JP6478332B2 - p21活性化キナーゼ阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は、p21活性化キナーゼ1阻害剤に関し、更に詳細には、特定のフラバノン化合物を含むプロポリスを有効成分とし、種々の疾患に関与するp21活性化キナーゼ1に対して優れた阻害作用を有するp21活性化キナーゼ阻害剤に関する。
p21活性化プロテインキナーゼ(PAKs)ファミリーは、RAC/CDC42依存性セリン/スレオニンキナーゼに属し、哺乳動物では6種(PAK1〜6)に分類される。これらの中で、PAK2およびPAK4は胚の発達において不可欠であるが、PAK1は、胚形成のために必須ではなく、PAK1欠損マウスは健康に生育し、線虫のPAK1欠損変異体は、野生型よりも寿命が長い(非特許文献1、2)。
一方、PAK1は、固形腫瘍の増殖やその転移、固形腫瘍の成長に必要な血管形成に必須であることが知られている。PAK1の過剰活性化や過剰発現は、癌や2型糖尿病、高血圧、アルツハイマーなどの疾患を引き起こす(非特許文献1、2)。したがって、PAK1阻害剤は、種々のPAK1依存性疾患及び障害の治療に有用である。
海外産のプロポリス、例えば、ブラジル産のグリーンプロポリス(GP)やニュージーランド産のプロポリス「Bio 30」は、健康食品サプリメントとして日本でも良く知られているが、太平洋上の亜熱帯地方(例えば、沖縄、台湾、ハワイなど)で採集されているプロポリスについては、その起源植物がオオバキであることやニムフェオールA−C(NymphaeolA-C)と呼ばれるゲラニル系側鎖を有するフラボノイドの一種を含むことが知られている程度で、十分な研究はなされていないのが実情である。
Dummler B, Ohshiro K, Kumar R, Field J. Pak protein kinases and their role in cancer. Cancer Metastasis Rev. 2009; 28:51-63. Maruta H. Herbal therapeutics that block the oncogenic kinase PAK1: A practical approach towards PAK1-dependent diseases and longevity. Phytother. Res. 2014; 28:656-672.
本発明の課題は、p21活性化キナーゼ1(PAK1)に対し優れた阻害活性を有する阻害剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定のフラバノン化合物を含むプロポリスは、PAK1に対し優れた阻害活性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ニムフェオール−A、ニムフェオール−B及びニムフェオール−Cから選ばれる少なくとも1種のフラバノン化合物を含むプロポリスを有効成分として含有することを特徴とするp21活性化キナーゼ阻害剤である。
本発明の阻害剤は、他のプロポリスと比べ、p21活性化キナーゼ1(PAK1)に対し顕著に優れた阻害活性を示す。したがって、PAK1が関連する癌や2型糖尿病、高血圧、アルツハイマー、認知症等の疾患に対し優れた治療・予防効果を有する。またPAK1は、固形腫瘍の増殖やその転移、血管形成等に関与するため、抗腫瘍剤として優れた効果を示す。さらにPAK1は正常細胞に必須ではなく、これを阻害しても副作用が生じ難いため、本発明の阻害剤は安全性の高いものである。また、他のプロポリスと比較して、著しく優れた熱ストレス耐性、寿命延長及びチロシナーゼ阻害活性などを併せ持つものである。
実施例1におけるプロポリス抽出物のHPLCチャートと主要成分の構造式である。(A)はニムフェオールB,(B)はイソニムフェオールB、(C)はニムフェオールA、(D)は3’-geranyl-naringenin、(E)はニムフェオールCである。 実施例2におけるプロポリス抽出物(OP)のB16F10メラノーマ細胞生存性に対する影響を示すグラフである(p<0.05 = * ,p<0.01= ** ,p<0.001= *** 、以下のグラフにおいて同じ)。 実施例2におけるプロポリス抽出物のメラニン産生抑制作用を示すグラフである。 実施例2におけるプロポリス抽出物のチロシナーゼ阻害作用を示すグラフである。 実施例3におけるプロポリス抽出物の寿命延長作用を示すグラフである。(A)は生存曲線、(B)は生存日数の中央値を示すグラフである。 実施例4におけるプロポリス抽出物のHSP−16.2発現誘導作用を示す図である。(A)はコントロールのC.エレガンス、(B)はプロポリス抽出物で処理したC.エレガンスのHSP16.2::GFP発現の顕微鏡写真である。(C)はGFP強度を示すグラフである。
本発明では、ニムフェオール−A、ニムフェオール−B及びニムフェオール−Cから選ばれる少なくとも1種のフラバノン化合物を含むプロポリス(以下、「OP」と略記することがある)を有効成分として用いる。ニムフェオール−A(nymphaeol−A)は、5,7,3',4'-テトラヒドロキシ-6-ゲラニルフラバノン(5,7,3',4'-tetrahydroxy-6-geranylflavanone)、ニムフェオール−B(nymphaeol−B)は、5,7,3',4'-テトラヒドロキシ-2'-ゲラニルフラバノン(5,7,3',4'-tetrahydroxy-2'-geranylflavanone)、ニムフェオール−C(nymphaeol−C)は、5,7,3',4'-テトラヒドロキシ-6-(3''',3'''-ジメチルアリル)-2'-ゲラニルフラバノン(5,7,3',4'-tetrahydroxy-6-(3''',3'''-dimethylallyl)-2'-geranylflavanone)である。ブラジル産のグリーンプロポリス(GP)は活性成分としてアルテピリンC(Artepillin C)を含有し、ニュージーランド産のプロポリス「Bio 30」はカフェ酸フェネチルエステル(CAPE)を含有するが、これらのプロポリスには上記ニムフェオール類は含まれない。
上記プロポリスは、起源植物としてオオバギを含むことが好ましい。オオバギ(Macaranga tanarius Muell.Arg.)は、トウダイグサ科オオバギ属に属する常緑広葉樹である。オオバギは沖縄、中国南部、ハワイ、台湾からマレーシアにかけて広く分布する。上記プロポリスの産地としては、このようなオオバギが生育する地域である沖縄、台湾、ハワイ等が挙げられるが、PAK1阻害活性等に優れることから沖縄産のものが好適である。このようなプロポリスはオオバギを起源植物として含む以外は公知の製造方法に従って得ることができる。
上記プロポリスとしては、プロポリス原塊を粉末化したものや、プロポリス原塊またはその粉末から適当な抽出方法により得られるプロポリス抽出物を使用することができる。プロポリス抽出物としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数1〜6の低級アルコール、水、またはこれらの混合溶媒を抽出溶媒として用いて得られる抽出物が例示される。抽出条件は特に限定されないが、例えば、20〜30℃で20〜30時間程度行えばよい。
本発明のp21活性化キナーゼ1(PAK1)阻害剤は、治療有効量の上記有効成分を、製薬上許容される任意成分、例えば、慣用の賦形剤、結合剤、滑沢剤、水性溶剤、油性溶剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、安定剤等と組み合わせ、混合することにより医薬品の形態とすることができる。
本発明のp21活性化キナーゼ1(PAK1)阻害剤は、経口でも非経口でも投与することができる。経口投与による場合は、通常の経口投与製剤、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形剤;水剤;油性懸濁剤;又はシロップ剤もしくはエリキシル剤等の液剤のいずれかの剤形としても用いることができる。非経口投与による場合には、水性又は油性懸濁注射剤、点鼻液、皮膚外用剤等として用いることができる。皮膚外用剤とする場合は、軟膏剤、クリーム剤、乳剤、ゲル剤、ローション剤、貼付剤等の形態とすることができる。
本発明のp21活性化キナーゼ1(PAK1)阻害剤の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態および疾患の種類によっても異なるが、通常、経口投与の場合、成人1日あたりプロポリスとして通常約20〜200mg、好ましくは50〜100mg程度であり、これを必要に応じて数回に分け投与すれば良い。また、非経口投与の場合は、成人1日あたり通常約10〜100mg、好ましくは20〜50mg程度である。
本発明のp21活性化キナーゼ1(PAK1)阻害剤は、PAK1が関与する疾患又は症状を治療、予防又は改善することができる。このような疾患又は症状としては、例えば、癌、2型糖尿病、高血圧、アルツハイマー、認知症等が挙げられる。またPAK1は、固形腫瘍の増殖やその転移、血管形成等に関与するため、抗腫瘍剤として使用できる。
また本発明のPAK1阻害剤は、熱ショックタンパク質の発現を誘導する。生体が高温に晒されるなど熱ストレスが負荷されると、細胞内ではタンパク質の変性や凝集などが発生し、その機能が損なわれ、熱中症などに至る。このような熱ストレスによる細胞のダメージを予防・回復するために、生物は熱ストレス耐性の機構を備えており、例えば、熱ストレスが負荷されると、熱ショック転写因子(HSF−1)が活性化され、熱ショックタンパク質(HSP)の発現が誘導される。この熱ショックタンパク質が分子シャペロンとして機能し、損傷を受けたタンパク質の折り畳みや会合などに関与することにより、タンパク質の変性や失活を防ぐ。熱ショックタンパク質には、sHsp(small Heat shock protein),Hsp40,Hsp60,Hsp70,Hsp90,Hsp100などの様々なファミリーがあるが、なかでもsHspの発現を誘導する効果に優れる。sHspとしては、分子量が10〜30kDaのもの、より好適には10〜20kDaのものが例示される。このようなsHspは、熱ストレスによるタンパク質の変性や失活を防ぎ、運動傷害等を予防・回復する作用を有する。本発明の抗熱ストレス剤は熱ストレス下でのsHspの発現を増強し、熱ストレス耐性を向上させる。
また本発明のPAK1阻害剤は優れた寿命延長効果を示し、寿命延長効果を有することが知られているレスベラトロールと比較して、その1/10の投与量で生存期間を有意に延長する。
さらに本発明のPAK1阻害剤は、優れたチロシナーゼ阻害活性を有し、メラニンの産生や沈着を抑制するため、高色素沈着や美白用途に利用できる。また細胞毒性が低く安全性に優れるものである。
本発明の抗熱ストレス剤、寿命延長剤及びチロシナーゼ阻害剤は、上記PAK1阻害剤と同様にして医薬品とすることができる。
また本発明のPAK1阻害剤、抗熱ストレス剤、寿命延長剤及びチロシナーゼ阻害剤は、上記有効成分に、公知の食品添加物及び/又は食品素材を配合し、常法に従って調製することにより飲食品とすることができる。その形態は特に限定されず、例えば、液状、錠剤、カプセル、ペースト、顆粒等が挙げられる。飲食品としては、発酵飲食品、パン、ビスケット、ホットケーキ、麺、錠菓等のデンプンを主体とする食品、ガム、キャンディー、和菓子等の菓子類、ハム、ソーセージ等の畜肉食品、ちくわ、かまぼこ等の魚肉食品、魚介類食品、ドレッシング、醤油、ジャム、ふりかけ等の調味料、茶、ジュース、清涼飲料、酒類等の飲料等が挙げられる。
また本発明のチロシナーゼ阻害剤は美白用の化粧料とすることができる。例えば、公知の化粧料基剤に、本発明のチロシナーゼ阻害剤を0.0001〜10質量%程度配合し、常法に従って、溶液状、可溶化状、乳化状、粉末状、ペースト状、ムース状、ジェル状の形態とすることにより製造され、化粧水、乳液、クリーム、パック、軟膏等として提供される。美白化粧料の製造にあたっては、必要に応じて、通常化粧料に使用される、精製水、アルコール類、水溶性高分子、油剤、界面活性剤、ゲル化剤、保湿剤、ビタミン類、抗菌剤、香料、塩類、pH調整剤等の成分を加えてもよい。
次に製造例および実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例等で使用した材料等は、次のように入手した。また統計処理は下記のようにして行った。
(材料等)
C.エレガンスの野生株N2と変異株CL2070、大腸菌OP50株はC.エレガンスゲノムセンター(ミネソタ大学)から購入した。C.エレガンスPAK1欠損株(RB689株)は大東文化大学の簗瀬澄乃博士から提供を受けた。ヒト肺ガン細胞A549はJCRB細胞バンクから購入した。B16F10メラノーマ細胞及び3T3−L1細胞は、アメリカン・タイプ・カルチュア・コレクション(ATCC)から購入した。ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、3−イソブチル−1−メトキシキサンチン(IBMX)、トリトンX−100、牛胎児血清(FBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)は和光純薬工業社から購入した。抗PAK1抗体IgGは、セルシグナリングテクノロジー(ダンバース社)から購入した。レスベラトロール、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT),プロテインAアガロースビーズ、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)はシグマアルドリッチ社から購入した。キナーゼGlo試薬、アデノシン三リン酸(ATP)はプロメガ社から購入した。(+)−5−フルオロ−2’−デオキシウリジン(FUdR)は関東化学から購入した。
(統計処理)
データは平均±標準誤差として表した。統計学的な比較は、一元配置分散分析(ANOVA)とダンカンの多重範囲検定により行った。C.エレガンスの寿命については、カプラン−マイヤー生存曲線およびログランク検定を用いて平均生存時間(MST)を分析した。統計解析はSPSS(バージョン16.0)を用いて行い、p値<0.05を有意差ありとした。
製 造 例 1
プロポリス抽出物(OP)の調製:
プロポリスは、おきなわ養蜂の養蜂場(沖縄県)で採取されたものを用いた。乾燥したプロポリス原塊を、滅菌乳棒と乳鉢を用いて粉末化した。プロポリス粉末1g当たり100%エタノール50mlを用いてプロポリスを抽出した。プロポリス粉末とエタノールの混合物を3時間超音波処理(AS ONE社)し、25°Cで21時間振盪(バイオシェーカーBR-300LF、タイテック社)した。懸濁液を、Whatman(登録商標)セルロース濾紙を用いて濾過し、濾液を5分間、14357×gで数回遠心分離に供した。透明な上清を減圧濃縮し、黄色で乾燥したプロポリスの抽出物(320g、収率32%)を得た。この抽出物250mgを100%エタノール1mLに溶解し、プロポリスの25%チンキ剤を調製した。このサンプルを-20℃で保存した。サンプルは、適切な最終濃度となるようにジメチルスルホキシド(DMSO)またはエタノール中に希釈した。
液体クロマトグラフィー−質量分析(LC-MS) プロポリス中の主要な成分の分析は、Kumazawaらの方法に従って行った(Kumazawa, S.; Murase, M.; Momose, N.; Fukumoto, S. Analysis of antioxidant prenylflavonoids in different parts of Macaranga tanarius, the plant origin of Okinawan propolis. Asian Pac. J. Trop. Med. 2014, 7 (1), 16-20.)上記プロポリス抽出物の濾液(濃度100μg/mLの5μL)を、紫外可視検出器(SPD-M20A、島津製作所)を備えたShimadzu LC-MS(LC-20AD XR、島津製作所)により測定した。分離はCOSMOSIL 5C 18 -AR-II(150mm×2mm I.D.;ナカライテスク社)を用いて行った。移動相は、0.5%(v/v)酢酸水溶液(溶媒A)およびアセトニトリル(溶媒B)とした。流量は0.2mL/分とした。 サンプルは280nmで検出した。勾配の条件は、0〜30分の間は80%溶媒Bを用いる定組成溶離、30〜35分の間は溶媒Bが80〜100%に変化する直線勾配、35〜40分の間は溶媒Bが100〜50%に変化する直線勾配とした。すべてのMSデータは、ネガティブイオン化モードで取得した。各化合物について、上記Kumazawaらの方法に従って、ピーク面積及び分子量に基づいて定量した。結果を図1に示す。図1中、(A)はニムフェオールB,(B)はイソニムフェオールB、(C)はニムフェオールA、(D)は3’-geranyl-naringenin、(E)はニムフェオールCである。上記プロポリスにおける三つの主要な構成成分は、プレニルフラボノイドであるニムフェオールA、B、およびCであることが明らかになった。
実 施 例 1
PAK1阻害試験:
PAK1阻害活性は、文献(Nguyen, B. C. Q.; Be Tu, P. T.; Tawata, S.; Maruta, H. Combination of immunoprecipitation (IP)-ATP_Glo kinase assay and melanogenesis for the assessment of potent and safe PAK1-blockers in cell culture. Drug Discov. Ther. 2015, 9 (4), 289-295.)記載の"Macaroni-Western"キナーゼアッセイによって測定した。A549細胞(2×10 5細胞/ウェル)を24時間D-MEM培地で前培養し、製造例1で得られたプロポリス抽出物(1.5,10μg/mL)で24時間処理した。次いで、細胞を細胞溶解バッファー(50mM Tris-HCl、pH7.5、150mM NaCl、1%トリトンX-100)500μLに溶解し、30分間氷冷した。細胞溶解物を免疫沈降試験のために、4℃で5分間、100×g で遠心分離し、上清を希釈緩衝液50μl(50mM Tris-HCl、pH7.5、150mM NaCl、100μg/ mL BSA)のみ、または、抗PAK1のIgG(1:50希釈)の存在下で、4℃で1時間インキュベートした。次いでサンプルを、ロータリーミキサー(日伸理化社)を用いて振盪しながら、プロテインAアガロース10μLの存在下、4℃で1時間さらにインキュベートした。遠心分離後、ペレット(PAK1を含む)を洗浄バッファー500μl(50mM Tris-HCl、pH7.5、150mM NaCl)で2回洗浄した。免疫沈降(IP)-PAK1ペレットを、キナーゼバッファー(50mM Tris-HCl、pH7.5、150mM NaCl、20mM MgCl2、0.1mg/mL BSA)35μLに再懸濁した。2μM ATP蒸留水溶液10μL、MBPの基質(蒸留水中1mg/mL)5μLを添加してキナーゼ反応を行った。反応は、一定に攪拌しながら37℃で1時間インキュベートして行った。インキュベーション後、等量のキナーゼGlo試薬(50μL)を各ウェルに添加し、さらにプレートを30分間インキュベートして蛍光シグナルを安定化させた。透明な上清を、96ウェルプレートに移して分析した。各ウェルの発光量を、マイクロプレートリーダーMTP-880Lab(コロナ社)を用いて0.5秒の積分時間で測定した。プロポリス抽出物のPAK1活性は、対照に対する割合として算出した。IC50を表1に示す。グリーンプロポリス、Bio 30についても同様にしてIC50を求めた。
表1に示すとおり、製造例1のプロポリス抽出物は、グリーンプロポリスやBio 30と比べ、著しくに高いPAK1阻害活性を示し、PAK1を直接阻害することが示唆された。
実 施 例 2
(細胞生存性)
B16F10メラノーマ細胞を、熱不活性化FBS10%及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(各10,000U/mL,100μg/mL)を添加したD-MEM中で、5%CO2を含む37℃加湿雰囲気中で培養した。細胞生存率(または成長速度)は、トリパンブルー色素排除試験法を用いて測定した(Nguyen, B. C. Q.; Be Tu, P. T.; Tawata, S.; Maruta, H. Combination of immunoprecipitation (IP)-ATP_Glo kinase assay and melanogenesis for the assessment of potent and safe PAK1-blockers in cell culture. Drug Discov. Ther. 2015, 9 (4), 289-295.)。すなわち、B16F10細胞(2×104細胞/ウェル)を24ウェルプレートに播種した。24時間前培養した後、各濃度(10、20、0μg/ mL)で製造例1で得られたプロポリス抽出物(OP)により37℃、72時間処理した。次いで、細胞をリン酸バッファーで2回洗浄し、Accutase(登録商標)で回収し、生存(染色されていない)細胞数をトリパンブルー色素排除試験により求めた。細胞生存性をコントロールに対する割合として算出した。結果を図2に示す。
(メラニン含有量測定)
メラニン含有量はYoonらの方法に従って測定した(Yoon, N.Y.; Eom, T-K.; Kim, M-M.; Kim, S-K. Inhibitory effect of Phlorotannins isolated from Ecklonia cava on mushroom tyrosianse activity and melanin formation in mouse B16F10 melanoma cells. J. Agri. Food. Chem. 2009, 57, 4124-4129.)。すなわち、B16F10細胞を2×104細胞/ウェルの密度で24ウェルプレートに播種した。前培養24時間後、培地を標準(10%FBS添加)または無血清培地と交換し、各濃度(5-40μg/ mL)の製造例1で得られたプロポリス抽出物(OP)で処理した。1時間後、PAK1を活性化するイソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX;メラニン形成ホルモン)100μMを培地に添加し、細胞を37℃でさらに72時間インキュベートした。細胞をリン酸バッファーで洗浄後、10%DMSOを含む500μLのNaOH(1N)溶液に溶解させた。メラニンの溶解を促進するために、サンプルを1時間80℃でインキュベートした。 混合ホモジネートの490nmにおける光学密度を測定した。メラニン含有量をコントロールに対する割合として算出した。結果を図3に示す。
(細胞内チロシナーゼ活性)
チロシナーゼ阻害活性は、文献(Gevensleben, H.; Gohring, U.-J.; Buttner, R.; Heukamp, L. C.; Kunz, G.; Dimpfl, T.; Jackisch, C.; Ortmann, O.; Albert, U.-S.; Bender, R.; et al. Comparison of MammaPrint and TargetPrint results with clinical parameters in German patients with early stage breast cancer. Int. J. Mol. Med. 2010, 26 (6), 837-843.)記載の方法を若干改変して測定した。B16F10細胞を2×104細胞/ウェルの密度で24ウェルプレートに播種した。24時間前培養後、培養培地は、各濃度(10-40μg/mL)の製造例1で得られたプロポリス抽出物を添加した標準(10%FBS含有)及び無血清培地で置換した。1時間後、IBMX(100μM)を添加し、さらに72時間37℃でインキュベートした。次いで、細胞を氷冷リン酸バッファーで洗浄し、1%トリトンX-100を含むリン酸バッファー(pH 6.8)で溶解した(500μL/ウェル)。プレートを-80℃で30分間凍結した。1%L-DOPAの100μLを解凍、混合した後、各ウェルに添加した。37℃で2時間インキュベーション後、490nmにおける吸光度を測定した。チロシナーゼ阻害活性をコントロールに対する割合として求めた。結果を図4に示す。
3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)は、チロシナーゼを活性化する強力なメラニン産生刺激因子である。チロシナーゼはメラニン形成における重要かつ律速段階に関与する酵素である。チロシナーゼは、チロシンの水酸化により3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)を生成し、次にL-DOPAの酸化によりドーパキノンとなる。B16F10メラノーマ細胞を、48時間IBMXの存在下で製造例1で得られたプロポリス抽出物(10、20、40μg/mL)で処理したところ、図3に示されるように、有意にメラニン含有量を減少させた。また図4に示すようにプロポリス抽出物は用量依存的にチロシナーゼを阻害した。一方、プロポリス抽出物は、B16F10メラノーマ細胞の生存率にほとんど影響を与えなかった(図2)。以上より、プロポリス抽出物は、チロシナーゼ阻害活性が高くメラニンの生成を有効に抑制するとともに安全性にも優れることが示された。
実 施 例3
寿命延長試験:
同期させたC.エレガンスの卵(60〜100個)を、E.coli(OP50)を含み、製造例1で得られたプロポリス抽出物(1μg/mL)又はレスベラトロール(10μg/ml)を添加した新鮮なNGM寒天培地上に置いた。成虫期(3日目)に入った後、繁殖を阻害するためにFUdR 400μL(0.5mg/ mL)を寒天培地に添加した。成虫には、2日ごとにOP50を与えた。生存線虫の数は、毎日計数した(Yanase, S. PAK1-deficiency/down-regulation reduces brood size, activates HSP16.2 gene and extends lifespan in Caenorhabditis elegans. Drug Discov. Ther. 2013, 7 (1), 29-35.Upadhyay, A.; Chompoo, J.; Taira, N.; Fukuta, M.; Tawata, S. Significant Longevity-Extending Effects of Alpinia zerumbet Leaf Extract on the Life Span of Caenorhabditis elegans. Biosci Biotechnol Biochem 2013, 77 (2), 217-223.)。結果を図5に示す。(A)は生存曲線、(B)は生存日数の中央値である。
図5(B)に示すとおり、プロポリス抽出物は、コントロール(18±1.1日)と比較して33%(24±0.2日)線虫の寿命を増加させた。またその寿命の延びは、レスベラトロール(22±1日)と比べて明らかに高かった。プロポリス抽出物がこのような低用量でC.エレガンスの寿命を延長させたことはこれまで知られておらず、本発明によって初めて得られた知見である。
実 施 例 4
HSP16.2発現誘導試験:
組換えHSP-16.2-GFP融合遺伝子(HSP-16.2::GFP)を有するC.エレガンスCL2070株を用いた(Yanase, S. PAK1-deficiency/down-regulation reduces brood size, activates HSP16.2 gene and extends lifespan in Caenorhabditis elegans. Drug Discov. Ther. 2013, 7 (1), 29-35.)。線虫をNGM寒天培地中で大腸菌(OP50)を与えて20℃で増殖させた。各群約30匹の成虫を、製造例1で得られたプロポリス抽出物(0.5,1,5μg/ mL)を添加した新しいNGM寒天培地に移し、20℃で48時間インキュベートした。線虫に35℃で2時間熱ショックを与えた後、20℃で4時間インキュベートし回復させた。各群の線虫は、顕微鏡観察のために0.5Mアジ化ナトリウムの滴(1μL)で固定した。GFPトランスジェニック線虫の写真をKEYENCE BZ-X700蛍光顕微鏡を用いて撮影し、蛍光を測定した。蛍光強度はコントロールに対する割合として算出した。結果を図6に示す。
図6(C)に示すとおり、プロポリス抽出物は、0.5〜1μg/mLで、コントロールと比較して30%以上HSP16.2の発現を増強した。その効果は陽性コントロールであるレスベラトロールよりも明らかに高いものであった。
本発明のPAK1阻害剤は、優れたPAK1阻害活性を示すため、PAK1が関連する癌、2型糖尿病などの疾患を治療・予防する医薬や飲食品等として利用可能なものである。また本発明のチロシナーゼ阻害剤は、優れたメラニン生成抑制作用を有するとともに安全性が高いため、皮膚障害を予防・治療するための皮膚外用剤や美白化粧料等として利用できる。また本発明の抗熱ストレス剤、寿命延長剤は、熱中症予防や寿命延長を目的とした飲食品等として有用である。

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  1. ニムフェオール−A、ニムフェオール−B及びニムフェオール−Cから選ばれる少なくとも1種のフラバノン化合物を含むプロポリスを含有するp21活性化キナーゼ阻害剤を有効成分として含有するアルツハイマー病の予防・治療剤。
  2. ニムフェオール−A、ニムフェオール−B及びニムフェオール−Cから選ばれる少なくとも1種のフラバノン化合物を含むプロポリスを含有するp21活性化キナーゼ阻害剤を有効成分として含有する抗熱ストレス剤。
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