JP6473661B2 - Rbdパーム油の脱色方法 - Google Patents
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Description
また、活性白土ほどの脱色性能は有していないが、本出願人が提案したシリカマグネシア製剤も油脂に対する脱色性能を有している(特許文献2参照)。
ところで、上記のように物理的精製処理がなされた油脂(即ち、精製油脂)は、安価ではあるが、精製が十分に行われておらず、このため、日本国内では更に常法による精製処理が行われる場合がほとんどである。
しかるに、上記のように、一旦精製処理がなされた油脂について再度の精製処理を行う場合には、脱色を行い難いという問題がある。恐らく、油脂中に含まれる色素等が、物理的精製処理で行われる蒸留時に重合して高分子量化してしまうためではないかと考えられている。
また、シリカマグネシア製剤を用いた場合には、酸価の増大は抑制することができるのであるが、活性白土ほどの脱色能を得ることができない。
例えば、後述する実施例の実験例に示されているように、物理的精製処理が行われたRBDパーム油(色調指数68、酸価0.19)について活性白土を用いて脱色処理を行うと、得られる脱色油の色調指数は28であり、効果的に脱色が行われているものの、酸価(KOHmg/g)は、0.27であり、酸価は低くなるというよりも、むしろ増大してしまう(比較例1)。即ち、活性白土では、遊離脂肪酸の除去が行われていないことに加え、活性白土自体が固体酸を有しており、この結果、酸価が増大してしまっているものと考えられる。一方、シリカマグネシア製剤を用いて脱色処理を行った場合には、酸価が0.07とかなり低くなり、遊離脂肪酸の吸着除去が効果的に行われているのであるが、色調指数は34であり、脱色の程度は、活性白土と比較すると低い(比較例2)。
しかるに、本発明にしたがい、活性白土とシリカマグネシア製剤とを一定の割合で混合した本発明の脱色剤を用いて脱色処理を行った場合には、色調指数が28であり、活性白土を単独で用いた場合と同等に脱色処理が行われ、しかも得られた脱色油の酸価は、0.25以下と低減される(実施例1〜実施例4)。
かかる本発明の精製油脂用脱色剤は、特に食用油として多く使用される安価なRBDパーム油の脱色に特に効果的に適用される。
本発明において用いる活性白土は、それ自体公知であり、ジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物を使用し、これを粉砕、分級して所定の粒度の粉末に調整、この粉末を所定の条件で酸処理することにより製造される。
SiO2;50〜75質量%
Al2O3;14〜25質量%
Fe2O3;2〜20質量%
MgO;3〜7質量%
CaO;0.1〜3質量%
Na2O;0.1〜3質量%
K2O;0.1〜3質量%
その他の酸化物(TiO2など);1質量%以下
Ig−loss(1050℃);5〜10質量%
酸処理は、硫酸等の鉱酸水溶液を用いてそれ自体公知の方法で行えばよい。このような微粒の粉末を酸処理に付することにより、スメクタイト中のAl成分の一部が除去され、比表面積の増大や細孔容積の増大がもたらされ、クロロフィル等の色素の吸着に好適な物性を有しており、優れた脱色性能を有する活性白土を得ることができる。
SiO2;60〜85質量%
Al2O3;6〜13質量%
Fe2O3;1〜10質量%
MgO;1〜4質量%
CaO;0.1〜2質量%
Na2O;0.1〜1質量%
K2O;0.1〜1質量%
その他の酸化物(TiO2など);1質量%以下
Ig−loss(1050℃);4〜8質量%
本発明において、上述した活性白土と混合するシリカマグネシア製剤は、シリカ粒子とマグネシア粒子とが原子の交換や組み換えを伴うような化学結合を伴うことなく、混合され、複合一体化した形態を有するものである。即ち、物理的手段により分離しないように一体化されたものである。
即ち、ゲル法或いは沈降法で得られる非晶質シリカの水性スラリーと、マグネシアまたはその水和物の水性スラリーとを、シリカとマグネシアとの量比が上記範囲内となる量で使用し、これら水性スラリーを、100℃以下、特に50〜97℃の温度で、0.5時間以上、特に1〜24時間かけて均質混合及び熟成し、冷却後、ボールミルやコロイドミル等により湿式粉砕して約5μm以下の粒子を得、最後に乾燥によって水分を除去することにより、シリカ粒子とマグネシア粒子とが緊密に複合化したシリカマグネシア製剤を得ることができる。
このようなシリカマグネシア製剤は、例えば水澤化学工業株式会社より、ミズカライフの商品名で市販されている。
本発明においては、上述した活性白土とシリカマグネシア製剤とを乾式混合して、精製油脂用脱色剤として使用する。
即ち、活性白土単独では、精製油脂に対しては高い脱色性を発現させるために、その使用量が多量になり、多量の活性白土の使用は、得られる脱色油の酸価の増大をもたらす。しかるに、本発明では、シリカマグネシア製剤を併用することにより、脱色油の酸価を低減させるばかりか、活性白土の優れた脱色性をも維持させることができる。例えば、活性白土の一部がシリカマグネシア製剤に置き換えられているにもかかわらず、このような置き換えがされていない活性白土と同等の脱色性能を発現することができる。
例えば、Mg成分とAl成分との合計量が上記範囲よりも多い場合或いはアニオン吸着能が上記範囲よりも大きい場合には、シリカマグネシア製剤の量が過剰であり、この結果、酸価低減機能は満足し得るとしても、精製油脂に対する脱色性能が低くなってしまう。また、Mg成分とAl成分との合計量が上記範囲よりも少ない場合或いはアニオン吸着能が上記範囲よりも小さい場合には、活性白土の量が過剰であり、酸価低減機能が損なわれてしまう。
即ち、この脱色油は、酸価が低く、遊離脂肪酸量が少ないため、次に行う水蒸気蒸留による脱臭処理をより低温、短時間で行うことができる。例えば、従来は、脱臭処理を200〜250℃での加熱下で40〜90分程度の時間、水蒸気蒸留を行っていたが、この水蒸気蒸留を、より低温で且つ短時間で行って悪臭成分を除去できることが期待される。この結果、脱臭処理に起因するトランス脂肪酸や3−MCPDなどの有害物質の増大やトコフェノールやステロールなどの有効成分の減少等を有効に抑制することができる。
試料の分解をアルカリ溶融で行い、SiO2は重量法、Al2O3はEDTA−亜鉛逆滴定法、MgOはキレート滴定でそれぞれ測定し、各金属成分を定量した。なお、試料は110℃で3時間乾燥した物を基準とする。
本実施例におけるオレンジII吸着能は、10mmol/L濃度のオレンジII水溶液から、1gの試料が吸着できるオレンジIIのmmol数とし、下記の方法により測定し、算出した。
先ず、オレンジII(試薬特級、和光純薬工業(株)製)を水に溶かし、10mmol/L濃度のオレンジII水溶液を得る。
この10mmol/L濃度のオレンジII水溶液20mlを50ml容の遠沈管に秤取し、試験粉末0.20gを加えて振とう機(ヤマト科学(株)製SA300、振とうスピード5)により7.5時間振とうする。振とう終了後、12時間以上静置する。
次に遠心分離機((株)クボタ製 5200)により遠心加速度3000rpmで15分処理した液の上澄みを0.5mL採取し、これをイオン交換水により200倍に希釈した液の484nm波長光の吸光度を分光光度計(日本分光(株)製V−630)により測定した。そして、オレンジII水溶液のオレンジII含有量と484nm波長光の吸光度の関係を示す検量線を用いて試料液のオレンジII残存量を算出した。この値を、試料へのオレンジII添加量から差し引いた値をオレンジII吸着量とする。
本実施例における脱色剤の性能は、RBDパーム油(色調指数68、酸価0.19)を減圧下にて脱色剤で処理することで得た脱色油の色調および酸価の測定値により評価した。
先ず、300mL丸底フラスコにRBDパーム油200gを採取し、各脱色剤サンプルを4g(油に対して2.0質量%)加えて攪拌機でよく混ぜる。このフラスコを40mmHgまで減圧した状態でヒーターを用いて110℃に加熱し、バキュームスターラにより20分間攪拌を行った。次に、室温下まで冷却した後に大気圧状態にし、油と脱色剤の混合懸濁液をろ過することにより各脱色油を得た。
各脱色油の色調は、ロビボンド比色計(ティントメタ−社製モデルF)を用いて測定されるY値(黄色度を示す指数)とR値(赤色度を示す指数)とから算出される色調指数(Y+10R)により評価し、この値が小さくなるほど、無色に近く、脱色が効果的に行われていることを示す。
各脱色油の酸価は、日本油化学会が制定する基準油脂分析法2.3.1−1996に準拠し測定した。この値が低いほど、遊離脂肪酸含有量が少なく、遊離脂肪酸の除去が効果的に行われていることを示す。
新潟県胎内市産のスメクタイト系粘土を原料として用い、この原料を粗砕、混練し5mm径に造粒した。得られた造粒物の水分は37%であった。
この造粒物1500gを処理槽に充填し、そこに35質量%硫酸水溶液2000mlを循環させ酸処理を行った。その時の処理温度は90℃、処理時間は7時間であった。酸処理終了後、酸処理物に洗浄水を循環して水洗を行った後110℃で乾燥、粉砕、分級して活性白土粉末を得た。
得られた活性白土粉末について、各種物性測定を行い、その結果を表2に示した。
シリカマグネシア製剤(水澤化学工業(株)製)について、各種物性測定を行い、その結果を表2に示した。
比較例1で得られた活性白土粉末と、比較例2のシリカマグネシア製剤を、活性白土由来のSi成分(SiO2)とシリカマグネシア製剤由来のSi成分(SiO2)とのトータル量100質量部当りの、Mg成分(MgO)とAl成分(Al2O3)との合計量が17になるように乾式混合し得られた粉末について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
実施例1における活性白土由来のSi成分(SiO2)とシリカマグネシア製剤由来のSi成分(SiO2)とのトータル量100質量部当りの、Mg成分(MgO)とAl成分(Al2O3)との合計量を25に代えて得られた粉末について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
実施例1における活性白土由来のSi成分(SiO2)とシリカマグネシア製剤由来のSi成分(SiO2)とのトータル量100質量部当りの、Mg成分(MgO)とAl成分(Al2O3)との合計量を32に代えて得られた粉末について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
実施例1における活性白土由来のSi成分(SiO2)とシリカマグネシア製剤由来のSi成分(SiO2)とのトータル量100質量部当りの、Mg成分(MgO)とAl成分(Al2O3)との合計量を41に代えて得られた粉末について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
比較例1で得られた活性白土粉末と、酸化マグネシウム(神島化学工業(株)製スターマグU)を、活性白土由来のSi成分(SiO2)とシリカマグネシア製剤由来のSi成分(SiO2)とのトータル量100質量部当りの、Mg成分(MgO)とAl成分(Al2O3)との合計量が48になるように乾式混合し得られた粉末について各種物性測定を行い、その結果を表2に示した。
市販の二酸化ケイ素(水澤化学工業(株)製ミズカソーブC―1)と市販の水酸化カルシウム(和光純薬工業(株)製水酸化カルシウム)を用い、シリカ(SiO2)とカルシウム(CaO)との質量比(SiO2/CaO)が9となり、且つ両原料のSiO2換算でのシリカ成分含有量とCaO換算でのカルシウム成分含有量の合計が150gとなるように原料を量りとる。次に、容量2Lのステンレススチール製タンクに、後から加える粉末原料との合計が1150gとなるように水道水を入れ、攪拌下、あらかじめ量りとった粉末原料を少しずつ加えいれる。攪拌を続け、加熱により約15分で95℃まで昇温し、以後10時間かけて均質混合及び熟成を行う。スラリーを減圧ろ過により脱水し、得られたケーキを電気乾燥機に入れ、110℃で乾燥する。最後に乾燥ケーキをサンプルミル(ハンマーミル型粉砕機)で粉砕し、ケイ酸カルシウム粉末を得た。
このケイ酸カルシウム粉末と、比較例1で得られた活性白土粉末を、活性白土:ケイ酸カルシウムで示す重量比が2:1になるように乾式混合し得られた粉末について各種物性測定を行い、その結果を表2に示した。
Claims (2)
- 活性白土とシリカマグネシア製剤との混合物からなる脱色剤を使用し、RBDパーム油に該脱色剤を添加して脱色を行うRBDパーム油の脱色方法であって、前記脱色剤を構成する混合物は、酸化物換算で、活性白土由来のSi成分(SiO2)とシリカマグネシア製剤由来のSi成分(SiO2)とのトータル量100質量部当り、Mg成分(MgO)とAl成分(Al2O3)との合計量が10〜45質量部の範囲にあり、且つオレンジII吸着量で表されるアニオン吸着能が30〜70mmol/100gの範囲にあることを特徴とするRBDパーム油の脱色方法。
- 前記混合物が、酸化物換算で、Mg成分(MgO)とAl成分(Al2O3)との質量比(Al2O3/MgO)が0.10〜4.00の範囲にある請求項1に記載の脱色方法。
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