JP6470983B2 - メタクリル系樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

メタクリル系樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Description

本発明は、メタクリル系樹脂組成物及び成形体に関する。
メタクリル酸メチル樹脂〔Poly methyl methacrylate;PMMA〕等のメタクリル系樹脂は、透明性に優れた樹脂として知られている。
近年、メタクリル系樹脂の耐溶剤性を向上させる検討が行われている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2003−327633号公報 特開2013−32513号公報
ところで、メタクリル系樹脂の耐溶剤性を向上させるために、メタクリル系樹脂に他の成分を加えてメタクリル系樹脂組成物とする場合、単に耐溶剤性を向上させることだけではなく、メタクリル系樹脂本来の性質である透明性が極力損なわれないようにすることも求められる。
従って、本発明の目的は、優れた透明性と優れた耐溶剤性とが両立されたメタクリル系樹脂組成物及び成形体を提供することにある。
課題を解決するための具体的手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体以外のメタクリル系樹脂(A)と、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)と、を含み、厚さ2mmの板状の成形体としたときに厚さ方向の全光線透過率が80%以上であるメタクリル系樹脂組成物である。
<2> 前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)に含有される不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が、20質量%〜35質量%である<1>に記載のメタクリル系樹脂組成物である。
<3> 前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)に含有される不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位が、不飽和カルボン酸のメチルエステルに由来する構造単位及び不飽和カルボン酸のエチルエステルに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種である<1>又は<2>に記載のメタクリル系樹脂組成物である。
<4> 前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)のメルトフローレート(190℃、21.2N荷重、JIS K7210(1999))が、0.1g/10分〜50g/10分である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のメタクリル系樹脂組成物である。
<5> 前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)のメルトフローレート(190℃、21.2N荷重、JIS K7210(1999))が、0.2g/10分〜40g/10分である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のメタクリル系樹脂組成物である。
<6> 前記メタクリル系樹脂(A)のメルトフローレート(230℃、37.3N荷重、JIS K7210(1999))が、0.1g/10分〜50g/10分である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のメタクリル系樹脂組成物である。
<7> 前記メタクリル系樹脂(A)が、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体以外のメタクリル酸エステル系樹脂である<1>〜<6>のいずれか1つに記載のメタクリル系樹脂組成物である。
<8> 前記メタクリル系樹脂(A)及び前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の合計量に対して、前記メタクリル系樹脂(A)の含有量が51質量%〜99質量%であり、かつ前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の含有量が1質量%〜49質量%である<1>〜<7>のいずれか1つに記載のメタクリル系樹脂組成物。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載のメタクリル系樹脂組成物を用いて成形された成形体である。
本発明によれば、優れた透明性と優れた耐溶剤性とが両立されたメタクリル系樹脂組成物及び成形体が提供される。
実施例の耐溶剤性評価における試験片のせり上がり状態を模式的に示す斜視図である。 実施例の耐溶剤性評価における試験片のせり上がり状態を模式的に示す側面図である。
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
なお、本明細書において「〜」の記号により数値範囲を示す場合、当該数値範囲には、下限値及び上限値が含まれる。
<メタクリル系樹脂組成物>
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体以外のメタクリル系樹脂(A)と、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)と、を含み、厚さ2mmの板状の成形体としたときに厚さ方向の全光線透過率が80%以上である。
以下、単に「メタクリル系樹脂(A)」というときは、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体以外のメタクリル系樹脂を指す。
本発明では、透明性に優れた樹脂であるメタクリル系樹脂(A)に、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)を加えることにより、透明性の低下を抑制しながら(具体的には、上記全光線透過率を80%以上に維持しながら)、耐溶剤性を向上させることができる。
本発明において、耐溶剤性に優れるとは、溶剤と接触したときにひびや割れが発生しにくいことを示す。耐溶剤性の評価方法の一例は、後述の実施例において詳述する。
また、本発明において、全光線透過率は、JIS K7361−1(1997)に準拠して測定された値を指す。
上記耐溶剤性向上の効果は、メタクリル系樹脂組成物がエチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)を含むことによって奏される効果である。
この理由は明らかではないが、柔軟な樹脂であるエチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)が応力を緩和させるように作用し、かつ、このエチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)がメタクリル系樹脂(A)との相溶性に優れているため、と推測される。
また、本発明のメタクリル系樹脂組成物では、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)を含むことにより、優れた透明性が維持され易い。この理由は、メタクリル系樹脂(A)の屈折率とエチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の屈折率とが比較的近い値であるため、と推測される。
透明性をより維持しやすい観点から、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)に含有される不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量は、5質量%〜50質量%が好ましく、20質量%〜35質量%であることがより好ましい。
メタクリル系樹脂(A)の屈折率及びエチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の屈折率は、いずれも1.481〜1.496の範囲であることが好ましく、いずれも1.483〜1.495の範囲であることがより好ましく、いずれも1.485〜1.494の範囲であることがさらに好ましい。
ここで、屈折率は、JIS K7142(2008)「プラスチック−屈折率の求め方」の「A法」に準拠して測定された値を指す。
また、本発明のメタクリル系樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)を含むため、耐吸湿性にも優れている(即ち、吸湿し難い)。
更に、本発明のメタクリル系樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)を含むことにより、流動性向上や耐衝撃性向上の効果も期待できる。
次に、本発明のメタクリル系樹脂組成物が含み得る各成分について説明する。
〔メタクリル系樹脂(A)〕
本発明におけるメタクリル系樹脂(A)としては、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体以外のメタクリル系樹脂であれば特に制限はない。
本発明におけるメタクリル系樹脂(A)としては、メタクリル酸に由来する構成単位の含有量が50質量%を超えるメタクリル酸系樹脂、及び、メタクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が50質量%を超えるメタクリル酸エステル系樹脂の少なくとも一方であることが好ましい。
ここで、「メタクリル酸エステル系樹脂」とは、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体以外のメタクリル酸エステル系樹脂を指す(以下、同様である)。
上記メタクリル酸系樹脂(A)としては、メタクリル酸の単独重合体(メタクリル酸に由来する構成単位の含有量が100質量%)、メタクリル酸と他の1種又は2種以上の共重合成分との共重合体が挙げられる。
メタクリル酸と共重合し得る前記共重合成分としては、例えば、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリル酸、α−オレフィン、アクリロニトリル、ビニルピリジン、ビニルモルホリン、ビニルピリドンテトラヒドロフルフリルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシアクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、グリセリンモノアクリレート、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
上記メタクリル酸エステル系樹脂としては、メタクリル酸エステルの単独重合体(メタクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が100質量%)、メタクリル酸エステルと他の1種又は2種以上の共重合成分との共重合体が挙げられる。
メタクリル酸エステルと共重合し得る前記共重合成分としては、例えば、アクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、エチレン以外のα−オレフィン、アクリロニトリル、ビニルピリジン、ビニルモルホリン、ビニルピリドンテトラヒドロフルフリルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシアクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、グリセリンモノアクリレート、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
また、上記メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸のアルキルエステルが好ましい。メタクリル酸のアルキルエステルにおけるアルキル部位は、直鎖状でも、分岐状でも、環状でもよい。
また、上記アルキル部位の炭素数としては、1〜12が挙げられる。
上記アルキル部位として、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等のアルキル基を例示することができる。
上記アルキル部位の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1であること(すなわち、上記メタクリル酸エステルが、メタクリル酸メチル(MMA)であること)が特に好ましい。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
メタクリル系樹脂(A)としては、上記の中でも、メタクリル酸エステル系樹脂が好ましく、メタクリル酸メチル系樹脂がより好ましく、メタクリル酸メチルの単独重合体であるメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)が特に好ましい。
上記メタクリル系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)には特に制限はないが、耐溶剤性をより向上させる観点から、上記メタクリル系樹脂(A)のMFR(230℃、37.3N荷重、JIS K7210(1999))は、0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましく、0.2g/10分〜40g/10分であることがより好ましく、0.3g/10分〜30g/10分であることが更に好ましく、0.4g/10分〜15g/10分であることが更に好ましく、0.5g/10分〜5g/10分であることが特に好ましい。
また、メタクリル系樹脂(A)は、常法によって合成することができる。
例えば、メタクリル酸エステル系樹脂は、アセトシアンヒドリン(ACH)を用いたACH法、ナフサのC4留分からブタジエンを分離したスペントBBに含まれるイソブチレンを用いたイソブチレン直接酸化法等によって合成すればよい。
〔エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)〕
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)を含む。
上記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)は、不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。即ち、上記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)は、2元共重合体であってもよいし、3元共重合体であってもよい。エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)は、エチレンに由来する構造単位及び不飽和カルボン酸エステルに由来する構造単位とともに、一酸化炭素及び二酸化硫黄等から選ばれる一種又は二種以上を共重合させたエチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体であってもよい。
エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)としては、エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸のアルキルエステル(例えば、アクリル酸のアルキルエステル、メタクリル酸のアルキルエステル、エタクリル酸のアルキルエステル、クロトン酸のアルキルエステル、フマル酸のアルキルエステル、マレイン酸のアルキルエステル、マレイン酸のモノアルキルエステル、無水マレイン酸のアルキルエステル、イタコン酸のアルキルエステル、無水イタコン酸のアルキルエステル)に由来する構造単位と、からなる共重合体、及び、エチレン・アクリル酸n−ブチル・一酸化炭素共重合体等のようなエチレン・不飽和カルボン酸のアルキルエステル・一酸化炭素共重合体を例示することができる。
なお、エチレン・不飽和カルボン酸アルキルエステル・一酸化炭素共重合体(三元共重合体)において、不飽和カルボン酸アルキルエステルの例は、上記の不飽和カルボン酸アルキルエステルの例と同様である。
上記アルキルエステルのアルキル部位の炭素数としては、1〜12が挙げられる。
上記アルキル部位として、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ノルマルブチル(n−ブチル)、イソブチル、セカンダリーブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等のアルキル基が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位としては、透明性をより高く維持する観点から、不飽和カルボン酸のメチルエステルに由来する構造単位、不飽和カルボン酸のエチルエステルに由来する構造単位、不飽和カルボン酸のノルマルブチルエステルに由来する構造単位、及び不飽和カルボン酸のイソブチルエステルに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、不飽和カルボン酸のメチルエステルに由来する構造単位及び不飽和カルボン酸のエチルエステルに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましい。
また、上記不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが好ましい。
本発明において、特に好ましいエチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、とりわけ、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ノルマルブチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸ノルマルブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸イソブチル共重合体が好ましく、中でも、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体が特に好ましい。
エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)に含有される不飽和カルボン酸エステルに由来の構成単位の含有量は、5質量%〜50質量%が好ましく、20質量%〜35質量%がより好ましい。
さらに、一酸化炭素又は二酸化硫黄を共重合させる場合は、一酸化炭素又は二酸化硫黄に由来する構造単位の含有量が、共重合体の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましい。
エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)に含有される不飽和カルボン酸エステルに由来の構成単位の含有量が上記範囲にあると、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)がメタクリル系樹脂(A)との相溶性に優れることから、界面での散乱がおきにくくなり、メタクリル系樹脂組成物の透明性を維持し易く、また、メタクリル系樹脂組成物の柔軟性及び耐溶剤性をより向上させることができる。
上記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)には特に制限はないが、耐溶剤性をより向上させる観点から、上記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)のMFR(190℃、21.2N荷重、JIS K7210(1999))は、0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましく、0.2g/10分〜40g/10分であることがより好ましく、0.3g/10分〜30g/10分であることが特に好ましい。
特に、メタクリル系樹脂組成物において、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)のMFRとメタクリル系樹脂(A)のMFRとの組み合わせが、上記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)のMFRの好ましい範囲と、前述のメタクリル系樹脂(A)のMFRの好ましい範囲と、の組み合わせであると、メタクリル系樹脂組成物の耐溶剤性が顕著に向上する。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
上記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)は、例えば公知の高圧ラジカル共重合により合成することができる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物における、メタクリル系樹脂(A)の含有量及びエチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の含有量には特に制限はないが、優れた耐溶剤性と優れた透明性とをより効果的に両立させる観点から、以下の範囲が好ましい。
即ち、メタクリル系樹脂(A)及びエチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の合計量に対して、
メタクリル系樹脂(A)の含有量が50質量%を超え100質量%未満であり、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の含有量が、0質量%を超え50質量%未満であることが好ましく、
メタクリル系樹脂(A)の含有量が51質量%〜99質量%であり、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の含有量が1質量%〜49質量%であることがより好ましく、
メタクリル系樹脂(A)の含有量が75質量%〜97質量%であり、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の含有量が3質量%〜25質量%であることが更に好ましく、
メタクリル系樹脂(A)の含有量が85質量%〜97質量%であり、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の含有量が3質量%〜15質量%であることが特に好ましい。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、粘着剤、無機充填剤、ガラス繊維、カーボン繊維などの強化繊維、顔料、染料、難燃剤、難燃助剤、発泡剤、発泡助剤、ダイマー酸(又はその金属塩)、などを挙げることができる。
メタクリル系樹脂組成物を得る方法としては、メタクリル系樹脂(A)とエチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)と(必要に応じその他の成分と)を、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサ、ニーダー等で溶融加熱混合する方法等を例示できる。
<成形体>
本発明の成形体は、本発明のメタクリル系樹脂組成物を用いて成形されたものである。
このため、本発明の成形体によれば、メタクリル系樹脂(A)の透明性の低下を抑制しながら、メタクリル系樹脂(A)の耐溶剤性を向上させることができる。
メタクリル系樹脂組成物の成形方法としては、溶融押出、射出成形、ブロー成形、延伸成形等、種々の方法が挙げられる。
以上で説明したとおり、本発明のメタクリル系樹脂組成物及び成形体では、優れた透明性と優れた耐溶剤性とが両立される。
このため、本発明のメタクリル系樹脂組成物及び成形体は、透明性及び耐溶剤性が要求されるあらゆる用途に使用することができるが、特に、光学部品、水回り製品、遊具、照明、自動車部品、化粧品容器、搬送容器、等の用途に特に好適である。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
以下の実施例において、「エチレン含量」、「MA含量」、「EA含量」、「BA含量」、「CO含量」は、それぞれ、エチレンに由来する構造単位の含有量、アクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量、アクリル酸エチルに由来する構造単位の含有量、アクリル酸ノルマルブチルに由来する構造単位の含有量、一酸化炭素に由来する構造単位の含有量を指す。
以下の実施例及び比較例に用いた樹脂A及び樹脂Bは以下の通りである。
下記樹脂A及び樹脂Bにおいて、屈折率は、JIS K7142(2008)のA法に準拠して測定された値である。
−樹脂A(メタクリル系樹脂(A))−
・PMMA1 ・・・ 三菱レイヨン株式会社製、商品名:(登録商標)アクリペットVH、MFR(230℃、荷重37.3N、JIS K7210(1999))=2g/10分、屈折率1.491
・PMMA2 ・・・ 旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:デルペット80N、MFR(230℃、荷重37.3N、JIS K7210(1999))=2g/10分、屈折率1.492
−樹脂B(エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B))−
・EEA1 ・・・ エチレン・アクリル酸エチル共重合体(エチレン含量:81質量%、EA含量:19質量%)、MFR(190℃、荷重21.2N、JIS K7210(1999))=5g/10分、屈折率1.497
・EEA2 ・・・ エチレン・アクリル酸エチル共重合体(エチレン含量:77質量%、EA含量:23質量%)、MFR(190℃、荷重21.2N、JIS K7210(1999))=0.5g/10分、屈折率1.494
・EMA1 ・・・ エチレン・アクリル酸メチル共重合体(エチレン含量:75質量%、MA含量:25質量%)、MFR(190℃、荷重21.2N、JIS K7210(1999))=0.4g/10分、屈折率1.491
・EMA2 ・・・ エチレン・アクリル酸メチル共重合体(エチレン含量:76質量%、MA含量:24質量%)、MFR(190℃、荷重21.2N、JIS K7210(1999))=20g/10分、屈折率1.492
・EBA ・・・ エチレン・アクリル酸ノルマルブチル共重合体(エチレン含量:73質量%、BA含量:27質量%)、MFR(190℃、荷重21.2N、JIS K7210(1999))=4g/10分、屈折率1.491
・EnBACO1 ・・・ エチレン・アクリル酸ノルマルブチル・一酸化炭素共重合体(エチレン含量:60質量%、BA含量:30質量%、CO含量:10質量%)、MFR(190℃、21.2N、JIS K7210(1999))=8g/10分、屈折率1.487
・EnBACO2 ・・・ エチレン・アクリル酸ノルマルブチル・一酸化炭素共重合体(エチレン含量:57質量%、BA含量:30質量%、CO含量:13質量%)、MFR(190℃、21.2N、JIS K7210(1999))=12g/10分、屈折率1.489
〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
−メタクリル系樹脂組成物の製造−
上記樹脂Aと上記樹脂Bとを、下記表1に示す配合にて溶融せずに混合し、樹脂組成物(メタクリル系樹脂組成物)とした。
〔実施例5〜6〕
−メタクリル系樹脂組成物の製造−
上記樹脂Aと上記樹脂Bとを、二軸押出機を用い下記表1に示す配合にて溶融混合し、樹脂組成物(メタクリル系樹脂組成物)とした。
<溶融混合の条件>
・二軸押出機:株式会社池貝製のPCM30
・樹脂温度:240℃
・押出し速度:8kg/hr
〔測定及び評価〕
−成形体の作製及び全光線透過率の測定−
上記で得られた樹脂組成物を下記の射出成形機に投与し、下記条件にて射出成形し、長さ150mm×幅80mm×厚さ2mmの角板シート(成形体)を得た。
−−射出成形機及び射出成形条件−−
・射出成形機:東芝機械社製、IS−220F
・成形温度:250℃
・金型:フィルムゲート
・金型温度(チラー温度):60℃
上記で得られた角板シートの厚さ方向の全光線透過率を、JIS K7361−1(1997)に準拠して測定した。
測定結果を下記表1に示す。
−成形体の作製及び耐溶剤性の評価−
上記樹脂組成物を上記射出成形機に投与し、金型をフィルムゲートからピンゲートに変更したこと以外は上記条件と同様の条件にて射出成形し、長さ175mm×幅20mm(平行部10mm)×厚み3mmのダンベル状試験片(成形体)を得た。
得られた175mm長のダンベル状試験片を、長さ方向の一端と他端との距離が近づく方向に、かつ、中心部のせり上がりが10mmとなるようにアーチ状に曲げて撓みを加えた状態(図1及び図2参照)で、注射器にて、下記表1に示す溶剤を2〜3ml滴下し、試験片の外観を目視観察した。
観察結果に基づき、下記評価基準に従って、耐溶剤性を評価した。
評価結果を下記表1に示す。
−−耐溶剤性の評価基準−−
A: 溶剤を滴下してから10分経過しても、試験片中にひびも割れも発生しなかった。
B: 溶剤を滴下してから10分経過しても、試験片の割れが発生しなかった(但し、上記Aに該当する場合を除く)。
C: 溶剤を滴下してから3分以上10分未満に、試験片の割れが発生した。
D: 溶剤を滴下してから30秒以上3分未満に、試験片の割れが発生した。
E: 溶剤を滴下してから30秒未満に、試験片の割れが発生した。
表1に示すように、実施例1〜6では、高い全光線透過率(透明性)及び高い耐溶剤性が確認された。
これに対し、樹脂B(エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B))を用いなかった比較例1,2(PMMA単体)では、耐溶剤性に劣っていた。また、比較例3では、全光線透過率が低かった。

Claims (8)

  1. エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体以外のメタクリル系樹脂(A)と、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)と、を含み、
    前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)に含有される不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が、20質量%〜35質量%であり、
    厚さ2mmの板状の成形体としたときに厚さ方向の全光線透過率が80%以上であり、
    前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の含有量が3質量%〜15質量%であるメタクリル系樹脂組成物。
  2. 前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)に含有される不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位が、不飽和カルボン酸のメチルエステルに由来する構造単位及び不飽和カルボン酸のエチルエステルに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のメタクリル系樹脂組成物。
  3. 前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)のメルトフローレート(190℃、21.2N荷重、JIS K7210(1999))が、0.1g/10分〜50g/10分である請求項1又は請求項2に記載のメタクリル系樹脂組成物。
  4. 前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)のメルトフローレート(190℃、21.2N荷重、JIS K7210(1999))が、0.2g/10分〜40g/10分である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂組成物。
  5. 前記メタクリル系樹脂(A)のメルトフローレート(230℃、37.3N荷重、JIS K7210(1999))が、0.1g/10分〜50g/10分である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂組成物。
  6. 前記メタクリル系樹脂(A)が、エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体以外のメタクリル酸エステル系樹脂である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂組成物。
  7. 前記メタクリル系樹脂(A)及び前記エチレン・不飽和カルボン酸エステル系共重合体(B)の合計量に対して、前記メタクリル系樹脂(A)の含有量が85質量%〜97質量%であ請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂組成物。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂組成物を用いて成形された成形体。
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