JP6471998B2 - アクリジン系化合物およびこれを用いた有機薄膜デバイス - Google Patents

アクリジン系化合物およびこれを用いた有機薄膜デバイス Download PDF

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Description

本発明は、電子供与性を有するアクリジン系骨格と電子受容性を有する骨格とを有するアクリジン系化合物およびこれを用いた有機薄膜デバイスに関する。より詳しくは、有機電界発光素子、有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜太陽電池の構成成分として用いた場合に優れた特性を与えるアクリジン系化合物に関する。
有機薄膜デバイスには、有機薄膜太陽電池、有機電界発光素子および有機薄膜トランジスタなどがあり、いずれも軽量であり、フレキシブルで意匠性が高く、塗布プロセスにより安価に製造することが期待できるため、次世代電子デバイスとして活発な研究開発が行われている(特許文献1〜3)。
有機薄膜太陽電池は自然エネルギーの利用および再生可能なエネルギーである点からも注目されている。有機薄膜太陽電池には有機電子供与体(ドナー材料)および有機電子受容体(アクセプター材料)の2種類の有機半導体化合物が用いられる。例えば、電子供与体としてはπ共役系高分子などが、電子受容体としてはフラーレン誘導体などが用いられる。有機薄膜太陽電池のエネルギー変換効率の向上には、電荷受容性を制御でき、かつ、より安定性の高い有機半導体化合物が求められている。
有機電界発光素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には発光層や電荷輸送層があり、電荷輸送層は正孔および電子の電荷を輸送または注入の機能を有し、発光層は正孔および電子を再結合させて発光させる機能を有する。有機電界発光素子においても、発光効率と寿命の向上および駆動電圧の低減には、電荷受容性を制御でき、かつ、より安定性の高い有機半導体化合物が求められている。
有機薄膜トランジスタは、ソース、ゲート、ドレインの3つの電極とゲート絶縁層と有機半導体層を有し、一般的に有機半導体層を隔ててソースおよびドレイン電極が向かい合い、ゲート絶縁膜を隔てて有機半導体層とゲート電極が向かい合う構造を有する。トランジスタにおいても、スイッチング特性の改善に向けて、活性層となる移動度の優れた有機半導体化合物が求められ、また、ソースとドレインから有機半導体層へ電荷の受容を促進させる有機半導体化合物(バッファー層)が求められている。
特開昭63−244042号公報 特開平6−293883号公報 韓国公開特許第2012−130566号公報
このような状況において、有機薄膜デバイスの性能向上のため、電荷受容性を制御できる有機半導体化合物が求められており、例えば有機薄膜太陽電池においてエネルギー変換効率の改善に寄与する有機半導体化合物、有機電界発光素子において発光効率、駆動電圧、寿命の改善に寄与する有機半導体化合物、および有機薄膜トランジスタにおいてスイッチング特性の改善に寄与する有機半導体化合物が求められている。
本発明者らは、電子供与性を有するアクリジン系骨格および電子受容性を有する骨格とを単結合で結合することで、電荷受容性を制御できる化合物(以下、「アクリジン系化合物」とも呼ぶ)を見出した。さらに、アクリジンに対して電子受容性を有する骨格としてフルオレンを結合させることで、分子全体として電子供与性を有し、ラジカルカチオン状態が安定であるフルオレニルアクリジン化合物を見出した。また、これらのアクリジン系化合物を、有機薄膜太陽電池の混合物層またはn型半導体層に、有機電界発光素子の電荷注入層、電荷輸送層または電荷発生層に、有機薄膜トランジスタの活性層またはバッファー層に用いることで、これらのデバイスの特性が向上することを見出した。
[1] 少なくとも1つの下記一般式(A)で表される基と、少なくとも1つの下記一般式(B)で表される基とから形成される化合物。
上記式(A)中、
〜Aは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換シリル、ハロゲン、シアノ、または上記一般式(B)で表される基であり、A〜Aの少なくとも1つは上記一般式(B)で表される基であり、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して縮合環を形成していてもよく、該縮合環は置換されていてもよく、
上記式(B)中、
Lは、上記式(A)で表される基との単結合を示し、
〜Bは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、または他の上記式(B)で表される基であり、B〜Bのうちの隣接する基同士が結合して縮合環を形成していてもよく、該縮合環は置換されていてもよい。
[2] 上記式(A)中、
〜Aは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、トリアルキル置換シリル、ハロゲン、シアノ、または上記一般式(B)で表される基であり、前記アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のフッ素化アルキル、シアノ、またはフッ素で置換されていてもよく、A〜Aの少なくとも1つは上記一般式(B)で表される基であり、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの縮合アリール環または縮合ヘテロアリール環を形成していてもよく、これらの環は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のフッ素化アルキル、シアノ、またはフッ素で置換されていてもよく、
上記式(B)中、
Lは、上記式(A)で表される基との単結合を示し、
〜Bは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、または他の上記式(B)で表される基であり、前記アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のフッ素化アルキル、トリアルキル置換シリル、ハロゲン、またはシアノで置換されていてもよく、B〜Bのうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの縮合アリール環または縮合ヘテロアリール環を形成していてもよく、これらの環は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のフッ素化アルキル、トリアルキル置換シリル、ハロゲン、またはシアノで置換されていてもよい、
上記[1]に記載する化合物。
[3] 上記式(A)中、
〜Aは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノであり、前記アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル、シアノ、またはフッ素で置換されていてもよく、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの炭素数6〜10の縮合アリール環または炭素数2〜15の縮合ヘテロアリール環を形成していてもよく、これらの環は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル、シアノ、またはフッ素で置換されていてもよく、
は、上記一般式(B)で表される基であり、
上記式(B)中、
Lは、上記式(A)で表される基との単結合を示し、
〜Bのうちの隣接する基同士は結合して1つまたは2つの炭素数6〜14の縮合アリール環または炭素数2〜15の縮合ヘテロアリール環を形成しており、これらの環は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノで置換されていてもよく、環を形成しないB〜Bは水素であり、
は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、または他の上記式(B)で表される基であり、前記アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノで置換されていてもよい、
上記[1]に記載する化合物。
[4] 下記一般式(1)または下記一般式(1’)で表される、上記[1]に記載の化合物。
上記式(1)または式(1’)中、
〜Aは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノであり、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの炭素数6〜10の縮合アリール環を形成していてもよく、これらの環は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよく、
は、水素、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、
11〜B18は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノであり、B11〜B18のうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの炭素数6〜10の縮合アリール環を形成していてもよく、これらの環は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい、
上記[1]に記載する化合物。
[5] 上記式(1)または式(1’)中、
〜Aは、それぞれ独立して、水素、または炭素数1〜4のアルキルであり、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの縮合ベンゼン環を形成していてもよく、
は、水素、または炭素数1〜4のアルキルであり、
11〜B18は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1〜4のアルキルであり、B11〜B18のうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの縮合ベンゼン環を形成していてもよい、
上記[4]に記載する化合物。
[6] 下記式(1−1)または式(1’−1)で表される化合物。
[7] 上記[1]ないし[6]のいずれかに記載する化合物を含有する、有機薄膜デバイス用材料。
[8] 前記有機薄膜デバイス用材料が、有機電界発光素子用材料、有機薄膜トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、上記[7]に記載する有機薄膜デバイス用材料。
[9] 電荷注入層用材料または電荷輸送層用材料である、上記[8]に記載する有機電界発光素子用材料。
[10] 電荷発生層用材料である、上記[8]に記載する有機電界発光素子用材料。
[11] 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置された発光層と、上記[9]に記載する電荷注入/輸送層用材料を含有する電子注入・輸送層および/または正孔注入・輸送層とを有する、有機電界発光素子。
[12] 前記電極と電子注入・輸送層および/または正孔注入・輸送層との間に、上記[10]に記載する電荷発生層用材料を含有する電荷発生層を有する、上記[11]に記載する有機電界発光素子。
[13] 前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、キノリノール系金属錯体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ボラン誘導体およびベンゾイミダゾール誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、上記[11]または[12]に記載する有機電界発光素子。
[14] 前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、上記[13]に記載の有機電界発光素子。
[15] 上記[8]に記載する有機薄膜トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料を用いて作製された、有機薄膜トランジスタまたは有機薄膜太陽電池。
本発明のアクリジン系化合物は電子受容性部位および電子供与性部位を一分子中に有しており電荷受容性を制御することができる。電子受容性部位としてフルオレンを有するフルオレニルアクリジン化合物は、分子全体として電子供与性を有し、ラジカルカチオン状態が安定である。さらには、孤立電子対を有する窒素原子を分子中に有するために、金属や空軌道と相互作用することができ、それを利用することによってアクリジン系化合物のエネルギー順位の調節が可能である。特に金属との相互作用により電子注入性および電子輸送性を向上させることができる。
さらに、本発明のアクリジン系化合物を有機薄膜太陽電池の電子供与体成分として利用できる。例えば、フルオレニルアクリジン化合物を用いる場合、ラジカルカチオン状態が非常に安定であるために、電子受容体と電子供与体との界面において光吸収により生成した励起子の電荷分離が速やかに行われ、結果としてエネルギー変換効率が向上する。
また、本発明のアクリジン系化合物は、有機電界発光素子の構成成分、例えば電荷注入層、電荷輸送層または電荷発生層の構成成分としての利用が考えられる。本発明のアクリジン系化合物はラジカルカチオン状態が安定であり電荷分離が速やかに行われるために、有機電界発光素子の低電圧化、発光効率の上昇および長寿命化に寄与する。例えば、フルオレニルアクリジン化合物を電荷注入層または電荷輸送層に利用した場合、ラジカルカチオン状態が安定であるために、有機電界発光素子を長寿命化することができる。さらには、金属とアクリジン系骨格との相互作用を利用すれば、電子注入性および電子輸送性を向上させることができ、結果として有機電界発光素子の駆動電圧の低下および発光効率の向上が達成される。また、電荷発生層に利用した場合、フルオレニルアクリジン化合物は、電荷分離後のラジカルカチオン状態が非常に安定であるために電荷分離が速やかに行われ、結果として発光効率が向上する。
本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。 化合物(1−1)の紫外可視吸収スペクトルである。 化合物(1−1)のサイクリックボルタンメトリーである。 化合物(1−1)の微分パルスボルタンメトリーである。 EOD(素子構成1)における電流密度の電圧依存性を示すグラフである。 EOD(素子構成2)における電流密度の電圧依存性を示すグラフである。 OLEDにおける外部量子効率の電流密度依存性を示すグラフである。 OLEDにおける電流効率の電流密度依存性を示すグラフである。
1.一般式(A)および(B)で表される基から形成される化合物
本願発明は、少なくとも1つの下記一般式(A)で表される基と、少なくとも1つの下記一般式(B)で表される基とから形成されるアクリジン系化合物である。一般式(A)で表される基は電子供与性を有するアクリジン系骨格であり、一般式(B)で表される基は電子受容性を有する骨格であり、両骨格は単結合Lで結合している。
上記式(A)中、
〜Aは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換シリル、ハロゲン、シアノ、または上記一般式(B)で表される基であり、A〜Aの少なくとも1つは上記一般式(B)で表される基であり、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して縮合環を形成していてもよく、該縮合環は置換されていてもよく、
上記式(B)中、
Lは、上記式(A)で表される基との単結合を示し、
〜Bは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、または他の上記式(B)で表される基であり、B〜Bのうちの隣接する基同士が結合して縮合環を形成していてもよく、該縮合環は置換されていてもよい。
アクリジン系化合物は複数の式(A)で表される基と複数の式(B)で表される基とで形成されていてもよく、具体的には、1つの式(A)の基と1つの式(B)の基とが単結合Lにより結合して形成された単位が複数個、式(B)の基同士で結合することで複数の式(A)と式(B)の基で形成される化合物となる。この結合形態の化合物を「B〜Bは他の上記式(B)で表される基」として表現している。
〜AやB〜Bの「置換されていてもよいアルキル」について、「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル(i−Pr)、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル(t−Bu)、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどが挙げられる。
〜AやB〜Bの「置換されていてもよいシクロアルキル」について、「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
〜AやB〜Bの「置換されていてもよいアリール」について、「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられる。好ましい「アリール」は炭素数6〜16のアリールであり、より好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜10のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる。
〜AやB〜Bの「置換されていてもよいヘテロアリール」について、「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられる。好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜25のヘテロアリールであり、より好ましくは炭素数2〜20のヘテロアリールであり、さらに好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールであり、特に好ましくは炭素数2〜10のヘテロアリールである。また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有するものが挙げられる。
「ヘテロアリール」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
〜Aの「置換シリル」としては、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、上述した「アルキル」や「アリール」で置換されているものが挙げられ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルなどで置換されているものが挙げられる。
具体的な「置換シリル」としては、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリブチルシリル、トリs−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、s−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、イソプロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、s−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、s−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、エチルジイソプロピルシリル、ブチルジイソプロピルシリル、s−ブチルジイソプロピルシリル、t−ブチルジイソプロピルシリルなどのトリアルキルシリルが挙げられる。また、フェニルジメチルシリル、フェニルジエチルシリル、フェニルジt−ブチルシリル、メチルジフェニルシリル、エチルジフェニルシリル、プロピルジフェニルシリル、イソプロピルジフェニルシリル、ブチルジフェニルシリル、s−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。
〜Aのハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、上述した「アルキル」、「シクロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」は置換されていてもよく、この場合の「置換基」としては、アルキル、アリール、ヘテロアリール、フッ素化アルキル、トリアルキル置換シリル、ハロゲン、シアノなどが挙げられる。これらの「置換基」の好ましいものとしては、それぞれ、上記「アルキル」の欄で説明したもの、上記「アリール」の欄で説明したもの、上記「ヘテロアリール」の欄で説明したもの、上記「置換シリル」の欄で説明したもの、上記「ハロゲン」の欄で説明したものなどが挙げられる。また、フッ素化アルキルについては、上記「アルキル」の欄で説明したアルキルがフッ素化されたものが挙げられ、一部の水素がフッ素化されたものでも、すべての水素がフッ素化されたものでもよい。炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がフッ素化されたものが好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)がフッ素化されたものがより好ましい。具体的には、全(または部分)フッ素化メチル、全(または部分)フッ素化エチル、全(または部分)フッ素化プロピル、または全(または部分)フッ素化イソプロピルなどが挙げられ、三フッ素化メチルが特に好ましい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、更に好ましくは0個(無置換)である。
〜AやB〜Bのうちの隣接する基同士は結合して「縮合環」を形成していてもよく、この「縮合環」としては例えば縮合アリール環や縮合ヘテロアリール環が挙げられ、これらの環は、上記式(A)や(B)で表される基本骨格(それぞれアクリジン環やシクロペンタジエン環)に対して上記「アリール」の欄で説明したものや上記「ヘテロアリール」の欄で説明したものが縮合した形態として説明される。なお、隣接する基同士とは例えばAとAであり、AとAは含まれない。
〜Aのうちの隣接する基同士が結合して縮合環を形成した構造としては、例えば下記式(A−2)〜式(A−11)および式(A−12)〜式(A−18)の構造が挙げられる。なお、下記式(A−1)の構造は、このような縮合環を形成していない場合である。
上記式(A−1)〜(A−11)および式(A−12)〜式(A−18)では、A〜Aのいずれか隣接する基同士で形成された縮合環だけを示しており、縮合環を形成していない残りのA〜A(選択肢として水素を含む)については記載を省略している。例えば、式(A−1)では、A〜Aのいずれもが縮合環を形成しておらず、縮合環を形成していないA〜Aの全てが記載を省略されているだけであり、A〜Aは存在する。また、式(A−2)では、上記式(A)と対比して説明すれば、隣接するAとAが結合して縮合環を形成しており、縮合環を形成していないA〜Aについては記載を省略されているだけであり、A〜Aは存在する。その他の式についても同様である。
形成される縮合環の数は、最大縮合可能な数を上限とし、例えば、式(A−1)のように0個、式(A−2)〜式(A−4)や式(A−12)のように1個、式(A−5)〜式(A−11)や式(A−13)〜式(A−18)のように2個でもよく、また、図示していないが3個または4個でもよい。好ましくは0〜2個、より好ましくは0または1個、さらに好ましくは0個である。
〜Bのうちの隣接する基同士が結合して縮合環を形成した構造としては、例えば下記式(B−2)〜式(B−14)および式(B−15)〜式(B−32)の構造が挙げられる。なお、下記式(B−1)の構造は、このような縮合環を形成していない場合である。
上記式(B−1)〜(B−14)および式(B−15)〜(B−32)では、B〜Bのいずれか隣接する基同士で形成された縮合環だけを示しており、縮合環を形成していない残りのB〜B(選択肢として水素を含む)については記載を省略している。例えば、式(B−1)では、B〜Bのいずれもが縮合環を形成しておらず、縮合環を形成していないB〜Bの全てが記載を省略されているだけであり、B〜Bは存在する。また、式(B−2)では、上記式(B)と対比して説明すれば、隣接するBとBが結合して縮合環を形成しており、縮合環を形成していないB〜Bについては記載を省略されているだけであり、B〜Bは存在する。その他の式についても同様である。
形成される縮合環の数は、最大縮合可能な数を上限とし、例えば、式(B−1)のように0個、式(B−2)〜式(B−3)や式(B−15)〜式(B−20)のように1個、式(B−4)〜式(A−14)や式(B−21)〜式(B−32)のように2個でもよく、また、図示していないが3個または4個でもよい。
〜AやB〜Bで形成される「縮合環」は置換されていてもよく、この場合の「置換基」としては、アルキル、アリール、ヘテロアリール、フッ素化アルキル、トリアルキル置換シリル、ハロゲン、シアノなどが挙げられる。これらの「置換基」の好ましいものや、その数としては上述した説明を引用することができる。
2.一般式(1)または一般式(1’)で表される化合物
少なくとも1つの一般式(A)で表される基と、少なくとも1つの一般式(B)で表される基とから形成されるアクリジン系化合物のより具体的な構造としては、下記一般式(1)または下記一般式(1’)で表されるアクリジン系化合物が挙げられる。
上記式(1)または式(1’)中のA〜AやBの詳細は、それぞれ一般式(A)のA〜Aにおける説明や一般式(B)のBにおける説明を引用することができる。
〜Aは、好ましくは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノであり、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの炭素数6〜10の縮合アリール環を形成していてもよく、これらの環は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい。
は、好ましくは、水素、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールである。
上記式(1)または式(1’)中のB11〜B18は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノであり、B11〜B18のうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの炭素数6〜10の縮合アリール環を形成していてもよく、これらの環は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい。
これらのB11〜B18の選択肢としての各基およびその置換基、そして縮合環およびその置換基の詳細についても、一般式(A)や一般式(B)における説明を引用することができる。
3.アクリジン系化合物の具体例
本発明に係るアクリジン系化合物の具体例を以下に示すが、以下の化合物に限定されるものではない。下記化合物の中でも、ラジカルカチオン状態の安定性および電荷分離の効率の面から、下記式(1−1)または式(1’−1)で表される化合物が好ましい。
上記式(1−1)で表される化合物については、それに置換基が結合した形態として、例えば以下に示す式(1−1−1)〜式(1−1−79)で表される化合物が挙げられる。また、上記式(1−2)〜式(1−9)および式(1’−1)で表される化合物についても、それらに置換基が結合した形態として、下記式(1−1−1)〜式(1−1−79)で表される化合物と同様のものが挙げられる。
4.アクリジン系化合物の製造方法
本発明のアクリジン系化合物は、公知の方法により、チオアクリドン誘導体とジアゾ化合物との反応の後に、チイランの硫黄原子の脱離を経て合成することができる。この際、チオアクリドン誘導体の窒素原子を保護してもよく、窒素原子が保護されたチオアクリドン誘導体を用いる場合は保護基の脱保護反応を含む。
チオアクリドン誘導体とジアゾ化合物との反応はチイラン化合物を与える。一般的には、不活性雰囲気下、溶媒中で反応が行われる。出発原料により反応条件は異なり、立体障害などが大きい場合は加熱をしてもよい。溶媒は出発原料が溶解すれば特に制限はない。
チイランの硫黄原子の脱離反応は、一般的には、触媒を用いた不活性雰囲気下での加熱条件で行われる。用いられる触媒としては、例えば、金属ナトリウム、トリブチルスズ、三塩化アルミニウム、ノナカルボニル二鉄、トリメチルシアニド、シリルトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどを用いることができる。出発原料により反応条件は異なり、立体障害などが大きい場合はより高い温度で加熱をしてもよい。溶媒は出発原料が溶解すれば特に制限はない。
チオアクリドン誘導体の窒素原子の保護基は、窒素原子の塩基性または求核性を低下させるものであればよく、例えば、カルバメート系、スルホン系、アシル系を用いることができる。特に、保護能および導入と脱離の簡便さから、カルバメート系の保護基がよく用いられる。カルバメート系の保護基としては、t−ブトキシカルボニル(Boc)基、ベンジルオキシカルボニル(ZまたはCbz)基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基などが挙げられる。これらの保護基の導入と脱保護は公知の方法により行うことができる。
また、出発原料の組み合わせによっては、ハロゲン化アリール誘導体とアリールボロン酸誘導体を出発原料として、またはハロゲン化アリールボロン酸誘導体とハロゲン化アリール誘導体を出発物質として、鈴木・宮浦カップリング、熊田・玉尾・コリューカップリング、根岸カップリング、ハロゲン化反応、またはホウ酸化反応を適宜組み合わせて合成することができる。
鈴木−宮浦カップリングにおけるハロゲン化物とボロン酸誘導体は、その反応性官能基は適宜入れ替わってもよく、熊田・玉尾・コリューカップリングや根岸カップリングにおいても同様にそれらの反応に関わる官能基は入れ替わっていてもよい。またGrignard試薬に変換する場合には金属マグネシウムとイソプロピルグリニア試薬は適宜入れ替えてもよい。ボロン酸エステルはそのまま使用してもよく、あるいは酸で加水分解してボロン酸として使用してもよい。ボロン酸エステルとして用いる場合には、そのエステル部分のアルキル基は例示した以外のアルキル基も用いることができる。
カップリング反応で用いられるパラジウム触媒の具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):Pd(PPh、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド:PdCl(PPh、酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0):Pd(dba)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体:Pd(dba)・CHCl、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):Pd(dba)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0):Pd(t−BuP)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II):Pd(dppf)Cl、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(1:1):Pd(dppf)Cl・CHCl、PdCl{P(t−Bu)−(p−NMe−Ph)}:(A−taPhos)PdCl、パラジウム ビス(ジベンジリデン)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、PdCl[P(t−Bu)−(p−NMe−Ph)]:(A−taPhos)PdCl(Pd−132:商標;ジョンソン・マッセイ社製)が挙げられる。
また、反応を促進させるため、場合によりこれらのパラジウム化合物にホスフィン化合物を加えてもよい。そのホスフィン化合物の具体例としては、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、または2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルが挙げられる。
反応で用いられる塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸三カリウム、またはフッ化カリウムが挙げられる。
また、反応で用いられる溶媒の具体例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、シクロペンチルメチルエーテルまたはイソプロピルアルコールが挙げられる。これらの溶媒は適宜選択でき、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。
5.有機薄膜デバイス
本発明に係るアクリジン系化合物は、有機薄膜デバイス用材料として用いることができる。有機薄膜デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機薄膜トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などが挙げられる。
5−1.有機電界発光素子
本発明に係るアクリジン系化合物は、例えば、有機電界発光素子の材料、特に電子注入層、電子輸送層および電荷発生層に用いられる材料として用いることができる。本発明のアクリジン系化合物はラジカルカチオン状態が安定であり分子内で速やかに電荷分離を起こすことから、本発明のアクリジン系化合物を電子注入層、電子輸送層および電荷発生層の構成成分としてもちいた有機EL素子は、良好な発光効率、低い駆動電圧および良好な寿命を与える。以下に、本実施形態に係る有機EL素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
<有機電界発光素子の構造>
図1に示された有機電界発光素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機電界発光素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
また、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層の積層構造が電荷発生層を介して繰り返されたタンデム構造を有していてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機電界発光素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
さらに、これらの構成中に電荷発生層が介在していてもよい。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機電界発光素子100の支持体となるものであり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たすものである。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物が挙げられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどが挙げられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが挙げられる。その他、有機電界発光素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/□、好ましくは50〜5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50〜300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たすものである。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たすものである。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、本発明のアクリジン系化合物を使用することができる。また、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機電界発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N4’−ジフェニル−N,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N,N4’,N4’−テトラ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されるものではない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、あるいは、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニンZnPcなど)が知られている(特開2005-167175号公報)。
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光するものである。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。本発明では、発光層用の材料として、本発明に係るアクリジン系化合物を用いることができる。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50〜99.999重量%であり、より好ましくは80〜99.95重量%であり、さらに好ましくは90〜99.9重量%である。本発明のアクリジン系化合物はホスト材料としても使用することもできる。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001〜50重量%であり、より好ましくは0.05〜20重量%であり、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。本発明のアクリジン系化合物はドーパント材料としても使用することもできる。
本発明のアクリジン系化合物と併用することができるホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。
また、本発明のアクリジン系化合物と併用することができるドーパント材料としては、特に限定されるものではなく、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレン、ルブレンおよびクリセンなどの縮合環誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1−245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2−メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7−ジアルキルアミノクマリン誘導体、7−ピペリジノクマリン誘導体、7−ヒドロキシクマリン誘導体、7−メトキシクマリン誘導体、7−アセトキシクマリン誘導体、3−ベンゾチアゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾイミダゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンゾアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5−チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体、デアザフラビン誘導体、フルオレン誘導体およびベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。
発色光ごとに例示すると、青〜青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデン、クリセンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などが挙げられる。
また、緑〜黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などが挙げられ、さらに上記青〜青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
さらに、橙〜赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体など挙げられ、さらに上記青〜青緑色および緑〜黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それに挙げられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
上述するドーパント材料の中でも、特にスチルベン構造を有するアミン、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体またはピレン誘導体が好ましい。
スチルベン構造を有するアミンは、例えば、下記式で表される。
当該式中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するm価の基であり、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであるが、Ar〜Arの少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、mは1〜4の整数である。
スチルベン構造を有するアミンは、下記式で表されるジアミノスチルベンがより好ましい。
当該式中、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、ArおよびArは置換されていてもよい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、スチルベン、ジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、ジスチリルフルオレンなどが挙げられる。
スチルベン構造を有するアミンの具体例は、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(1−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(2−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(9−フェナントリル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ビス[4”−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ビフェニル、1,4−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ベンゼン、2,7−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−ジメチルフルオレン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニル、4,4’−ビス(9−フェニル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニルなどが挙げられる。
また、特開2003-347056号公報、および特開2001-307884号公報などに記載されたスチルベン構造を有するアミンを用いてもよい。
ペリレン誘導体としては、例えば、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン、3,10−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ペリレン、3,10−ジフェニルペリレン、3,4−ジフェニルペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、3,4,9,10−テトラフェニルペリレン、3−(1’−ピレニル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3−(9’−アントリル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3,3’−ビス(8,11−ジ(t−ブチル)ペリレニル)などが挙げられる。
また、特開平11-97178号公報、特開2000-133457号公報、特開2000-26324号公報、特開2001-267079号公報、特開2001-267078号公報、特開2001-267076号公報、特開2000-34234号公報、特開2001-267075号公報、および特開2001-217077号公報などに記載されたペリレン誘導体を用いてもよい。
ボラン誘導体としては、例えば、1,8−ジフェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−フェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、4−(9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、4−(10’−フェニル−9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、9−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−ビフェニリル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−(N−カルバゾリル)フェニル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセンなどが挙げられる。
また、国際公開第2000/40586号パンフレットなどに記載されたボラン誘導体を用いてもよい。
芳香族アミン誘導体は、例えば、下記式で表される。
当該式中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するn価の基であり、ArおよびArはそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは1〜4の整数である。
特に、Arがアントラセン、クリセン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはピレンに由来する2価の基であり、ArおよびArがそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは2である、芳香族アミン誘導体がより好ましい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレンフェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、ペンタセンなどが挙げられる。
芳香族アミン誘導体としては、クリセン系としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルクリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ナフタレン−2−イル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミンなどが挙げられる。
また、ピレン系としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)−3,8−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N,N−テトラフェニルピレン−1,8−ジアミン、N,N’−ビス(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニルピレン−1,8−ジアミン、N,N−ジフェニル−N,N−ビス−(4−トリメチルシラニル−フェニル)−1H,8H−ピレン−1,6−ジアミンなどが挙げられる。
また、アントラセン系としては、例えば、N,N,N,N−テトラフェニルアントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、9,10−ビス(4−ジフェニルアミノ−フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(1−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(2−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、10−ジ−p−トリルアミノ−9−(4−ジ−p−トリルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(6−ジフェニルアミノ−2−ナフチル)アントラセンなどが挙げられる。
また、他には、[4−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−1−イル]−ジフェニルアミン、[6−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−2−イル]−ジフェニルアミン、4,4’−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]ビフェニル、4,4’−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]ビフェニル、4,4”−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]−p−テルフェニル、4,4”−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]−p−テルフェニルなどが挙げられる。
また、特開2006-156888号公報などに記載された芳香族アミン誘導体を用いてもよい。
クマリン誘導体としては、クマリン−6、クマリン−334などが挙げられる。
また、特開2004-43646号公報、特開2001-76876号公報、および特開平6-298758号公報などに記載されたクマリン誘導体を用いてもよい。
ピラン誘導体としては、下記のDCM、DCJTBなどが挙げられる。
また、特開2005-126399号公報、特開2005-097283号公報、特開2002-234892号公報、特開2001-220577号公報、特開2001-081090号公報、および特開2001-052869号公報などに記載されたピラン誘導体を用いてもよい。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たすものである。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たすものである。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、本発明のアクリジン系化合物を使用することができる。本発明のアクリジン系化合物はラジカルカチオン状態が安定であり分子内で速やかに電荷分離を起こすことから、本発明のアクリジン系化合物を電子注入層および電子輸送層の構成成分として用いた有機EL素子は、良好な発光効率、低い駆動電圧および良好な寿命を与える。本発明のアクリジン系化合物は、単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。このような材料としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香環もしくは複素芳香環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香環誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などが挙げられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などが挙げられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。
上述した材料の中でも、キノリノール系金属錯体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体またはボラン誘導体が好ましい。
キノリノール系金属錯体は、下記一般式(E−1)で表される化合物である。
式中、R〜Rは水素または置換基であり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1〜3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8−キノリノールリチウム、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどが挙げられる。
ビピリジン誘導体は、下記一般式(E−2)で表される化合物である。
式中、Gは単なる結合手またはn価の連結基を表し、nは2〜8の整数である。また、ピリジン−ピリジンまたはピリジン−Gの結合に用いられない炭素は置換されていてもよい。
一般式(E−2)のGとしては、例えば、以下の構造式のものが挙げられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルである。
ビピリジン誘導体の具体例としては、2,5−ビス(2,2’−ピリジン−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール、2,5−ビス(2,2’−ピリジン−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジメシチルシロール、2,5−ビス(2,2’−ピリジン−5−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール、2,5−ビス(2,2’−ピリジン−5−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジメシチルシロール、9,10−ジ(2,2’−ピリジン−6−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,2’−ピリジン−5−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ピリジン−6−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ピリジン−5−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ピリジン−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,3’−ピリジン−5−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,2’−ピリジン−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,2’−ピリジン−5−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,4’−ピリジン−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,4’−ピリジン−5−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(3,4’−ピリジン−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(3,4’−ピリジン−5−イル)−2−フェニルアントラセン、3,4−ジフェニル−2,5−ジ(2,2’−ピリジン−6−イル)チオフェン、3,4−ジフェニル−2,5−ジ(2,3’−ピリジン−5−イル)チオフェン、6’6”−ジ(2−ピリジル)2,2’:4’,4”:2”,2”’−クアテルピリジンなどが挙げられる。
フェナントロリン誘導体は、下記一般式(E−3−1)または(E−3−2)で表される化合物である。
式中、R〜Rは水素または置換基であり、隣接する基は互いに結合して縮合環を形成してもよく、Gは単なる結合手またはn価の連結基を表し、nは2〜8の整数である。また、一般式(E−3−2)のGとしては、例えば、ビピリジン誘導体の欄で説明したものと同じものが挙げられる。
フェナントロリン誘導体の具体例としては、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオル−ビス(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロインや1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどが挙げられる。
特に、フェナントロリン誘導体を電子輸送層、電子注入層に用いた場合について説明する。長時間にわたって安定な発光を得るには、熱的安定性や薄膜形成性に優れた材料が望まれ、フェナントロリン誘導体の中でも、置換基自身が三次元的立体構造を有するか、フェナントロリン骨格とのあるいは隣接置換基との立体反発により三次元的立体構造を有するもの、あるいは複数のフェナントロリン骨格を連結したものが好ましい。さらに、複数のフェナントロリン骨格を連結する場合、連結ユニット中に共役結合、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素、置換もしくは無置換の芳香複素環を含んでいる化合物がより好ましい。
ボラン誘導体は、下記一般式(E−4)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。
式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。
上記一般式(E−4)で表される化合物の中でも、下記一般式(E−4−1)で表される化合物、さらに下記一般式(E−4−1−1)〜(E−4−1−4)で表される化合物が好ましい。具体例としては、9−[4−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)フェニル]カルバゾール、9−[4−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)ナフタレン−1−イル]カルバゾールなどが挙げられる。
式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0〜4の整数である。
各式中、R31〜R34は、それぞれ独立して、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかであり、そして、R35およびR36は、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかである。
上記一般式(E−4)で表される化合物の中でも、下記一般式(E−4−2)で表される化合物、さらに下記一般式(E−4−2−1)で表される化合物が好ましい。
式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。
式中、R31〜R34は、それぞれ独立して、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかであり、そして、R35およびR36は、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかである。
上記一般式(E−4)で表される化合物の中でも、下記一般式(E−4−3)で表される化合物、さらに下記一般式(E−4−3−1)または(E−4−3−2)で表される化合物が好ましい。
式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよい炭素数10以下のアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数14以下のアリールであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。
各式中、R31〜R34は、それぞれ独立して、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかであり、そして、R35およびR36は、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはフェニルのいずれかである。
ベンゾイミダゾール誘導体は、下記一般式(E−5)で表される化合物である。
式中、Ar〜Arはそれぞれ独立に水素または置換されてもよい炭素数6〜30のアリールである。特に、Arが置換されてもよいアントリルであるベンゾイミダゾール誘導体が好ましい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アセナフチレン−1−イル、アセナフチレン−3−イル、アセナフチレン−4−イル、アセナフチレン−5−イル、フルオレン−1−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−3−イル、フルオレン−4−イル、フルオレン−9−イル、フェナレン−1−イル、フェナレン−2−イル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル,9−フェナントリル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、フルオランテン−1−イル、フルオランテン−2−イル、フルオランテン−3−イル、フルオランテン−7−イル、フルオランテン−8−イル、トリフェニレン−1−イル、トリフェニレン−2−イル、ピレン−1−イル、ピレン−2−イル、ピレン−4−イル、クリセン−1−イル、クリセン−2−イル、クリセン−3−イル、クリセン−4−イル、クリセン−5−イル、クリセン−6−イル、ナフタセン−1−イル、ナフタセン−2−イル、ナフタセン−5−イル、ペリレン−1−イル、ペリレン−2−イル、ペリレン−3−イル、ペンタセン−1−イル、ペンタセン−2−イル、ペンタセン−5−イル、ペンタセン−6−イルである。
ベンゾイミダゾール誘導体の具体例は、1−フェニル−2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(3−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールである。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有するものであれば、様々なものが用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Li(仕事関数2.90eV)、Na(同2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0〜2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
本発明において、電子注入層および電子輸送層の膜厚は、0.1〜1000nmが好ましく、0.2〜200がより好ましく、1〜100nmが更に好ましい。また、本発明において、電子注入層および電子輸送層に複数の化合物を用いた場合、本発明のアクリジン系化合物に対する他の全ての化合物の混合比(モル比率)は、1:1〜1:20が好ましく、1:1〜4:6がより好ましく、1:1が特に好ましい。
<電荷発生層>
電荷発生層は深いLUMO準位を有する電子受容性化合物および浅いHOMO準位を有する電子供与性化合物が積層された構造を有しており、電子受容性化合物のLUMO準位へ電子供与性化合物のHOMO準位から電子を引きぬくことにより電荷を発生させる。電荷発生層に用いられる材料としては、本発明のアクリジン系化合物を使用することができ、その他には三酸化モリブデン、五酸化二バナジウム、三酸化タングステンなどの金属酸化物と芳香族アリールアミンなどの組み合わせが挙げられる。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様のものを用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率を上げて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されるものではない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例として挙げられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどが挙げられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などが挙げられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスとは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されたものをいい、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどが挙げられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式のものが蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
5−2.有機薄膜トランジスタ
有機薄膜トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができるものである。有機薄膜トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。
有機薄膜トランジスタの構造は、通常、本発明に係るアクリジン系化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極及びドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造が挙げられる。
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極
(3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極
(4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極
また、ソース電極・ドレイン電極と有機半導体活性層との間に、本発明に係るアクリジン系化合物を含むバッファー層を設けてもよい。
このように構成された有機薄膜トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子などとして適用できる。
5−3.有機薄膜太陽電池
有機薄膜太陽電池は基板と一対の電極を有し、当該電極間に、電子受容体の化合物と電子供与体の化合物とを有する。例えば、有機薄膜太陽電池は、基板上に、電極(正極)、p型半導体層、混合物層、n型半導体層、電極(負極)が順に積層された構造を有する。ただし、全ての層が存在することは本発明にとって必須ではない。本発明に係るアクリジン系化合物は、有機薄膜太陽電池を構成する混合物層またはn型半導体層の電子供与性化合物として利用することができる。
<基板>
基板は電極および有機多層膜の支持体となる。基板材料は電極などの支持体となり得るのであれば特に限定されない。ただし、基板に照射された光を素子内に取り込むため、基板には透光性の材料が用いられる。例えば、ガラス、石英、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ステンレス、アルミニウムなどが挙げられる。また、基板の少なくとも片側に、ガスバリヤ膜を形成してもよい。
<電極>
電極に用いられる材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、隣り合う層の仕事関数に合わせて選ばれる。例えば、ITO、銀、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。また、受光側の電極は、ITOなどの透明電極を用いることが好ましい。
<混合物層>
混合物層は活性層とも呼ばれ、受光し励起子を生成分離する機能を持つ。メカニズムは、有機薄膜太陽電池に光が当たると、主に電子供与性化合物が励起されることにより励起子が生成する。生成した励起子は電子供与性化合物と電子受容性化合物の間で速やかに電荷分離を起こし、この電荷分離した電荷がそれぞれに各層や陽極および陰極を通じて外部回路に流れることにより起電力が生じる。
混合物層は電子供与性化合物および電子受容性化合物を含む。電子供与性化合物および電子受容性化合物はそれぞれに少なくとも一種を含有する。
本発明に係るアクリジン系化合物は混合物層における電子供与性化合物として利用することができる。本発明に係るアクリジン系化合物はラジカルカチオン状態が安定であり分子内で速やかに電荷分離を起こすことから、本発明に係るアクリジン系化合物を混合物層の構成成分として用いた有機薄膜太陽電池は、良好な変換効率および寿命を与える。混合物層に含有される電子供与性化合物としては本発明に係るアクリジン系化合物を含むが、一般的に用いられる化合物を含有してもよい。
混合物層に含有される電子供与性化合物としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリカルバゾールなどが挙げられる。また、混合物層に含有される電子受容性化合物としては、フラーレン誘導体などが挙げられる。混合物層の膜厚は、1〜1000nmが好ましく、1〜200nmがより好ましい。
<p型半導体層>
混合物層と電極(正極)との間に、p型半導体層を設けることができる。p型半導体層に用いられる材料としては、高い正孔移動度および導電率を有し、正極との間の正孔注入障壁および混合物層からp型半導体層との間の正孔注入障壁が小さく、透明であることが好ましい。例えば、p型半導体層に用いられる材料としては、ポルフィリン化合物、フタロシアニン化合物、ポリ(スチレンスルホン酸)のドープされたポリ(エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられる。
<n型半導体層>
混合物層と電極(負極)との間に、n型半導体層を設けることもできる。本発明に係るアクリジン系化合物はn型半導体層における電子供与性化合物として利用することができる。本発明に係るアクリジン系化合物はラジカルカチオン状態が安定であるため、本発明に係るアクリジン系化合物をn型半導体層の構成成分として用いた有機薄膜太陽電池は、電荷移動を加速し駆動電圧を低下させることができる。n型半導体層に含有される電子供与性化合物としては本発明に係るアクリジン系化合物を含むが、一般的に用いられる化合物を含有してもよい。
n型半導体層に用いられる材料としては、混合物層の電子供与体と電子受容体の有する光学的ギャップより大きい光学的ギャップを有することが好ましい。n型半導体層に用いられる材料としては、フラーレン誘導体、キノリノール誘導体金属錯体、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、複素環式芳香族、縮合多環芳香族などが挙げられる。n型半導体層の膜厚は、1〜1000nmが好ましく、1〜200nmがより好ましい。
5−4.有機薄膜デバイスの作製方法
有機薄膜デバイスを構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法、レーザー加熱描画法(LITI)などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常0.1nm〜5000nmの範囲である。
<真空蒸着法>
真空蒸着法は、真空中においてボートやルツボに入れた材料を加熱により気化・飛散させ、基板上に堆積させることで成膜する。真空蒸着法は、良質な膜を基板に対して均一に成膜できること、積層化が容易で優れた特性のデバイスが得やすいこと、作製プロセス由来の不純物の混入が極めて少ないことなどの利点があり、現在実用化されている有機電界発光素子の多くは低分子材料を用いた真空蒸着法によるものである。
<湿式成膜法>
湿式成膜法は、一般的には、基板にインク組成物を塗布する塗布工程および塗布されたインク組成物から溶媒を取り除く乾燥工程を経ることで塗膜を形成する。塗布工程の違いにより、スピンコーターを用いるものをスピンコート法、インクジェットプリンタを用いるものをインクジェット法と呼ぶ。湿式成膜法は乾燥工程を含み、風乾、加熱、減圧乾燥などの方法がある。乾燥工程は1回のみ行ってもよく、異なる方法や条件を用いて複数回行ってもよい。また、例えば、減圧下での焼成のように、異なる方法を併用してもよい。
<その他成膜法>
インク組成物の成膜化には、レーザー加熱描画法(LITI)を用いることができる。LITIとは基材に付着させた化合物をレーザーで加熱蒸着する方法で、基材へ塗布される材料にはインク組成物を用いることができる。
<任意の工程>
製膜の各工程の前後に、適切な処理工程、洗浄工程および乾燥工程を適宜入れてもよい。処理工程としては、例えば、露光処理、プラズマ表面処理、超音波処理およびオゾン処理などがあり、洗浄処理は適切な溶媒を用いて行われ、乾燥工程としては加熱処理などが挙げられる。さらには、バンクを作製する一連の工程も挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<化合物(1−1)の合成>
乾燥した500mL二口フラスコにN−Bocチオアクリドン(4.91g、15.8mmol)、ジアゾフルオレン(3.05g、15.9mmol、1.1equiv.)を入れ、さらにアルゴン中でジクロロメタン(160mL、0.1M)を加えて、室温で4時間撹拌した。その後に溶媒を留去し、橙色の粗生成物を得た。クロロホルム/ヘキサン(1:1(容量比))を展開溶媒としてこの粗生成物をシリカゲルカラム(Wakogel C−300)を通し、黄色固体を得た(収量6.02g、収率80%)。
乾燥した200mL二口フラスコにN−Bocフルオレニリデンアクリダンチイラン(5.80g、12.2mmol)、トリフェニルホスフィン(3.20g、12.2mmol、1.0equiv.)を入れ、さらにアルゴン中でトルエン(61mL、0.2M)加えて、終夜加熱還流した。その後に溶媒を留去し、黄色の粗生成物を得た。この粗生成物をクロロホルム/メタノールで二回再沈殿した後、黄色の粉末状固体を得た(収量4.41g、収率82%)。
乾燥した200mL二口フラスコにN−Bocフルオレニリデンアクリダン(4.20g、9.47mmol)を入れ、さらにアルゴン中でジクロロメタン(95mL、0.1M)、トリフルオロ酢酸(3.24g、2.25mL、3.0equiv.)を加えて、室温で終夜撹拌した。その後に溶媒を留去し、メタノール、0.1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去して黄色の粗生成物を得た。クロロホルムを展開溶媒としてこの粗生成物をシリカゲルカラム(Wakogel−C300)を通し、薄朱色の粉末状固体である化合物(1−1)を得た(収量2.08g、収率64%)。
NMR測定により得られた化合物(1−1)の構造を確認した。
1H-NMR (400MHz, CDCl3): δ = 8.65 (d, J=9.2Hz, 1H), 8.44 (d, J=8.7Hz, 1H), 8.22 (d, J=8.7Hz, 1H), 7.99 (d, J=7.3Hz, 2H), 7.87 (ddd, J=8.8, 6.5, 1.0Hz, 1H), 7.63 (ddd, J=8.8, 6.5, 1.3Hz, 1H), 7.50 (ddd, J=8.7, 6.4, 1.4Hz, 1H), 7.44 (t, J=7.6Hz, 2H), 7.16 (td, J=7.6, 0.9Hz, 2H), 7.05 (d, J=7.3Hz, 2H), 6.88 (ddd, J=8.8, 6.5, 1.3Hz, 1H), 6.77 (d, J=9.2Hz, 1H), 6.45 (s, 1H).
13C{1H}-NMR (100.53MHz, CDCl3): δ = 148.9, 148.8, 143.4, 140.1, 130.7, 130.0, 129.6, 129.4, 127.5, 127.4, 127.1, 126.4, 125.3, 125.1, 124.3, 124.1, 123.6, 120.5, 48.2.
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明の他の化合物を合成することができる。
<化合物(1−1)の材料物性の評価>
(1)イオン化ポテンシャル
真空蒸着法で試料の単層膜を作製し、光電子分光計(住友重機械工業株式会社 PYS−201)を用いてイオン化ポテンシャルを測定した。この結果、化合物(1−1)のイオン化ポテンシャルは5.0eVであった。
(2)紫外可視吸収スペクトル
真空蒸着法で試料の単層膜を作製し、紫外可視分光光度計(JASCO V−670)を用いて紫外可視吸収スペクトルを測定した。この結果、図2に示すように、363nmおよび393nmに吸収ピークが確認された。また、700〜800nm付近にピークトップを持つなだらかな吸収ピークが確認された。このなだらかな吸収は電荷移動によるものであり、化合物(1−1)は電荷分離状態を取り得ることが分かった。
(3)電子親和力
イオン化ポテンシャルと紫外可視吸収スペクトルの吸収端から算出したエネルギーギャップの差を求め、電子親和力を見積もった。この結果、化合物(1−1)の電子親和力は1.9eVと見積もられた。
(4)サイクリックボルタンメトリー
濃度0.5mMで試料をジクロロメタンに溶解させ、電解質にテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸、作用電極にグラッシーカーボン、対電極に白金電極、参照としてフェロセンを用いて、電気化学測定システム(HOKUTO−HZ−5000)により掃引速度100および1000mV/sでサイクリックボルタンメトリーを測定した。この結果、図3に示すように、まず掃引速度1000mV/sで測定すると、還元側では−2.11Vに可逆的なピークが確認されたが、酸化側ではピークは確認されなかった。また、2周目以降の測定では還元側に−0.94Vの可逆的なピークが出現した。次いで、掃引速度100mV/sで測定すると、還元側の−2.11Vは不可逆なピークとなり、2週目以降も−0.94Vにピークは見られなかった。
(5)微分パルスボルタンメトリー
濃度0.5mMで試料をジクロロメタンに溶解させ、電解質にテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸、作用電極にグラッシーカーボン、対電極に白金電極、参照としてフェロセンを用いて、電気化学測定システム(HOKUTO−HZ−5000)により掃引速度1000mV/sで微分ボルタンメトリーを測定した。この結果、図4に示すように、還元側では−2.04Vおよび−2.42Vにピークが確認された。一方、酸化側ではピークは確認されなかった。
サイクリックボルタンメトリーおよび微分パルスボルタンメトリーの結果は、化合物(1−1)のラジカルカチオンが安定であることを示している。
<有機薄膜デバイスに用いた場合の評価>
以下の実施例において用いた、「ET1」、「Bphen」、「Liq」、「NPD」および「Alq3」の構造を以下に示す。
<電子オンリー素子に用いた場合の評価(素子構成1)>
実施例1および比較例1に係る電子オンリー素子(EOD)を作製し、それぞれ電流密度の電圧依存性を測定した。作製したEODにおける、各層の材料構成を下記表1に示す。
<実施例1>
支持基板には表面を研磨したITOパターン付きガラス基板を用いた。この支持基板を市販の真空蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、ET1、化合物(1−1)、マグネシウムおよび銀をそれぞれ別のモリブデン製蒸着用ボートに適量量り取った。
真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、ガラス基板上に順次、ET1層(厚さ100nm)、化合物(1−1)層(厚さ1nm)、マグネシウムおよび銀(mol比、10:1)の混合電極層(厚さ100nm)を蒸着し、EODを得た。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
作製したEODについて、ITO電極を陽極、マグネシウムおよび銀の混合電極を陰極として、各電圧における電流密度を測定した。結果を図5に示す。
<比較例1>
化合物(1−1)を蒸着しない以外は実施例1と同様にしてEODを得た。すなわち、比較例1のEODは実施例1とは異なり化合物(1−1)の層を有さない。作製したEODについて、実施例1と同様に各電圧における電流密度を測定した。結果を図5に示す。
図5から分かるように、化合物(1−1)層を有する実施例1のEODの方が同じ電圧においておよそ一桁高い電流密度が得られた。この結果から、化合物(1−1)を公知の電子注入・輸送材料と組み合わせることによって、大幅に電子の注入・輸送性を改善できることが分かった。
<電子オンリー素子に用いた場合の評価(素子構成2)>
実施例2および比較例2に係る電子オンリー素子(EOD)を作製し、それぞれ電流密度の電圧依存性を測定した。作製したEODにおける、各層の材料構成を下記表2に示す。
<実施例2>
支持基板には表面を研磨したガラス基板を用いた。この支持基板を市販の真空蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、アルミニウム、ET1、化合物(1−1)、Liq、マグネシウムおよび銀をそれぞれ別のモリブデン製蒸着用ボートに適量量り取った。
真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、ガラス基板上に順次、Al層、ET1層(厚さ50nm)、Liqをドープした化合物(1−1)(重量比、化合物(1−1):LIq=6:4)の層(厚さ20nm)、Liq層(厚さ1nm)、マグネシウムおよび銀(mol比、10:1)の混合電極層(厚さ100nm)を蒸着し、EODを得た。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
作製したEODについて、Al電極を陽極、マグネシウムおよび銀の混合電極を陰極として、各電圧における電流密度を測定した。結果を図6に示す。
<比較例2>
化合物(1−1)をBphenに替えた以外は実施例2と同様にしてEODを得た。作製したEODについて、実施例2と同様に各電圧における電流密度を測定した。結果を図6に示す。
図6から分かるように、化合物(1−1)層を有する実施例2のEODの方が各電圧において高い電流密度が得られた。この結果から、化合物(1−1)は、公知の電子注入・輸送材料であるBphenよりも、電子注入・輸送性において優れていることが分かった。
<有機電界発光素子に用いた場合の評価>
実施例3および比較例3に係る有機電界発光素子(OLED)を作製し、それぞれ外部量子効率および電流効率の電流密度依存性を測定した。作製したOLEDにおける、各層の材料構成を下記表3に示す。
<実施例3>
支持基板には表面を研磨したITOパターン付きガラス基板を用いた。この支持基板を市販の真空蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、NPB、Alq3、化合物(1−1)、Liq、マグネシウムおよび銀をそれぞれ別のモリブデン製蒸着用ボートに適量量り取った。
真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、ガラス基板上に順次、NPB層(厚さ50nm)、Alq3層(厚さ30nm)、Liqをドープした化合物(1−1)(重量比、化合物(1−1):Liq=6:4)の層(厚さ20nm)、Liq層(厚さ1nm)、マグネシウムおよび銀(mol比、10:1)の混合電極層(厚さ100nm)を蒸着し、EODを得た。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
作製したOLEDについて、ITO電極を陽極、マグネシウムおよび銀の混合電極を陰極として、外部量子効率および電流効率を測定した。結果を表4、図7および8に示す。
<比較例3>
化合物(1−1)をBphenに替えた以外は実施例3と同様にしてOLEDを得た。作製したOLEDについて、実施例3と同様に外部量子効率および電流効率を測定した。結果を表4、図7および8に示す。
図7および8から分かるように、実施例3のOLEDは比較例3に比べて同じ電流密度においてより高い外部量子効率と電流効率を示した。このように本発明の化合物をOLEDの構成成分として用いることで、リークが無く安定性に優れ、高い外部量子効率および電流効率を有するOLEDを作製することが可能である。
本発明に係るアクリジン系化合物は、有機薄膜太陽電池の混合物層やn型半導体層に、有機電界発光素子の電荷注入層、電荷輸送層または電荷発生層に、有機薄膜トランジスタの活性層やバッファー層に用いることで、これらのデバイスの特性を向上させることができる。
100 有機電界発光素子(OLED)
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (15)

  1. 下記一般式(A)で表される基と下記一般式(B’)で表される基とが単結合で結合した下記一般式(1)で表される化合物
    上記式(1)中、
    〜Aは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜10のヘテロアリール(ただし環構成元素として酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1個有するヘテロアリール)、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノであり、前記アリールおよびヘテロアリールは、炭素数1〜4のアルキル、ハロゲン、またはシアノで置換されていてもよく、
    上記式(A)で表される基は、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの縮合アリール環または縮合ヘテロアリール環を形成して、下記式(A−2)〜式(A−18)のいずれかで表される基となっていてもよく、これらの基は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜10のヘテロアリール(ただし環構成元素として酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1個有するヘテロアリール)、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノで置換されていてもよく、前記アリールおよびヘテロアリールは、炭素数1〜4のアルキル、ハロゲン、またはシアノで置換されていてもよく、下記式(A−2)〜式(A−18)中の*は上記式(B’)で表される基との単結合を示し、
    は、水素、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、
    11〜B18は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜10のヘテロアリール(ただし環構成元素として酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1個有するヘテロアリール)、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノであり、前記アリールおよびヘテロアリールは、炭素数1〜4のアルキル、ハロゲン、またはシアノで置換されていてもよく、
    上記式(B’)で表される基は、B11〜B18のうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの縮合アリール環または縮合ヘテロアリール環を形成して、下記式(B−5)〜式(B−14)、式(B−26)および式(B−32)のいずれかで表される基となっていてもよく、これらの基は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜10のヘテロアリール(ただし環構成元素として酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1個有するヘテロアリール)、炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル、ハロゲン、またはシアノで置換されていてもよく、前記アリールおよびヘテロアリールは、炭素数1〜4のアルキル、ハロゲン、またはシアノで置換されていてもよく、下記式(B−5)〜式(B−14)、式(B−26)および式(B−32)中の2つの*は、一方が上記式(A)で表される基との単結合を示し、他方が を示す。
  2. 〜A、B11〜B18、上記式(A−2)〜式(A−18)のいずれかで表される基への置換基、上記式(B−5)〜式(B−14)、式(B−26)および式(B−32)のいずれかで表される基への置換基は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、フェナレニル、ピリジル、カルバゾリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリn−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、ハロゲン、またはシアノであり、
    は水素である、
    請求項1に記載の化合物。
  3. 上記式(A)で表される基は、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して縮合環を形成することはない、
    請求項1または2に記載する化合物。
  4. 上記式(A)で表される基は、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して縮合環を形成することはなく、
    上記式(B’)で表される基は、B11〜B18のうちの隣接する基同士が結合して1つまたは2つの縮合アリール環を形成して、上記式(B−5)〜式(B−14)のいずれかで表される基となっていてもよい、
    請求項1または2に記載する化合物。
  5. 上記式(A)で表される基は、A〜Aのうちの隣接する基同士が結合して縮合環を形成することはなく、
    上記式(B’)で表される基は、B11〜B18のうちの隣接する基同士が結合して縮合環を形成することはない、
    請求項1または2に記載する化合物。
  6. 下記構造式で表される、請求項1に記載する化合物。
    なお、上記式中、TMSはトリメチルシリル基、Meはメチル基、t−Buはt−ブチル基、n−Buはn−ブチル基を示す。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載する化合物を含有する、有機薄膜デバイス用材料。
  8. 前記有機薄膜デバイス用材料が、有機電界発光素子用材料、有機薄膜トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、請求項7に記載する有機薄膜デバイス用材料。
  9. 電荷注入層用材料または電荷輸送層用材料である、請求項8に記載する有機電界発光素子用材料。
  10. 電荷発生層用材料である、請求項8に記載する有機電界発光素子用材料。
  11. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置された発光層と、請求項9に記載する電荷注入/輸送層用材料を含有する電子注入・輸送層および/または正孔注入・輸送層とを有する、有機電界発光素子。
  12. 前記電極と電子注入・輸送層および/または正孔注入・輸送層との間に、請求項10に記載する電荷発生層用材料を含有する電荷発生層を有する、請求項11に記載する有機電界発光素子。
  13. 前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、キノリノール系金属錯体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ボラン誘導体およびベンゾイミダゾール誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項11または12に記載する有機電界発光素子。
  14. 前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項13に記載の有機電界発光素子。
  15. 請求項8に記載する有機薄膜トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料を用いて作製された、有機薄膜トランジスタまたは有機薄膜太陽電池。
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SU434076A1 (ru) * 1972-05-29 1974-06-30 А. К. Шейнкман , Г. В. Самойленко Донецкий государственный университет СПОСОБ ПОЛУЧЕНИЯГЕТЕРОЦИКЛИЧЕСКИХ ПРОИЗВОДНЫХЦИКЛОПЕНТАДИЕНА, ИЛИ ИНДЕНА, ИЛИ АЗУЛЕНА1Изобретение относитс к области получени новых соединений, которые могут найти применение как полупродукты в синтезе биологически активных- веществ или в качестве стабилизаторов полимеров.Использование известной в органической химии реакции взаимодействи четвертичной соли изохинолина с соединени ми, имеющими подвижный атом водорода, 'применительно к циклопентадиену, или индену, или азулену дало возможность получить новые гетероциклические производные циклопентадиена, или индена, или азулена, обладающие высокой биологической активностью.Предложенный способ получени гетероциклических производных циклопентадиена, или индена, или азулена общих формулYRгде R — 1-бензоил-1,4 - дигидропиридил - 4,1 - бензоил - 1,2 - дигидрохинолинил - 2, 2 -бензоил - 1,2 - дигидроизохинолинил - 1, ак-ридинил-9;заключаетс в том, что циклопентадиен, илиинден, или азулен подвергают взаимодействиюс пиридином, или хинолином, или изохиполи-ном, ил'И акридином в присутствии хлористого бензоила в среде инертного органического растворител , например бензола, при комнатной температуре или при температуре кипени 5 реакционной массы с последующим выделением целевого продукта известным способом.Реакци протекает по схеме, включающей образование в качестве активного промежу-10 точного соединени N-ацильных солей шести- членных азотистых гетероциклов.В реакции акридина и галоидного ацила с азуленами в аналогичных услови х сразу образуютс 1-
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