JP2021061262A - 多環芳香族化合物の発光材料を用いた有機電界発光素子 - Google Patents

多環芳香族化合物の発光材料を用いた有機電界発光素子 Download PDF

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琢次 畠山
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靖宏 近藤
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Abstract

【課題】発光特性などが優れた有機EL素子を提供する。【解決手段】一般式(A)で表される化合物および下記一般式(A)で表される構造を複数有する化合物の多量体の少なくとも1つと、三重項エネルギーが2.2〜3.0eVである化合物を少なくとも1つとを含む有機電界発光素子。(XはB等、R1〜R11は、水素、アリール、ヘテロアリール等、R2、R5、R7、R8およびR10のうちの少なくとも1つは−O−Wで表される基であり、Wはアリールまたはヘテロアリール。)【選択図】なし

Description

本発明は、多環芳香族化合物およびその多量体(以下、両方を併せて単に多環芳香族化合物ともいう)の発光材料を用いた有機電界発光素子、並びに、表示装置および照明装置に関する。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料からなる有機電界発光素子(以下、有機EL素子ともいう)は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の一つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
発光層用材料としては、例えばベンゾフルオレン系化合物などが開発されている(国際公開第2004/061047号公報)。また、正孔輸送材料としては、例えばトリフェニルアミン系化合物などが開発されている(特開2001-172232号公報)。また、電子輸送材料としては、例えばアントラセン系化合物などが開発されている(特開2005-170911号公報)。
また、近年では有機EL素子や有機薄膜太陽電池に使用する材料としてトリフェニルアミン誘導体を改良した材料も報告されている(国際公開第2012/118164号公報)。この材料は既に実用化されていたN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)を参考にして、トリフェニルアミンを構成する芳香族環同士を連結することでその平面性を高めたことを特徴とする材料である。この文献では例えばNO連結系化合物(63頁の化合物1)の電荷輸送特性が評価されているが、NO連結系化合物以外の材料の製造方法については記載されておらず、また、連結する元素が異なれば化合物全体の電子状態が異なるため、NO連結系化合物以外の材料から得られる特性も未だ知られていない。このような化合物の例は他にも見られる(国際公開第2011/107186号公報)。例えば、三重項励起子のエネルギー(T1)が大きい共役構造を有する化合物は、より短い波長の燐光を発することができるため、青色の発光層用材料として有益である。
有機EL素子のホスト材料は、一般に、ベンゼンやカルバゾールなどの既存の芳香族環を単結合やリン原子やケイ素原子で複数連結した分子である。これは、比較的共役系の小さな芳香族環を多数連結することで、ホスト材料に必要とされる大きなHOMO−LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)が担保されるからである。さらに、燐光材料や熱活性型遅延蛍光材料を用いた有機EL素子のホスト材料には、高い三重項励起エネルギー(E)も必要となるが、分子にドナーあるいはアクセプター性の芳香族環や置換基を連結することで、三重項励起状態(T1)のSOMO1およびSOMO2を局在化させ、両軌道間の交換相互作用を小さくすることで、三重項励起エネルギー(E)を向上させることが可能となる。しかし、共役系の小さな芳香族環はレドックス安定性が十分ではなく、既存の芳香族環を連結していった分子をホスト材料として用いた素子は寿命が十分ではない。一方、拡張π共役系を有する多環芳香族化合物は、一般に、レドックス安定性は優れているが、HOMO−LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)や三重項励起エネルギー(E)が低いため、ホスト材料に不向きと考えられてきた。
また、近年ではホウ素などを中心原子として複数の芳香族環を縮合した化合物も報告されている(国際公開第2015/102118号公報)。この文献では発光層のドーパント材料として当該複数の芳香族環を縮合した化合物を用いた有機EL素子評価が実施されているが、当該文献には極めて多数の化合物が開示されており、これらの中でも特に発光特性などの有機EL特性に優れた化合物を検討することは有益である。
国際公開第2004/061047号公報 特開2001-172232号公報 特開2005-170911号公報 国際公開第2012/118164号公報 国際公開第2011/107186号公報 国際公開第2015/102118号公報
上述するように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されているが、発光特性などの有機EL特性を更に高めたり、発光層用材料などの有機EL材料の選択肢を増やすために、従来具体的には知られていなかった化合物の開発が望まれている。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ホウ素原子などと酸素原子で複数の芳香族環を連結した多環芳香族化合物の中でも特定の構造を有する化合物を用いることにより、優れた有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、置換基としてアリールオキシまたはヘテロアリールオキシを有する多環芳香族化合物を用いた有機EL素子などを提供する。
項1.
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層とを有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、
第1成分として、下記一般式(A)で表される多環芳香族化合物および下記一般式(A)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体の少なくとも1つと、
第2成分として、三重項エネルギー(E)が2.2〜3.0eVである化合物を少なくとも1つとを含む、有機電界発光素子。
Figure 2021061262
(上記式(A)において、
XはB、P=OまたはP=Sであり、
〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールへテロアリールアミノまたはアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはアルキルで置換されていてもよく、
〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアルキルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはアルキルで置換されていてもよく、
ただし、R、R、R、RおよびR10のうちの少なくとも1つは−O−Wで表される基であり、Wはそれぞれ独立してアリールまたはヘテロアリールであって、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはアルキルで置換されていてもよく、
式(A)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、ハロゲンまたは重水素で置換されてもよい。
項2.
上記式(A)において、
〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)または炭素数1〜12のアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)または炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよく、
〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)または炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)または炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよく、
ただし、R、R、R、RおよびR10のうちの1つ、2つまたは3つが−O−Wで表される基であり、Wはそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールまたは炭素数2〜30のヘテロアリールであって、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)または炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよい、
項1に記載する有機電界発光素子。
項3.
上記式(A)において、
〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜6のアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよく、
〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9〜12のアリール環または炭素数6〜12のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよく、
ただし、R、R、R、RおよびR10のうちの1つ、2つまたは3つが−O−Wで表される基であり、Wはそれぞれ独立して炭素数6〜16のアリールまたは炭素数2〜15のヘテロアリールであって、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよい、
項1に記載する有機電界発光素子。
項4.
上記式(A)において、
もしくはRが−O−Wであるか、RおよびRが−O−Wであるか、RおよびR10が−O−Wであるか、または、R、RおよびR10が−O−Wであり、Wはそれぞれ独立して炭素数6〜16のアリールまたは炭素数2〜15のヘテロアリールであって、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜10のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい、
項1〜3のいずれかに記載する有機電界発光素子。
項5.
上記式(A)において、
もしくはRが−O−Wであるか、RおよびRが−O−Wであるか、RおよびR10が−O−Wであるか、または、R、RおよびR10が−O−Wであり、Wはそれぞれ独立してフェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであって、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい、
項1〜3のいずれかに記載する有機電界発光素子。
項6.
第1成分が下記いずれかの一般式で表される化合物である、項1に記載の有機電界発光素子。
Figure 2021061262
上記各式中、任意の水素は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。
項7.
第1成分が下記いずれかの一般式で表される化合物である、項1に記載の有機電界発光素子。
Figure 2021061262
項8.
第2成分が、下記一般式(B1)で表される化合物、一般式(B2)で表される化合物、一般式(B3)で表される多環芳香族化合物および一般式(B3)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体からなる群から選択される少なくとも1種である、項1〜7のいずれかに記載の有機電界発光素子。
Figure 2021061262
(上記式(B1)において、
Mは、Ir、Pt、Au、Eu、Ru、Re、AgおよびCuからなる群から選択される少なくとも1種であり、nは1〜3の整数であり、「X−Y」はそれぞれ独立して二座のモノアニオン性配位子である。)
Figure 2021061262
(上記式(B2)において、
EDは電子供与性基であり、Lnは結合基であり、EAは電子受容性基であり、式(B2)で表される化合物の一重項エネルギー(S)と三重項エネルギー(T)のエネルギー差(ΔS)は0.2eV以下である。)
Figure 2021061262
(上記式(B3)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
>N−RのRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、当該Rは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、
式(B3)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素はハロゲンまたは重水素で置換されてもよい。)
項9.
上記式(B3)において、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のアルコキシ、トリアルキルシリル、置換もしくは無置換のアリールオキシ、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、
前記>N−RのRは、アルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルで置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、当該Rは−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは水素またはアルキルであり、
式(B3)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素はハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、
多量体の場合には、式(B3)で表される構造を2または3個有する2または3量体である、
項8に記載する有機電界発光素子。
項10.
前記一般式(B3)で表される多環芳香族化合物またはその多量体が、下記一般式(B3’)で表される多環芳香族化合物またはその多量体である、項8に記載する有機電界発光素子。
Figure 2021061262
(上記式(B3’)中、
〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、シアノまたはハロゲンであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよく、また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよく、
>N−RのRは独立して、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリールまたは炭素数1〜6のアルキルであり、当該Rは−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは炭素数1〜6のアルキルであり、
式(B3’)で表される化合物またはその多量体における少なくとも1つの水素はハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
項8に記載する有機電界発光素子。
項11.
上記式(B3’)中、
〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリールまたはジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)であり、また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は炭素数6〜10のアリールで置換されていてもよく、
>N−RのRは独立して、炭素数6〜10のアリールであり、
式(B3’)で表される化合物またはその多量体における少なくとも1つの水素はハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい、
項8に記載する有機電界発光素子。
項12.
前記一般式(B3)で表される多環芳香族化合物またはその多量体が下記いずれかの構造式で表される化合物である、項8に記載する有機電界発光素子。
Figure 2021061262
上記式(B3−3001)、式(B3−3001−Cz4)または式(B3−3002)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1〜6のアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
項13.
前記陰極と前記発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項1〜12のいずれかに記載する有機電界発光素子。
項14.
前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項13に記載の有機電界発光素子。
項15.
項1〜14に記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。
項16.
項1〜14に記載の有機電界発光素子を備えた照明装置。
本発明の好ましい態様によれば、従来具体的には知られていなかった、式(A)で表される多環芳香族化合物により発光特性などの有機EL特性を更に高めることができ、発光層用材料の選択肢を増やすことができる。
本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
1.有機電界発光素子
本発明の有機EL素子は、発光層に、第1成分として、上記一般式(A)で表される多環芳香族化合物および上記一般式(A)で表される構造を複数有する芳香族化合物の多量体の少なくとも1つと、第2成分として、三重項エネルギー(E)が2.2〜3.0eVである化合物を少なくとも1つとを含むことを特徴とする。第1成分は、発光層においてホスト成分として機能し、第2成分はドーパント成分として機能する。
1−1.第1成分
式(A)で表される多環芳香族化合物またはその多量体は、大きなHOMO−LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)と高い三重項励起エネルギー(E)を有する。これは、ヘテロ元素を含む6員環は芳香属性が低いため、共役系の拡張に伴うHOMO−LUMOギャップの減少が抑制されること、ヘテロ元素の電子的な摂動により三重項励起状態(T1)のSOMO1およびSOMO2が局在化することが原因となっている。更に、これらの多環芳香族化合物は、置換基(特にアリールオキシ基やヘテロアリールオキシ基)の導入により、HOMOとLUMOのエネルギーを任意に動かすことができるため、イオン化ポテンシャルや電子親和力を周辺材料に応じて最適化することが可能である。式(A)で表される多環芳香族化合物は、高い三重項エネルギーを有しているために、燐光材料および熱活性型遅延蛍光材料のホストとして好ましい。
Figure 2021061262
上記式(A)において、XはB、P=OまたはP=Sであり、好ましくはBである。
上記式(A)において、R〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールへテロアリールアミノまたはアルキル(以上、第1置換基)であり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。
「アリール」(第1置換基)としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、炭素数6〜24のアリールが好ましく、炭素数6〜20のアリールがより好ましく、炭素数6〜16のアリールがさらに好ましく、炭素数6〜12のアリールが特に好ましく、炭素数6〜10のアリールが最も好ましい。
具体的なアリールとしては、例えば、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる。
第1置換基としての「アリール」の上記説明は、第1置換基としての、ジアリールアミノにおける「アリール」、アリールへテロアリールアミノにおける「アリール」、第2置換基としての、「アリール」、ジアリールアミノにおける「アリール」に対しても同じく引用することができる。
「ヘテロアリール」(第1置換基)としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
第1置換基としての「ヘテロアリール」の上記説明は、第1置換基としての、ジヘテロアリールアミノにおける「ヘテロアリール」、アリールへテロアリールアミノにおける「ヘテロアリール」、第2置換基としての「ヘテロアリール」に対しても同じく引用することができる。また、第2置換基としての「ヘテロアリール」には、当該ヘテロアリールにおける少なくとも1つの水素がフェニルなどのアリール(具体例は上述した基)やメチルなどのアルキル(具体例は上述した基)で置換された基も第2置換基としてのヘテロアリールに含まれる。その一例としては、第2置換基がカルバゾリル基の場合には、9位における少なくとも1つの水素がフェニルなどのアリールやメチルなどのアルキルで置換されたカルバゾリル基も第2置換基としてのヘテロアリールに含まれる。
「アルキル」(第1置換基)としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルが挙げられ、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)が特に好ましく、メチルが最も好ましい。
具体的なアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどが挙げられる。
第1置換基としての「アルキル」の上記説明は、第2置換基としての「アルキル」に対しても同じく引用することができる。第1置換基に対して第2置換基であるアルキルが置換する位置は特に限定されないが、第1置換基のa環、b環およびc環への結合位置(1位)を基準にして、2位または3位が好ましく、2位がより好ましい。
〜R11としては、例えば以下の構造の基が好ましい。下記構造におけるMは炭素数1〜4のアルキル(好ましくはメチル)またはフェニルであり、*はa環、b環およびc環との結合基を示す。また、下記構造における少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキル、好ましくはメチルで置換されていてもよく、その置換位置は特に限定されないが、*で示す結合位置(1位)を基準にして、2位または3位が好ましく、2位がより好ましい。
Figure 2021061262
〜R11としては、例えば以下の構造の基がより好ましい。下記構造におけるMはメチルまたはフェニルであり、*はa環、b環およびc環との結合基を示す。
Figure 2021061262
上記式(A)において、R〜R11のうちの隣接する基同士は結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアルキル(以上、第1置換基)で置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。したがって、一般式(A)で表される多環芳香族化合物は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記式(A−L1)および式(A−L2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。各式中のa’環、b’環およびc’環は上記「形成された環(アリール環またはヘテロアリール環)」に相当する。なお、式(A−L1)および式(A−L2)における各符号は式(A)における定義と同じである。
Figure 2021061262
なお、上記式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがa’環、b’環およびc’環に変化した化合物もある。また、上記式(A−L1)および式(A−L2)から分かるように、例えば、a環のRとb環のR、b環のRとc環のR、c環のR11とa環のRなどは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
上記式(A−L1)や式(A−L2)で表される化合物は、例えばa環(および/またはb環および/またはc環)であるベンゼン環に対してベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環などが縮合して形成されるa’環(および/またはb’環および/またはc’環)を有する化合物であり、形成された縮合環a’(縮合環b’または縮合環c’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環などである。
形成された環である「アリール環」としては、例えば、炭素数9〜30のアリール環が挙げられ、炭素数9〜24のアリール環が好ましく、炭素数9〜20のアリール環がより好ましく、炭素数9〜16のアリール環がさらに好ましく、炭素数9〜12のアリール環が特に好ましく、炭素数9〜10環のアリールが最も好ましい。なお、この「アリール環」は、a環(b環またはc環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となる。
具体的な「アリール環」としては、例えば、縮合二環系であるナフタレン環、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などが挙げられる。
形成された環である「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数6〜30のヘテロアリール環が挙げられ、炭素数6〜25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数6〜20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数6〜15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数6〜10のヘテロアリール環が特に好ましい。「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。なお、この「ヘテロアリール環」は、a環(b環またはc環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H−ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、インドリジン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、チアントレン環などが挙げられる。
形成された環への第1置換基および第2置換基については、R〜R11の欄で説明した第1置換基および第2置換基の説明を同じく引用することができる。
上記式(A)において、R、R、R、RおよびR10のうちの少なくとも1つは−O−Wで表される基であり、Wはそれぞれ独立してアリールまたはヘテロアリールであって、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはアルキルで置換されていてもよい。
Wとしての「アリール」および「ヘテロアリール」については、R〜R11の欄で説明したアリールおよびヘテロアリールの説明を同じく引用することができる。また、Wへの置換基である、「アリール」、「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」および「アルキル」についても、R〜R11の欄で説明したアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノおよびアルキルの説明を同じく引用することができる。
Wとしては、例えば以下の構造の基が好ましい。下記構造における*は「−O−W」のエーテル結合への結合基を示す。また、下記構造における少なくとも1つの水素は、上述したアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはアルキルで置換されていてもよく、好ましくは炭素数1〜4のアルキル(より好ましくはメチルまたはt−ブチル)で置換されていてもよく、その置換位置は特に限定されないが、*で示す結合位置(1位)を基準にして、2位または3位が好ましく、2位がより好ましい。
Figure 2021061262
Figure 2021061262
Wとしては上記構造の基の中でも、式(W−1)〜式(W−11)、式(W−20)、式(W−21)および式(W−26)〜式(W−29)のいずれかで表される基がより好ましい。
Wとしては上記構造の基の中でも、以下の構造の基がさらに好ましい。
Figure 2021061262
Wとしては上記構造の基の中でも、式(W−2−1)〜式(W−2−5)および式(W−3−1)〜式(W−3−5)のいずれかで表される基がより好ましい。
また、式(A)で表される多環芳香族化合物およびその多量体における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、ハロゲンまたは重水素で置換されてもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素である
また、一般式(A)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体は、2〜6量体が好ましく、2〜3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、1つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、例えば、上記単位構造が単結合、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などの連結基で複数結合した形態に加えて、上記単位構造に含まれる任意の環(a環、b環またはc環)を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環(a環、b環またはc環)同士が縮合するようにして結合した形態であってもよい。
このような多量体としては、例えば、下記式(A−P1)、式(A−P2−1)〜式(A−P2−4)または式(A−P3)で表される多量体が挙げられる。下記式(A−P1)で表される多量体は、一般式(A)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、2つの一般式(A)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体である。また、下記式(A−P2−1)〜式(A−P2−4)で表される多量体は、一般式(A)で説明すれば、b環(またはc環)であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(A)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体である。また、下記式(A−P3)で表される多量体は、一般式(A)で説明すれば、例えばある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とが縮合するようにして、複数の一般式(A)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体である。なお、各式における各符号は式(A)における定義と同じである。
Figure 2021061262
多量体は、式(A−P1)で表現される多量化形態と、式(A−P2−1)〜式(A−P2−4)のいずれかまたは式(A−P3)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(A−P2−1)〜式(A−P2−4)のいずれかで表現される多量化形態と、式(A−P3)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(A−P1)で表現される多量化形態と式(A−P2−1)〜式(A−P2−4)のいずれかで表現される多量化形態と式(A−P3)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよい。
上記式(A)で表される多環芳香族化合物としては、例えば、下記いずれかの一般式で表される化合物が好ましい。各式中、任意の水素は炭素数1〜4のアルキル、特にメチルまたはt−ブチルで置換されていてもよい。
Figure 2021061262
式(A)で表される多環芳香族化合物のさらに具体的な例としては、例えば、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021061262
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1−2.一般式(A)で表される多環芳香族化合物の製造方法
式(A)で表される化合物は、まずa〜c環を結合基(−O−)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、a〜c環を結合基(Xを含む基)で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。第1反応では、例えば求核置換反応やウルマン反応といった一般的エーテル化反応が利用できる。また、第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応、以下同様)が利用できる。第1および第2反応の詳細は、国際公開第2015/102118号公報に記載された説明を参考にすることができる。
第2反応は、下記スキーム(1)に示すように、a環、b環およびc環を結合するB(ホウ素)を導入する反応である。まず、2つのOの間の水素原子をn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム等でオルトメタル化する。次いで、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等を加え、リチウム−ホウ素の金属交換を行った後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等のブレンステッド塩基を加えることで、タンデムボラフリーデルクラフツ反応させ、目的物を得ることができる。第2反応においては反応を促進させるために三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えてもよい。
Figure 2021061262
上記スキームにおいては、オルトメタル化により所望の位置へリチウムを導入したが、下記スキーム(2)のようにリチウムを導入したい位置に臭素原子等を導入し、ハロゲン−メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる。
Figure 2021061262
「−O−W」で表される基、ハロゲンまたは重水素で置換された化合物を得るためには、これらの基をあらかじめ中間体に導入しておいてもよいし、第2反応の後にこれらの基を導入してもよい。
上述の合成法を適宜選択し、使用する原料も適宜選択することで、所望の位置に置換基を有し、式(A)で表される化合物を合成することができる。
1−3.第2成分
本発明の有機EL素子は、発光層に第2成分として三重項エネルギー(E)が2.2〜3.0eVである化合物を少なくとも1種を含む。三重項エネルギー(E)は、好ましくは2.2〜2.7eVであり、より好ましくは2.2〜2.5eVである。第1成分である式(A)の化合物が高い三重項エネルギーを有するために、三重項エネルギーからの発光を示す燐光材料および小さなΔEST(一重項エネルギーと三重項エネルギーの差)を有する熱活性型遅延蛍光材料を用いることができる。
1−3−1.燐光材料
燐光材料は金属原子による分子内スピン−軌道相互作用(重原子効果)を利用し、三重項からの発光を得る。このような第2成分としては、例えば下記一般式(B1)で表される化合物があげられる。
Figure 2021061262
式(B1)において、Mは、Ir、Pt、Au、Eu、Ru、Re、AgおよびCuからなる群から選択される少なくとも1種であり、nは1〜3の整数であり、「X−Y」はそれぞれ独立して二座のモノアニオン性配位子である。
式(B1)で表される化合物としては、例えば下記一般式(B1−10)または一般式(B1−15)で表される化合物があげられる。
Figure 2021061262
式(B1−10)および式(B1−15)において、X’はMと結合する炭素(C)を含む芳香族環であり、Y’はMと配位結合する窒素(N)を含む複素環である。X’およびY’は結合されており、X’およびY’で新たな環を形成してもよい。また、式(B1−15)において、Zは2つの酸素を有する二座配位子である。式(B1−10)および式(B1−15)において、高効率および長寿命の観点からMはIrが好ましい。
式(B1−10)で表される化合物としては、例えば、Ir(ppy)、Ir(ppy)(acac)、Ir(mppy)、Ir(PPy)(m−bppy)、BtpIr(acac)、Ir(btp)(acac)、Ir(2−phq)、Hex−Ir(phq)、Ir(fbi)(acac)、fac−Tris(2−(3−p−xylyl)phenyl)pyridine iridium(III)、Eu(dbm)(Phen)、Ir(piq)、Ir(piq)(acac)、Ir(Fliq)(acac)、Ir(Flq)(acac)、Ru(dtb−bpy)・2(PF)、Ir(2−phq)、Ir(BT)(acac)、Ir(DMP)、Ir(Mphq)IR(phq)tpy、fac−Ir(ppy)Pc、Ir(dp)PQ、Ir(Dpm)(Piq)、Hex−Ir(piq)(acac)、Hex−Ir(piq)、Ir(dmpq)、Ir(dmpq)(acac)、FPQIrpicなどがあげられる。
式(B1−10)で表される化合物としては、他には、例えば下記式(B1−10−1)〜式(B1−10−31)で表される化合物があげられる。
Figure 2021061262
式(B1−15)で表される化合物としては、他には、例えば下記式(B1−15−1)〜式(B1−15−6)で表される化合物があげられる。
Figure 2021061262
また、特開2006-089398号公報、特開2006-080419号公報、特開2005-298483号公報、特開2005-097263号公報、および特開2004-111379号公報などに記載されたイリジウム錯体を用いてもよい。燐光材料において高効率の観点から緑発光に対しては、Ir(ppy)、Hex−Ir(ppy)が、赤発光に対してはIr(piq)、Hex−Ir(piq)、Hex−Ir(piq)(acac)が好ましい。
1−3−2.TADF材料
励起一重項状態と励起三重項状態のエネルギー差を小さくすることで、通常は遷移確率が低い励起三重項状態から励起一重項状態への逆エネルギー移動を高効率で生じさせることで、一重項からの発光(熱活性化遅延蛍光、TADF)が発現する。通常の蛍光発光では電流励起により生じた75%の三重項励起子は熱失活経路を通るため蛍光として取りたすことはできない。一方、TADFでは全ての励起子を蛍光発光に利用することができ、高効率な有機EL素子が実現できる。
このような第2成分としては、例えば下記一般式(B2)で表される化合物があげられる。
Figure 2021061262
式(B2)において、EDは電子供与性基であり、Lnは結合基であり、EAは電子受容性基であり、式(B2)で表される化合物の一重項エネルギー(S)と三重項エネルギー(T)のエネルギー差(ΔS)は0.2eV以下である(Hiroki Uoyama, Kenichi Goushi, Katsuyuki Shizu, Hiroko Nomura, Chihaya Adachi, Nature, 492, 234-238 (2012))。エネルギー差(ΔS)は、好ましくは0.15eV以下であり、より好ましくは0.10eV以下であり、さらに好ましくは0.08eV以下である。
EDとしては、例えば、sp窒素を含有する官能基があげられ、より具体的には、カルバゾール、アリールアミンおよびジアリールアミンがあげられる。また、EAとしては、例えば、sp窒素含有芳香族環、CN置換芳香族環、ケトンを有する環およびシアノ基、より具体的には、ピリジン、ピリミジンおよびトリアジンがあげられる。Lnとしては、例えば、単結合およびアリーレンがあげられ、より具体的には、フェニレン、ビフェニレン、があげられる。また、いずれの構造においても水素がアルキルおよびアリールで置換されてもよい。
式(B2)で表される化合物としては、例えば、以下の4CzIPN、4CzTPN−Ph、PIC−TRZなどがあげられる。
Figure 2021061262
1−3−3.式(B3)で表される多環芳香族化合物
一般式(B3)で表される多環芳香族化合物および一般式(B3)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体は以下のとおりであり、好ましくは、下記一般式(B3’)で表される多環芳香族化合物および下記一般式(B3’)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
Figure 2021061262
一般式(B3)におけるA環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換基で置換されていてもよい。この置換基は、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールを有するアミノ基)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、シアノまたはハロゲンが好ましい。これらの基が置換基を有する場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリールまたはアルキルが挙げられる。また、上記アリール環またはヘテロアリール環は、中心元素B(ホウ素)および左右の>N−Rから構成される一般式(B3)中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有することが好ましい。
ここで、「縮合2環構造」とは、一般式(B3)の中央に示した、中心元素B(ホウ素)および左右の>N−Rを含んで構成される2つの飽和炭化水素環が縮合した構造を意味する。また、「縮合2環構造と結合を共有する6員環」とは、例えば上記一般式(B3’)で示すように縮合2環構造に縮合したa環(ベンゼン環(6員環))を意味する。また、「(A環である)アリール環またはヘテロアリール環がこの6員環を有する」とは、この6員環だけでA環が形成されるか、または、この6員環を含むようにこの6員環にさらに他の環などが縮合してA環が形成されることを意味する。言い換えれば、ここで言う「6員環を有する(A環である)アリール環またはヘテロアリール環」とは、A環の全部または一部を構成する6員環が、縮合2環構造に縮合していることを意味する。「B環(b環)」、「C環(c環)」、また「5員環」についても同様の説明が当てはまる。
一般式(B3)におけるA環(またはB環、C環)は、一般式(B3’)におけるa環とその置換基R〜R(またはb環とその置換基R〜R11、c環とその置換基R〜R)に対応する。すなわち、一般式(B3’)は、一般式(B3)のA〜C環として「6員環を有するA〜C環」が選択された構造に対応する。その意味で、一般式(B3’)の各環を小文字のa〜cで表した。
一般式(B3’)では、a環、b環およびc環の置換基R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよい。したがって、一般式(B3’)で表される多環芳香族化合物は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記式(B3’−1)および式(B3’−2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。各式中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(B3)におけるそれぞれA環、B環およびC環に対応する。なお、式(B3’−1)および式(B3’−2)における各符号は式(B3)における定義と同じである。
Figure 2021061262
上記式(B3’−1)および式(B3’−2)中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(B3’)で説明すれば、置換基R〜R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがA’環、B’環およびC’環に変化した化合物もある。また、上記式(B3’−1)および式(B3’−2)から分かるように、例えば、b環のRとc環のR、b環のR11とa環のR、c環のRとa環のRなどは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
上記式(B3’−1)や式(B3’−2)で表される化合物は、例えばa環(またはb環またはc環)であるベンゼン環に対してベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環などが縮合して形成されるA’環(またはB’環またはC’環)を有する化合物であり、形成されてできた縮合環A’(または縮合環B’または縮合環C’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環などである。
一般式(B3)における>N−RのRは独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、前記>N−RのRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、連結基としては、−O−、−S−または−C(−R)−が好ましい。なお、前記「−C(−R)−」のRは水素またはアルキルである。この説明は一般式(B3’)における>N−Rでも同じである。
ここで、一般式(B3)における「>N−RのRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合している」との規定は、一般式(B3’)では「>N−RのRは−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合している」との規定に対応する。
この規定は、下記式(B3’−3−1)で表される、Nが縮合環B’および縮合環C’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。すなわち、例えば一般式(B3’)におけるb環(またはc環)であるベンゼン環に対してNを取り込むようにして他の環が縮合して形成されるB’環(またはC’環)を有する化合物である。形成された縮合環B’(または縮合環C’)は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
また、上記規定は、下記式(B3’−3−2)や式(B3’−3−3)で表される、Nが縮合環A’に取り込まれた環構造を有する化合物でも表現できる。すなわち、例えば一般式(B3’)におけるa環であるベンゼン環に対してNを取り込むようにして他の環が縮合して形成されるA’環を有する化合物である。形成された縮合環A’は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。なお、式(B3’−3−1)〜式(B3’−3−3)における各符号は式(B3’)における定義と同じである。
Figure 2021061262
一般式(B3)のA環、B環およびC環である「アリール環」としては、例えば、炭素数6〜30のアリール環が挙げられ、炭素数6〜16のアリール環が好ましく、炭素数6〜12のアリール環がより好ましく、炭素数6〜10のアリール環が特に好ましい。なお、この「アリール環」は、一般式(B3’)で規定された「R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となる。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、三環系であるテルフェニル環(m−テルフェニル、o−テルフェニル、p−テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などが挙げられる。
一般式(B3)のA環、B環およびC環である「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリール環が挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。なお、この「ヘテロアリール環」は、一般式(B3’)で規定された「R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたヘテロアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H−ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、オキサジアゾール環、チアントレン環などが挙げられる。
上記「アリール環」または「ヘテロアリール環」における少なくとも1つの水素は、第1の置換基である、置換または無置換の「アリール」、置換または無置換の「ヘテロアリール」、置換または無置換の「ジアリールアミノ」、置換または無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アルキル」、置換または無置換の「アルコキシ」、または、置換または無置換の「アリールオキシ」で置換されていてもよいが、この第1の置換基としての「アリール」や「へテルアリール」、「ジアリールアミノ」のアリール、「ジヘテロアリールアミノ」のヘテロアリール、「アリールヘテロアリールアミノ」のアリールとヘテロアリール、また「アリールオキシ」のアリールとしては上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基が挙げられる。
また第1の置換基としての「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルが挙げられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)が特に好ましい。
具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどが挙げられる。
また第1の置換基としての「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜24の直鎖または炭素数3〜24の分枝鎖のアルコキシが挙げられる。炭素数1〜18のアルコキシ(炭素数3〜18の分枝鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ(炭素数3〜12の分枝鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ(炭素数3〜6の分枝鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ(炭素数3〜4の分枝鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどが挙げられる。
また第1の置換基としての「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくは塩素である。
第1の置換基である、置換または無置換の「アリール」、置換または無置換の「ヘテロアリール」、置換または無置換の「ジアリールアミノ」、置換または無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アルキル」、置換または無置換の「アルコキシ」、または、置換または無置換の「アリールオキシ」は、置換または無置換と説明されているとおり、それらにおける少なくとも1つの水素が第2の置換基で置換されていてもよい。この第2の置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリールまたはアルキルが挙げられ、それらの具体例は、上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基、また第1の置換基としての「アルキル」の説明を参照することができる。また、第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールには、それらにおける少なくとも1つの水素がフェニルなどのアリール(具体例は上述した基)やメチルなどのアルキル(具体例は上述した基)で置換された基も第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールに含まれる。その一例としては、第2の置換基がカルバゾリル基の場合には、9位における少なくとも1つの水素がフェニルなどのアリールやメチルなどのアルキルで置換されたカルバゾリル基も第2の置換基としてのヘテロアリールに含まれる。
一般式(B3’)のR〜R11におけるアリール、へテルアリール、ジアリールアミノのアリール、ジヘテロアリールアミノのヘテロアリール、アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリール、またはアリールオキシのアリールとしては、一般式(B3)で説明した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基が挙げられる。また、R〜R11におけるアルキルまたはアルコキシとしては、上述した一般式(B3)の説明における第1の置換基としての「アルキル」や「アルコキシ」の説明を参照することができる。さらに、これらの基への置換基としてのアリール、ヘテロアリールまたはアルキルも同様である。また、また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成した場合の、これらの環への置換基であるヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシ、および、さらなる置換基であるアリール、ヘテロアリールまたはアルキルについても同様である。
一般式(B3)の>N−RのRは上述した第2の置換基で置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたはアルキルであり、アリールやヘテロアリールにおける少なくとも1つの水素は例えばアルキルで置換されていてもよい。このアリール、ヘテロアリールやアルキルとしては上述する基が挙げられる。特に炭素数6〜10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数2〜15のヘテロアリール(例えばカルバゾリルなど)、炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)が好ましい。この説明は一般式(B3’)における>N−RのRでも同じである。
一般式(B3)における連結基である「−C(−R)−」のRは水素またはアルキルであるが、このアルキルとしては上述する基が挙げられる。特に炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)が好ましい。この説明は一般式(B3’)における連結基である「−C(−R)−」でも同じである。
また、発光層には、一般式(B3)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体、好ましくは、一般式(B3’)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体が含まれてもよい。多量体は、2〜6量体が好ましく、2〜3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、1つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、例えば、上記単位構造が単結合、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などの連結基で複数結合した形態に加えて、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)同士が縮合するようにして結合した形態であってもよい。
このような多量体としては、例えば、下記式(B3’−4)、式(B3’−4−1)、式(B3’−4−2)、式(B3’−5−1)〜式(B3’−5−4)または式(B3’−6)で表される多量体化合物が挙げられる。下記式(B3’−4)は2量体化合物、式(B3’−4−1)は2量体化合物、式(B3’−4−2)は3量体化合物、式(B3’−5−1)は2量体化合物、式(B3’−5−2)は2量体化合物、式(B3’−5−3)は2量体化合物、式(B3’−5−4)は3量体化合物、式(B3’−6)は2量体化合物である。下記式(B3’−4)で表される多量体化合物は、一般式(B3’)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(B3’)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(B3’−4−1)で表される多量体化合物は、一般式(B3’)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、2つの一般式(B3’)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(B3’−4−2)で表される多量体化合物は、一般式(B3’)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、3つの一般式(B3’)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(B3’−5−1)〜式(B3’−5−4)で表される多量体化合物は、一般式(B3’)で説明すれば、b環(またはc環)であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(B3’)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(B3’−6)で表される多量体化合物は、一般式(B3’)で説明すれば、例えばある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とが縮合するようにして、複数の一般式(B3’)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物である。なお、下記各式における各符号は式(B3’)における定義と同じである。
Figure 2021061262
多量体化合物は、式(B3’−4)、式(B3’−4−1)または式(B3’−4−2)で表現される多量化形態と、式(B3’−5−1)〜式(B3’−5−4)のいずれかまたは式(B3’−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(B3’−5−1)〜式(B3’−5−4)のいずれかで表現される多量化形態と、式(B3’)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(B3’)、式(B3’−4−1)または式(B3’−4−2)で表現される多量化形態と式(B3’−5−1)〜式(B3’−5−4)のいずれかで表現される多量化形態と式(B3’−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよい。
また、一般式(B3)または(B3’)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の化学構造中の水素は、その全てまたは一部が重水素であってもよい。
また、一般式(B3)または(B3’)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の化学構造中の水素は、その全てまたは一部がシアノまたはハロゲンであってもよい。例えば、式(B3)においては、A環、B環、C環(A〜C環はアリール環またはヘテロアリール環)、A〜C環への置換基、ならびに、>N−RにおけるR(=アルキル、アリール)における水素がシアノまたはハロゲンで置換されうるが、これらの中でもアリールやヘテロアリールにおける全てまたは一部の水素がシアノまたはハロゲンで置換された態様が挙げられる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素である。
一般式(B3)で表される多環芳香族化合物およびその多量体のさらに具体的な例としては、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021061262
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上記式(B3-3001)、式(B3-3001-Cz1)〜式(B3-3001-Cz9)、式(B3-3002)、式(B3-3002-Cz1)および式(B3-3002-Cz2)のいずれかで表される化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1〜6のアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
また、式(B3)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、A環、B環およびC環(a環、b環およびc環)の少なくとも1つにおける、中心元素B(ホウ素)に対するパラ位にフェニルオキシ基、カルバゾリル基またはジフェニルアミノ基を導入することで、T1エネルギーの向上(およそ0.01〜0.1eV向上)が期待できる。特に、B(ホウ素)に対するパラ位にフェニルオキシ基を導入することで、A環、B環およびC環(a環、b環およびc環)であるベンゼン環上のHOMOがよりホウ素に対するメタ位に局在化し、LUMOがホウ素に対するオルトおよびパラ位に局在化するため、T1エネルギーの向上が特に期待できる。
このような具体例としては、例えば、下記式(B3−4501)〜式(B3−4522)で表される化合物が挙げられる。
なお、式中のRはアルキルであり、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルが挙げられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)が特に好ましい。また、Rとしては他にフェニルが挙げられる。
また、「PhO−」はフェニルオキシ基であり、このフェニルは直鎖または分枝鎖のアルキルで置換されていてもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキル、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)で置換されていてもよい。
Figure 2021061262
また、式(B3)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の具体的な例としては、上述した化合物において、化合物中の1個または複数個の芳香環における少なくとも1つの水素が1個または複数個のアルキルやアリールで置換された化合物が挙げられ、より好ましくは1〜2個の炭素数1〜12のアルキルや炭素数6〜10のアリールで置換された化合物が挙げられる。
具体的には、以下の化合物が挙げられる。下記式中のRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数6〜10のアリール、好ましくは炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルであり、nはそれぞれ独立して0〜2、好ましくは1である。
Figure 2021061262
Figure 2021061262
また、式(B3)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の具体的な例としては、化合物中の1個または複数個のフェニル基または1個のフェニレン基における少なくとも1つの水素が1個または複数個の炭素数1〜4のアルキル、好ましくは炭素数1〜3のアルキル(好ましくは1個または複数個のメチル基)で置換された化合物が挙げられ、より好ましくは、1個のフェニル基のオルト位における水素(2箇所のうち2箇所とも、好ましくはいずれか一箇所)または1個のフェニレン基のオルト位における水素(最大4箇所のうち4箇所とも、好ましくはいずれか1箇所)がメチル基で置換された化合物が挙げられる。
化合物中の末端のフェニル基やp−フェ二レン基のオルト位における少なくとも1つの水素をメチル基などで置換することにより、隣り合う芳香環同士が直交しやすくなって共役が弱まる結果、三重項励起エネルギー(E)を高めることが可能となる。
式(B3)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、国際公開第2015/102118号公報に記載された製造方法に従って製造することができる。また、上記式(A)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の製造方法を参考にして、第1反応においてエーテル化反応ではなく、ブッフバルト−ハートウィッグ反応などの一般的アミノ化反応を用いて製造することができる。
2.有機電界発光素子のより詳細な説明
以下に、本実施形態に係る有機EL素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
2−1.有機電界発光素子の構造
図1に示された有機EL素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機EL素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機EL素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
2−2.有機電界発光素子における基板
基板101は、有機EL素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
2−3.有機電界発光素子における陽極
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機EL素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/□、好ましくは50〜5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50〜300nmの間で用いられることが多い。
2−4.有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の1種または2種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N4’−ジフェニル−N,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N,N4’,N4’−テトラ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、あるいは、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニンZnPcなど)が知られている(特開2005-167175号公報)。
2−5.有機電界発光素子における発光層
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ1種であっても、複数種の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。第1成分である式(A)で表される多環芳香族化合物およびその多量体はホスト材料として使用することができる。また、第2成分である式(B1)、式(B2)または式(B3)で表される化合物はドーパント材料として使用することができる。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50〜99.999重量%であり、より好ましくは70〜99.9重量%であり、さらに好ましくは80〜99.9重量%であり、特に好ましくは90〜99.9重量%である。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001〜50重量%であり、より好ましくは0.1〜30重量%であり、さらに好ましくは0.1〜20重量%であり、特に好ましくは0.1〜10重量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
式(A)で表される化合物と併用することができるホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などがあげられる。
また、式(B1)、式(B2)または式(B3)で表される化合物と併用することができるドーパント材料としては、特に限定されず、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレン、ルブレンおよびクリセンなどの縮合環誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1-245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2-247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2−メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7−ジアルキルアミノクマリン誘導体、7−ピペリジノクマリン誘導体、7−ヒドロキシクマリン誘導体、7−メトキシクマリン誘導体、7−アセトキシクマリン誘導体、3−ベンゾチアゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾイミダゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンゾアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5−チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体、デアザフラビン誘導体、フルオレン誘導体およびベンゾフルオレン誘導体などがあげられる。
発色光ごとに例示すると、青〜青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデン、クリセンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などがあげられる。
また、緑〜黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などがあげられ、さらに上記青〜青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例としてあげられる。
さらに、橙〜赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体などあげられ、さらに上記青〜青緑色および緑〜黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例としてあげられる。
その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それにあげられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
スチルベン構造を有するアミンは、例えば、下記式で表される。
Figure 2021061262
当該式中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するm価の基であり、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであるが、Ar〜Arの少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、mは1〜4の整数である。
スチルベン構造を有するアミンは、下記式で表されるジアミノスチルベンがより好ましい。
Figure 2021061262
当該式中、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、ArおよびArは置換されていてもよい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、スチルベン、ジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、ジスチリルフルオレンなどがあげられる。
スチルベン構造を有するアミンの具体例は、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(1−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(2−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(9−フェナントリル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ビス[4”−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ビフェニル、1,4−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ベンゼン、2,7−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−ジメチルフルオレン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニル、4,4’−ビス(9−フェニル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニルなどがあげられる。
また、特開2003-347056号公報、および特開2001-307884号公報などに記載されたスチルベン構造を有するアミンを用いてもよい。
ペリレン誘導体としては、例えば、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン、3,10−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ペリレン、3,10−ジフェニルペリレン、3,4−ジフェニルペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、3,4,9,10−テトラフェニルペリレン、3−(1’−ピレニル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3−(9’−アントリル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3,3’−ビス(8,11−ジ(t−ブチル)ペリレニル)などがあげられる。
また、特開平11-97178号公報、特開2000-133457号公報、特開2000-26324号公報、特開2001-267079号公報、特開2001-267078号公報、特開2001-267076号公報、特開2000-34234号公報、特開2001-267075号公報、および特開2001-217077号公報などに記載されたペリレン誘導体を用いてもよい。
ボラン誘導体としては、例えば、1,8−ジフェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−フェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、4−(9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、4−(10’−フェニル−9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、9−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−ビフェニリル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−(N−カルバゾリル)フェニル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセンなどがあげられる。
また、国際公開第2000/40586号パンフレットなどに記載されたボラン誘導体を用いてもよい。
芳香族アミン誘導体は、例えば、下記式で表される。
Figure 2021061262
当該式中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するn価の基であり、ArおよびArはそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは1〜4の整数である。
特に、Arがアントラセン、クリセン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはピレンに由来する2価の基であり、ArおよびArがそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは2である、芳香族アミン誘導体がより好ましい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレンフェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、ペンタセンなどがあげられる。
芳香族アミン誘導体としては、クリセン系としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルクリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ナフタレン−2−イル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミンなどがあげられる。
また、ピレン系としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)−3,8−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N,N−テトラフェニルピレン−1,8−ジアミン、N,N’−ビス(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニルピレン−1,8−ジアミン、N,N−ジフェニル−N,N−ビス−(4−トリメチルシラニル−フェニル)−1H,8H−ピレン−1,6−ジアミンなどがあげられる。
また、アントラセン系としては、例えば、N,N,N,N−テトラフェニルアントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、9,10−ビス(4−ジフェニルアミノ−フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(1−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(2−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、10−ジ−p−トリルアミノ−9−(4−ジ−p−トリルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(6−ジフェニルアミノ−2−ナフチル)アントラセンなどがあげられる。
また、他には、[4−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−1−イル]−ジフェニルアミン、[6−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−2−イル]−ジフェニルアミン、4,4’−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]ビフェニル、4,4’−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]ビフェニル、4,4”−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]−p−テルフェニル、4,4”−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]−p−テルフェニルなどがあげられる。
また、特開2006-156888号公報などに記載された芳香族アミン誘導体を用いてもよい。
クマリン誘導体としては、クマリン−6、クマリン−334などがあげられる。
また、特開2004-43646号公報、特開2001-76876号公報、および特開平6-298758号公報などに記載されたクマリン誘導体を用いてもよい。
ピラン誘導体としては、下記のDCM、DCJTBなどがあげられる。
Figure 2021061262
また、特開2005-126399号公報、特開2005-097283号公報、特開2002-234892号公報、特開2001-220577号公報、特開2001-081090号公報、および特開2001-052869号公報などに記載されたピラン誘導体を用いてもよい。
2−6.有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環または複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などが挙げられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などが挙げられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体が好ましい。
<ボラン誘導体>
ボラン誘導体は、例えば下記一般式(ETM−1)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。
Figure 2021061262
上記式(ETM−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリールまたはアルキルなどが挙げられる。
上記一般式(ETM−1)で表される化合物の中でも、下記一般式(ETM−1−1)で表される化合物や下記一般式(ETM−1−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2021061262
式(ETM−1−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0〜4の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリールまたはアルキルなどが挙げられる。
Figure 2021061262
式(ETM−1−2)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリールまたはアルキルなどが挙げられる。
の具体的な例としては、下記式(X−1)〜式(X−9)で表される2価の基が挙げられる。
Figure 2021061262
(各式中、Rは、それぞれ独立してアルキル基または置換されていてもよいフェニル基である。)
このボラン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021061262
このボラン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリジン誘導体>
ピリジン誘導体は、例えば下記式(ETM−2)で表される化合物であり、好ましくは式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)で表される化合物である。
Figure 2021061262
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。
上記式(ETM−2−1)において、R11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。
上記式(ETM−2−2)において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、R11およびR12は結合して環を形成していてもよい。
各式において、「ピリジン系置換基」は、下記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであり、ピリジン系置換基はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい。また、ピリジン系置換基はフェニレン基やナフチレン基を介して各式におけるφ、アントラセン環またはフルオレン環に結合していてもよい。
Figure 2021061262
ピリジン系置換基は、上記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであるが、これらの中でも、下記式(Py−21)〜式(Py−44)のいずれかであることが好ましい。
Figure 2021061262
各ピリジン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよく、また、上記式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における2つの「ピリジン系置換基」のうちの一方はアリールで置き換えられていてもよい。
11〜R18における「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどが挙げられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数1〜4のアルキルとしては、上記アルキルの説明を引用することができる。
11〜R18における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
11〜R18における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、単環系アリールであるフェニル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる。
好ましい「炭素数6〜30のアリール」は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルなどが挙げられ、さらに好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはフェナントリルが挙げられ、特に好ましくはフェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチルが挙げられる。
上記式(ETM−2−2)におけるR11およびR12は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このピリジン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021061262
このピリジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フルオランテン誘導体>
フルオランテン誘導体は、例えば下記一般式(ETM−3)で表される化合物であり、詳細には国際公開第2010/134352号公報に開示されている。
Figure 2021061262
上記式(ETM−3)中、X12〜X21は水素、ハロゲン、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、直鎖、分岐もしくは環状のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールを表す。ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリールまたはアルキルなどが挙げられる。
このフルオランテン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021061262
<BO系誘導体>
BO系誘導体は、例えば下記式(ETM−4)で表される多環芳香族化合物、または下記式(ETM−4)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
Figure 2021061262
〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよい。
また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよい。
また、式(ETM−4)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(ETM−4)における置換基や環形成の形態、また式(ETM−4)の構造が複数合わさってできる多量体の説明については、上記一般式(A)で表される多環芳香族化合物やその多量体の説明を引用することができる。
このBO系誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021061262
このBO系誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<アントラセン誘導体>
アントラセン誘導体の一つは、例えば下記式(ETM−5−1)で表される化合物である。
Figure 2021061262
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンであり、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールである。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンから適宜選択することができ、2つのArが異なっていても同じであってもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じであることが好ましい。Arはピリジンと結合して、「Arおよびピリジンからなる部位」を形成しており、この部位は例えば下記式(Py−1)〜式(Py−12)のいずれかで表される基としてアントラセンに結合している。
Figure 2021061262
これらの基の中でも、上記式(Py−1)〜式(Py−9)のいずれかで表される基が好ましく、上記式(Py−1)〜式(Py−6)のいずれかで表される基がより好ましい。アントラセンに結合する2つの「Arおよびピリジンからなる部位」は、その構造が同じであっても異なっていてもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じ構造であることが好ましい。ただし、素子特性の観点からは、2つの「Arおよびピリジンからなる部位」の構造が同じであっても異なっていても好ましい。
〜Rにおける炭素数1〜6のアルキルについては直鎖および分枝鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1〜6の直鎖アルキルまたは炭素数3〜6の分枝鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、または2−エチルブチルなどが挙げられ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、またはt−ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt−ブチルがより好ましい。
〜Rにおける炭素数3〜6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
〜Rにおける炭素数6〜20のアリールについては、炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。
「炭素数6〜20のアリール」の具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アントラセン−(1−,2−,9−)イル、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、テトラセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イルなどが挙げられる。
好ましい「炭素数6〜20のアリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはm−テルフェニル−5’−イルであり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチルまたは2−ナフチルであり、最も好ましくはフェニルである。
アントラセン誘導体の一つは、例えば下記式(ETM−5−2)で表される化合物である。
Figure 2021061262
Arは、それぞれ独立して、単結合、2価のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、またはフェナレンである。
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。
〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における説明を引用することができる。
これらのアントラセン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021061262
これらのアントラセン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾフルオレン誘導体>
ベンゾフルオレン誘導体は、例えば下記式(ETM−6)で表される化合物である。
Figure 2021061262
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。
Arは、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、2つのArは結合して環を形成していてもよい。
Arにおける「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシルなどが挙げられる。
Arにおける「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
Arにおける「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。
2つのArは結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このベンゾフルオレン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021061262
このベンゾフルオレン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ホスフィンオキサイド誘導体>
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2013/079217号公報にも記載されている。
Figure 2021061262
は、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、
は、CN、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のヘテロアルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数5〜20のヘテロアリール、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数6〜20のアリールオキシであり、
およびRは、それぞれ独立して、置換または無置換の、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、
は酸素または硫黄であり、
jは0または1であり、kは0または1であり、rは0〜4の整数であり、qは1〜3の整数である。
ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリールまたはアルキルなどが挙げられる。
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−2)で表される化合物でもよい。
Figure 2021061262
〜Rは、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。
Arは、同じでも異なっていてもよく、アリーレン基またはヘテロアリーレン基である。Arは、同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。ただし、ArおよびArのうち少なくとも一方は置換基を有しているか、または隣接置換基との間に縮合環を形成している。nは0〜3の整数であり、nが0のとき不飽和構造部分は存在せず、nが3のときR1は存在しない。
これらの置換基の内、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常、1〜20の範囲である。
また、シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。
また、アラルキル基とは、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。脂肪族部分の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。
また、アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。
また、シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
また、アルキニル基とは、例えば、アセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。
また、アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。
また、アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、複素環基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜30の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
アルデヒド基、カルボニル基、アミノ基には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換された基も含むことができる。
また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1〜6である。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、ArとR、ArとR、ArとR、ArとR、RとR、ArとAr等の間で形成された共役または非共役の縮合環である。ここで、nが1の場合、2つのR同士で共役または非共役の縮合環を形成してもよい。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
このホスフィンオキサイド誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021061262
このホスフィンオキサイド誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリミジン誘導体>
ピリミジン誘導体は、例えば下記式(ETM−8)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−8−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2011/021689号公報にも記載されている。
Figure 2021061262
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このピリミジン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021061262
このピリミジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<カルバゾール誘導体>
カルバゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−9)で表される化合物、またはそれが単結合などで複数結合した多量体である。詳細は米国公開公報2014/0197386号公報に記載されている。
Figure 2021061262
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは独立して0〜4の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0または1である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
カルバゾール誘導体は、上記式(ETM−9)で表される化合物が単結合などで複数結合した多量体であってもよい。この場合、単結合以外に、アリール環(好ましくは多価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)で結合されていてもよい。
このカルバゾール誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021061262
このカルバゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<トリアジン誘導体>
トリアジン誘導体は、例えば下記式(ETM−10)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−10−1)で表される化合物である。詳細は米国公開公報2011/0156013号公報に記載されている。
Figure 2021061262
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜3の整数であり、好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このトリアジン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021061262
このトリアジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾイミダゾール誘導体>
ベンゾイミダゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−11)で表される化合物である。
Figure 2021061262
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「ベンゾイミダゾール系置換基」は、上記式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がベンゾイミダゾール基に置き換わった基であり、ベンゾイミダゾール誘導体における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
Figure 2021061262
上記ベンゾイミダゾール基におけるR11は、水素、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜30のアリールであり、上記式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)におけるR11の説明を引用することができる。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)の構造を引用することができ、各式中のR11〜R18は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをベンゾイミダゾール系置換基に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。
このベンゾイミダゾール誘導体の具体例としては、例えば1−フェニル−2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(3−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールなどが挙げられる。
Figure 2021061262
このベンゾイミダゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フェナントロリン誘導体>
フェナントロリン誘導体は、例えば下記式(ETM−12)または式(ETM−12−1)で表される化合物である。詳細は国際公開2006/021982号公報に記載されている。
Figure 2021061262
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。
各式のR11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。また、上記式(ETM−12−1)においてはR11〜R18のいずれかがアリール環であるφと結合する。
各フェナントロリン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
11〜R18におけるアルキル、シクロアルキルおよびアリールとしては、上記式(ETM−2)におけるR11〜R18の説明を引用することができる。また、φは上記した構造のほかに、例えば、以下の構造式が挙げられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルである。
Figure 2021061262
このフェナントロリン誘導体の具体例としては、例えば4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオロ−ビ(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロインや1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどが挙げられる。
Figure 2021061262
このフェナントロリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<キノリノール系金属錯体>
キノリノール系金属錯体は、例えば下記一般式(ETM−13)で表される化合物である。
Figure 2021061262
式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素、アルキル、アラルキル、アルケニル、シアノ、アルコキシまたはアリールであり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1〜3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8−キノリノールリチウム、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどが挙げられる。
このキノリノール系金属錯体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体>
チアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−1)で表される化合物である。
Figure 2021061262
ベンゾチアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−2)で表される化合物である。
Figure 2021061262
各式のφは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「チアゾール系置換基」や「ベンゾチアゾール系置換基」は、上記式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がチアゾール基やベンゾチアゾール基に置き換わった基であり、チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
Figure 2021061262
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)の構造を引用することができ、各式中のR11〜R18は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。
これらのチアゾール誘導体またはベンゾチアゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0〜2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
2−7.有機電界発光素子における陰極
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の材料を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
2−8.各層で用いてもよい結着剤
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶媒可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
2−9.有機電界発光素子の作製方法
有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50〜+400℃、真空度10−6〜10−3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
次に、有機EL素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
2−10.有機電界発光素子の応用例
また、本発明は、有機EL素子を備えた表示装置または有機EL素子を備えた照明装置などにも応用することができる。有機EL素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機EL素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどが挙げられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などが挙げられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどが挙げられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式では蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されない。まず、本発明で使用する化合物の合成例について、以下に説明する。
合成例(1)
化合物(A−226):7−(2’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)オキシ)−3,11−ジ−o−トリル−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成
Figure 2021061262
o−トリルボロン酸(2.65g、22mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.16g、1.0mmol)、炭酸カリウム(9.67g、70mmol)およびエタノール(71ml)に、窒素雰囲気下、3−ブロモフェノール(3.50g、20mmol)を加え、60℃で18時間、加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷やして、溶媒を減圧留去し、1規定塩酸(45ml)を室温で加えて、トルエンで水層を三回抽出した後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をフロリジルショートパスカラム(溶離液:トルエン)を用いて濾過し、溶媒を減圧留去した。さらに、シリカゲルカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、2’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−オールを褐色液体として得た(3.06g、収率82%)。
Figure 2021061262
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz); 2.26 (s, 3H), 4,97 (s, 1H), 6.78-6.82 (m, 2H), 6.87 (d, 1H), 7.20-7.28 (m, 5H).
13C NMR (CDCl3 101 MHz); 20.4 (1C), 113.7 (1C), 116.2 (1C), 121.9 (1C), 125.7 (1C), 127.3 (1C), 129.3 (1C), 129.6 (1C), 130.3 (1C), 135.3 (1C), 141.4 (1C), 143.6 (1C), 155.0 (1C).
2’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−オールのN−メチルピロリドン溶液(16.5mL、1.00M、17mmol)および炭酸セシウム(5.38g、70mmol)に、窒素雰囲気下、1,3,5−トリフルオロベンゼン(0.540mL、5.2mmol)を加え、90℃で18時間、加熱撹拌した後に、160℃で26時間、加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷やして、フロリジルショートパスカラム(溶離液:酢酸エチル)を用いて濾過し、溶媒を減圧留去した。さらに、シリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/10(容量比))で精製することで、1,3,5−トリス((2’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)オキシ)ベンゼンを無色液体として得た(2.88g、88%)。
Figure 2021061262
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz); 2.21 (s, 9H), 6.43 (s, 3H), 6.99-7.02 (m, 6H), 7.06 (d, 3H), 7.16-7.25 (m, 12H), 7.33 (dd, 3H).
13C NMR (CD2Cl2, 101 MHz);20.4 (3C), 103.3 (3C), 117.8 (3C), 120.3 (3C), 124.8 (3C), 125.8 (3C), 127.5 (3C), 129.5 (3C), 129.6 (3C), 130.3 (3C), 135.2 (3C), 141.0 (3C), 143.8 (3C), 155.9 (3C), 160.0 (3C).
1,3,5−トリス((2’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)オキシ)ベンゼン(1.55g、2.5mmol)および三ヨウ化ホウ素(3.89g、9.9mmol)に、窒素雰囲気下、室温でo−ジクロロベンゼン(30mL)を加え、180℃で3時間、加熱撹拌した。反応液を室温まで冷やし、減圧下で反応液中のヨウ化水素を留去した。次に、ジクロロメタン(30mL)を加えて反応溶液を薄め、リン酸緩衝溶液(100mL、pH=7)を0℃で加えて、ジクロロメタンで水層を三回抽出した後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をトルエン(100mL)に溶かして、酢酸(3.00mL、52mmol)を加え、90℃で26時間、加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷やして、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(100mL)を室温で加え、トルエンで水層を三回抽出した後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/5(容量比))で精製することで、化合物(A−226)を白色固体として得た(1.42g、収率91%)。
Figure 2021061262
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H NMR (CDCl3, 500 MHz); 2.33 (s, 3H), 2.38 (s, 6H), 6.88 (s, 2H), 7.16-7.18 (m, 2H), 7.20 (ddd, 1H), 7.23-7.36 (m, 12H), 7.37 (dd, 2H), 7.46-7.49 (m, 3H), 8.72 (d, 2H).
13C NMR (CD2Cl2, 126 MHz); 20.5 (3C), 98.5 (2C), 118.7 (2C), 118.8 (1C), 121.3 (1C) 124.3 (2C), 125.6 (1C), 125.8 (1C), 125.9 (2C), 127.6 (1C), 127.8 (2C), 129.7 (4C), 130.4 (1C), 130.5 (2C), 134.1 (2C), 135.3 (1C), 135.3(2C), 140.9 (3C), 144.1 (1C), 147.3 (2C), 155.3 (1C), 158.8 (2C), 160.4 (2C), 163.9 (1C). The NMR signal of the carbon α to the boron was not observed.
合成例(2)
化合物(A−201):7−([1,1’−ビフェニル]−3−イルオキシ)−3,11−ジフェニル−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成
Figure 2021061262
[1,1’−ビフェニル]−3−オール(3.84g、20mmol)、炭酸セシウム(5.38g、70mmol)およびN−メチルピロリドン(30mL)に、窒素雰囲気下、1,3,5−トリフルオロベンゼン(0.540mL、5.2mmol)を加え、90℃で18時間、加熱撹拌した後に、160℃で32時間、加熱撹拌した。反応溶媒を室温まで冷やして、フロリジルショートパスカラム(溶離液:酢酸エチル)を用いて濾過し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を昇華精製(250℃、8.9×10−4Pa)することで、1,3,5−トリス([1,1’-ビフェニル]−3−イルオキシ)ベンゼンを黄色固体として得た(2.07g、収率71%)。
Figure 2021061262
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz); 6.46 (s, 3H), 7.00 (d, 3H), 7.27 (s, 3H), 7.30-7.35 (m, 9H), 7.39(t, 6H), 7.50(d, 6H).
13C NMR (CD2Cl2, 101 MHz); 103.4 (3C), 118.1 (3C), 118.2 (3C), 122.8 (3C), 127.1 (6C), 127.6 (3C), 128.8 (6C), 130.2 (3C), 140.3 (3C), 143.2 (3C), 156.5 (3C), 159.6 (3C).
1,3,5−トリス([1,1’-ビフェニル]−3−イルオキシ)ベンゼン(0.117g、0.20mmol)および三ヨウ化ホウ素(0.784g、0.20mmol)に、窒素雰囲気下、室温で1,2,4−トリクロロベンゼン(4.0mL)を加え、200℃で12時間、加熱撹拌した。反応溶媒を室温まで冷やし、減圧下で反応溶媒中のヨウ化水素を留去した。その後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.105mL、0.60mmol)を室温で加え、溶媒を留去した。次に、シリカゲルショートパスカラム(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/3(容量比)、さらにトルエン)を用いて濾過した。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をGPCで精製することで、化合物(A−201)を黄色固体として得た(0.236g、収率20%)。
Figure 2021061262
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H NMR (CD2Cl2, 500 MHz); 6.85 (s, 2H), 7.17 (d, 1H), 7.36 (t, 1H), 7.40-7.46 (m, 5H), 7.48-7.53 (m, 6H), 7.59-7.63 (m, 4H), 7.68 (s, 2H), 7.72-7.74 (d, 4H), 8.66 (d, 2H).
13C NMR (CD2Cl2, 126 MHz); 99.3 (2C), 116.2 (2C), 119.3 (1C), 119.3 (1C) 121.8(2C), 123.5 (1C), 127.1 (2C), 127.3 (4C), 127.7 (1C), 128.2 (2C), 128.9 (2C), 128.9 (4C), 130.4 (1C), 134.8 (2C), 140.0 (2C), 140.1 (1C), 143.4 (1C), 146.0 (2C), 155.9 (1C), 158.8 (2C), 160.9 (2C), 163.9 (1C). The NMR signal of the carbon α to the boron was not observed.
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明で使用する他の化合物を合成することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために、本発明の化合物を用いた有機EL素子の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1、実施例2および比較例1に係る有機EL素子を作製し、それぞれ100cd/m発光時の特性である電圧(V)、外部量子効率(%)および発光効率(lm/W)を測定した。作製した有機EL素子における各層の材料構成を下記表1Aに示し、EL特性データを比較例1のデータを100%として下記表1Bに示す。
Figure 2021061262
Figure 2021061262
表1Aにおいて、「HI」はN,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニルであり、「HT」は4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミンであり、「EB」は1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼンであり、「EM−H」は3,3’−ビス(N−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニルであり、「ET」はジフェニル[4−(トリフェニルシリル)フェニル]ホスフィンオキシドである。以下に、化合物(A−201)、化合物(A−226)および化合物(B3−2676)と共に化学構造を示す。
Figure 2021061262
<実施例1>
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを50nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、HT、EB、化合物(A−201)、化合物(B3−2676)、ETおよびLiFをそれぞれ入れたモリブデン製蒸着用ボート、アルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して正孔注入層を形成した。次に、HTを加熱して膜厚15nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、EBを加熱して膜厚15nmになるように蒸着して電子阻止層を形成した。次に、化合物(A−201)と化合物(B3−2676)を同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。化合物(A−201)と化合物(B3−2676)の重量比がおよそ98対2になるように蒸着速度を調節した。次に、ETを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得た。
ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、100cd/m発光時の特性を測定した。
<実施例2および比較例1>
ホスト材料及びドーパント材料を表1Aに記載した材料とした以外は実施例1に準じて有機EL素子を作製し、100cd/m発光時の特性を測定した。
以上、本発明に係る化合物の一部およびホスト材料とドーパント材料の組み合わせの一部について、有機EL素子の発光層用材料としての評価を行い、その有用性を示したが、評価を行っていない他の化合物や組み合わせも同じ基本骨格や基本性能を有し、全体としても類似の構造や類似の特性を有する化合物であり、当業者においては他の化合物や組み合わせからも同様に優れた発光層用材料が得られることを理解できる。
本発明の好ましい態様によれば、従来具体的には知られていなかった、式(A)で表される多環芳香族化合物により発光特性などの有機EL特性を更に高めることができ、発光層用材料の選択肢を増やすことができる。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (16)

  1. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層とを有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、
    第1成分として、下記一般式(A)で表される多環芳香族化合物および下記一般式(A)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体の少なくとも1つと、
    第2成分として、三重項エネルギー(E)が2.2〜3.0eVである化合物を少なくとも1つとを含む、有機電界発光素子。
    Figure 2021061262
    (上記式(A)において、
    XはB、P=OまたはP=Sであり、
    〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールへテロアリールアミノまたはアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはアルキルで置換されていてもよく、
    〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアルキルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはアルキルで置換されていてもよく、
    ただし、R、R、R、RおよびR10のうちの少なくとも1つは−O−Wで表される基であり、Wはそれぞれ独立してアリールまたはヘテロアリールであって、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはアルキルで置換されていてもよく、
    式(A)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、ハロゲンまたは重水素で置換されてもよい。
  2. 上記式(A)において、
    〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)または炭素数1〜12のアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)または炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよく、
    〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)または炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)または炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよく、
    ただし、R、R、R、RおよびR10のうちの1つ、2つまたは3つが−O−Wで表される基であり、Wはそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールまたは炭素数2〜30のヘテロアリールであって、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)または炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよい、
    請求項1に記載する有機電界発光素子。
  3. 上記式(A)において、
    〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜6のアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよく、
    〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9〜12のアリール環または炭素数6〜12のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよく、
    ただし、R、R、R、RおよびR10のうちの1つ、2つまたは3つが−O−Wで表される基であり、Wはそれぞれ独立して炭素数6〜16のアリールまたは炭素数2〜15のヘテロアリールであって、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよい、
    請求項1に記載する有機電界発光素子。
  4. 上記式(A)において、
    もしくはRが−O−Wであるか、RおよびRが−O−Wであるか、RおよびR10が−O−Wであるか、または、R、RおよびR10が−O−Wであり、Wはそれぞれ独立して炭素数6〜16のアリールまたは炭素数2〜15のヘテロアリールであって、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜10のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい、
    請求項1〜3のいずれかに記載する有機電界発光素子。
  5. 上記式(A)において、
    もしくはRが−O−Wであるか、RおよびRが−O−Wであるか、RおよびR10が−O−Wであるか、または、R、RおよびR10が−O−Wであり、Wはそれぞれ独立してフェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであって、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい、
    請求項1〜3のいずれかに記載する有機電界発光素子。
  6. 第1成分が下記いずれかの一般式で表される化合物である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2021061262
    上記各式中、任意の水素は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。
  7. 第1成分が下記いずれかの一般式で表される化合物である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2021061262
  8. 第2成分が、下記一般式(B1)で表される化合物、一般式(B2)で表される化合物、一般式(B3)で表される多環芳香族化合物および一般式(B3)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれかに記載の有機電界発光素子。
    Figure 2021061262
    (上記式(B1)において、
    Mは、Ir、Pt、Au、Eu、Ru、Re、AgおよびCuからなる群から選択される少なくとも1種であり、nは1〜3の整数であり、「X−Y」はそれぞれ独立して二座のモノアニオン性配位子である。)
    Figure 2021061262
    (上記式(B2)において、
    EDは電子供与性基であり、Lnは結合基であり、EAは電子受容性基であり、式(B2)で表される化合物の一重項エネルギー(S)と三重項エネルギー(T)のエネルギー差(ΔS)は0.2eV以下である。)
    Figure 2021061262
    (上記式(B3)中、
    A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
    >N−RのRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、当該Rは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、
    式(B3)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素はハロゲンまたは重水素で置換されてもよい。)
  9. 上記式(B3)において、
    A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のアルコキシ、トリアルキルシリル、置換もしくは無置換のアリールオキシ、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、
    前記>N−RのRは、アルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルで置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、当該Rは−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは水素またはアルキルであり、
    式(B3)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素はハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、
    多量体の場合には、式(B3)で表される構造を2または3個有する2または3量体である、
    請求項8に記載する有機電界発光素子。
  10. 前記一般式(B3)で表される多環芳香族化合物またはその多量体が、下記一般式(B3’)で表される多環芳香族化合物またはその多量体である、請求項8に記載する有機電界発光素子。
    Figure 2021061262
    (上記式(B3’)中、
    〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、シアノまたはハロゲンであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよく、また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよく、
    >N−RのRは独立して、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリールまたは炭素数1〜6のアルキルであり、当該Rは−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは炭素数1〜6のアルキルであり、
    式(B3’)で表される化合物またはその多量体における少なくとも1つの水素はハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
    請求項8に記載する有機電界発光素子。
  11. 上記式(B3’)中、
    〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリールまたはジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)であり、また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は炭素数6〜10のアリールで置換されていてもよく、
    >N−RのRは独立して、炭素数6〜10のアリールであり、
    式(B3’)で表される化合物またはその多量体における少なくとも1つの水素はハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい、
    請求項8に記載する有機電界発光素子。
  12. 前記一般式(B3)で表される多環芳香族化合物またはその多量体が下記いずれかの構造式で表される化合物である、請求項8に記載する有機電界発光素子。
    Figure 2021061262
    上記式(B3−3001)、式(B3−3001−Cz4)または式(B3−3002)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1〜6のアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
  13. 前記陰極と前記発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項1〜12のいずれかに記載する有機電界発光素子。
  14. 前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項13に記載の有機電界発光素子。
  15. 請求項1〜14に記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。
  16. 請求項1〜14に記載の有機電界発光素子を備えた照明装置。
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