JP6473024B2 - メラニン産生抑制剤 - Google Patents

メラニン産生抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6473024B2
JP6473024B2 JP2015065781A JP2015065781A JP6473024B2 JP 6473024 B2 JP6473024 B2 JP 6473024B2 JP 2015065781 A JP2015065781 A JP 2015065781A JP 2015065781 A JP2015065781 A JP 2015065781A JP 6473024 B2 JP6473024 B2 JP 6473024B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
skin
melanin production
mass
hydrolyzate
collagen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015065781A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016185908A (ja
Inventor
愛子 萬治
愛子 萬治
桜井 哲人
桜井  哲人
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fancl Corp
Original Assignee
Fancl Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fancl Corp filed Critical Fancl Corp
Priority to JP2015065781A priority Critical patent/JP6473024B2/ja
Publication of JP2016185908A publication Critical patent/JP2016185908A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6473024B2 publication Critical patent/JP6473024B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Cosmetics (AREA)

Description

本発明は、ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物を有効成分とするメラニン産生抑制剤及びこれを用いた美白剤に関する。
近年、大気汚染やオゾン層の破壊により、表皮に届く紫外線量が年々増加する傾向にある。それに伴って、紫外線による肌のシミ、ソバカス、色黒などの肌悩みが大きくなっている。紫外線により、皮膚内に存在するチロシンがチロシナーゼ酵素の働きにより酸化されてメラニン色素が産生され、過剰に産生されるとシミ、ソバカス、色黒などの肌悩みとなる。このメラニン色素の産生を抑制し、シミ、ソバカス、色黒を予防する製剤として、L−アスコルビン酸のグルコース配糖体であるL−アスコルビン酸2グルコシドを配合した皮膚化粧料(特許文献1)、L−アスコルビン酸2グルコシドとアミノ酸又はその誘導体を組み合わせて配合する皮膚外用剤(特許文献2)が安全な美白剤として広く利用されている。L−アスコルビン酸2グルコシドは、水溶性が高く、細胞内でL−アスコルビン酸に変換されて、メラニン生成抑制作用、メラニン還元作用、メラニン排泄促進作用により美白効果を発揮する。
また、その他のアスコルビン酸誘導体や、コウジ酸、コウジ酸誘導体、ハイドロキノン誘導体なども美白剤として広く利用されている。
一方、より安全な美白剤をめざして種々の物質や組成物が探索され、それを利用した新たな美白剤が提案されている。特許文献3には、植物由来の美白剤として、青汁の原料であるケールの抽出物をメラニン生成抑制剤として利用する発明が記載されている。特許文献4には、グレープフルーツの抽出物がメラノサイト細胞におけるビタミンCトランスポーター産生促進作用を有することを発見し、アスコルビン酸グルコシドとグレープフルーツ抽出物とエキナセアを配合した美白用組成物が記載されている。また特許文献4には、乳のホエータンパク質加水分解物を有効成分とする美白剤が記載されており、その活性の本体が平均ペプチド鎖長で2〜8のオリゴペプチドにあることが記載されている。特許文献5には、ゼラチンをエンド型プロテアーゼとエキソ型プロテアーゼを組み合わせて加水分解して得られるペプチド混合物中に存在する特定の配列のジペプチド又はトリペプチドが、エンドセリン−1の発現を抑制し、メラノサイトのメラニン産生を抑制することが記載されている。特許文献6には、コラーゲンの加水分解物、あるいは類似ペプチドとミカン属植物抽出物を有効成分とする美白用の皮膚外用剤が提案されている。
また、近年皮膚の弾力性や、シワの改善を目的としてコラーゲンやコラーゲンの加水分解物を経口摂取することが行われており、「美容ドリンク」や「美肌飲料」などの名称でコラーゲンやコラーゲンの加水分解物を含む飲料が市販されている。そして、コラーゲンやコラーゲンの加水分解物を経口摂取すると特定のペプチドが血液中に出現することが知られている。さらに、そのペプチドが線維芽細胞のI型コラーゲンの産生を促進することが知られている(特許文献7)。特許文献8にはサメの皮を原料とするコラーゲンペプチドの製造方法が記載されている。このような技術を利用し、魚類の皮を原料とした酵素分解物としては、サメの皮やサケの皮を原料としたものが知られている。また、ウシや豚のコラーゲンを原料とした酵素分解物が知られている。これらの酵素分解物は、コラーゲントリペプチドを60%以上もの高濃度で含んでおり、コラーゲンペプチドとして食品や化粧料の原料として広く普及している。しかし、これらの公知のコラーゲンペプチドは、本発明が目的とするメラニン産生抑制作用を有しない。
特開平4−182412号公報 特開平4−182413号公報 特許第3914117号公報 特開2008−255090号公報 国際公開第2014/175001号 特開2002−356413号公報 特許第4995155号 特開2003−284586号公報
本発明者は、コラーゲンをコラゲナーゼで加水分解したときに出現する多数のトリペプチドやジペプチドを含む加水分解物について研究している。その過程で、従来注目されていなかったティラピアの皮由来のコラーゲン分解物がメラニン産生抑制作用を有することを発見し、本発明を完成するにいたった。
したがって、本発明は、新たなメラニン産生抑制剤を提供することを課題とする。
本発明は、次の構成からなる。
(1)次の特徴を有するティラピアの皮のコラーゲン加水分解物を有効成分とするメラニン産生抑制剤。
(A)HPLCによるゲルろ過平均分子量 :300Da
(B)加水分解物中の乾燥物当たりのジペプチド含有量 :20〜40質量%
(C)加水分解物中の乾燥物当たりのトリペプチド含有量:30〜45質量%
(D)Gly−Pro:10〜12質量%
Pro−Gly:0.4〜0.6質量%
Pro−Hyp:5〜7質量%
Hyp−Gly:2.5〜3.5質量%
(2)(1)に記載のメラニン産生抑制剤を含む美白剤。
(3)(1)に記載のメラニン産生抑制剤を含む美白用化粧料又は美白用医薬部外品。
本発明により、新たなメラニン産生抑制剤、美白剤、美白化粧料又は美白用医薬部外品が提供される。
L−アスコルビン酸2グルコシドのメラニン産生抑制作用を試験した結果を示すグラフである。 ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物のメラニン産生抑制作用を試験した結果を示すグラフである。
本発明は、ティラピアの皮のコラーゲンの加水分解物を有効成分として含有するメラニン産生抑制剤に係るものである。
本発明でいうティラピアとは、ナイルティラピアをいう。
ナイルティラピアは、アフリカ原産の淡水性の食用魚で、シクリッド科(カワスズメ科)のナイルティラピア(Nile tilapia、Oreochromis niloticus)に分類されるものであり、近年日本に導入され、流通名を「イズミダイ」又は「チカダイ」として、食用のために養殖されている。
本発明のメラニン産生抑制剤、美白剤、美白用化粧料又は美白用医薬部外品は、このティラピア魚皮を原料として調製されるものである。
魚類の皮を原料とした酵素分解物は、サメの皮やサケの皮を原料としたものが知られている。また、ウシや豚のコラーゲンを原料とした酵素分解物が知られている。しかし、これらの酵素分解物は上記したように、メラニン産生抑制作用を有しない。
本発明におけるティラピア皮の加水分解物は、ティラピアの加工過程で廃棄されていた魚皮をそのまま、あるいは冷凍保存されていた魚皮を、酸又はコラゲナーゼやブロメラインによる酵素分解、あるいは両方を組み合わせて加水分解したものである。ゲルろ過HPLC法によって測定した場合、平均分子量が300Daを示す。ティラピアの皮は、主成分としてコラーゲンを高濃度に含んでいる。したがってティラピアの皮のコラーゲン加水分解物には、コラーゲン由来のジペプチド、トリペプチド、トリペプチド以上のオリゴペプチドを高濃度に含んでいる。ティラピアの皮の加水分解は、公知の酵素分解法、あるいは酸加水分解法と酵素分解法により行うことが好ましい。ティラピアの皮原料の溶解、分解は、通常はたんぱく質分解酵素を用いて行う。
たんぱく質分解酵素には、植物由来のものや微生物由来のものが利用できる。酵素はエンド型、エキソ型いずれのタイプでも利用できる。たんぱく質分解酵素は、適宜選択すればよく、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。たんぱく質分解酵素を2種以上用いる場合、各たんぱく質分解酵素を混合して用いても、別々に用いても、時間差を設けて混合して用いてもよい。
酵素処理は、使用する酵素の至適pH,至適温度条件下で行うが、処理時間は使用する原料の水分含量や、原料片の大きさ、原料の容量と処理液の比率などから適切な条件を設定すればよい。酵素処理時間は、一般に、冷凍又は生皮原料の場合、数時間かそれ以上、乾燥原料では十数時間以上である。
前記たんぱく質分解酵素の活性は、一般的には、原料の皮中のたんぱく質1gに対して400ユニット以上であることが好ましく、特に、2000ユニット以上であることが好ましい。
酵素分解や酸による加水分解の終了の目安は、加水分解によって生成するトリペプチドとジペプチドの含有量を指標として判断する。本発明においては、原料とする全たんぱく質あたりジペプチドが20質量%以上、トリペプチドが30質量%以上となったとき、加水分解を終了させることが好ましい。なお、ジペプチド及びトリペプチドの生成量は、HPLCを用いたゲルろ過クロマトグラフィーによって確認することができる。
本発明に係る酵素分解によって得られたティラピアの皮のコラーゲン加水分解物の溶液は、加熱により酵素を失活させることが好ましい。失活工程を行ったとき、混在する熱凝固性のたんぱく質により微小な懸濁物質や沈殿物質を生ずることがある。この現象を改善するため、失活工程でpHを酸性側とし、失活工程の後、前記皮の組織の分解により得られた加水分解物は、さらに精製処理を行うことが好ましい。この場合、失活工程のpHは3.8またはこれ以下が好ましい。加水分解溶液は、クエン酸やクエン酸ソーダ等を用いて中性〜弱酸性のpHに調整することが好ましい。精製処理には、例えば、珪藻土ろ過等を用いて不純物を除去することが好ましい。珪藻土などのろ過助剤を使用して、ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物に含有されるコラーゲンペプチドなどを含むペプチド溶液と残渣とを分離する。また、塩濃度を低下させる場合には、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂またはそれらの両方を用いて、脱イオン処理をおこなう。精製処理で得られるティラピアの皮のコラーゲン加水分解物は、溶液状態で良好な透明性を有する。得られた溶液は適切な乾燥方法、例えば食品素材などに広く用いられるスプレードライヤーを用いて容易に粉末化して製品とすることが出来る。
得られるティラピアの皮のコラーゲン加水分解物は、必要により活性炭などの吸着剤を使用して臭いを低減させることができる。
かくして得られることのできるティラピアの皮のコラーゲン加水分解物を乾燥させた乾燥物は、次の成分を含有していることで特定される。
窒素分 :13.5〜18質量%
HPLCによるゲルろ過平均分子量:300Da
ジペプチド含有量 :20〜40質量%
トリペプチド含有量 :30〜45質量%
また、水に溶けやすく、熱によってゲル化しない。
加水分解物中に存在するジペプチドを分析した場合に、Gly−Pro、Pro−Gly、Pro−Hyp、Hyp−Glyの配列を有するものが多く検出される。またトリペプチドとしては、Gly−Pro−Hyp、Gly−Pro−Ser、Gly−Pro−Alaなどのいわゆるコラーゲントリペプチドの構造を有するものが検出される。各ペプチドのうちジペプチドは、加水分解物の乾燥物中に次の量が含有されている。
Gly−Pro:10〜12質量%
Pro−Gly:0.4〜0.6質量%
Pro−Hyp:5〜7質量%
Hyp−Gly:2.5〜3.5質量%
本発明に係るメラニン産生抑制剤、美白剤、美白用化粧料、美白用医薬部外品は、種々の剤型での投与が可能であり、例えば、経口投与剤としては錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥製剤等が挙げられ、非経口投与剤としては、注射剤のほか、坐剤、噴霧剤、経皮吸収剤、外用剤、化粧用剤等の形態を挙げることができる。これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、アルブミン、水、生理食塩水、油脂等が挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、滑剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤等の慣用の添加剤を適宜添加することができる。
本発明に係るメラニン産生抑制剤、美白剤、美白用化粧料、美白用医薬部外品において、ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物を含む製剤の投与量は、患者の年齢、体重、症状、疾患の程度、投与スケジュール、製剤形態等により、適宜選択・決定されるが、例えば、1日あたりL−アスコルビン酸2グルコシドとして0.1〜10mg/kg体重となるように投与する。この場合にジペプチドとしては、1mg〜1g/kg体重を投与することとなる。また、この製剤は、1日1〜数回に分けて投与することができる。
以下に、試験例、処方例を示して本発明を具体的に説明する。
<メラニン産生抑制試験>
メラニン産生抑制効果を確認するため以下の試験を行った。
試験1:L−アスコルビン酸2グルコシドのメラニン産生抑制有効濃度確認試験
1)L−アスコルビン酸2グルコシド溶液の調製(陽性対照の試験溶液)
メラニン産生抑制作用が明らかなL−アスコルビン酸2グルコシドをDulbecco’s Phosphate−BufferedSalines (D−PBS) (Life Technologies) に溶解し、培養時に所定の濃度になるようにあらかじめ希釈した溶液を調製した。
2)評価に用いる細胞
細胞株;マウスメラノーマB16−F10細胞株(理研サイネス)
3) 細胞培養
前記のマウスメラノーマB16−F10細胞は、37℃、5%二酸化炭素、95%空気の雰囲気下にて培養を行った。培地は不活性化したウシ胎児血清(FBS) (Hyclone Laboratories)10%、Penicillin−Streptomycin(Sigma Aldrich)1%を添加したDMEM high glucose, liquid (DMEM) (Life Technologies)を用いた。通常培養には100mmディッシュに細胞を播種し80〜90%コンフルエント時に0.05%Trypsin−EDTA (Sigma Aldrich)にて剥離し継代を行った。
4)L−アスコルビン酸2グルコシドによるメラニン産生抑制効果の測定
96wellプレートに、マウスメラノーマB16−F10細胞株を8×10cells/wellになるように細胞密度を調整したDMEM100μLを播種した。6時間前培養の後、最終濃度が、0、0.125、0.25、0.5、1mg/mLになるように希釈した3)に記載したL−アスコルビン酸2グルコシドの希釈液を添加して、さらに2日間培養行った。
培養終了後に、各wellから上清を取り除き、細胞をD−PBSで洗浄の後、1% sodium dodecyl sulfate(和光純薬工業株式会社製)を含むPBS 150μL添加し、超音波破砕機により細胞を破砕した。次いで、バイオドットを用いて細胞破砕液を全量ニトロセルロース膜で濾過し、メラニンを膜に吸着させた。吸着ブロットされたメラニン量を、画像処理ソフト「imageJ(Rasband, W.S., ImageJ, U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA参照)」を用いて計測した。この数値を、次に述べる細胞生存率で除して各wellにおけるメラニン産生量として算出した。
5)細胞生存率の測定
3)と同様にしてマウスメラノーマB16−F10細胞株を培養する。
すなわち、96wellプレートに、マウスメラノーマB16−F10細胞を8×10cells/wellになるように調整したDMEM100μLを播種し、6時間前培養の後に、同様に希釈済みL−アスコルビン酸2グルコシド溶液を添加して2日間培養を行った。培養終了後、上清を取り除きD−PBSで洗浄の後、再度D−PBSに5mg/mLに溶解した3−[4,5−dimethylthiazol−2−yl] −2,5−diphenyltetrazolium bromide(以下MTT) (和光純薬工業株式会社製)を20分の1量添加したDMEM100μLを添加し2時間インキュベートした。次いで、MTT混合培地を除去した後、2−プロパノール (和光純薬工業株式会社製)100μLを各wellに添加しマイクロプレートシェーカーにて30分撹拌してホルマザンを溶解し、570nmと630nmの吸光度を測定した。細胞生存率はcontrolの吸光度(A570−A630)を100%とし、サンプル添加時の吸光度 (A570−A630)から百分率を算出した。
6)統計処理
L−アスコルビン酸2グルコシド濃度が0のときのメラニン産生量を100%として、各濃度におけるメラニン産生量を百分率で求めた。得られたデータは、L−アスコルビン酸濃度が0のときの値(control)に対する分散性をF検定にて確認後、等分散性と仮定できる場合Student’sのt検定、仮定できない場合にはWelchのt検定を行った。
7)結果
96wellの平均のメラニン産生量(L−アスコルビン酸2グルコシド無添加時のメラニン産生量を100とする百分率)を図1に示す。
L−アスコルビン酸2グルコシドは、本試験のメラノーマ細胞を用いて試験を行うと、0.25mg/mL以上の濃度において、濃度依存性でメラニン産生を抑制することが確認された。
試験2:ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物のメラニン産生抑制試験
1)試験試料
・ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物
ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物として、酵素分解物法によって調製した下記の表1に記載の成分を有する加水分解物を使用した。また比較対照として市販のトリペプチド高含有サメ皮コラーゲン加水分解物CTP−F(一丸ファルコス株式会社製)を用いた。
Figure 0006473024
2)評価に用いる細胞
細胞株;マウスメラノーマB16−F10細胞株(理研サイネス)
3)細胞培養
前記の試験1と同様にマウスメラノーマB16−F10細胞は、37℃、5%二酸化炭素、95%空気の雰囲気下にて培養を行った。培地は不活性化したウシ胎児血清(FBS) (Hyclone Laboratories)10%、Penicillin−Streptomycin(Sigma Aldrich)1%を添加したDMEM high glucose, liquid (DMEM) (Life Technologies)を用いた。通常培養には100mmディッシュに細胞を播種し80〜90 %コンフルエント時に0.05%Trypsin−EDTA (Sigma Aldrich)にて剥離し継代を行った。
4)メラニン産生抑制効果の測定
96wellプレートに、マウスメラノーマB16−F10細胞株を8×10cells/wellになるように細胞密度を調整したDMEM100μLを播種した。6時間前培養の後、最終濃度が、0、1.25、2.5、5mg/mLになるように希釈したティラピアの皮のコラーゲン加水分解物、トリペプチド高含有サメ皮コラーゲン加水分解物を添加して、さらに2日間培養を行った。
培養終了後に、各wellから上清を取り除き、細胞をD−PBSで洗浄の後、1% sodium dodecyl sulfate(和光純薬工業株式会社製)を含むPBS 150μL添加し、超音波破砕機により細胞を破砕した。次いで、バイオドットを用いて細胞破砕液を全量ニトロセルロース膜で濾過し、メラニンを膜に吸着させた。吸着ブロットされたメラニン量を、画像処理ソフト「imageJ(Rasband, W.S., ImageJ, U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA参照)」を用いて計測した。この数値を、次に述べる細胞生存率で除して各wellにおけるメラニン産生量として算出した。
5)細胞生存率の測定
3)と同様にしてマウスメラノーマB16−F10細胞株を培養する。
すなわち、96wellプレートに、マウスメラノーマB16−F10細胞を8×10cells/wellになるように調整したDMEM100μLを播種し、6時間前培養の後に、同様に希釈済みティラピアの皮のコラーゲン加水分解物、トリペプチド高含有サメ皮コラーゲン加水分解物溶液を添加して2日間培養を行った。培養終了後、上清を取り除きD−PBSで洗浄の後、再度D−PBSに5mg/mLに溶解した3−[4,5−dimethylthiazol−2−yl] −2,5−diphenyltetrazolium bromide(以下MTT) (和光純薬工業株式会社製)を20分の1量添加したDMEM100μLを添加し2時間インキュベートした。次いで、MTT混合培地を除去した後、2−プロパノール (和光純薬工業株式会社製)100μLを各wellに添加しマイクロプレートシェーカーにて30分撹拌してホルマザンを溶解し、570nmと630nmの吸光度を測定した。細胞生存率はcontrolの吸光度(A570−A630)を100%とし、サンプル添加時の吸光度 (A570−A630)から百分率を算出した。
6)統計処理
ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物又はトリペプチド高含有サメ皮コラーゲン加水分解物濃度が0のときのメラニン産生量を100%として、各濃度におけるメラニン産生量を百分率で求めた。得られたデータは、L−アスコルビン酸濃度が0のときの値(control)に対する分散性をF検定にて確認後、等分散性と仮定できる場合Student’sのt検定、仮定できない場合にはWelchのt検定を行った。
7)結果
トリペプチド高含有サメ皮コラーゲン加水分解物はメラニン産生に変化がなく、抑制作用は認められなかった。一方ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物はメラニン産生抑制が観察された。そこでティラピアの皮のコラーゲン加水分解物の96wellの平均のメラニン産生量(L−アスコルビン酸2グルコシド無添加時のメラニン産生量を100とする百分率)を図2に示す。
ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物の5mg/mLが、L−アスコルビン酸2グルコシド0.5mg/mLとほぼ同等のメラニン産生抑制能を有することが確認された。また図2からこの作用はL−アスコルビン酸2グルコシドと同様に濃度依存性があることが明らかとなった。この作用はティラピアの皮のコラーゲン加水分解物に特有の作用であるものと考えられる。
以下にティラピアの皮のコラーゲン加水分解物(表1に記載のもの)を配合した外用クリーム、経口用錠剤、外用乳液の処方例を示す。この処方例は、目的によりティラピアの皮のコラーゲン加水分解物の配合量を適宜増減してもよい。
[処方例1]外用クリーム
下記の処方(単位は質量%)により、外用クリームを製造した。
(1)ステアリルアルコール 6
(2)ステアリン酸 2
(3)水添ラノリン 4
(4)スクワラン 9
(5)オクチルドデカノール 10
(6)POE(25)セチルアルコールエーテル 3
(7)モノステアリン酸グリセリン 2
(8)ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物 0.1
(9)防腐剤 適量
(10)1,3ブチレングリコール 6
(11)PEG1500 4
(12)精製水 残余
〔製法〕上記成分(1)〜(7)を80℃に加熱溶解し油相とする。成分(8)〜(12)を70℃に加熱溶解し水相とする。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却し、さらに30℃まで撹拌冷却して外用クリームを得た。
[処方例2]経口用錠剤
下記の処方(単位は質量%)に基づいて常法どおり、経口用錠剤を製造した。
(1)ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物 2
(2)乳糖 83
(3)コーンスターチ 14
(4)グアーガム 1
[処方例3]外用乳液
下記の処方(単位は質量%)により、外用乳液を製造した。
(1)ジプロピレングリコール 9
(2)ティラピアの皮のコラーゲン加水分解物 1
(3)(ヒドロキシエチルアクリル酸/アクリルジメチルタウリンNa)
コポリマー 0.188
(4)スクワラン 0.127
(5)ポリソルベート60 0.028
(6)ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)1
(7)グリセリン 5
(8)ジメチコン 3
(9)精製水 74.742
(10)カルボマー 0.2
(11)ベタイン 2
(12)エタノール 3
(13)水酸化カリウム 0.065
〔製法〕上記成分(4)〜(6)、(8)を80℃に加熱溶解し油相とする。成分(1)〜(3)、(7)、(9)〜(11)を70℃に加熱溶解し水相とする。油相に水相を徐々に加え乳化し、(13)を(9)の一部に撹拌溶解したものを加え、攪拌しながら30℃まで冷却する。さらに成分(12)を加え、外用乳液を得た。

Claims (3)

  1. 次の特徴を有するティラピアの皮のコラーゲン加水分解物を有効成分とするメラニン産
    生抑制剤。
    (A)HPLCによるゲルろ過平均分子量 :300Da
    (B)加水分解物中の乾燥物当たりのジペプチド含有量 :20〜40質量%
    (C)加水分解物中の乾燥物当たりのトリペプチド含有量:30〜45質量%
    (D)Gly−Pro:10〜12質量%
    Pro−Gly:0.4〜0.6質量%
    Pro−Hyp:5〜7質量%
    Hyp−Gly:2.5〜3.5質量%
  2. 請求項1に記載のメラニン産生抑制剤を含む美白剤。
  3. 請求項1に記載のメラニン産生抑制剤を含む美白用化粧料又は美白用医薬部外品。
JP2015065781A 2015-03-27 2015-03-27 メラニン産生抑制剤 Active JP6473024B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015065781A JP6473024B2 (ja) 2015-03-27 2015-03-27 メラニン産生抑制剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015065781A JP6473024B2 (ja) 2015-03-27 2015-03-27 メラニン産生抑制剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016185908A JP2016185908A (ja) 2016-10-27
JP6473024B2 true JP6473024B2 (ja) 2019-02-20

Family

ID=57203197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015065781A Active JP6473024B2 (ja) 2015-03-27 2015-03-27 メラニン産生抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6473024B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019136027A (ja) * 2018-02-09 2019-08-22 株式会社ラビジェ 発酵物

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3751888B2 (ja) * 2002-02-04 2006-03-01 日本メナード化粧品株式会社 液状メイクアップ化粧料
JP4789284B2 (ja) * 2002-10-30 2011-10-12 太田 耕二 コラーゲン入り化粧品
MY160866A (en) * 2008-12-23 2017-03-31 Univ Putra Malaysia Collagen extraction from aquatic animals
US20160082087A1 (en) * 2013-04-26 2016-03-24 Nitta Gelatin Inc. Whitening promoting agent or atopic dermatitis ameliorating agent

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016185908A (ja) 2016-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4878771B2 (ja) 表皮角化細胞増殖剤、及びその用途
JP4470212B2 (ja) 皮膚改善剤
JP2007091637A (ja) I型コラーゲン産生促進用組成物
JP4388289B2 (ja) 皮膚老化防止・改善剤及び/又は肌荒れ防止・改善剤キット
JP5084393B2 (ja) コラーゲン産生促進能及び/又は線維芽細胞増殖促進能を有する組成物
JP5822423B2 (ja) 皮膚線維芽細胞増殖促進剤、トランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、エラスターゼ活性阻害剤、mmp−1活性阻害剤、エストロゲン様作用剤、i型コラーゲン産生促進剤、及びuv−bダメージからの回復作用剤
JP4286513B2 (ja) 抗老化用組成物
JPWO2007148737A1 (ja) 植物抽出物の調製方法、並びに植物抽出物及びその用途
JP6807535B2 (ja) 線維芽細胞増殖剤
JP2006225269A (ja) コラゲナーゼ阻害作用を有するトリペプチド、それを含有する発酵物、食品製剤、化粧品製剤
JP6482930B2 (ja) 皮膚化粧料および飲食品
TW201427610A (zh) 肌膚狀態之改善劑
JP2006160685A (ja) 経口用皮膚老化予防・改善剤
JP3933511B2 (ja) 皮膚化粧料及び美容用飲食品
JP6473024B2 (ja) メラニン産生抑制剤
JP6486745B2 (ja) 美白用組成物
JP2008013531A (ja) コラーゲン産生促進剤及びそれを含む美容用飲食品
JP6608874B2 (ja) 美容組成物
KR102511701B1 (ko) 금화규 유래 콜라겐아미노산을 이용한 기능성 콜라겐 조성물
JP4202638B2 (ja) コラーゲン産生促進剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤及び老化防止用皮膚化粧料
KR20210002047A (ko) 삼치가수분해물의 항노화 효과 및 삼치가수분해물을 포함하는 조성물
JP4334956B2 (ja) 細胞賦活剤、美白剤、及び抗酸化剤
JP6906248B2 (ja) 美容組成物
KR102153463B1 (ko) 다이펩타이드 함량이 높은 콜라겐 가수분해물, 그 제조 방법 및 이의 응용
JP3926230B2 (ja) デコリン産生促進剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20181122

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6473024

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250