以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1及び図2に示すAは、作業車の一形態であるキャビンタイプのトラクタであり、以下では、トラクタAの全体構成について説明し、続いて、トラクタAの特徴となる構成について説明し、その後に、トラクタAの他の構成について説明する。
[トラクタの全体構成の説明]
トラクタAは、図1及び図2に示すように、前後方向に延伸させて枠組形成した機体フレーム10の前部に原動機部11を設けるとともに、機体フレーム10の後端部にミッションケース12を設けている。原動機部11とミッションケース12は、動力伝動シャフト(図示せず)を介して連動連結している。そして、機体フレーム10の前部には、左右方向に軸線を向けたフロントアクスルケース13を取り付け、フロントアクスルケース13の左右側端部に前輪軸14を介して前輪15を取り付けている。また、ミッションケース12の左右側部には、それぞれリヤアクスルケース16を取り付けて、各リヤアクスルケース16に後輪軸17を介して後輪18を連動連結している。ミッションケース12とフロントアクスルケース13は、前輪駆動シャフト(図示せず)を介して連動連結して、前・後輪15,18を駆動する四輪駆動を可能としている。19は燃料タンクである。
トラクタAは、機体フレーム10上において、原動機部11の直後方に運転部20を配設しており、運転部20は、キャビンCにより被覆されている。
(キャビンの構成の説明)
キャビンCは、図1、図2、図6及び図7に示すように、六面体を形成するように枠組み形成したキャビンフレーム200と、キャビンフレーム200を形成する各片間に介設した各面部とから形成している。
すなわち、キャビンフレーム200は、図6及び図7に示すように、上下方向に延伸する左右一対の前部支柱片202と、中途部支柱片204と、後部支柱片206と、を前後方向に間隔をあけて配置している。これらの支柱片202,204,206の上端部間には、前後方向に延伸する左右一対の上部桁片208を架設する一方、これらの支柱片202,204,206の下端部間には、前後方向に延伸する左右一対の下部桁片210を架設している。
左右一対の下部桁片210は、下部桁片前部212を床面部21の左右側端縁部に沿わせて水平な直状に形成するとともに、下部桁片後部214を左右一対のフェンダ29の上面に沿わせて湾曲状に形成している。左右一対の前部支柱片202の上端部間には、左右方向に延伸する前部梁片216を横架している。一方、左右一対の後部支柱片206の上端部間には、左右方向に延伸するとともに、後方へ張り出し状に湾曲させて形成した後上部梁片218を横架している。左右一対の後部支柱片206の下端部間には、左右方向に延伸するとともに、後方へ張り出し状に湾曲させて後上部梁片218と略同一形状に形成した後下部梁片220を横架して形成している。
左右一対の上部桁片208の後端間には、後上部梁片218に沿って後方へ張り出し状に湾曲させて形成した本体支持体222を架設している。本体支持体222は、後上部梁片218に沿って湾曲する水平張り出し状で帯状の水平張り出し面部224と、水平張り出し面部224の後端縁部から上方へ立上がり状の立上がり面部226と、立上がり面部226の上端縁部から前方へ屈曲して延出状の前方延出面部228とを、剛性を有する薄肉板金により一体に成形している。
このように形成したキャビンフレーム200は、後部強度メンバー230の一部を形成しており、後部強度メンバー230は、図3及び図4に示すように、キャビンフレーム200の一部を形成する左右一対の下部桁片前部212間に、床面部21の本体をなす水平面状の床板232を張設している。
床板232の上面には、マット(図示せず)を張設して床面部21を形成している。床板232の前端縁中央部には、原動機部11と運転部20との間を遮蔽する遮蔽板22を立設している。
遮蔽板22は、原動機部11の背面を全面被覆可能な必要最低限の形状・大きさに形成して、原動機部11において生成された熱気が運転部20側に流入するのを防止している。遮蔽板22の左右側上部と左右一対の前部支柱片202の中途部との間には、左右方向に水平に延伸する左右一対の補強片234を介設している。
床板232の後端縁部には、段付き凸条に形成した支持枠面板236の前端縁部を接続し、支持枠面板236を介してミッションケース12上に運転席28を載設している。支持枠面板236の後端縁部には、後下部梁片220に向けて、前低後高の傾斜状に背面板238を延設して張設している。支持枠面板236及び背面板238の左右側縁部と、左右一対の下部桁片後部214との間には、左右一対のフェンダ29をそれぞれ介設している。
床板232の左右側前部において、遮蔽板22の左右側下端部と前部支柱片202の下端部との間には、左右方向に延伸する左右一対の前下部横片240を横架している。左右一対の前下部横片240の内側端部と、後下部梁片220の中途部との間には、床板232と支持枠面板236と背面板238に沿って、下方に凸状に湾曲する左右一対の床面桁242を架設して、左右一対の床面桁242により床板232と支持枠面板236と背面板238を下方から支持している。244は、左右一対の前下部横片240の内側下面に取り付けた左右一対の前部防振体であり、また、246は、左右一対の床面桁242の中途部に設けた後部防振体である。
このように構成した後部強度メンバー230は、左右一対の前部防振体244と左右一対の後部防振体246を介して、機体フレーム10上に載設することで、キャビンCを防振構造となしている。
キャビンCは、図1に示すように構成している。すなわち、左右一対の上部桁片208と前部梁片216と後上部梁片218と本体支持体222とにより枠状に形成される天井面部には、扁平箱状に形成した天井部250を張設している。
左右一対の前部支柱片202と前部梁片216と左右一対の補強片234とにより枠状に形成される前面上部には、前窓部252を張設するとともに、左右一対の前部支柱片202と左右一対の補強片234と左右一対の前下部横片240とにより枠状に形成される前面下部には、左右一対の前壁部254を張設している。
左右一対の前部支柱片202と中途部支柱片204と上部桁片208と下部桁片210とにより枠状に形成される左右側面部には、左右一対の乗降扉部256を開閉自在に張設している。左右一対の中途部支柱片204と後部支柱片206と上部桁片208と下部桁片210とにより枠状に形成される左右側面部には、左右一対の側窓部258を開閉自在に張設している。左右一対の後部支柱片206と後上部梁片218と後下部梁片220とにより囲繞状態に形成される後面部には、後窓部260を開閉自在に張設している。259は、側窓部開閉取っ手、262はフロントワイパー、264はリヤワイパー、266は低速度マーク、268は乗降ステップである。
天井部250には、左右一対の後部支柱片206よりも後方へ張り出し状にエアコン本体配設部270を設けており、エアコン本体配設部270は、後部天井片222により支持されている。エアコン本体配設部270内には、エアコン装置300の一部を構成するエアコン本体310を配設している。エアコン装置300は、エアコン本体310とエアコン用のコンデンサ49とエアコン用のコンプレッサ59とレシーバードライヤ51等を具備している。前窓部252の中央下部には、遮蔽板22の上端部に設けたワイパー取付孔22aを介してフロントワイパー262の基部を取り付けている。
(天井部の構成の説明)
天井部250の構成について、図5,図8,図9を参照しながら説明する。すなわち、天井部250は、前記したように左右一対の上部桁片208と前部梁片216と後上部梁片218と本体支持体222とにより枠状に形成される天井面部において、天井部本体278と、天井部本体278の内側壁を形成する板状の内側天井片272と、内側天井片272の直上方に対向させて配置して、天井部本体278の外側壁を形成する板状の外側天井片274と、両内・外側天井片272,274の後端縁部間に介設して、エアコン本体配設部270の下部及び後部壁を形成する後部天井片276と、から形成している。
天井部本体278は、ダクト配設部280とエアコン本体配設部270とから形成している。ダクト配設部280には、後述する給気ダクト370と送気ダクトを配設している。内側天井片272は、前部梁片216の下端面部に前端縁部を取り付ける一方、後上部梁片218の下端面部に後端縁部を取り付けている。外側天井片274は、前部梁片216の上端面部に前端縁部を取り付けるとともに、側面視流線形状に形成している。そして、外側天井片274の後部には、後上部梁片218よりも後方へ張り出し状に延出させて、後方延出部290を形成している。
外側天井片274は、天井部本体278を上方から被覆しており、外側天井片274の下面と、天井部本体278の周囲を枠状に囲繞する各片の上面との間には、図8に示すように、平面視枠状に形成したシール材282を介設して、天井部250のシール性を良好に確保している。つまり、天井部250内に雨水や洗浄水等が浸入するのを防止している。
より具体的に説明すると、シール材282は、前部梁片216の上後縁部の上面に沿わせて左右方向に延伸させて形成した前縁部284と、左右一対の上部桁片208の内側上縁部の上面に沿わせて前後方向に延伸させて形成した左・右側縁部286と、本体支持体222の前方延出面部228の上面に沿わせて左右方向に延伸させて形成した後縁部288と、から枠状に形成している。
後部天井片276は、後上部梁片218の後端面部に前端縁部294を取り付けて、後方へ延出させるとともに、上方へ立ち上げ、上端縁部296を前方へ折曲させて形成している。前端縁部294には、後述する間隙298から多目的空間348内に浸入した雨水や洗浄水等を機外に排出するための排出孔(図示せず)を形成している。後部天井片276の上端縁部296は、後方延出部290の後端縁部292の上面に重合させて、立上がり面部226の上部に設けたブラケット227にボルト229及びナット231により取り付けている。そして、後方延出部290と後部天井片276とにより、エアコン本体配設部270を後方へ張り出し状に形成している。エアコン本体配設部270内には、エアコン装置300の一部を形成するエアコン本体310を配設している。
エアコン装置300は、冷房サイクル機構と暖房サイクル機構とを備えている。すなわち、エアコン装置300は、エアコン本体配設部270内に配設したエアコン本体310と、後述する原動機部11に配設したエアコン用のコンデンサ49、エアコン用のコンプレッサ59及びレシーバードライヤ51と、これらを流体的に接続する冷媒配管322等を具備している。
エアコン本体310は、冷気を生成するエバポレータ312と、エバポレータ312内の圧力調整をする膨張弁・絞り弁からなるエキスパンションバルブ314(図15参照)と、暖気を生成するヒータコア316と、これらが生成した冷気と暖気を送風する送風ファン318と、これらを収容する本体ケース320と、を具備している。
冷房サイクル機構は、冷媒を圧縮するコンプレッサ59と、圧縮されて高温高圧になった冷媒を冷やして液化するコンデンサ49と、内部に冷媒の不純物を取り除くストレーナと水分を除去する乾燥剤が収容されていて、コンデンサ49によって液化された冷媒を一時的に蓄えておくタンクであるレシーバードライヤ51と、エバポレータ312の入口に取り付けられていて、高温高圧の液化冷媒がここを通ると液から霧状の気体に変化していって噴射されるエキスパンションバルブ314と、気化した冷媒が熱を奪いながら通過して行き、それ自体が冷却されるものであるエバポレータ312と、これらを流体的に接続して、液体ないしは気体の状態の冷媒を循環させるための循環流路を形成する冷媒配管322と、から構成している。
暖房サイクル機構は、後述するエンジン40に連動連結したウォーターポンプ(図示せず)と、エアコン本体310内に設けて熱交換器として機能するヒータコア316と、これらを連通連結する温水配管324とから構成している。温水配管324は、図14及び図22に示すように、吐出側温水管326と戻り側温水管328とから形成している。
次に、トラクタAの特徴となる構成、つまり、天井部250内に配設したエアコン本体310の支持構造と、エアコン本体310への外気取入構造と、エアコン本体310からの冷・暖気放出構造と、側窓部258の開閉枢支構造の説明と、について、この順番で説明する。
[エアコン本体の支持構造の説明]
エアコン本体310の支持構造について、図5〜図8を参照しながら説明する。すなわち、エアコン本体310を配設するためのエアコン本体配設部270は、運転部20を被覆するキャビンCの天井部250に、キャビンフレーム200の一部を形成する左右一対の後部支柱片206よりも後方へ張り出し状に設けている。そして、エアコン本体配設部270は、左右一対の後部支柱片206の上端部間に横架した後上部梁片218に、本体支持体222を後方へ向けて張り出し状に張設している。本体支持体222は、キャビンフレーム200の一部を形成しており、エアコン本体310を下方から支持するための支持剛性を有している。そして、本体支持体222には、エアコン本体310を上方から取り付け可能としている。
本体支持体222は、剛性を有する薄肉板金により一体成形した水平張り出し状の水平張り出し面部224と、水平張り出し面部224の後端縁部から上方へ立上がり状の立上がり面部226と、を具備している。立上がり面部226には、複数(本実施形態では、四個)の取付ステー330を、各取付ステー330の上面が仮想同一水平面上に位置するように、内方へ向けて水平に突設し、各取付ステー330を介してエアコン本体310を上方から水平に架設状に取り付け可能としている。
エアコン本体310は、本体ケース320内に冷気と暖気を生成する機器等を配設して構成している。本体ケース320の側壁である左右側壁と後側壁には、複数(本実施形態では、五個)の取付片340を各取付ステー330と対向させて外方へ張り出し状に突設している。各取付片340と各取付ステー330は、上下方向に重合させて、これらの重合する部分に取付ボルト346を上下方向に貫通させて螺着することで、各取付ステー330に各取付片340を介してエアコン本体310を上方から架設状に取り付け可能としている。本体支持体222と、本体支持体222に各取付ステー330及び各取付片340を介して架設状に取り付けられた本体ケース320と、の間には、空間が形成されるようにしている。
より具体的に説明すると、本体支持体222の立上がり面部226は、後方へ膨出する平面視湾曲状に形成している。立上がり面部226には、その左側端部に第1の取付ステー330を右側方へ向けて水平に突設し、その左側部に第2の取付ステー330を右側前方へ向けて水平に突設し、その右側部に第3及び第4の取付ステー330をそれぞれ前方へ向けて水平に突設している。また、右側の上部桁片208の内側後端部には、第5の取付ステー330を左側方へ向けて水平に突設している。
エアコン本体310の本体ケース320は、下面が開口する箱型の上部ケース形成片332の下端縁部と、上面が開口する箱型の下部ケース形成片334の上端縁部と、を嵌合状態に接続して形成している。上部ケース形成片332には、その天井面における第1〜第5の取付ステー330と対応する位置に上部片336を水平に突設している。一方、下部ケース形成片334には、各上部片336と上下方に面接触するように整合する下部片338を水平に突設している。面接触する各上部片336と各下部片338とで各取付片340を形成している。
各取付片340には、それぞれ上下方向に開口するボルト挿通孔342を形成する一方、各取付ステー330には、ボルト螺着部344を設けている。そして、各取付ステー330のボルト螺着部344に、各取付片340のボルト挿通孔342を上方から整合させて、整合するボルト挿通孔342とボルト螺着部344中に取付ボルト346を螺着することで、本体支持体222に本体ケース320、つまり、エアコン本体310を架設状に取り付け可能としている。
エアコン本体310は、本体支持体222からは離隔状態に取り付けられている。エアコン本体310と本体支持体222との間には、多目的空間348が形成されている。多目的空間348は、雨水や洗浄水等の排水のための空間、外気を吸入するとともに、吸入した外気を外気導入口354に導入するための空間、及び、配管のための空間、等として機能する空間である。350は、本体ケース320の後壁に貫通状態に取り付けた温度センサであり、温度センサ350は、エバポレータ312により生成された冷気の温度を検出するものである。
このように構成したエアコン本体310の支持構造では、エアコン本体310を下方から支持するための支持剛性を有する本体支持体222に、エアコン本体310を上方から取り付け可能としているため、本体支持体222へのエアコン本体310の取付作業が上方から容易に行える。
そして、本体支持体222が具備する立上がり面部226には、複数の取付ステー330を内方へ向けて水平に突設し、複数の取付ステー330を介してエアコン本体310を上方から架設状に取り付け可能としているため、本体支持体222へのエアコン本体310の取付作業が上方から安定させた状態にて容易にかつ堅実に行える。
しかも、エアコン本体310の本体ケース320の側壁には、複数(本実施形態では、五個)の取付片340を各取付ステー330と対向させて外方へ張り出し状に突設して、各取付片340と各取付ステー330を、上下方向に重合させて、これらの重合する部分に取付ボルト346を上下方向に貫通させて螺着することで、各取付ステー330に各取付片340を介してエアコン本体310を上方から架設状に取り付け可能としているため、本体支持体222へエアコン本体310を載置してからボルト締めするまでの取付作業の全てを、大きく開放された上方のみから能率良く行うことができる。
さらには、本体支持体222にエアコン本体310を取り付けた場合に、本体支持体222とエアコン本体310との間に、多目的空間348が形成されるようにしているため、多目的空間348を通して雨水や洗浄水等を機外に排出することができる。換言すると、エアコン本体310に雨水や洗浄水等が塞き止められて、本体支持体222上に滞留するのを防止することができる。また、多目的空間348は、それを通してコンパクトな配管や配線が可能となる。
[エアコン本体への外気取入構造の説明]
エアコン本体310への外気取入構造について、図5〜図13を参照しながら説明する。すなわち、中空扁平板状に形成した天井部250は、キャビンCの左右側上部を形成する左右一対の上部桁片208間に架設しており、天井部250は、ダクト配設部280とエアコン本体配設部270とから天井部本体278を形成している。ダクト配設部280には、給気ダクト370と送気ダクトを配設する一方、エアコン本体配設部270には、エアコン本体310を配設して、給気ダクト370を通してエアコン本体310に外気を供給可能としている。
上部桁片208は、前後方向に直状に延伸する筒状に形成し、上部桁片208の前部に、天井部250内の給気ダクト370と連通する連通口352を形成している。そして、上部桁片208は、その後端部を後方へ向けて漸次拡径するラッパ状に形成し、図12及び図21に示すように、その後端開口を外気導入口354となしている。外気導入口354には、外気フィルタ355を張設した筒状のフィルタケース356を配置している。そして、外気導入口354から導入される外気中の塵埃等は、外気フィルタ355により取り除かれるようにしている。外気導入口354から導入された外気は、上部桁片208中を通して連通口352から天井部250内の給気ダクト370を通してエアコン本体310に供給されるようにしている。
天井部250は、内側天井片272と、外側天井片274と、両内・外側天井片272,274の後端縁部間に介設した後部天井片276と、から形成して、左右一対の上部桁片208の後端部を桁片カバー体616により被覆するとともに、本体支持体222を後部天井片276により被覆している。後部天井片276は、その上端縁部296を、外側天井片274の後方延出部290に段付き凹条に形成された後端縁部292上に重合状態に配置して、図12に示すように、その重合部に形成される間隙298から外気W1を吸入可能としている。間隙298から吸入された間隙吸入外気W2は、本体支持体222と後部天井片276及び桁片カバー体616との間に形成される多目的空間348を通して、各上部桁片208の後端部に開口された外気導入口354に外気フィルタ355を通して導入されるようにしている。
天井部250内には、その後部にエアコン本体310を配置している。外気導入口354とエアコン本体310に設けた送風ファン318の吸気口358との間には、左右一対の外気供給流路360を介設している。各外気供給流路360は、上部桁片208中に形成される外気導入路362と、給気ダクト370内に形成される給気路364と、から折り返し状に屈曲させて形成している。つまり、外気供給流路360は、逆U字状に迂回させて長尺に形成している。具体的には、外気導入口354から導入された導入外気W3が上部桁片208中の外気導入路362を通して連通口352まで導入され、連通口352から供給外気W4が給気ダクト370内の給気路364を通して天井部250内の後部に配置したエアコン本体310の送風ファン318の吸気口358に供給されるようにしている。
天井部250内には、その後部に配置したエアコン本体310と、エアコン本体310に給気する給気ダクト370と、を設けている。給気ダクト370は、左右一対の上部桁片208にそれぞれ形成した連通口352を通して導入された導入外気W3を取り込む左右一対の分岐取込部372と、分岐取込部372により取り込まれた供給外気W4を合流させて後方へ搬送する後方搬送部374と、後方搬送部374を通して搬送された空気(供給外気W4ないしは供給内気W6)をエアコン本体310に設けた送風ファン318の吸気口358に収集して給気する収集給気部376と、を具備している。
本実施形態の給気ダクト370は、左右一対の分岐取込部372を左右方向に直状に延伸するダクト状に形成し、後方搬送部374を左右一対の分岐取込部372の合流部から後方へ直状に延出するダクト状に形成し、収集給気部376を送風ファン318の吸気口358に空気が収集されるようにロート状に形成して、給気ダクト370内に給気路364を形成している。ここで、左右一対の分岐取込部372と後方搬送部374は、平面視T字状に形成している。また、前後方向に延伸する筒状に形成した左右一対の上部桁片208中には、それぞれ外気導入路362を形成して、両外気導入路362と給気路364を連通させて、左右一対の外気供給流路360を形成するとともに、各外気供給流路360を長尺に形成している。
より具体的に説明すると、左右一対の上部桁片208の前部には、前後横長四角形の連通口352(図21参照)を形成し、連通口352には、その周縁部に沿わせて四角形枠状に形成した枠体380を設けている。給気ダクト370は、分岐取込底面片382と、後方搬送底面片384と、本体ケース320の上部ケース形成片332の上面部と、前端部ダクト形成片386と、左右一対の中途部ダクト形成片388と、左右一対の側部ダクト形成片390と、後部ダクト形成片392と、外側天井片274と、から形成している。
分岐取込底面片382は、分岐取込部372の底面部を形成している。後方搬送底面片384は、後方搬送部374の底面部を形成している。前端部ダクト形成片386は、分岐取込底面片382の前端縁部に沿わせて左右方向に直状に延伸させて形成して、左右一対の枠体380の前端縁部間に介設している。中途部ダクト形成片388は、分岐取込底面片382の後端縁部に沿わせて左右一対の枠体380の後端縁部から内方へ直状に延伸させて形成している。左右一対の側部ダクト形成片390は、左右一対の後方搬送部374の左右側縁部に沿わせて、各中途部ダクト形成片388の内側端部から後方のエアコン本体310に向けて直状に延伸させて形成している。後部ダクト形成片392は、両側部ダクト形成片390の後端間に左右側端部を連結するとともに、本体ケース320の上面部において、中途部を送風ファン318の吸気口358の直後方位置まで膨出させて形成している。
外気供給流路360は、前後方向に延伸する筒状に形成した左右一対の上部桁片208中に形成される外気導入路362と、給気ダクト370内に形成される給気路364と、から平面視逆U字状に迂回させて長尺に形成した流路となしている。そして、導入された外気中の塵埃等は、外気導入口354に張設した外気フィルタ355によって大部分が取り除かれるとともに、わずかに導入された残余の塵埃等は、外気が長尺に形成した外気供給流路360を通して流動される間に、外気供給流路360内に沈降(落下)される。そのため、送風ファン318の吸気口358には、塵埃等が殆ど含まれない状態で給気がなされる。
後方搬送部374の中途部には、外気循環流路と内気循環流路とを切り替える流路切替手段400を設けている。すなわち、外気循環流路は、外気をエアコン本体310に設けた送風ファン318の吸気口358に給気して、エアコン本体310内で生成した暖気及び/又は冷気をキャビンC内の運転部20に供給し、その後、機外に排気することで、キャビンC内を通して外気を循環させる流路である。内気循環流路は、キャビンC内の運転部20の内気W5をエアコン本体310に設けた送風ファン318の吸気口358に給気して、エアコン本体310内で生成した暖気及び/又は冷気をキャビンC内の運転部20に供給することで、キャビンC内において、エアコン装置300と運転部20との間で内気W5を循環させる流路である。
流路切替手段400は、後方搬送部374の上流側に配置して、内・外気循環流路を切り替える流路切替部402と、後方搬送部374における流路切替部402よりも下流側に配置して、流路切替部402を切替駆動する切替駆動部404と、を具備している。
流路切替部402は、ダクト状に形成した後方搬送部374の前部に、外気流入口406を形成した流入口形成片408を前低後高の傾斜状(後傾状)に配置している。外気流入口406の直下方に位置する内側天井片272と後方搬送底面片384の部分には、それぞれ第1内気流入口410と第2内気流入口412を形成している。外気流入口406と第2内気流入口412は、左右横長四角形の略同一形状に形成する一方、第1内気流入口410は、二個の左右横長四角形状を左右に併設して形成している。第1内気流入口410には、内気フィルタ414を張設している。
流入口形成片408と後方搬送底面片384との間には、流路切替片416を配設している。流路切替片416は、四角形板状に形成して、後方搬送底面片384に前端縁部418を取り付けるとともに、前端縁部418を中心にして後端縁部側を上下方向に揺動自在となしている。流路切替片416の上面には、外気流入口406を閉塞する閉塞パッド420を張設している。
そして、流路切替片416が上方に揺動されて後傾状態の傾斜姿勢を採ると、閉塞パッド420を介して外気流入口406が下方から閉塞される。また、流路切替片416が下方に揺動されて水平状態の横臥姿勢を採ると、第1・第2内気流入口410,412が上方から閉塞される。つまり、流路切替片416により外気流入口406が閉塞されると、第1・第2内気流入口410,412が開放されて、キャビンC内の内気が第1・第2内気流入口410,412を通して送風ファン318の吸気口358に給気される内気循環流路が形成される。また、流路切替片416により第1・第2内気流入口410,412が閉塞されると、外気流入口406が開放されて、外気導入路362を通して導入された外気が外気流入口406を通して送風ファン318の吸気口358に給気される外気循環流路が形成される。
切替駆動部404は、後方搬送底面片384上に載置したカム駆動モータ422と、カム駆動モータ422に回転駆動される異形円板状のカム片424と、カム片424の周縁部に形成されたカム溝426を介して連結された左右揺動アーム428と、左右揺動アーム428の左右揺動動作に連動して流路切替片416を上下揺動させる連動アーム430と、を具備している。
カム駆動モータ422は、駆動軸432を上方に向けて突出させている。駆動軸432の上端部には、異形円板状のカム片424を偏心させて取り付けて、カム片424が水平に回転駆動されるようにしている。異形円板状のカム片424の上面には、その周縁部に沿って上方が開口された平面視無端状のカム溝426を形成している。
左右揺動アーム428は、後方搬送底面片384上に、カム駆動モータ422の右側後方に位置させて、アーム基端部434を上下方向の軸線廻りに揺動自在に枢支している。アーム先端部436は、カム片424の右側方において、前方へ向けて延出させている。左右揺動アーム428の中途部には、連動片438をカム溝426の直上方に向けて突設し、カム溝426中に連動片438の先端部に垂設した摺動片(図示せず)を摺動自在に嵌入させている。
そして、カム片424が回転駆動されると、カム溝426中で摺動片が摺動されて、連動片438を介して連結されている左右揺動アーム428がアーム基端部434を中心にして左右方向に一定幅内にて揺動される。
連動アーム430は、後方搬送底面片384の段付き凸部に前後方向の軸線廻りに枢支した枢支部442と、枢支部442から上方へ突出させて形成したアーム係合片444と、枢支部442から右側方へ突出させて形成した連結片446と、を具備している。アーム係合片444は、背面視U字状に形成して、アーム係合片444に左右揺動アーム428のアーム先端部436に形成した球状の嵌入片448を回転摺動自在に嵌入させて係合している。連結片446の先端部には、左右方向に横長の長孔450を形成している。長孔450中には、流路切替片416の後端縁部に形成した立上がり片452の中途部から後方へ突出した連動ピン454を挿通している。
そして、左右揺動アーム428の先端部が左右方向に揺動されると、左右揺動アーム428の先端部に係合されているアーム係合片444もその枢支部442を中心にして左右方向に連動して揺動されるとともに、連結片446もその枢支部442を中心にして上下方向に連動して揺動され、連動ピン454を介して流路切替片416が上下揺動される。このように、流路切替片416は、コンパクトに形成された切替駆動部404によって、外気循環流路と内気循環流路とに堅実に切替動作される。
エアコン本体310の本体ケース320は、左右方向に横長状に形成しており、本体ケース320内には、図14及び図15に示すように、左側部に送風ファン318を配設し、送風ファン318の右側方にエバポレータ312を配設し、エバポレータ312の直前方にヒータコア316を配設している。
送風ファン318は、シロッコファンであり、ファン軸460の軸線方向(本実施形態では上下方向)に位置する本体ケース320の上面左側部に、吸気口358を開口させて形成するとともに、ファン軸460の外周を被覆する本体ケース320の左側壁と本体ケース320の後壁とに沿って左右方向に横長状の送風路462を形成している。そして、送風ファン318は、ファン軸460を中心にして回転駆動されることで、吸気口358から供給外気W4ないしは供給内気W6を取り入れるとともに、送風路462に送風するようにしている。そして、圧送された送風は、送風路462に沿って前方へ向けて送風案内される。
エバポレータ312は、送風路462の直前方に配置している。つまり、送風が圧送される送風流路470の上流側に配置している。エバポレータ312は、図6及び図7にも示すように、エバポレータ形成管464を左右方向に横長幅でかつ蛇行状に形成し、エバポレータ形成管464に多数の冷却用熱交換プレート466を左右方向に間隔をあけて取り付けて冷却用熱交換プレート群468を形成し、各冷却用熱交換プレート466間に送風ファン318からの送風が流通される際に熱交換されることで、送風が冷気となって送られるようにしている。エバポレータ形成管464は、冷媒配管322に接続されている。
ヒータコア316は、エバポレータ312の直前方に配置している。つまり、送風が圧送される送風流路470の下流側に配置している。ヒータコア316は、ヒータコア形成管(図示せず)を左右方向に横長幅(ただし、エバポレータ312よりやや短幅)でかつ蛇行状に形成し、ヒータコア形成管(図示せず)に多数の加熱用熱交換プレート(図示せず)を左右方向に間隔をあけて取り付けて加熱用熱交換プレート群476を形成し、各加熱用熱交換プレート間に送風ファン318からの送風が流通される際に熱交換されることで、送風が暖気となって送られるようにしている。ヒータコア形成管は、温水配管324に接続されている。温水配管324は、吐出側温水管326と戻り側温水管328とから形成している。
ここでは、エバポレータ312により冷気が生成される一方、ヒータコア316への温水の供給を停止させて暖気の生成を中断することで、冷気の温度を最低温度に保持させることができる。また反対に、エバポレータ312による冷気の生成を中断する一方、ヒータコア316に温水が供給されて暖気が生成されることで、暖気の温度を最高温度に保持させることができる。また、エバポレータ312による冷気の生成と、ヒータコア316による暖気の生成を、加減しながら両方生成ことで、冷気ないしは暖気の温度を適宜調整することができる。
本実施形態では、送風ファン318によって生成された送風により、送風流路の上流側に配置されたエバポレータ312により生成された冷気が、送風流路の下流側に配置されたヒータコア316に流通されることで、ヒータコア316により生成された暖気の温度が適宜低減されるようにしている。
このように構成したエアコン本体310への外気取入構造では、外気導入口354から導入された外気が上部桁片208中に形成される外気導入路362を通して連通口352から天井部250内のエアコン本体310に供給されるようにしている。そのため、外気導入口354からエアコン本体310までに外気が供給される外気供給流路360を外気導入路362によって長尺に形成することができる。したがって、外気に含まれた塵埃が供給途中で外気導入路362内に落下して、エアコン本体310には塵埃が流入しない。その結果、外気中の塵埃がエアコン本体310に設けられた送風ファン(シロッコファン)318の目詰まりの原因となって、その送風機能が低減されるという不具合を防止することができる。
そして、外気導入口354とエアコン本体310との間に介設した外気供給流路360を、上部桁片208中に形成される外気導入路362と、天井部250内に形成される給気路364と、から折り返し状に屈曲させて形成して、外気導入口354から導入された外気が、外気導入路362を通して連通口352まで導入され、連通口352から給気路364を通して後部に配置したエアコン本体310に供給されるようにしている。そのため、外気供給流路360をより一層長尺化して形成することができる。したがって、前記したように長尺化した外気供給流路360による作用効果をより一層確保することができる。
しかも、給気ダクト370内には、左右一対の筒状の上部桁片208中に形成される外気導入路362と連通する給気路364を形成して、左右一対の外気導入路362と給気路364とにより左右一対の外気供給流路360を形成している。そのため、左右一対の外気供給流路360をコンパクトに形成することができるとともに、左右一対の外気供給流路360を通して外気の取込量を堅実に確保することができる。
さらには、左右一対の上部桁片208の後端部と本体支持体222を被覆する後部天井片276の上端縁部296を、外側天井片274の後方延出部290の後端縁部292上に重合状態に配置して、その重合部に形成される間隙298から外気を吸入可能とするとともに、吸入された外気W1が、本体支持体222と後部天井片276との間に形成される多目的空間348を通して、各上部桁片208の後端部に開口された外気導入口354に導入されるようにしている。そのため、雨水や高圧洗浄水等が間隙298から浸入したとしても、雨水や高圧洗浄水等は、多目的空間348の終端部側である後部天井片276の前端縁部294に形成した排出孔を通して機外に排出されて、外気導入口354から外気供給流路360内に浸入することはない。
[エアコン本体からの冷・暖気放出構造の説明]
エアコン本体310からの冷・暖気放出構造について、図8〜図17を参照しながら説明する。すなわち、エアコン本体配設部270に配設したエアコン本体310は、本体ケース320と、本体ケース320内に冷気を生成するエバポレータ312と、本体ケース320内に暖気を生成するヒータコア316と、本体ケース320内に供給外気W4ないしは供給内気W6を吸引するとともに、エバポレータ312及びヒータコア316に送風する送風ファン318と、を具備している。
そして、エアコン本体310では、供給された外気W4ないしは内気W6を暖・冷気となして送風するようにしている。ダクト配設部280には、エアコン本体310で生成された暖・冷気を所望の位置まで搬送する複数(本実施形態では、四本)の送気ダクトである暖気ダクト480と冷気ダクト482を配設している。
本体ケース320には、複数の暖・冷気ダクト480,482の基端開口部484,486を連通連結している。一方の基端開口部484は、ヒータコア316に近接させて配置して暖気を取り込み可能とし、他方の基端開口部486は、エバポレータ312に近接させて配置して冷気を取り込み可能としている。
暖気を供給する送気ダクトである暖気ダクト480は、天井部250内において前後方向に延伸させて形成し、キャビンCの前窓部252の近傍に先端開口部488を配置して、先端開口部488から前窓部252に向けて暖気を送風可能としている。一方、冷気を供給する送気ダクトである冷気ダクト482は、天井部250内において前後方向に延伸させて形成し、天井部250の中途部に先端開口部490を配置して、先端開口部490からキャビンC内の運転部20に着座したオペレータに向けて冷気を送風可能としている。
後方搬送部374の左右側方には、それぞれ一対の暖気ダクト480と一対の冷気ダクト482を並列状に配置している。一対の暖気ダクト480は、後方搬送部374に近接させて配置するとともに、分岐取込部372の直下方を立体交差状に配置して、キャビンCの前窓部252の近傍に先端開口部488を配置している。一対の冷気ダクト482は、各上部桁片208に近接させて配置するとともに、分岐取込部372の直後方でかつ近傍に先端開口部490を配置している。
複数の送気ダクト、つまり、一側方に隣接させて配置した暖気ダクト480と冷気ダクト482の基端開口部484,486は、相互に近接させて配置して、これらの基端開口部484,486の近傍に送入量調整体492を揺動調整自在に配置するとともに、送入量調整体492により暖気と冷気の送入量を相反的に調整するようにしている。
より具体的に説明すると、左右一対の二本の暖気ダクト480は、前後方向に延伸する筒状に形成して、前窓部252の近傍に暖気を供給するようにしており、また、左右一対の二本の冷気ダクト482は、前後方向に延伸する筒状に形成して、運転部20に着座しているオペレータ側に冷気を供給するようにして、これら四本のダクト480,482は、左右線対称に配設している。
暖気ダクト480は、冷気ダクト482の内側面に近接させ、かつ、沿わせて後方搬送部374の外側方に配設し、その先端部を前窓部252の手前まで延伸させている。暖気ダクト480の先端部は、前窓部252に沿わせて内方に屈曲させて形成して、先端部には、先端開口部488を形成している。先端開口部488には、内側天井片272の前端部からキャビンC内に露出させて設けた前窓側吹出口部487を接続して、前窓側吹出口部487から前窓部252の内面に沿わせ暖気を下方へ向けて吹出し可能としている。つまり、前窓側吹出口部487は、デフロスタとして機能可能としている。暖気ダクト480の前部には、内側天井片272の前部からキャビンC内に露出させて設けた前部吹出口部489を接続して、前部吹出口部489からキャビンCの前部から下方へ向けて吹出し可能としている。
冷気ダクト482は、上部桁片208の内側面に近接させ、かつ、沿わせて配設し、その先端部を分岐取込部372の手前まで延伸させている。冷気ダクト482の先端部には、先端開口部490を形成しており、先端開口部490には、内側天井片272の側縁中途部からキャビンC内に露出させて設けたオペレータ側吹出口部491を接続して、オペレータ側吹出口部491から運転部20に着座しているオペレータに向けて冷気を吹出し可能としている。
キャビンC内の左側部と右側部にそれぞれ配設している冷気ダクト482の基端部には、内側前方に向けて開口する基端開口部486を形成している。基端開口部486は、エアコン本体310の本体ケース320の側壁前部に側方から接続している。また、冷気ダクト482に隣接させて配設している暖気ダクト480の基端部には、後方に向けて開口する基端開口部484を形成している。基端開口部484は、エアコン本体310の本体ケース320の前壁側部に前方から接続している。暖気ダクト480の基端開口部484と冷気ダクト482の基端開口部486は、同形同大に形成して、いずれか一方の基端開口部484,486を単一の送入量調整体492により閉塞可能としている。
本体ケース320内において、暖気ダクト480の基端開口部484と冷気ダクト482の基端開口部486とが最近接する外側部間には、上下方向に軸線を向けた調整体支軸494をその軸線廻りに回転自在に取り付けている。調整体支軸494には、四角形板状に形成した送入量調整体492の基端縁部を取り付けている。そして、送入量調整体492は、調整体支軸494を中心にして、暖気ダクト480の基端開口部484を閉塞する閉塞位置と、冷気ダクト482の基端開口部486を閉塞する閉塞位置との間で揺動調整自在として、送入量調整体492の揺動調整姿勢により各基端開口部484,486への暖気と冷気の送入量を相反的に調整するようにしている。
すなわち、送入量調整体492が暖気ダクト480の基端開口部484を閉塞(開放)すると、冷気ダクト482の基端開口部486は開放(閉塞)されて、開放された基端開口部486(484)のみに暖気ないしは冷気が送入される。送入量調整体492が暖気ダクト480の基端開口部484を小さく開放(大きく開放)すると、冷気ダクト482の基端開口部486は大きく開放(小さく開放)されて、大きく開放された基端開口部486(484)には、大量の暖気ないしは冷気が送入される一方、小さく開放された基端開口部484(486)には、小量の暖気ないしは冷気が送入される。送入量調整体492が暖気ダクト480の基端開口部484と、冷気ダクト482の基端開口部486との真ん中に配置されると、各基端開口部484,486には、同量の暖気ないしは冷気が送入される。
上記した調整体支軸494と送入量調整体492は、本体ケース320内の左右側前端部に左右一対設けており、両調整体支軸494間には、本体ケース320の直上方において調整体駆動機構部500を介設している。
調整体駆動機構部500は、本体ケース320上に載置した偏心カム駆動モータ502と、偏心カム駆動モータ502に回転駆動される異形円板状の偏心カム片504と、偏心カム片504の周縁部に形成された偏心カム溝506を介して連結された左右揺動機構508と、左右揺動機構508の左右揺動動作に連動して左右方向に押引動作される左右一対の押引ロッド510と、両押引ロッド510の押引き動作に連動して前後揺動動作される左右一対の前後揺動アーム512と、を具備しており、各前後揺動アーム512の基端部は、調整体支軸494の上端部に取り付けている。
偏心カム駆動モータ502は、駆動軸503を上方に向けて突出させている。駆動軸503の上端部には、異形円板状の偏心カム片504を偏心させて取り付けて、偏心カム片504が水平に回転駆動されるようにしている。異形円板状の偏心カム片504の上面には、その周縁部に沿って上方が開口された無端状の偏心カム溝506を形成している。
左右揺動機構508は、偏心カム片504の左側方に第1レバー514を配設するとともに、さらに、その左側方に第2レバー516を配設する一方、偏心カム片504の右側方に第3レバー518を配設している。第1レバー514は、偏心カム溝506に一端を係合して、偏心カム片504の回転動作に連動して他端が左右揺動動作する。第2レバー516は、第1レバー514の他端に一端を連結して、第1レバー514の他端の左右揺動動作に連動して他端が相反的に左右揺動動作する。第3レバー518は、偏心カム溝506に一端を係合して、偏心カム片504の回転動作に連動して他端が左右揺動動作する。つまり、第2レバー516の他端と第3レバー518の他端は、相反的に左右揺動動作する。
左右一対の押引ロッド510は、左右方向に直状に延伸させて形成している。左側の押引ロッド510は、第2レバー516の他端に内側端を連結する一方、左側の前後揺動アーム512の先端に外側端を連結している。右側の押引ロッド510は、第3レバー518の他端に内側端を連結する一方、右側の前後揺動アーム512の先端に外側端を連結している。
したがって、偏心カム片504の回転動作に調整体駆動機構部500を介して左右一対の送入量調整体492が連動して揺動される。この際、左右一対の送入量調整体492は、左右線対称に揺動動作される。
調整体駆動機構部500の背後には、送気流路変更手段520を配設している。すなわち、送気流路変更手段520は、左右一対の送気流路変更体522と、両送気流路変更体522を左右線対称に揺動動作させる変更体駆動機構部524と、を具備している。
左右一対の送気流路変更体522は、それぞれ四角形板状に形成して、ヒータコア316の左右側方にそれぞれ形成した送気流路526に起立状に配設している。起立状に配設している送気流路変更体522の中央部には、上下方向に軸線を向けた変更体支軸528を設け、本体ケース320に変更体支軸528をその軸線廻りに回転自在に軸架している。そして、送気流路変更体522は、その面を前後方向に向けて送気流路526を閉塞する閉塞姿勢と、外側部が前方に位置するとともに、内側部が後方に位置した傾斜状態にて送気流路526を開放する傾斜開放姿勢と、に姿勢変更自在としている。523は、暖気W8と冷気W9を前後方向に分流する四角形板状の分流体であり、分流体523は、送気流路変更体522の下流側に位置する左側の送気流路526において、下部ケース形成片334上に立設している。
変更体駆動機構部524は、アーム駆動モータ530と、アーム駆動モータ530から上方へ突出させた駆動軸532の上端部に基端部を取り付けた左右揺動駆動アーム534と、左右揺動駆動アーム534の左右揺動動作に連動して左右一対の送気流路変更体522の姿勢を変更動作する連動機構536と、を具備している。
連動機構536は、本体ケース320の直上方に配設しており、本体ケース320から上方へ突出された右側の変更体支軸528の上端部に、第1連動レバー538の基端部と第2連動レバー540の基端部を相互に連設して同軸的に取り付けている。第1連動レバー538の先端部は、左右揺動駆動アーム534の先端部と枢支連結している。本体ケース320から上方へ突出された左側の変更体支軸528の上端部には、第3連動レバー542の基端部を取り付けている。第3連動レバー542の先端部と第2連動レバー540の先端部との間には、左右方向に延伸する連結ロッド544を介設している。
そして、アーム駆動モータ530により左右揺動駆動アーム534が左右揺動されると、連動機構536を介して左右一対の送気流路変更体522が左右線対称に姿勢変更されて、送気流路526の流路幅が変更されるようにしている。すなわち、送気流路変更体522を送気流路526が閉塞される閉塞姿勢にすると、送風ファン318からの送風は、全てがエバポレータ312を通過して、ヒータコア316を通過し、左右側の暖・冷気ダクト482側に流動案内される。
この際、エバポレータ312によって冷気が生成される一方、ヒータコア316による暖気の生成が停止されている場合には、冷気のみが左右側の暖・冷気ダクト480,482側に流動案内される。つまり、暖気ダクト480からも冷気が供給される。反対に、エバポレータ312による冷気の生成が停止される一方、ヒータコア316によって暖気が生成される場合には、暖気のみが左右側の暖・冷気ダクト480,482側に流動案内される。つまり、冷気ダクト482からも暖気が供給される。
送気流路変更体522を送気流路526が開放される傾斜開放姿勢にすると、図17に示すように、送風ファン318からの送風W7は、一部がエバポレータ312を通過して、ヒータコア316を通過し、左右側の暖・冷気ダクト482側に流動案内されるとともに、残部がエバポレータ312を通過して、直に左右側の暖・冷気ダクト482側に流動案内される。
この際、エバポレータ312によって冷気W9が生成される一方、ヒータコア316によって暖気W8が生成される場合には、一部の送風がエバポレータ312を通過して冷気W9となり、その冷気W9がヒータコア316を通過して暖気化されて、その暖気W8が暖気ダクト480の基端開口部484に案内される。
そして、暖気W8は、暖気ダクト480を通して前窓側吹出口部487と前部吹出口部489からキャビンC内の前部に放出される。また、残部の送風は、エバポレータ312を通過して冷気W9となって、その冷気が直に冷気ダクト482の基端開口部486に案内される。そして、冷気W9は、冷気ダクト482を通してオペレータ側吹出口部491からオペレータに向けてキャビンC内に放出される。
この場合には、予め、送入量調整体492は、送気流路変更体522の姿勢変更動作と同期して、暖気ダクト480の基端開口部484と冷気ダクト482の基端開口部486の両方が開口された状態に調整されるようにしている。
キャビンC内の右側上部には、図9に示すように、操作部670を設けている。操作部670には、エアコン装置300を始動・停止させる始動・停止スイッチ672と、外気循環流路と内気循環流路とを切り替える流路切替スイッチ674と、エアコン制御時間を設定する制御時間設定ボリュームスイッチ676と、送気パターンを設定する送気パターン設定ボリュームスイッチ678と、キャビンC内の温度を設定する温度設定ボリュームスイッチ680と、を配設している。
操作部670に配設した各種スイッチや温度センサ350は、コンピュータ機能を有する制御部(図示せず)の入力側に電気的に接続する一方、制御部の出力側には、エキスパンションバルブ314やヒータコア316に熱水を供給・停止するバルブ等の駆動部、カム駆動モータ422、及び、偏心カム駆動モータ502等を電気的に接続している。そして、操作部670の各種スイッチを適宜操作することで、制御部を介してエアコン装置300の作動を適切に制御するようにしている。
このように構成した冷・暖気放出構造では、本体ケース320に、複数の送気ダクト(暖気ダクト480と冷気ダクト482)の基端開口部484,486を連通連結するとともに、一方の暖気ダクト480の基端開口部484は、ヒータコア316に近接させて配置して暖気を取り込み可能とする一方、他方の冷気ダクト482の基端開口部486は、エバポレータ312に近接させて配置して冷気を取り込み可能としているため、暖気と冷気がそれぞれ別途に送気される送気ダクトを配置することができて、各送気ダクトを通してキャビンC内の所望の位置から暖気ないしは冷気を送風することができる。
そして、暖気は、前窓部252に向けて送風可能としているため、この暖気をデフロスタとして機能させることができる。また、冷気は、キャビンC内の運転部20に着座したオペレータに向けて送風可能としているため、温暖化されたキャビンC内でオペレータが作業中にのぼせるのを防止することができる。つまり、キャビンC内を頭寒足熱という快適な作業環境となすことができる。
しかも、暖気を供給する一対の送気ダクトである暖気ダクト480が、後方搬送部374に近接させて配置されるとともに、分岐取込部372の直下方に立体交差状に配置されて、キャビンCの前窓部252の近傍に先端開口部488が配置され、冷気を供給する一対の送気ダクトである冷気ダクト482が、各上部桁片208に近接させて配置されるとともに、分岐取込部372の近傍に先端開口部490が配置されているため、天井部250内に給気ダクト370と送気ダクトをコンパクトに配置することができる。そのため、天井部250を中空扁平板状に形成することができて、車高が高くなるのを抑制したまま、キャビン内の居住空間を大きく確保することができる。
さらには、送入量調整体492により暖気と冷気の送入量は、相反的に調整するようにしているため、暖気と冷気の送入量を簡単に調整することができる。
[側窓部の開閉枢支構造の説明]
側窓部258の開閉枢支構造について、図18〜図23を参照しながら説明する。側窓部258は、左右一対の中途部支柱片204と後部支柱片206と上部桁片208と下部桁片210とにより枠状に形成される左右側面部に、それぞれ開閉自在に枢支して、左右側に一対張設している。左右一対の側窓部258の開閉枢支構造は、同一構造となしているので、以下では、左側の側窓部258の開閉枢支構造について説明する。
すなわち、側窓部258は、キャビンフレーム200の一部を形成する後部支柱片206に、上下一対の枢支体550を介して後端縁部が取り付けられて、前端側が外側方へ開閉自在とされている。後部支柱片206は、上下方向に直状に延伸する筒状に形成して、その外側面部の上部と下部には、それぞれ上部段付き凹状部552と下部段付き凹状部554を形成している。各枢支体550は、前後方向に長手状の細長板状に形成している。上・下部段付き凹状部552,554内には、各枢支体550の基端部556をそれぞれ収容状態に配設する一方、側窓部258の後端縁部の上下部位置に各枢支体550の先端部558を取付用ボルト551により取り付けて、両枢支体550を介して側窓部258を開閉自在に枢支している。259は、側窓部258の内面前部に取り付けた側窓部開閉取っ手であり、側窓部開閉取っ手259を介して側窓部258をキャビンCの内方から開閉操作可能としている。
上部の枢支体550の基端部556には、枢支体550を複数段階の開放角度において仮止めする仮止め手段560を設け、仮止め手段560を設けた枢支体550を介して側窓部258を複数段階(本実施形態では、二段階)の開放角度に仮止めして開放可能としている。
すなわち、仮止め手段560は、上部段付き凹状部552内に取付ブラケット562を介して収容状態に配置している。仮止め手段560は、上下方向に軸線を向けた円筒状に形成するとともに、その上端面部に複数(本実施形態では、三個)の係合凹部564,566,568を形成したボス片570と、ボス片570中に貫通させた枢軸片572と、枢軸片572の上部にその半径方向に突設して、いずれか一つの係合凹部と係合するピン状に形成した係合片574と、枢軸片572の下部の外周面に巻回して枢軸片572を下方に弾性付勢する押圧スプリング576と、を具備している。
各係合凹部は、ボス片570の上端面部に係合片574が嵌入可能なV字状に切欠して形成しており、本実施形態では、ボス片570の周方向に連続させて、ないしは、間隔をあけて、係合凹部としての窓部閉塞位置用凹部564と第1窓部開放位置用凹部566と第2窓部開放位置用凹部568とを形成している。枢軸片572の下端部には、スプリング受け片578を取り付け、スプリング受け片578に押圧スプリング576の下端を当接させる一方、ボス片570の下端面に押圧スプリング576の上端を当接させている。ボス片570の周面には、ボス片570の軸線方向に延伸する板状の連結突片580を突設し、連結突片580を介して取付ブラケット562にボス片570を取付ボルト582により取り付けている。
そして、係合片574は、押圧スプリング576により枢軸片572を介して各係合凹部に係合する方向に弾性付勢されている。また、係合片574は、枢軸片572をその軸線廻りに回動させることで弾性付勢力に抗して他の係合凹部に係合変更することができる。
より具体的に説明すると、枢軸片572の上部には、上部の枢支体550を介して側窓部258の後側縁部の上部を取り付けている。そのため、側窓部258を、押圧スプリング576の弾性付勢力に抗して枢軸片572の軸線廻りに回動させて閉塞位置に配置すると、窓部閉塞位置用凹部564に係合片574が押圧スプリング576により弾性付勢された状態で係合されて、側窓部258が閉塞位置に保持される。
また、側窓部258を、押圧スプリング576の弾性付勢力に抗して枢軸片572の軸線廻りに開放方向にわずかに回動させて第1窓部開放位置に配置すると、第1窓部開放位置用凹部566に係合片574が弾性付勢された状態で係合されて、側窓部258が第1窓部開放位置に保持される。
さらに、側窓部258を、押圧スプリング576の弾性付勢力に抗して枢軸片572の軸線廻りに開放方向により大きく回動させて第2窓部開放位置に配置すると、第2窓部開放位置用凹部568に係合片574が押圧スプリング576により弾性付勢された状態で係合されて、側窓部258が第2窓部開放位置に保持される。反対に、第2窓部開放位置用凹部568→第1窓部開放位置用凹部566→窓部閉塞位置用凹部564に適宜係合片574を係合させることで、側窓部258を所望の開閉位置に保持させることができる。
下部の枢支体550の基端部556は、下部段付き凹状部554内に配置した窓枢支部584に枢支連結している。窓枢支部584は、下部段付き凹状部554内に収容状態に固設した軸支持片586に軸片588をその軸線廻りに回転自在に架設して形成している。軸片588には、下部の枢支体550の基端部556を取り付けている。そして、側窓部258は、下部の枢支体550を介して窓枢支部584に枢支連結している。ここで、軸片588は、仮止め手段560の枢軸片572と同軸的に配置して、上・下部の枢支体550を介して側窓部258を開閉自在に枢支している。
上部段付き凹状部552内に配設した仮止め手段560の枢軸片572に取り付ける上部の枢支体550と、下部段付き凹状部554内に配設した窓枢支部584の軸片588に取り付ける下部の枢支体550は、それぞれ後半部を内方に折曲させて形成して、両後半部が後述する支柱片カバー体590によって被覆されるようにしている。
後部支柱片206の外側面部は、支柱片カバー体590により被覆するとともに、支柱片カバー体590の外側面は、閉塞状態の側窓部258の外側面と略面一に形成している。すなわち、支柱片カバー体590は、前部カバー片592と後部カバー片594とに二分割して形成している。前部カバー片592は、上部桁片208の下面から下部桁片210の上面にわたって上下方向に延伸させて形成しており、前後方向に面を向けて配置される前面片596と、前面片596の左側端縁部から後方に延出させて配置される側面片598と、から断面平面L字状に形成している。前部カバー片592の上部と下部には、それぞれ干渉回避口600を形成して、各干渉回避口600を介して各枢支体550と前部カバー片592とが干渉するのを回避している。
後部カバー片594は、上部桁片208の下面からフェンダ29の上面にわたって上下方向に延伸させて形成しており、側面片598と面一状に配置される外側面片602と、外側面片602の後端縁部から内側後方へ向けて延出させて配置される後面片604と、後面片604の内側端縁部から後部支柱片206の後面部に向けて延出させて配置される内側面片606と、から断面平面略コ字状に形成している。
後部支柱片206には、前部カバー片592の前面片596と連結する前面片連結ブラケット608と、後部カバー片594の外側面片602の前端縁部から前方へ向けて突設した連結用突片610を連結する外側面片連結ブラケット612と、後部カバー片594の内側面片606と連結する内側面片連結ブラケット614を突設している。前部カバー片592の側面片598の後端縁部と、後部カバー片594の外側面片602の前端縁部とは、印籠嵌合せて接続可能としている。後部カバー片594の上端部と、後部天井片276の左側部との間には、外気導入口354を直後方から被覆する桁片カバー体616を着脱自在に介設している。そして、桁片カバー体616のみを適宜取り外すことで、外気導入口354にフィルタケース356を介して取り付けた外気フィルタ355のメンテナンス等を楽に行うことができる。
支柱片カバー体590の内部には、コンビネーションランプ620を設けて、コンビネーションランプ620により後方へ向けて表示する複数のランプ表示を可能としている。コンビネーションランプ620は、ブレーキランプ・ウインカーランプ・バックランプ・テールランプ等の複数のランプ類を一体としたランプであり、発光ダイオード(LED)等の発光体(図示せず)と、支柱片カバー体590の中途部を形成する透光性窓622と、を具備している。そして、透光性窓622を通して発光体が発する光を後方へ照射して、所望のランプ表示を適宜選択表示可能としている。
後部支柱片206の外面部と支柱片カバー体590の内面部との間には、上下方向に延伸する配設空間624を形成している。配設空間624内には、流体搬送用の配管や電流搬送用の配線を収容可能としている。本実施形態では、配設空間624内に、本体ケース320に基端部を接続した第1ドレンホース626を配管している。第1ドレンホース626は、中途部を配設空間624内にて下方へ延出し、先端部をフェンダ29の内側面に沿わせて機外に開口させている。
また、配設空間624内には、発光体に電流を搬送する電線を配線している。筒状に形成されている左側の後部支柱片206中には、ヒータコア316に接続した温水配管324を形成する吐出側温水管326と戻り側温水管328を配管するとともに、第2ドレンホース627を配管している。第2ドレンホース627は、中途部を後部支柱片206中にて下方へ延出し、先端部を下部桁片後部214の外側面に沿わせて下部桁片前部212の後部から下方へ向けて機外に開口させている。なお、右側の配設空間624内には、第1ドレンホース626とウォッシャーパイプ(図示せず)を配管している。筒状に形成されている右側の後部支柱片206中には、冷媒配管322と第2ドレンホース627を配管している。
キャビンフレーム200の左右側後部を形成する各後部枠体628は、前後方向に延伸する上部桁片208の後部外側半部630と、上方へ凸状に湾曲する下部桁片後部214と、上下方向に延伸する中途部支柱片204と、上下方向に延伸する後部支柱片206と、を側面視井型状に一体成形している。632は、上部桁片208の内側半部、634は、外気導入路362の終端を形成する終端形成壁である。
中途部支柱片204には、扉枢支体648を介して乗降扉部256を開閉自在に取り付けている。上方へ凸状の湾曲状に形成される下部桁片前部212の後端部と、下部桁片後部214の前端部とは、前後方向から印籠嵌合して、この印籠嵌合部の位置に、乗降扉部256に基端部を取り付けた開閉支援手段640の先端部を取り付けて、開閉支援手段640により乗降扉部256の開閉を支援するようにしている。
乗降扉部256は、上下一対の扉枢支部642を介して中途部支柱片204に開閉自在に取り付けている。扉枢支部642は、乗降扉部256の内側面後縁部に取り付けた扉側連結体644と、中途部支柱片204に突設した支柱片側枢支連結体646と、両連結体644,646間に介設した扉枢支体648と、から形成している。
扉枢支体648は、扉側連結体644に先端部(前端部)を連結するとともに、支柱片側枢支連結体646に基端部(後端部)を上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支連結している。下部の扉側連結体644は、乗降扉部256に面接触する板状の面接片650と、面接片650の下端縁部から内方に突出させた後部突片652と、から形成している。
面接片650の内面には、前後方向に延伸させて形成した乗降扉開閉取手654の後端部を取り付けている。後部突片652の下面には、開閉支援手段640の基端部658を取り付けている。下部桁片210の後部の前端部には、内側方へ向けて前部突片656を延出させて一体成形し、前部突片656に開閉支援手段640の先端部660を取り付けている。開閉支援手段640としては、例えば、前後方向に延伸させて形成したガススプリングを採用することができる。そして、ガススプリングは、乗降扉部256を開閉させた際に伸縮作動して、乗降扉部256の開閉抵抗を軽減化、つまり、開閉支援するようにしている。
このように構成した側窓部258の開閉枢支構造では、後部支柱片206の外側面部に、上部段付き凹状部552と下部段付き凹状部554を形成し、各段付き凹状部552,554内に、それぞれ枢支体550の基端部556を配設する一方、側窓部258の後端縁部の上部と下部にそれぞれ枢支体550の先端部558を取り付けて、枢支体550を介して側窓部258を開閉自在となし、後部支柱片206の外側面部は、支柱片カバー体590により被覆するとともに、支柱片カバー体590の外側面は、閉塞状態の側窓部258の外側面と略面一に形成しているため、外観上、キャビンC、特に、後部支柱片206の美観を向上させることができるとともに、後部支柱片206に側窓部258を大きく開放可能に枢支することができる。
そして、側窓部258は、仮止め手段560を設けた枢支体550を介して複数段階(本実施形態では、二段階)の開放角度に開放可能としているため、オペレータの好みで側窓部258を所望の開放角度に段階的に開放することができる。
また、コンビネーションランプ620を設けて、コンビネーションランプ620により後方へ向けて表示する複数のランプ表示を可能としているため、キャビンCの後部の美観を向上させることができるとともに、支柱片カバー体590の背後から視認し易い高さ位置にコンビネーションランプ620を設けることで、安全性を向上させることができる。
しかも、後部支柱片206の外面部と支柱片カバー体590の内面部との間に上下方向に延伸して形成される配設空間624内には、流体搬送用の配管や電流搬送用の配線を収容可能としているため、配設空間624を有効利用して、配管や配線をコンパクトに配置することができるとともに、キャビンCの後部の外的美観を高めることができる。
さらには、キャビンフレーム200の左右側後部を形成する各後部枠体628は、側面視井型状に一体成形しているため、部品点数を削減して製造コストを削減することができるとともに、後部枠体628の強度と外的美観を高めることができる。
また、上方へ凸状の湾曲状に形成される下部桁片前部212の後端部と、下部桁片後部214の前端部とは、前後方向から印籠嵌合し、この印籠嵌合部の位置に、乗降扉部256に基端部を取り付けた開閉支援手段640の先端部を接続しているため、この接続箇所の強度を確保することができる。
[トラクタの他の構成の説明]
次に、トラクタAの他の構成について説明すると、以下の通りである。
(原動機部の構成の説明)
原動機部11は、図24に示すように、機体フレーム10の前部にエンジン40等を配設して構成している。すなわち、機体フレーム10は、原動機部11を支持する機体フレーム10の前部と、運転部20を支持する機体フレーム10の後部とから形成している。
機体フレーム10の前部は、前後方向に延伸する左右一対の帯状の前部前後方向延伸片10aを左右方向に一定の間隔をあけて対面状態に配置し、両前部前後方向延伸片10aの前端間に左右方向に横長板状に形成した左右方向横長片10bを横架して形成している。
機体フレーム10の後部は、前後方向に延伸する左右一対の帯状の後部前後方向延伸片10c(図1参照)を左右方向に一定の間隔をあけて対面状態に配置し、両後部前後方向延伸片10cの前部間に背面視U字状に形成した横架片10d(図25参照)を横架して形成している。
左右一対の前部前後方向延伸片10aの後端部には、左右一対の後部前後方向延伸片10cの前端部を外側から重合状態に連結して一体となし、左右一対の後部前後方向延伸片10cの後端部間には、ミッションケース12の前部を介設状態に連結している。
主構成部材であるエンジン40は、その下部を左右一対の前部前後方向延伸片10aの後部間に嵌入させて搭載している。エンジン40の後端部には、クラッチハウジング66を一体的に形成している。エンジン40の直前方には、前後方向に軸線を向けたファン軸41を介して冷却ファン42を連動連結している。
左右一対の前部前後方向延伸片10aの前部間上には、支持板43を架設状に載設して、支持板43上でラジエータ45等を支持している。支持板43の前端縁部44は、後述するボンネット80の下端縁前部と整合する山形状に形成して、閉塞時のボンネット80を支持している。
冷却ファン42の直前方には、ラジエータ45を冷却ファン42と対面状態にて支持板43の後部上に立設している。ラジエータ45の直前方には、ごみや塵埃がラジエータに付着するのを防止するためのラジエータスクリーン46を、ラジエータ45の前面が被覆される状態に配設している。ラジエータスクリーン46の直前方の上部と下部には、オイルクーラー47と燃料クーラー48を配設している。これらのクーラー47,48の直前方には、エアコン用のコンデンサ49を配設している。コンデンサ49の直前方の左側部と右側部には、サブタンク50とレシーバードライヤ51を配設している。支持板43の後部上には、ラジエータ45の左右側方と上方を囲むように正面視門型に形成した門型支持体52を立設して、門型支持体52により配管等を支持している。
エンジン40の左側直上方位置には、前後方向に軸線を向けた円筒箱型に形成したディーゼル・パーティクレート・フィルタ(以下、「DPF」と略称する。)53を配設している。DPF53の後端部は、排気管54を介してエンジン40の排気口部と連通連結している。DPF53の前端部には、テールパイプ55の基端部を連通連結して、テールパイプ55の先端部を左側下方に開口させている。
エンジン40の右側後部の直上方位置には、基端側吸気管57を介してエンジン40の吸気口部と連通連結したエアクリーナ56を配設している。エアクリーナ56には、先端側吸気管58を連通連結しており、その先端部は、門型支持体52の右側上部に固定して前方に向けて開口させている。エンジン40の右側前部の直上方位置には、エアコン用のコンプレッサ59を配設するとともに、コンプレッサ59は、連動ベルト機構を介してファン軸41と連動連結している。
(ボンネット支持機枠の構成の説明)
上記のように構成した原動機部11には、図25に示すように、前部強度メンバーとしてのボンネット支持機枠60を設けて、ボンネット支持機枠60にボンネット80を開閉自在に取り付けて、ボンネット80により原動機部11を開放・閉塞可能としている。
ボンネット支持機枠60は、前部フレーム61と後部フレーム62と中間フレーム63とから形成している。前部フレーム61は、正面視縦長四角形門型に形成して、支持板43に立設しており、オイルクーラー47及び燃料クーラー48の左右側方と上方を囲繞するように配設している。前部フレーム61の上部には、ボンネットロック機構64を設けている。支持板43には、前部フレーム61の直前方において、左右一対の補助フレーム65を立設しており、両補助フレーム65の上端部は、前部フレーム61の上端部に連設している。
後部フレーム62は、エンジン40の後端部に形成したクラッチハウジング66上に、支持台67を載設し、支持台67から支持本片68を上方へ向けて立ち上げて起立状に形成している。中間フレーム63は、前後方向に延伸する断面円形パイプ状に形成している。中間フレーム63の前端部は、連結体69を介して前部フレーム61の中央上部と連結する一方、中間フレーム63の後端部は、支持体70を介して支持本片68の上端部と連結している。
支持体70上には、ボンネット80を開閉自在に枢支する枢支部71を設けている。連結体69は、前部フレーム61の中央上部からラジエータ45の上端面越しに後方へ張り出し状に突設した前側連結片69aと、中間フレーム63の前端部に交差状に取り付けた後側連結片69bと、をラジエータ45の背面上部位置において、前後方向から突合せ状に連結して形成している。そして、連結体69は、支持板43に立設したラジエータ45の上端部を支持している。
枢支部71は、正面視U字状に形成した枢支片72と、枢支片72の上端部間に左右方向に軸線を向けて横架した枢軸(図示せず)と、枢軸に回転自在に外嵌したボス部74と、ボス部74に基端縁部を取り付けた開閉アーム75とから形成している。開閉アーム75は、アーム前部76を四角形板リング状に形成する一方、アーム後部77を側面視U字状に下方へ湾曲させて形成している。そして、アーム後部77は、後端縁部がボス部74を介して枢軸に枢支されており、前端縁部がアーム前部76の後端縁部と一体に接続されている。しかも、アーム前部76には、ボンネット80の後端部が前後延伸フレーム93を介して連結ボルト78により取り付けられている。
したがって、ボンネット80は、枢軸をボンネット支点として、それを中心に、前端側を上方へ向けて回動させることで開放可能としている。この際、開閉アーム75のアーム後部77は、下方へ湾曲させて形成することで、ボンネット80の後端縁部が枢軸の直上方を被覆している後述の排熱カバー30と干渉して、ボンネット80の開放動作に支障となるのを防止している。
枢支片72の一部を形成する左右一対の立上がり片72aの上端部には、それぞれ外側方へ向けてカバー前部取付片72bを突設し、カバー前部取付片72bには、上下方向に開口するカバー前部取付孔72cを形成している。支持体70の左右側後部には、カバー後部取付片72dを突設し、カバー後部取付片72dには、上下方向に開口するカバー後部取付孔72eを形成している。そして、各取付片72b,72dを介して後述する排熱カバー30を取り付けている。
(ボンネットの構成の説明)
ボンネット80は、図1及び図2に示すように、船底を逆さにしたような形(いわゆる、船底天井)に形成した天井面部81と、網目状の前面部(フロントグリル)82と、左・右側面部83,83と、から下方と後方が開口する箱型に形成しており、枢支部71を介して原動機部11の大部分を開閉自在としている。つまり、ボンネット80は、フルオープン型に形成している。ボンネット80により被覆できない部分、つまり、残余となる原動機部11の下部の左右側方は、扁平扇状に形成した左右一対のサイドカバー84により僅かに被覆している。サイドカバー84は、ボンネット支持機枠60に固定されている。84aは、サイドカバー84に多数整列させて形成した通気孔である。
天井面部81は、平坦な天井面81aと、天井面81aの左右側縁部と前端縁部に外方へ膨出状に湾曲させて垂設した左右側面81b,81bとから形成している。前面部82の左右側上部には、左右一対の前照灯85を取り付けている。天井面部81の内面には、ボンネット補強枠90を設けている。
(ボンネット補強枠の構成の説明)
ボンネット補強枠90は、図26に示すように、ボンネット80の内面の前部と後部において、その内面に沿って左右方向に湾曲させて形成した前部門型フレーム91と後部門型フレーム92を取り付けている。天井面部81の内面の中央部には、その内面に沿って前後方向に延伸させて形成した前後延伸フレーム93を、上記門型フレーム91,92と交差させて取り付けている。前部門型フレーム91の左右側端部には、門型支持体52に沿って形成された左右側縁部と、支持板43の前端縁部44に沿って形成された前縁部と、から湾曲補強フレーム94を正面視U字状に形成している。湾曲補強フレーム94の中央部と前後延伸フレーム93の前端部との間には、前端直状フレーム95を架設状に介設している。前後延伸フレーム93の前端部には、左右側面81b,81bの前部内面に沿って左右側方に張り出し状に張出フレーム96を突設している。これらのフレーム91〜96は、ボンネット80を内方から補強している。
ボンネットロック機構64の直上方に位置する閉塞状態の天井面部81には、前後延伸フレーム93を介して被ロック片97を設けている。そして、ボンネットロック機構64に被ロック片97がロックされることで、ボンネット80が閉塞状態に保持される一方、ボンネットロック機構64に被ロック片97がロック解除されることで、ボンネット80を開放可能としている。ボンネットロック機構64のロック・解除動作は、ワイヤ98を介して支持板43の右側前部の下方において操作可能としている。99は、前部フレーム61の上部に設けた左右一対の押圧スプリングであり、押圧スプリング99は、ボンネット80を開放する上方向へ押圧付勢している。
ボンネット補強枠90の前後延伸フレーム93の中途部に設けた第1連結片93aと、ボンネット支持機枠60の中間フレーム63の後部との間には、支援手段としての一つの一方ガスダンパ86を介設している。中間フレーム63の前部に設けた第2連結片63aと、開閉アーム75のアーム前部76との間には、支援手段としてのもう一つの他方ガスダンパ87を介設している。そして、一方ガスダンパ86は、ボンネット80を手軽に開放可能に支援するように介設するとともに、他方ガスダンパ87は、ボンネット80を手軽に閉塞可能に支援するように介設している。
上記のように構成した原動機部11を被覆するボンネット80とキャビンCとの間には、排熱孔34を有する排熱カバー30を介設している。そして、原動機部11で生起された熱気は、排熱孔34を通して機外に排出されるようにしている。35は、ボンネット80の天井面部81の後端縁部に形成した排熱カバー配設凹部であり、排熱カバー配設凹部35に排熱カバー30を嵌合状態に配設している。