図1は、本発明の第1の実施の形態に係る安全スイッチ10の構成を示す図である。安全スイッチ10は、所定の部屋に設置される産業機械に電気的に接続されるスイッチである。安全スイッチ10は、安全スイッチ本体100と、安全スイッチ用アクチュエータ1(以下、単に「アクチュエータ1」という。)とを備える。安全スイッチ本体100は部屋の出入口周縁の壁面に取り付けられ、アクチュエータ1は、出入口に設けられる開き扉に取り付けられる。図1では、アクチュエータ1において操作キー2の部分のみを図示している(後述の図2および図3において同様)。
安全スイッチ本体100は、アクチュエータ1の操作キー2が差し込まれる操作部101と、接点ブロックが内蔵されたスイッチ部102とを備える。操作部101には、2つのキー挿入口(スリット孔)103,104が設けられる。2つのキー挿入口103,104は、互いに異なる方向に向かって開口する。安全スイッチ10では、操作キー2の操作部101への挿入方向が選択可能である。
図2および図3は、安全スイッチ10の動作を説明するための図である。図2および図3では、後述のカムシャフト115に垂直な操作部101の断面を示している。操作部101は、板カム111と、カムシャフト115とを備える。カムシャフト115は、板カム111を回転自在に支持する。板カム111はスイッチ部102に内蔵された接点ブロック(図示省略)の操作ロッド105に変位を与えるためのものである。板カム111の外周面には、2つの凹部113,114が形成される。
図2に示す状態では、2つの凹部113,114は、操作部101の2つのキー挿入口103,104の近傍にそれぞれ配置される。操作キー2の先端部20がキー挿入口103に差し込まれると、操作キー2における後述の押圧片22が板カム111に当接する。操作キー2がさらに押し込まれることにより、板カム111が図2中の時計回りに回転し、図3に示すように、スイッチ部102の操作ロッド105の先端がカムシャフト115側に移動する。これにより、接点ブロックの接続接点が切り換わるとともに、操作キー2の押圧片22が板カム111の凹部113に嵌まり込む。
図3に示す状態から操作キー2を抜き取る際には、操作キー2の後退により板カム111が図3中の反時計回りに回転する。これにより、操作ロッド105の先端がスイッチ部102側に移動して、接続接点が切り換わり、図2に示す状態となる。操作キー2の先端部20がキー挿入口104に差し込まれる場合も、上記と同様の動作となる。
図4は、アクチュエータ1を示す斜視図である。図4では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向として矢印にて示している(他の図において同様)。図5は、(+Z)側から(−Z)方向を向いて見たアクチュエータ1を示す図であり、図6は、(−Y)側から(+Y)方向を向いて見たアクチュエータ1を示す図である。図7は、アクチュエータ1を示す分解斜視図であり、図8は、図6中の矢印A−Aの位置におけるアクチュエータ1の断面を示す図である。
図7に示すように、アクチュエータ1は、操作キー2と、ベース3と、付勢部4と、支持軸5と、基準位置調整部6とを備える。図5に示す例では、操作キー2は、Y方向に長尺である。操作キー2は、Y方向に伸びる2つの支持片21と、先端部20においてX方向に伸びる1つの押圧片22とを備える。2つの支持片21は互いに平行であり、押圧片22は、2つの支持片21の間を連絡する。好ましくは、操作キー2における2つの支持片21および1つの押圧片22は、一つの部材として(一体的に)金属にて形成される。
図8に示すように、ベース3は、ベース本体31と、ホルダ32とを備える。ベース本体31は、箱状であり、(+Y)側の面部には、X方向に長いスリット状のキー開口311が形成される。操作キー2はキー開口311内に挿入され、操作キー2の一端がベース本体31内に収容される。ベース本体31の(−Y)側は大きく開口しており、(−Y)側の開口312を介して操作キー2、ホルダ32および付勢部4がベース本体31内に配置される。ホルダ32および付勢部4の詳細については後述する。
支持軸5は、ベース3(ベース本体31)内に収容され、ベース3に固定される。具体的には、支持軸5は、支持ピン51と、筒状部52とを備える。ベース本体31の(+Z)側の面部には、貫通孔313が形成されており、筒状部52が当該貫通孔313を介してベース本体31の内部に配置される。支持ピン51は、筒状部52内に挿入される。ベース本体31の(−Z)側の面部において、貫通孔313に対向する位置には孔部314が形成されており、支持ピン51の先端は当該孔部314に圧入されてベース本体31に固定される。筒状部52は、接着等により支持ピン51に対して固定される。支持軸5のベース本体31への固定は、他の手法により行われてもよい。例えば、支持ピン51の先端に雄ねじが形成され、孔部314に雌ねじが形成され、両者が螺合されてもよい。また、支持ピン51に頭部が設けられ、当該頭部により筒状部52がベース本体31内に保持されてよい。
図7に示すように、操作キー2には、略円形の孔部23が形成され、筒状部52は、孔部23に挿入される。孔部23の直径は、筒状部52の外径よりも僅かに大きい。これにより、操作キー2が支持軸5を中心として回動可能な状態でベース本体31に対して支持される。略板状のホルダ32にも、孔部321が形成され、付勢部4は、ねじりコイルばね41を含む。筒状部52は、ホルダ32の孔部321、および、ねじりコイルばね41のコイル部411にも挿入される。これにより、ホルダ32および付勢部4も支持軸5を中心として回動可能な状態でベース本体31に対して支持される。
図8に示すように、ベース本体31の内部において、(−Z)側から(+Z)方向に向かって、ホルダ32、操作キー2およびねじりコイルばね41が順に重ねられる。ホルダ32の(+Y)側の面は、キー開口311の(−Z)側にてベース本体31の(+Y)側の面部と対向する。ねじりコイルばね41のコイル部411は、ベース本体31の(+Z)側の面部と操作キー2との間において、圧縮された状態で挟み込まれる。これにより、操作キー2における孔部23の周囲の部位は、(−Z)方向に(ホルダ32に向かって)付勢される。
Z方向におけるキー開口311の幅は、操作キー2のZ方向の幅(厚さ)よりも大きい。したがって、操作キー2の先端部20を(+Z)方向に押し上げると、操作キー2の(−Y)側の端部に当接するホルダ32の部位を支点として、操作キー2が図8中の時計回りに所定の角度(例えば5度)だけ回動する。このとき、コイル部411がさらに圧縮されることにより、図8中に実線にて示す位置に戻るように、操作キー2が上記支点を中心とする反時計回りに付勢される。
また、操作キー2の先端部20を(−Z)方向に押し下げると、操作キー2に当接するキー開口311の(−Z)側の縁を支点として、操作キー2が図8中の反時計回りに所定の角度(例えば10度)だけ回動する。このとき、コイル部411がさらに圧縮されることにより、図8中に実線にて示す位置に戻るように、操作キー2が上記支点を中心とする時計回りに付勢される。以上のように、操作キー2は支持軸5が伸びるZ方向におよそ沿って揺動可能である。
ホルダ32の(−Y)側の端部には、ホルダ壁部326が形成される。ホルダ壁部326は、孔部321と同心の円弧状であり、(+Z)方向に突出する。(−Y)側から(+Y)方向を向いて見た場合に、ホルダ壁部326により、ねじりコイルばね41のコイル部411が覆われる(図4および図6参照)。すなわち、ベース本体31の(−Y)側の開口312において、ホルダ壁部326によりコイル部411等が保護される。
図9ないし図12は、後述の第1基準位置の変更を説明するための図である。図9および図11は、支持軸5に垂直なアクチュエータ1の断面を示し、図10および図12は、それぞれ図9および図11のアクチュエータ1を(−Y)側から(+Y)方向を向いて見た様子を示している。図9および図11では、操作キー2を二点鎖線にて示している。
図7および図9に示すように、ねじりコイルばね41は、コイル部411から連続する2つのアーム部412を有する。2つのアーム部412は、板状の操作キー2に沿うようにコイル部411から突出する。各アーム部412は、操作キー2側に折り曲げられるアーム先端部413を有する。図9および図10に示すように、ホルダ32は、X方向の両側に広がる2つの係止部322を有する。ねじりコイルばね41の2つのアーム先端部413は、2つの係止部322の(−Y)側の面にそれぞれ当接する。
このとき、ねじりコイルばね41では、コイル部411を巻き込むように、2つのアーム部412がなす角度が、外力が作用していない状態に比べて小さくされる。したがって、ねじりコイルばね41により、(−X)側のアーム部412およびアーム先端部413を介してホルダ32の(−X)側の係止部322が時計回りに付勢され、(+X)側のアーム部412およびアーム先端部413を介して(+X)側の係止部322が反時計回りに付勢される。ホルダ32の全体は、ねじりコイルばね41により、(+Y)方向に付勢される。
図7に示すように、ホルダ32に重ねられる操作キー2も、ホルダ32の係止部322と同様に、両外側に広がる2つの係止部24を有する。図10に示すように、ねじりコイルばね41の2つのアーム先端部413は、2つの係止部24にも当接し、操作キー2がねじりコイルばね41により(+Y)方向に付勢される。操作キー2に対して外力が作用していない状態では、各アーム先端部413が、ホルダ32の係止部322および操作キー2の係止部24に当接することにより、操作キー2の向きがホルダ32に対して固定される。以下の説明では、Z方向に沿って見た場合において、外力が作用していない状態における操作キー2の長手方向の向き、すなわち、支持軸5を中心とする周方向の角度位置を「第1基準位置」という。
図7に示すように基準位置調整部6は、調整ばね61と、ホルダ固定ねじ62とを備える。図9に示すように、調整ばね61は、ベース本体31の(+Y)側の面部と、ホルダ32との間において、圧縮された状態で挟み込まれる。これにより、調整ばね61によりホルダ32が支持軸5を中心として図9の反時計回りに回動するように付勢される。実際には、ホルダ32には、調整ばね61が配置される凹部323が設けられる。
図10に示すように、ホルダ固定ねじ62は、ベース本体31の(−Z)側の面部に設けられた雌ねじ部に螺合される。雌ねじ部は、当該面部を貫通しており、ホルダ固定ねじ62の端部は、ホルダ32の(−Z)側の面に当接する。詳細には、ホルダ32の(−Z)側の面には、(+X)方向に向かうに従って(+Z)方向へと向かう傾斜面324が形成される。傾斜面324の(+X)側には、(+Z)側に窪む凹部325が形成される。図10に示す状態では、ホルダ固定ねじ62の端部が凹部325の(−X)側の側面に当接し、調整ばね61によるホルダ32の回動が係止される。したがって、調整ばね61およびホルダ固定ねじ62により、ホルダ32がベース本体31に対して固定される。
一方、ホルダ固定ねじ62を緩めて端部を(−Z)方向に移動させると、図11に示すように、調整ばね61によりホルダ32が支持軸5を中心として反時計回りに回動する。このとき、図12に示すように、ホルダ固定ねじ62の端部が傾斜面324に当接し、調整ばね61とホルダ固定ねじ62との間にてホルダ32が実質的に挟持される。実際には、ホルダ固定ねじ62のベース本体31内への押し込み量に応じて、ベース本体31に対するホルダ32の向き(支持軸5を中心とする周方向の角度位置)が変化する。既述のように、ねじりコイルばね41により操作キー2の向きがホルダ32に対して固定されており、ホルダ固定ねじ62の押し込み量を調整することにより、操作キー2の向き、すなわち、第1基準位置(操作キー2の長手方向)がホルダ32の向きと共に変化する。
図13ないし図15は、操作キー2の動作を説明するための図であり、支持軸5に垂直なアクチュエータ1の断面を示している。図13に示すように、第1基準位置がY方向に平行な状態において、図14に示すように操作キー2を周方向における反時計回りに回動させると、操作キー2の(−X)側の係止部24により、ねじりコイルばね41の(−X)側のアーム先端部413が周方向における反時計回りに押される。一方、ホルダ32の向きは変化しないため、(+X)側のアーム先端部413の位置は変化しない。したがって、ねじりコイルばね41において2つのアーム部412がなす角度が小さくなり(すなわち、ねじりコイルばね41が周方向に圧縮され)、操作キー2が支持軸5を中心として時計回りに回動するように、ねじりコイルばね41により付勢される。
同様に、図13に示す状態において、図15に示すように操作キー2を時計回りに回動させると、操作キー2の(+X)側の係止部24により、ねじりコイルばね41の(+X)側のアーム先端部413が周方向における時計回りに押される。これにより、操作キー2が支持軸5を中心として反時計回りに回動するように、ねじりコイルばね41により付勢される。第1基準位置がY方向に平行な状態では、操作キー2は、例えば、時計回りに20度、反時計回りに20度回転可能である。
また、第1基準位置がY方向から傾いた角度位置に設定される図11の状態においても同様に、図11中に二点鎖線にて示す位置から操作キー2を周方向における反時計回りに回動させると、操作キー2の(−X)側の係止部24により、ねじりコイルばね41の(−X)側のアーム先端部413が押される。これにより、操作キー2が第1基準位置に戻るように、すなわち、支持軸5を中心として時計回りに回動するように、ねじりコイルばね41により付勢される。なお、図11において操作キー2が反時計回りに回動可能な角度範囲は僅かであるが、より大きい角度範囲での回動が必要である場合には、キー開口311のX方向の長さやホルダ32の形状が適宜修正される。また、図11の状態において操作キー2を周方向における時計回りに回動させると、操作キー2の(+X)側の係止部24により、ねじりコイルばね41の(+X)側のアーム先端部413が押される。これにより、操作キー2が支持軸5を中心として反時計回りに回動するように、ねじりコイルばね41により付勢される。
ここで、支持軸5を中心とする周方向を「第1揺動方向」と呼ぶと、アクチュエータ1では、第1揺動方向の任意の一方側へと操作キー2を第1基準位置から変位させた際に、ねじりコイルばね41により第1揺動方向の他方側へと操作キー2が付勢される。また、既述のように、操作キー2は支持軸5の方向(Z方向)に沿って揺動可能である。したがって、当該方向を「第2揺動方向」と呼び、操作キー2に対してアクチュエータ1の外部からの力が作用していない状態における操作キー2の第2揺動方向の位置(図8中に実線にて示す操作キー2の位置)を「第2基準位置」と呼ぶ場合も、上記と同様である。すなわち、第2揺動方向の任意の一方側へと操作キー2を第2基準位置から変位させた際に、ねじりコイルばね41により第2揺動方向の他方側へと操作キー2が付勢される。本実施の形態では、操作キー2の孔部23のX方向の幅は、Y方向の幅よりも大きい。したがって、操作キー2はX方向にも僅かに(例えば、1mm)移動可能である。
既述のように、アクチュエータ1は、産業機械が設置される部屋の出入口の開き扉に取り付けられる。例えば、図16に示すように、アクチュエータ1の支持軸5が、開き扉9の回転軸に平行となるようにアクチュエータ1が開き扉9に取り付けられる。この場合、開き扉9の回転により操作キー2の先端部20が、操作部101のキー挿入口104に入り始める時に、操作キー2の長手方向が、操作部101への挿入方向と平行となるように、操作キー2の第1基準位置が調整される(図16中の二点鎖線の操作キー2参照)。なお、アクチュエータ1の開き扉9への取付では、例えば、ベース本体31に設けられる取付孔319(図4参照)が利用される。
開き扉9を閉じる際には、開き扉9の回転により操作キー2の先端部20がキー挿入口104に入り始める時に、当該先端部20がキー挿入口104の縁に形成されたガイド面104aに接触する。ガイド面104aの存在により、操作部101の内部に向かうに従ってキー挿入口104の幅および高さが漸次減少する。操作キー2は、ガイド面104aに沿って操作部101内に進入し、ベース本体31の外側に位置する操作キー2のほぼ全体の部位がキー挿入口104に差し込まれる。これにより、板カム111が回転し(図3参照)、接点ブロックの接続接点が切り換わる。
操作キー2のキー挿入口104への差し込みでは、開き扉9にがたつきがある場合でも、操作キー2が第1揺動方向の両側、および、第2揺動方向の両側に揺動可能であることにより、操作部101の内部が操作キー2の先端部20により削られる等、安全スイッチ本体100が損傷することが防止される。なお、開き扉9の回転軸が図16の右側に設けられる場合には、アクチュエータ1が上下(紙面に垂直な方向)に反転された状態で開き扉9に固定される。これにより、先端部20が開き扉9の回転軸側に近づくように傾斜した第1基準位置に、操作キー2を設定することが可能である。もちろん、操作キー2が操作部101における他方のキー挿入口103に挿入されてよい(以下同様)。
以上に説明したように、安全スイッチ10用のアクチュエータ1では、操作キー2がベース3により第1揺動方向における第1基準位置から第1揺動方向の両側に揺動可能に支持される。そして、第1揺動方向の任意の一方側へと操作キー2を第1基準位置から変位させた際に、第1揺動方向の他方側へと操作キー2が付勢部4により付勢される。また、基準位置調整部6により、第1揺動方向における第1基準位置が変更可能とされる。これにより、アクチュエータ1が取り付けられる扉に合わせて第1基準位置を所望の位置に変更しつつ、当該第1基準位置から第1揺動方向の両側への操作キー2の揺動を可能とすることができる。その結果、当該扉のがたつきが大きい場合等でも、操作キー2を安全スイッチ本体100のキー挿入口103,104に滑らかに差し込む(すなわち、当該扉のがたつきを吸収する)ことが実現される。
また、操作キー2の長手方向に垂直かつ第1揺動方向に垂直な他の揺動方向における他の基準位置から当該他の揺動方向の両側に、すなわち、第2揺動方向における第2基準位置から第2揺動方向の両側に、操作キー2がベース3により揺動可能に支持される。そして、第2揺動方向の任意の一方側へと操作キー2を第2基準位置から変位させた際に、第2揺動方向の他方側へと操作キー2が付勢部4により付勢される。これにより、扉のがたつきが大きい場合等でも、操作キー2を安全スイッチ本体100のキー挿入口103,104にさらに滑らかに差し込むことが可能となる。
さらに、ベース3において、ベース本体31に対して固定されるとともに付勢部4を支持するホルダ32が支持部として設けられる。そして、基準位置調整部6により、ホルダ32のベース本体31に対する第1揺動方向の向きが変更可能とされる。これにより、第1基準位置を容易に変更することが実現される。既述のように、アクチュエータ1では、第1基準位置がY方向に平行な状態において、操作キー2の長手方向に垂直かつ支持軸5に垂直なX方向における操作キー2の孔部23の幅が、Y方向(操作キー2の長手方向)の幅よりも大きい。これにより、操作キー2がX方向にも僅かに移動可能となり、扉のがたつきが大きい場合等でも、操作キー2を安全スイッチ本体100のキー挿入口103,104にさらに滑らかに差し込むことが実現される。
基準位置調整部6において、ホルダ固定ねじ62は、ベース本体31の(−Z)側の面部以外に設けられてよい。例えば、図17に示すアクチュエータ1では、ホルダ固定ねじ62が、ベース本体31の(+X)側の面部に設けられる。図17中に実線にて示す位置から、ホルダ固定ねじ62を緩める、すなわち、ホルダ固定ねじ62の端部がベース本体31の外側に向かって移動することにより、調整ばね61により付勢されるホルダ32のベース本体31に対する第1揺動方向の向きが変更される。図17のアクチュエータ1においても、第1基準位置を容易に変更することが実現される。なお、図17では、操作キー2の図示を省略している。
図18は、操作キー2に設けられる孔部23の他の例を示す図である。長手方向がY方向に平行な状態における図18の操作キー2では、孔部23の(+Y)側のエッジ231はX方向に沿う直線状であり、(−Y)側のエッジ232は支持軸5の外周面(すなわち、筒状部52の外周面)よりも曲率半径が大きい円弧状である。X方向の中央において両エッジ231,232間のY方向の距離が最大となる。
既述のように、ねじりコイルばね41の2つのアーム先端部413は、操作キー2の2つの係止部24に当接し、操作キー2がねじりコイルばね41により(+Y)方向に付勢される(図13参照)。したがって、図18に示す操作キー2では、孔部23の(−Y)側のエッジ232において最も(−Y)側に位置する部位に支持軸5が当接し、X方向に関して孔部23の中央が支持軸5の中央と一致する。これにより、X方向に関して操作キー2の中央を支持軸5の中央に合わせることができ、操作キー2をX方向の両側に移動可能とすることができる。
図19は、アクチュエータ1の他の例を示す図であり、図8に対応する断面を示す。図20ないし図25は、図19のアクチュエータ1における第1基準位置の変更を説明するための図である。図20、図22および図24は、支持軸5に垂直なアクチュエータ1の断面を(+Z)側から(−Z)方向を向いて見た様子を示し、図21、図23および図25は、支持軸5に垂直なアクチュエータ1の断面を(−Z)側から(+Z)方向を向いて見た様子を示す。また、図21、図23および図25では、ホルダ固定ねじ62も図示している。図19のアクチュエータ1では、図8のアクチュエータ1と比較して、ホルダ32aの形状、および、基準位置調整部6aの構成が相違する。他の構成は、図8のアクチュエータ1と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
図19に示すホルダ32aでは、ホルダ固定ねじ62の先端と対向する位置に、ホルダ固定ねじ62に対しておよそ垂直な面327(以下、「対向面327」という。)が設けられる。そして、ホルダ固定ねじ62を締め付けて、ホルダ固定ねじ62の先端を対向面327に押し当てることにより、ホルダ32aが、ベース本体31の(+Z)側の面部と、ホルダ固定ねじ62の先端との間にて挟持される。すなわち、ホルダ32aが、ホルダ固定ねじ62によりベース本体31に対して固定される。基準位置調整部6aでは、調整ばね61が省略される。
図20および図21に示す状態においてホルダ固定ねじ62を緩め、図22に示すように、操作キー2を周方向における反時計回りに回動させると、ねじりコイルばね41の作用によりホルダ32aも操作キー2と共に回動する。そして、図23に示すように、ホルダ固定ねじ62を締め付けて先端を対向面327に押し当てることにより、ホルダ32aが、ベース本体31に対して固定される。これにより、外力が作用していない状態における操作キー2の長手方向の向き、すなわち、第1基準位置が図22および図23に示す位置に変更される。実際には、対向面327においてホルダ固定ねじ62の先端が当接し得る領域には微小な凹凸が形成される(図23中の黒い領域参照)。
同様に、ホルダ固定ねじ62を緩め、図24に示すように、操作キー2を周方向における時計回りに回動させると、ねじりコイルばね41の作用によりホルダ32aも操作キー2と共に回動する。そして、図25に示すように、ホルダ固定ねじ62を締め付けて先端を対向面327に押し当てることにより、ホルダ32aが、ベース本体31に対して固定される。これにより、第1基準位置が図24および図25に示す位置に変更される。
以上のように、図19に示すアクチュエータ1においても、基準位置調整部6aにより、第1揺動方向における第1基準位置が変更可能とされる。これにより、アクチュエータ1が取り付けられる扉に合わせて第1基準位置を所望の位置に変更することができる。また、第1基準位置から第1揺動方向の両側への操作キー2の揺動が可能であることにより、当該扉のがたつきが大きい場合等でも、操作キー2を安全スイッチ本体100のキー挿入口に滑らかに差し込むことができる。
図8および図19のアクチュエータ1では、基準位置調整部6,6aにより、第1揺動方向における第1基準位置が変更可能とされるが、アクチュエータ1では、第2揺動方向における第2基準位置が変更可能とされてよい。図26は、アクチュエータ1の他の例を示す図である。図26のアクチュエータ1では、ホルダ32bの(+Z)側の面328(以下、「支持面328」という。)が、(+Y)方向に向かうに従って(−Z)方向に向かう傾斜面であり、操作キー2は支持面328とねじりコイルばね41のコイル部411との間にて挟持される。ホルダ32bも、圧縮状態のコイル部411により、操作キー2を介してベース本体31の(−Z)側の面部に向けて付勢され、ベース本体31に対して固定(保持)される。図26のアクチュエータ1においても、図8のアクチュエータ1と同様に、第2揺動方向の任意の一方側へと操作キー2を第2基準位置から変位させた際に、ねじりコイルばね41により第2揺動方向の他方側へと操作キー2が付勢される。
また、ベース本体31の(−Z)側の面部に設けられるホルダ固定ねじ63を回転させてベース本体31内に押し込むと、ホルダ固定ねじ63によりホルダ32bの(+Y)側の端部が(+Z)方向に持ち上げられる。これにより、図27に示すように、支持面328および操作キー2が(+Y)方向に向かうに従って(+Z)方向に向かうように傾斜する。このようにして、外力が作用していない状態における操作キー2の第2揺動方向の向き(角度位置)である第2基準位置が、ホルダ固定ねじ63を含む基準位置調整部6bにより変更される。変更後の第2基準位置から、第2揺動方向の任意の一方側へと操作キー2を変位させた際にも、ねじりコイルばね41により第2揺動方向の他方側へと操作キー2が付勢される。
図26のアクチュエータ1では、例えば図17と同様に、調整ばね61およびホルダ固定ねじ62を有する基準位置調整部6がさらに設けられる。すなわち、第1揺動方向における第1基準位置を変更可能とする第1基準位置調整部6と、第2揺動方向における第2基準位置を変更可能とする第2基準位置調整部6bとが設けられる。これにより、アクチュエータ1が取り付けられる開き扉に合わせて2方向の基準位置を所望の位置に変更することが可能となる。
図28は、本発明の第2の実施の形態に係るアクチュエータ1aを示す図である。図28のアクチュエータ1aは、操作キー2と、ベース3と、付勢部4と、支持軸5aと、基準位置調整部7とを備える。操作キー2はY方向に長尺であり、一方の端部に略矩形の孔部23aを有する。孔部23aのX方向の幅は、Y方向における幅よりも大きい。孔部23aが設けられる操作キー2の一端は、ベース3に収容される。ベース3は、箱状のベース本体31を有し、支持軸5aはベース本体31の内面に固定される。すなわち、支持軸5aはベース3内に収容される。支持軸5aのZ方向に垂直な断面形状は、略矩形である。支持軸5aは、操作キー2の孔部23aに挿入される。これにより、操作キー2がX方向に移動可能にベース3により支持される。
付勢部4は、コイルばね41aと、ばね支持部43とを有する。ばね支持部43は、Y方向に長い第1部位431と、X方向に長い第2部位432とを有する。コイルばね41aの一端は、ばね支持部43の第1部位431に固定され、他端は操作キー2の(+X)側の面に固定される。基準位置調整部7は、支持部固定ねじ71と、ガイド部72とを有する。ガイド部72は、ベース本体31の(−Z)側の内面から(+Z)方向に突出し、X方向に長い。ばね支持部43の第2部位432は、ガイド部72と操作キー2の(−Y)側の面との間に配置される。ばね支持部43のX方向への移動がガイド部72および操作キー2により案内される。支持部固定ねじ71は、ベース本体31の(+Z)側の面部に形成された雌ねじに螺合され、先端がばね支持部43の第2部位432に当接する。
図28のアクチュエータ1aでは、支持部固定ねじ71を緩めた状態で、ばね支持部43をX方向に移動することにより、外力が作用していない状態の操作キー2のX方向の位置(以下、「基準位置」という。)が変更可能である。操作キー2をX方向における所望の位置に配置し、支持部固定ねじ71を締め付けることにより、ばね支持部43の位置がベース本体31に対して固定される。
図28のX方向を「揺動方向」と呼ぶと、揺動方向の任意の一方側へと操作キー2を基準位置から変位させた際に、コイルばね41aにより揺動方向の他方側へと操作キー2が付勢される。また、基準位置調整部7により、揺動方向における基準位置が変更可能とされる。これにより、アクチュエータ1aでは、基準位置を所望の位置に変更しつつ、当該基準位置から揺動方向の両側への操作キー2の揺動を可能とすることができる。その結果、アクチュエータ1aが取り付けられる扉のがたつきが大きい場合等でも、操作キー2を安全スイッチ本体100のキー挿入口に滑らかに差し込むことが実現される。
図28のアクチュエータ1aでは、支持軸5aが操作キー2の端部に固定され、ベース3(のベース本体31)に支持軸5aが挿入される孔部が設けられてもよい。この場合も、図28のアクチュエータ1aと同様に、操作キー2がベース3により揺動方向における基準位置から揺動方向の両側に揺動可能に支持される。以上のように、アクチュエータ1aでは、支持軸5aが操作キー2およびベース3の一方に固定され、操作キー2およびベース3の他方において、支持軸5aが挿入される孔部が設けられる。そして、操作キー2の長手方向に垂直かつ支持軸5aに垂直なX方向における孔部の幅が、当該長手方向における幅よりも大きくされる。これにより、操作キー2をX方向に平行移動することができ、アクチュエータ1aが取り付けられる扉のがたつきが大きい場合等でも、操作キー2を安全スイッチ本体100のキー挿入口に滑らかに差し込むことができる。
上記アクチュエータ1,1aでは様々な変形が可能である。
第1の実施の形態において、例えば、ねじりコイルばね41に代えて、1つのコイルばねと、1つのねじりばねとが用いられてもよい。この場合、操作キー2を第1揺動方向に付勢するねじりばねを含む付勢部と、操作キー2を第2揺動方向に付勢するコイルばねを含む他の付勢部とが個別に設けられる。一方、1つのねじりコイルばね41が設けられる上記アクチュエータ1では、アクチュエータ1の構造を簡素化するために、上記2つの付勢部が当該1つのねじりコイルばね41を共有していると捉えることが可能である。また、付勢部では、ねじりコイルばね41以外の弾性部材が用いられてよく、当該弾性部材として、例えば、板ばねやゴム等が例示される(アクチュエータ1aにおいて同様)。
第2の実施の形態におけるアクチュエータ1aでは、付勢部4および基準位置調整部7が省略されてもよい。この場合でも、操作キー2がX方向に平行移動可能であることにより、操作キー2を安全スイッチ本体100のキー挿入口に、ある程度滑らかに差し込むことができる。
アクチュエータ1,1aの扉への取付方向は、図16に示す例には限定されず、任意に決定されてよい。また、アクチュエータ1,1aは、開き扉以外の種類の扉(引き戸等)に取り付けられてもよい。操作キー2の形状は、安全スイッチ本体100の構造に応じて適宜変更されてよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。