以下、本発明の一実施形態に係るパワーユニットについて説明する。このパワーユニットは、貨物自動車に搭載された荷受台昇降装置のアクチュエータを駆動させるものである。すなわちパワーユニットは、貨物自動車が備えた荷受台を作動させるための油圧駆動源である。パワーユニットの説明に先立ち、貨物自動車および荷受台昇降装置の概略構成を説明する。
図1を参照して、貨物自動車1には、車体2上に荷台3を有する荷箱4が搭載されている。車体2の後部には、荷台3に荷物を積み降ろしするための荷受台昇降装置5が、車体2の後部に取付けられた取付フレーム6を介して配設されている。荷受台昇降装置5は、左右一対の昇降枠7および方形板状の荷受台8を備えている。荷受台昇降装置5は、左右一対の平行リンク9をさらに備えている。平行リンク9は、左右一対の昇降枠7を一定の姿勢としたまま、荷受台8を、荷台3の上面と略同一高さとする最上昇位置(図1に一点鎖線で示す)と、荷受台8を地面に接地させた最下降位置(図1に二点鎖線で示す)との間で昇降させ得るようになっている。なお、荷受台8の裏面には、荷受台8を補強するための中空の補強支持部材10が、左右一対で固着されている。
荷受台昇降装置5は、昇降用シリンダ(リフトシリンダ)11を備える。昇降用シリンダ11は、昇降枠7を昇降駆動させるためのアクチュエータである。昇降用シリンダ11は、各平行リンク9と取付フレーム6との間に配置されている。左右の各昇降枠7には、荷受台8の基部枠12が軸支されており、荷受台8を、起立格納位置(図1に実線で示す)と、荷台3の上面と略同一高さとする水平張出位置(図1に一点鎖線で示す)との間で回動させ得るようになっている。
荷受台昇降装置5は、起伏用シリンダ(チルトシリンダ)13を備える。起伏用シリンダ13は、荷受台8を起伏させるためのアクチュエータである。起伏用シリンダ13は、荷受台8の裏面に固定された支持ブラケット(図示せず)と昇降枠7との間に配置されている。起伏用シリンダ13の伸長により、荷受台8を起立させ得るようになっている。
荷受台昇降装置5は、クロスメンバ14を備える。クロスメンバ14は、車両前後方向に直交する方向である車幅方向を長手方向として延び、車体2の後部下面に配置されている。クロスメンバ14は、底壁14A、天壁14B、側壁14C,14Dを備え、長手方向一方端が閉じられた中空の断面矩形状に形成されている。クロスメンバ14の天壁14Bの長手方向途中部分が、車体2の後部下面に固定(例えば溶接)されている。クロスメンバ14の長手方向他方端は開放された挿入口14Eとされている。各取付フレーム6には挿通開口6aが形成され、クロスメンバ14の長手方向の各端部寄り部分が挿通開口6aに挿通され、クロスメンバ14の長手方向の各端部寄り部分が挿通開口6aに挿通された状態で、クロスメンバ14および各取付フレーム6が固定(例えば溶接)されている。
図2に示すように、パワーユニット15は、パワーユニット本体16と、パワーユニット本体16を取付けるベース17と、パワーユニット本体16の構成の一部であるバルブブロック23、オイルタンク24、およびポンプ25を一体的に保持する保持部材18と、クロスメンバ14とパワーユニット本体16との干渉を防止する門型カバー19と、パワーユニット本体16を振動から保護する防振ゴム20(図3参照)と、電気配線21および油圧配管22、とを備える。
パワーユニット本体16は、クロスメンバ14に対してその長手方向に、所定量(後述するように、保持ボルトB1に規制ボルトB4が当接するまで引き出した量)だけ引出し可能であり、また、パワーユニット本体16は、クロスメンバ14に収納可能とされている。パワーユニット本体16は、前記バルブブロック23、オイルタンク24、ポンプ25、電動モータ26、およびコントローラ27を、一列に備えている。
パワーユニット本体16がクロスメンバ14に収納されている状態において、バルブブロック23、オイルタンク24、ポンプ25、電動モータ26、およびコントローラ27は、この順にクロスメンバ14の引出側端である挿入口14E側から挿入側端に向け長手方向に沿うよう、一列(一直線)上に配置されている。引出側とは、クロスメンバ14における、パワーユニット本体16をクロスメンバ14から引出す手前側(図2における左側)C1であり、挿入側とは、クロスメンバ14における、パワーユニット本体16をクロスメンバ14に挿入する奥側(図2における右側)C2と定義される。
バルブブロック23は、オイルタンク24とアクチュエータである昇降用シリンダ11および起伏用シリンダ13との間で作動油の流れを中継する部分である。バルブブロック23は、直方体形状のブロック本体部28と、円柱形状のブロック側蓋部29とを備える。ブロック本体部28は、プラットホーム開閉用のニードルバルブ、荷受台8の下降速度を調整するためのフロコンバルブ、作動油の吐出圧を調整するためのリリーフバルブを備えている。図3および図4に示すように、ブロック本体部28は、その一面である引出側端面(長手方向端面)30に、調整部であるニードルバルブ調整部31(開閉用の二つ)、フロコンバルブ調整部32、リリーフバルブ調整部33、下降用ソレノイドバルブのソレノイドSOLA、起伏切換用ソレノイドバルブのソレノイドSOLB、さらに圧力センサ34を備えている。なお、ソレノイドSOLAおよびソレノイドSOLBはカートリッジ式(例えば、バネ、スプール、Oリング等を組み立てて構成されている)であり、故障時に交換される。
図4に示すように、ブロック側蓋部29は、バルブブロック23の一部であり、したがって、ブロック本体部28に一体的に設けられている。ブロック側蓋部29は、後述する、オイルタンク24のバルブ側小断面部35に嵌合(内嵌)し、バルブブロック23の機能とともに、バルブ側小断面部35に蓋をする機能を兼用している。なお、ブロック側蓋部29の外周面にシールリング36が嵌着され、ブロック側蓋部29をバルブ側小断面部35に嵌合した際の密封性が確保されている。
バルブブロック23の他面、すなわちオイルタンク24と長手方向で対向し、一面に相対する挿入側端面38に、配管接続部が配置されている。この挿入側端面38は、ブロック側蓋部29の端面も含んでいる。ブロック本体部28の挿入側端面38は、バルブ側小断面部35に当接している。
配管接続部は、ポンプ25からバルブブロック23へ作動油を導入する導入配管39を接続するための導入配管接続部40と、図5(a)に示すように、バルブブロック23から各アクチュエータ側へ作動油を導出する導出配管41,42を接続するための導出配管接続部43,44とを備えている。
この場合、導入配管39は、オイルタンク内を挿通するインナパイプであり、その一端側、および他端側が、それぞれポンプ25とバルブブロック23とに接続されている。導入配管接続部40は、バルブブロック23の挿入側端面38に設けられた導入側ねじ穴であり、導入配管39の一端側は、ポンプ25側に設けた導入側ねじ穴45にアダプタ45aを介して接続され、他端側はブロック側蓋部29の端面に設けた導入側ねじ穴40に、アダプタ39aを介して接続されている。
導出配管接続部43,44は、挿入側端面38のうち、オイルタンク24から外れた上部に対応する位置(後述する、オイルタンク24のバルブ側小断面部35よりも上側)に配置されてバルブブロック23に設けられた導出側ねじ穴である。さらに具体的には、導出配管接続部43,44は、挿入側端面38の上部隅部近傍で、且つ幅方向両側端近傍に配置されている。導出配管41の一端側は、挿入側端面38に設けた一方の導出側ねじ穴43にアダプタ43aを介して接続され、導出配管42の一端側は、挿入側端面38に設けた他方の導出側ねじ穴44にアダプタ44aを介して接続されている。
図3に示すように、バルブブロック23の幅方向両側面には、長手方向に亘る溝状凹部が形成されている。具体的に、溝状凹部は、幅方向両側面の高さ方向略中心部に形成された上位凹部46と、上位凹部46の下側に形成された下位凹部47とを備える。上位凹部46の上下方向高さは、下位凹部47に比べて高く設定されている。下位凹部47は、上位凹部46の下方に、上位凹部46に連続して形成され、上位凹部46からさらに深くなるよう設定されている。換言すれば、上位凹部46と下位凹部47とは上下方向途中部の段付面48を介して上下に連続するよう形成されている。
オイルタンク24は、昇降用シリンダ11および起伏用シリンダ13に供給される作動油を貯留するものである。図2に示すように、オイルタンク24は、大断面部49と、前記バルブ側小断面部35と、ポンプ側小断面部50とを備える。大断面部49、バルブ側小断面部35、およびポンプ側小断面部50は、合成樹脂により一体的に形成されている。大断面部49は、長手方向途中部分に配置されており、長手方向に同一断面形状に形成されている。図3および図6に示すように、大断面部49の四隅部には、面取り51,52,53,54が施されることで、大断面部49の断面形状は、八角筒形に形成されている。なお、大断面部49の上面49aには、オイルの注ぎ口である給油口55(図2参照)が設けられており、給油口55はキャップ55aにより塞がれており、キャップ55aに空気吸排のためのブリーザが設けられている。
導出配管41,42は、面取り51,52,53,54のうち、上側の面取り51,52にそれぞれ沿うようにして、クロスメンバ14の長手方向に配置され、それぞれが昇降用シリンダ11、起伏用シリンダ13側に接続される。
バルブ側小断面部35、およびポンプ側小断面部50は、大断面部49に比べて絞られることで、大断面部49に比べて小断面に形成されている。バルブ側小断面部35は、大断面部49に対してバルブブロック側に配置されている。ポンプ側小断面部50は、大断面部49に対してポンプ側に配置されている。
バルブ側小断面部35、およびポンプ側小断面部50の断面形状は、略円筒形状(断面円形)である。バルブ側小断面部35、およびポンプ側小断面部50の円筒中心は、例えば、上下方向に位置ずれされている。バルブ側小断面部35、およびポンプ側小断面部50の円筒中心が上下方向に位置ずれされていることにより、オイルタンク24を回転させる方向の力に対して、オイルタンク24の回転が抑制される。
図6に示すように、大断面部49の幅方向両側面には、長手方向に亘って溝状凹部56が形成されている。溝状凹部56は、オイルタンク24の幅方向中心(径方向内方)に向かって凹となるよう形成されている。溝状凹部56は、上壁部57、下壁部58、および奥壁部59によって形成されており、長手方向に亘って同一断面である。溝状凹部56は、バルブ側小断面部35、およびポンプ側小断面部50には形成されていない。溝状凹部56は、バルブブロック23の上位凹部46および下位凹部47の位置に対応した位置にあって、奥壁部59の奥面59aの深さ位置は、バルブブロック23の上位凹部46よりも深い下位凹部47の奥面47aより更に深く設定されている。これにより、後述するバルブブロック23の溝状凹部とオイルタンク24とポンプ25に長手方向に亘って装着される保持部材18が、オイルタンク24と干渉しないようにされている。
オイルタンク24のバルブ側小断面部35、およびポンプ側小断面部50は略円筒形状で開放された構成である。そこで、バルブ側小断面部35は一方側端部材によって蓋がなされ、ポンプ側小断面部50は他方側端部材によって蓋がなされている。一方側端部材はバルブブロック23に相当する。バルブ側小断面部35に蓋をしている部材は、前述したように、ブロック側蓋部29である。他方側端部材はポンプ25に相当し、これについては後述する。
ポンプ25は、オイルタンク24内の作動油を吸入して、作動油を導入配管39(バルブブロック23側)に吐出するためのものである。図2に示すように、ポンプ25には、ギヤポンプが用いられている。ポンプ25は、直方体形状のポンプ本体部60と、円柱形状のポンプ側蓋部61とを備える。ポンプ側蓋部61は、オイルタンク24のポンプ側小断面部50に嵌合(内嵌)し、ポンプ25の機能とともに、ポンプ側小断面部50に蓋をする機能を兼用している。なお、ポンプ側蓋部61の外周面にシールリング37が嵌着され、ポンプ側蓋部61をオイルタンク24のポンプ側小断面部50に嵌合した際の密封性が確保されている。ポンプ本体部60の引出側端面60aは、ポンプ側小断面部50に当接している。
図8に示すように、ポンプ25の幅方向両側面には、長手方向に亘る溝状凹部25aが形成されている。溝状凹部25aは、バルブブロック23の下位凹部47の位置に対応した位置にあって、溝状凹部25aの奥面25bは、バルブブロック23の下位凹部47の奥面47aと面一となるように設定されている。
バルブブロック23の溝状凹部において、下位凹部47が上位凹部46からさらに深くなるよう設定されて、ポンプ25の溝状凹部25aの奥面25bと下位凹部47の奥面47aとを面一としているが、このように上位凹部46と下位凹部47の深さを変えている理由は、ポンプ25における電動モータ26の接続部に溝状凹部が干渉するのを回避するためである。
なお、オイルタンク24はベース17に対して浮いた状態にあり、前述したように、ブロック側蓋部29が、バルブ側小断面部35に嵌合し、ポンプ側蓋部61が、オイルタンク24のポンプ側小断面部50に嵌合することで、オイルタンク24は、バルブブロック23およびポンプ25に仮に保持されている。
電動モータ26は、ポンプ25を駆動させるためのものであり、ポンプ25の挿入側に隣接して配置されている。コントローラ27は、バルブブロック23のバルブ駆動部、電動モータ26の駆動部を制御するものであり、電動モータ26の挿入側に隣接して配置されている。
コントローラ27の挿入側寄りに、門型カバー19が配置されている。図2および図7に示すように、門型カバー19は、後述するベース17のサイドガード62に固定された一対の側壁部63と、両側壁部63をその上端部で幅方向に連結する天壁部64とを備える。側壁部63はサイドガード62の内面から垂直方向に延長され、その上部で幅方向中心側へ折曲されている。天壁部64は幅方向に沿うよう配置されている。天壁部64の高さ位置は、パワーユニット本体16を構成する他の部材よりも高く設定されている。このような門型カバー19の構成により、パワーユニット15をクロスメンバ14の長手方向に引き出す際に、パワーユニット15がクロスメンバ14の内壁面と干渉するのを防止して、パワーユニット15を保護できる。
図3および図6に示すように、保持部材18は、杆状部65と、カバー部66と、保持ボルトB1とを備えている。この保持部材18は、オイルタンク24の外周方向に離間して少なくとも二つ、一対で設けられている。この場合、保持部材18は、バルブブロック23、オイルタンク24、ポンプ25の長手方向を含む所定の基準面である垂直平面(一方側端部材と他方側端部材を通る面)Pに対してその一方側と他方側に分けて配置されており、バルブブロック23(一方側端部材)、およびポンプ25(他方側端部材)の双方を、基準面の一方側および他方側で保持するよう構成されている。
杆状部65は、バルブブロック23でオイルタンク24の長手方向の一方側開口部であるバルブ側小断面部35を封止し、ポンプ25で長手方向の他方側開口部であるポンプ側小断面部50を封止した状態において、少なくともバルブブロック23、オイルタンク24、およびポンプ25の長手方向の長さに対応した長さを有する。具体的には、杆状部65は、バルブブロック23、オイルタンク24、およびポンプ25の長手方向の長さに略等しい長さに形成されており、バルブブロック23、オイルタンク24の溝状凹部に亘って装着される。
杆状部65は、長手方向に直交する断面をU字状に形成したU字状部である。U字状部は、幅方向中心(オイルタンク24の径内方向)に向けて凸となるよう形成されている。U字状部をオイルタンク24に対応する部分で説明すると、図6に示すように、U字状部は、オイルタンク24の溝状凹部56の上壁部57、奥壁部59、および下壁部58にそれぞれ対向する天壁側保持壁部67、奥壁側保持壁部68、および底壁側保持壁部69を備える。杆状部65を断面U字状に形成することにより、強度(剛性)が向上し、ねじれが抑制されている。
杆状部65とオイルタンク24との間には隙間があって、杆状部65とオイルタンク24とは接触していない。この隙間によって、杆状部65とオイルタンク24とが干渉しないよう構成されている。すなわち、杆状部65によってオイルタンク24が損傷しないように構成されている。
杆状部65をバルブブロック23に対応する部分で説明すると、杆状部65には、溝状凹部から外れた位置でバルブブロック23の幅方向側面に対向する側面保持壁部70が一体的に設けられている。側面保持壁部70は、U字状部の天壁側保持壁部67の上端から上方に向けて延長するよう、一体的に形成されている。
カバー部66は、パワーユニット15を駆動する電力を供給するための電気配線21を覆う部分である。カバー部66は、杆状部65の底壁側保持壁部69に一体的に形成されている。カバー部66は、U字状部における開放側端部に形成されている。具体的には、カバー部66は、側面保持壁部70と面一で、電気配線21を幅方向外側で被覆する外側被覆壁部71と、外側被覆壁部71の下端から、溝状凹部56の下壁部58に対向するよう折曲されて電気配線21をその下側で覆う下側被覆壁部72とを備えている。
図2に示すように、電気配線21は、コントローラ27と電動モータ26を接続する配線21Aと、コントローラ27とバルブブロック23側とを接続する配線21Bと、コントローラ27と圧力センサ34とを接続する配線21Cとを備えている。このうち、配線21Bおよび配線21Cが、配線途中で、バルブブロック23、オイルタンク24、およびポンプ25に形成した溝状凹部に挿入されている(図6参照)。すなわち、オイルタンク24に沿う配線21B,21Cは、杆状部65とオイルタンク24との間の前記隙間に配置されている。そして杆状部65を断面U字状に形成することにより、強度(剛性)を向上させねじれを抑制させていることで、杆状部65と配線21B,21Cとが強く干渉する状況を生じさせないようにしている。
なお、バルブブロック23には、オイルタンク24と昇降用シリンダ11、オイルタンク24と起伏用シリンダ13を接続する油圧回路の途中に配置されたソレノイドがそれぞれ設けられている。また、バルブブロック23から外れた位置に、緊急時(例えば昇降用シリンダ11の不測の停止)に操作される緊急スイッチSWが配置されている。そして配線21Bは、一端をコントローラ27に接続し、他端を各ソレノイドに接続した配線と、一端をコントローラ27に接続し、他端を緊急スイッチに接続した配線を備える。圧力センサ34は、バルブブロック23から引出側に突出するよう設けられており、配線21Cの一端はコントローラ27に接続され、他端は圧力センサ34に接続されている。
前述したように、電気配線21のうち、配線21Bおよび配線21Cが、配線途中で溝状凹部に挿入され、カバー部66とポンプ本体部60の長手方向に沿う外側面との間、カバー部66とオイルタンク24の長手方向に沿う外側面との間、カバー部66とブロック本体部28の長手方向に沿う外側面との間で、カバー部66に覆われた構成とされている。そして配線21Bおよび配線21Cは、杆状部65(U字状部)に略並行な状態で溝状凹部内に収容されている。
図3に示すように、保持ボルトB1は、バルブブロック23、オイルタンク24、およびポンプ25を組合せた状態において、その引出側端寄りおよび挿入側端寄りに配置されている。すなわち、保持ボルトB1は、杆状部65の奥壁側保持壁部68の、バルブブロック23のブロック本体部28に対応する位置において、奥壁側保持壁部68からブロック本体部28、ポンプ本体部60に幅方向で螺合している。換言すれば、保持ボルトB1は、垂直平面Pを介してその両側から一直線上で対向するよう配置され、それぞれバルブブロック23、ポンプ25の中心へ向かう。また、保持ボルトB1は、杆状部65の奥壁側保持壁部68の、ポンプ25のポンプ本体部60に対応する位置において、奥壁側保持壁部68からポンプ本体部60に幅方向で螺合している。このような保持ボルトB1は、両側の杆状部65について設けられており、且つブロック本体部28、ポンプ本体部60のそれぞれの長手方向に離間して一対で設けられている。なお、保持ボルトB1は、オイルタンク24を貫通するものではない。
このように、保持ボルトB1は、バルブブロック23、オイルタンク24、およびポンプ25を組合せた状態において、杆状部65の奥壁側保持壁部68の、バルブブロック23のブロック本体部28に対応する位置で、奥壁側保持壁部68からブロック本体部28に幅方向で螺合し、杆状部65の奥壁側保持壁部68の、ポンプ25のポンプ本体部60に対応する位置で、奥壁側保持壁部68からポンプ本体部60に幅方向で螺合している。これにより、オイルタンク24が、バルブブロック23およびポンプ25に確実に保持された状態となって、オイルタンク24、バルブブロック23およびポンプ25が、偏りなく保持されている。
但し、前述のとおり、杆状部65とオイルタンク24との間には隙間があって、杆状部65とオイルタンク24とは接触していない。つまり、オイルタンク24は杆状部65および保持ボルトB1によって直接的に保持されるものではない。しかしながら、バルブブロック23およびポンプ25の相対位置および相対姿勢は杆状部65および保持ボルトB1によって保持されている。このため、オイルタンク24の両端が開放されてしまうことによるオイル漏れを防止できる。
また、バルブ側小断面部35、およびポンプ側小断面部50の円筒中心が上下方向に位置ずれされていることにより、オイルタンク24が、バルブブロック23およびポンプ25に確実に保持された状態となっている。オイルタンク24の姿勢保持が確実になれば、例えばオイルタンク24内のオイルの動きに伴ってオイルタンク24に、これを回転させる方向の力が働いても、オイルタンク24はバルブブロック23やポンプ25に対し相対的に回転しない。このため給油口55が下を向かず、したがって、給油口55からオイルが漏れるのを防止できる。また、保持ボルトB1がブロック本体部28、ポンプ本体部60に幅方向に一対で螺合していることにより、ブロック本体部28、ポンプ本体部60が、オイルタンク24に対して傾斜してしまうのを防止できる。
ところで、本実施形態では、バルブ側小断面部35、ポンプ側小断面部50の断面形状を円筒形状とし、ブロック側蓋部29、ポンプ側蓋部61を、バルブ側小断面部35、ポンプ側小断面部50に嵌合する形状としている。ここで、バルブ側小断面部35、ポンプ側小断面部50の断面が四角形や楕円形の場合を仮想すると、このような形状では、シールリング36,37との圧力が均一でなくなる。そこで本実施形態では、バルブ側小断面部35、ポンプ側小断面部50の断面形状を円筒形状としているが、円筒形状とすると、ブロック側蓋部29、ポンプ側蓋部61に対してオイルタンク24が、オイルの動き等により回転してしまうことが想定される。そこで、本実施形態では、バルブ側小断面部35、およびポンプ側小断面部50の円筒中心を位置ずれさせることで、オイルタンク24が回転するのを防止している。
図3に示すように、パワーユニット本体16は、ベース17に固定されて、まとめて扱うことが可能になっている。すなわち、パワーユニット本体16は、ベース17ごと、クロスメンバ14に対してその長手方向に、引出し、および挿入(収納)が可能とされている。ベース17の長手方向は、クロスメンバ14の長手方向と一致する。
ベース17は、ベース本体部73と、防振ゴム取付部74と、前記サイドガード62とを備えている。ベース本体部73は、クロスメンバ14の底壁14Aの壁面に倣う平板に形成され、パワーユニット本体16を載置するのに充分な長さに設定されている。
防振ゴム取付部74は、ベース本体部73の幅方向一方端(前端)から前方へ向けて上傾斜するよう延長された一方側取付板部75と、ベース本体部73の幅方向他方端(後端)から後方へ向けて上傾斜するよう延長された他方側取付板部76とを備えている。サイドガード62は、一方側取付板部75、他方側取付板部76からそれぞれ上方に向けて延長されており、ベース本体部73と等しい長さに設定された板状に形成されている。一方側取付部75、他方側取付部76、およびサイドガード62は、ベース本体部の端を折曲成形されている。
防振ゴム20は略直方体形状に形成され、一方側取付板部75および他方側取付板部76の上面に、その傾斜に沿うようそれぞれ載置された載置部材77を介して載置されている。載置部材77は、長手方向に所定の長さを有し、防振ゴム20は載置部材77の長手方向に対応した長さに形成されている。特に、載置部材77は、パワーユニット本体16のうち、バルブブロック23、ポンプ25、電動モータ26に対応する位置に配置されている。防振ゴム20は、各載置部材77の長手方向中心部に載置されている。
防振ゴム20は、載置部材77の外側から、載置部材77の傾斜方向に直交する方向に挿入螺合された内側固定ボルトB2によって載置部材77に固定されている。この内側固定ボルトB2の先端側は、バルブブロック23、ポンプ25、電動モータ26の外周部に螺合しており、この構成により、バルブブロック23、ポンプ25、および電動モータ26が、載置部材77および防振ゴム20と一体化されている。
パワーユニット本体16は、ベース17に防振ゴム20および載置部材77を介して固定されている。特に、パワーユニット本体16のうち、バルブブロック23、ポンプ25、電動モータ26に相当する領域が、ベース17に防振ゴム20および載置部材77を介して固定されることで、パワーユニット本体16がベース17に固定されている。
具体的に、一方側取付板部75および他方側取付板部76の、載置部材77が配置された領域において、外側固定ボルトB3が、一方側取付板部75および他方側取付板部76の外側から、これらの傾斜方向に直交する方向に載置部材77に挿入螺合されることで、ベース17に載置部材77が固定されている。外側固定ボルトB3は、内側固定ボルトB2を回避させるために、内側固定ボルトB2に対して長手方向両側に配置されている。このような構成により、パワーユニット本体16がベース17に確実に固定された構成となっている。
図6を参照して、クロスメンバ14の一方の側壁14C(あるいは側壁14D)には、保持ボルトB1に当接することで、パワーユニット15の、クロスメンバ14からの引出し量を規制する規制ボルトB4が挿通されている。この場合、保持ボルトB1は、ポンプ25のポンプ本体部60に螺合したボルトである。パワーユニット15の、クロスメンバ14からの引出し量、すなわち、規制ボルトB4の長手方向位置は、少なくともオイルタンク24のブリーザ55が露出されるよう設定されている。すなわち、バルブブロック23は全て露出する(図5(b)参照)。
図2、図5、図7において符号78は蓋体を示している。蓋体78は、クロスメンバ14の挿入口14Eを開閉する部材である。蓋体78は、ベース17の長手方向端部に固定されており、パワーユニット本体16をクロスメンバ14に収容した状態で、クロスメンバ14の挿入口14Eを閉じ、パワーユニット本体16をクロスメンバ14から引き出した状態で、クロスメンバ14の挿入口14Eから離間する(挿入口14Eを開放する)。
上記構成のパワーユニット15では、バルブブロック23がクロスメンバ14の引出側端に配置されている。このため、図5(b)に示すように、パワーユニット本体16をクロスメンバ14の長手方向に、ポンプ本体部60側の保持ボルトB1に規制ボルトB4が当接するまで引き出した際に、ニードルバルブ調整部31、フロコンバルブ調整部32、リリーフバルブ調整部33が、クロスメンバ14から露出するので、これらの調整やメンテナンスが施し易い。
また、ブロック本体部28は、その一面である引出側端面(長手方向端面)30に、ニードルバルブ調整部31、フロコンバルブ調整部32、リリーフバルブ調整部33、下降用ソレノイドバルブのソレノイドSOLA、起伏切換用ソレノイドバルブのソレノイドSOLB、さらに圧力センサ34を配置し、導出配管接続部43,44は、挿入側端面38の上部隅部近傍で、且つ幅方向両側端近傍に配置されている。すなわち、ニードルバルブ調整部31、フロコンバルブ調整部32、リリーフバルブ調整部33等を配置した面には、導出配管接続部43,44(導出配管41,42)がない。このため、パワーユニット15をクロスメンバ14の長手方向に引き出して、調整部に調整やメンテナンスを施す際に、調整部の調整やメンテナンスがいっそうし易い。
さらに、ニードルバルブ調整部31、フロコンバルブ調整部32、リリーフバルブ調整部33等は、ブロック本体部28の引出側端面30に配置されている。このため、パワーユニット15をクロスメンバ14の長手方向に引き出す際に、ニードルバルブ調整部31、フロコンバルブ調整部32、リリーフバルブ調整部33等がクロスメンバ14に干渉するのを防止でき、これら調整部が保護できる。
導出配管41,42は、オイルタンク24の面取り51,52,53,54のうち、上側の面取り51,52にそれぞれ沿うようにして、クロスメンバ14の長手方向に配置され、それぞれが昇降用シリンダ11、起伏用シリンダ13側に接続されている。この構成のように、導出配管41,42がブロック本体部28の挿入側端面の上部に配置された配管接続部からクロスメンバ14の長手方向に沿って配置されることで、オイルタンク24に妨げられずに導出配管41,42を導出配管接続部43,44に接続でき、バルブブロック23の挿入側端面の上部から導出された導出配管41,42を、そのまま昇降用シリンダ11、起伏用シリンダ13側に向かわせることで、導出配管41,42の取り回しが容易になり、また、導出配管41,42の、上方からのメンテナンスもし易い。
さらに、導出配管41,42をクロスメンバ14と面取り51,52の間の空間に置くことで、パワーユニット15をクロスメンバ14に対して出し入れする際に、導出配管41,42を傷つけない。
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、調整部を配置した一面をバルブブロック23の引出側端面30とし、導入配管接続部40および導出配管接続部43,44を、一面以外の他面である挿入側端面38に配置した例を説明した。
しかしながら、調整部は、パワーユニット15をクロスメンバ14から引き出した際に、その調整やメンテナンスがし易い面にあれば、例えばバルブブロック23の天面23aや側面23bに配置するようにしてもよい。何れにしても、導入配管接続部40、導出配管接続部43,44は、調整部を配置した面以外の面に設けて、この導入配管接続部40に導入配管39を接続し、導出配管接続部43,44に導出配管41,42を接続することで、調整部の調整やメンテナンスのための作業がし易い。なお、上記実施形態では、調整部はニードルバルブ調整部31、フロコンバルブ調整部32、リリーフバルブ調整部33としたが、これに限定されない。
上記実施形態では、面取り51,52,53,54をオイルタンク24の四隅に形成し、導出配管41,42を上側の面取り51,52にそれぞれ沿うようにして、クロスメンバ14の長手方向に配置した。しかしながら、パワーユニット15をクロスメンバ14に対して出し入れする際に、導出配管41,42を傷つけず、導出配管41,42が邪魔にならないようにするためには、面取り51,52に代わる凹部を、オイルタンク24の大断面部49の上面のうち、例えば幅方向中心部に形成して、この凹部に導出配管41,42を収納することも考えられる。
そしてこのような凹部は、オイルタンク24大断面部49の上部に配置することに限定されず、大断面部49の高さ方向途中に形成することもできるし、下部に形成することもでき、あるいは、場合によっては、電気配線21を収容した溝状凹部を広げて、これを利用することも可能である。
なお、上記実施形態では、二個の導出配管接続部43,44を設け、それぞれに接続される導出配管41,42は、昇降用シリンダ11、起伏用シリンダ13に接続される例を示した。しかしながら、導出配管接続部43,44は二個に限定されず、昇降用シリンダ11、起伏用シリンダ13およびそれ以外のアクチュエータを備える車両では、該アクチュエータの個数に応じて複数個設けることもできる。逆に、車両の構成によっては、荷受台昇降装置5として起伏用シリンダ13を備えず、アクチュエータが昇降用シリンダ11のみを備える場合では、導出配管接続部および導出配管は、昇降用シリンダ11のために一本となる。
上記実施形態では、パワーユニット本体16は、バルブブロック23、オイルタンク24、ポンプ25、電動モータ26、およびコントローラ27は、クロスメンバ14に収納されている状態において、この順にクロスメンバ14の引出側端から挿入側端に向け長手方向に沿うよう、一直線上に配置された例を示した。しかしながら、導入配管接続部40、導出配管接続部43,44を、調整部を配置した面以外の面に設けて、調整やメンテナンスがし易いのであれば、バルブブロック23、オイルタンク24、ポンプ25、電動モータ26、およびコントローラ27の配置順序は、特に限定されるものではない。
上記実施形態では、保持ボルトB1は、杆状部65の奥壁側保持壁部68の、バルブブロック23のブロック本体部28に対応する位置において、奥壁側保持壁部68からブロック本体部28に幅方向で螺合した場合を示した。しかしながら、オイルタンク24の一方側の一方側開口部を封止する一方側端部材、およびオイルタンク24の他方側の他方側開口部を封止する他方側端部材のみを保持してオイルタンク24を長手方向から締め付けなければ、例えば、杆状部65をクロスメンバ14の長手方向に延長し、バルブブロック23、ポンプ25の一面で折曲げて、保持ボルトB1を長手方向に沿うようバルブブロック23、オイルタンク24に螺合してもよい。また、ボルトではなく、ピンを用いて、このピンをバルブブロック23、ポンプ25に打ち込むようにすることも可能である。
上記実施形態では、一方側端部材と他方側端部材を通る面として、バルブブロック23、オイルタンク24、ポンプ25の長手方向を含む垂直平面Pを想定し、垂直平面Pの両側に保持部材18を対称位置に振り分けた。しかしながら、一方側端部材と他方側端部材を通る面は、垂直平面Pに限定されず、垂直平面Pに対して傾斜している面であってもよいし、場合によっては水平平面であってもよい。また、保持部材18は、一方側端部材と他方側端部材を通る面に対して非対称位置に設けることもできる。
また、杆状部65を三本以上設け、各杆状部65を、保持ボルトB1を用いてバルブブロック23、ポンプ25に固定することもできる。この場合、杆状部65は、バルブブロック23およびポンプ25の周方向に等間隔で配置することが、安定した保持という点において好ましい。
上記実施形態では、一方側端部材をバルブブロック23とし、他方側端部材をポンプ25とし、バルブブロック23の一部、ポンプ25の一部を、オイルタンク24の蓋として用いた。しかしながら、オイルタンク24の蓋として、バルブブロック23、ポンプ25とは別に、特別に専用に設けた部材を用いることも可能である。あるいはオイルタンク24の蓋として、バルブブロック23およびポンプ25のうちの一方のみに、特別に専用に設けた部材を用いることも可能である。
上記実施形態では、杆状部65はU字状断面としたが、強度(剛性)を向上させ得る断面形状であれば、特にU字状断面に限定されず、例えばW字状断面であってもよい。なお、上記実施形態では、バルブ側小断面部35、およびポンプ側小断面部50の円筒中心は、上下方向に位置ずれされた場合を示したが、位置ずれの方向は上下方向に限定されず、左右方向でもよい。