以下、本発明の一実施形態に係るパワーユニットについて説明する。このパワーユニットは、例えば貨物自動車に搭載される荷受台昇降装置のアクチュエータを駆動させるために用いられるものである。換言すれば、パワーユニットは、貨物自動車が備えた荷受台を作動させるために用いられる油圧駆動源である。パワーユニットの説明の前に、貨物自動車及び荷受台昇降装置の概略構成を説明する。
図1を参照して、貨物自動車1には、車体2上に荷台3を有する荷箱4が搭載されている。車体2の後部には、荷台3に荷物を積み降ろしするための荷受台昇降装置5が、車体2の後部に取付けられた取付フレーム6を介して配設されている。荷受台昇降装置5は、左右一対の昇降枠7及び方形板状の荷受台8を備えている。また、荷受台昇降装置5は、左右一対の平行リンク9をさらに備えている。平行リンク9は、左右一対の昇降枠7を一定の姿勢としたまま、荷受台8を、荷台3の上面と略同一高さとする最上昇位置(図1に一点鎖線で示す)と、荷受台8を地面に接地させた最下降位置(図1に二点鎖線で示す)との間で昇降させ得るようになっている。なお、荷受台8の裏面には、荷受台8を補強するための中空の補強支持部材10が、左右一対で固着されている。
さらに、荷受台昇降装置5は、昇降用シリンダ(リフトシリンダ)11を備えている。昇降用シリンダ11は、昇降枠7を昇降駆動させるためのアクチュエータである。昇降用シリンダ11は、各平行リンク9と取付フレーム6との間に配置されている。左右の各昇降枠7には、荷受台8の基部枠12が軸支されており、荷受台8を、起立格納位置(図1に実線で示す)と、荷台3の上面と略同一高さとする水平張出位置(図1に一点鎖線で示す)との間で回動させ得るようになっている。
また、荷受台昇降装置5は、起伏用シリンダ(チルトシリンダ)13を備えている。起伏用シリンダ13は、荷受台8を起伏させるためのアクチュエータである。起伏用シリンダ13は、荷受台8の裏面に固定された支持ブラケット(図示せず)と昇降枠7との間に配置されている。起伏用シリンダ13の伸長により、荷受台8を起立させ得るようになっている。
さらに、荷受台昇降装置5は、クロスメンバ14を備える。クロスメンバ14は、車両前後方向に直交する方向である車幅方向を長手方向として延び、車体2の後部下面に配置されている。クロスメンバ14は、底壁14A、天壁14B、前後の側壁14C,14Dを備え、長手方向一方の端が閉じられた中空の断面矩形状(図では正方形状であるが、長方形状であってもよい)に形成されている。クロスメンバ14の天壁14Bの長手方向途中部分が、車体2の後部下面に固定(例えば溶接)されている。各取付フレーム6には挿通開口6aが形成され、クロスメンバ14の長手方向の各端部寄り部分が挿通開口6aに挿通され、その挿通された状態で、クロスメンバ14及び各取付フレーム6が固定(例えば溶接)されている。
図2及び図3(a),(b)に示すように、クロスメンバ14内には、本発明のパワーユニット15が収納され、パワーユニット15は、クロスメンバ14の長手方向である車幅方向における一端の開口部14Kから出し入れ可能に構成されている。パワーユニット15を出し入れする際には、ベース部材(後述する)17の長手方向一端に固定された蓋体16を掴んで引っ張る又は押し込むことによって、パワーユニット15をクロスメンバ14から出し入れする。この蓋体16は、パワーユニット15をクロスメンバ14に収納した収納状態では、クロスメンバ14の長手方向一端(開口部14K)を閉じ(図3(a)参照)、パワーユニット15をクロスメンバ14から引き出した状態では、クロスメンバ14の車幅方向一端の開口部14Kから離間する(図3(b)参照)。
パワーユニット15は、複数の構成要素であるバルブブロック18、タンク(オイルタンク)19、及びポンプ20を有し、荷受台8の作動を油圧制御するパワーユニット本体21と、パワーユニット本体21の各構成要素18,19,20をクロスメンバ14の車幅方向所定位置に位置決めする位置決め部材17と、パワーユニット本体21を保護する保護部材22とを備えている。保護部材22は、パワーユニット15がクロスメンバ14に収納された収納状態において、パワーユニット本体21とクロスメンバ14との間に配置されている。
さらに、パワーユニット15は、パワーユニット本体21の構成要素であるバルブブロック18、タンク19、及びポンプ20を一体的に保持する前後一対の保持部材23,23と、クロスメンバ14の天壁14Bにパワーユニット本体21が接触することを防止する門型カバー24と、パワーユニット本体21を振動から保護する防振ゴム25(図6参照)と、電気配線26(図6参照)及び油圧配管27(図2参照)とを備えている。
位置決め部材17は、図2〜図4に示すように、クロスメンバ14の長手方向に延びる部材であり、バルブブロック18、タンク19、及びポンプ20をクロスメンバ14の長手方向に並べて載置するベース部材である。このベース部材17は、長方形で平板状のベース本体部17Aと、ベース本体部17Aの前後端から上方に向かう程外広がりとなるよう斜めに傾斜する前後の傾斜板部17B,17Bと、傾斜板部17B,17Bの上端から上方へ起立する前後の板状のカバー部17C,17Cとを備えている。ベース本体部17Aが、クロスメンバ14の底壁14Aの壁面に倣う平板に形成され、パワーユニット本体21を載置するのに充分な長さに設定されている。カバー部17C,17Cは、パワーユニット本体21の車両前後方向の寸法よりも幅広に形成されている。また、前後の傾斜板部17B,17Bが、防振ゴム25,25を取り付ける取付部を構成している。ベース部材17のベース本体部17Aには、複数のネジ孔17N(図4では4個であるが、何個でもよい)が形成されている。このネジ孔17Nは、パワーユニット15の修理やメンテナンスを行わない通常時においてクロスメンバ14内に収納されたパワーユニット15をクロスメンバ14に固定するためのネジ孔である。このネジ孔17Nに対してクロスメンバ14内にパワーユニット15を収納した収納状態で一致する貫通孔(図示せず)が、クロスメンバ14の底壁14Aに形成されている。従って、クロスメンバの貫通孔に挿入したネジをネジ孔17Nに螺合することによって、パワーユニット15をクロスメンバ14に固定することができ、また、ネジを緩めることによって、前記固定を解除してパワーユニット15をクロスメンバ14から引き出すことができる。
保護部材22は、ベース部材17に一体形成された前後のカバー部17C,17Cと、前後一対の保持部材23,23と、門型カバー24とから構成されている。
カバー部17C,17Cは、パワーユニット15を出し入れする際に、クロスメンバ14の前後の側壁14C,14Dの2つの壁面14c,14dにパワーユニット本体21が接触することを防止する(図5参照)。このカバー部17C,17Cは、金属製の板材を折り曲げてベース部材17に一体形成することによって、ベース部材17自体の強度をアップさせることができながらも、部品点数を削減できる。しかも、複数の構成要素であるバルブブロック18、タンク19、及びポンプ20の下面をベース部材17のベース本体部17Aで覆うことができ、パワーユニット15を出し入れする際、パワーユニット本体21の底面がクロスメンバ14の底壁14Aの壁面に摺接することをベース本体部17Aで防止できる。
図2、図3及び図5に示すように、前後一対の保持部材23,23は、パワーユニット15のクロスメンバ14の長手方向に沿った中心線を含む基準面である垂直平面Pに対して一方側と他方側とに配置されている。具体的には、前後一対の保持部材23,23が、バルブブロック18からポンプ20までに亘る長さを有し、バルブブロック18からポンプ20までの前後側面における上下方向中間部を覆う高さを有している。そして、前後一対の保持部材23,23が、パワーユニット15の前後側面の上下方向中間部に配置され、バルブブロック18とポンプ20の前後側面にバルブブロック固定用のボルトB1,B1とポンプ固定用のボルトB2a,B2によりそれぞれ固定されている。各保持部材23は、ベース部材17のカバー部17C,17Cの上端よりも上部に位置してクロスメンバ14の長手方向に連続するとともに前後方向に開放する凹部28を形成する板状でU字状の杆状部29と、杆状部29の上端から上方に延出される板状の上側垂直部30と、杆状部29の下端から下方に延出される板状の下側垂直部31と、下側垂直部31の下端から内側に水平に延びる板状の水平部32とを備えている。上側垂直部30と下側垂直部31とが、パワーユニット本体21の前後の側面よりも前後方向外側に突出している。これにより、パワーユニット15を出し入れしている最中に、パワーユニット15が車両前後方向で傾いて、ベース部材17のカバー部17C,17Cで保護することができないパワーユニット15の前後の側面(カバー部17C,17Cの上端よりも上側に位置するパワーユニット15の前後の側面)のうちの一方が、クロスメンバ14の前後の側壁14C,14Dのうちの一方の壁面(内面)14c又は14dに接触することを保持部材23又は23で防止できる。
図5及び図6に示すように、バルブブロック18及びタンク19の前後の側壁の側面には、前後一対の保持部材23,23の杆状部29、下側垂直部31、水平部32を収容する溝状凹部33,34が形成されている。この溝状凹部34は、杆状部29の下部の水平部分29aと、下側垂直部31と、水平部32とでほぼ閉じられており、電気配線26を位置決めした状態で溝状凹部35内に収容できる。また、タンク19の溝状凹部34が、バルブブロック18の溝状凹部33よりも内側に深い凹部に形成されており、保持部材23,23がタンク19の前後の側壁の側面に全く接触していない状態になっている。さらに、バルブブロック18の溝状凹部33の下方に段部を介して更に深くなっている第2の溝状凹部35が形成されている。この第2の溝状凹部35に電気配線26が収容される。この溝状凹部35は、杆状部29の下部の水平部分29aと、下側垂直部31と、水平部32とで閉じられており、電気配線26を位置決めした状態で溝状凹部35内に収容できる。また、図7に示すように、ポンプ20の前後の側壁の側面には、バルブブロック18の第2の溝状凹部35に対応するように電気配線26を収容する電気配線用の溝状凹部36が形成されている。この溝状凹部36も前記と同様に、杆状部29の下部の水平部分29aと、下側垂直部31と、水平部32とで閉じられており、電気配線26を位置決めした状態で溝状凹部35内に収容できる。ポンプ20には、バルブブロック18及びタンク19に形成された溝状凹部33,34が形成されていないため、保持部材23,23がポンプ20の前後の側面から大きく突出した状態になっており、パワーユニット15を出し入れの際に、ポンプ20の前後の側面がクロスメンバ14の前後の側壁14C,14Dに接触し難い。
門型カバー24は、パワーユニット本体21のクロスメンバ14の長手方向他端部に後述するコントローラ37の上部を覆うように設けられ、パワーユニット本体21がクロスメンバ14に収納された収納状態のパワーユニット本体21とクロスメンバ14の天壁14Bの天面14bとの間に配置される天壁を構成している。具体的には、門型カバー24は、図2及び図9に示すように、ベース部材17の一対のカバー部17C,17Cに下端部が固定された一対の側板部24A,24Aと、両側板部24A,24Aをその上端部で前後方向(クロスメンバ14の幅方向)に連結する天板部24Bを備える。一対の側板部24A,24Aは、カバー部17C,17Cの内面から垂直方向上方へ延長され、その上端で幅方向中心側へ折曲された斜め部分24a,24aを備えている。天板部24Bは、前後方向(クロスメンバ14の幅方向)に沿うよう配置され、その高さ位置は、パワーユニット本体21を構成する他の部材よりも高く設定されている。このような門型カバー24の構成により、パワーユニット15をクロスメンバ14の長手方向に引き出す際に、パワーユニット15が後上がり傾斜姿勢となって、パワーユニット15の後端部に位置するコントローラ37の上端部が、クロスメンバ14の天面14bに接触することを天板部24Bで防止し、コントローラ37におけるベース部材17の一対のカバー部17C,17Cで保護できていない前後側面がクロスメンバ14の前後の側壁14C,14Dの壁面14c,14dに接触することを防止することができる。
クロスメンバ14の天面14bと門型カバー24の天板部24Bの上面との上下方向の距離H2(図9参照)とパワーユニット15が上昇したときに杆状部29の下部の水平部分29aが後述するボルトB3に当接するまでの上下方向の距離H1(図5参照)とを、H2>H1の関係としておくことが好ましい。このような関係にしておけば、パワーユニット15が上昇したときに杆状部29の下部の水平部分29aがボルトB3に先に当接し、クロスメンバ14の天面14bに門型カバー24の天板部24Bが当接することを防止できる。また、図10に示すように、バルブブロック18の上端面とクロスメンバ14の天面14bとの上下方向の距離H3と前記したパワーユニット15が上昇したときに杆状部29の下部の水平部分29aがボルトB3に当接するまでの上下方向の距離H1とを、H3>H1の関係としておくことが好ましい。このような関係にしておけば、図10の二点鎖線で示すパワーユニット15が前上がり傾斜姿勢となった場合に、杆状部29の下部の水平部分29aがボルトB3に先に当接し、バルブブロック18の上端がクロスメンバ14の天面14bに当接することを防止できる。この場合、パワーユニット15が傾動する支点からバルブブロック18までの距離L1に対して上下方向の距離H3が非常に短いため、パワーユニット15の傾斜角度θが10°以下(実際には7°)でバルブブロック18の上端が接触することになる。しかも、前記距離L1に対してボルトB3からバルブブロック18までの距離L2が短い(実際にはL1の1/5程度)ため、ボルトB3位置における杆状部29の上方への変位量とバルブブロック18の上端がクロスメンバ14の天面14bに当接するまでの変位量とがほぼ同じになるため、H3>H1の関係にしておけば、ボルトB3に杆状部29が先に当接して、バルブブロック18の上端がクロスメンバ14の天面14bに当接することを防止できる。
図3及び図5に示すように、クロスメンバ14の一方の後側壁14Dの長手方向におけるタンク19の作動油の注ぎ口19Sの付近に、軸部38が後側壁14Dを貫通してクロスメンバ14の内部に突出するボルトB3が設けられている。このボルトB3は、パワーユニット15を収納した収納状態で、後側壁14Dに対向する保持部材23の凹部28に突出する突出部を構成している。このボルト(突出部)B3に対して保持部材(保護部材でもある)23の凹部28には、パワーユニット15を収納した収納状態で、ボルトB3よりもクロスメンバ14の長手方向他端側(パワーユニット収納方向奥部側)に位置し、ボルトB3の軸部38に当接可能な突起部が設けられている。この突起部は、前記保持部材23をポンプ20の後側面に固定するためのボルトB2a,B2のうちのクロスメンバ14の長手方向一端側(パワーユニット収納方向手前側)のボルトB2aである。従って、パワーユニット15を出し入れする際に、パワーユニット15を所定長さだけ引き出す(パワーユニット15の全長の約1/3の長さ分の引出量L5)と、クロスメンバ14の突出部(ボルトB3の軸部38)に保持部材23(保護部材22)の凹部28に設けられた突起部(ボルトB2の頭部)が当接するので、パワーユニット15の引き出し過ぎを防止できる。引き出し過ぎを防止することによって、例えば作業スペースが狭い場所で引き出しを行う場合に、他物にパワーユニット15が当接して損傷するといったトラブル発生を防止できる。また、引き出し過ぎてしまうと、パワーユニット15の重心がパワーユニット15の引き出し側に移動してしまうため、パワーユニット15がクロスメンバ14から不測に外れて落下し、パワーユニット15を損傷してしまうといったトラブル発生を防止できる。前記当接位置は、バルブブロック18とタンク19の注ぎ口19Sとがクロスメンバ14の一端から露出した状態となるように設定されている。ボルトB3は、パワーユニット15をクロスメンバ14に収納した収納状態のボルトB2aより引出側C1(開口部14K側)に距離L6だけ離れた位置に取り付けられている。距離L6は、引出量L5と同じ長さであるため、所望の引出量L5にするためには、ボルトB3とボルトB2aとの距離L6を決めるとよい。
バルブブロック18は、タンク19とアクチュエータである昇降用シリンダ11及び起伏用シリンダ13との間で作動油の流れを中継する部分である。バルブブロック18は、図2、図3及び図6に示すように、直方体形状のブロック本体部54と、円柱形状のブロック側蓋部55とを備える。ブロック本体部54は、プラットホーム開閉用のニードルバルブ、荷受台8の下降速度を調整するためのフロコンバルブ、作動油の吐出圧を調整するためのリリーフバルブを備えている。ブロック本体部54は、その一面である引出側端面(長手方向端面)18Tに、調整部であるニードルバルブ調整部39、フロコンバルブ調整部40、およびリリーフバルブ調整部41を備え、さらに圧力センサ42を備えている。
このようにバルブブロック18に、ニードルバルブ調整部39、フロコンバルブ調整部40、リリーフバルブ調整部41を備えさせることによって、パワーユニット15をクロスメンバ14の長手方向に引き出すと、これらの調整部39,40,41が露出されるので、これらの調整やメンテナンスがし易い。また、タンク19の給油キャップ19Eを外して注ぎ口19Sからオイルの補充を行う、又はバルブブロック18の下面に備えるキャップ18H(図4参照)をベース部材17の底壁17Aに形成された円形の開口17Kを通して取り外してオイルを抜き、再度キャップ18Hを取り付けてタンク19の注ぎ口19Sから新しいオイルを入れてオイル交換をする作業もし易い。尚、図4の2点鎖線で示したように、パワーユニット15の一部を引き出した際には、開口17Kおよびキャップ18Hは、クロスメンバ14の開口部14Kよりも外側に位置するため、クロスメンバ14の底壁14Aに遮られることなくオイル交換を行うことができる。
さらに、ニードルバルブ調整部39、フロコンバルブ調整部40、リリーフバルブ調整部41を、バルブブロック18の引出側端面18Tに配置しているので、パワーユニット15をクロスメンバ14の長手方向に引き出す際に、ニードルバルブ調整部39、フロコンバルブ調整部40、リリーフバルブ調整部41がクロスメンバ14に接触するのを防止でき、これら調整部が保護できる。
パワーユニット15は、前記したバルブブロック18、タンク19、及びポンプ20を備えるパワーユニット本体21の他に、図2及び図3に示す電動モータ43と、前述したコントローラ37とをベース部材17に取り付けて一体化して構成されている。
従って、パワーユニット15がクロスメンバ14に収納されている収納状態において、バルブブロック18、タンク19、ポンプ20、電動モータ43、及びコントローラ37が、この順に引出側端から挿入側端に向け長手方向に沿うよう、一直線上に配置されている。引出側C1とは、パワーユニット本体21をクロスメンバ14から引出す手前側であり、挿入側とは、パワーユニット本体21をクロスメンバ14に挿入する奥側C2と定義される。
タンク19は、昇降用シリンダ11及び起伏用シリンダ13に供給される作動油を貯留するものである。図2及び図8に示すタンク19は、筒状に構成され、クロスメンバ14の長手方向両端に小径となる小断面部44,45と、クロスメンバ14の長手方向中間部に大径となる大断面部46とを備えて構成されている。バルブ側に位置する小断面部44と、ポンプ側に位置する小断面部と、2つの小断面部を繋ぐ大断面部とが、合成樹脂により一体的に形成されている。図5に示すように、大断面部46の上端の前後の端部には、内側に凹んだ凹面19A,19Aが形成され、配管47,48を配置できる空間を確保できるようにしている。これら配管47,48は、バルブブロック18から各アクチュエータ側へ作動油を導出する導出配管である。
バルブ側の小断面部44、及びポンプ側小断面部45の断面形状は、略円筒形状である。バルブ側の小断面部44、及びポンプ側の小断面部45の円筒中心は、例えば、上下方向に位置ずれしている。バルブ側の小断面部44、及びポンプ側の小断面部45の円筒中心が上下方向に位置ずれされていることにより、タンク19を回転させる方向の力に対して、タンク19の回転が抑制される。
ポンプ20は、図2に示すように、タンク19内の作動油を吸入して、作動油を導入配管49(ポンプ20からバルブブロック18側)に吐出するためのものである。ポンプ20には、ギヤポンプが用いられている。ポンプ20は、直方体形状のポンプ本体部50と、円柱形状のポンプ側蓋部51とを備える。ポンプ側蓋部51は、タンク19のポンプ側の小断面部45に嵌合(内嵌)し、ポンプ20の機能とともに、ポンプ側の小断面部45に蓋をする機能を兼用している。なお、ポンプ側蓋部51の外周面にシールリング52が嵌着され、ポンプ側蓋部51をタンク19のポンプ側の小断面部45に嵌合した際の密封性が確保されている。
タンク19はベース部材17に対して浮いた状態にあり、バルブブロック18のブロック側蓋部55が、バルブ側の小断面部44に嵌合し、ポンプ20のポンプ側蓋部51が、タンク19のポンプ側の小断面部45に嵌合することで、タンク19は、バルブブロック18及びポンプ20に仮に保持されている。
電動モータ43は、ポンプ20を駆動させるためのものであり、ポンプ20の挿入側に隣接して配置されている。コントローラ37は、バルブブロック18のバルブ駆動部、電動モータ43の駆動部を制御するものであり、電動モータ43の挿入側に隣接して配置されている。
図2に示すように、電気配線26は、コントローラ37と電動モータ43を接続する配線26Aと、コントローラ37とバルブブロック18側とを接続する配線26Bと、コントローラ37と圧力センサ42とを接続する配線26Cとを備えている。このうち、配線26B及び配線26Cが、配線の途中で、バルブブロック18の第2溝状凹部35、タンク19の溝状凹部34、及びポンプ20の電気配線用溝状凹部36に挿入されている(図5〜7参照)。
なお、バルブブロック18には、タンク19と昇降用シリンダ11、タンク19と起伏用シリンダ13を接続する油圧回路の途中に配置されたソレノイドがそれぞれ設けられている。また、バルブブロック18から外れた位置に、緊急時(例えば昇降用シリンダ11の不測の停止)に操作される緊急スイッチSW(図2参照)が配置されている。そして配線26Bは、一端をコントローラ37に接続し、他端を各ソレノイドに接続した配線と、一端をコントローラ37に接続し、他端を緊急スイッチSWに接続した配線を備える。圧力センサ42は、バルブブロック18から引出側C1に突出するよう設けられており、配線26Cの一端はコントローラ37に接続され、他端は圧力センサ42に接続されている。
防振ゴム25は略直方体形状に形成され、傾斜板部17B,17Bの上面に、その傾斜に沿うようそれぞれ載置された板状の載置部材57を介して載置されている。載置部材57は、長手方向に所定の長さを有し、防振ゴム25は載置部材57の長手方向に対応した長さに形成されている。特に、載置部材57は、パワーユニット本体21のうち、バルブブロック18、ポンプ20、電動モータ43に対応する位置に配置されている。防振ゴム25は、各載置部材57の長手方向中心部に載置されている。
防振ゴム25は、載置部材57の外側から、載置部材57の傾斜方向に直交する方向に挿入螺合された内側固定ボルトB4(図2及び図4参照)によって載置部材57に固定されている。この内側固定ボルトB4の先端側は、バルブブロック18、ポンプ20、電動モータ43の外周部に螺合しており、この構成により、バルブブロック18、ポンプ20、及び電動モータ43が、載置部材57及び防振ゴム25と一体化されている。
前記のように、パワーユニット本体21は、ベース部材17に防振ゴム25及び載置部材57を介して固定されている。特に、パワーユニット本体21のうち、バルブブロック18、ポンプ20、電動モータ43に相当する領域が、ベース部材17に防振ゴム25及び載置部材57を介して固定されることで、パワーユニット本体21がベース部材17に固定されている。
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、保護部材22が、ベース部材17に一体形成された前後のカバー部17C,17Cと、前後一対の保持部材23,23と、門型カバー24の三箇所に設けて、パワーユニット本体21がクロスメンバ14の底面に接触することは勿論のこと、クロスメンバ14の天面(1面)と前後の側面の2面の合計3面に接触することを防止する構成を説明したが、クロスメンバ14の底面の他に少なくとも1面に接触することがないように保護部材を設けて実施してもよい。例えば図11に示すように、ベース部材17に一体形成された前後のカバー部17C,17Cを省略した場合を示している。この場合には、クロスメンバ14の底面、前後の側面の合計3面に、パワーユニット本体21が接触することを防止できる。尚、図11に示す他の構成は、図5と同一であるため、同一の符号を付すとともに説明を省略する。また、門型カバー24をパワーユニット出し入れ方向の奥側だけでなく、手前側にも設けて実施してもよいし、門型カバー24を省略して実施することもできる。
上記実施形態では、パワーユニットの引き出し過ぎを防止する突出部(実施形態ではボルトB3)をクロスメンバ14の前後の側壁14C,14Dのうちの一方の側壁14Dのみに設けたが、他方の側壁14Cまたは、両方の側壁14C,14Dにも突出部を設けて実施してもよい。また、突出部(実施形態ではボルトB3)をクロスメンバ14の前後の側壁ではなく、クロスメンバ14の底壁14Aに設けて実施してもよい。具体的には、図12に示すように、保護部材であるベース部材17に、クロスメンバ14の長手方向に連続する凹部17Hが形成され、クロスメンバ14の底壁14Aに、パワーユニット15を収納した収納状態で、凹部17Hに突出する突出部(図ではボルトB6)が設けられ、パワーユニット15を収納した収納状態で、突出部(ボルトB6)よりもクロスメンバ14の長手方向他端側に、突出部(ボルトB6)に当接可能な突起部(図ではボルトB7)が設けられている。従って、収納状態のパワーユニット15を所定位置まで引き出すことにより、突起部(図ではボルトB7)が突出部(ボルトB6)に当接して、それ以上の引き出しを制限する。尚、ベース部材17に凹部17Hを形成することによって、その凹部17Hが入り込む凹部をタンク19の底壁に形成しているが、スペーサ等によりタンク19を少し高い位置に保持する構成にすれば、凹部をタンク19の底壁に形成しないで実施することができる。
また、上記実施形態では、クロスメンバ14の長手方向を車幅方向としたが、車幅方向と交差する方向であってもよい。
また、上記実施形態では、バルブブロック18とタンク19の注ぎ口19Sとがクロスメンバ14の一端から露出する位置までパワーユニット15を引き出せるように構成したが、バルブブロック18のみがクロスメンバ14の一端から露出する位置までパワーユニット15を引き出せるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、パワーユニット本体21は、バルブブロック18、タンク19、ポンプ20、電動モータ43、及びコントローラ37は、クロスメンバ14に収納されている収納状態において、この順にクロスメンバ14の引出側端から挿入側端に向け長手方向に沿うよう、一直線上に配置された例を示したが、バルブブロック18、タンク19、ポンプ20、電動モータ43、及びコントローラ37の配置順序は、特に限定されるものではない。また、パワーユニット本体21を構成する複数の構成要素は、実施形態で示したものに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、ベース部材17を、平板状のベース本体部17Aと、ベース本体部17Aの前後端から上方に向かう程外広がりとなるよう斜めに傾斜した前後の傾斜板部17B,17Bと、傾斜板部17B,17Bの上端から上方へ起立する前後の板状のカバー部17C,17Cとから構成したが、ベース本体部17Aの幅方向両端からパワーユニット15の幅方向外側に水平方向に突出するように延出し、パワーユニット15を出し入れする際に、それらの水平延出部がパワーユニット15がクロスメンバ14に接触することを防止する保護部を構成してもよい。
また、上記実施形態では、保持部材23を2つ設けた場合を示したが、3つ以上設けて実施してもよい。また、保持部材23の形状や取り付ける位置は、特に限定されないが、パワーユニット本体21よりもクロスメンバ14側に突出して設ければよい。また、門型カバー24の形状も特に限定されないが、少なくとも一部分がパワーユニット本体21よりもクロスメンバ14側にあればよい。