JP7269602B2 - 多環芳香族化合物およびその多量体 - Google Patents

多環芳香族化合物およびその多量体 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 プログラム(電気通信回線を通じた掲載) (1)学会名:日本化学会第98春季年会 http://www.csj.jp/nenkai/98haru/index.html (2)掲載日 :平成30年2月13日(3)掲載物 :ポスター発表のタイトル一覧(4)公開者 :畠山琢次、阿部紘明、小田晋(5)公開内容:「2PC-065 四配位ホウ素を縮環部に有する拡張π共役分子の合成と物性」
特許法第30条第2項適用 講演予稿集(電気通信回線を通じた掲載)(1)学会名 :日本化学会第98春季年会(2)掲載日 :平成30年3月6日(3)掲載物 :日本化学会第98春季年会予稿集、公益社団法人日本化学会(4)公開者 :畠山琢次、阿部紘明、小田晋(5)公開内容:「2PC-065 4配位ホウ素を縮環部に有する拡張π共役分子の合成と物性」
特許法第30条第2項適用 講演予稿集(DVD及びUSBによる配布)(1)学会名 :日本化学会第98春季年会(2)配布日 :平成30年3月6日(3)配布物 :日本化学会第98春季年会予稿集、公益社団法人日本化学会(4)公開者:畠山琢次、阿部紘明、小田晋(5)公開内容:「2PC-065 4配位ホウ素を縮環部に有する拡張π共役分子の合成と物性」
特許法第30条第2項適用 学会発表(ポスター発表による公開)(1)学会名 :日本化学会第98春季年会(2)開催日 :平成30年3月21日(3)公開者 :畠山琢次、阿部紘明、小田晋(4)公開内容:「4配位ホウ素を縮環部に有する拡張π共役分子の合成と物性」
本発明は、多環芳香族化合物およびその多量体(以下、これらをまとめて単に「多環芳香族化合物」ともいう)と、これを用いた有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」ともいう)、有機電界効果トランジスタおよび有機薄膜太陽電池などの有機デバイス、並びに、表示装置および照明装置に関する。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料からなる有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の1つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
発光層用材料としては、例えばベンゾフルオレン系化合物などが開発されている(国際公開第2004/061047号公報)。また、正孔輸送材料としては、例えばトリフェニルアミン系化合物などが開発されている(特開2001-172232号公報)。また、電子輸送材料としては、例えばアントラセン系化合物などが開発されている(特開2005-170911号公報)。
また、近年ではホウ素などを中心原子として複数の芳香族環を縮合した化合物も報告されている(国際公開第2015/102118号公報)。この文献では発光層のドーパント材料として当該複数の芳香族環を縮合した化合物を用いた有機EL素子が評価されている。
国際公開第2004/061047号公報 特開2001-172232号公報 特開2005-170911号公報 国際公開第2015/102118号公報
上述するように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されているが、発光特性などの有機EL特性を更に高めたり、発光層用材料などの有機EL材料の選択肢を増やすために、従来具体的には知られていなかった化合物の開発が望まれている。
また、発光スペクトルの半値幅が狭く単色性が高い発光層用材料が求められる一方で、蛍光発光により白色発光が可能な次世代の光デバイスを提供するために、可視光の波長域において発光スペクトルの半値幅が広く、ブロードな発光特性を有する発光層用材料も求められている。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、4配位ホウ素により複数の芳香族環を連結した新規な多環芳香族化合物の製造に成功し、当該化合物を用いることにより優れた有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下のような多環芳香族化合物、さらには以下のような多環芳香族化合物を含む有機デバイス材料などを提供する。
なお、本明細書において化学構造や置換基を炭素数で表すことがあるが、化学構造に置換基が置換した場合や、置換基にさらに置換基が置換した場合などにおける炭素数は、化学構造や置換基それぞれの炭素数を意味し、化学構造と置換基の合計の炭素数や、置換基と置換基の合計の炭素数を意味するものではない。例えば、「炭素数Xの置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「炭素数Xの置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。また例えば、「置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「(炭素数限定がない)置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。
項1.
下記一般式(1)~式(3)のいずれかで表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1)~式(3)のいずれかで表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体。
Figure 0007269602000001
(上記式(1)~式(3)中、
a環、b環およびc環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環が縮合して縮合環を形成していてもよく、
a環、b環、c環および形成された前記縮合環における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ジアリールホスフィン、ジヘテロアリールホスフィン、ジアリールホスフィンオキシド、ジヘテロアリールホスフィンオキシド、ジアリールホスフィンスルフィド、ジヘテロアリールホスフィンスルフィド、または、置換シリル(置換基はアルキルおよび/またはシクロアルキル)で置換されていてもよく、これらの置換基における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
Rは、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルまたはハロゲンであり、これらの基における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン、ジアリールアミノまたはジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)で置換されていてもよく、
上記各式で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
項2.
上記式(1)~式(3)中、
a環、b環およびc環は、それぞれ独立して、炭素数6~12のアリール環または炭素数1~12のヘテロアリール環が縮合して縮合環を形成していてもよく、
a環、b環、c環および形成された前記縮合環における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数6~30のアリール、炭素数1~30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただし各アリールは炭素数6~12のアリール)、ジヘテロアリールアミノ(ただし各ヘテロアリールは炭素数1~12のヘテロアリール)、アリールヘテロアリールアミノ(ただし該アリールは炭素数6~12のアリール、該ヘテロアリールは炭素数1~12のヘテロアリール)、ジアリールボリル(ただし各アリールは炭素数6~12のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1~12のアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、炭素数1~12のアルコキシ、炭素数6~12のアリールオキシ、炭素数1~12のヘテロアリールオキシ、炭素数6~12のアリールチオ、炭素数1~12のヘテロアリールチオ、炭素数6~12のアリールスルホニル、炭素数1~12のヘテロアリールスルホニル、ジアリールホスフィン(ただし各アリールは炭素数6~12のアリール)、ジヘテロアリールホスフィン(ただし各ヘテロアリールは炭素数1~12のヘテロアリール)、ジアリールホスフィンオキシド(ただし各アリールは炭素数6~12のアリール)、ジヘテロアリールホスフィンオキシド(ただし各ヘテロアリールは炭素数1~12のヘテロアリール)、ジアリールホスフィンスルフィド(ただし各アリールは炭素数6~12のアリール)、ジヘテロアリールホスフィンスルフィド(ただし各ヘテロアリールは炭素数1~12のヘテロアリール)またはトリ置換シリル(置換基は炭素数1~12のアルキルおよび/または炭素数3~16のシクロアルキル)で置換されていてもよく、これらの置換基における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数6~12のアリール、炭素数1~12のヘテロアリール、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルで置換されていてもよく、
Rは、炭素数6~30のアリール、炭素数1~30のヘテロアリール、炭素数1~12のアルキル、炭素数3~16のシクロアルキルまたはハロゲンであり、これらの基における少なくとも1つの水素は、炭素数6~30のアリール、炭素数1~30のヘテロアリール、炭素数1~12のアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、ハロゲン、ジアリールアミノ(ただし各アリールは炭素数6~12のアリール)またはジアリールボリル(ただし各アリールは炭素数6~12のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)で置換されていてもよく、
上記各式で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、
多量体の場合には、前記構造を2個または3個有する2量体または3量体である、
項1に記載する多環芳香族化合物およびその多量体。
項3.
上記式(1)~式(3)中、
a環、b環およびc環は、それぞれ独立して、炭素数6~10のアリール環または炭素数1~10のヘテロアリール環が縮合して縮合環を形成していてもよく、
a環、b環、c環および形成された前記縮合環における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数1~20のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただし各アリールは炭素数6~10のアリール)、ジヘテロアリールアミノ(ただし各ヘテロアリールは炭素数1~10のヘテロアリール)、アリールヘテロアリールアミノ(ただし該アリールは炭素数6~10のアリール、該ヘテロアリールは炭素数1~10のヘテロアリール)、ジアリールボリル(ただし各アリールは炭素数6~10のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、炭素数6~10のアリールオキシ、炭素数1~10のヘテロアリールオキシ、炭素数6~10のアリールチオ、炭素数1~10のヘテロアリールチオ、炭素数6~10のアリールスルホニル、炭素数1~10のヘテロアリールスルホニル、ジアリールホスフィン(ただし各アリールは炭素数6~10のアリール)、ジヘテロアリールホスフィン(ただし各ヘテロアリールは炭素数1~10のヘテロアリール)、ジアリールホスフィンオキシド(ただし各アリールは炭素数6~10のアリール)、ジヘテロアリールホスフィンオキシド(ただし各ヘテロアリールは炭素数1~10のヘテロアリール)、ジアリールホスフィンスルフィド(ただし各アリールは炭素数6~10のアリール)、ジヘテロアリールホスフィンスルフィド(ただし各ヘテロアリールは炭素数1~10のヘテロアリール)またはトリ置換シリル(置換基は炭素数1~6のアルキルおよび/または炭素数3~14のシクロアルキル)で置換されていてもよく、これらの置換基における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数6~10のアリール、炭素数1~10のヘテロアリール、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルで置換されていてもよく、
Rは、炭素数6~20のアリール、炭素数1~20のヘテロアリール、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキルまたはハロゲンであり、これらの基における少なくとも1つの水素は、炭素数6~20のアリール、炭素数1~20のヘテロアリール、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、ハロゲン、ジアリールアミノ(ただし各アリールは炭素数6~10のアリール)またはジアリールボリル(ただし各アリールは炭素数6~10のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)で置換されていてもよく、
上記各式で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、
多量体の場合には、前記構造を2個または3個有する2量体または3量体である、
項1に記載する多環芳香族化合物およびその多量体。
項4.
上記式(1)~式(3)中、
a環、b環およびc環は、それぞれ独立して、ベンゼン環、ナフタレン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピリジン環、インドール環、キノリン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環またはベンゾチオフェン環が縮合して縮合環を形成していてもよく、
a環、b環、c環および形成された前記縮合環における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数6~12のアリール、炭素数1~10のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただし各アリールは炭素数6~10のアリール)、ジアリールボリル(ただし各アリールは炭素数6~10のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1~5のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数6~10のアリールオキシ、炭素数6~10のアリールチオまたはトリ置換シリル(置換基は炭素数1~5のアルキルおよび/または炭素数5~10のシクロアルキル)で置換されていてもよく、これらの置換基における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数6~10のアリール、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルで置換されていてもよく、
Rは、炭素数6~12のアリール、炭素数1~10のヘテロアリール、炭素数1~5のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキルまたはハロゲンであり、これらの基における少なくとも1つの水素は、炭素数6~12のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルで置換されていてもよく、
上記各式で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、
多量体の場合には、前記構造を2個有する2量体である、
項1に記載する多環芳香族化合物およびその多量体。
項5.
下記いずれかの式で表される、項1に記載の多環芳香族化合物またはその多量体。
Figure 0007269602000002
Figure 0007269602000003
Figure 0007269602000004
(上記各式中の「Ph」はフェニル基であり、「F」はフッ素である。)
項6.
項1~5のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体を含有する、有機デバイス用材料。
項7.
有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、項6に記載する有機デバイス用材料。
項8.
前記有機電界発光素子用材料が発光層用材料である、項7に記載する有機デバイス用材料。
項9.
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、項8に記載する発光層用材料を含有する発光層とを有する、有機電界発光素子。
項10.
前記発光層はさらに下記一般式(diCz)で表される化合物および/または下記一般式(An)で表される化合物を含有する、項9に記載の有機電界発光素子。
Figure 0007269602000005
(上記一般式(diCz)中、Lは炭素数6~30のアリーレンまたは炭素数2~30のヘテロアリーレンであり、
上記一般式(An)中、LおよびLは、それぞれ独立して、炭素数6~30のアリールまたは炭素数2~30のヘテロアリールであり、
上記各式で表される化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
項11.
前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項9または10に記載する有機電界発光素子。
項12.
前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項11に記載の有機電界発光素子。
項13.
項9~12のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置。
項14.
ホウ素のハロゲン化物、ホウ素のアミノ化ハロゲン化物、ホウ素のアルコキシ化物およびホウ素のアリールオキシ化物からなる群から選択される試薬と、R基導入試薬と、場合によりブレンステッド塩基とを用いて、下記中間体におけるa環とb環とc環とを前記ホウ素により結合する反応工程を含む、下記一般式(1)~式(3)のいずれかで表される多環芳香族化合物またはその多量体を製造する方法。
Figure 0007269602000006
(上記式(中間体)および上記式(1)~式(3)中、
a環、b環およびc環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環が縮合して縮合環を形成していてもよく、
a環、b環、c環および形成された前記縮合環における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ジアリールホスフィン、ジヘテロアリールホスフィン、ジアリールホスフィンオキシド、ジヘテロアリールホスフィンオキシド、ジアリールホスフィンスルフィド、ジヘテロアリールホスフィンスルフィドまたは置換シリル(置換基はアルキルおよび/またはシクロアルキル)で置換されていてもよく、これらの置換基における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
Rは、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルまたはハロゲンであり、これらの基における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン、ジアリールアミノまたはジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)で置換されていてもよく、
上記各式で表される中間体、化合物または構造における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
本発明の好ましい態様によれば、従来具体的には知られていなかった、一般式(1)~式(3)のいずれかで表される多環芳香族化合物により、発光特性などの有機EL特性を更に高めたり、発光層用材料などの有機EL材料の選択肢を増やすことができる。この発光特性としては、具体的には発光スペクトルの半値幅等が挙げられる。
本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。 化合物(1-101)の希薄溶液での吸収・蛍光スペクトルである。 化合物(1-102)の希薄溶液での吸収・蛍光スペクトルである。 比較化合物1の分散膜での吸収・蛍光スペクトルである。
1.一般式(1)~式(3)で表される多環芳香族化合物およびその多量体
本発明は、下記一般式(1)~式(3)のいずれかで表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1)~式(3)のいずれかで表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。なお、後述する全ての構造式における各符号(a、b、cおよびRなど)の定義は、上述した定義と同じである。
Figure 0007269602000007
上記式(1)におけるa環はベンゼン環、b環はナフタレン環、c環はベンゼン環であり、上記式(2)におけるa環はベンゼン環、b環およびc環はナフタレン環であり、上記式(3)におけるa環はベンゼン環、b環およびc環はベンゼン環である。a環、b環およびc環は、a環におけるN(窒素)に結合するB(4配位ホウ素)により連結している。
<a環、b環およびc環から形成される縮合環>
式(1)~式(3)におけるa環、b環およびc環は、それぞれ独立して、「アリール環」または「ヘテロアリール環」が縮合して「縮合環」を形成していてもよい。
縮合する「アリール環」としては、例えば、炭素数6~30のアリール環があげられ、炭素数6~20のアリール環が好ましく、炭素数6~16のアリール環がより好ましく、炭素数6~12のアリール環がさらに好ましく、炭素数6~10のアリール環が特に好ましい。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、三環系であるテルフェニル環(m-テルフェニル、o-テルフェニル、p-テルフェニル)、縮合三環系であるアセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などがあげられる。
縮合する「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数1~30のヘテロアリール環があげられ、炭素数1~25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数1~20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数1~16のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数1~12のヘテロアリール環が特に好ましく、炭素数1~10のヘテロアリール環が最も好ましい。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ナフトベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトベンゾチオフェン環、ベンゾホスホール環、ジベンゾホスホール環、ベンゾホスホールオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、フラザン環、オキサジアゾール環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環およびベンゾベンゾインドロカルバゾール環などがあげられる。
形成された「縮合環」は、上記a環、b環またはc環(すなわちベンゼン環やナフタレン環)に上記「アリール環」または「ヘテロアリール環」が縮合しており、例えばベンゼン環に対してベンゼン環、インダン環(ジメチル置換体などを含む)、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環などが縮合して形成された「縮合環」は、それぞれナフタレン環、フルオレン環(ジメチル置換体などを含む)、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環である。その他に形成される縮合環としては、例えば、インデン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾジオキソチオフェン環、ベンゾセレノフェン環、ベンゾシロール環およびベンゾゲルモール環などがあげられる。
式(1)の化合物において、例えばc環(ベンゼン環)にベンゼン環が縮合する場合は、下記式(1-100)、式(1-200)または式(1-300)で表される。各式中、形成された縮合環はc’と表記されている。なお、無縮合の化合物は下記式(1-000)で表される。同様にして、c環にはベンゼン環以外の上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」が縮合してもよく、さらに、c環以外のa環やb環にもこれらが縮合してもよい。
Figure 0007269602000008
式(2)の化合物において、例えばc環(ナフタレン環)にベンゼン環が縮合する場合は、下記式(2-100)、式(2-200)、式(2-300)または式(2-400)で表される。各式中、形成された縮合環はc’と表記されている。なお、無縮合の化合物は下記式(2-000)で表される。同様にして、c環にはベンゼン環以外の上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」が縮合してもよく、さらに、c環以外のa環やb環にもこれらが縮合してもよい。
Figure 0007269602000009
式(3)の化合物において、例えばb環およびc環(ベンゼン環)にベンゼン環が縮合する場合は、下記式(3-100)、式(3-200)または式(3-300)で表される。各式中、形成された縮合環はb’およびc’と表記されている。その他にb環およびc環への縮合位置が非対称の構造式もある。なお、無縮合の化合物は下記式(3-000)で表される。同様にして、b環およびc環にはベンゼン環以外の上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」が縮合してもよく、さらに、b環およびc環以外のa環にもこれらが縮合してもよい。
Figure 0007269602000010
<a環、b環およびc環ならびに縮合環への置換基>
上記a環、b環、c環および形成された縮合環(a’環、b’環およびc’環)における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ジアリールホスフィン、ジヘテロアリールホスフィン、ジアリールホスフィンオキシド、ジヘテロアリールホスフィンオキシド、ジアリールホスフィンスルフィド、ジヘテロアリールホスフィンスルフィドまたは置換シリル(シリルの置換基はアルキルおよび/またはシクロアルキル)(以上、第1置換基)で置換されていてもよく、これらの置換基における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。
第1置換基の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールがあげられ、炭素数6~20のアリールが好ましく、炭素数6~16のアリールがより好ましく、炭素数6~12のアリールがさらに好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。
具体的なアリールとしては、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル、縮合二環系であるナフチル、三環系であるテルフェニリル(m-テルフェニリル、o-テルフェニリル、p-テルフェニリル)、縮合三環系であるアセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、縮合四環系であるトリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、縮合五環系であるペリレニル、ペンタセニルなどがあげられる。
第1置換基の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数1~30のヘテロアリールがあげられ、炭素数1~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数1~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数1~16のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数1~12のヘテロアリールが特に好ましく、炭素数1~10のヘテロアリールが最も好ましい。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェナザシリニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、ベンゾホスホーリル、ジベンゾホスホーリル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、フラザニル、オキサジアゾリル、チアントレニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリルおよびベンゾベンゾインドロカルバゾリルなどがあげられる。
第1置換基の「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」および「アリールヘテロアリールアミノ」における「アリール」および「ヘテロアリール」については、上述した第1置換基としての「アリール」および「ヘテロアリール」の説明を引用することができる。
第1置換基の「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルがあげられる。炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1~5のアルキル(炭素数3~5の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。
具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル(t-アミル)、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル(1,1,3,3-テトラメチルブチル)、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどがあげられる。
また、例えば、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1-エチル-1-メチルブチル、1,1,4-トリメチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルオクチル、1,1-ジメチルペンチル、1,1-ジメチルヘプチル、1,1,5-トリメチルヘキシル、1-エチル-1-メチルヘキシル、1-エチル-1,3-ジメチルブチル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、1-ブチル-1-メチルペンチル、1,1-ジエチルブチル、1-エチル-1-メチルペンチル、1,1,3-トリメチルブチル、1-プロピル-1-メチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1,2,2-トリメチルプロピル、1-プロピル-1-メチルブチル、1,1-ジメチルヘキシルなどもあげられる。
第1置換基の「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~24のシクロアルキルがあげられ、その他、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数3~12のシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数6~10のシクロアルキル、炭素数5~8のシクロアルキル、炭素数6~8のシクロアルキル、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどがあげられる。
具体的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1~5のアルキル(特にメチル)置換体や、ノルボルネニル、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
第1置換基の「アルコキシ」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルコキシまたは炭素数3~24の分岐鎖アルコキシがあげられる。炭素数1~18のアルコキシ(炭素数3~18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1~12のアルコキシ(炭素数3~12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1~6のアルコキシ(炭素数3~6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1~5のアルコキシ(炭素数3~5の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、t-アミルオキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、t-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、1-メチルペンチルオキシ、4-メチル-2-ペンチルオキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2-エチルブトキシ、n-ヘプチルオキシ、1-メチルヘキシルオキシ、n-オクチルオキシ、t-オクチルオキシ、1-メチルヘプチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、2-プロピルペンチルオキシ、n-ノニルオキシ、2,2-ジメチルヘプチルオキシ、2,6-ジメチル-4-ヘプチルオキシ、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ、n-デシルオキシ、n-ウンデシルオキシ、1-メチルデシルオキシ、n-ドデシルオキシ、n-トリデシルオキシ、1-ヘキシルヘプチルオキシ、n-テトラデシルオキシ、n-ペンタデシルオキシ、n-ヘキサデシルオキシ、n-ヘプタデシルオキシ、n-オクタデシルオキシ、n-エイコシルオキシなどがあげられる。
第1置換基の「アリールオキシ」、「ヘテロアリールオキシ」、「アリールチオ」、「ヘテロアリールチオ」、「アリールスルホニル」、「ヘテロアリールスルホニル」、「ジアリールホスフィン」、「ジヘテロアリールホスフィン」、「ジアリールホスフィンオキシド」、「ジヘテロアリールホスフィンオキシド」、「ジアリールホスフィンスルフィド」および「ジヘテロアリールホスフィンスルフィド」における「アリール」および「ヘテロアリール」については、上述した第1置換基としての「アリール」および「ヘテロアリール」の説明を引用することができる。
第1置換基の「置換シリル(置換基はアルキルおよび/またはシクロアルキル)」(好ましくはトリ置換シリル(置換基はアルキルおよび/またはシクロアルキル))における「アルキル」および「シクロアルキル」については、上述した第1置換基としての「アルキル」および「シクロアルキル」の説明を引用することができる。
第1の置換基の「ジアリールボリル」中の「アリール」としては、上述したアリールの説明を引用できる。また、この2つのアリールは単結合または連結基(例えば>C(-R)、>O、>Sまたは>N-R)を介して結合していてもよい。ここで、>C(-R)および>N-RのRは、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、当該第1置換基にはさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)が置換していてもよく、これらの基の具体例としては、上述した第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの説明を引用できる。
具体的には、第1置換基の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性により発光波長を調整することができ、好ましくは以下の構造式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、フェニル、o-トリル、p-トリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジフェニルアミノ、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6-ジメチルカルバゾリル、3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、フェニル、o-トリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジフェニルアミノ、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6-ジメチルカルバゾリルおよび3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルである。合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、o-トリル、p-トリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、3,6-ジメチルカルバゾリルおよび3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt-ブチル、「tAm」はt-アミル、「tOct」はt-オクチルを表す。
Figure 0007269602000011
Figure 0007269602000012
Figure 0007269602000013
Figure 0007269602000014
Figure 0007269602000015
第2置換基の「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」については、それぞれ、上述した第1置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」の説明を引用することができる。
<式(1)~式(3)におけるR>
式(1)~式(3)におけるRは、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルまたはハロゲンであり、これらの基における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン、ジアリールアミノまたはジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)で置換されていてもよい。
これらの「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」、「シクロアルキル」、「ジアリールアミノ」および「ジアリールボリル」については、それぞれ、上述したa環、b環およびc環ならびに縮合環への第1置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」、「シクロアルキル」、「ジアリールアミノ」および「ジアリールボリル」の説明を引用することができる。
また、「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素であり、フッ素、塩素または臭素が好ましく、フッ素または塩素がより好ましい。
具体的なRとしては、以下に例示する構造の基であり、これらの中でも、フェニル基、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が好ましく、フェニル基およびフッ素がより好ましい。なお、構造式中のRは、アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、炭素数1~12のアルキル、炭素数3~16のシクロアルキルまたは炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキルまたは炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数1~5のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキルまたは炭素数6~10のアリールがさらに好ましい。これらのアルキル、シクロアルキルおよびアリールの具体例は上述したa環、b環およびc環ならびに縮合環への第1置換基としての「アルキル」、「シクロアルキル」および「アリール」の説明を引用することができる。
Figure 0007269602000016
Figure 0007269602000017
Figure 0007269602000018
<多環芳香族化合物の多量体>
また、本発明には、一般式(1)~式(3)のいずれかで表される構造(単位構造)を複数有する多環芳香族化合物の多量体も含まれる。多量体は、2~6量体が好ましく、2~3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、1つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、例えば、上記単位構造が単結合、炭素数1~3のアルキレン、炭素数6~12のアリーレン(例えばフェニレン、ビフェニレン、ナフチレン)などの連結基で複数結合した形態(連結型多量体)に加えて、上記単位構造に含まれる任意の環(a環、b環またはc環)を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態(環共有型多量体)であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環(a環、b環またはc環)同士が縮合するようにして結合した形態(環縮合型多量体)であってもよいが、環共有型多量体および環縮合型多量体が好ましく、環共有型多量体がより好ましい。
例えば、単位構造に含まれるa環を2つの単位構造で共有するようにして結合した形態(環共有型多量体)は、下記構造式で表される。なお、この2量化によりa環はピリジン環からジアジン環になるためa’環と表記している。
Figure 0007269602000019
上記式(1-di1)および式(1-di2)は、一般式(1)におけるa環を共有するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。結合の仕方によって「di1」と「di2」とに分類されている。上記式(2-di1)は、一般式(2)におけるa環を共有するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。上記式(3-di1)は、一般式(3)におけるa環を共有するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。同様にして、b環またはc環を共有するようにして2つの単位構造が結合した2量体であってもよい。また、例えば、上記式(1-di1)の構造におけるb環またはc環を共有するようにしてさらに3つ目の単位構造が結合した3量体や、それ以上の単位構造数からなる多量体であってもよい。
例えば、単位構造に含まれるa環同士が縮合するようにして結合した形態(環縮合型多量体)は、下記構造式で表される。
Figure 0007269602000020
上記式(1-di3)および式(1-di4)は、一般式(1)におけるa環同士が縮合するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。結合の仕方によって「di3」と「di4」とに分類されている。上記式(2-di3)は、一般式(2)におけるa環同士が縮合するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。上記式(3-di3)は、一般式(3)におけるa環同士が縮合するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。a環における縮合位置は上記構造で示したのとは別の位置でもよい。同様にして、b環またはc環同士が縮合するようにして2つの単位構造が結合した2量体であってもよい。また、a環とb環、a環とc環、b環とc環同士が縮合するようにして結合してもよい。また、例えば、上記式(1-di3)の構造におけるb環またはc環にさらに3つ目の単位構造が縮合した3量体や、それ以上の単位構造数からなる多量体であってもよい。
また、単位構造に含まれる特定の環を共有するようにして結合する形態(環共有型多量体)と、単位構造に含まれる特定の環同士が縮合するようにして結合する形態(環縮合型多量体)の両方が1つの多量体の中に含まれていてもよい。
また、上述した多量体の構造におけるa環、b環およびc環は、上述したように、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環が縮合して「縮合環」を形成していてもよい。この一例が、下記構造式で表される。なお、この構造式においても2量化によりa環はピリジン環からジアジン環になるためa’環と表記している。
Figure 0007269602000021
Figure 0007269602000022
Figure 0007269602000023
上記式(1-di1-000)および式(1-di2-000)は、上記式(1-000)の単位構造(c環が無縮合)におけるa環を共有するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。結合の仕方によって「di1」と「di2」とに分類されている。これに対して、上記式(1-di1-100)および式(1-di2-100)は、上記式(1-100)の単位構造(c環にベンゼン環が縮合してナフタレン環c’が形成)におけるa環を共有するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。
上記式(2-di1-000)は、上記式(2-000)の単位構造(b環およびc環が無縮合)におけるa環を共有するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。これに対して、上記式(2-di1-200)および式(2-di2-200)は、上記式(2-200)の単位構造(c環にベンゼン環が縮合してフェナントレン環c’が形成)におけるa環を共有するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。結合の仕方によって「di1」と「di2」とに分類されている。
上記式(3-di1-000)は、上記式(3-000)の単位構造(b環およびc環が無縮合)におけるa環を共有するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。これに対して、上記式(3-di1-200)は、上記式(3-200)の単位構造(b環およびc環にベンゼン環が縮合してナフタレン環b’およびc’が形成)におけるa環を共有するようにして2つの単位構造が結合した2量体である。
例えば、単位構造に含まれるa環を3つの単位構造で共有するようにして結合した形態(環共有型多量体)は、下記構造式で表される。なお、この3量化によりa環はピリジン環からトリアジン環になるためa’環と表記している。
Figure 0007269602000024
上記式(1-tri1)は、一般式(1)におけるa環を共有するようにして3つの単位構造が結合した3量体である。一般式(1)の単位構造におけるb環はナフタレン環であり、c環はベンゼン環であるところ、式(1-tri1)の3量体は単位構造を3つ繰り返した構造であるため、c環がナフタレン環c’になって繰り返されている。例えばb環であるナフタレン環にベンゼン環が縮合して縮合環b’(アントラセン環やフェナントレン環など)を形成した場合には、c環は同様にアントラセン環c’やフェナントレン環c’などになる。b環から形成される縮合環b’は上述した種々の縮合環であってもよい。また、c’環はベンゼン環であるc環にベンゼン環が縮合して形成された「縮合環」(ナフタレン環)であるが、ここで形成される縮合環c’はナフタレン環に限られずに上述した種々の縮合環であってもよい。
上記式(2-tri1)は、一般式(2)におけるa環を共有するようにして3つの単位構造が結合した3量体である。一般式(2)の単位構造におけるb環およびc環はナフタレン環であるところ、式(2-tri1)の3量体は単位構造を3つ繰り返した構造であるため、b環およびc環がアントラセン環b’およびc’になって繰り返されている。b’環およびc’環は、ナフタレン環であるb環およびc環にベンゼン環が縮合して形成された「縮合環」(アントラセン環)であるが、ここで形成される縮合環はアントラセン環に限られずに上述した種々の縮合環であってもよい。
上記式(3-tri1)は、一般式(3)におけるa環を共有するようにして3つの単位構造が結合した3量体である。b環およびc環はアリール環やヘテロアリール環が縮合して縮合環b’およびc’を形成してもよく、ここで形成される縮合環は上述した種々の縮合環であってもよい。
<多環芳香族化合物およびその多量体へのシアノ、ハロゲンまたは重水素の置換>
また、一般式(1)~式(3)のいずれかで表される多環芳香族化合物およびその多量体における水素は、その全てまたは一部がシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素または塩素である。
本発明の多環芳香族化合物およびその多量体の具体例としては、例えば、下記構造式で表される化合物があげられる。なお、下記構造式中の「Ph」はフェニル基、「R」は、上述する定義と同じである。
Figure 0007269602000025
Figure 0007269602000026
Figure 0007269602000027
Figure 0007269602000028
Figure 0007269602000029
Figure 0007269602000030
Figure 0007269602000031
2.多環芳香族化合物およびその多量体の製造方法
一般式(1)~式(3)のいずれかで表される多環芳香族化合物は、基本的には、まずa環(ピリジン環)にb環およびc環を結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、中心ホウ素導入試薬と、R基導入試薬と、場合によりブレンステッド塩基とを用いて、当該中間体におけるa環とb環とc環とを前記中心ホウ素により結合することで最終生成物を製造することができる(第2反応)。第2反応においては反応を促進させるために三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えてもよい。なお、下記各式中、各符号の定義は、上述する定義と同じである。
Figure 0007269602000032
Figure 0007269602000033
Figure 0007269602000034
また、一般式(1)~式(3)のいずれかで表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体は、基本的には、まずa’環(ジアジン環、ピリジン環二縮合体、トリアジン環)にb環およびc環を結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、中心ホウ素導入試薬と、R基導入試薬と、場合によりブレンステッド塩基とを用いて、当該中間体におけるa’環とb環とc環とを前記中心ホウ素により結合することで最終生成物を製造することができる(第2反応)。使用する中心ホウ素導入試薬およびR基導入試薬の量は、多量体中の単位構造の数に応じて2倍量、3倍量などとする。第2反応においては反応を促進させるために三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えてもよい。なお、下記各式中、各符号の定義は、上述する定義と同じである。
Figure 0007269602000035
Figure 0007269602000036
Figure 0007269602000037
Figure 0007269602000038
Figure 0007269602000039
Figure 0007269602000040
Figure 0007269602000041
Figure 0007269602000042
Figure 0007269602000043
Figure 0007269602000044
Figure 0007269602000045
以上の反応で用いられる中心ホウ素導入試薬としては、ホウ素の三フッ化物、三塩化物、三臭化物、三ヨウ化物などのホウ素のハロゲン化物、ホウ素のアミノ化ハロゲン化物、ホウ素のアルコキシ化物およびホウ素のアリールオキシ化物などがあげられる。具体的には、三臭素化ホウ素、三ヨウ化ホウ素などがあげられる。
以上の反応で用いられるR基導入試薬としては、Rのグリニャール試薬などのRの有機金属試薬、ハロゲン化銀などの金属ハロゲン化物、およびテトラアルキルアンモニウム塩などをあげることができる。また、これらの中でも化合物中に2つ以上のRを有する試薬は、R同士が結合していてもよい。具体的には、Rのリチウム試薬、Rのグリニャール試薬、Rの亜鉛試薬、Rの銅試薬、Rのスズ試薬、Rのケイ素試薬、フッ化銀,フッ化セシウム,フッ化カリウム,テトラブチルアンモニウムフルオリド,テトラブチルアンモニウムクロリド,テトラブチルアンモニウムブロミドなどがあげられる。
以上の反応で用いられる溶媒としては、o-ジクロロベンゼン、t-ブチルベンゼン、キシレンなどがあげられる。
以上の反応で用いられるブレンステッド塩基としては、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルトルイジン、2,6-ルチジン、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸カリウム、トリフェニルボラン、テトラフェニルシラン、ArBNa、ArBK、ArB、ArSi(なお、Arはフェニルなどのアリール)などがあげられる。
以上の反応で用いられるルイス酸としては、AlCl、AlBr、AlF、BF・OEt、BCl、BBr、GaCl、GaBr、InCl、InBr、In(OTf)、SnCl、SnBr、AgOTf、ScCl、Sc(OTf)、ZnCl、ZnBr、Zn(OTf)、MgCl、MgBr、Mg(OTf)、LiOTf、NaOTf、KOTf、MeSiOTf、Cu(OTf)、CuCl、YCl、Y(OTf)、TiCl、TiBr、ZrCl、ZrBr、FeCl、FeBr、CoCl、CoBrなどがあげられる。
以上の反応では、反応促進のためにブレンステッド塩基またはルイス酸を使用してもよい。ただし、ホウ素の三フッ化物、三塩化物、三臭化物、三ヨウ化物などのホウ素のハロゲン化物を用いた場合は、芳香族求電子置換反応の進行とともに、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素といった酸が生成するため、酸を捕捉するブレンステッド塩基の使用が効果的である。一方、ホウ素のアミノ化ハロゲン化物、ホウ素のアルコキシ化物を用いた場合は、芳香族求電子置換反応の進行とともに、アミン、アルコールが生成するために、多くの場合、ブレンステッド塩基を使用する必要はないが、アミノ基やアルコキシ基の脱離能が低いために、その脱離を促進するルイス酸の使用が効果的である。
3.有機デバイス
本発明に係る多環芳香族化合物は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などが挙げられる。
3-1.有機電界発光素子
本発明に係る多環芳香族化合物は、例えば、有機電界発光素子の材料として用いることができる。以下に、本実施形態に係る有機EL素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
<有機電界発光素子の構造>
図1に示された有機電界発光素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機電界発光素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機電界発光素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機電界発光素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物が挙げられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどが挙げられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3-メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが挙げられる。その他、有機電界発光素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100~5Ω/□、好ましくは50~5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50~300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機電界発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意の化合物を選択して用いることができる。
それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N-アリールカルバゾール)またはビス(N-アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖または側鎖に持つポリマー、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチル-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン、N,N’-ジナフチル-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン、N,N4’-ジフェニル-N,N4’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、N,N,N4’,N4’-テトラ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)または特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。本発明では、発光層用の材料として、上記一般式(1)~式(3)のいずれかで表される多環芳香族化合物およびその多量体を用いることができる。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着したり、有機溶媒と共にホスト材料と予め混合してから湿式成膜法により製膜したりしてもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50~99.999重量%であり、より好ましくは80~99.95重量%であり、さらに好ましくは90~99.9重量%である。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001~50重量%であり、より好ましくは0.05~20重量%であり、さらに好ましくは0.1~10重量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
一方、熱活性化遅延蛍光ドーパント材料を用いた有機電界発光素子においては、ドーパント材料の使用量は低濃度である方が濃度消光現象を防止できるという点で好ましいが、ドーパント材料の使用量が高濃度である方が熱活性化遅延蛍光機構の効率の点からは好ましい。さらには、熱活性化遅延蛍光アシストドーパント材料を用いた有機電界発光素子においては、アシストドーパント材料の熱活性化遅延蛍光機構の効率の点からは、アシストドーパント材料の使用量に比べてドーパント材料の使用量が低濃度である方が好ましい。
アシストドーパント材料が使用される場合における、ホスト材料、アシストドーパント材料およびドーパント材料の使用量の目安は、それぞれ、発光層用材料全体の40~99.999重量%、59~1重量%および20~0.001重量%であり、好ましくは、それぞれ、60~99.99重量%、39~5重量%および10~0.01重量%であり、より好ましくは、70~99.95重量%、29~10重量%および5~0.05重量%である。本発明に係る多環芳香族化合物およびその多量体はアシストドーパント材料としても使用することもできる。
ホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。
ホスト材料のT1エネルギーは、発光層内でのTADFの発生を阻害せず促進させる観点から、発光層内において最も高いT1エネルギーを有するドーパントまたはアシストドーパントのT1エネルギーに比べて高い方が好ましく、具体的には、ホストのT1エネルギーは、0.01eV以上が好ましく、0.03eV以上がより好ましく、0.1eV以上がさらに好ましい。また、ホスト材料にTADF活性な化合物を用いてもよい。
ホスト材料としては、例えば、下記一般式(diCz)で表される化合物および下記一般式(An)で表される化合物が挙げられる。好ましくは一般式(diCz)で表される化合物である。
Figure 0007269602000046
上記式(diCz)中、Lは炭素数6~30のアリーレンまたは炭素数2~30のヘテロアリーレンであり、炭素数6~24のアリーレンが好ましく、炭素数6~16のアリーレンがより好ましく、炭素数6~12のアリーレンがさらに好ましく、炭素数6~10のアリーレンが特に好ましく、また、炭素数2~25のヘテロアリーレンが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリーレンがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリーレンがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリーレンが特に好ましい。アリーレンとして具体的には、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、テルフェニル環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、ペリレン環およびペンタセン環などの二価の基が挙げられる。また、ヘテロアリーレンとして具体的には、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ナフトベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトベンゾチオフェン環、ベンゾホスホール環、ジベンゾホスホール環、ベンゾホスホールオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、フラザン環、オキサジアゾール環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環およびベンゾベンゾインドロカルバゾール環などの二価の基が挙げられる。
上記式(An)中、LおよびLは、それぞれ独立して、炭素数6~30のアリールまたは炭素数2~30のヘテロアリールである。アリールとしては、炭素数6~24のアリールが好ましく、炭素数6~16のアリールがより好ましく、炭素数6~12のアリールがさらに好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましく、具体的には、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、テルフェニル環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、ペリレン環およびペンタセン環などの一価の基が挙げられる。ヘテロアリールとしては、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましく、具体的には、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ナフトベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトベンゾチオフェン環、ベンゾホスホール環、ジベンゾホスホール環、ベンゾホスホールオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、フラザン環、オキサジアゾール環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環およびベンゾベンゾインドロカルバゾール環などの一価の基が挙げられる。
式(diCz)または式(An)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
上記式(An)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000047
また、ホスト材料としては、例えば、下記一般式(BO2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000048
(上記式(BO2)において、
~R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールへテロアリールアミノ、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第1置換基)であり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよく、
~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第1置換基)で置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよく、
式(BO2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、ハロゲンまたは重水素で置換されてもよい。
好ましくは、上記式(BO2)において、
~R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~12のアリール)、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~12のアリール)、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルで置換されていてもよく、
~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9~16のアリール環または炭素数6~15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~12のアリール)、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~12のアリール)、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルで置換されていてもよい。
さらに好ましくは、上記式(BO2)において、
~R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6~16のアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6~16のアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルで置換されていてもよく、
~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9~12のアリール環または炭素数6~12のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6~16のアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6~16のアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルで置換されていてもよい。
上記第1置換基および第2置換基において、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールへテロアリールアミノにおける「アリール」や「ヘテロアリール」としては、以下の例が挙げられる。
具体的な「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールが挙げられ、炭素数6~24のアリールが好ましく、炭素数6~20のアリールがより好ましく、炭素数6~16のアリールがさらに好ましく、炭素数6~12のアリールが特に好ましく、炭素数6~10のアリールが最も好ましい。例えば、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールであるアセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどが挙げられる。
具体的な「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾ[b]チオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、ベンゾホスホーリル、ジベンゾホスホーリル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニル、フェナザシリニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリルおよびベンゾベンゾインドロカルバゾリルなどが挙げられる。
上記第1置換基および第2置換基において、「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルが挙げられ、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1~5のアルキル(炭素数3~5の分岐鎖アルキル)が特に好ましく、メチルが最も好ましい。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル(t-アミル)、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル(1,1,3,3-テトラメチルブチル)、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどが挙げられる。また、例えば、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1-エチル-1-メチルブチル、1,1,4-トリメチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルオクチル、1,1-ジメチルペンチル、1,1-ジメチルヘプチル、1,1,5-トリメチルヘキシル、1-エチル-1-メチルヘキシル、1-エチル-1,3-ジメチルブチル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、1-ブチル-1-メチルペンチル、1,1-ジエチルブチル、1-エチル-1-メチルペンチル、1,1,3-トリメチルブチル、1-プロピル-1-メチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1,2,2-トリメチルプロピル、1-プロピル-1-メチルブチル、1,1-ジメチルヘキシルなどもあげられる。
上記第1置換基および第2置換基において、「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~24のシクロアルキルがあげられ、その他、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数3~12のシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数6~10のシクロアルキル、炭素数5~8のシクロアルキル、炭素数6~8のシクロアルキル、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどがあげられる。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1~5のアルキル(特にメチル)置換体や、ノルボルネニル、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどが挙げられる。
第1置換基がアリールの場合の置換位置は、R、R、R、R、R10およびR11が好ましく、例えば、RおよびRへの置換、RおよびR10への置換、RおよびR11への置換がより好ましく、アリールはフェニル基が好ましい。
第1置換基がヘテロアリールの場合の置換位置は、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が好ましく、例えば、Rへの置換、Rへの置換、Rへの置換、RおよびRへの置換、RおよびR11への置換、RおよびR10への置換、RおよびRへの置換がより好ましく、ヘテロアリールはカルバゾリル基が好ましい。このヘテロアリール(例えばカルバゾリル)はフェニレン基を介して上記位置へ置換していてもよい。
式(BO2)で表される化合物の具体的な例としては、例えば、下記構造式で表される化合物が挙げられる。なお、式中の「Me」はメチル基である。
Figure 0007269602000049
式(BO2)で表される化合物は、まずa~c環を結合基(-O-)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、a~c環をB(ホウ素)で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。第1反応では、例えば求核置換反応やウルマン反応といった一般的エーテル化反応が利用できる。また、第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応)が利用できる。第1および第2反応の詳細は、国際公開第2015/102118号公報に記載された説明を参考にすることができる。
また、ホスト材料に関して、別の例としては、例えば、Advanced Materials,2017,29,1605444、Journal of Material Chemistry C,2016,4,11355-11381、Chemical Science, 2016, 7, 3355-3363、Thin Solid Films, 2016, 619, 120-124などに記載のホスト材料を用いることができる。また、TADF有機EL素子は発光層のホスト材料に高いT1エネルギーを必要とするために、Chemistry Society Reviews,2011,40,2943-2970に記載のリン光有機EL素子向けのホスト材料もTADF有機EL素子用のホスト材料として用いることができる。
より具体的には、ホスト化合物は、下記式で表される部分構造(H-A)群から選択される少なくとも1つの構造を有する化合物であって、部分構造(H-A)群中の各構造における少なくとも1つの水素原子は、部分構造(H-A)群または部分構造(H-B)群中のいずれかの構造で置換されていてもよく、これらの構造における少なくとも1つの水素は、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1~4のアルキル(例えばメチルやt-ブチル)、炭素数5~10のシクロアルキル(例えばシクロヘキシルやアダマンチル)、トリメチルシリルまたはフェニルで置換されていてもよい。
Figure 0007269602000050
Figure 0007269602000051
ホスト化合物としては、好ましくは以下に列挙したいずれかの構造式で表される化合物であり、これらの中でも、より好ましくは上記部分構造(H-A)群から選択される構造を1~3つ、および、上記部分構造(H-B)群から選択される構造を1つ有する化合物であり、さらに好ましくは上記部分構造(H-A)群としてカルバゾール基を有する化合物であり、特に好ましくは下記式(H-201)、式(H-202)、式(H-203)、式(H-204)、式(H-212)、式(H-221)、式(H-222)、式(H-261)または式(H-262)で表される化合物である。なお、以下に列挙した構造式においては、少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、炭素数1~4のアルキル(例えばメチルやt-ブチル)、炭素数5~10のシクロアルキル(例えばシクロヘキシルやアダマンチル)、フェニルまたはナフチルなどで置換されていてもよい。
Figure 0007269602000052
Figure 0007269602000053
Figure 0007269602000054
Figure 0007269602000055
Figure 0007269602000056
また、以下の高分子ホスト材料を用いることもできる。
Figure 0007269602000057
式(B-6)において、MUは、それぞれ独立して、一般式(B-1)~式(B-5)で表される化合物の2価の基からなる群から選択される少なくとも1つであり、MU中の2つの水素がECまたはMUと置換され、ECは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリールまたはジアリールアミノで置換されていてもよく、kは2~50000の整数である。kは100~40000の整数であることが好ましく、500~25000の整数であることがより好ましい。
ここで、一般式(B-1)~式(B-5)で表される化合物は以下の化合物である。好ましくは、一般式(B-3)~式(B-5)で表される化合物である。
Figure 0007269602000058
式(B-1)~式(B-4)において、Arは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリールまたはジアリールアミノで置換されていてもよく、Arのうちの隣接する基同士が結合して、それぞれアントラセン環、ピレン環、フルオレン環またはカルバゾール環の母骨格と共に、アリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアリールオキシで置換されていてもよい。各基の具体的な説明は、上述した一般式(1)~式(3)のいずれかで表される多環芳香族化合物における説明を引用することができる。各式中のnは1~6の整数、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~2の整数、特に好ましくは1である。
式(B-1)~式(B-4)において、「Ar」の具体例としては、例えば、以下に挙げる構造から誘導される一価の基、または、下記構造の組み合わせから誘導される一価の基が例示できる。
Figure 0007269602000059
式(B-5)において、R~R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリールまたはジアリールアミノで置換されていてもよく、
~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリールまたはジアリールアミノで置換されていてもよい。
各基の具体的な説明は、上述した一般式(1)~式(3)のいずれかで表される多環芳香族化合物における説明を引用することができる。
式(B-1)~式(B-5)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、後述する式(FG-1)で表される基、後述する式(FG-2)で表される基、または炭素数1~24のアルキル、炭素数3~24のシクロアルキル、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、さらに、前記アルキルにおける任意の-CH-は-O-または-Si(CH-で置換されていてもよく、前記アルキルにおける上記式(B-1)~式(B-5)で表される化合物に直結している-CH-を除く任意の-CH-は炭素数6~24のアリーレンで置換されていてもよく、前記アルキルまたはシクロアルキルにおける任意の水素はフッ素で置換されていてもよい。
式(B-6)中のECにおける少なくとも1つの水素は、下記一般式(FG-1)で表される基、下記一般式(FG-2)で表される基、炭素数1~24のアルキル、炭素数3~24のシクロアルキル、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、さらに、前記アルキルにおける任意の-CH-は-O-または-Si(CH-で置換されていてもよく、前記アルキルにおける式(B-6)中のECに直結している-CH-を除く任意の-CH-は炭素数6~24のアリーレンで置換されていてもよく、前記アルキルまたはシクロアルキルにおける任意の水素はフッ素で置換されていてもよい。
Figure 0007269602000060
(上記式(FG-1)において、
Rは、それぞれ独立して、フッ素、トリメチルシリル、トリフルオロメチル、炭素数1~24のアルキルまたは炭素数3~24のシクロアルキルであり、前記アルキルにおける任意の-CH-は-O-で置換されていてもよく、前記アルキルにおけるフェニルまたはフェニレンに直結している-CH-を除く任意の-CH-は炭素数6~24のアリーレンで置換されていてもよく、前記シクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は炭素数1~24のアルキルまたは炭素数6~12のアリールで置換されていてもよく、
隣接する2つのRがアルキルまたはシクロアルキルであるとき、これらは結合して環を形成していてもよく、
mはそれぞれ独立して0~4の整数であり、nは0~5の整数であり、pは1~5の整数である。)
Figure 0007269602000061
(上記式(FG-2)において、
Rは、それぞれ独立して、フッ素、トリメチルシリル、トリフルオロメチル、炭素数1~24のアルキル、炭素数3~24のシクロアルキルまたは炭素数6~12のアリールであり、前記アルキルにおける任意の-CH-は-O-で置換されていてもよく、前記アルキルにおけるフェニルまたはフェニレンに直結している-CH-を除く任意の-CH-は炭素数6~24のアリーレンで置換されていてもよく、前記シクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は炭素数1~24のアルキルまたは炭素数6~12のアリールで置換されていてもよく、前記アリールにおける少なくとも1つの水素は炭素数1~24のアルキルで置換されていてもよく、
隣接する2つのRがアルキルまたはシクロアルキルであるとき、これらは結合して環を形成していてもよく、
mは0~4の整数であり、nはそれぞれ独立して0~5の整数である。)
MUとしては、例えば、下記一般式(MU-1-1)~式(MU-1-12)、下記一般式(MU-2-1)~式(MU-2-202)、下記一般式(MU-3-1)~式(MU-3-201)、下記一般式(MU-4-1)~式(MU-4-122)および下記一般式(MU-5-1)~一般式(MU-5-12)で表される2価の基が挙げられる。また、ECとしては、例えば、下記一般式(EC-1)~式(EC-29)で表される基が挙げられる。これらにおいて、MUは*においてMUまたはECと結合し、ECは*においてMUと結合する。
さらに、式(B-6)で表される化合物は、電荷輸送の観点から、分子内に式(B-6-X1)で表される2価の基を少なくとも1つを有することが好ましく、式(B-6-X1)で表される2価の基を式(B-6)で表される化合物の分子量に対して10%以上有することがより好ましい。ここで、式(B-6-X1)で表される2価の基は*においてMUまたはECと結合する。
Figure 0007269602000062
Figure 0007269602000063
Figure 0007269602000064
Figure 0007269602000065
Figure 0007269602000066
Figure 0007269602000067
Figure 0007269602000068
式(B-6)で表される化合物は、溶解性および塗布製膜性の観点から、分子中のMU総数(n)の10~100%のMUが炭素数1~24のアルキルまたは炭素数3~24のシクロアルキルを有することが好ましく、分子中のMU総数(n)の30~100%のMUが炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)または炭素数3~20のシクロアルキルを有することがより好ましく、分子内のMU総数(n)の50~100%のMUが炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)または炭素数3~16のシクロアルキルを有することがさらに好ましい。一方、面内配向性および電荷輸送の観点からは、分子中のMU総数(n)の10~100%のMUが炭素数7~24のアルキルまたは炭素数3~24のシクロアルキルを有することが好ましく、分子中のMU総数(n)の30~100%のMUが炭素数7~24のアルキル(炭素数7~24の分岐鎖アルキル)または炭素数3~24のシクロアルキルを有することがより好ましい。
また、ドーパント材料としては、特に限定されず、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレン、ルブレンおよびクリセンなどの縮合環誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1-245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2-247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2-メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2-トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7-ジアルキルアミノクマリン誘導体、7-ピペリジノクマリン誘導体、7-ヒドロキシクマリン誘導体、7-メトキシクマリン誘導体、7-アセトキシクマリン誘導体、3-ベンゾチアゾリルクマリン誘導体、3-ベンゾイミダゾリルクマリン誘導体、3-ベンゾオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンゾアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5-チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体、デアザフラビン誘導体、フルオレン誘導体およびベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。
発色光ごとに例示すると、青~青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデン、クリセンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9-シラフルオレン、9,9’-スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などが挙げられる。
また、緑~黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などが挙げられ、さらに上記青~青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
さらに、橙~赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体など挙げられ、さらに上記青~青緑色および緑~黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それに挙げられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
上述するドーパント材料の中でも、特にスチルベン構造を有するアミン、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体またはピレン誘導体が好ましい。
スチルベン構造を有するアミンは、例えば、下記式で表される。
Figure 0007269602000069
当該式中、Arは炭素数6~30のアリールに由来するm価の基であり、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6~30のアリールであるが、Ar~Arの少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar~Arは、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、トリ置換シリル(アリール、アルキルおよび/またはシクロアルキルでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよく、そして、mは1~4の整数である。
スチルベン構造を有するアミンは、下記式で表されるジアミノスチルベンがより好ましい。
Figure 0007269602000070
当該式中、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6~30のアリールであり、ArおよびArは、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、トリ置換シリル(アリール、アルキルおよび/またはシクロアルキルでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよい。
炭素数6~30のアリールの具体例は、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニル、スチルベニル、ジスチリルフェニル、ジスチリルビフェニリル、ジスチリルフルオレニルなどが挙げられる。
スチルベン構造を有するアミンの具体例は、N,N,N’,N’-テトラ(4-ビフェニリル)-4,4’-ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’-テトラ(1-ナフチル)-4,4’-ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’-テトラ(2-ナフチル)-4,4’-ジアミノスチルベン、N,N’-ジ(2-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミノスチルベン、N,N’-ジ(9-フェナントリル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミノスチルベン、4,4’-ビス[4”-ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]-ビフェニル、1,4-ビス[4’-ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]-ベンゼン、2,7-ビス[4’-ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]-9,9-ジメチルフルオレン、4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)-ビフェニル、4,4’-ビス(9-フェニル-3-カルバゾビニレン)-ビフェニルなどが挙げられる。
また、特開2003-347056号公報、および特開2001-307884号公報などに記載されたスチルベン構造を有するアミンを用いてもよい。
ペリレン誘導体としては、例えば、3,10-ビス(2,6-ジメチルフェニル)ペリレン、3,10-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ペリレン、3,10-ジフェニルペリレン、3,4-ジフェニルペリレン、2,5,8,11-テトラ-t-ブチルペリレン、3,4,9,10-テトラフェニルペリレン、3-(1’-ピレニル)-8,11-ジ(t-ブチル)ペリレン、3-(9’-アントリル)-8,11-ジ(t-ブチル)ペリレン、3,3’-ビス(8,11-ジ(t-ブチル)ペリレニル)などが挙げられる。
また、特開平11-97178号公報、特開2000-133457号公報、特開2000-26324号公報、特開2001-267079号公報、特開2001-267078号公報、特開2001-267076号公報、特開2000-34234号公報、特開2001-267075号公報、および特開2001-217077号公報などに記載されたペリレン誘導体を用いてもよい。
ボラン誘導体としては、例えば、1,8-ジフェニル-10-(ジメシチルボリル)アントラセン、9-フェニル-10-(ジメシチルボリル)アントラセン、4-(9’-アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、4-(10’-フェニル-9’-アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、9-(ジメシチルボリル)アントラセン、9-(4’-ビフェニリル)-10-(ジメシチルボリル)アントラセン、9-(4’-(N-カルバゾリル)フェニル)-10-(ジメシチルボリル)アントラセンなどが挙げられる。
また、国際公開第2000/40586号パンフレットなどに記載されたボラン誘導体を用いてもよい。
芳香族アミン誘導体は、例えば、下記式で表される。
Figure 0007269602000071
当該式中、Arは炭素数6~30のアリールに由来するn価の基であり、ArおよびArはそれぞれ独立して炭素数6~30のアリールであり、Ar~Arは、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、トリ置換シリル(アリール、アルキルおよび/またはシクロアルキルでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよく、そして、nは1~4の整数である。
特に、Arがアントラセン、クリセン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはピレンに由来する2価の基であり、ArおよびArがそれぞれ独立して炭素数6~30のアリールであり、Ar~Arは、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、トリ置換シリル(アリール、アルキルおよび/またはシクロアルキルでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよく、そして、nは2である、芳香族アミン誘導体がより好ましい。
炭素数6~30のアリールの具体例は、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。
芳香族アミン誘導体としては、クリセン系としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラフェニルクリセン-6,12-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(p-トリル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(m-トリル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(4-イソプロピルフェニル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(ナフタレン-2-イル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(p-トリル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-エチルフェニル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-t-ブチルフェニル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ジ(p-トリル)クリセン-6,12-ジアミンなどが挙げられる。
また、ピレン系としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラフェニルピレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(p-トリル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(m-トリル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(4-イソプロピルフェニル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(3,4-ジメチルフェニル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(p-トリル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-エチルフェニル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-t-ブチルフェニル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ジ(p-トリル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(3,4-ジメチルフェニル)-3,8-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン、N,N,N,N-テトラフェニルピレン-1,8-ジアミン、N,N’-ビス(ビフェニル-4-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,8-ジアミン、N,N-ジフェニル-N,N-ビス-(4-トリメチルシラニル-フェニル)-1H,8H-ピレン-1,6-ジアミンなどが挙げられる。
また、アントラセン系としては、例えば、N,N,N,N-テトラフェニルアントラセン-9,10-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(m-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(4-イソプロピルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(m-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-エチルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-t-ブチルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ジ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、2,6-ジ-t-ブチル-N,N,N’,N’-テトラ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、2,6-ジ-t-ブチル-N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、2,6-ジ-t-ブチル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ジ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、2,6-ジシクロヘキシル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ジ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、2,6-ジシクロヘキシル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ビス(4-t-ブチルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、9,10-ビス(4-ジフェニルアミノ-フェニル)アントラセン、9,10-ビス(4-ジ(1-ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、9,10-ビス(4-ジ(2-ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、10-ジ-p-トリルアミノ-9-(4-ジ-p-トリルアミノ-1-ナフチル)アントラセン、10-ジフェニルアミノ-9-(4-ジフェニルアミノ-1-ナフチル)アントラセン、10-ジフェニルアミノ-9-(6-ジフェニルアミノ-2-ナフチル)アントラセンなどが挙げられる。
また、他には、[4-(4-ジフェニルアミノ-フェニル)ナフタレン-1-イル]-ジフェニルアミン、[6-(4-ジフェニルアミノ-フェニル)ナフタレン-2-イル]-ジフェニルアミン、4,4’-ビス[4-ジフェニルアミノナフタレン-1-イル]ビフェニル、4,4’-ビス[6-ジフェニルアミノナフタレン-2-イル]ビフェニル、4,4”-ビス[4-ジフェニルアミノナフタレン-1-イル]-p-テルフェニル、4,4”-ビス[6-ジフェニルアミノナフタレン-2-イル]-p-テルフェニルなどが挙げられる。
また、特開2006-156888号公報などに記載された芳香族アミン誘導体を用いてもよい。
クマリン誘導体としては、クマリン-6、クマリン-334などが挙げられる。
また、特開2004-43646号公報、特開2001-76876号公報、および特開平6-298758号公報などに記載されたクマリン誘導体を用いてもよい。
ピラン誘導体としては、下記のDCM、DCJTBなどが挙げられる。
Figure 0007269602000072
また、特開2005-126399号公報、特開2005-097283号公報、特開2002-234892号公報、特開2001-220577号公報、特開2001-081090号公報、および特開2001-052869号公報などに記載されたピラン誘導体を用いてもよい。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することを司る層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環もしくは複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4’-ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳族香環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などが挙げられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3-ビス[(4-t-ブチルフェニル)1,3,4-オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N-ナフチル-2,5-ジフェニル-1,3,4-トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’-ビス(ベンゾ[h]キノリン-2-イル)-9,9’-スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3-ビス(4’-(2,2’:6’2”-テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1-ナフチル)-4-(1,8-ナフチリジン-2-イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などが挙げられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体が好ましい。
<ボラン誘導体>
ボラン誘導体は、例えば下記一般式(ETM-1)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。
Figure 0007269602000073
上記式(ETM-1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R13~R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0~3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
上記一般式(ETM-1)で表される化合物の中でも、下記一般式(ETM-1-1)で表される化合物や下記一般式(ETM-1-2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007269602000074
式(ETM-1-1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R13~R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0~3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0~4の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
Figure 0007269602000075
式(ETM-1-2)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R13~R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0~3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
の具体的な例としては、下記式(X-1)~式(X-9)のいずれかで表される2価の基が挙げられる。
Figure 0007269602000076
(各式中、Rは、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基または置換されていてもよいフェニル基である。)
このボラン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000077
このボラン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリジン誘導体>
ピリジン誘導体は、例えば下記式(ETM-2)で表される化合物であり、好ましくは式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)で表される化合物である。
Figure 0007269602000078
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数である。
上記式(ETM-2-1)において、R11~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)である。
上記式(ETM-2-2)において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)であり、R11およびR12は結合して環を形成していてもよい。
各式において、「ピリジン系置換基」は、下記式(Py-1)~式(Py-15)のいずれかであり、ピリジン系置換基はそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルで置換されていてもよい。また、ピリジン系置換基はフェニレン基やナフチレン基を介して各式におけるφ、アントラセン環またはフルオレン環に結合していてもよい。
Figure 0007269602000079
ピリジン系置換基は、上記式(Py-1)~式(Py-15)のいずれかであるが、これらの中でも、下記式(Py-21)~式(Py-44)のいずれかであることが好ましい。
Figure 0007269602000080
各ピリジン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよく、また、上記式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における2つの「ピリジン系置換基」のうちの一方はアリールで置き換えられていてもよい。
11~R18における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどが挙げられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数1~4のアルキルとしては、上記アルキルの説明を引用することができる。
11~R18における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数5~10のシクロアルキルとしては、上記シクロアルキルの説明を引用することができる。
11~R18における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6~30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6~18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6~14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「炭素数6~30のアリール」としては、単環系アリールであるフェニル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどが挙げられる。
好ましい「炭素数6~30のアリール」は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルなどが挙げられ、さらに好ましくはフェニル、1-ナフチル、2-ナフチルまたはフェナントリルが挙げられ、特に好ましくはフェニル、1-ナフチルまたは2-ナフチルが挙げられる。
上記式(ETM-2-2)におけるR11およびR12は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このピリジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000081
このピリジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フルオランテン誘導体>
フルオランテン誘導体は、例えば下記一般式(ETM-3)で表される化合物であり、詳細には国際公開第2010/134352号公報に開示されている。
Figure 0007269602000082
上記式(ETM-3)中、X12~X21は水素、ハロゲン、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、直鎖、分岐もしくは環状のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールを表す。ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリールアルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
このフルオランテン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000083
<BO系誘導体>
BO系誘導体は、例えば下記式(ETM-4)で表される多環芳香族化合物、または下記式(ETM-4)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
Figure 0007269602000084
~R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、R~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよい。
また、式(ETM-4)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(ETM-4)における置換基や環形成の形態、また式(ETM-4)の構造が複数合わさってできる多量体の説明については、上記一般式(1)~式(3)のいずれかで表される多環芳香族化合物やその多量体の説明を引用することができる。
このBO系誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000085
このBO系誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<アントラセン誘導体>
アントラセン誘導体の1つは、例えば下記式(ETM-5-1)で表される化合物である。
Figure 0007269602000086
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンであり、R~Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6~20のアリールである。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンから適宜選択することができ、2つのArが異なっていても同じであってもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じであることが好ましい。Arはピリジンと結合して、「Arおよびピリジンからなる部位」を形成しており、この部位は例えば下記式(Py-1)~式(Py-12)のいずれかで表される基としてアントラセンに結合している。
Figure 0007269602000087
これらの基の中でも、上記式(Py-1)~式(Py-9)のいずれかで表される基が好ましく、上記式(Py-1)~式(Py-6)のいずれかで表される基がより好ましい。アントラセンに結合する2つの「Arおよびピリジンからなる部位」は、その構造が同じであっても異なっていてもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じ構造であることが好ましい。ただし、素子特性の観点からは、2つの「Arおよびピリジンからなる部位」の構造が同じであっても異なっていても好ましい。
~Rにおける炭素数1~6のアルキルについては直鎖および分岐鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1~6の直鎖アルキルまたは炭素数3~6の分岐鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、または2-エチルブチルなどが挙げられ、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、またはt-ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt-ブチルがより好ましい。
~Rにおける炭素数3~6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
~Rにおける炭素数6~20のアリールについては、炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。
「炭素数6~20のアリール」の具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o-,m-,p-)トリル、(2,3-,2,4-,2,5-,2,6-,3,4-,3,5-)キシリル、メシチル(2,4,6-トリメチルフェニル)、(o-,m-,p-)クメニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アントラセン-(1-,2-,9-)イル、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、テトラセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イルなどが挙げられる。
好ましい「炭素数6~20のアリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1-ナフチル、2-ナフチルまたはm-テルフェニル-5’-イルであり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1-ナフチルまたは2-ナフチルであり、最も好ましくはフェニルである。
アントラセン誘導体の1つは、例えば下記式(ETM-5-2)で表される化合物である。
Figure 0007269602000088
Arは、それぞれ独立して、単結合、2価のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、またはフェナレンである。
Arは、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリールであり、上記式(ETM-5-1)における「炭素数6~20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。
~Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6~20のアリールであり、上記式(ETM-5-1)における説明を引用することができる。
これらのアントラセン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000089
これらのアントラセン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾフルオレン誘導体>
ベンゾフルオレン誘導体は、例えば下記式(ETM-6)で表される化合物である。
Figure 0007269602000090
Arは、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリールであり、上記式(ETM-5-1)における「炭素数6~20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。
Arは、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)であり、2つのArは結合して環を形成していてもよい。
Arにおける「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシルなどが挙げられる。
Arにおける「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~6のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
Arにおける「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6~30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6~18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6~14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「炭素数6~30のアリール」としては、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。
2つのArは結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このベンゾフルオレン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000091
このベンゾフルオレン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ホスフィンオキサイド誘導体>
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM-7-1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2013/079217号公報にも記載されている。
Figure 0007269602000092
は、置換または無置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数6~20のアリールまたは炭素数5~20のヘテロアリールであり、
は、CN、置換または無置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数1~20のヘテロアルキル、炭素数6~20のアリール、炭素数5~20のヘテロアリール、炭素数1~20のアルコキシまたは炭素数6~20のアリールオキシであり、
およびRは、それぞれ独立して、置換または無置換の、炭素数6~20のアリールまたは炭素数5~20のヘテロアリールであり、
は酸素または硫黄であり、
jは0または1であり、kは0または1であり、rは0~4の整数であり、qは1~3の整数である。
ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM-7-2)で表される化合物でもよい。
Figure 0007269602000093
~Rは、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。
Arは、同じでも異なっていてもよく、アリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、Arは、同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。ただし、ArおよびArのうち少なくとも一方は置換基を有しているか、または隣接置換基との間に縮合環を形成している。nは0~3の整数であり、nが0のとき不飽和構造部分は存在せず、nが3のときR1は存在しない。
これらの置換基の内、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基などを挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常、1~20の範囲である。
また、シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3~20の範囲である。
また、アラルキル基とは、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。脂肪族部分の炭素数は特に限定されないが、通常、1~20の範囲である。
また、アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~20の範囲である。
また、シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
また、アルキニル基とは、例えば、アセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~20の範囲である。
また、アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1~20の範囲である。
また、アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、シクロアルキルチオ基とは、シクロアルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6~40の範囲である。
また、アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フェナントリル基、テルフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6~40の範囲である。
また、複素環基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~30の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
アルデヒド基、カルボニル基、アミノ基には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換された基も含むことができる。
また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3~20の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1~6である。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、ArとR、ArとR、ArとR、ArとR、RとR、ArとArなどの間で形成された共役または非共役の縮合環である。ここで、nが1の場合、2つのR同士で共役または非共役の縮合環を形成してもよい。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
このホスフィンオキサイド誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000094
このホスフィンオキサイド誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリミジン誘導体>
ピリミジン誘導体は、例えば下記式(ETM-8)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM-8-1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2011/021689号公報にも記載されている。
Figure 0007269602000095
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1~4の整数であり、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどが挙げられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このピリミジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000096
このピリミジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<カルバゾール誘導体>
カルバゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-9)で表される化合物、またはそれが単結合などで複数結合した多量体である。詳細は米国公開公報2014/0197386号公報に記載されている。
Figure 0007269602000097
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは独立して0~4の整数であり、好ましくは0~3の整数であり、より好ましくは0または1である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどが挙げられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾ[b]チオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、ベンゾホスホーリル、ジベンゾホスホーリル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニル、フェナザシリニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリルおよびベンゾベンゾインドロカルバゾリルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
カルバゾール誘導体は、上記式(ETM-9)で表される化合物が単結合などで複数結合した多量体であってもよい。この場合、単結合以外に、アリール環(好ましくは多価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)で結合されていてもよい。
このカルバゾール誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000098
このカルバゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<トリアジン誘導体>
トリアジン誘導体は、例えば下記式(ETM-10)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM-10-1)で表される化合物である。詳細は米国公開公報2011/0156013号公報に記載されている。
Figure 0007269602000099
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1~3の整数であり、好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどが挙げられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾ[b]チオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、ベンゾホスホーリル、ジベンゾホスホーリル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニル、フェナザシリニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリルおよびベンゾベンゾインドロカルバゾリルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このトリアジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007269602000100
このトリアジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾイミダゾール誘導体>
ベンゾイミダゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-11)で表される化合物である。
Figure 0007269602000101
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数であり、「ベンゾイミダゾール系置換基」は、上記式(ETM-2)、式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がベンゾイミダゾール基に置き換わった置換基であり、ベンゾイミダゾール誘導体における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
Figure 0007269602000102
上記ベンゾイミダゾール基におけるR11は、水素、炭素数1~24のアルキル、炭素数3~12のシクロアルキルまたは炭素数6~30のアリールであり、上記式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)におけるR11の説明を引用することができる。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができ、各式中のR11~R18は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをベンゾイミダゾール系置換基に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11~R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM-2-1)におけるR11~R18の少なくとも1つをベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11~R18で置き換えてもよい。
このベンゾイミダゾール誘導体の具体例としては、例えば1-フェニル-2-(4-(10-フェニルアントラセン-9-イル)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(4-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(3-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、5-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)-1,2-ジフェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、1-(4-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-2-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、1-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-2-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、5-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)-1,2-ジフェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾールなどが挙げられる。
Figure 0007269602000103
このベンゾイミダゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フェナントロリン誘導体>
フェナントロリン誘導体は、例えば下記式(ETM-12)または式(ETM-12-1)で表される化合物である。詳細は国際公開2006/021982号公報に記載されている。
Figure 0007269602000104
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数である。
各式のR11~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)である。また、上記式(ETM-12-1)においてはR11~R18のいずれかがアリール環であるφと結合する。
各フェナントロリン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
11~R18におけるアルキル、シクロアルキルおよびアリールとしては、上記式(ETM-2)におけるR11~R18の説明を引用することができる。また、φは上記した例のほかに、例えば、以下の構造式が挙げられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルである。
Figure 0007269602000105
このフェナントロリン誘導体の具体例としては、例えば4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、9,10-ジ(1,10-フェナントロリン-2-イル)アントラセン、2,6-ジ(1,10-フェナントロリン-5-イル)ピリジン、1,3,5-トリ(1,10-フェナントロリン-5-イル)ベンゼン、9,9’-ジフルオル-ビス(1,10-フェナントロリン-5-イル)、バソクプロインや1,3-ビス(2-フェニル-1,10-フェナントロリン-9-イル)ベンゼンなどが挙げられる。
Figure 0007269602000106
このフェナントロリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<キノリノール系金属錯体>
キノリノール系金属錯体は、例えば下記一般式(ETM-13)で表される化合物である。
Figure 0007269602000107
式中、R~Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルケニル、シアノ、アルコキシまたはアリールであり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1~3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8-キノリノールリチウム、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,3-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,4-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-t-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,5,6-テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-t-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどが挙げられる。
このキノリノール系金属錯体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体>
チアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-14-1)で表される化合物である。
Figure 0007269602000108
ベンゾチアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-14-2)で表される化合物である。
Figure 0007269602000109
各式のφは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数であり、「チアゾール系置換基」や「ベンゾチアゾール系置換基」は、上記式(ETM-2)、式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基が下記のチアゾール基やベンゾチアゾール基に置き換わった置換基であり、チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
Figure 0007269602000110
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができ、各式中のR11~R18は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11~R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM-2-1)におけるR11~R18の少なくとも1つをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11~R18で置き換えてもよい。
これらのチアゾール誘導体またはベンゾチアゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0~2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の物質を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム-リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率を上げて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例として挙げられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の作製方法>
有機電界発光素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm~5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、蒸着用ルツボの加熱温度+50~+400℃、真空度10-6~10-3Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-150~+300℃、膜厚2nm~5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどが挙げられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などが挙げられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスでは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどが挙げられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式が蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
3-2.その他の有機デバイス
本発明に係る多環芳香族化合物は、上述した有機電界発光素子の他に、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などの作製に用いることができる。
有機電界効果トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができるトランジスタである。電界効果トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。
有機電界効果トランジスタの構造は、通常、本発明に係る多環芳香族化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極およびドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造が挙げられる。
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極
(3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極
(4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極
このように構成された有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子などとして適用できる。
有機薄膜太陽電池は、ガラスなどの透明基板上にITOなどの陽極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、陰極が積層された構造を有する。光電変換層は陽極側にp型半導体層を有し、陰極側にn型半導体層を有している。本発明に係る多環芳香族化合物は、その物性に応じて、ホール輸送層、p型半導体層、n型半導体層、電子輸送層の材料として用いることが可能である。本発明に係る多環芳香族化合物は、有機薄膜太陽電池においてホール輸送材料や電子輸送材料として機能しうる。有機薄膜太陽電池は、上記の他にホールブロック層、電子ブロック層、電子注入層、ホール注入層、平滑化層などを適宜備えていてもよい。有機薄膜太陽電池には、有機薄膜太陽電池に用いられる既知の材料を適宜選択して組み合わせて用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されない。以下は実施例で合成した化合物である。
合成例(1)
化合物(1-101):9b-フェニル-9bH-3aλ-アザ-9bλ-ボラベンゾ[hi]ナフト[2,1-a]アセアントリレンの合成
Figure 0007269602000111
2,6-ジブロモピリジン(2.37g,10mmol)、1-ナフチルボロン酸(4.05g,21mmol)およびテトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(0)(Pd(PPh:0.583g,0.05mmol)に対して、窒素雰囲気下、室温で炭酸水素ナトリウム水溶液(1.0M、120ml)およびトルエン(100ml)を加え、80℃で20時間加熱撹拌した。次いで、1-ナフチルボロン酸(1.19g,6.0mmol)を加え、さらに42時間加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、炭酸水素ナトリウム水溶液(1.0M、150ml)を加えた。水層と有機層を分けた後、水層をトルエン(150ml)で3回抽出し、得られた有機層の溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘキサン=2/1(容量比))で精製することで、白色固体として2,6-ジナフチルピリジンを得た(2.73g,収率82%)。
Figure 0007269602000112
NMR測定より得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(δppm in CDCl);7.48-7.53(m,4H)、7.57(t,J=7.6Hz,2H)、7.64(d,J=7.8Hz,2H)、7.72(dd,J=6.9,1.4Hz,2H)、7.90-7.92(m,4H)、7.97(t,J=7.8Hz,1H)、8.22(dd,J=6.4,3.2Hz,2H).
13C-NMR(δppm in CDCl);123.4(2C)、125.4(2C)、125.7(2C)、125.8(2C)、126.4(2C)、127.7(2C)、128.4(2C)、128.8(2C)、131.3(2C)、133.9(2C)、136.6(1C)、138.7(2C)、159.0(2C).
2,6-ジナフチルピリジン(1.99g,6.0mmol)および三ヨウ化ホウ素(2.16g,6.0mmol)に対して、窒素雰囲気下、水冷中でo-ジクロロベンゼン(120ml)およびN,N-ジメチル-p-トルイジン(1.75ml,12mmol)を加え、140℃で30分加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、フェニルグリニャール試薬のテトラヒドロフラン溶液(1.0M,60ml,60mmol)を加え、1時間撹拌した。反応液をジクロロメタン(2.4L)で希釈して、フロリジルショートパスカラム(溶離液:ジクロロメタン)を通し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。この粗生成物をトルエン(700ml)から再結晶させることで、黄色固体として化合物(1-101)を得た(1.29g,収率52%)。
Figure 0007269602000113
NMR測定より得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(δppm in CCl);6.54(d,J=7.3Hz,2H)、6.68-6.73(m,3H)、7.42-7.47(m,2H)、7.58-7.62(m,2H)、7.67(d,J=7.8Hz,1H)、7.90-7.97(m,4H)、8.13(t,J=8.0Hz,1H)、8.17(d,J=7.8Hz,1H)、8.27-8.31(m,2H)、8.45(d,J=7.8Hz,1H)、8.45(d,J=8.7Hz,1H).
13C-NMR(δppm in CCl);99.5(1C)、117.8(1C)、118.5(1C)、122.0(1C)、123.6(1C)、124.4(1C)、124.5(1C)、124.6(1C)、125.2(1C)、126.9(2C)、127.0(1C)、127.2(1C)、127.6(1C)、128.6(1C)、128.7(1C)、129.9(3C)、130.0(1C)、130.1(1C)、130.5(1C)、131.4(1C)、133.2(2C)、134.0(1C)、140.1(1C)、151.5(1C)、157.2(1C).
合成例(2)
化合物(1-102):9b-フルオロ-9bH-3aλ-アザ-9bλ-ボラベンゾ[hi]ナフト[2,1-a]アセアントリレンの合成
Figure 0007269602000114
2,6-ジナフチルピリジン(1.99g,6.0mmol)および三ヨウ化ホウ素(2.16g,6.0mmol)に対して、窒素雰囲気下、水冷中でo-ジクロロベンゼン(120ml)およびN,N-ジメチル-p-トルイジン(1.75ml,12mmol)を加え、140℃で30分加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷却して、ジエチルエーテル(150ml)で希釈した後、AgF(2.24g,18mmol)を加え、22時間撹拌した。これにジクロロメタン(1.5L)を加えて、自然濾過し、溶媒を留去した。これを加熱再結晶(トルエン500ml,100℃)させた後、吸引濾過で得られた固体をトルエンで洗浄することで、黄色固体として化合物(1-102)を得た(0.877g,収率40%)。
Figure 0007269602000115
NMR測定より得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(δppm in CCl);7.58(t,J=7.3Hz,1H)、7.67-7.77(m,3H)、7.97(d,J=7.8Hz,1H)、8.06(d,J=8.2Hz,1H)、8.09(d,J=8.2Hz,1H)、8.13(d,J=7.8Hz,1H)、8.17-8.21(m,2H)、8.39-8.44(m,4H)、8.57(d,J=8.7Hz,1H).
13C-NMR(δppm in CCl);118.5(1C)、118.9(1C)、122.1(1C)、124.7(1C)、125.2(2C)、127.0(1C)、127.2(1C)、127.5(1C)、127.7(2C)、129.8(1C)、129.9(1C)、130.4(1C)、131.4(1C)、132.1(1C)、132.6(1C)、133.2(1C)、134.2(1C)、134.4(1C)、141.8(1C)、151.4(1C)、156.8(1C).
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明の他の化合物を合成することができる。
次に、本発明の化合物の基礎物性の評価と本発明の化合物を用いた有機EL素子の作製と評価について記載する。
<基礎物性の評価>
サンプルの準備
評価対象の化合物の吸収特性と発光特性(蛍光と燐光)を評価する場合、評価対象の化合物を溶媒に溶解して溶媒中で評価する場合と薄膜状態で評価する場合がある。さらに、薄膜状態で評価する場合は、評価対象の化合物の有機EL素子における使用の態様に応じて、評価対象の化合物のみを薄膜化し評価する場合と評価対象の化合物を適切なマトリックス材料中に分散して薄膜化して評価する場合がある。
マトリックス材料としては、市販のPMMA(ポリメチルメタクリレート)などを用いることができる。PMMAに分散した薄膜サンプルは、例えば、PMMAと評価対象の化合物をトルエン中で溶解させた後、スピンコーティング法により石英製の透明支持基板(10mm×10mm)上に薄膜を形成して作製することができる。
また、マトリックス材料がホスト材料である場合の薄膜サンプルの作製方法を以下に記す。石英製の透明支持基板(10mm×10mm×1.0mm)を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、ホスト材料を入れたタンタル製蒸着用ボート、ドーパント材料を入れたタンタル製蒸着用ボートを装着する。次に、真空槽を5×10-4Paまで減圧し、ホスト材料が入った蒸着用ボートとドーパント材料が入った蒸着用ボートを同時に加熱して適切な膜厚になるように蒸着してホスト材料とドーパント材料の混合薄膜を形成する。ホスト材料とドーパント材料の設定重量比に応じて蒸着速度を制御する。
吸収特性と発光特性の評価
前記サンプルの吸収スペクトルの測定は、紫外可視近赤外分光光度計((株)島津製作所、UV-2600)を用いて行った。また、前記サンプルの蛍光スペクトルまたは燐光スペクトルの測定は、分光蛍光光度計(日立ハイテク(株)製、F-7000)を用いて行った。
蛍光スペクトルの測定に対しては、室温で適切な励起波長で励起しフォトルミネッセンスを測定した。燐光スペクトルの測定に対しては、付属の冷却ユニットを使用して、前記サンプルを液体窒素に浸した状態(温度77K)で測定した。燐光スペクトルを観測するため、光学チョッパを使用して励起光照射から測定開始までの遅れ時間を調整した。サンプルは適切な励起波長で励起しフォトルミネッセンスを測定した。
また、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス(株)製、C9920-02G)を用いて蛍光量子収率(PLQY)を測定する。
エネルギーギャップ(Eg)の算出
前述の方法で得られた吸収スペクトルの長波長末端A(nm)からEg=1240/Aで算出される。
化合物(1-101)の基礎物性の評価
Figure 0007269602000116
[希薄溶液における吸収および発光特性]
化合物(1-101)を1.0×10-4mol/Lの濃度でジクロロメタンに溶解させ、吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを測定した。蛍光スペクトル測定時の励起波長は蛍光スペクトルに重ならないように任意に選んだ。測定の結果、吸収ピーク波長406nm、蛍光ピーク波長451nm、蛍光ピーク半値幅79nmの、半値幅の広い発光が得られた(図2)。
化合物(1-102)の基礎物性の評価
Figure 0007269602000117
[希薄溶液における吸収および発光特性]
化合物(1-102)を1.0×10-4mol/Lの濃度でジクロロメタンに溶解させ、吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを測定した。蛍光スペクトル測定時の励起波長は蛍光スペクトルに重ならないように任意に選んだ。測定の結果、吸収ピーク波長430nm、蛍光ピーク波長476nm、蛍光ピーク半値幅100nmの、半値幅の広い発光が得られた(図3)。
比較化合物1の基礎物性の評価
下記の化合物を比較化合物1とした。
Figure 0007269602000118
[分散膜における吸収および発光特性]
測定の結果、吸収ピーク波長401nm、発光ピーク波長460nm、蛍光ピーク半値幅66nmの、半値幅の狭い発光が得られた(図4)。
<有機EL素子の評価>
以上のように、本発明の化合物は、半値幅の広い発光特性を有しているため、例えば発光層および電荷輸送層への適用が期待でき、特に発光層への適用が期待できる。
評価項目および評価方法
評価項目としては、駆動電圧(V)、発光波長(nm)、CIE色度(x,y)、外部量子効率(%)、発光スペクトルの最大波長(nm)、半値幅(nm)およびロールオフなどがある。これらの評価項目は、適切な発光輝度時の値を用いることができる。
発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、内部量子効率は、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示している。一方、外部量子効率は、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出され、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりあるいは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。
分光放射輝度(発光スペクトル)と外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、電圧を印加することにより素子を発光させた。TOPCON社製分光放射輝度計SR-3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。また、発光スペクトルの半値幅は、極大発光波長を中心として、その強度が50%になる上下の波長間の幅として求められる。
有機EL素子の作製
実施例および比較例に係る有機EL素子を作製し、電圧を印加して電流密度、輝度、色度および外部量子効率などを測定する。作製した有機EL素子の構成として、以下の構成A(表1)にて評価する。ただし、本発明の化合物の適用はこの構成に限定されず、各層の膜厚や構成材料は本発明の化合物の基礎物性によって適宜変更することができる。
<実施例1、2および比較例1>
Figure 0007269602000119
表1において、「HI-1」はN,N4’-ジフェニル-N,N4’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミンであり、「HAT-CN」は1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルであり、「HT-1」はN-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミンであり、「HT-2」はN,N-ビス(4-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)フェニル)-[1,1’:4’,1”-テルフェニル]-4-アミンであり、「EMH2」は9-フェニル-10-(4-フェニルナフタレン-1-イル)アントラセンであり、「ET-1」は4,6,8,10-テトラフェニル[1,4]ベンゾキサボリニノ[2,3,4-kl]フェノキサボリニンであり、「ET-2」は3,3’-((2-フェニルアントラセン-9,10-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(4-メチルピリジン)であり、「Liq」と共に以下に化学構造を示す。
Figure 0007269602000120
<実施例1>
<構成A:化合物(1-101)をドーパントとした素子>
スパッタリングにより200nmの厚さに製膜したITOを120nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とする。この透明支持基板を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI-1、HAT-CN、HT-1、HT-2、EMH2、化合物(1-101)、ET-1およびET-2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、Liq、MgおよびAgをそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着する。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成する。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、まず、HI-1を加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、HAT-CNを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層からなる正孔注入層を形成する。次に、HT-1を加熱して膜厚45nmになるように蒸着し、HT-2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着して2層からなる正孔輸送層を形成する。次に、EMH2と化合物(1-101)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成する。EMH2と化合物(1-101)の重量比がおよそ99対1になるように蒸着速度を調節する。次に、ET-1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、ET-2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して2層からなる電子輸送層を形成する。ET-2とLiqの重量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節する。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒である。その後、Liqを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、マグネシウムと銀を同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得る。このとき、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように0.1nm~10nm/秒の間で蒸着速度を調節する。
<実施例2および比較例1>
上記化合物(1-102)および比較化合物1は、化合物(1-101)と同様の構成Aで有機EL素子を作製し評価することができる。
<実施例3~8>
また、有機EL素子の構成として、以下の構成B(表2)、構成C(表3)および構成D(表4)の3つを選定して評価する。構成B~Dは熱活性化型遅延蛍光用材料に適合した構成である。構成Bは文献(Adv. Mater. 2016, 28, 2777-2781)で示された高い効率を期待できる素子構成である。構成Cは文献(Scientific Reports, 6, 2016, 22463)で示された比較的高い効率と長期間の駆動安定性を期待できる素子構成である。構成Dは文献(Thin Solid Films, 619, 2016, 120-124)で示された、構成Bとは異なるホスト材料を適応した素子構成である。ただし、本発明の化合物の適用はこれらの構成に限定されず、各層の膜厚や構成材料は本発明の化合物の基礎物性によって適宜変更することができる。
<実施例3および4>
Figure 0007269602000121
表2において、「HI」はN,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチル-4,4’-ジアミノビフェニルであり、「HT」は4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミンであり、「EB」は1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼンであり、「EMH1」は3,3’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニルであり、「ET」はジフェニル[4-(トリフェニルシリル)フェニル]ホスフィンオキシドである。以下に化学構造を示す。
Figure 0007269602000122
<実施例3>
<構成B:化合物(1-101)をドーパントとした素子>
スパッタリングにより200nmの厚さに製膜したITOを50nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とする。この透明支持基板を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、HT、EB、EMH1、化合物(1-101)、およびETをそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、LiFおよびアルミニウムをそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着する。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、HTを加熱して膜厚15nmになるように蒸着して2層からなる正孔層を形成する。次に、EBを加熱して膜厚15nmになるように蒸着して電子阻止層を形成する。次に、EMH1と化合物(1-101)を同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成する。EMH1と化合物(1-101)の重量比がおよそ99対1になるように蒸着速度を調節する。次に、ETを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して電子輸送層を形成する。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒である。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得られる。このとき、アルミニウムの蒸着速度は1nm~10nm/秒になるように調節する。
ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、輝度、色度および外部量子効率などを測定する。
<実施例4>
上記化合物(1-102)は、化合物(1-101)と同様の構成Bで有機EL素子を作製し評価することができる。
<実施例5および6>
Figure 0007269602000123
表3において、「HAT-CN」は1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルであり、「Tris-PCz」は9,9’,9”-トリフェニル-9H,9H’,9H”-3,3’,6’,3”-テルカルバゾールであり、「T2T」は2,4,6-トリ[[1,1’-ビフェニル]-3-イル]-1,3,5-トリアジンであり、「BPy-TP2」は2,7-ジ([2,2’-ビピリジン]-5-イル)トリフェニレンである。以下に化学構造を示す。
Figure 0007269602000124
<実施例5>
<構成C:化合物(1-101)をドーパントに用いた素子>
スパッタリングにより製膜したITOを50nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス)を透明支持基板とする。この透明支持基板を市販の蒸着装置((株)長州産業)の基板ホルダーに固定し、HAT-CN、Tris-PCz、EMH1、化合物(1-101)、T2T、およびBPy-TP2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、LiFおよびアルミニウムをそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ルツボを装着する。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成する。真空槽を2.0×10-4Paまで減圧し、まず、HAT-CNを加熱して膜厚10nmになるように蒸着し、次いで、Tris-PCzを加熱して膜厚30nmになるように蒸着することで2層からなる正孔層を形成する。次に、EMH1と化合物(1-101)を同時に加熱して膜厚30nmになるように蒸着して発光層を形成する。EMH1と化合物(1-101)の重量比がおよそ90対10になるように蒸着速度を調節する。次に、T2Tを加熱して膜厚10nmになるように蒸着し、次いで、BPy-TP2を30nmになるように蒸着して2層からなる電子輸送層を形成する。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒である。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように0.1nm~2nm/秒の蒸着速度で蒸着して陰極を形成することで、有機EL素子を得ることができる。
<実施例6>
上記化合物(1-102)は、化合物(1-101)と同様の構成Cで有機EL素子を作製し評価することができる。
<実施例7および8>
Figure 0007269602000125
表4において、「2CzBN」は3,4-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ベンゾニトリルである。以下に化学構造を示す。
Figure 0007269602000126
<実施例7>
<構成D:化合物(1-101)をドーパントに用いた素子>
スパッタリングにより製膜したITOを50nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス)を透明支持基板とする。この透明支持基板を市販の蒸着装置((株)長州産業)の基板ホルダーに固定し、HAT-CN、Tris-PCz、EB、2CzBN、化合物(1-101)、およびBPy-TP2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、LiFおよびアルミニウムを入れた窒化アルミニウム製蒸着用ルツボを装着する。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成する。真空槽を2.0×10-4Paまで減圧し、まず、HAT-CNを加熱して膜厚10nmになるように蒸着し、次いで、Tris-PCzを加熱して膜厚25nmになるように蒸着し、次いで、EBを加熱して10nmになるように蒸着することで3層からなる正孔層を形成する。次に、2CzBNと化合物(1-101)を同時に加熱して膜厚30nmになるように蒸着して発光層を形成する。2CzBNと化合物(1-101)の重量比がおよそ90対10になるように蒸着速度を調節する。次に、2CzBNを加熱して膜厚10nmになるように蒸着し、次いで、BPy-TP2を40nmになるように蒸着して2層からなる電子輸送層を形成する。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒である。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように0.1nm~2nm/秒の蒸着速度で蒸着して陰極を形成することで、有機EL素子を得ることができる。
<実施例8>
上記化合物(1-102)は、化合物(1-101)と同様の構成Dで有機EL素子を作製し評価することができる。
本発明では、新規な多環芳香族化合物を提供することで、有機EL素子用材料の選択肢を増やすことができる。また、新規な多環芳香族化合物を有機EL素子用材料として用いることで、優れた有機EL素子、それを備えた表示装置およびそれを備えた照明装置などを提供することができる。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物
    Figure 0007269602000127
    上記式(1)中、
    c環は、ベンゼン環またはナフタレン環が縮合して縮合環を形成していてもよく、
    a環、b環、c環および形成された前記縮合環における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキル、または炭素数5~10のシクロアルキルで置換されていてもよく、
    Rは、炭素数6~12のアリール、炭素数1~5のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキルまたはハロゲンであり、
    上記式で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
  2. 下記いずれかの式で表される、請求項1に記載の多環芳香族化合物
    Figure 0007269602000128
    (上記各式中の「Ph」はフェニル基であり、「F」はフッ素である。)
  3. 請求項1または2に記載する多環芳香族化合物を含有する、有機デバイス用材料。
  4. 有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、請求項3に記載する有機デバイス用材料。
  5. 前記有機電界発光素子用材料が発光層用材料である、請求項4に記載する有機デバイス用材料。
  6. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、請求項5に記載する発光層用材料を含有する発光層とを有する、有機電界発光素子。
  7. 前記発光層はさらに下記一般式(diCz)で表される化合物および/または下記一般式(An)で表される化合物を含有する、請求項6に記載の有機電界発光素子。
    Figure 0007269602000129
    (上記一般式(diCz)中、Lは炭素数6~30のアリーレンまたは炭素数2~30のヘテロアリーレンであり、
    上記一般式(An)中、LおよびLは、それぞれ独立して、炭素数6~30のアリールまたは炭素数2~30のヘテロアリールであり、
    上記各式で表される化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
  8. 前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項6または7に記載する有機電界発光素子。
  9. 前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項8に記載の有機電界発光素子。
  10. 請求項6~9のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置。
  11. ホウ素のハロゲン化物、ホウ素のアミノ化ハロゲン化物、ホウ素のアルコキシ化物およびホウ素のアリールオキシ化物からなる群から選択される試薬と、R基導入試薬と、場合によりブレンステッド塩基とを用いて、下記中間体におけるa環とb環とc環とを前記ホウ素により結合する反応工程を含む、下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物を製造する方法。
    Figure 0007269602000130
    (上記式(中間体)および上記式(1)中、
    c環は、ベンゼン環またはナフタレン環が縮合して縮合環を形成していてもよく、
    a環、b環、c環および形成された前記縮合環における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキル、または炭素数5~10のシクロアルキルで置換されていてもよく、
    Rは、炭素数6~12のアリール、炭素数1~5のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキルまたはハロゲンであり、
    上記式で表される中間体または化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
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