以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態のレンズ鏡胴の断面図、図2は、図1のII−II線に沿う要部拡大断面図である。尚、図のX方向を対物側とし、図のY方向を像側として説明する。
この実施形態のレンズ鏡胴1は、図1に示すようにレンズ鏡胴本体2と、筒状の外装部材3と、外装部材3に保持された台座4と、台座4に摺動自在に保持された複数のスイッチ部材(摺動部材)5a、5b、5cとを備えている。
レンズ鏡胴本体2は、この実施形態では、固定筒21a、21bと、レンズ群22a〜22dと、カム筒23と、補強部材24とを備えている。
固定筒は、この実施形態では、金属製の円筒状の第1固定筒21aと、第1固定筒21aの像側の端部にボルトによって固定的に連結された合成樹脂製の円筒状の第2固定筒21bとを備えている。
又、第2固定筒21bにおける軸方向の対物側の端部には、基板(回路基板)27が取り付けられている。この基板27は、例えば第1固定筒21aに対するカム筒23の回動位置を検出し、或いは、後述のオートフォーカス用駆動モータ261を制御するもので、不図示のフレキシブルプリント基板でオートフォーカス用駆動モータ261等の電気部品と接続されている。
そして、この実施形態の第2固定筒21bは、金属製の略円筒状の補強部材24の内周に収納された状態で、補強部材24にボルト(図示せず)によって固定的に連結されている。この実施形態の補強部材24は、像側の端面に、マウント部材26が固定的に連結されており、このマウント部材26を介してこのレンズ鏡胴1がカメラ本体に着脱自在に取り付けられる。
レンズ群は、この実施形態では、図1に示すように、対物側から像側に順に配置された第1レンズ群22a、第2レンズ群22b、第3レンズ群22c及び第4レンズ群22dを備えている。
第1レンズ群22aは、1又は複数のレンズを備え、第1固定筒21aに固定的に保持されている。
第2レンズ群22bは、1又は複数のレンズを備え、第1固定筒21aに、光軸方向(X−W方向、第1固定筒21aの軸方向)に移動可能に保持されており、移動レンズ群をなしている。この第2レンズ群22bは、外周側に、第1固定筒21aに設けられたガイド溝212及び後述のカム筒23のカム溝231に移動可能に入れられたガイド軸221を備え、このガイド軸221がガイド溝212及びカム溝231に沿って案内移動させられることにより第2レンズ群22bが光軸方向に移動する。尚、この第2レンズ群22bの移動については、更に後述する。
第3レンズ群22cは、1又は複数のレンズを備え、第2固定筒21bに固定的に保持されている。
第4レンズ群22dは、1又は複数のレンズを備え、第2固定筒21bに、複数の調整ボルト224(図1では1つだけ表れている)によって光軸方向の傾き及び光軸方向の位置が調整可能に保持されている。
カム筒23は、レンズ群を光軸方向に移動操作するもので、この実施形態では、第2レンズ群22bを光軸方向に移動操作する。カム筒23は、円筒体からなり、第2レンズ群22bのガイド軸221が移動可能に入り込んだカム溝231を備えている。このカム溝231は、平面視で軸方向に傾斜するように形成されている。
そして、このように形成されたカム筒23は、第1固定筒21aにおける像側の一部の外周側に、第1固定筒21aに対して軸方向移動不能に且つ光軸回り(第1固定筒21aの軸回り)に回動自在に保持されており、回動操作部材によって回動操作される。
詳しくは、この回動操作部材は、この実施形態では、オートフォーカス操作部材260と、マニュアル操作部材270と、出力リング280とを備えている。
オートフォーカス操作部材260は、第1固定筒21aに保持されたオートフォーカス用駆動モータ261と、オートフォーカス用駆動モータ261とギアを介して連動可能に連結されたオート用入力リング262とを備えている。
オート用入力リング262は、円筒状のものから構成されている。この実施形態では、オート用入力リング262は、外周に、オートフォーカス用駆動モータ261に設けられた出力軸261bの第1ギア261aと噛合する第2ギア262aを備えている。又、オート用入力リング262は、その像側の面に、後述の出力リング280の転動ローラー280bが転動する第1ローラー転動部262bを備えている。
このように構成されたオート用入力リング262は、第1固定筒21aの外周に、第1固定筒21aの軸まわりに回動自在に配設されている。
マニュアル操作部材270は、手動でカム筒23を回動操作するもので、マニュアル用入力リング271と、マニュアル用入力リング271を操作するマニュアル操作リング272とを備えている。
マニュアル用入力リング271は、リング板状のものから構成されており、対物側の面に、後述の出力リング280の転動ローラー280bが転動する第2ローラー転動部271aを備えている。
そして、このマニュアル用入力リング271は、オート用入力リング262と所定間隔隔ててオート用入力リング262の像側に、第1固定筒21aの軸まわりに回動自在に配設されている。
マニュアル操作リング272は、円筒状のものから構成され、内周側に、一体的に形成されたフランジからなる操作部272aを備えている。この操作部272aは、マニュアル用入力リング271を像側から、入力リング付勢バネ272cを介してマニュアル用入力リング271を操作する。
出力リング280は、円筒状のものから構成されている。この出力リング280には、出力リング280に保持された3つ(図1では、1つだけが表れている)の連動部材が付設されている。
連動部材は、出力リング280と上記オート用入力リング262とを連動させるとともに、出力リング280と上記マニュアル用入力リング271とを連動させるもので、連動部材の夫々は、ローラー軸280aと、ローラー軸280aに回動自在に支持された転動ローラー280bとを備えている。
又、出力リング280は、図示しない係合部材によってカム筒23と固定的に係合されている。
このように構成された出力リング280は、第1固定筒21aの軸方向におけるオート用入力リング262とマニュアル用入力リング271との間且つ第1固定筒21aの外周に、第1固定筒21aの軸まわり(光軸まわり)に回動自在に配設されている。
又、この状態で、転動ローラー280bは、オート用入力リング262の第1ローラー転動部262bとマニュアル用入力リング271の第2ローラー転動部271aとの間に配設され、入力リング付勢バネ272cによって両者に加圧状態で挟持されている。
より詳しくは、マニュアル操作リング272とマニュアル用入力リング271との間に、波板リング状のスプリングからなる入力リング付勢バネ272cが設けられており、この入力リング付勢バネ272cによって、マニュアル用入力リング271は、対物側のオート用入力リング262側に付勢されている。
この付勢力により、マニュアル用入力リング271の第2ローラー転動部271aが転動ローラー280bを押圧し、この押圧によって転動ローラー280bがオート用入力リング262の第1ローラー転動部262bを押圧している。これにより、転動ローラー280bは、第1ローラー転動部262bと第2ローラー転動部271aとに、一定の付勢力がかかった状態で挟持されている。
次に、外装部材3について説明する。外装部材3は、レンズ鏡胴本体2の外周側に配設されるもので、この実施形態の外装部材3は、補強部材24の外周を覆うように配置され、ボルト(図示せず)によって補強部材24に固定的に連結されている。
この外装部材3には、周面に、矩形状の貫通孔30が形成されており、外装部材3は、その貫通孔30の全周部に、台座4を保持する台座保持部31を備えている。この実施形態の台座保持部31は、図2に示すように台座保持部31の周方向(図のZ−W方向)の一方側(図のW方向側)の端部に、台座4を係止する第1係止部32を備え、台座保持部31の周方向の他方側(図のZ方向側)の端部に、台座を固定する台座固定部33を備えている。台座固定部33は、この実施形態では、台座固定ボルト34と螺合するネジ孔からなる。
台座4は、光軸方向から見た側面視で円弧形状を呈する台座本体40と、台座本体40の周方向の一方端部に形成された第2係止部41と、周方向の他方端部に形成された被固定部42と、台座本体40の周方向における第1係止部41と被固定部42との間に形成されたスイッチ部材配設部43〜45とを備えている。
台座本体40は、曲率中心が外装部材3の外周面の曲率中心と略同じになるような形状に形成されている。これにより、台座本体40が外装部材3の外周に取り付けられた場合に、台座本体40の外周が外装部材3の外周形状に沿うように形成されている。
第2係止部41は、外装部材3の第1係止部32と係脱自在に係止するもので、この実施形態では、台座本体40の周方向の一方端面から突出した係止爪から構成されている。
被固定部42は、台座固定ボルト34を挿通するボルト挿通孔から構成されている。
スイッチ部材配設部は、この実施形態では、図2〜図5に示すように第2係止部41(図のW方向側)から順に形成された第1スイッチ部材配設部43、第2スイッチ部材配設部44、及び第3スイッチ部材配設部45との3つを備えている。
第1スイッチ部材配設部43は、後述の第1スイッチ部材5aを移動可能に保持するスイッチ部材保持部431と、第1スイッチ部材5aを位置決めする第1スイッチ係合位置決め部433と、第1スイッチ部材5aをガイドする第1スイッチガイドレール432と、第1スイッチ部材配設部43における第1スイッチ部材5aの位置を検出する第1スイッチ部材検出部434とを備えている。
第1スイッチ部材保持部431は、第1スイッチ部材5aを移動可能に受容する受容部431aと、後述のスイッチ部材5aの操作部材51aの軸部512を移動可能に挿通する長孔状の軸嵌挿孔431bとを備えている。
受容部431aは、台座本体40の外周面に、台座本体40の周方向に所定の幅及び光軸方向に所定の長さで、台座本体40の外周面から所定の深さで凹まされるように形成されている。
軸嵌挿孔431bは、受容部431aから台座本体40の内周面に貫通するように形成されている。
第1スイッチ係合位置決め部433は、台座本体40の周方向における軸嵌挿孔531bの他方側(Z方向側)に形成されている。この実施形態の係合位置決め部433は、2つの区画壁433aと、区画壁433aにより区画された3つの第1係合部433dとを備えている。
各区画壁433aは、台座本体40の内周面から内側に突出した頂部433bと、頂部433bの両側に、頂部433bから第1係合部433cにかけて形成された傾斜面433cとを備えている。
第1スイッチガイドレール432は、光軸方向における係合位置決め部433の両側それぞれに形成されている。各ガイドレール432は、後述のスイッチ部材のガイド部が摺動する第1スイッチガイド面432aを備えている。
このガイド面は、この実施形態では、台座本体40の円弧形状の法線に略沿うように形成されている。
第1スイッチ部材検出部434は、台座本体40の周方向における軸嵌挿孔531bの一方側(W方向側)に形成されている。この第1スイッチ部材検出部434は、台座本体40に取り付けられた検出部本体434aと、検出部本体434aに移動可能に保持された検出片434bとを備えている。
検出部本体434aは、検出部本体434aに対する検出片434bの位置を検出できるようになっている。そして、この検出部本体434aは、フレキシブルプリント配線板440によって基板27に接続されている。
第2スイッチ部材配設部44は、第1スイッチ部材配設部43と同様に、第2スイッチ部材5bを保持した第2スイッチ部材保持部441と、第2スイッチ部材5bを位置決めする第2スイッチ係合位置決め部443と、第2スイッチ部材5bをガイドする第2スイッチガイドレール442と、第2スイッチ部材配設部44における第2スイッチ部材5bの位置を検出する第2スイッチ部材検出部444とを備えている。
第2スイッチ部材保持部441は、受容部441aと、軸嵌挿孔441bとを備えている。ただし、この第2スイッチ部材保持部441は、第1スイッチ部材保持部431よりも光軸方向の長さが短く形成されている。
第2スイッチ係合位置決め部443、第2スイッチガイドレール442、及び第2スイッチ部材検出部444も、第1スイッチ部材配設部43のものと略同構成を採っている。
詳しくは、第2スイッチ係合位置決め部443は、区画壁443aと第1係合部443dとを備えている。ただし、この第2スイッチ係合位置決め部443は、1つの区画壁443aによって2つの第1係合部443dを形成している。
第2スイッチガイドレール442は、光軸方向における係合位置決め部433の両側それぞれに形成されており、各第2スイッチガイドレール442は、台座本体40の円弧形状の法線に略沿うように形成されたガイド面442aを備えている。
第2スイッチ部材検出部444は、検出部本体444aと検出片444bとを備えている。
ただし、第2スイッチ係合位置決め部443及び第2スイッチガイドレール442は、台座本体40の周方向(Z−W方向)における軸嵌挿孔431bの他方側(W方向側)に形成され、第2スイッチ部材検出部444は、台座本体40の周方向における軸嵌挿孔531bの他方側(Z方向側)に形成されている。
従って、第2スイッチ係合位置決め部443、第2スイッチガイドレール442及び第2スイッチ部材検出部444は、軸嵌挿孔541bに対する位置が第1スイッチ係合位置決め部433、第1スイッチガイドレール432、第2スイッチ部材検出部434のそれぞれの軸嵌挿孔531bに対する位置とは反対側に配置されている。
第3スイッチ部材配設部45も、第1スイッチ部材配設部43と略同構成を採っている。詳しくは、第3スイッチ部材配設部45は、スイッチ部材保持部451と、第3スイッチ係合位置決め部453と、第3スイッチガイドレール452と、第3スイッチ部材検出部454とを備えている。
第3スイッチ部材保持部451は、受容部451aと、軸嵌挿孔451bとを備えている。
第1スイッチ係合位置決め部453は、2つの区画壁453aと、2つの区画壁453aによって区画された3つの第1係合部453dとを備えている。
第3スイッチガイドレール452は、台座本体40の円弧形状の法線に略沿うように形成されて第3スイッチガイド面452aを備えている。
第3スイッチ部材検出部454は、検出部本体454aと、検出片454bとを備えている。
従って、第3スイッチ係合位置決め部453、第3スイッチガイドレール452及び第3スイッチ部材検出部454は、軸嵌挿孔551bに対する位置が第1スイッチ係合位置決め部433、第1スイッチガイドレール432、第2スイッチ部材検出部434のそれぞれの軸嵌挿孔531bに対する位置と同じ側に配置されている。
このように構成された台座4は、この実施形態では、成形型が用いられて、次のように成形されている。
成形型は、図7、図8に示すように台座4の内面を成形する1つの内面成形型401と、台座4の外面を成形する3つの外面成形型402、403、404とを備えている。
内面成形型401は、外面に、第1スイッチガイド面432aを成形するための第1スイッチガイド面成形部411、第2スイッチガイド面442aを成形するための第2スイッチガイド面成形部412、及び第3スイッチガイド面452aを成形するための第3スイッチガイド面成形部413を有する台座内面成形部401aを備えている。
第1スイッチガイド面成形部411は、台座4を成形した後の内面成形型401の型抜き方向(図のP方向)に対して角度α1を有し、第1スイッチガイド面432aが抜き勾配α1を有する面に成形できるようになっている。
第2スイッチガイド面成形部412は、内面成形型401の型抜き方向に沿った面(抜き勾配が0の面)に形成されており、第2スイッチガイド面442aが抜き勾配が「0」の面に成形できるようになっている。
第3スイッチガイド面成形部413は、内面成形型401の型抜き方向に対して角度α2を有し、第3スイッチガイド面452aが抜き勾配α2を有する面に成形できるようになっている。
従って、この実施形態では、内面成形型401の第1スイッチガイド面成形部411、第2スイッチガイド面成形部412、及び第3スイッチガイド面成形部413は、第1スイッチガイド面432aと第2スイッチガイド面442aと第3スイッチガイド面452aとが互いに異なる抜き勾配となる3つになるように形成されている。
外面成形型402、403、404は、それぞれ、外面に、台座4の外面の一部及び軸嵌挿孔431b、441b、451bを成形する外面成形部402a、403a、404aを備えている。
内面成形型401の型抜き方向は台座円弧方向中心線と略同一となっていることが好ましい。これによれば、多くのスイッチ部材を設ける等で台座4が大型化しても内面形状を形成しやすい。また、第1スイッチガイド面成形部411と外面形成型402の型抜き方向、第2スイッチガイド面成形部412と外面形成型203の型抜き方向、第3スイッチガイド面成形部413と外面形成型404の抜き方向が平行になるよう設定されている。これにより、スイッチ部材の軸部512の軸方向とガイド部が平行になり、複数のスイッチ部材の操作感触が均一になり得る。
また、台座本体40の周方向端部に設けられた操作部材51a(W側)および51c(Z側)にそれぞれ対応する第1スイッチガイド面432aおよび第3スイッチガイド面452aは各々台座端部側を向くように(W側、Z側を向くように)設けられている。
このように構成された内面成形型401と外面成形型402、403、404とは、図7に示すように互いに台座内面成形部401aと外面成形部402a、403a、404aとが対向するように合わされて、台座内面成形部401aと外面成形部402a、403a、404aとの間に台座成形部405が形成される。
そして、その状態で、例えば溶融状の合成樹脂材料が台座成形部405に充填されて冷却される。これにより、台座成形部405に台座4が成形される。
その後、内面成形型401と外面成形型402、403、404とが、図8に示すように成形された台座4に対して型抜き(離形)される。
その際、第1スイッチガイド面432aが内面成形型401の型抜き方向に対して抜き勾配α1を有する面に形成され、第2スイッチガイド面442aが内面成形型401の型抜き方向に沿った面に形成され、又、第3スイッチガイド面452aが内面成形型401の型抜き方向に対して抜き勾配α2を有する面に形成されている。これにより、1つの内面成形型401によって第1スイッチガイド面432aと第2スイッチガイド面442aと第3スイッチガイド面452aとが一体成形によって、欠肉や割れ等が生じることなく平滑な面に形成される。従って、台座4が低コストで製作される。
次に、スイッチ部材について説明する。スイッチ部材は、第1スイッチ部材保持部431に保持された第1スイッチ部材5aと、第2スイッチ部材保持部441に保持された第2スイッチ部材5bと、第3スイッチ部材保持部451に保持された第3スイッチ部材5cとの3つを備えている。
第1スイッチ部材5aは、操作部材51aと、操作部材51aと連結された連結部材52とを備えている。
操作部材51aは、押圧操作される板状の押圧操作部511と、四角柱状の軸部512とを備えている。押圧操作部511は、第1スイッチ部材保持部431の受容部431aに光軸方向に移動可能に配置されている。又、押圧操作部511は、外面に、光軸方向と直交する方向に延された複数の滑り止め部511aを備えている。
軸部512は、押圧操作部511の内面から突出するように形成されており、突出した先端面に、連結部材52が当接する当接部512aと、連結部材52を固定的に連結するための被連結部512bを備えている。
当接部512aは、軸部512の軸方向に直交する直交面に形成されている。又、被連結部512bは、この実施形態では、連結ボルト53が螺合するネジ孔からなる。
連結部材52は、図6に示すように矩形板状の連結部材本体521と、連結部材本体521における幅方向の一方端部に形成された第1係合部522と、連結部材本体521における他方端部に形成された第2係合部523と、第2係合部523を挟んで第2係合部523の両側に形成され第1ガイドレールを摺動する複数のスライド部524a、524bとを備えている。
連結部材本体521は、厚さ方向の一方面に、当接部512aに当接される被当接部521bを備えている。又、連結部材本体521は、厚さ方向の一方面から他方面に貫通するように形成された連結ボルト挿通孔521aを備えている。又、連結部材本体521は、前記他方端部に、段部521dを介して折り曲げた第1折曲片521e及び第2折曲片521fと、第1折曲片521eから延設された弾性を有する腕部521gとを備えている。
第1係合部522は、第1スイッチ部材検出部434の検出片434bと係合するもので、この実施形態では、第1係合部522は、検出片434bを嵌挿する検出片嵌挿部522aを備え、この検出片嵌挿部522aに検出片434bが嵌挿されることにより、第1係合部522と第1スイッチ部材検出部434の検出片434bとが係合するようになっている。第2係合部523は、連結部材本体521の腕部521gの先端に形成されている。
スライド部524a、524bは、各スイッチガイドレール432、442、452に応じて何れか1つが選択的に使用されるもので、この実施形態では、スライド部は、第1スライド部524aと、第2スライド部524bとの2つからなる。第1スライド部524aは、第1折曲片521eの先端面及び第2折曲片521fの先端面に形成されている。これらの第1スライド部524aは、被当接部521bと直交する面に形成されている。
第2スライド部524bは、第1折曲片521eの折り曲げ基端部の段部及び第2折曲片521fの折り曲げ基端部の段部に形成されている。これらの第2スライド部524bも、被当接部521bと直交する面、即ち第1スライド部524aと平行に形成されている。
このように構成された第1スイッチ部材5aは、例えば、次のようにして第1スイッチ部材保持部431に保持されている。
即ち、操作部材51aの軸部512が台座4の外周側から軸嵌挿孔431bに嵌挿される。一方、台座4の内周側に連結部材52が配置されて軸部512に連結される。詳しくは、連結部材52は、第1係合部522が台座4の周方向の一方側(W方向側)を向くようにして、第1係合部522と検出片434bとが係合するとともに、連結部材52の第1スライド部524aが第1スイッチガイドレール432の第1スイッチガイド面432aに当接し、操作部材51aの当接部512aに連結部材52の被当接部521bが当接した状態にされる。従って、この実施形態では、第1スイッチ部材5aの第1スライド部524aが第1スイッチガイドレール432の第1スイッチガイド面432aの位置や形状に適合しており、第1スライド部524a及び第2スライド部524bとの内で第1スライド部524aが選択されて使用されている。
この状態で、連結部材52の連結ボルト挿通孔521aに連結ボルト53が通されて操作部材51aの軸部512の被連結部512bに螺合される。これにより、操作部材51aと連結部材52とが連結され、第1スイッチ部材5aが台座4の第1スイッチ部材保持部431に摺動可能に保持されている。
第2スイッチ部材5bは、この実施形態では、オートフォーカスの駆動範囲の設定を切り替えるものとされており、第1スイッチ部材5aと同様に、操作部材51bと、操作部材51bと連結された連結部材52とを備えている。
第2スイッチ部材5bの操作部材51bは、第1スイッチ部材5aの操作部材51aよりも小さく、第2スイッチ部材保持部441の受容部441aに受容可能な大きに形成されている。操作部材51bのそれ以外は、第1スイッチ部材5aの操作部材51aと同構成を採っている。
第2スイッチ部材5bの連結部材52は、第1スイッチ部材5aのものと同構成を採っている。
このように構成された第2スイッチ部材5bは、上述の第1スイッチ部材5aの場合と同様にして、第2スイッチ部材保持部441に保持されている。
ただし、この第2スイッチ部材5bにおける連結部材52は、第1スイッチ部材5aにおける連結部材52とは、向きを逆にして配設される。即ち、連結部材52は、第1係合部522が台座4の周方向の他方側(Z方向側)を向くようにして配置され、第2スイッチ部材5bにおける連結部材52の第2スライド部524bが第2スイッチガイドレール442のガイド面442aに当接している。従って、第2スイッチ部材5bにおける連結部材52の第2スライド部524bが第2スイッチガイドレール442の第2スイッチガイド面442aに適合しており、第1スライド部524a及び第2スライド部524bとの内で第2スライド部524bが選択されて使用されている。
第3スイッチ部材5cは、この実施形態では、オートフォーカスのプリセット(所定のフォーカス位置に駆動させる)設定スイッチとされており、第1スイッチ部材5aと同様に、操作部材51cと、操作部材51cと連結された連結部材52とを備えている。
これらの操作部材51c及び連結部材52は、第1スイッチ部材5aの操作部材51a及び連結部材52と同構成を採っている。
このように構成された第3スイッチ部材5cも、上述の第1スイッチ部材5aの場合と同様にして、第3スイッチ部材保持部451に保持されている。
又、この第3スイッチ部材5cにおける連結部材52の第2スライド部524bが選択使用されて第3スイッチガイドレール452のガイド面452aに当接している。
以上のように構成されたレンズ鏡胴1は、例えば第1スイッチ部材5aをオートフォーカスモード(この実施形態では、2つのオートフォーカスモードの何れか)位置に摺動操作する。その摺動に際し、連結部材52の第1スライド部524aが第1スイッチガイドレール432の第1スイッチガイド面432aに面接触した状態で摺動するため、第1スライド部524aが第1スイッチガイド面432aを円滑に摺動し、感触が良好になる。又、第1スイッチガイド面432aに傷が付くおそれが少なく、ガイド面とスライド部との耐久性を向上できる。
第1スイッチ部材5aがオートフォーカスモードに押圧操作されると、第1スイッチ部材検出部434の検出片434bが第1スイッチ部材5aと共に移動する。そして、検出部本体434aは、検出部本体434aに対する検出片434bの位置を検出してその検出した位置情報を基板27に送信する。
これにより、基板27からオートフォーカス用駆動モータ261へ電圧が印加され、それに伴いオートフォーカス用駆動モータ261が作動する。
又、このオートフォーカス用駆動モータ261の作動に伴って、第1ギア261aと噛合したオート用入力リング262が回動する。また、この回動に伴い、転動ローラー280bが第1ローラー転動部262bを転動する。その際、転動ローラー280bが第1ローラー転動部262bとマニュアル用入力リング271の第2ローラー転動部271aとに挟持されているとともに、マニュアル用入力リング271が入力リング付勢バネ272cの付勢力等によって回動が規制されているため、転動ローラー280bは自転しながら、第1固定筒21aのまわりを公転し、これにより、転動ローラー280bを保持した出力リング280が回動する。
そして、その出力リング280の回動に伴い、カム筒23が回動する。又、カム筒23の回動によって、第1固定筒21aのガイド溝212及びカム筒23のカム溝231夫々に入り込んだガイド軸221がそれらの溝212,31を移動し、これにより、第2レンズ群22bが第1固定筒21aの光軸方向に移動する。
一方、マニュアル操作する場合は、第1スイッチ部材5aがオートフォーカスモード位置からマニュアルモード位置に押圧操作され、その状態から、マニュアル操作リング272が手で回動操作される。これにより、マニュアル用入力リング271が回動し、第2ローラー転動部271aを転動ローラー280bが転動する。その際、転動ローラー280bを挟持したオート用入力リング262は、オートフォーカス用駆動モータ261と噛合して回動できないため、転動ローラー280bは自転しながら、第1固定筒21aのまわりを公転し、出力リング280全体が回動する。以下、上述したと同様に、カム筒23が回動して第2レンズ群22bが第1固定筒21aの光軸方向に駆動できる。
以上のようにレンズ鏡胴1が構成されることにより、連結部材が複数のスライド部を備え、ガイドレールの位置に応じてスライド部の内の何れか1つが選択的に使用されるため、台座における複数の摺動部材の配置の自由度が高められる。これにより、例えば台座におけるガイドレールの配置やスイッチ部材検出部の配置の自由度が高くなり、スイッチ部材検出部に接続するフレキシブルプリント配線板が配線され易くなる。一方、同じ形状の連結部材を形成すればよく、製造コストを抑えることができる。
又、連結部材の一方端部に第1係合部が形成され、連結部材の他方端部にスライド部と第2係合部とが形成されるため、連結部材の形成が容易になる。又、台座における係合位置決め部と検出部とを所定の間隔を隔てて形成でき、係合位置決め部と検出部との形成が容易になる。
又、各スライド部は、第2係合部を挟んで第2係合部の両側に配置されているため、各スライド部がガイドレールを摺動するに際して摺動部材がガイドレールに対して傾くおそれが少なく、各スライド部がガイドレールを安定的に摺動できる。又、連結部材の一方端から他方端までの幅方向の長さを抑えることができ、連結部材が小型化される。
又、連結部材は、第2係合部を係合位置決め部側に付勢する腕部を備えているため、第2係合部が係合位置決め部に入ったクリック感を使用者に与えることができるとともに、第2係合部が係合位置決め部に入った状態を維持できる。又、係合位置決め部に入った第2係合部が付勢力以上の力がかかると、係合位置決め部から出て第2係合部の位置が変えられる。
又、連結部材本体と弾性を有する腕部とを一体的に形成すれば、バネ等の付勢部材を不要にでき、連結部材を容易に低コストで形成できる。
また、各スイッチ部材5a、5b、5cの軸部512の軸方向が台座本体40の円弧形状の法線方向に沿うように形成されている。これにより、複数のスイッチ部材5a、5b、5cそれぞれで台座本体40との関係(凸量)が同等になり操作性が均一になる。
また、各スイッチ部材5a、5b、5cの軸部512の軸方向が各ガイド面432a、442a、452aと平行に形成されており、スライド部524a、524bがガイド面432a、442a、452aをより円滑にスライドする。これによりスライドする感触をさらに良好にできる。
また、被連結部512bとガイド面432a、442a、452aが直交しており、連結部材52が板状の場合、より面接触しやすく、スライドする感触がより良好になる。
また、操作部材51a、51b、51cの中心位置(例えば53の軸中心)から、ガイド面432a、442a、452a、第1係合部522、第2係合部523までの距離がほぼ等距離に配置されており、また、該中心位置と前記各部との位置関係も同じになっているので、複数の操作部材51a、51b、51cの操作感触を均一にすることが容易になる。
尚、上記実施形態では、摺動部材は、スイッチ部材5a、5b、5cから構成されたが、この形態のものに限らず、種々のものに適用でき、適宜変更できる。
又、上記実施形態では、摺動部材は、3つのスイッチ部材5a、5b、5cから構成されたが、摺動部材は、2つ以上であればよく、適宜適宜変更できる。