JP6469970B2 - 採暖装置及び車両用座席 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、車両用座席など、車両内に取付けられて暖房を行う採暖装置と車両用座席に関するものである。
従来より、例えば、電気毛布や電気カーペットにおいては、抵抗加熱を行う発熱線と、温度検知のための温度検知線が配設されたものが知られている(例えば、特許文献1〜3等参照)。この温度検知線は、Ni線等からなるもので、温度変化による抵抗値変化を検知することで温度検知を行うものである(例えば、特許文献4,5等参照)。
また、本発明と直接は関係しないが、関連する技術として、例えば、特許文献6,7等を参照することができる。
特開平4−366582公報:松下電器産業 特開平7−142149公報:ダイキン工業 特公平6−32264公報:松下電器産業 特開2011−171254公報:クラベ 特開2011−141255公報:クラベ 特許第4202071号公報:クラベ 国際公開WO2011/001953公報:クラベ
しかしながら、上記のような温度検知線を使用した採暖装置は、実際には市場で目にすることは殆ど無い状態である。その理由の1つとして、温度検知線によって検出した温度と、実際に使用者が受ける温度に乖離が見られ、快適な温度制御をすることが難しいことが挙げられる。例えば、温度検知線と発熱線が近過ぎる場合は、使用者が快適な暖かさを受ける前に温度検知線が所定の制御温度に達してしまうことになり、所謂早切れ状態となってしまう。また、温度検知線と発熱線が遠過ぎる場合は、発熱線が充分な温度に達しているにもかかわらず温度検知線は所定の制御温度に達せず、所謂過熱状態となってしまう。特に、採暖装置を車両用座席に適用した場合、着座者は長時間同じ体勢を取り続けることが多いので、低温火傷の観点から部分的であっても過熱状態となることは極力防止しなければならない。そのため、温度制御は安全側で設定されることになり、所謂早切れや昇温性能の不足が見られることがあった。
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、温度の検知と制御を正確且つ確実に行うことが可能な採暖装置を提供することにある。
前記目的を達成するべく、本発明による採暖装置は、基材と、発熱線と、温度検知線を有し、上記発熱線及び上記温度検知線が上記基材上に配設されている採暖装置において、上記発熱線と上記温度検知線の間隔が、3mm〜9mmであることを特徴とするものである。
また、上記採暖装置は、複数の採暖部が連結部で連結された構成であり、上記連結部における上記発熱線と上記温度検知線の間隔が、上記採暖部における上記発熱線と上記温度検知線の間隔よりも広いことが考えられる
また、上記採暖部において、上記発熱線と上記温度検知線の間隔が、4mm〜7mmであることが考えられる。
また、本発明による車両用座席は、表皮とパットを有し、上記表皮を上記パットに固定するための吊り込み部が形成され、上記表皮と上記パットの間に請求項1〜請求項3何れか記載の採暖装置が配置された車両用座席において、上記吊り込み部が位置にする箇所を避けるように上記採暖部が配置され、上記吊り込み部が位置にする箇所に上記連結部が配置されることを特徴とするものである。
なお、上記した略同一とは、誤差±10%の範囲に入るものを示す。
本発明によれば、発熱線と温度検知線の間隔を所定の範囲とすることで、早切れ状態や過熱状態となることがなく、温度の検知と制御を正確且つ確実に行うことが可能となる。従って、使用者が不快を覚えることの無い快適な採暖装置を提供することができる。
実施例(本発明の実施の形態)による採暖装置を示す平面図である。 実施例の試験方法を説明する図であり、採暖装置における温度測定箇所を示す平面図である。 実施例による昇温特性測定の結果を示す時間−温度グラフである。 実施例による断熱試験の結果を示す時間−温度グラフである。 他の実施例による採暖装置を示す平面図である。 他の実施例の試験方法を説明する図であり、採暖装置における温度測定箇所を示す平面図である。 他の実施例による昇温特性測定の結果を示す時間−温度グラフである。 他の実施例による断熱試験の結果を示す時間−温度グラフである。 比較例による採暖装置を示す平面図である。 比較例の試験方法を説明する図であり、採暖装置における温度測定箇所を示す平面図である。 比較例による断熱試験の結果を示す時間−温度グラフである。 比較例による採暖装置を示す平面図である。 比較例の試験方法を説明する図であり、採暖装置における温度測定箇所を示す平面図である。 比較例による昇温特性測定の結果を示す時間−温度グラフである。 比較例による断熱試験の結果を示す時間−温度グラフである。 本発明による採暖装置を車両用座席に組み込んだ状態を示す一部切欠斜視図である 試験方法を説明する図であり、車両用座席における温度測定箇所を示す平面図である。
以下、図1を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態は、本発明による採暖装置を車両用座席に適用させたことを想定した例を示すものである。
図1に示すように、採暖装置21は、不織布からなる基材1上に、発熱線3と温度検知線5が蛇行形状で配設されている。基材1を構成する不織布は、低融点ポリエステルを鞘成分とする芯鞘構造を有する熱融着性繊維10%と、難燃性ポリエステル繊維からなる難燃性繊維90%とを混合させたものであり、目付150g/m,厚さ0.6mmとなっている。発熱線3は、外径約0.2mmの芳香族ポリアミド繊維束なる芯材の外周に、素線径0.08mmの錫メッキ錫入り銅合金線からなる6本の導体素線を引き揃えて巻回し、その外周に、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体からなる絶縁体層を0.15mmの肉厚で押出被覆し、その外周に、ポリエチレン樹脂からなる熱融着層を0.2mmの肉厚で押出被覆したものである。また、発熱線は3系統の並列回路(3a,3b,3c)から構成されている。温度検知線5は、外径約0.2mmの芳香族ポリアミド繊維束なる芯材の外周に、素線径0.08mmのニッケル線からなる2本の検知素線を引き揃えて巻回し、その外周に、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体からなる絶縁体層を0.15mmの肉厚で押出被覆し、その外周に、ポリエチレン樹脂からなる熱融着層を0.2mmの肉厚で押出被覆したものである。温度検知線の抵抗値は、492.6Ω(20℃)となっている。
本発明においては、温度検知線5は単線であることが好ましく、複数で使用しないことが好ましい。温度検知線5は、検知素線の抵抗値変化を検知するため、検知素線の抵抗値をある程度高くしないと抵抗値変化量も小さくなってしまい、検知精度が低下してしまうことになる。そのため、温度検知線の長さをなるべく長く取ることで検知素線の長さを長くし、検知素線の抵抗値を高くすることが必要になる。温度検知線5を複数使用すると、その分1本当たりの検知素線の長さは短くなってしまうことから、単線として検知素線の長さを長く取ることが好ましい。また、温度検知線5と発熱線3、温度検知線5同士、及び、発熱線3同士が交差しないように配設することが好ましい。交差部分が生じるとその部分で応力集中が生じ、検知素線や発熱素線の断線が起こり易くなる。また、温度検知線5と発熱線3が交差するということは、温度検知線5と発熱線3が近接すると言うことになるので、使用者が快適な暖かさを受ける前に温度検知線が所定の制御温度に達してしまうことになり、所謂早切れ状態となってしまうことにつながる。また、発熱線3同士が交差すると、その部分のみ発熱量と放熱量のバランスが変わることになるので、部分的な異常加熱を引き起こす可能性がある。
また、本実施の形態による採暖装置21は、3つの採暖部23が、4つの連結部25で連結された形状であるため、基材1もそれに対応した形状となっている。
ここで、採暖部23における発熱線3が蛇行形状で配設されている部分においては、発熱線3同士の間隔は5mmとなっている。また、採暖部23における発熱線3が蛇行形状で配設されている部分においては、発熱線3と温度検知線5の間隔が5mmとなっている。連結部25における発熱線3が蛇行形状で配設されている部分においては、発熱線3同士の間隔は9mmとなっている。また、連結部25における発熱線3が蛇行形状で配設されている部分においては、発熱線3と温度検知線5の間隔が9mmとなっている。
発熱線3と温度検知線5の間隔が、3mm〜9mmであることが好ましい。3mm未満であると、発熱線3と温度検知線5の間隔が近過ぎ、使用者が快適な暖かさを受ける前に温度検知線5が所定の制御温度に達してしまうことになり、所謂早切れ状態となってしまう。また、9mmを超えると、発熱線3と温度検知線5の間隔が遠過ぎ、発熱線3が充分な温度に達しているにもかかわらず温度検知線5は所定の制御温度に達せず、所謂過熱状態となってしまう。特に、採暖部23においては、発熱線3と温度検知線5の間隔が、4mm〜7mmであることが好ましい。特に、本発明による採暖装置21を図16に示すように車両用座席41に適用した場合、着座者の荷重によって車両用座席41のパット45が変形し、それに追従して採暖装置21の基材1も伸縮することになる。その場合、発熱線3と温度検知線5の間隔も若干変化することになるが、発熱線3と温度検知線5の間隔が、3mm〜9mmであれば、この間隔の変化も温度制御に影響を与えない範囲に抑えることができる。なお、発熱線3と温度検知線5の間隔とは、中心間の間隔ではなく、発熱線3の最外部と温度検知線5の最外部との最短距離のことを示す。
連結部25における発熱線3と温度検知線5の間隔が、採暖部23における発熱線3と温度検知線5の間隔よりも広いことが好ましい。図16に示すように、採暖装置21を車両用座席41に組み込む場合、車両用座席41には表皮43をパット45に固定するための吊り込み部47が形成されており、吊り込み部47が位置にする箇所を避けるように採暖部23が配置され、吊り込み部47が位置にする箇所に連結部25が配置される。この吊り込み部47はパット45に囲まれた状態となっており、熱がこもり易いところ、この部分で温度検知線5が所定の制御温度に達してしまうと採暖部23が所定の制御温度に達していなくても加熱が止まってしまう。そのため、連結部25においては、採暖部23よりも発熱線3と温度検知線5の間隔を広げ、採暖部23よりも温度検知線5に発熱線3の熱が伝わりにくくすることが好ましい。
また、発熱線3における複数の蛇行形状おきに入り込むようにして温度検知線5が蛇行形状で配設されていることが考えられる。図1においても、並列回路単位という発熱線3における複数の蛇行形状おきに入り込むようにして温度検知線5が蛇行形状で配設されている部分を有している。昨今の採暖装置21では、高性能化の一つとして、電源投入後に即時に所定温度まで到達することが求められており、その対策として、発熱線3を密な蛇行形状に配設している。そのため、発熱線3の蛇行形状の間全てに温度検知線5を入り込ませると、発熱線3と温度検知線5の間隔が近過ぎるようになり、所謂早切れ状態を引き起こしてしまうことになる。そこで、上記のように、発熱線3における複数の蛇行形状おきに温度検知線5が配設されるようになれば、発熱線3を密な蛇行形状としたまま、好適な間隔で発熱線3と温度検知線5を配設することができる。また、温度検知線5が蛇行形状で配設される部分を有すことになり、その分だけ温度検知線5の長さが長くなり、検知精度を高くすることができる。また、この温度検知線5が入り込んで配設された部分においては、発熱線同士の間隔と発熱線と温度検知線の間隔が略同一であることが好ましい。略同一とは誤差±10%の範囲に入るものを言う。これにより、発熱線3及び温度検知線5の基材1への均一な配設がなされることとなり、局部的な強度の強弱が無い均一な強度の採暖装置21を得ることができる。
また、発熱線3における1つの並列回路ともう1つの並列回路の間に入り込むようにして温度検知線5が蛇行形状で配設されていることが考えられる。並列回路になっていると、断線や熱暴走といった不具合が起こった場合にも各並列回路ごとの不具合となり、不具合の無い並列回路は通常通りに通電されて加熱することになるため、全ての並列回路が網羅されるように温度検知をする必要がある。上記のように温度検知線5を蛇行形状で配設すれば、各並列回路の温度を確実に検知できるようになる。また、このような温度検知線5の配設であれば、発熱線3を密な蛇行形状に配設しても、要所要所に温度検知線5が存在することなり、充分にその温度を測定できるようになる。また、温度検知線5は、検知素線の抵抗値変化を検知するため、検知素線の抵抗値をある程度高くしないと抵抗値変化量も小さくなってしまい、検知精度が低下してしまうことになる。そのため、温度検知線の長さをなるべく長く取ることで検知素線の長さを長くし、検知素線の抵抗値を高くすることが必要になる。上記のように、温度検知線5が蛇行形状で配設される部分を有していれば、その分だけ温度検知線5の長さが長くなり、検知精度を高くすることができる。
また、温度検知線5が、発熱線3の外側に配設されていることが考えられる。外周に配設される方が、内周に配設されるよりも、温度検知線5の長さが長くなり、検知精度を高くすることができる。一方、温度検知線5が、発熱線3の内側に配設されていることも考えられる。内周に配設される場合、温度検知線5が発熱線3に囲われることとなり、外気温に影響されにくくなるので、特に厳寒地での使用においても発熱線3の温度を正確に制御することが可能となる。ここで、図1に示すような形で発熱線3を複数の並列回路にした場合、温度検知線5は最外側に配設されるか、次外側となる外側から2番目に配設されることが好ましい。外側から3番目以降に配設すると、発熱線3と温度検知線5を交差させずに温度検知線5を内周に配設するには、温度検知線5を複数本とするか、発熱線3に不要な配線を強いることになってしまうことになる。
基材1上に発熱線3及び温度検知線5を固定する方法としては、基材1上に所定の蛇行形状等に発熱線3及び温度検知線5を配設して、加熱したプレス板を降下させて基材1と発熱線3及び温度検知線5に、例えば、230℃/5秒間の加熱・加圧を施すものである。それによって、発熱線3及び温度検知線5側の熱融着層と基材1側の熱融着性繊維が融着することになり、その結果、基材1上に発熱線3及び温度検知線5が接着・固定されることになる。勿論、縫製によって基材1上に発熱線3及び温度検知線5を固定する方法や、もう1つの基材を使用して発熱線3及び温度検知線5を挟み込んで固定する方法など、他の方法を用いても構わない。
基材1の発熱線3及び温度検知線5を配設しない側の面には、接着層の形成、或いは、両面テープの貼り付けがなされても良い。これは、座席に取付ける際、採暖装置21を座席に固定するためのものである。また、基材1の発熱線3及び温度検知線5を配設する側の面に、接着層の形成、或いは、両面テープの貼り付けがなされても良い。
なお、上記の基材1、発熱線3、温度検知線5の構成や、基材1上に発熱線3と温度検知線5を配設する方法等については、例えば、上記特許文献5〜7を参照することができる。
上記作業を行うことにより、図1に示すような採暖装置21を得ることができる。尚、上記採暖装置21における発熱線3の両端、及び、温度検知線5の両端にはコネクタ(図示しない)が接続されている。そして、このコネクタを介して車両の電気系統に接続されることになる。
そして、上記構成をなす採暖装置21は、図16に示すような状態で、車両用座席41内に埋め込まれて配置されることになる。すなわち、上記した通り、車両用座席41の表皮43又はパット45に、採暖装置21が貼り付けられることとなるものである。表皮43としては合成皮革のものを使用したが、ファブリックのものも考えられる。パット45としては一般的なウレタンフォームからなるものである。この際、採暖装置21における発熱線3及び温度検知線5が配設された面が表皮43側となっていることが考えられる。これにより、発熱線3からの熱が、基材1によって断熱されることなく、表皮43のみを介して着座者に伝わることになり、熱効率に優れるものとなる。一方、採暖装置21における発熱線3及び温度検知線5が配設された面がパット45側となっていることも考えられる。これにより、着座・離座による応力が発熱線3及び温度検知線5に加わりにくくなり、極端な応力が加わっても発熱素線や検知素線の断線がし難くなる。採暖装置21のどちらの面を表皮43側にするかについては、採暖装置21の設置形態や使用形態に応じて適宜設定することになる。また、車両用座席41の吊り込み部47が位置にする箇所を避けるように採暖部23が配置され、吊り込み部47が位置にする箇所に連結部25が配置されるよう、採暖装置21が車両用座席41に配置される。
本発明による採暖装置21に関連した実施例1,2及び比較例1,2について、昇温特性測定と断熱試験を行った。以下の図1〜17を参照して説明する。実施例1,2及び比較例1,2の何れについても、上記実施の形態と同様にして得られた採暖装置21であるが、温度検知線5と発熱線3を配設形状がそれぞれ異なっている。実施例1は、図1に示すように温度検知線5と発熱線3を配置したもので、温度検知線5と発熱線3の間隔は5mmであり、図2に示すH1〜H6を温度測定点としている。実施例1の昇温特性測定結果を図3に、断熱試験結果を図4に示す。実施例2は、図5に示すように温度検知線5と発熱線3を配置したもので、温度検知線5と発熱線3の間隔は5mmであり、図6に示すH1〜H6を温度測定点としている。実施例2の昇温特性測定結果を図7に、断熱試験結果を図8に示す。比較例1は、図9に示すように温度検知線5と発熱線3を配置したもので、温度検知線5と発熱線3の間隔は2mmであり、図10に示すH1〜H6を温度測定点としている。比較例1の昇温特性測定は行っておらず、断熱試験結果を図11に示す。比較例2は、図12に示すように温度検知線5と発熱線3を配置したもので、温度検知線5と発熱線3の間隔は12mmであり、図13に示すH1〜H6を温度測定点としている。比較例2の昇温特性測定結果を図14に、断熱試験結果を図15に示す。
昇温特性測定の方法として、まず、採暖装置21における図2,6,10,13に示すH1〜H6の位置に熱電対を設置した。更に、その採暖装置21について、発熱線3及び温度検知線5が配設された面がパット45側となるようにして、図16に示すように車両用座席41に組み込んで、図17に示すC1〜C7の位置に熱伝対を設置した。採暖装置21の温度制御は、マイコンタイプのECUを使用し、PWM(周期5秒)比例制御にて行った。設定としては、立ち上がりの昇温を重視し、実施例1,2及び比較例2については、40℃でOFF,39℃でONとなるように、比較例1については、70℃でOFF,68℃でONとなるようにした。このような車両用座席41を恒温室に設置し、−22℃で4時間放置した後に、採暖装置の温度制御を開始し、一般男性が着座した状態で30分間の温度変化を測定した。なお、温度制御開始後の恒温室は、寒冷期に使用される自動車内環境を想定し、20分間で−22℃から20℃に昇温する設定とし、以後は20℃を保持する雰囲気とした。引き続いて、上記のように熱電対が設置された採暖装置21と車両用座席41を使用して断熱試験を行った。21℃に保持された恒温室中で、C4〜C7を覆うようにして、車両用座席41上に厚さ50mmの木綿製座布団を配置して、採暖装置の温度制御を開始し、60分間の温度変化を測定した。なお、昇温特性測定結果と断熱試験結果の図は、H1〜H6の測定点における最高値とC1〜C7の測定点における最高値をプロットしたグラフである。
図3,7にも示されるように、実施例1,2においては、表皮表面が−22℃から30℃まで昇温する時間は5分程度であり、十分な昇温特性を有していることが確認された。また、温度制御開始から25〜30分の表皮表面の平均安定温度は39.7℃であり、設計していた温度である40℃とほぼ等しい温度で制御されていた。また、その際の表皮表面の温度リップル(高低差)は0.5℃であり、安定した温度制御がなされていることが確認された。また、採暖装置21としての最高温度は92.1℃であり、危険を生じる温度まで上昇することは無かった。また、図4,8にも示されるように、車両用座席41上に部分的に断熱物体を配置した場合でも、採暖装置21としての最高温度は64.9℃であり、危険を生じる温度まで上昇することは無かった。一方、比較例1については、図11に示されるように、断熱試験において採暖装置21の温度が65℃を超えてしまい、充分な制御がなされていなかった。なお、最高温度を下げるために温度制御の設定(OFFとする温度)を下げたところ、昇温特性が低下してしまい、表皮温度が快適な温度とされる30℃まで昇温するまでの時間が大幅に長くなってしまった。また、比較例2については、図14に示されるように、表皮温度こそは設計していた温度である40℃近傍で制御されていたが、採暖装置21の温度が安全基準の100℃を超えてしまい、充分な制御がなされていなかった。また、断熱試験においても、図15に示されるように、表皮表面の温度リップル(高低差)が大きく出てしまうこととなった。
以上詳述したように本発明によれば、採暖装置の温度の検知と制御を正確且つ確実に行うことが可能となる。従って、使用者が不快を覚えることの無い快適な採暖装置を提供することができる。この採暖装置は、自動車,自動二輪車,自転車,スノーモービル,各種輸送用車両,各種農耕用車両,各種土木建設用重機といった車両において使用することができ、座席、ステアリング、肘掛け、マット、仮眠用毛布などといった部品内に配置されて採暖に供されるものである。その他に、電気毛布、電気カーペット、暖房便座、防曇鏡用ヒータ、加熱調理器具、床暖房用ヒータ等にも好適に使用可能である。
1 基材
3 発熱線
5 温度検知線
21 採暖装置
23 採暖部
25 連結部
41 車両用座席
43 表皮
45 パット
47 吊り込み部

Claims (3)

  1. 基材と、発熱線と、温度検知線を有し、上記発熱線及び上記温度検知線が上記基材上に配設されている採暖装置において、
    上記発熱線と上記温度検知線の間隔が、3mm〜9mmであり、
    上記採暖装置は、複数の採暖部が連結部で連結された構成であり、上記連結部における上記発熱線と上記温度検知線の間隔が、上記採暖部における上記発熱線と上記温度検知線の間隔よりも広いことを特徴とする車両用座席に配置される採暖装置。
  2. 上記採暖部において、上記発熱線と上記温度検知線の間隔が、4mm〜7mmであることを特徴とする請求項1記載の採暖装置。
  3. 表皮とパットを有し、上記表皮を上記パットに固定するための吊り込み部が形成され、上記表皮と上記パットの間に請求項1又は請求項2記載の採暖装置が配置された車両用座席において、
    上記吊り込み部が位置にする箇所を避けるように上記採暖部が配置され、上記吊り込み部が位置にする箇所に上記連結部が配置されることを特徴とする車両用座席。
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