキシル基量 (mmol/g)=V(ml)×〔0.05/セルロース重量〕 ……(6)
〔カルボニル基量の測定(セミカルバジド法)〕
セルロース水分散体を乾燥させた試料を約0.2g精秤し、これに、リン酸緩衝液によりpH=5に調整したセミカルバジド塩酸塩3g/l水溶液を正確に50ml加え、密栓し、二日間振とうした。ついで、この溶液10mlを正確に100mlビーカーに採取し、5N硫酸を25ml、0.05Nヨウ素酸カリウム水溶液5mlを加え、10分間撹拌した。その後、5%ヨウ化カリウム水溶液10mlを加えて、直ちに自動滴定装置を用いて、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液にて滴定し、その滴定量等から、下記の式(7)に従い、試料中のカルボニル基量(アルデヒド基とケトン基との合計含量)を求めた。
カルボニル基量(mmol/g)=(D−B)×f×〔0.125/w〕 ……(7)
D:サンプルの滴定量(ml)
B:空試験の滴定量(ml)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター(−)
w:試料量(g)
〔アルデヒド基の検出(フェーリング反応法)〕
セルロース繊維を0.4g精秤し、日本薬局方に従って調製したフェーリング試薬(酒石酸ナトリウムカリウムと水酸化ナトリウムとの混合溶液5mlと、硫酸銅五水和物水溶液5ml)を加えた後、80℃で1時間加熱した。そして、上澄みが青色、セルロース繊維部分が紺色を呈するものはアルデヒド基が検出されなかったと判断し、「し」と評価した。また、上澄みが黄色、セルロース繊維部分が赤色を呈するものは、アルデヒド基が検出されたと判断し、「有り」と評価した。
〔数平均繊維径の測定〕
セルロース水分散体におけるセルロース繊維の数平均繊維径を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM−1400)を用いて観察した。すなわち、各セルロース繊維を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、数平均繊維径を算出した。
〔非晶領域量の測定〕
X線回折装置(リガク社製、RINT−Ultima3)を用いて、セルロース水分散体におけるセルロース繊維のX線回折スペクトルを測定し、そのピーク強度IおよびIaに基づき、下記の式(8)により、結晶化度を算出した。その結果をもとに、下記の式(9)により、セルロースの非晶領域量を算出した。
結晶化度(%)=(I−Ia)/I×100 ……(8)
I:2θ=14.60°のピーク強度
Ia:2θ=12°と18°の強度を結んだ直線と2θ=14.60°の強度から真 直ぐ下ろした直線が交わる点の強度(非晶領域のピーク強度)
非晶領域量(%)=100−(I−Ia)/I×100 ……(9)
[実施例1〜10、比較例1〜4]
前記作製の無機粒子G001〜G005と、前記作製のセルロース水分散体A1〜A4,B1〜B4と、極性溶剤(C−1、C−2)と、添加剤(D−1、D−2)とを、後記の表3および表4に示す割合で、合計量が300gになるよう配合し、それを、撹拌部にホモミキサーMARKIIをとりつけたPRIMIX社製ロボミックスで、8000rpmで5分撹拌し、目的とする機能膜形成用組成物を調製した。なお、上記極性溶剤(C−1、C−2)、添加剤(D−1、D−2)は、下記に示すものである。
C−1:水
C−2:エタノール
D−1:レバナックスBA−200(1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン)、昌栄化学社製
D−2:ノイゲンXL−40、第一工業製薬社製
上記のようにして得られた実施例および比較例の機能膜形成用組成物に関し、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。その結果を、後記の表3および表4に併せて示す。
〔分散度の測定〕
機能膜形成用組成物の一部を試験管にうつして一日室温で静置後、無機粒子が均一に分散しているか確認した。試験管中の系全体に対して、無機粒子が分散している層(分散層)の割合を試験管の目盛または定規等により長さを測定し、分散度合をパーセンテージで表記した。なお、本発明では、上記分散度が60%以上であることが望ましく、より望ましくは、分散度が80%以上である。
〔再分散性の測定〕
機能膜形成用組成物の一部を試験管にうつして一日室温で静置後、無機粒子分散スラリーが沈降している場合に試験管を手動で激しく上下に20回振とうして、振とう直後の再分散性を評価した。すなわち、上記のようにして再分散させた後、上記分散度の評価基準に準じ、80%以上の分散度と同等になった場合を再分散性があると判断し、「○」と表記し、80%未満の分散度と同等になった場合を再分散性が無いと判断し、「×」と表記した。
〔粘度の測定〕
機能膜形成用組成物を、BH型粘度計(No.4ローター)(東機産業社製、BH型粘度計)を用いて、回転数2.5rpm(3分)で、20℃環境下での粘度(Pa・s)を測定した。
〔保存安定性の測定〕
機能膜形成用組成物を、40℃の温度環境下で長期間(30日間)放置し、放置前後での分散度および粘度を、前記のようにして測定し、それらの変動率を「保存安定性(%)」とし、下記の式(11)および(12)により算出した。
保存安定性(分散性)=(放置後の分散度/放置前の分散度)×100 ……(11)
保存安定性(粘度)=(放置後の粘度/放置前の粘度)×100 ……(12)
〔スプレー性の評価〕
三谷バルブのスプレー(ノズルタイプZ−75−11−1)に、機能膜形成用組成物を入れて、ノズルを一定の圧力で押して10センチメートル離れた板に吹き付けた。そして、水をポジティブコントロール、1%キサンタンガム水溶液をネガティブコントロールとして、スプレー性の比較を行った。すなわち、水に近い使用感でスプレー状に吹き付けることができたものを「○」、1%キサンタンガム水溶液に近い使用感で、一部しかスプレー状に吹き付けることができなかったもの(直射状の吹き付けとなったもの)を「×」と評価した。
Figure 0006479953
Figure 0006479953
上記表3および表4の結果より、実施例の機能膜形成用組成物は、比較例のものに比べ、分散度が高く、再分散性も良好であり、保存安定性に優れている。さらに、実施例の機能膜形成用組成物は、比較例のものに比べ、粘度が高いにもかかわらず、そのTIが高いことから、スプレー性において良好な結果が得られていることがわかる。
上記結果は、実施例で用いられているセルロース水分散体A1〜A4が、本発明に規定されたセルロースの規定を全て満たしているのに対し、セルロース水分散体B1〜B4は、本発明に規定されたセルロースの規定を一部満たしていないことによるものである(前記表2の分析結果を参照)。
なお、セルロース水分散体A1〜A4に関し、セルロース繊維表面上のグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にカルボキシル基等に酸化されているかどうかについて、13C−NMRチャートで確認した。すなわち、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れていた。このことから、上記セルロース繊維は、いずれもグルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基等に酸化されていることが確認された。
また、実施例に使用されている無機粒子に代えて、所定の無機粒子(ホウ素、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、テルル、銅、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、リン、ガリウム、インジウム、スズ、鉛およびビスマスからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む無機粒子であって、その平均粒径が100nm〜30μmである無機粒子)を用いた場合であっても、実施例と同様に優れた保存安定性、スプレー性等が得られることが確認された。
〔電源デバイス用チョークコイル〕
つぎに、下記の製造法に従い製造された電源デバイス用チョークコイルにおいて、その絶縁膜の形成材料に、実施例1の機能膜形成用組成物をスプレー塗布して用いたところ、比較例1〜4の機能膜形成用組成物をスプレー塗布して用いた場合に比べ、緻密で塗布時のダレが少なく均一な絶縁膜が金属磁性体表面に形成され、極めて高い絶縁性能が得られた。また金属磁性体の複雑な形状表面、特に鋭角に形成されたエッジにも均一に塗布されており、エッジ部分の金属磁性体が露出していないといった結果が得られた。なお、下記の製造法で、金属酸化物を主成分とするFe−Ni−Zn−O系フェライト磁性体を用い、磁性体コアを焼成して作製した場合でも、同様の結果が得られた。
≪電源デバイス用チョークコイルの製造法≫
まず、鉄、ニッケル、コバルトを主成分とする粉末に、ポリビニルアルコールを10重量%含む水溶液を5wt%添加、混合して造粒したものを用いて、粉末プレス成型によってボビン状の成型体を得た。この成型体を窒素中1200℃の温度で焼成することで金属磁性体コアを得た。金属磁性体コアの形状は、ボビンの最も大きい部分の径が、φ8mm、ボビンの高さが10mm、最小の巻線部の径がφ4mmとなるよう形成した。金属磁性体は高い透磁率と飽和磁束密度のため、小型なインダクタが形成でき、銅線をそのコア部に巻きつけることにより、電源用のチョークコイルに適しているものの、その金属磁性体が金属であるがゆえに導電性があり、巻線の銅線と接触するとショートすると非常に危険なことから、実施例1および比較例1〜4の機能膜形成用組成物を、スプレー法により金属磁性体コアの表面に約30μmの均一な厚みに塗布し、乾燥させた後、600℃の温度で電気炉にて焼結させ、そのガラス組成物の溶融により、約20μm厚みの均一な絶縁膜を形成した。次いで、この絶縁膜上に、Ag粉末、ガラス、有機バインダー、および溶剤からなる導電性ペーストを、塗布し、乾燥させ、焼成させることにより、電極層を形成した。焼成温度は550℃とした。このようにしてガラス絶縁膜が形成された金属磁性体コア(ボビン状)の巻線部分に、表面を絶縁処理した線径1.2mmの被覆銅線(エナメル線)を10回巻線処理し、巻線の開始端と終端を、前記の電極層に半田付けした。このようにして、目的とする電源デバイス用チョークコイルを得た。
〔セラミックアレスタ素子〕
また、下記の製造法に従い製造された無線中継局用セラミックアレスタ素子(避雷器)において、その絶縁膜の形成材料に、実施例7の機能膜形成用組成物をスプレー塗布して用いたところ、比較例1〜4の機能膜形成用組成物をスプレー塗布して用いた場合に比べ、緻密で塗布時のダレが少なく均一な絶縁膜がアレスタ素子縁部に形成され、極めて高い絶縁性能が得られた。またアレスタ素子の電極間の沿面放電を抑制することができるといった結果が得られた。すなわち、実施例7の機能膜形成用組成物を用いて得られたアレスタ素子は、バリスタ電圧は400V/mmであり、7.2KV以上のサージ電圧を除去できるばかりか、縁面のリークも無いことが確認できた。
≪アレスタ素子の製造法≫
まず、酸化亜鉛粉末に対し、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化アンチモン、酸化チタンを各0.5mol%添加した組成物を造粒し、φ30mm高さ25mmの円筒状に粉末プレスにより成型体を得た。成型体を大気中1250℃の温度で焼成し、アレスタ素子を得た。焼成後のアレスタ素子は焼結収縮により、φ25mm高さ20mmの焼結体となった。このようにして作製されたアレスタ素子の縁面部(円筒状の部分)に、実施例7および比較例1〜4の機能膜形成用組成物をスプレー塗布した。その塗膜を乾燥後、600℃の温度で熱処理し、ガラス化した約30μm厚みの機能膜を形成した。次いで表裏面を研磨して18mm厚みまでし、さらにその研磨面にアルミ線を溶射することで電極層を形成した。これにより両面にアルミ電極層と、縁面部に高絶縁機能膜ガラス層を有するアレスタ素子を得た。
〔LED素子〕
また、下記の製造法に従い製造されたLED素子用高放熱基板を用い、下記のようにして製造されたLED素子において、その絶縁膜の形成材料に、実施例8の機能膜形成用組成物をスプレー塗布して用いたところ、比較例1〜4の機能膜形成用組成物をスプレー塗布して用いた場合に比べ、高い電気絶縁性を保ちながら、高い熱伝導性と高い反射率のLED素子用高放熱デバイスが得られた。特に従来の有機系絶縁膜にない高い絶縁信頼性、接着強度の劣化、耐熱性といった良好な結果が得られた。
なお、実施例8の機能膜形成用組成物を用いて作製された高放熱基板の電極上に半導体素子を実装し、その発熱によりどのように放熱されるかを評価したところ、10W/mKと有機系絶縁膜では得られない高い熱伝導性が得られ、さらに、銅電極とアルミ板間の絶縁耐圧を評価したところ、15KV以上の極めて高い絶縁耐圧が得られた。
また、実施例8の機能膜形成用組成物を用いて作製されたLED素子に、低電流電源により250mAの電流を印加し、LED素子の端子電圧VBEを評価したところ、VBEは0.7Vであり、0.175Wの消費電力であった。この時LED素子の端子電圧から、LEDチップの発熱量が約25℃の上昇しかしないことがわかった。LEDチップは低電流であれば、端子電圧VBEは温度に比例することがわかっており、アルミ放熱基板で無い場合は、約50℃の温度上昇があるが、本実施例では約25℃の温度上昇となり、熱抵抗が小さいことがわかる。同時に熱伝導性が良好と言え、同じLEDチップであればより高い輝度を発光させることができることを意味する。
≪LED素子用高放熱基板の製造法≫
まず金属アルミニウム板(A5052)200×200mm、厚み2mmを用意し、これに対し、実施例8および比較例1〜4の機能膜形成用組成物を用い超音波スプレー法で、均一塗布した。超音波スプレー装置では、広角にスプレーするノズルでアルミ板をベルトコンベアーで搬送して自動的に塗布する方法を利用した。これにより大きなサイズのアルミ板であっても均一塗布が可能となった。そして、上記のように機能膜形成用組成物を塗布したアルミ板を、約10ppmの酸素分圧に制御された窒素雰囲気中で500℃の温度で焼成を行った。その結果、機能膜形成用組成物中のガラスが溶解し、アルミナ粉末を取り込んで焼結した。焼結した絶縁膜は厚みが約10μmであり、均一でボイド、クラックの無い均一な絶縁膜が得られた。このようにして作製された機能膜を形成したアルミ板の高熱伝導機能膜上に、真空スパッタ装置でチタン膜と銅膜をそれぞれ100Åと1000Å形成した。次いで、スパッタ装置により形成したTi,Cu層を下地層として、その上に更に100μmの厚みになるまで電解銅めっきを行い、電極層を形成した。Ti及びCuの下地層の導電性を利用して電解銅めっきを効率的に実施できた。またTi/Cuの下地層は上部の銅めっき層の接着強度を良好に保つ働きもある。このようにして作製された電解銅めっき層をフォトリソグラフィー法でパターン形成した。すなわち、電解銅めっき層を形成した、アルミ板の両面に、感光性のドライフィルムレジストを形成し、所望の配線パターンとなるようにフォトマスクを利用してUV露光した。そして、UV露光された部分以外をアルカリ現像液で処理して現像処理を行い、所定の部分のドライフィルムレジストを除去し、更に塩化第二鉄水溶液中で銅めっき層をエッチングし、さらにTi層をTi用エッチング液(低濃度硫酸水溶液)で除去することで配線パターン形成した。その後残ったドライフィルムレジストを水酸化ナトリウム溶液で剥離除去することで、アルミ板の高熱伝導機能膜上に銅の配線パターンが形成された。このようにして、目的とするLED素子用高放熱基板を得た。
≪高放熱基板を用いたLED素子の製造法≫
上記のようにして作製された高熱放熱基板を用い、以下のようにして高輝度発光ダイオード(LED)を作製した。なお、高輝度LED(100lm(ルーメン)/W以上)は、蛍光灯に比べ高効率ではあるが、それでもエネルギー変換効率は25〜30%程度であり、そのほとんどが熱として放熱される。これら高輝度LEDであれば更に発熱が大きいため効率よく放熱しないと自らの発熱で熱暴走して破壊してしまうおそれがある。そのため実装する基板には高い放熱性(熱伝導性)が必要とされる。
まず、配線パターンを形成し、LEDチップを実装する部分以外に白色のレジストを塗布した。白色レジストは、酸化チタン粉末を含む熱硬化エポキシ樹脂ペーストをスクリーン印刷することで得られた。200℃の温度で熱処理することで硬化膜が得られ、30μm程度の厚みで約90%の反射率が得られた。白色レジストを形成していない部分の銅配線パターン上のLEDチップを実装する部分を含め5μm厚みにAgめっき処理を行った。次いでLED素子を前記基板の配線パターン上にダイボンドした。具体的には、Agめっき処理した配線パターン上にAg粉とエポキシ樹脂からなる導電性接着剤ペーストをディスペンサにより所望の量を滴下し、更にその上にLEDチップ(チップサイズ0.6mm角)を位置合せして配置し、10g程度の荷重で押さえた。その後200℃の温度で加熱して導電性接着剤ペーストを硬化させ、LEDチップをダイボンドした。ダイボンドされたLEDチップ上の電極と、前記のAgめっき処理した配線パターンに、Auワイヤー (径φ25μm)でワイヤーボンディングした。LEDチップはGaN系の青色LEDであり、白色LED素子とするため黄色の蛍光体で覆うものであった。具体的には黄色の蛍光体粉末と液状シリコーン樹脂をペースト状に加工し、所望の印刷形状にくり抜いたメタルマスクを用いて、蛍光体ペースとをスキージ印刷することでメタルマスクの開口部に充填し、メタルマスクを除去することで、LEDチップを覆い、加熱処理(200℃30分)で硬化させて得られた。このようにして得られたLEDチップを搭載したアルミ放熱基板を透明なシリコーン樹脂で更に封止して、LED素子を得た。
〔誘電体素子〕
また、下記の製造法に従い製造された誘電体素子において、その機能膜の形成材料に、実施例9の機能膜形成用組成物をスプレー塗布して用いたところ、比較例1〜4の機能膜形成用組成物をスプレー塗布して用いた場合に比べ、緻密で塗布時のダレが少なく均一な誘電体膜が金属基材に形成され、極めて高い絶縁性能と誘電性能が得られた。また得られた誘電体膜を用いることで、簡易にコンデンサを内蔵したプリント基板が得られるといった結果が得られた。
なお、実施例9の機能膜形成用組成物を用いて作製された誘電体素子の評価のため、蒸着法でアルミ電極を誘電体上に形成し、銅箔とアルミ電極間の誘電特性を評価した。その結果、周波数10KHz〜1MHzの範囲で比誘電率が約2000、誘電損失(Tanδ)が0.01%と極めて良好な誘電特性が得られた。
また、実施例の誘電体素子を用いて、下記の製造法に従い作製されたコンデンサ内蔵プリント基板は、簡易な方法で、電源回路や高周波回路に影響を与える電源ノイズ(リップル)や、高周波ノイズを除去するため、信号回路と電源回路において有用である。
≪誘電体素子の製造法≫
まず、両面を粗化した銅箔(プリント基板用電解銅箔:古川電工社製 DT−GLD−MP−35μm厚み、350×350mmサイズ)を準備し、実施例9および比較例1〜4の機能膜形成用組成物を用い超音波スプレー法で、銅箔の表面に均一塗布した。超音波スプレー装置では、広角にスプレーするノズルで、銅箔をベルトコンベアーで搬送して自動的に塗布する方法を適用した。実施例9および比較例1〜4の機能膜形成用組成物を塗布、乾燥した銅箔を、約10ppmの酸素分圧に制御された窒素雰囲気中で900℃の温度で焼成を行った。その結果、組成物中に含まれる少量のガラスが溶解し、チタン酸バリウム粉末を取り込んで焼結した。焼結した絶縁膜は厚みが約10μmであり、均一でボイド、クラックの無い均一な絶縁膜が得られた。このようにして、目的とする、プリント基板にコンデンサを内蔵するための誘電体素子を得た。
≪誘電体素子を用いたコンデンサ内蔵プリント基板の製造法≫
エポキシ樹脂とガラス織布からなるプリント基板用プリプレグ(パナソニック製、プリプレグ:R1410W FR−5基材、300×300mm、0.1mm厚み)を用い、以下のように、コンデンサ内蔵プリント基板を製造した。まず、片面を粗化した銅箔(古河電工社製、GTS−MP−18μm厚み、325×325mmサイズ)を配置し、粗化面上に上記プリプレグを重ね、更に前記の誘電体を形成した誘電体素子を、誘電体素子の銅箔側がプリプレグ側となるように位置合せして重ね、加熱加圧して積層した。積層の条件は、加熱プレスにて50Kg/cm2の荷重で、200℃の温度で、真空中に2時間保持することで、目的とするコンデンサ内蔵プリント基板を得た。
〔太陽電池〕
また、下記の製造法に従い製造された太陽電池において、その半導体膜の形成材料に、実施例9の機能膜形成用組成物をスプレー塗布して用いたところ、使用するケイ素材料が少なく薄いこと、あるいは低コストな基板を電極に使用できることで、低コストな太陽電池が得られるといった結果が得られた。
また、銅箔上に形成するので裏面電極にそのまま利用できるため、低コストで低抵抗な電極となり、このことでも発電効率が良く、低コストな太陽電池が得られるという格別の効果がみられた。
≪太陽電池の製造法≫
まず、太陽電池用の裏面電極としてコストの安いアルミ箔もしくは銅箔を利用し、その表面に実施例9の機能膜形成組成物をスプレー塗布し、熱処理によって簡易に堆積、焼結させることで薄いケイ素機能層を得た。具体的に述べると、使用したケイ素粉末は、平均粒径0.2μmのケイ素微粉末を用いた実施例9よりなる機能膜形成用組成物を用い超音波スプレー法で、銅箔(三井金属鉱業社製、両面光沢箔 DFF−15μm厚み、150×150mmサイズ)の表面に均一塗布した。次いで塗布した機能膜形成用組成物を乾燥処理(150℃×30分)したところ、機能膜形成用組成物中のケイ素粉末とセルロース繊維により固化し、銅箔をある程度曲げても銅箔上から脱落することは無かった。乾燥膜の厚みは約45μmであり、銅箔片面全体に均一に塗布されていることが確認できた。次に機能膜形成用組成物を塗布した銅箔を雰囲気コントロール可能な電気炉で焼成した。条件は、窒素雰囲気に水素ガスを200ppm流入させ、更に水温を30℃に保つ容器をバブリングすることで窒素雰囲気中に水蒸気を加えることで、酸素分圧を制御しながら、900℃の温度で3時間保持して銅箔上のケイ素粉末を焼結させた。焼成後の膜厚は35μmであった。次いで、太陽電池としての機能を発揮させるため、P型層とN型層を熱処理と不純物ドーピングにより行った。本実施例ではまずケイ素焼結膜を水素希釈したSi26を原料とし、P型ドーピングガスとしてはB26を用いた雰囲気に制御して行った。また、N型ケイ素層の形成は、前記P型ケイ素層を形成した後に、POCl3をドーピングガスとした熱拡散法で形成した。このようにして多結晶質シリコーン太陽電池用の多結晶質ケイ素焼結膜が銅箔上に形成された。なお、本実施例では、900℃で雰囲気焼成を実施したが、焼結性が不充分な場合は更にレーザーを照射することでケイ素焼結体の一部を再結晶化させることも有効であることが確認された。
このようにして作製された多結晶ケイ素焼結膜の表面に、反射防止膜、表面電極を形成し、目的とする太陽電池を得た。
本発明の機能膜形成用組成物は、LED素子、パワー用電源デバイス、太陽電池等の、各種電子デバイスにおける機能膜(電気絶縁膜、半導体膜、誘電体膜)の形成材料として使用することができ、特にスプレー法によって塗膜形成する際に有利な効果が得られることから、そのような産業分野への利用において有用である。

Claims (6)

  1. 無機基材上に、電気絶縁膜,半導体膜または誘電体膜である無機粒子含有機能膜と、電極層とが形成されてなる電子デバイスであって、上記無機基材上の一部もしくは全面に、上記無機粒子含有機能膜として、下記の(α)に示す無機粒子含有機能膜形成用組成物の焼結膜を備えていることを特徴とする電子デバイス。
    (α)下記の(A)〜(C)成分を含有する無機粒子含有機能膜形成用組成物。
    (A)ホウ素、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ニオブ、テルル、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、リン、およびビスマスからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む無機粒子であって、その平均粒径が100nm〜30μmである無機粒子。
    (B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基、アルデヒド基,およびケトン基のいずれかに酸化変性されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるとともに、そのセルロースの非晶領域量が10〜25%である、セルロース繊維。
    (C)極性溶媒。
  2. アルミニウム箔からなる基材上に半導体膜と電極層とが形成されてなる、太陽光発電機能を有する電子デバイスであって、上記基材の少なくとも一方の面に、上記半導体膜として、下記の(α)に示す無機粒子含有機能膜形成用組成物の焼結膜に不純物がドープされP型及びN型の半導体部分を有する半導体膜を備えていることを特徴とする電子デバイス。
    (α)下記の(A)〜(C)成分を含有する無機粒子含有機能膜形成用組成物。
    (A)ホウ素、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ニオブ、テルル、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、リン、およびビスマスからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む無機粒子であって、その平均粒径が100nm〜30μmである無機粒子。
    (B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基、アルデヒド基,およびケトン基のいずれかに酸化変性されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるとともに、そのセルロースの非晶領域量が10〜25%である、セルロース繊維。
    (C)極性溶媒。
  3. 請求項1または2記載の電子デバイスにおける、電気絶縁膜,半導体膜または誘電体膜の形成材料である、電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物であって、下記の(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物。
    (A)ホウ素、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ニオブ、テルル、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、リン、およびビスマスからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む無機粒子であって、その平均粒径が100nm〜30μmである無機粒子。
    (B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的にカルボキシル基、アルデヒド基,およびケトン基のいずれかに酸化変性されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g未満であるとともに、そのセルロースの非晶領域量が10〜25%である、セルロース繊維。
    (C)極性溶媒。
  4. 上記(B)成分のセルロース繊維の固形分含有量が、上記(A)成分の無機粒子の固形分100重量部に対して、0.1〜2重量部の範囲である、請求項3記載の電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物。
  5. 上記(A)成分の無機粒子の平均粒径が、0.3〜15μmである、請求項3または4記載の電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物。
  6. 上記(A)成分の無機粒子の平均粒径が、0.5〜8μmである、請求項3または4記載の電子デバイス用無機粒子含有機能膜形成用組成物。
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